みかん色の風   作:OCEAN☆S

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インフルにかかってしまった…つらいなぁ…


第7話「感謝を伝えたくて」

~悠之の部屋

 

あの時…私は涙が止まらなかった……もし悠之君が私のところに来てくれなかったら…いったいどうなっていたのかな………想像もしたくないけど私の身体はあの人達に汚されていたのかな…?

 

……でも、あの事件があったから私は思い切って悠之君に告白が出来たのかもしれないし……なんだか複雑な気持ちだけど、あの事件に少し感謝………?ううん、ほっぺがまだ痛いからやっぱり感謝できない……かな?

 

 

 

 

「何ボーッとしてるんだ?千歌」

 

「え、いや……今日は色々と疲れちゃったかな…って。」

 

 

現在夜の10時……警察の人に少し事情聴取されていたから帰るのが遅くなっていた……

 

「やっぱり、まだ不安か…?」

 

「ううん………って言ったら嘘になるかな…。」

 

「そうか……」

 

 

 

チュッ……

 

「んっ…」

 

「今日は……一緒に寝るか?」

 

「うん……///」

 

悠之が布団を敷く……

 

 

このお布団……少し悠之君の匂いがする…なんだか凄く安心できる…

 

「ねえ…悠之君…」

 

「何?」

 

千歌の目が少しだけうる目になっている……よっぽど怖い思いをしたんだろうな……

 

「その…明日の朝まで……」

 

 

「私の事を抱きしめてほしいんだ…///」

 

「あぁ、お安い御用だ。」

 

 

悠之が千歌の体を抱きしめる……

 

「ん…やっぱりこの感じ……」

 

「ん?何かだ?」

 

「私ね、悠之君の優しい温もりが大好きなんだぁ…♡」

 

「はは…そうか…」

 

千歌がそう言うと、悠之君が千歌の体をもっと自分の方に引き寄せる。

 

「もう…千歌は…誰にも渡さないよ……」

 

「うん……悠之君……」

 

『大好き…♡』

 

 

 

 

 

 

~~~~~

翌朝

 

「千歌ぁ~早く起きないと遅刻するよー?…ってあれ?」

 

みと姉が千歌の部屋に入ったが、そこには誰もいなかった……

 

 

「あれぇ?千歌はどこに行っちゃったんだろう…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~悠之の部屋

 

「う……ん…?」

 

俺が起き上がろうとすると、俺の布団にのしかかっている千歌の姿が目に入った…

 

「ゆ~じくん!起きた?」

 

「あぁ…千歌は昨日はよく眠れたか?」

 

「うん!悠之君のおかげだよ!」

 

千歌はいつもの元気を取り戻していた……が、俺達のこの状況…千歌が俺の体を押し倒しているように見えて…なんだか…やらしい。

 

「ち、千歌…その…起きれないから…どいてくれないかな?」

 

「えへへ…またチュ~してくれるなら、どいてもいいかなぁ~」

 

「ま、またか!?」

 

そう言いつつも、俺は千歌の唇と自分の唇を合わせようとする……

 

 

 

「ねぇ~悠之君!千歌の事をみな……か…っ…た…!?」

 

「「!?」」

 

もう…遅かった…俺と千歌は……既に……

 

「あ…えと……し、失礼しましたぁ~」

 

みと姉が部屋から去る……

 

 

「ど、どどっどうしよ!みと姉に見られちゃった…///」

 

「あぁ……間違いなく千歌が俺の事を襲っている……と認識しただろうな……。」

 

「うわあああ!やめてぇ!!///」

 

千歌が雄叫びをあげる……

 

「ちょっ…ここ旅館だぞ?」

 

「あ……」

 

「あはは……騒がしい朝になっちゃったな……。」

 

 

 

 

 

~~~~~

 

「よし、気を取り直して行きますか。」

 

「うん!」

 

俺達は玄関を開けて、またいつも通りの生活を送る……特に変わりようもない朝だけど……日差しが眩しく…そして、とても暖かった…。

 

 

「なんか、今日はとても落ち着ける日だな~」

 

