リスアニLIVEに行ってました!(笑)
……すみませんでしたああああ!!!
新学期が始まってから一回目の休日、俺達4人はおちゃめなダイヤ様の家に招待されたので一旦、十千万に集まることにした。
「で、これからダイヤの家に行くわけだが…果南はダイヤの家には行ったことあるの?」
「まあ、中学の頃に何度か行ったかな?最近はあまり行ってないけど…。」
果南が少しだけ俯いて、暗い表情をしている……ダイヤと過去に何かあったのだろうか……
「で、ダイヤさんのお家ってどんな感じなのー?」
「そうだね…大きくて古風な雰囲気がある家だよ。」
「へ~早く行ってみたいねー!」
千歌と曜がニコニコしながら歩いている…そういえば正月以来みんなで集まったりすることがなかったから、この日が楽しみだったんだろうな。
10分程歩いていると、大きなお屋敷が見えてきた…果南が古風な雰囲気があるというのも、頷ける……
「あれがダイヤさんのお家なんだね~!」
「果南ちゃんが言った通り、和が出ていていいね~」
確かに2人が言うのもわかる、こんなに落ち着いた雰囲気の家に住めたら幸せだろうな……もちろん今の暮らしに不満がある訳では無い、俺は千歌がそばにいるだけで幸せなのだから。
「ダイヤがさっきメールで、ルビィちゃんが迎えに行くって言ってたから…ここで待てばいいのかな?」
「それでいいんじゃないかな?……それにしても、庭もでかいな…ここまで豪華なお屋敷を見るのは初めてだ…。」
俺達が話していると、見覚えのある赤い髪の女の子がこっちに向かってくるのが見えた……間違いない、ルビィちゃんだ。
「皆さんこんにちわ~」
「あ、ルビィちゃ~ん…相変わらず可愛いね~!」
千歌がルビィの頭をよしよしと撫でる…
「えへへ……」
「千歌ちゃん、いきなり頭を撫でちゃって…怪しいナンパみたいだよ?」
「いやぁ~可愛いからつい……だって、こんなに愛しい瞳をしてるんだもん!」
千歌がまたルビィの頭をまた撫でる……
「そういえば、ダイヤは?あれから連絡がないんだけど…」
「あ、今は朝のお稽古をしていて……でも、あと少しで終わると思いますので…。」
ルビィがそう言うと、お屋敷の中から綺麗なお琴の音が聞こえてきた…
「綺麗……これをダイヤさんが弾いてるの?」
「はい、これがお姉ちゃんの毎朝の日課なんです。」
すごいな……こんなに美しい音を奏でることが出来るなんて、小さい頃から努力している証拠だ……。
「とりあえず、皆さんを居間に案内しますね。」
俺達はルビィちゃんに案内され、居間でダイヤの稽古を終わるのを待った……が。
「それにしても…ダイヤは遅いね、何をしてるのかな?」
「お琴の音は聞こえないし…ルビィちゃんもいないからもう来てもいいと思うんだけどな。」
するとちょうど良くルビィちゃんが俺達のところに来てくれた。
「すみません!今お姉ちゃんが他の人と急にお話が入って……」
「お話?」
みんなが集まることを知っていて急にお話をしに行くってことは……よっぽど外せない話でもあるのか?
「え~どんなお話?」
「えっと…それは…」
「ねえ、ルビィちゃん。……トイレってどこかな?」
「あ、トイレはここを出て右側にあります!」
「分かった、ありがとうね。」
「もぅ~悠之君はお家に上がっていきなりトイレ?」
「う、うるさいな…」
俺はルビィちゃんの言う通りに、トイレに向かう……。広い屋敷だから探すのにも苦労しそうだぜ……
~~~~~
ひとまずトイレを済ませたので部屋に戻ろうとすると、正面の扉の向こうから何やら揉め事が聞こえてくる……
「私は…絶対に貴方のようなお方のお嫁に行く気は……全くございません!」
「ダイヤさん、落ち着いてください…」
「お母様は黙ってください!」
今のは幻聴か?……お嫁だと!?まだ高校一年生なのにそんな話をしているのか!?
