精霊は海兵へ   作:カミカミュ

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この時期はやっぱり忙しいね…。

なんだろ、久々に狂った作品も書きたいな…。




5話 【慈悲たる正義/ツァドキエル】

 

 

 

 

 

+-+-とある海賊-+-+

 

 

昨晩はどれほど酒を飲んだのだろうか。

 

意識が曖昧で最初に考えたことはそんな些細なことだった。

 

少しずつ思い出すのは、ようやく自分の手配書が新聞に載り、700万ベリーという金額にクルー達と大騒ぎした。

 

そして興奮が収まらないまま近くにあった島に乗り込み、村を襲った。酒や食料を奪い、男は殺して女を犯す。ガキ共は縛り上げたあとに村に火を放った。炎に焼かれるガキ共の悲鳴を聞きながら船上で仲間たちと酒を呷る。

 

これでまた俺の懸賞金は上がり、悪評は人々を恐怖させ名声として世界へと俺の名が広がる。

 

 

そうやって思い出していると、気だるさと痛みで動かない俺の体を誰かが揺する。

 

 

「…………ょ………ょうっ!………せんっ…う!!………船長ッ!!!!」

 

 

その叫び声により、ようやく俺の意識が覚醒し体を起こそうとする…が、全身に鈍い痛みが走り途中まで起こした体は甲板に倒れこむ。全身の痛みに脂汗が滲み出し、荒く息を吐きながらもなんとか周りを見渡す。

 

クルー達は甲板を走り回り、動けない俺の代わりに指示を出し何かから逃げるように船を動かしている。

 

 

年若い奴らの多くは絶望を顔に浮かべ甲板に座り込み。ある奴は海に飛び込もうとして仲間に押さえ込まれてる。叫び声が上がりそちらへ顔を向ければクルーの一人が自身に剣を突き立て自害している。

 

なんだ?一体何が起こっている?

 

あまりの異常な光景に混乱して血が上る頭には単純な疑問しか思い浮かばない。そんな疑問は降りしきる雨による体温低下で無理やり冷静に戻された。

 

海軍か?それとも俺ら以外の海賊に襲撃されたのか?だとしても好戦的なこいつらが反撃もせず撤退を選び、絶望に膝をつくどころか自害するなどどれほどの化物が現れたというのだ?

 

冷静になった思考は真冬を思わせる冷気と雨により濡れた体が徐々に鈍らせていく。

 

いや、待て…冷気?雨?そもそもなぜ俺は立ち上がれない状態で甲板に倒れ込んでいたんだ?

そんな疑問を抱きつつ、俺を起こしたクルーがいたことをようやく思い出し疑問をぶつける。一体何が起こったのか?…と。

 

 

「覚えてないんですか船長?!いや、すみません…一番衝撃に襲われたのは船尾付近にいた船長でしたね…。アレです!船の後ろにいるあの化物が俺たちに襲いかかってきたんです!!」

 

 

肩を借り、ようやく見ることができた後方を視界に収め目を見開く。

 

雲に届きそうなほどの巨大なソレは重鎧をデザインした様な造形で、巨大な長方形のタワーシールドを左手に、右手にはバリスタのような槍を持つ人型の化け物で辺りを凍りつかせながらこちらに迫ってきている。しかも巨人は5体に及ぶ。その光景を見てようやくこの状況を理解した。

 

何だアレは……勝てるわけがない…。

 

これが俺らがしてきた悪事によるツケの結果だというのか。

ふと、巨人より後ろの方に巨人の半分程度の大きさの大きな兎の様なものが見えたが、それについて考えるより早く巨人が動き出す。

 

 

巨人達は手に持つ槍を一斉に空へと投げた。

 

 

放たれた5つの槍は、雲を突き抜け光り輝くと無数に分裂を繰り返し、今もなお降りしきる雨と共に海賊船へと降り注いだ。

 

 

 

 

+-+-四糸乃-+-+

 

 

「【慈悲たる正義(ツァドキエル)】……なんてね」

 

海軍に入り1年と少し経った。現在の階級は准尉となったりはしたが今日も今日とて能力の限界を知るため海賊狩り中である。もうどれほどの海賊を倒してきたのだろうか?100隻は確実500隻はいってない…はず。

 

それはそうと、上層部で私の能力について結構ゴタゴタしているらしい。ガープさんが少し教えてくれたが私を抵抗できないようにして能力だけを利用しようとした計画もあったらしい。らしいらしいって全然興味ないように見えるが流石に危機感を覚えてる。

 

このままではその内自分の意志とは関係無しに利用されエロ同人のようにされてしまうのだ!!……やらせてなるものか!男の時なら誰得だと叫ぶが、今は四糸乃なんだぞ!好き勝手やらせる道理は無い!!

 

ならばどうするか、精霊の能力を極めることもあるが、手っ取り早いのが霊結晶(セフィラ)を手に入れればいい。現在の四糸乃と十香だけでは攻撃だけに特化しており、情報戦とかになれば明らかに不利になる。

 

しかし、霊結晶(セフィラ)を探すとなると一番の問題になるのは場所がわからないということだ。ドラゴンボールを探すのにドラゴンレーダーというものがあるが、霊結晶(セフィラ)を探すためにレーダー等といった便利なものはないのだ。

 

ただし、ここで一つ解決策はある、それは霊力だ。

 

基本この世界において霊力というものは存在しない…はずだ。ガープさんのような強者が使う覇気や悪魔の実の力などは霊力とは関係ない。そして、霊力というものは便利だ想像力を必要とはするが不可視の巨大な手、不可視の強固な盾、空間震、霊装の顕現、天使の顕現等といった事に応用が効く。霊装と天使は少し分類が違う気もするが、その二つも霊力を巧みに使う事で様々な効果があるのだが今はその話は置いておこう。

 

さて、少し脱線した気もするが私が考えた霊結晶(セフィラ)の探し方だが、霊力をソナーのように辺りに散らすことによる探索方法だ。先程作っていた氷の巨人は霊力を込めた海水で作られており、水流操作を応用し操作していた。その巨人達に届くように広範囲に霊力のソナーを飛ばす。イメージは自分の周りに球体状の霊力の膜を作り、それを広範囲に飛ばすのだ。

 

結果、霊力の膜は巨人の霊力だけに反応し霊力が私に返ってきて私に伝える。

 

ここで、最初の海賊を殲滅した話に戻そうか。別に私はこいつらを実験のために倒したわけでも、偶然見かけただけだから倒したわけでもない。

 

この海賊船の船内に霊結晶(セフィラ)と思われる反応があったからだ。

 

慈悲たる正義(ツァドキエル)】と適当に名付けた技により粉々にされた海賊船の中から幻想的な紫銀の輝きを持つ霊結晶(セフィラ)が現れる。

 

巨人を消し去り、霊結晶(セフィラ)に近づいた私はそれが誰の霊結晶(セフィラ)か理解する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――誘宵 美九――――

 

 


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