「そうだね~ポカポカしてて…なんか…このまま寝ちゃいそう……」

 

「おいおい…これから学校に行くんだぞ。」

 

「えへへ……♡」

 

そのまま千歌が俺の方に体を寄せる……

 

「あ、あのさ…悠之君…///」

「うん?どうした?」

 

「その……もう恋人同士なんだし…朝の登校の日も…手を繋いでもいいかな?」

 

千歌の顔は恥ずかしそうに赤くなっているが、少し嬉しそうだった

 

「分かった、じゃあ……」

 

「うん……♪」

 

ギュッ♡

 

 

「あ、でも…これから曜ちゃん達も合流するんじゃ……」

 

「そんな事を気にしてたらこれから大変だぞ~」

 

「う、うん……///」

 

 

バス停で待っていると、曜と果南の姿が見えた

 

「お~い、千歌ちゃん~!悠之君~!」

 

「今日はいい……てん……き…だ……ね?」

 

2人は俺たちの姿を見て、固まっている……

 

「あれぇ?今日は手を繋いでるんだ」

 

「珍しい事もあるんだね~何かあったの~?」

 

「えと…その…バ、バスに乗ったら話すよ///」

 

千歌は急いでバスに乗ろうと急ぐが、悠之の手は離さないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢

~バス内

 

 

「で、さっきはなんで手を繋いでたの?」

 

曜ちゃんが私に問い詰める。な、なんて言えばいいのかなぁ……

 

「えっと……そのぉ…///」

 

「付き合ってるんだよね?千歌と悠之君。」

 

「え!なんでその事を!?」

 

俺はバスの中で大きな声を上げてしまった……

 

「あ、やっぱりね。」

 

あ、果南のやつ…ハメたな…!?

 

「え……付き合ってたんじゃないの?」

 

「「え!?」」

 

「うん、私もずっとそう思ってた。」

 

「「えぇー!?」」

 

ぎゃ…逆にこっちが驚いた……想定外な答えだ……。

 

「まあ、よかったね。知ってたけど。」

 

「いつかこうなると思ってたよ。知ってたけど。」

 

曜と果南が呆れた顔をする

 

「お、おう……」

 

そんな会話をしていると、千歌達の中学校が見えてきた。

「じゃ、じゃあ……行くね…悠之君!」

 

「き、気を付けてな~」

 

千歌が手を離して、バスから降りる……なんだ…別に変な意識なんてする必要なかったじゃないか…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~

~千歌達の中学校

 

「それよりも、昨日大丈夫だった?」

 

「うん!悠之君がバイクに乗って駆けつけてくれたんだぁ~!」

 

バ、バイク!?悠之君はいつ免許を取ったんだろう……てゆうか、高校生がバイクなんか乗ってもいいのかなぁ?

 

「そうそう、悠之君ね喧嘩もめちゃくちゃ強かったんだよ!」

 

「そうなの!?悠之君って喧嘩するイメージが全くないから…」

 

「悪い男の人を思い切りぶっ飛ばしてたよ。」

 

ぶっ飛ばす!?あんなにガタイのいい男の人をぶっ飛ばすなんて……

それに、悠之君の二の腕って結構細いし……すごいなぁ……千歌ちゃんの事を守れなかった自分が悔しいな……

 

「ごめんね、悠之君みたいに強くなくて……千歌ちゃんの事を守れなかった……」

 

「気にしないで曜ちゃん。だって曜ちゃんがすぐに悠之君に連絡してくれたんでしょ?」

 

「曜ちゃんがいなかったら…この事件をすぐに解決できなかったと思うんだ。」

 

「でも……」

 

すると千歌ちゃんが私の頭をよしよしと撫でてくれた……千歌ちゃんの優しい香りがする……

 

「そんなに自分の事を責めないで…曜ちゃん……」

 

「うん…ありがとう…。」

 

千歌ちゃんはいいなぁ…大切にされてる相手がいて…私は悠之君は別にタイプじゃないけど……私にもそんな大切な人が欲しいなぁ…

 

「曜ちゃん…どうしたの?」

 

「あ、うん……何でもない!」

 

「……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私達は教室に入ったけど、特に変わりようはなかった…今回の事件も噂にはなっていないみたい……。

 

「ねえ、千歌ちゃんは、バレンタイン…やっぱり悠之君にあげるの?」

 

「へ……?」

 

「いや…『へ……?』じゃなくて…」

 

「忘れてた……」

 

「え…!?」

 

「うわあああ!かんっぜんに忘れてたぁー!!」

 

千歌ちゃんが超音波みたいな叫び声をあげてる…窓がぶるぶる震えております…!

