GOD EATER2 ~絆を繋ぐ詩~   作:死姫

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46話 終焉を斬り裂く光 後編

 

 

振り下ろされた腕を躱してから、ソーマは神機で頭を殴る。

ガァンッ!!

「ちっ・・・、固いな」

文句を洩らしながら、片足で顔面を蹴り後ろへと飛ぶと、アリサがバレッドで目を撃ち抜く。

ドドンッ!!

ゴォオォォッ!

「足、もらいます!」

神機を近接に切り替え、アリサは左前脚を斬り抜ける。そしてその勢いのまま、斬った箇所に捕食形態を喰い込ませ、思い切り千切る。

ガリィイッ!!

「ソーマ!!」

巨体を支えきれなくなった神機兵プロトタイプは、地面へと倒れ込む。そこへ、ソーマが空中で神機を振りかぶり、口の端を浮かせる。

「こいつで・・・、終わりだ!!!」

ゴシャッ!!!!

頭を半分潰されて、神機兵プロトタイプは身体を跳ねさせてから、動かなくなる。その胸の辺りに、コアを確認すると、ソーマとアリサは同時に捕食形態で喰いつかせ、真っ二つに割った。

ガリィィッ!!

神機を振ってから肩に担ぎ、ソーマはブラッドの向かった先へと目を向ける。

「・・・ソーマ?」

「成る程・・。どうやら、合流はさせねぇらしいな・・」

そう彼が声を洩らすと、神機兵が新たに5体、部屋へと入って来る。

「・・・まったく・・、人気者ですね。私達も・・」

「ふん・・。勘弁願いたいな・・」

諦めたように二人は神機を構え、神機兵を睨みつける。

「後は、あいつ等に任せるしかねぇな」

「そのようですね」

そうして素早く距離を詰めて、ソーマとアリサは神機兵を薙ぎ払う。

 

 

6本の刃を宙で操りながら、ジュリウスが特異点となった姿・・・終焉の王は、ブラッドへと反撃してくる。

「俺が牽制を撃つ!」

「あたしは、本体を!」

「バックアップを、私が!」

「僕が、刃を受ける!」

それぞれの役割を叫んで、ブラッドは対応する。

「はぁっ!!」

ギンッ! ガキィッ!!

飛んでくる刃を、ヒロが剣で受け流し・・、

「おらぁ!!」

ドドドンッ!

ギルがバレッドで、相手の足元を撃つ。

「どっりゃーー!!」

ガァンッ!!

怯んだ相手に飛び込んで、ナナがハンマーで頭を殴り、

「そこです!!」

ドゥオンッ!!

シエルがブラッドバレッドで、横から撃ち抜く。

ブラッドの連携に翻弄されてか、終焉の王は大きく後ろへと下がる。

「このまま、行くよ!!」

《了解!!》

再び連携をとるため、ブラッドは散開して標的へと走る。

だが、終焉の王は大きく後ろに力を溜めて、何かを狙う様に動きを止める。

「っ!?まさか!?」

その構えに既視感を覚えて、ヒロは構えの先へと方向転換する。

「なっ!おい、ヒロ!」

ギルの声を無視して、ヒロはその先のシエルを庇う様に神機を前に飛び込む。

「シエル!伏せて!!」

「え・・・、ヒロ?」

その瞬間・・、

ザシュザシュザシュザシュザシュザシュッ!!!

「ぐぅ・・・・あぁ・・っ!!」

終焉の王が放った6本の刃により、ヒロは体中を斬り裂かれる。

「あ・・あ・・・、ヒローッ!!」

神機のお陰で致命傷は免れたが、ヒロは血を撒き散らして、その場に倒れる。

「こいつ・・!ジュリウスの技を!?」

「ヒロー!大丈夫!?」

ギルとナナが駈け寄ろうとしたのを、ヒロはゆっくりとした動作で立ち上がり、手を前に制してから、神機を拾う。

「・・はぁ・・はぁ、そう・・。もう・・・、いいや」

そう言ってから、シエルの前に立ち塞がり、ヒロは呼吸を整えて、神機を振り下ろす。

「・・・ヒロ?」

「みんな・・・・・、手出し・・しないでくれる。僕一人で、相手をする」

その言葉に、三人は目を大きく開いて反論する。

「ふざけるな!!何考えてやがる!?」

「そうだよ!ヒロ一人じゃ、死んじゃうよー!!」

「私達を気遣っているのだとしても、そんなこと・・・容認できるはずがありません!ヒロ!?」

全員の言葉を受け止めてから、ヒロはフッと笑みを見せてから、終焉の王へと向き直る。

「みんなに、ジュリウスの刃を向けさせたくないっていうのも、本当だよ。だけど、そうじゃないんだ。・・・僕一人で、十分ってことだよ」

そう言ってヒロは、ゆっくりとした足取りで、標的へと向かって歩き出す。

 

