みかん色の風   作:OCEAN☆S

29 / 50
第26話「ごめんね」

もうすぐクリスマス…俺がここにそろそろ帰ってきて約一年になる…辺りの街も商店街もクリスマスの飾り付けがされ、イルミネーションが綺麗に光っている…。

 

 

「ここの商店街もイルミネーションがすごく綺麗…ずっと眺めていたくなるくらいだよ…ね、悠之君?」

 

「そうだな…俺は、イルミネーションよりも隣の方をずっと見ていたくなるよ。」

 

俺は、千歌の顔をじっと見つめる…。

 

 

「もー、それ本気で言ってるの?///」

 

「あぁ、本気だよ。」

 

「もぉ…大胆なんだから…///」

 

 

ぎゅっ…と千歌が俺の腕を組む…。

 

「去年の冬も…こうやって一緒に暖まったよね。」ギュッ

 

「そうだな…もう一年か…そういや、千歌?」

 

「なぁに?一年経って何か変わった?」

 

「うん…前も可愛いかったけど、今はもっと可愛いくなった気がする…」

 

「え、そ、それは…その…悠之君がそばに居るから…頑張ってお洒落しようかなって…///」

 

 

モジモジとしながら千歌が顔を赤くする…。

 

 

「こ、こんなこと言わせないでよ…恥ずかしいよ…。」

 

「ん?別に恥ずかしがることはないよ?」

 

「へ…?」

 

「俺の為に頑張ってお洒落してくれたんだろ?」

 

「う、うん…」

 

「ありがとな、千歌。」

 

 

俺は、そう言いながら千歌の頭をそっと撫でる…

 

 

「う、うん…どういたしまして///」

 

「千歌…」

 

 

俺は千歌の顔との距離を近づける…

 

 

「め!」

 

千歌が俺の唇に指を当てる…

 

「今日はデートじゃなくて、旅館のイルミネーションを買いに来たんだからダメ!夜までお預けだよ?」

 

「ごめんごめん、ついな…。」

 

「もぅ…隙があればすぐにキスしようとするんだから…」

 

「悪い、今は大人しくするよ。」

 

「まぁ…そんな大胆な所も大好きだけど…」ボソッ

 

「ん?何が言ったか?」

 

「んーん、何にも♡」

 

 

♡♡♡♡♡

 

 

~雑貨屋~

 

 

「わぁ~いろんな色があるよ~!あ、このトナカイさんのイルミネーションも可愛いな~♡」

 

「そうだな…あ、これとかもいいな。」

 

「ネコの…カチューシャ?」

 

「なぁ、千歌…」

 

「え、ま、まさか…」

 

「あぁ。」

 

「い、いやぁ…流石にそれはちょっと恥ずかしいよ…」

 

 

千歌は恥ずかしいがってるが、俺は、見てみたい…

 

 

「少しだけでもいいから、頼む!」

 

「う、うん…そこまで言ってくれるならなら…。」

 

「じゃあ、失礼するね。」

 

 

俺は、千歌にカチューシャを付けてみる…動物的な可愛いさもプラスされて、今すぐに抱きしめたくなるくらいに可愛い…

 

「ど、どう…?」ピョコピョコ

 

「可愛い…こんな可愛いらしいネコがいたらずっと甘やかしちゃいそうだ。」

 

「も、もう…そ、そんなに褒めたって…嬉しくないもんね!」

 

「すーっごくニヤニヤしてるぞ?」

 

「も、もぉー!!!」

 

 

 

♢

 

 

『お会計2500円になります』

 

「あ、そのカチューシャ結局買うのな。」

 

「その、悠之君が好きなら…別にいいかなって。」

 

「ありがとう、千歌。」

 

「もぅ…気が向いた時…だけだからね?」

 

「分かってるって。」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

大体の買い物が終わり、2人で喫茶店に行くことにした…。

 

 

 

~松月~

 

 

「懐かしいね~松月に来るのも…。」

 

「そうだな…アレからもう約1年か…千歌とずっと居たからかな?

