lost days-失われた日常-   作:AZΣ

10 / 17
今日は頑張りましょう!という訳で投稿しました。
もう失敗を繰り返さないように努力したいと思います…


9話-追憶

数日後、黒坂さんから仮面が出来たという連絡が入った。

(どんな仮面になったんだろう…楽しみだ)

そんな事を考えながら僕は霞と一緒にアジトへと向かった。

 

 

 

アジトに着くと、折木さんがコーヒーを飲んでいた。机の上にはコーヒーの他に丁寧に布に包まれた物が置いてあった。恐らくあれが仮面だろう。すると折木さんがこっちを向いて、

「やあ。そうだよ、これが仮面だ」

と言った。

(でもおかしい。黒坂さんがいない…)

と僕が思っていると彼は僕の顔からその疑問を読み取ったのか、

「翔伍は部屋だよ。仮面作りの専門じゃないから5日位完徹したらしい」

と苦笑いをしながら答えてくれた。そして僕と霞に仮面を投げ、

「着けてみなよ」

と言った。僕は内心、着けてみたくてたまらなかったので、喜んで着けた。そして、霞の方を向くと霞も仮面を着けていた。

霞の仮面は鎧の赫子と合いそうな何だか兜……?のような物だった。僕から見ると何か格好いい。すると霞も僕の方を向いて、

「お兄ちゃんの仮面…凄い…」

と言ったので、僕は期待を込めて鏡に写った自分を見た。僕の仮面は顔全体を隠すような形で目と口の所にだけ穴が空いている。そして、僕の希望した通り、仮面の表面がまるで水の表面に起きる波紋のように波打っていた。

「おお……!」

「どうだい?希望通りかい?」

僕が感動していると折木さんにこう聞かれた。僕が、

「凄く嬉しいです…!」

と答えると、彼は安心したような顔で、

「それは良かった。翔伍も浮かばれる…」

(あれ?何だか黒坂さんが死んだように言われてる…)

僕がそう思っていると彼は続けて、

「今日は時雨君の当番だったよね?もしかして…忘れてた?」

「あ、はい……すぐに行って来ます!」

僕が上のドアを開けて出ようとすると折木さんは、

「おいおい、折角の仮面を忘れちゃ駄目でしょ。万が一という事もあるし」

と念を押された。僕は返事をして、今度こそ仮面と箱を持って上のドアを開け、自転車に乗り、あの崖に向かった。

 

 

 

その崖に向かって自転車を漕いでいると、僕の鼻に人間の匂いと同族、つまり喰種の匂いがした。

(でも、この匂い……普通の人間じゃなそうだ…)

僕は不安に思って崖から少し離れた所に自転車を停めた。

するとこちらに向かって猛スピードで走って来る人影が見えた。匂いからこの人が人間に囲まれていた喰種である事が分かった。しかもその人が来た方向からは血の匂いがする。

そして、近付いて来る程に、その人の大きさがよく分かる。恐らく、190㎝はあるだろう。しかし、白い服に身を包んでいるが、返り血らしきものを一滴足りとも浴びたように見えない。

そして、僕とその人がすれ違った瞬間、僕は激しい頭痛に襲われた。

「うう…!」

あまりの痛みに僕はその場に(うずくま)ってしまった。しばらく蹲っていると頭の中に変な映像が流れて来た。

 

 

 

(何だよこれ……!?輝影(てるかげ)、お前がやってるのか……!?)

すると横から輝影が、

「私ではない。恐らく、お前の喰種の内臓が移植された時の記憶だ」

と答えた。

映像は何だか暗い部屋から始まり、気絶している僕と(かすみ)(おぼろ)がさっきの人によって部屋に運ばれて来た。そして部屋にさっきの人より少し背の低い男が入って来た。その男もさっきの人と同じような白衣を着ている。

「輝影、誰か知ってるか?」

そう言って僕が輝影の方を向くと輝影の表情が憎しみで一杯な事に気付いた。再び映像に目を向けると白衣の男は朧にメスを向けていた。

「おい…何する気だ?止めろぉぉぉぉ!」

「無駄だ、これは過去の映像だぞ?」

輝影が横で嘲笑(あざわら)っているが、そんな事はどうでも良い。弟の身体が傷つけられようとしているのだ、放っておけない。しかし、朧の手術は終わったようでもう腹部には縫った跡がある。

そして次は霞だ。これは過去の映像で自分には止められない事だと分かっていても、僕は叫ぶ事を止めなかった。しかし、必死で叫んでいる内に霞の腹部にも縫った跡が出来ていた。

最後は……僕だ。

「ちくしょう……!どうして!どうして、こんな映像を見なくちゃいけないんだ!」

すると輝影が、

「見たくなければ見なければ良いだろう。だが私は見させて貰うがな」

僕が目を覆えずにいると、みるみる内に僕のお腹も切り開かれて輝影の物と思われる内臓を入れられた。そして白衣の男の下卑た笑い声が響き、映像が終わった。

 

 

 

「っはぁ!はぁ……」

僕が再び目を開けると、ここはさっきの人とすれ違った崖の側の景色だった。

(よくも……!よくも僕達の生活を壊したな…!でも、これでさっきの人が僕達を喰種に変えた奴の手掛かりになる……!っとそうだ。目的を忘れてた……)

そう思い崖の下まで来ると、そこには大量の人間の死体があった。それぞれが腕や足を切られていて、酷いものは身体が真っ二つに切り裂かれていた。

その景色はまるで地獄絵図だ。死体は全部で100体程あり、全員がトランクを持っている。中にはトランクから赫子のようなものが出ている事からこれが『クインケ』である事が分かった。

(という事はこの死体は全員が白鳩(はと)…?この人数を全部あの人が……!?)

「く…そぉ……沈黙(サイレント)ぉ……」

「っ!」

まだ生きてる人がいたんだ……気付かなかった自分に嫌気が差した。その人は息絶えたが、僕は素直に喜ぶ事は出来なかった。

確かに喰種だとバレたら非常に困るし、命の危険もある。しかし、僕は人間を捨てていない。

(人間と喰種のどっちが悪なんだろう…分からない、分からないけど、僕は………とりあえず、死体を持ち帰らないと)

まだ結論は出せないと今は割り切って、僕は死者に黙祷(もくとう)を捧げた。そして、入るだけの肉を箱に詰めていった。

 

 

 

「沈黙か……面倒な奴が出て来たな、という事は《あいつ》の指示か…一体何を……」

僕の中の輝影が何かを(しゃべ)っていたが僕には意味が理解出来なかった……




何か自分でも分からなくなってきたような……まぁ、頑張ります。後、最近やっと喰種の漫画を買い始める事が出来ました。もう少し喰種について勉強したいと思います……
では良いお年を~

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。