精霊は海兵へ   作:カミカミュ

4 / 5

今回は短め。

感想・評価ありがとうございます。

感想についてはできるだけ返信をしたいと思います。

これからもよろしくお願いします。


4話 【最後の剣/ハルヴァンヘレヴ】

 

 

 

 

 

十香の力を手に入れて半月。

 

六式と言ったものをガープさんに教えてもらったのだが、私には意味のないものだということを早々に理解した。精霊の力が不可視の力として六式の体術レベル以上の補助をしてくれるのだ。全ての攻撃は弾かれ、不可視の力で目標を捉え破壊する。海賊たちで表すなら、数百万ベリーの海賊なら通常の状態オーバーキル。数千万ベリーなら天使顕現の一撃でオーバーキル。億超で天使を交えた本格戦闘ができそうだ。十香がやっていたように虚空を掴む仕草をしたら海賊船が潰れた時には驚いたものだ。

 

ちなみに鏖殺公(サンダルフォン)は呼べば普通に顕現した。試してはいないが最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)や反転の暴虐公(ナヘマー)を試す気にはなれない。ぶっちゃけた話どれほど被害が出るかわからないのだ。終焉の剣(ペイヴァーシュヘレヴ)などただのマップ兵器だ。

 

ただ、増えた霊力のこともありどうやっても最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)だけは試す必要がある。反転?すまん、どうやればいいのかわからんのだ・・・。深い絶望に心が塗りつぶされる事がキーになることはわかっているが、そんなこと私は望むことなどないし起こってなど欲しくはない・・・。

 

もし次に、霊結晶(セフィラ)を取り込んだ際に意識があるとまずいかもしれないが・・・。十香の霊結晶(セフィラ)を取り込んだ時は私の中の四糸乃霊結晶(セフィラ)も反応し意識を保つのが限界になるほどの絶望に襲われた。霊結晶(セフィラ)の扱いには注意が要るな…。

 

 

 

 

 

 

という訳でだ、私は今氷結傀儡(ザドキエル)に乗り海上にいる。もちろんガープさんに許可を頂き一人で来ている。さて、自由に動けるように周りを50mほど凍らせて足場を整える。十香の様に右足で地面を蹴りつけ鏖殺公(サンダルフォン)を顕現させる。四糸乃の体躯にこの剣は少しばかり大きいが精霊パワーにより問題なく振り回せる。これもいざと言う時のための試験的なものだ。扱える限界が分からないといらないケガをする恐れもあるしね。さぁ、始めるか。

 

 

最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)!!!」

 

 

名を叫び、鏖殺公(サンダルフォン)に霊力を注ぎ込めば細分化された玉座が鏖殺公(サンダルフォン)を覆い強大な片刃の長剣【最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)】へとなる。

 

実際に扱えることに感動を覚えていると、タイミングよく地平線に海賊船が見えた。海賊旗を見ると手配中の海賊でえーと…多分500万ベリーのー…すまん、海賊よ。500万クラスはうじゃうじゃいて全部把握はしてないのだ。流石にこちらの様子が見えてる奴はいないだろうし、大人しく実験に付き合ってくれい。

 

 

霊力を込めるー限界まで込めてみよう

 

霊力を込める―できれば全力で試したい

 

霊力を込める―まだ込められる。

 

霊力を込める―感覚的にまだまだ込めれる。

 

霊力を込める―なんだか、剣から紫の光が溢れだして霜が付き始めたがまだ行ける。

 

霊力を込める―あ、あの最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)さん?まだいけるでせう?そろそろ怖いんだけど。

 

霊力を込m、ちょ、まだ?!ビカビカ光り輝いてるのにまだ込めれるの!?

 

こ、込め…うわぁ!?アカンアカン!ヤバイよヤバイよ!!怖っ!?私の霊力既に8割込めたよ?!まだなの?まだなんですか!?

 

 

「これ以上は無理!込めた!よっしゃぁ!もう放てぇぇぇ!!!」

 

 

気分は騎士王、約8割の霊力が込められ(二人分の霊力で8割なのでぶっちゃけヤバイ)、眩く輝く最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)が振り下ろされ、斬撃が放たれる。

 

 

 

 

 

振り下ろした時に剣が通った空間を切裂き湾曲させ

 

 

擬似的な空間震が斬撃に纏わり付き

 

 

込めすぎた強大な霊力が斬撃の通る海水を蒸発させ、海底も抉り

 

 

蒸発した海水が瞬時に凍りつき幻想的な風景を生み出しながら

 

 

 

海賊船を微粒子レベルで分解し消し去った

 

 

 

 

 

( ゚д゚) ぉ・・・

 

(つд⊂)ゴシゴシ

 

(;゚д゚) ・・・

 

(つд⊂)ゴシゴシゴシ

 

(;゚ Д゚) …!?

 

 

 

最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)をそっと撫で、鏖殺公(サンダルフォン)に戻し仕舞う。振り返るとザァと風が吹き、穏やかな海上を眺めて背筋を伸ばす。

 

 

「んン~っはぁ!いい天気だなぁ……………」

 

 

横に居る氷結傀儡(ザドキエル)を撫でつつ穏やかな時を過ごす。心無しか氷結傀儡(ザドキエル)視線がジト目な気がするが気のせいだろう。私と一心同体と呼べるこの子はもうひとりの私といっても過言ではない…過言じゃないよ、な?うん。

最後の剣(ハルヴァンヘレヴ)?ふふっ何のことかな?そもそm…ゴゴゴゴゴという海水が流れ込む音が背後かr

 

 

「うぇいへいやッ!?いい天気ィ!!すげぇいい風!!」(現実逃避中)

 

 

私はそっと後ろを振り返る。

 

モーゼのごとく地平線まで割られた海、凍りつき幻想的な氷柱が並び立つ海上。未だ、ビリビリと震える空間。見当たらない海賊船。流れる冷や汗。見渡す景色はどこまでも現実を見せつけ冷や汗の量を増やす。

 

そして、私は言う。

 

 

「何事もなかった、うん」

 

 

全力で逃げた。

 

 

 

 

 





限界知らないときっとこうなる。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。