 

「ちょ、ちょっと千歌ちゃん落ち着いて!」

 

「よーちゃん!今日何日!?」

 

「え!?え~と……」

 

私はケータイを取り出して、日にちを確認する……

 

「えっと……2月10日だけど…」

 

「まずい!後4日しかない!」

 

「う、うん……一旦落ち着こ?千歌ちゃん?」

 

「うぅ……」

 

千歌ちゃんが深く深呼吸をする……そうか、今年は悠之君がいるから失敗はできないのかぁ…。

 

「と、とりあえず4日もあればチョコレートくらい……」

 

「今年は、チョコレートじゃないの!」

「へ……?」

 

い、いやいや…千歌ちゃんは何を言ってるんだ!?バレンタインって言ったら普通チョコレートでしょ……

 

「でも、バレンタインは基本チョコレートなんじゃ…」

 

「あまーい!」

 

バシッ!

 

「うわぁ!」

 

千歌ちゃんが机を思い切り叩く……結構すごい音がしたけど大丈夫かなぁ?

 

「毎年毎年チョコレートじゃつまらないでしょ?それに今回の相手は悠之君だから…」

 

「チョコレート以外で、感謝の気持ちを伝えたい……ってこと?」

 

「そう!流石よーちゃん!」

 

千歌ちゃんがグッと親指を立てる

 

「悠之君にチョコレート以外で攻めるなら……例えば何?」

 

「そう…それなんだよ…悠之君が今欲しいものってなんなんだろうって…今考えてるんだけど。」

 

今考えてるの!?それじゃあバレンタインに間に合わないよ…千歌ちゃん……

 

「じゃあ、悠之君に聞いたら……」

 

「ダメ!それじゃあバレンタインが盛り上がらないよ?」

 

「う…確かに…。」

 

「じゃあ…最近の悠之君との会話とかを思い出してみれば?」

 

最近の会話…?なんか悠之君言ってたっけ…?

 

「う~ん…?あっ!」

 

「何か思い出した!?」

 

「うん!これなら絶対悠之君も喜ぶよ!」

 

「なになに~?」

 

私は曜ちゃんの耳にあててゴニョゴニョと教える……

 

 

「あ〜!なるほどね!確かにそれなら悠之君も喜ぶはず!」

 

「でしょでしょ!?」

 

千歌ちゃんが嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている…確かに恋人なら受け取ったら凄く嬉しいと思う…!

 

「よし!じゃあ今日は帰りに沼津駅に材料の買い出しに行こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へっくし!」

 

「あれ?悠之風邪か?」

 

「さ、さぁな…誰かが噂でもしてるんじゃあねえか?」

 

 

~~~~~

 

~放課後…(沼津駅)

 

「さ~てまずは雑貨屋を探しに行こう!」

 

「うん!…って私もついて行っていいの?」

 

「こういうのは曜ちゃん得意でしょ?だから、一緒に来てもらえると嬉しい!」

 

「そ、そう…?///ありがと…!」

 

 

 

~雑貨屋

 

色は何色がいいかな?でも…悠之君の好きな色ってなんだっけ…?確か……

 

「千歌ちゃん!こんな色とかどうかな?」

 

曜ちゃんが淡くて綺麗な赤い毛糸を持ってきてくれた

 

「いい…凄くいいよ…!これにしよう!」

 

「じゃあ、お会計に行こっか!」

 

「うん!」

 

よ~し!今年のバレンタインは気合いを入れて頑張るぞぉ~!

 

 


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