みかん色の風   作:OCEAN☆S

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今回は連続で書いてるので、少なめです!


第8話「赤き恋のバレンタイン」

ここ最近、千歌があまり構ってこなくなった……なんでだろう…?毎日ベタベタしすぎたからかな?でも……毎朝手を繋いで学校に登校するパターンだけは変わらない……何かしちゃったかな?

 

「千歌~そっちに入ってもいい~?」

 

「ごめーん!今ちょっと無理~!」

 

はあ……今日もかぁ…なんか…最近こんな会話しかしていない気がするなぁ…。

 

 

 

 

 

♢

 

あとは…ラッピングをして・・・よしっ!

 

 

「できたぁー!」

 

 

 

 

 

~~~~~

~バレンタイン当日……

 

「千歌ちゃーん!例の物、ちゃんとできた?」

 

「うん!曜ちゃんが教えてくれたから焦らずにできたよ!」

 

千歌ちゃんがピースをして喜んでいる…きっと、悠之君のために頑張ったんだね。

 

「で、悠之君にはいつあげるの?もしかして朝あげてきたとか?」

 

「ううん、今日の放課後に渡そうと思うんだ~」

 

「そっか、頑張ってね!」

 

「うん!」

 

「あ、でもその前に……」

 

千歌ちゃんがバックをガサゴソと漁っている

 

「まずは曜ちゃんと友チョコなのだー」

 

「あ、あれ?チョコレートだけのバレンタインはつまらないんじゃ……」

 

「チョコレートの欲望には勝てませんでした♪」

 

「あ、あはは…私もちゃんと作ってきたから別に問題はないけどね…。」

 

私と曜ちゃんでお互いのチョコレートを交換する……曜ちゃんのは綺麗なハート型のチョコレートだぁ…!

 

「わああ…曜ちゃんのチョコレート…可愛い~♡」

 

「えへへっ千歌ちゃんに褒められて感無量であります!」

 

今度は、曜ちゃんが私のチョコレートの袋を開ける……

 

 

「千歌ちゃんのチョコレートもハートの型だ~!」

 

「わあぁ…おそろいだね~!」

 

千歌ちゃんとおそろい…なんだか嬉しいなぁ~

 

「ちょっと食べてみてもいい?」

 

「もちろん!」

 

「はむ…ん~!千歌ちゃんのチョコレートみかんの味がする~!」

 

「どう?イケる?」

 

「うん!」

 

嬉しそうに、顔がちょっとだら~んとしてる曜ちゃんを見るのは久しぶりかも

 

パクッ

 

「曜ちゃんのチョコレートもナッツが入っていておいしい~!」

 

 

 

 

 

~~~~~

 

あ〜あ今日もあまり千歌と話せなかったな~。

……そういや今日はバレンタインだったな…千歌が構ってこない寂しさでそんな事はすっかりと忘れていた……

 

俺はボーッとしながら、いつも通り自分の席につく……あの女がいなくなったから少しはマシになったが……やっぱり千歌とたくさん喋りたかったなぁ……うん?

 

自分の机から妙な違和感を感じた……そう、中から出てきたのは……

 

本命でもない、全く喋ったことのない女共からのチョコレート♪

 

まあ俺は甘いものが大好きで、血糖値高めの高校生だから全然イケるから問題はないか……

 

「お、悠之モテモテじゃーん!」

 

「俺にも少し分けてくれよ!」

 

チョコレートが貰えなかったハイエナ達が俺のところにたかってきた…

 

「だめだ、甘いものは俺にとっての命だ。たとえ義理でも、本命でもチョコレートは絶対に譲らん!」

 

俺は変な屁理屈を言って断った……まあ、千歌とかアイツらとかだったら普通に分けてもいいかな…? 後でみんなに配るか…。

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~

 

~放課後

 

今日も特に変わりのない1日だったが…まあ、後は千歌達のチョコレートを待つとしますか…!

 

 

バス停に向かうと、たくさんの女の子達が集まっている……

 

「あ、悠之君~!」

 

「遅いよ~!」

 

そこには…千歌、果南、曜、ダイヤ、ルビィちゃんがバス停に来ていた。

 

「な、わざわざ迎えにまで来なくてもいいのに~」

 

「あ〜そんなにチョコレートが欲しかったんだ~相変わらず甘とうだね~」

 

「甘いものは正義だっ!」キリッ

 

でも、ここでチョコレートを貰おうとすると色んな人に迷惑だな…

 

「ここじゃ狭いし、学校の広場の方に行こうか。」

 

5人「は~い!」

 

 

 

♢

 

「じゃあ、最初は私からね……はい!」

 

