「で、どこに飲みにいくんだ?」
あれから店を閉めた後すぐ飲みに向かうことに。久々のお酒だと思うとテンションが上がってくる。まぁゆーて1週間ぶりくらいだけどね。
「ミスティアさんの屋台ですよー」
みすちーの屋台か。あの屋台に行くのも凄い久々だな。かれこれ半年は経ってる気がする。家からもちょっと遠いし。
「私が知る限り1番の屋台ですからね〜。飲みに行くなら是非あそこがいいなと思いまして」
「まぁ私は飲めれば何処でもいいよー」
確かにあそこの八目鰻は美味かった。熱燗もあるとなおのこといい。あと君は本当にぶれないね。ある種の尊敬の念がでてくるよ。
「あーいった場所で呑むからこそ味わいがあるんじゃないですか〜」
「確かにな。お前はもーちょっと雰囲気を大切にしなよ」
「そういうもんかなぁ」
そういうもんなんです。雰囲気や感情でお酒はより一層美味しく感じるもの。どうせ飲むなら美味しく飲みたいじゃないか。
「まぁ私は楽しく飲めれば文句はないよ」
笑いながらそんな言葉を口にする。まぁ極論を言うとそうなるのかもね。折角の飲みの席。誰だってつまらないよりは楽しいの方がいいはず。それじゃあさっさと向かいますか。
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漸く屋台に辿り着いた。やっぱり少し時間がかかるね。ここまで飛ぶので霊力をほぼほぼ持ってかれた。所詮俺の実力なんてそんなもんです。倒れそう。
「いらっしゃ〜い!おっ、今日は珍しいお客さんだね〜」
そう言って笑顔で迎えてくれたのはこの屋台の店主、ミスティア・ローレライだ。うん、凄いいい笑顔だね。超可愛い。
「なんだい随分と久しい奴らがきたねぇ〜」
「おろ?奇遇ですね〜小野塚さん。お久しぶりです〜」
そして何故か小町もいた。なんでお前がこんなとこにいるんだよ。ちゃんと自分の仕事くらいしなさいよ。また映姫に怒られるぞ。
「今は勤務時間外だからいいの〜」
そういって肩を組んでくる。うわ酒くさ。絡み方が完全におっさんだよこの人。
「まぁまぁ飲みの席くらい仕事の話はおいときなよ〜。注文はどうする?」
「あ、取り敢えず八目鰻と熱燗で」
続いて各々が注文を言っていく。あとそろそろ離れて下さい。重いです。
「失礼な奴だねぇ。か弱い女性に重いとか言っちゃ駄目だよ?」
「少なくともお前からはか弱さなんざ微塵も見えんがな」
鏡みてみろよお前。顔真っ赤にして屋台で呑んだくれて、ウザ絡みしてくる人の一体どこにか弱さがあるというのだ。
「あたいも仕事で疲れて弱ってんだよ」
「そういう台詞はちゃんと働いてから言おうな」
お前が仕事してるとこなんざ殆どみたことないわ。そんなだから映姫に怒られるんだよ。
「お待たせー。八目鰻の蒲焼と熱燗だよー」
自分の前に並べられる。基本いつもは出す側だからなんか新鮮。
「それでは今日もお疲れ様でした〜」
文が俺の御猪口にお酒を注いでくれる。ありがとね。
「それじゃあ改めまして……」
「「「「乾杯」」」」
今日も1日お疲れ様でした。御猪口を傾け一気に飲み干す。喉の焼けるような感覚と鼻を抜けるアルコールの香り。うん、美味しい。やっぱりお酒はいいもんだね。
「でも本当久しぶりだね〜♪どう?お店の調子は?」
みすちーが笑顔でそんなことを聞いてきた。おや?嫌味ですか?俺の傷口抉りにきたんですか?
「いつも通りガラガラだよね〜。今日だって私と天狗がこなけりゃお客さん0だったし」
更に塩を塗り込むようなことを言ってくれる。何?そんなに俺をいじめたいの?終いには泣くぞ。あとお前はお客さんじゃないからね?間違いなく。
「あらら〜。それは残念だね〜」
「もう慣れたよ…………」
「お前さんも大変だねぇ」
「まぁ頑張りなよ。私も応援してるからさ」
小町とみすちーが励ましの言葉をかけてくれる。嬉しいけど余計辛くなるからやめてほしい。俺のSAN値がどんどん削られていく。結構メンタル弱いんです。
紛らわすようにお酒をあおる。飲まなきゃやってられない。
「はいもうこの話はやめ!楽しくいこ!」
「随分無理やり切り替えますね」
「これ以上続くと耐えられないんでしょ」
わかってんなら流してください。あれ?おかしいな。視界がボヤけてきた。泣いてなんかない。泣いてなんかない。
「まぁそんな落ち込まないでって。きっとそのうち転機はくるって」
「だといいんだけどね…………」
ほんと上手くいかない世の中だよ……………。
今回はちょっと短めです。
その分次は少し長くするかも?
次回は年末をテーマにかけたらなーって思ってたりします。
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