あの夏祭りの日から5年が経った。
そして、あの時…千歌とひとつの約束をした。これからもずっと好きでいてくれるのか…。
答えは簡単だった…なぜなら…。
「ゆ~じくん早く起きて~!」
バタンっ!と、大きな音を立てて千歌が部屋に入る…。
「もう起きてるよ~?」
「おおっ!珍しい…いつものねぼすけ悠之くんじゃない…」
「それ、高校生の頃の千歌に聞かせてあげようか?」
「あ……ははは…細かいことはいいの!今日は一緒に内浦に帰るんでしょ?さ、朝ごはん作るから準備手伝って!」
「へーい。」
一緒に朝食の準備を始める…。
「ねぇ、千歌…」
「ん~?どうしたの?」
「『アナタ』って言って?」
「…い、嫌だよ…恥ずかしい…///」
「…なんかさ。千歌のエプロンしてるところを見ると…言ってもらいたくなるんだよね。」
そう言うと千歌が顔を真っ赤にする…。何年経っても恥ずかしがる素振りは変わらない…。
「…あなた♡」
「……可愛い。」
「もぅ…結婚したからって調子乗りすぎ…///」
そう、去年の8月1日…俺と千歌は結婚をした。
告白したあの日、思い出すのも恥ずかしいくらいだけど、きちんと想いを伝えることが出来た。
「いいじゃん…減るもんじゃないんだし。」
「それでも私は恥ずかしいの…今まで通り悠之くんじゃダメ?」
上目遣いをして俺のことを見つめる…
「たまに呼んでくれたら…嬉しいかな。」
「しょうがないなぁ…///」
何年経っても千歌の上目遣いには敵わない…。
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一緒に自動車に乗り込む…大学を卒業して、ようやく購入した自分の車…とても新鮮な気分だったが、さすがに半年以上使っているので今はそこまで感じないが…。
車に乗る度に千歌はウキウキしながら隣に座ってくれるので、全く苦にならない。むしろ、毎日こうやってドライブしたいくらいだ…。
「久しぶりだね、こうやって2人で出かけるのも…。」
「そうだな…普段休みは平日だから。千歌とあまり会えない日とかあるしな…。」
「だから、こういう夏休みは仕事を忘れて、2人の時間をいっぱい作ろうね♡」
「あぁ、そうだな。」
と、話したばかりなのに…20分後…。
「…くぅ…くぅ…。」
いやいや…いきなり寝るんかい!さっきまでたくさん時間を作ろうって話したばかりなのに…!
「…すぅ…すぅ…」
いつも…寝顔は見ているのに…こういうところで寝ているのを見るとなんだか特別な気分になる…。
「…なんか懐かしい気持ち。」
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「久しぶり、元気だったか?」
「ほぇ…?」
「俺だよ、覚えてない?」
「…だぁれ?」
「え…」
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あの時の千歌の顔…今思い返せばキョトンとしてて面白かったな…全く知らなそうな雰囲気を出された時はちょっとショックだったけど…。
「う…ん…?」
「起きた?もう少しでサービスエリアに着くけど、寄ってく?」
「うん…行く…♪」
~♪♪♪~
「あ、これこれ!この前ニュースに出ていたお店!」
「お~このクレープ屋か…そういや、行きたいって言ってたもんな。」
「うん!悠之くんも一緒に食べよ?」
「あぁ。」
…楽しそうだな。ずっと仕事ばっかりで中々羽を伸ばせなくて大変だったんだろうな。
「悠之くん、一緒に写真撮るよー!」
「あぁ!」
~♪♪♪~
~内浦~
(高海家)
「おかえりなさ~い♪」
さっそく千歌の母親と、しまさん、みとさんがお出迎えしてくれた。
「おかえり!新婚さん!」
「おかえり~千歌ちゃん、悠之くん。」
相変わらずここの家の家族はみんな美人だ。俺が高校生の頃から何も変わっていない…。
「おかえり!悠之くん、千歌!」
「久しぶりだね!」
「曜!?果南!?」
「よかった~!二人とも来てくれたんだ~!」
「え?千歌が呼んだのか?」
「うん!昔一緒だったこの4人でちょっと行きたいところがあってさ。」
千歌にどこか連れていかれる…。
~~~♪♪♪~~~
「ここは…?」
「私達の学校…浦の星女学院の跡地だよ。」
「跡地…って」
「そう、浦の星女学院は善子達が卒業した後、廃校になって、取り壊しになった…。」
「…もう形も何も残っていないのか。」
「うん、だから…この場所にありがとうって伝えたくて。」
千歌が声を震わせる…。
「千歌ちゃん…私も同じ気持ち。ちゃんとした大人になれて、自立ができるようになって…この学校にもありがとうって伝えたい…。」
