テストも終わり、ようやく時間が取れるようになったので、この作品も再スタートです!
第27話「堕天使は恋をする(前編)」
12月中旬…俺が内浦から離れてもうすぐ2年という月日が流れようとしていた…
「ありがとうございました~」
カランカラン…
ここの喫茶店でのバイトも約1年、人はあまり来ないけど、仕事はかなり慣れている…苦手だったはずの接客もかなり落ち着いてできるようになった…
ある人を除いては……
カランカラン
「こんにちは~」
「いらっしゃい……って今日も来たのか…」
「お客さんに対してその態度は無いんじゃない?悠之君。」
「梨子……ここ最近この店に来る人の8割は君だよ。」
そう、東京の音楽大学に通う梨子…
もうしばらく会えないと思っていたら、そういえば梨子が東京の音大を目指していたことをすっかり忘れていた…。
それと、さっきから梨子の後ろに隠れている子は……だれだ?
「悠之さん久しぶり!元気にしてたかしら?」
そう思っていた時に、後ろからその子は現れる…ちょっと意外な人物だった。
「え…善子ちゃん?」
「ピンポンピンポーン~!正解よ♡」
まさか、今日は善子ちゃんも来ているなんて、驚いたな…。
スタイルも何だか、中学生時代の時よりもスラっとしてて、素敵だ…もし、浦の星女学院が共学だったら絶対モテモテだっただろう…。
「久しぶりに会ったけど、素敵になったな。」
「ふふっそうかしら…?このヨハネも、どんどん美しく……」
「うんうん可愛いよ、よっちゃん。」
「まだセリフの途中!!あとよっちゃん言うな!」
あ、そういえば…善子ちゃんは厨二病だったけ…やっぱりさっき思ったことは訂正するべきか…?いや、案外そんな感じな女の子を好む人もいるかも…。
「まあまあ、ごめんね、よっちゃん♪」
「むぅ…リリー嫌い…」プクッ
「あはは……って言うか二人はいつからそんなに仲良くなったんだ?」
もはや、二人のやりとりが仲の良い姉妹のように見えるんだが…
「あ~、それは前の夏コミの時に……ふがっ!?」
「そ、それは言っちゃダメよ?」クチフサギ
梨子が無理やり口元を抑える。
「夏コミ?梨子ってもしかしてオタ……」
「悠之君?」ジッ
「あ、いや…何でもない。」
あ、危ねぇ…もう少しで殺されるところだった…たとえ殺されなくても何かしらのやばい予感がした…。
「ま、まぁ…とにかく二人は今、すごく仲良しなんだな。」
「そうよ、これからカラオケに行くんだけど、悠之さんも来ない?」
「悪い、俺は夜までシフトが入ってるからちょっと無理かな…」
「そう…ちょっと残念ね…。」
善子ちゃんが少し残念そうな顔をする…せっかく会えたのに少し勿体無いな…。
「んー、まあいいわ、私は明日もいるから…明日は一緒に買い物に付き合ってよね!」
「あぁ、分かったよ。」
「良かったね~よっちゃんったら、ここに来るまでずーっと、悠之さんに会いたい~って言ってたのよ?」
「リ、リリー!余計なことは言わないでっ!」
何だか…知り合い同士が楽しそうに喋っていると、見てて嬉しい気持ちにもなるし、懐かしい気持ちにもなる…。
「そういえば、千歌ちゃんはいつ、そっちに来るの?大学受験は合格したんでしょう?」
「あぁ、大晦日にこっち来るんだって。旅館の手伝いがあるんだとか。」
「へぇ~悠之君も来月にはまた、千歌ちゃんとベッタリなわけね♡」
「ほーんと…これだからリア充は……」
梨子と善子ちゃんがちょっかいを出す…うん、こんな感じにからかわれるのはもうなんか慣れちゃったな…。
「でも、千歌もほんとにやるわよね…いくら悠之さんのアドバイスがあったからって、あんな高成績を残すんだもの…。」
「高成績?」
「悠之さん知らないの?千歌は文系科目では浦女のトップレベルよ。」
「マジか!?最後に見た通知表では、かなり上がってたけど…まさかトップとは…。」
前まで、美渡姉さんに『バカチカ』って言われてたのに……やるなぁ
♢
「せっかく来たんだ、何か飲んでく?」
「悠之君、サービスはもちろん……」
「ありません、売上が悪いからな。」
味は凄くいいのにな…店長は静かで落ち着くから良いって言ってるけど…ほんとにそれでいいのだろうか、店が潰れなきゃいいけど。
