ここ最近、千歌があまり構ってこなくなった……なんでだろう…?毎日ベタベタしすぎたからかな?でも……毎朝手を繋いで学校に登校するパターンだけは変わらない……何かしちゃったかな?
「千歌~そっちに入ってもいい~?」
「ごめーん!今ちょっと無理~!」
はあ……今日もかぁ…なんか…最近こんな会話しかしていない気がするなぁ…。
♢
あとは…ラッピングをして・・・よしっ!
「できたぁー!」
~~~~~
~バレンタイン当日……
「千歌ちゃーん!例の物、ちゃんとできた?」
「うん!曜ちゃんが教えてくれたから焦らずにできたよ!」
千歌ちゃんがピースをして喜んでいる…きっと、悠之君のために頑張ったんだね。
「で、悠之君にはいつあげるの?もしかして朝あげてきたとか?」
「ううん、今日の放課後に渡そうと思うんだ~」
「そっか、頑張ってね!」
「うん!」
「あ、でもその前に……」
千歌ちゃんがバックをガサゴソと漁っている
「まずは曜ちゃんと友チョコなのだー」
「あ、あれ?チョコレートだけのバレンタインはつまらないんじゃ……」
「チョコレートの欲望には勝てませんでした♪」
「あ、あはは…私もちゃんと作ってきたから別に問題はないけどね…。」
私と曜ちゃんでお互いのチョコレートを交換する……曜ちゃんのは綺麗なハート型のチョコレートだぁ…!
「わああ…曜ちゃんのチョコレート…可愛い~♡」
「えへへっ千歌ちゃんに褒められて感無量であります!」
今度は、曜ちゃんが私のチョコレートの袋を開ける……
「千歌ちゃんのチョコレートもハートの型だ~!」
「わあぁ…おそろいだね~!」
千歌ちゃんとおそろい…なんだか嬉しいなぁ~
「ちょっと食べてみてもいい?」
「もちろん!」
「はむ…ん~!千歌ちゃんのチョコレートみかんの味がする~!」
「どう?イケる?」
「うん!」
嬉しそうに、顔がちょっとだら~んとしてる曜ちゃんを見るのは久しぶりかも
パクッ
「曜ちゃんのチョコレートもナッツが入っていておいしい~!」
~~~~~
あ〜あ今日もあまり千歌と話せなかったな~。
……そういや今日はバレンタインだったな…千歌が構ってこない寂しさでそんな事はすっかりと忘れていた……
俺はボーッとしながら、いつも通り自分の席につく……あの女がいなくなったから少しはマシになったが……やっぱり千歌とたくさん喋りたかったなぁ……うん?
自分の机から妙な違和感を感じた……そう、中から出てきたのは……
本命でもない、全く喋ったことのない女共からのチョコレート♪
まあ俺は甘いものが大好きで、血糖値高めの高校生だから全然イケるから問題はないか……
「お、悠之モテモテじゃーん!」
「俺にも少し分けてくれよ!」
チョコレートが貰えなかったハイエナ達が俺のところにたかってきた…
「だめだ、甘いものは俺にとっての命だ。たとえ義理でも、本命でもチョコレートは絶対に譲らん!」
俺は変な屁理屈を言って断った……まあ、千歌とかアイツらとかだったら普通に分けてもいいかな…? 後でみんなに配るか…。
~~~~~
~放課後
今日も特に変わりのない1日だったが…まあ、後は千歌達のチョコレートを待つとしますか…!
