第3次スーパーロボットα外伝〜仕組まれた滅亡〜 作:リバーサクラモード本格的だよ
ー火星圏ー
ーテイワズ航路ー
突如現れたブルワーズの9機のモビルスーツと船に向かって変身したウルトラマンザージスが襲いかかった。
ザージス『ダァッ!』
ザージスはアイススペシウム光線を出してモビルスーツの顔を凍らせて、次々と敵のメインカメラを潰していった。
この宇宙空間において氷をつけられてしまうと、酸素がないため火を起こすことが出来ないため、砕こうとするが、瞬時に凍らされたものほど脆いものはないため、ザージスの戦法は正しかった。
これによりほぼ全てのモビルスーツはその場で動けなくなっていた。
実践経験から考えた場合にはこのように戦略性のない突進型のほうが有利な時があるのだ。
だが…彼の性格は変わっていなかった。
いや、最も直さなければならないことを直していなかったのだ。
昭弘『誰も死んでいない…だが…』
後から出てきた昭弘とジョウは戦闘中域の光景を見て言葉を失っていた。
ザージスが通った道には首なしのモビルスーツたちが自分の持っている武器をデタラメに振り回していた。
視界を失った恐怖は凄まじいものだと想像ができる。
簡単にいってしまうのも悪い気がするが全てが闇になるのだ。
ほとんど何もない宇宙の中、彼らはヒューマンデブリという奴隷である存在。
彼らは自分がどんな存在であるかよく知っている。
彼らは自分の力のみを頼る。
五感全てを使い一生懸命に生きようとする。
常に死の恐怖に耐えながら戦っている。
そんな彼らだから…いや普通の人もそうなのだが、彼らだからこその恐怖…
”視力”を奪われた恐怖…
奪われる恐怖…
突如、今の今まであったものが奪われた恐怖により人はどうなるか…人はどうするのか?
並大抵の人でも必ずこうなる…"パニック”
自動車、自転車、電車に飛行機の操縦者がそうなったら危険…いや危険という言葉では生易しいかもしれない。
人から何かを奪う…それが元からあったものだからこそパニックになる…
その状況が今ここで起きている。
必死な奴等は強くなる。
必死な奴等は何が何でも生きようとする。
モビルスーツという道具だったものを…彼らは”凶器”とする。
完全なる”凶器として…
ヒューマンデブリの彼らは持っていた武器をデタラメに振り回す。
アックスに実弾…下手な鉄砲も数撃てば当たる。
誇張かもしれないが誰もが一度は人生で聞くであろうことわざ
”下手な鉄砲も数撃てば当たる”
それを実行する彼らは普通の状態よりも遥かに脅威であった。
しかも手加減しなければならないというハンデがあるザージスたちにとっては最悪な事態であった。
ジョウ『ちっ!何やってんだよ零!それじゃあまだ敵の力を奪ったことにはなってねぇ!逆に危険になっただけじゃねぇか!』
昭弘『暴れんなっ!』
二人ともろくに実戦経験がなく、素人同然の動きしか出来なくて、のび太の世界や移動中の訓練しか出来なかったため、二人は苦戦していた。
ジョウはなんとか黒獅子を動かしてビームサーベルで敵の武器を破壊する。
それと同じように昭弘も武器のみを破壊していく、他のメンバーは敵の数が少なく、No.2のクダル・カダルらしき機体も見当たらないので出撃を控えていた。
だが、ある一機は格納庫から出ていった。
この判断は進児の判断だったがタクトやオルガからも了承を得ていた。
だが、ザージスはそんなことは考えずに直接ブルワーズの船に向けて殴りかかった。
ザージス『おりゃあっ!』
物凄いスピードで殴りかかったが、彼が狙ったのは船の白い部分のみを狙って殴った。
一瞬我に返ったのかオセロの偶然を思い出したのだ。
運が良かったのか殴った部分はエンジン部分のみでブルワーズの船は動けなくなっただけで済んでいた。
熱くなっていたザージスはそれを知らずに恐ろしくなり頭を抱え、腕を船から引っ込めた…
ザージス『お、俺は…また…』
大丈夫だよ。大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫!
ザージス『大丈夫大丈夫…』
いつの間にか彼は自分の心情を口に出して言葉として発していた…
だが、その隙を狙ったかの如く良いタイミングでブルワーズ船の格納庫から4機のモビルスーツが出てきた!
クダル『このクダル・カデルがウルトラマンである貴様をバラバラに切り刻んでくれるううぅぅ!』
4機のモビルスーツの中のうちの1機だけ特徴的な形をしている。
それに乗っているのがクダル・カダルであろう。
その機体についていくように1機のモビルスーツがザージスに向けて実弾を発射する!
ザージスには効果がなかったが彼は反射的に腕をクロスして実弾から身を守る。
だが、その実弾に気を取られているうちにクダル・カデルの機体のアックスが顔を狙う。
クダル『まずはその首を胴体から切り離してやるわ!このガンダムグシオンでな!』
ガンダムグシオンの斧はクロスしていたザージスの右腕に深く突き刺しめり込ませていく、ザージスは苦痛を押さえつつグシオンを見る。
ザージス『やりやがっ…はっ!あそこにいるのは…待てよ…こいつ今、クダル・カデルと言った…こいつがNo.2か!なら…逃がすわけにはいかない!』
ザージスは昂まる感情を抑えつつ右腕に突き刺しているアックスを力強く掴み更に自分の右腕にめり込ませていった。
クダル『何やってんだぁ〜こいつは、頭がいかれちまったのかぁ〜だったらお望み通りにしてやるよ!』
調子に乗ったクダルは更に力を入れて一点集中してアックスに力を入れとどめをさそうとする。
クダル『はあああっー!!死ねっけぼおおおおおおっ!』
三日月『あんたがな…』
なんとすっかりザージスの右腕にアックスをめり込ませることしか考えていなかったクダルは後ろから来ていた三日月のバルバトスの接近に気付くことが出来なかった。
そして、隙を狙った三日月のバルバトスのメイスという質量破壊兵器をコックピットめがけて突き刺さした!
ザージス『はぁ…はぁ…やっぱりあれは間違ってはなかったな…白に幸運があるのは…』
ザージスはゆっくりと手からアックスを抜き、先程までの熱さを反省してそこから焦らずにエルシャンクに戻っていった。
ザージス(このままだとだめだ…そう思うことはなかったんだ。俺には仲間がいる。ならば頼らせてもらう。)
その頃、昭弘は向かって来たモビルスーツに違和感を感じて動けずにいた。
昭弘『あのノロノロとした動き…まさか!』
阿頼耶識には操縦者の癖が一部反映される。だが、その癖を昭弘は知っていたのだ。
昭弘はとっさに向かってくるモビルスーツに連絡を入れた。
昭弘『おい!その動き!お前まさか…』
??『そ、そんな…ま、まさか…』
昭弘『ま、昌弘…』
その通信を聞いていたタクトはすぐに通信機に手をつけた。
タクト『ヴァニラ!すぐにブリッジに来てくれ!すぐにだ!治療の準備をして来てくれ!』
ヴァニラ『わかりました。すぐに準備して向かいます。』
タクト『まさかこんなに早くこの手を使うかもしれない状況になるとはね…』
ジャック『タクト!お前確かドラえもんに秘密道具を使わせてもらっていたな!あれと関係あるのか!』
タクト『さすがジャック、でもそれだけだと50点しかあげられないよ。まあ、何も起きなければいいんだけどね…』
そういってタクトは右手にあるペンダントをギュッと掴んだ。