「せっかく限定のクリスマスメニューがあるのに勿体ないわね…リリーは何にする?」
「私は、クリスマスパンケーキにしようかな。」
「そうね…じゃあ私もそれにしようかしら。」
「了解、二人ともパンケーキね。」
俺は、厨房の方へ移動する…。
「それにしても、悠之さんもなんか、変わったよね~」
「確かに…少し雰囲気が大人っぽくなったっていうか…お兄さんってイメージが強くなったって感じかな?」
「あ、そうそう、大人っぽくなったって言えばね…」
善子がスマホで1枚の写真をみせる…
「え!?これは悠之君もびっくりしちゃうね!」
「でしょ?私も最初びっくりしたんだから。」
「ん?俺がどうかしたのか?」
二人で盛り上がっている所にさらっと紛れる…。
「え、ううん!何でもないよ!」
「そうそう!それより早くパンケーキ!!」
「はいはい、どうぞ~」
二人分のパンケーキを机の上に置く…
「わぁ~美味しそう~これ悠之君が作ったの?」
「まあな…マニュアル通りに作れば簡単さ。」
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今日もバイト疲れたな…でも、久しぶりに善子ちゃんにも会えたし、結構楽しい1日だったな~
♪♪♪♪~
…あれ?こんな遅くから誰からだろう…
スマホの画面を開く…相手は……あぁ、あの子か。
「もしもs…」
「はぁーい!!悠之~!元気!?」
「うわっ…びっくりした…どうしたんだよ鞠莉」
久しぶりに鞠莉の声を聞いたが、相変わらずでかい…電話越しでもこの声量なんだからな…。
「で、どうしたんだ?電話してくるってことは何かあったのか?」
「んーん、久しぶりに声をが聞きたくかっただけ~♪」
「はは、なんだそれ。まあ、俺も久しぶりに聞けてうれしいよ。」
「そういえば、そろそろ悠之も誕生日ね~」
「ああ、そうだな…アレからもうすぐ2年か…時間とは早いものだ。」
俺も今年で二十歳になるのか…あんまり実感がないな…。
「クリスマスにまた会いに行くから、その日は一緒にお酒でも飲みに行きましょ♪」
「そっか…俺ももう酒が飲める年になるのか…新しい体験ができるな。」
「ふふっじゃあ、またね!わざわざイタリアからそっちに行くんだから感謝してよね~♪」
「あぁ、それはご苦労さまだな、それじゃあな。」
明日は善子ちゃんと買い物…クリスマスには鞠莉と飲み…大晦日は千歌と一緒に過ごす…
…忙しい年末になりそうだな。
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翌日…
ピンポーン!
ん…?こんな朝早くからいったい誰だ…?
ピンポーン!!
「はいはい~今でますよ~」
ガチャ…
「もうっ遅いわよ!今日は一緒に買い物に行く約束でしょ?」
あぁ…そういえば、今日は善子ちゃんと出かける約束があったんだった。
「ごめんごめん、すぐに準備するから上がって待っててね。」
「えぇ…じゃあ、お邪魔するわね…って随分大きな家ね。一人暮らしには広すぎるんじゃない?」
「あぁ…もともと、俺の母親の別荘だからな…一人暮らしだと少しさみしいんだ…。」
「そうよね…こんなに広い場所で一人だと…さみしいわよね…。」
「でも、もう少しで千歌も来るし、なんとかなるさ。」
「ふ~ん…ところで……」
「うん?どうした?」
善子ちゃんが後ろから距離を詰める…
「えいっ!」ムギュ
善子ちゃんが後ろから抱きついてきた…背中から柔らかい感触が伝わる…。
「なっ!?ど、どうしたんだよ!?」
「ふぅん…千歌から聞いた通り、ホントにいい匂いがするわね…悠之さんって。」
「え?あぁ…そりゃどうも。」
もし…悠之さんと千歌が付き合っていなかったら…私はきっと自分からアタックしに行ってたのだと思う…。
もっとはやく…出会っていたら…と思うと少し悔しい。
千歌だけじゃなくて…もっと私の事も見て欲しい…。
「善子ちゃん?」
「ううん!何でもないわ!それより早く準備しなさいよ!じゃないと置いてっちゃうわよ~!!」
「え?あ、あぁ!!」
いつか…私に振り向いてくれないかな?
好きよ…悠之さん。
ここまでの、サンシャイン2期を見て思ったこと
よしりこが尊い…!!