果南は、緑色のラッピングされたチョコレートクッキーを渡す

 

「おお~サンキュー!……流石に刺身とか干物とかは入ってないよな?」

 

「し、失礼な~そんなの入れてくるわけないでしょ~!」

 

「あはは、冗談だよ。」

 

次にダイヤとルビィちゃんがトリュフチョコレートと、抹茶チョコレートをくれた。

 

「この前は、本当にありがとうございました…感謝の印として、このチョコレートを受け取ってください…!」

 

「抹茶チョコレートはお姉ちゃん、トリュフチョコレートはルビィが作りました!お家でゆっくり食べてください~!」

 

「うん!2人ともありがとな。」

 

 

次に千歌と曜がチョコレートを持ってきた。

 

「私達は偶然チョコレートの形が一緒だったから、一緒の袋に入れました~!」

 

「ナッツが曜ちゃんで、みかん味が千歌ちゃんね?」

 

「悠之君、いつもありがと!」

 

「ああ!2人ともサンキューな。」

 

 

 

「あのう…ちょっと気になっていたんですけど…そのおっきな袋…全部チョコレートですか?」

 

ルビィちゃんが俺の袋に指をさしている…まあ、これは隠しようがないからな。

 

「これは、義理チョコだよ。たくさんあるからみんなも持っていっていいよ~」

 

「こ、これ…いったいいくつあるんですの…?」

 

「ま、間違いなく80個くらいはあるよね……」

 

5人「(恐るべし……悠之君……。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~

チョコレートを分け合った後、俺達はすぐにバスに乗りそれぞれの帰り道で別れた。

 

そして、やっと千歌とふたりきりになる事ができた…

 

「あの、悠之君!」

 

「うん?どうした?」

 

千歌と久しぶりに会話をする……なんだか気分が一気に晴れていく。

 

 

「ちょっと寄り道していってもいい?」

 

「あ、ああ…」

 

俺達はひとつ手前の駅に降りた……

 

「悠之君…この場所覚えてる?」

 

「うん、正月の時に一緒に見にいった…海だ」

 

俺と千歌は正月の時と同じようにベンチに腰をかける。

 

「悠之君はここで髪飾りをくれたから、私もブレゼントをする時はここがいいかなーって」

 

プレゼント?でも、さっき曜と一緒に……

 

 

千歌は両手を後ろに組んで、何かを隠している……

 

「じゃーん!千歌の…愛の手編みマフラーでーす!」

 

千歌がラッピングされたマフラーを手渡す。

 

 

「嬉しい…ありがとう!千歌!」

 

「えへへ……実はね、このマフラーは2つ作ってあるんだ。千歌とおそろいとして!」

 

「ほんと!?今開けてみてもいい?」

「もちろん!」

 

ラッピングを剥がすと綺麗な赤いマフラーが出てきた。

 

「おお~!ほんとにおそろいだ~!」

 

「これから、学校に行く時とかにつけてくれたら嬉しいな~って」

 

「ああ!もちろんだよ!」

 

当たり前だ、つけていくに決まっている…だって…こんなに心がこもったプレゼントをもらうのは初めてだからだ……

 

「その、悠之君……」

 

「ん?なに?」

 

千歌が少し恥ずかしそうにしている……何かを意識しているのだろうか?

 

 

「このマフラーはね…悠之君のだけ少し長めに作ってあるんだ……」

 

「……?」

 

「それでね、私がもしマフラーを忘れたり…寒がっていたりしたら…」

 

すると千歌が俺のマフラーで、俺と千歌を優しく包み込むようにお互いの首に巻き付ける……

 

「えへへ…こういうのって…恋人巻って言うんだって…///」

 

「こ、恋人巻……か///」

 

いい言葉だ……2人とも同じ目線で、一緒に温まることが出来る……そして、何よりも千歌の体がいつもよりも密着するので、千歌の吐息が当たって…とても興奮する……

 

「……私が寒がっている時とか…寂しい時とか……あるいは、悠之君が寂しい時とかでも…こうやって2人であったまりたいんだ…♡」

 

 

「だから……これからも私にとって、大切な人でいてくれますか?」

 

「ああ…!もちろんだ、このマフラー大切にするよ…!」

「じゃあ……この状態でキスして?」

 

「ああ…///」

 

チュッ…

 

 

「今年は、最高のバレンタインだね…」

 

「うん♡」

 

俺と千歌を巻きついたマフラーが互いの吐息を逃がさないように閉じ込める……そして、このマフラーからほんのりと香るみかんの香りが俺たちを包み込んだ……。

 

 

 

今年はちょっと甘酸っぱいバレンタインだな…。


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