「くっ!・・・・~♪」

集まり始めた偏食場パルスを体に受けながら、ユノは歌う声を緩めない。

そして、目の前で起こっている、悲しい戦いを、目に焼き付けようとしている。

(ヒロ君・・・・・、ジュリウスを・・止めて!)

 

シエルは立ち上がって応援に向かおうとするが、それをギルが呼び止める。

「待てよ、シエル」

「止めないで!私は、ヒロを死なせるわけには・・」

「隊長命令だぞ?」

「あんな命令!聞けるはずありません!!」

激昂するシエルに、ギルは軽く息を吐いてから、ヒロの方を指差して笑う。

「大丈夫なんだよ・・」

「だから!・・・え?」

「ヒロ・・・凄い・・」

三人の視線の先で、ヒロは終焉の王の攻撃を、完璧に見切って躱していた。

 

ブンッ ブンッ ブンッ

ザシュッ!

空を斬る刃の音が響く中を、ヒロは舞うように躱して、斬り付けていく。

自分の攻撃が全く通じないことに苛立ってか、終焉の王はレーザーのようなものを発射してくる。それが1点に集中したものと理解して、ヒロは飛び上がって、頭を叩き割る。

ガァンッ!!

その威力に、地面に倒れ込んで、終焉の王は肩で息をするような仕草を見せ、動けないでいる。

そんな彼に、ヒロは神機を担いで声を掛ける。

「神機兵よりも、完璧にジュリウスと同じ動きをするんだね。だったら、僕には勝てないよ。・・・僕が、どれだけ彼の動きを見てきたと思ってるの?」

誰よりも近くで、誰よりも参考にしたジュリウスの動き。それがわかってるヒロには、彼の攻撃を躱すことなど容易なことだ。

「もう・・・休みなよ。ジュリウス・・。僕等と一緒に、帰ろう・・」

そう言って、ヒロは終焉の王を仰向けになるよう蹴り飛ばし、胸に浮かんだコアへと、神機を突き立てた。

パリィンッ

 

 

終焉の王が沈黙したのを確認して、ヒロはゆっくりとそれに手を伸ばす。

そして、その手が触れた瞬間・・・。

キイィィィィンッ

『ヒロ!離れろ!!』

「っ!!?」

感応現象がジュリウスの声を届ける。

それに応える様に、ヒロが後ろへと飛び退くと、部屋の奥から伸びてきた触手が、終焉の王を飲み込み、暴走を起こしたように部屋全体へ広がりだす。

「くっそ!!」

「ヒロ!大丈夫ですか!?」

駈け寄ってきた三人に支え起こされ、ヒロはその様子に驚愕の表情を見せる。

「始まったんだ・・・。『終末捕食』が!」

《っ!!?》

赤いオーラを放ちながら、触手はどんどんと大きくなり、部屋の半分まで飲み込んできた。

 

 

指令室でモニターを確認していた榊博士は、眉間に皺を寄せて眼鏡をかけなおす。

「強力な偏食場パルス、確認!これは・・・ジュリウスさんのものです!」

「始まったか・・。『終末捕食』が・・。ヒバリ君!ユノ君の方は!?」

榊博士に言われ、ヒバリはユノが発する偏食因子を確認する。

「もう・・少し・・。でも、このままでは、ジュリウスさんに押し切られます!」

「リッカ君!リンクサポートの出力を上げてくれ!」

『もう限界ですよ!?』

それを聞いて、榊博士はサツキへと連絡を取る。

「サツキ君!音量を上げてくれ!単純に力押しで、こっちも無理矢理・・」

『そうしたいのは・・、山々なんですけど・・・』

曖昧な答えを返してくるサツキに、榊博士はインカムのマイクへ顔を寄せる。

 

『どうしたんだい!?サツキ君!?』

榊博士の声がするインカムを落とし、サツキは顔を引きつらせる。

「嘘でしょー・・・。本当に・・」

第1部隊が神機兵に掛かりっきりになってる間に、放送室まで、触手が浸食してきたのだ。

「これは・・・私も、積んだかしら・・」

声に出すと恐怖が汗となって、頬を伝って落ちる。

しかし・・・、

ザァンッ!!