「確かに…私は歴史ある黒澤家の長女。しかし私はまだ高校生……そんな自由な時間を貴方にはけっして奪われたくはありません!!」
「でもね、ダイヤちゃん?僕のところに来れば将来は安心した生活が送れるんだよ?」
扉の向こうから、いやらしい喋り方をする男の声が聞こえる……
「申し訳ありませんが、貴方のお話を聞く気にはなりません……それに今は友人も待たせております……だから……」
「今日はここでお引取りを願います…!」
俺は話を聞くのに夢中になっていると……
「悠之さん…?そんなところで何をしてるんですか?」
「ル、ルビィちゃん!?」
「…もしかして聞いちゃいましたか?」
俺は何も言葉を発すること無く、ただ静かに頷く。
「……分かりました、じゃあここではなく私のお部屋に来てくれますか?」
「あ、ああ……」
俺はルビィちゃんの部屋に連れていかれる……
~~~~~
(ルビィの部屋)
「ここでだったら、何も気にせずにお話ができます。」
ルビィちゃんの部屋を見回すと、アイドルの雑誌やグッズなどが沢山置いてあった……
「一年前……あの男の人が私達の家に訪れました…。お姉ちゃんをお嫁にいただきたい……と。」
あの男……さっき聞こえてきた声の人なのだろう…。
「話を聞くと、その人はいとこの友人だという事が分かりました……そして、前にそのいとこがお姉ちゃんの写真を見せたら……」
そこまで話すとルビィちゃんの声がだんだん震えているのがわかる…
「グスッ…お姉ちゃんの事を気に入ったらしくて……そして…何度も何度も…私たちの家にやってくるようになりました…。」
「そうなんだ……つまり、ダイヤは何度も断ってるのにその男はしつこく家に訪問してくる…ってことなんだね?」
「は、はい……」
…しつこくやってくるその男もだが…その写真を見せた、いとこは、なぜ止めに入らないのだろうか……
俺は深い疑問が胸に残った…
「お母さんは何て?」
「お姉ちゃんの意思に従うって言っていました…でもあの男は……!」
普段大人しそうなルビィちゃんがあんなに怒りをこみ上げているなんて……自分のたったひとりの姉だからな…きっとで嫁がれるのは嫌なのだろう……
「う、うぅ……お姉ちゃん…」
嫌がっているのに、無理やり押しかけるとはな……男として最低な奴だ……
「……ルビィちゃん」
「は、はい……」
「俺も…説得に協力するよ。」
「え…!?」
ルビィが驚いた顔をする。
「もう俺達は赤の他人ではない…俺も2人のために協力するよ。」
「でも……」
「事が大きくなる前に決着をつけた方がいい……だから俺も手伝うよ。」
「………分かりました、ありがとうございます!」
~~~~
俺とルビィちゃんは、再びさっきの部屋の前に立つ……まだ揉め事が聞こえるってことはまだ、話はついていないってことだ…。
「…では…あけます…!」
「うん…!」
ルビィちゃんが扉を開ける。
「「失礼します」」
「ル、ルビィ!?それに悠之さんも!?」
「なんです?ルビィ…そのお方は?私達とは関係の無いものを連れきては……」
俺はダイヤのお母さんに挨拶をするために顔を近づける。
「勝手にお部屋に上がってしまい、申し訳ありませんが俺はその男に話があります……事情はルビィちゃんにすべて聞きました、俺にあの男と話をさせてください。」
「(まあ…なんて素敵なお方……)」
「分かりました、では貴方にお任せ致します…。」
男が不満そうな表情をする……
「なんですか?その男は?私達の話とは全く関係ない人物じゃないですか!」