「私も…この学校があったから、たくさんの経験ができた…。」
果南と曜が必死に涙をこらえようと唇を噛んでいる…それはそうだろう…自分たちの思い出の場所が無くなってしまったのだから…。
「曜ちゃん、果南ちゃん…私達で何ができたのかな?この学校の未来…変えられたのかな?」
「千歌…」
「千歌ちゃん…」
「…過去のことを気にしたってどうにもならないさ。」
「悠之くん…?」
「俺はみんなと一緒に過ごせた高校生活は何も後悔していない…学校は違ったけど…俺はこの高校生活が無駄だったとは思っていない。むしろ…中学生から高校2年生になるまでみんなと会えなくてすごく寂しかった…。」
「思い出の場所が無くなってしまったのはとても残念だ…。だけど、俺はこの高校生活は楽しかった。ありがとな…みんなのおかげだ。」
3人が顔を真っ赤にする…
「もぅ…泣くの我慢してたのに…そんなこと言っちゃうのやっぱりずるいよ悠之くん…」
「悠之くん…優しいね相変わらず…おいで?ハグしてあげる♪」
「あー!果南ちゃんずるいー!!私もー!!」
ぎゅぅ~………
「お、おい…曜、果南…暑いって。」
「ちょ、ちょっと!果南ちゃん曜ちゃん!!」プクッ
「あ~!奥さんが怒ってるぞ~今夜は修羅場かな~?」ニヤニヤ
「もうっ!曜ちゃん!!」
ついでに俺の学校もどうなっているのか見に行くことにした。
やっぱり、俺の学校も…取り壊しにはなっていないけど、これから工事する予定の張り紙が貼ってある…これから解体されるのだろう…。
懐かしい…でもこれから解体するとなると少し心が苦しくなるな…。
~~~
「悠之~!私の分のコンポタージュ買ってきてほしいデース!」
「私の分も欲しいなぁ~」
「梨子!鞠莉!俺はパシリじゃないってんだろ!」
「え~でも、ちょうど飲み物買いに行きそうだったし…まぁ、みんなで一緒に買いに行きましょ♡」
「えぇ♪」
「最初からそうしてくれよ…」
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もう…あの時のような生活はもう出来ないのか…今振り返れば楽しい思い出ばかりだ…やっぱり俺にとって一番充実していた日々はこの学校の生活だったんだ…。
『なに泣きそうな顔してるのよ悠之?』
『もしかして…私達が恋しくなっちゃったの?』
後ろから声が聞こえる…振り返るとそこには、梨子と鞠莉が立っていた…
「私が呼んだんだ♪きっと悠之くんも会いたくなるだろうなって思ってね♪」
「梨子…鞠莉…!」
「ふふっ久しぶりだね♪」
「ずっと…会いたかったデース♡」
「お前ら…」
梨子と鞠莉が同時にハグをする…。
「鞠莉ちゃんと梨子ちゃんだけじゃないずらよ?」
ダイヤ、ルビィ、善子、花丸の4人も来ていてくれていた…。
「ほら、悠之さんと千歌の結婚祝いがまだでしょ?」
「うん♪この計画を最初にやろうって言ってくれたのは善子ちゃんだもんね」
「流石…善子さんですわ。」
「う、うっさいわね!私はただ…直接お祝いできなかったから…」
「善子ちゃん♪」
「な、何よ…千歌…?」
「ありがとう♪」
「…どういたしまして♪」
久しぶりにこうしてみんな集まることになった…数年ぶりの再開になるが、特に変わった所は見当たらない…唯一変わったと言えば…。
みんな大人になったってこと…。
それぞれの夢を見つけて、それに走り続けてみんなやっと大人になることが出来た…。
なんだか寂しい気持ちもする…
「悠之くん~早く~!」
「あぁ!今行くよ!」
俺もあとに続く…どうやら鞠莉のホテルでパーティをするみたいだ…。
ありがとう…みんな…会えてよかったよ。
みんな…最高の友達だよ。
ここまで…この作品を読んでいただきありがとうございます。
この作品書いたのが約…1年半前ぐらいですね。
元々ネットでSS小説とか読むのが好きで、自分でも投稿してみたいなって思い、1年半前初めて投稿を始めました。
正直自分に期待はしていませんでした。人気は出なくていいから少しでも読んでくれる人がいたらいいなってこの小説を書きました。
でも、今になってとてもびっくりです。初めて書いた小説の登録者が200人を越えて、何人もの方から感想が来てくれて。とても嬉しい限りです。
この作品を書き始めて、最終回はこんな感じに終わらせたいなって思い。目標通り、自分の理想の形で終わらせられました。
もうこの作品に次の更新はありませんが、また別の作品を投稿することがあったら…また、見ていただければ幸いです。
(既にほかの作品を投稿中ですが…)
最後に…一年半、この作品を読んでいただき…本当に、本当に、ありがとうございました!