その触手は、サツキに届く前に消滅する。

「・・・ふぅ。よう、サツキちゃん。生きてるかー?」

「嘘・・・。リンドウさん!?」

出張を早めに切り上げて戻ってきたリンドウが、煙草を一吹きしてから、笑って見せる。

「や~れやれ。帰って来て早々、これだもんな~」

「リンドウ!ぼやいてないで、こっちを手伝え!」

通路側では、レンカが久方ぶりに握った神機を振るって、第1部隊を援護していた。

驚きに言葉を失っているサツキを引っ張り起こして、リンドウは笑顔で声を掛ける。

「んじゃあ、サツキちゃん。とっとと終わらせて、帰ろうや」

「あ・・・、はい!!」

返事をしてから、サツキはフェーダーを限界まで上げて、放送用マイクで、ユノへと声を掛ける。

「ユノ!聞こえる!?みんな、生きるために必死に戦ってくれてる!だから、あんたも・・・戦場の歌姫も、歌で応えなさい!?」

 

サツキの声を耳にし、ユノは押さえていた胸を奮い立たせながら、ゆっくりと前へと力を籠める。

「みんな!ユノさんに、触手を近付けさせないで!!」

「了解!」

「わかった!!」

「ユノさん!あたし達に、任せて!!」

四人も陣形を組みなおし、ユノへと迫って来る触手を弾き返す。

そんな彼等を見つめながら、ユノは目に浮かべた涙を拭う。

そこへ・・。

 

『ラ~ララ~♪ラ~ララ~♪・・・・・』

 

スピーカーから、ユノの声とは別に、歌が流れ出す。

それも、大勢の人の・・・。

 

極東中の無線から、音声を抽出して、サツキがリアルタイムで流せるよう、音響卓に接続したのだ。

「・・聴こえる?ユノ・・・。みんなが、あなたの歌に希望を抱いてる。みんな一緒よ・・、だから・・・」

 

極東の指令室で、フランは涙を流しながら、必死に榊博士へと状況報告する。

「・・うっ・・皆、さんの・・・、声が・・・。偏食場パルスとなって、ユノさんに・・・・集まって、います・・」

彼女の言葉に頷いてから、榊博士はフッと笑みを零す。

「現象的には、ただの空気の震えでしかない。でも・・・歌には、確かに力がある。人の想いを、遠隔にも伝え・・・増幅し、新たな力となる」

「・・・博士」

その歌の心地良さに、榊博士は目を閉じて、息を洩らしながら口を開く。

「旋律と鼓動、心と言葉、人の営み・・・・。何て、素晴らしい『感応現象』なんだろう・・・」

 

 

光の声が 呼んでいる

失くした日々の向こう側

 

再び歌いだしたユノの周りにも、触手が渦を巻いて発生し、攻め込んでくる触手を絡めとる。

「これは・・・」

ヒロが声を洩らすと、ユノの体から、赤いオーラが放たれだす。

「みんな!ユノさんの側へ!!」

そう言って、ヒロはユノの隣へと駈け寄る。

ブラッドも、ヒロの呼びかけに答え、ユノの周りへ集まる。

 

心にある一筋の 希望だから

さぁ 歩き出そう

 

歌が天へと上り、赤いオーラは竜巻状に形を成す。

「ユノさん。手を・・・」

「うん・・」

ヒロの手にユノが触れた瞬間、『喚起』の力で、光は一気に膨れ上がる。

意識が飛びそうな眩い光の中で、榊博士の無線の声が耳に届く。

『ブラッド・・・。2つの『終末捕食』が遂行された。ここからは、私にも何が起こるかわからない。叶うならば、みんな・・・・無事で・・・・』

光は強さを更に増し、榊博士の声をかき消した。

 

 

 

 





あぁ・・、ようやく一区切りだー!!

といいますか、今更ながら・・、家庭用の続編。ゴッドイーター3(仮)が製作開始していたそうで・・。

書くのか?私は・・・。
ゲームは100%やるけど・・。
書くのか?



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