「確かに俺はこの家の血筋を引いている訳では無い、だけど貴方の話を聞き、人として最低な行為だという事を証明させる為にここに来ました。」
男は少しイラつかせた顔をするが……
「いいでしょう、でしたら全く関係のない貴方の意見を聞かせて頂けますか?」
男の目つきが鋭くなる……
「あなたは…まだ高校生活を満喫している、女子高生を自分の嫁として迎え入れるのですか?」
「なにぃ?」
「…はっきり言います、あなたは一般常識がなさすぎます……それに、ダイヤはあなたのお誘いを何度も断っています、これ以上この家に訪問することがあれば、警察に対応させることも可能です。」
「…!?」
男の顔色が変わる……
俺は自分のスマホに電話番号を打ち込む…もちろんその番号は……
「110」
「どうしますか?このまま電話にかけて、悪質な訪問者として貴方を警察に送り込んでもいいんですよ?」
「やめろ……」
俺が通話のボタンに手をかける…
「いい加減にしやがれ!この糞ガキぃ!!!」
男がナイフを取り出す……
「うおおおおりゃぁ!!!」
男が何も考えずにめちゃくちゃにナイフをぶん回す……
「ダイヤ!今すぐ警察に連絡しろ!」
「あ、はい!」
~~~~~
「ねえ、今すごい声が聞こえなかった?」
「確かに聞こえた…悠之君はどっかに行っちゃうし……みんなで探してみない?」
「そうだね、それに面白そう!」
今……本当にすごい声が聞こえたけど…悠之君は大丈夫かな?
「千歌ちゃん?」
「あ、ごめん…みんなでじゃあ探そっか!」
私達が廊下を歩いていると使用人がすごく焦った表情をしながら、話しかけてきた…
「これより先は危険です!早く屋敷から出てください!」
「何かあったんですか?」
「ナイフを持った男が、大暴れしていて……」
使用人の指の指す方向は……
「さっき悠之君が向かったところだ!」
「ちょっと千歌ちゃん!そっちに行っちゃダメだよ!!」
~~~~~
「てめえ……なんでこのナイフを見ても何も表情を変えないんだ…?」
「そんなもので脅したところで俺には何も通じないからだ。」
「やめて、悠之さん!!それ以上その男を刺激しないで!!!」
男がナイフを握りしめ悠之に襲いかかる……
「ぶっ殺す…!!」
「(くるか…だが、ここは落ち着いた奴が勝利するんだぜ…!)」
「死ね!小僧ぉ!!!」
男がナイフを悠之に突こうとするが……
(シュッ!)
「な、何ぃ!?ナイフの持ち手の部分を正確に蹴りあげやがった!?」
そのままナイフは上空へ飛んでいった…そして…悠之はこの一瞬の隙を見逃さなかった…!
(ドゴッ!)
激しい音を立てて、男を地面に叩きつける。そして、拳を男の寸前で止める…。
「……降参するか?」
「(コクっ)」
男は素直に頷き、抵抗する意思を見せなかった……そして、すぐに警察が突入し、男は連行された…。
「悠之さんっ!」
「ダイヤ…驚かせて…すまなかったな。」
ダイヤが悠之の身体を強く抱きしめる……
「なんで、こんな無茶をするんですか!?」
「……人が困っていたら助け合うのが人間だろ。」
「悠之さんが……殺されてしまうのかと思いました…。」
ダイヤの涙が俺の服に滲む……。
「悠之君っ!」
千歌の声が聞こえたので、慌ててダイヤから離れる……
「よかった……生きてた…。」
千歌の後ろに曜と果南もそして、部屋をすぐに脱出したルビィも来ていた…。4人とも涙がこぼれていた……。
「ごめんな……みんな…心配をかけて…」
事件は解決したが……深い罪悪感だけが俺の心に残った…。
初めて暗い話を書きましたが、何か違和感があれば感想をお願いします…!