周辺国家最強(笑)の戦士   作:生コーヒー狸

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俺はババアだってかまわないで殺っちまう人間なんだぜ

 ラナー王女に誘われて、王宮へ昼メシを食いにいった。クライム君に案内されて王女の部屋に行くと、レエブン侯と一緒に待っていた。食事が始まるとクライム君は寂しそうな目をして出て行った。クライム君は他の兵士からハブられてボッチらしいから、きっと便所メシなんだろーな。

 

「王国へ巡礼に来たスレイン法国の神官様が、戦士長様の屋敷へ訪問したとか…戦士長様は他国にもずいぶんと顔が広いようですのね。私も法国の神官様からのありがたいお話を聞いてみたいものですわ。」

 

「ハハッ、ニグン殿とは竜王国での人道支援活動の際に知己を得たのです。彼は見識・実力に富んだ素晴らしい御仁です。どこぞのクソ貴族どもに、ニグン殿の爪の垢を煎じて飲ませてやりたいくらいです。」

 

「先の戦争でも、戦士長が先頭にたった途端に帝国軍の攻勢が衰えました。戦士長の武名は帝国軍にも轟いているようだ。私も肖りたいものです。」

 

「私は戦争で禄を食む職業軍人です。観光気分で戦場へ来るような者共と一緒くたにされるのは心外ですな。」

 

 昨日の一件で、この二人も王国を見限っているのは確信していた。どうやら俺をダシにして帝国や法国につなぎをつけるか、俺の後見人的ポジションにつきたいらしい。調子いい事いってんじゃあねぇーーッ!オレは上!貴様らは下だ!2人の希望は「クライムだけが居てくれればいい、でも生活(但しセレブに限る)の面倒はよろしくね」「妻子の安全だけは保障して欲しい。その為なら皇帝陛下のケツでもなんでも舐めます」との事だ。レエブン侯はともかくラナー王女のゆとりっぷりには閉口する。当面は現状を維持しながら、ラナー王女とレエブン侯は俺への便宜を最大限に図る。将来的には「ガゼフの帝国への出奔」を皮切りに「ラナー王女の皇帝への側室入り(ペット可)斡旋」「レエブン侯の家族と領地を安堵したうえでの帝国貴族の爵位ゲット」を目指す事になった。

 

 有意義な話し合いを終えて屋敷へと帰って来た。戦士長の仕事?そんなの優秀な副官のサムライ(仮名)とモンク(仮名)に丸投げしてますが何か?俺って非常勤王国戦士長なんですよ。そういえば、帰り際にクライム君が「主君の為にも、私はもっと強くなりたいのです…」とか言ってたので、ガゼフズ・ブート・キャンプの「1週間で勇者になれる」かもしれない特別ハードコースを紹介してやった。部屋でメイドさんとキャッキャウフフしてると、またまた来客があった。冒険者組合からの使いで、俺に会いたいという女性が待っているそうだ。御婦人を待たせるのは紳士として有るまじき好意だ。さっそく冒険者組合へ行くとしよう。

 

~王都冒険者組合~

 

「王国戦士長といえば、近隣諸国に並ぶもののない戦士で、勇敢で高潔な精神の持ち主との噂じゃったが、前者はともかく後者は本当に噂だったようじゃの。」

 

 何だこの無礼なババアは?名乗りもせずに人の事を勝手に評価しやがって……あっ!こいつリグリットだ!?十三英雄とかいう中二病で、ブレインやイビルアイにも勝ったらしい奴!そういえばコイツは…

 

「古い友から託されたアイテムに相応しい勇者と期待していたのじゃが…」

 

「ガゼフストラーッシュ!!」

 

「ぐわああああーーーッ!!」

 

「キャーッ、戦士長様、何があったんですかっ?」

 

「ウム、こいつはズーラーノンの高弟のネクロマンサー。王都で「死の螺旋」と言われるおぞましい儀式を行おうとしていたのだ。」

 

「え??リグリット・ベルスー・カウラウ様は、青の薔薇の元メンバーでアダマンタイト級の冒険者のはずじゃあ…」

 

「表向きはそうだが、実はズーラーノンの一味として暗躍していたのだ。この事は六大貴族のレエブン侯に問い合わせて貰えば解る。私はレエブン侯からの依頼で、この国を汚そうとするズーラーノンの企みを阻止する為に密命を受けていたのだ。」

 

「なんてことでしょう!アダマンタイト級の冒険者がズーラーノンの高弟だったなんて!?」

 

「この事は冒険者組合の信用にも関わる。青の薔薇のメンバーは勿論、外部へはくれぐれも内密にしてほしい。」

 

「かしこまりました戦士長様。」

 

「後始末は私の部下が責任を持って行うので安心してくれ。」

 

 こうしてワイルドマジック製の指輪を手に入れた俺は、部下に命じてババアの遺体を、灰になるまで焼き尽くしてから下水道に棄てさせた。下手に死体を遺せば復活の危険があるからな。それにしても、この指輪の存在をすっかり忘れていた。作中でもかなりのレアアイテムを入手する機会をみすみす失うところだった。原作での重要なイベントやアイテムを思い出して、取りこぼしがないようにしないといけないな。

 


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