頭が痛い。昨日のアルコールがまだ抜けてないのか。ちょっと飲み過ぎたかも知れないな。萃香と飲んだ後は毎回こうなってる気もするが。でもそろそろ起きないと。時計の針は7時過ぎを指してる。
流石に起きないと開店に間に合わない。名残惜しい布団の温もりから離れて伸びをする。パキパキと骨の音が響く。
?「さて、今日も頑張りますか」
----------------
俺は喫茶店兼貸本屋を営んでる。まぁ簡単に言えば漫画喫茶みたいなもんだね。軽く掃除を済ませて朝食を取る。焼いたトーストにバターを塗って一口。うん、美味しい。やっぱり朝はこれだよね。時計の針をみる。どうやら開店までまだ時間があるらしい。読みかけの小説でも読もうかな。なんて考えてると目の前にスキマが現れた。
紫「あら?起きてたのね。おはよう、涼」
そんなことを言いながら妖怪賢者こと八雲紫が出てきた。今日は随分早いんですね。朝は弱いんじゃなかったの?
涼「おはよ、朝からどしたの?」
紫「頼まれてたものをもってきてあげたのよ」
そう言って段ボールを6つ程スキマから出した。頼まれたことっていうと店で出す本やコーヒー豆かな?丁度残り少なかったからありがたい。それにしても凄い量だね。これの片付けで1日持ってかれるかも。
紫「まとめての方が楽でしょ?」
涼「まぁそれはそうかも知れないけどさ……」
流石に多過ぎる気がしないでもない。まぁ持って来て貰えるだけありがたいんだけどさ。けどおもったより早かったね。紫のことだからもっと遅くなると思ってたんだけど。基本後に回す人だし。
紫「…………何か失礼なこと考えてるわね」
涼「いやいやそんなことないよ。感謝してるって。ありがとね」
なんでこんなとこだけ勘がいいんだろうねこの人は。まぁ感謝してるのは本当だし一応労いの言葉をかける。紫には定期的に外の世界に買い物を頼んでたりする。主に本やらコーヒー豆、紅茶の茶葉とか。幻想郷じゃなかなか手に入らないから紫に頼むのが1番手取り早かったりする。その見返りとして偶に紫の手伝わされたりしたりしてる。
紫「さてどうやら………。私にも何か飲み物を貰えるかしら?」
涼「ん、りょーかい。何にする?」
紫「任せるわ」
任せるってなかなか困る注文なんだよね。なんか面白いこと言ってって無茶振りされた時くらい困る。オススメかぁ。まぁ朝だし無難にホットコーヒーでいいかな。丁度いい豆を持ってきてくれた所だしね。豆を中細挽きにしてペーパードリップで淹れる。
ふわりと広がる淹れたてのコーヒーは朝の匂いがした。
紫「ん、ありがと」
そう言って紫はカップに口をつける。
どうか味わって下さいな。
涼「さて、それじゃそろそろお店の方も開けますかね」
紫「あら、もうそんな時間でしたの」
少し緩くなった飲みかけのコーヒーを一気に飲みほして立ち上がり、店の入り口に向かう。あんまり人はこないけど、やっぱりこの辺はしっかりしないとね。ドアの鍵を開けて「closed」になってるプレートをひっくり返す。
涼「よし!」
と一声気合いをいれて気持ちを切り替える。
こうして今日も何気ない1日が始まっていく。
これからほのぼのとした日常系のお話を書いていこうと思うので、お暇がある時にでも読んでいただければなぁっと思います。