バス停に向かうと、たくさんの女の子達が集まっている……
「あ、悠之君~!」
「遅いよ~!」
そこには…千歌、果南、曜、ダイヤ、ルビィちゃんがバス停に来ていた。
「な、わざわざ迎えにまで来なくてもいいのに~」
「あ〜そんなにチョコレートが欲しかったんだ~相変わらず甘とうだね~」
「甘いものは正義だっ!」キリッ
でも、ここでチョコレートを貰おうとすると色んな人に迷惑だな…
「ここじゃ狭いし、学校の広場の方に行こうか。」
5人「は~い!」
♢
「じゃあ、最初は私からね……はい!」
果南は、緑色のラッピングされたチョコレートクッキーを渡す
「おお~サンキュー!……流石に刺身とか干物とかは入ってないよな?」
「し、失礼な~そんなの入れてくるわけないでしょ~!」
「あはは、冗談だよ。」
次にダイヤとルビィちゃんがトリュフチョコレートと、抹茶チョコレートをくれた。
「この前は、本当にありがとうございました…感謝の印として、このチョコレートを受け取ってください…!」
「抹茶チョコレートはお姉ちゃん、トリュフチョコレートはルビィが作りました!お家でゆっくり食べてください~!」
「うん!2人ともありがとな。」
次に千歌と曜がチョコレートを持ってきた。
「私達は偶然チョコレートの形が一緒だったから、一緒の袋に入れました~!」
「ナッツが曜ちゃんで、みかん味が千歌ちゃんね?」
「悠之君、いつもありがと!」
「ああ!2人ともサンキューな。」
「あのう…ちょっと気になっていたんですけど…そのおっきな袋…全部チョコレートですか?」
ルビィちゃんが俺の袋に指をさしている…まあ、これは隠しようがないからな。
「これは、義理チョコだよ。たくさんあるからみんなも持っていっていいよ~」
「こ、これ…いったいいくつあるんですの…?」
「ま、間違いなく80個くらいはあるよね……」
5人「(恐るべし……悠之君……。)」
~~~~~
チョコレートを分け合った後、俺達はすぐにバスに乗りそれぞれの帰り道で別れた。
そして、やっと千歌とふたりきりになる事ができた…
「あの、悠之君!」
「うん?どうした?」
千歌と久しぶりに会話をする……なんだか気分が一気に晴れていく。
「ちょっと寄り道していってもいい?」
「あ、ああ…」
俺達はひとつ手前の駅に降りた……
「悠之君…この場所覚えてる?」
「うん、正月の時に一緒に見にいった…海だ」
俺と千歌は正月の時と同じようにベンチに腰をかける。
「悠之君はここで髪飾りをくれたから、私もブレゼントをする時はここがいいかなーって」
プレゼント?でも、さっき曜と一緒に……
千歌は両手を後ろに組んで、何かを隠している……
「じゃーん!千歌の…愛の手編みマフラーでーす!」
千歌がラッピングされたマフラーを手渡す。
「嬉しい…ありがとう!千歌!」
「えへへ……実はね、このマフラーは2つ作ってあるんだ。千歌とおそろいとして!」
「ほんと!?今開けてみてもいい?」
「もちろん!」
ラッピングを剥がすと綺麗な赤いマフラーが出てきた。
「おお~!ほんとにおそろいだ~!」
「これから、学校に行く時とかにつけてくれたら嬉しいな~って」
「ああ!もちろんだよ!」
当たり前だ、つけていくに決まっている…だって…こんなに心がこもったプレゼントをもらうのは初めてだからだ……
「その、悠之君……」
「ん?なに?」
千歌が少し恥ずかしそうにしている……何かを意識しているのだろうか?
「このマフラーはね…悠之君のだけ少し長めに作ってあるんだ……」
「……?」
「それでね、私がもしマフラーを忘れたり…寒がっていたりしたら…」
すると千歌が俺のマフラーで、俺と千歌を優しく包み込むようにお互いの首に巻き付ける……
「えへへ…こういうのって…恋人巻って言うんだって…///」
「こ、恋人巻……か///」
いい言葉だ……2人とも同じ目線で、一緒に温まることが出来る……そして、何よりも千歌の体がいつもよりも密着するので、千歌の吐息が当たって…とても興奮する……
「……私が寒がっている時とか…寂しい時とか……あるいは、悠之君が寂しい時とかでも…こうやって2人であったまりたいんだ…♡」
「だから……これからも私にとって、大切な人でいてくれますか?」
「ああ…!もちろんだ、このマフラー大切にするよ…!」
「じゃあ……この状態でキスして?」
「ああ…///」
チュッ…
「今年は、最高のバレンタインだね…」
「うん♡」
俺と千歌を巻きついたマフラーが互いの吐息を逃がさないように閉じ込める……そして、このマフラーからほんのりと香るみかんの香りが俺たちを包み込んだ……。
今年はちょっと甘酸っぱいバレンタインだな…。