これからも増えて欲しいですねぇ、よろしくお願いします。
僕達は胸に嫌な予感を抱えつつ、何とか夕方には、8区に辿り着いた。そして、そこから少し歩いていくと、やがて一つの小屋が見えた。
その小屋は、近くで見ると大きめに作られていて、中からは、沢山の喰種達の匂いがした。
「ここが……?」
「ああ、ここで合ってるよ」
僕が聞くと、折木さんは頷いて言った。そして、扉の前に着いて、折木が取っ手に手を伸ばす。
しかし、突然彼の手が止まった。そして、隣にいる僕には、彼の手が
扉を開けると、中の薄明かりが僕達四人を照らす。中はやはり広く作られており、20~30人程、年齢の様々な喰種達がいた。
「何だぁ、てめぇら!」
「この区の奴じゃねぇな!」
僕達の一番側にいた若い喰種達が、僕達を
「止めないか、お前達!」
その喰種の声が響くと、その若い喰種達は、一歩下がり、頭を下げた。頭を下げなかった喰種もいたが、彼等は、僕達を椅子へ
やがて、そのリーダー格の彼も座り、話し始めた。彼は、全身を目立たない灰色を基調としていて、茶色の上着を身に付けていた。
「俺の名は、
12区の話はこちらまで伝わっている。だが、伝わっているだけに……すまないが、力にはなれん」
この言葉を聞いた僕は、思わず言った。
「……どうしてですか。折木さんは、貴方の家族でしょう?家族を見捨てるんですか?」
「良いんだ、時雨君……分かっていた事なんだ……」
折木さんは困ったような顔をしていたが、僕は、迷う事なく、咎峰さんを責めた。
「人間でも、喰種でも、愛する家族を守ろうとする気持ちは一緒のはずだ!家族を見捨てるような奴は、理性を持った者のする事じゃねぇ!」
咎峰さんは黙って聞いていたが、やがて、口を開き、言った。
「……確かにその通りだ。だが、俺にはこの区を、仲間を守る義務がある!例え血の
「災……厄……?ううっ!?」
彼の言葉に疑問を覚え、聞き返そうとすると、僕は再び、激しい痛みに襲われた。
まるで、
その痛みのあまり、僕は
(あの
霞が嫌な予感に震えたと同時に、折木さんが叫んだ。
「皆、
すると、次の瞬間には小屋の上半分が、大きく吹き飛んだ。その声に素早く反応し、霞と栞は踞む事が出来たが、他の咎峰さんを含む全員は、腹部から下を残して、消し飛んだ。
僕達の周りは、肉片と大量の血が飛び散った、常人が見れば悲鳴を上げるような地獄と化した。
「叔父さん……」
折木さんは、自分の肉親だが、嫌いな男が突然死んだという事実に、様々な感情が混ざりあった、複雑な表情を浮かべていた。
この時には、僕の頭痛も引いてきた。そして、この小屋を斬った奴の姿を見ようと、外を
外を見ると、まだ大量の
とても濃い、黒い髪をした男の人だ。
180cmはあるだろう身長をしており、右手には、まるで血の塊のような、赤黒い刀を、左手には、大きなトランクケースを持っている。……白鳩だ。
(何でこんな所に……黒坂さんが負けた……!?)
「はぁ~……だりぃなぁ~……たくっ、
彼は、今さっき大量の喰種を、一瞬で殺したにも関わらず、自分の都合ばかりを一人、喋っていた。そして、ゆっくりと僕達の方に歩いてきた。
「うっわ、残った奴いるとかマジかよ、面倒くせぇ……殺すのも手間だし、『コクリア』行きで良いや」
『コクリア』。それは喰種達が、白鳩に捕まった時に収監される牢獄。そこに僕達四人を送ろうと、彼は近づいてきていたのだった。
「はーい、てめぇらはコクリアに行く事に決定しました~……車はここから遠くねぇから付いて来~い。
あ、言っとくが逃げたら……その場で殺す」
彼は終始面倒くさそうにしていたが、今の殺意は本物だった。
(あれは並みの捜査官じゃない……!特等だ!)
僕は、助けを求めるように折木さんの方を向いた。しかし、彼にも逃げる手段はないようで、首を横に振っていた。
「ほぉら、早く来いよ!俺は寝てぇんだっつーの!」
彼は、僕達がいつまでも動かないのを見て、イライラしているようだ。彼を怒らせるのは不味いと思い、僕達は急いで、車に向かった。
車は、恐らく喰種をコクリアへ送還するためと思われる荷台があるトラックだった。僕達は急いで、荷台に乗り込み、白鳩の彼が荷台の扉を閉めた。
車が動き出すと、僕は不安になった。あの頭の痛みは何なのか。そして、これから自分達が一体どうなるのかが全く想像も出来ない。
そんな思考を重ねていたが、いつの間にか、12区から逃げてきた疲れが出て、寝てしまっていた。
するとまた、あの空間にいた。そして中心には、いつも通りに輝影も。
「あの状況で頭痛とは。随分と都合の良い身体をしているんだなぁ?」
輝影はそう言って、僕を
「全くその通りだよね、良かった~……」
僕はここにいる事に安心して、気の抜けた声でそう返した。すると、輝影はこちらに歩いてきて、僕の胸ぐらを掴み、こう言った。
「お前……いつも何かを抑えてるのではないか?」
薄ら笑いを浮かべたまま、輝影は僕に問い掛ける。しかし、突然の質問だったので、僕は戸惑った。
「何の事だよ、それ……そんな自覚はないよ」
「そうか……
そう言って、輝影は消えていった。そして、僕の意識も少しだけの、深い眠りに落ちていった……
最近、他の連載が終わっていないのにオリ作をもう一つ投稿するという暴挙。正直私の身には重いです……
でも仕方なかったんだ、出したかったんだもの。良ければご覧下さい、私が書いたオリ作達を(二つだけw)
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