あっという間に感じるよ。」

 

 

外にいた時は、白い息が出たし…そろそろ雪が本格的に迫ってきているのだろう。

 

 

「ねぇ…悠之君。」

 

「どうした?」

 

「悠之君はもう進路って決まってるの?」

 

「──っ!」

 

 

そうか…俺は、三年前この時期に居なくなったから心配してるのか…

 

 

「もう決まってるよ、とゆうか夏休みの時に確定した。」

 

「え…?」

 

「千歌には黙っていたけど…俺は、もう夏で受験が終わってたんだ。」

 

「そ、そうなの!?なんで言ってくれなかったの!?」

 

千歌が痛いところをつく…。

 

 

「それは…千歌が悲しんじゃうかもしれないから。」

 

「どうして?」

 

「俺は…」

 

 

『今年中に東京へ帰らなくちゃ行けないから。』

 

 

 

俺の一言で周りの空気が凍りつく…

 

 

 

「それって…東京の大学へ行くことが決まった…ってこと?」

 

「あぁ…だから…」

 

「凄いじゃん!悠之君!!」

 

「え…?」

 

 

予想外の返事が返ってくる…。

 

 

「だって、それって悠之君の行きたい場所に受かったってことでしょ?それって凄いことだよ!」

 

「でも、俺と千歌は…」

 

「私は嬉しいよ?だって悠之君の希望が叶ったんだもん…!」

 

 

千歌は悲しそうな顔をすると思っていたけど、少し予想外だ…

 

 

 

「千歌…俺が東京にまた帰っちゃったら…また、離れ離れになっちゃうんだぞ?」

 

「わかってるよ…そんなこと…わかってる…でも、私は…離れ離れになっても…私、寂しくないよ?」

 

「千歌…俺は……」

 

俺はチラっと千歌の顔を見る…

 

「千歌?」

 

「…別に寂しくなんかないもん…また…いつでも会えるもん…」

 

「千歌…」

 

俺は、椅子から立ち上がり、千歌の身体を抱きしめる…。

 

 

「…泣いてもいいんだよ?」

 

「嫌だ…もう、悠之君の前で、悲しい顔は見せたくないんだよ…」

 

「千歌…もっと感情に素直になってくれ…。」

 

「嫌だよ…そんなことしたらまた、昔の時みたいに弱い自分になっちゃうよ…。」

 

「昔なんて関係ないよ…感情を殺してまで自分を追い詰める必要なんてないんだから…。」

 

「悠之君…」

 

「俺は、無理をする千歌よりも、素直な千歌の方が好きだよ。」

 

「悠之君…やっぱり君はいつも反則だよ…。」

 

 

そう言うと…千歌は吹っ切れたように俺の胸で泣き…そのまま俺の身体を離さなかった…。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「…落ち着いた?」

 

「……うん。」

 

「じゃあ、帰ろっか。」

 

俺は、千歌の手を握る…。

 

「まって…」

 

「うん?」

 

俺が歩こうとした時、千歌が呼び止め…

 

そのまま、俺の唇にキスをした…

 

 

「覚えてる?悠之君はここで…この暗闇の中で初めてキスをしてくれたんだよ?」

 

「あぁ…あの時か。」

 

「私は嬉しかったよ…初めてのキスの相手が悠之君で…。」

 

「俺も嬉しかったよ…って言ってもいきなりキスをしだしたのは俺だけどな。」

 

「くすっ…そう言えばそうだったね♪」

 

 

二人で一緒に笑い合う…

 

 

「悠之君…やっぱりもう1度…そっちから…してよ。」

 

「…わかった。」

 

 

俺は、千歌の身体を抱き寄せながらキスをする…。

 

 

「千歌…」

 

「なぁに?悠之君?」

 

「遠くに離れても…俺は、千歌の事をずっと愛してるから。」

 

「私もだよ…悠之君…。」

 

 

「「大好き。」」

 

 




次回…最終回です。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。