もうすぐクリスマス…俺がここにそろそろ帰ってきて約一年になる…辺りの街も商店街もクリスマスの飾り付けがされ、イルミネーションが綺麗に光っている…。
「ここの商店街もイルミネーションがすごく綺麗…ずっと眺めていたくなるくらいだよ…ね、悠之君?」
「そうだな…俺は、イルミネーションよりも隣の方をずっと見ていたくなるよ。」
俺は、千歌の顔をじっと見つめる…。
「もー、それ本気で言ってるの?///」
「あぁ、本気だよ。」
「もぉ…大胆なんだから…///」
ぎゅっ…と千歌が俺の腕を組む…。
「去年の冬も…こうやって一緒に暖まったよね。」ギュッ
「そうだな…もう一年か…そういや、千歌?」
「なぁに?一年経って何か変わった?」
「うん…前も可愛いかったけど、今はもっと可愛いくなった気がする…」
「え、そ、それは…その…悠之君がそばに居るから…頑張ってお洒落しようかなって…///」
モジモジとしながら千歌が顔を赤くする…。
「こ、こんなこと言わせないでよ…恥ずかしいよ…。」
「ん?別に恥ずかしがることはないよ?」
「へ…?」
「俺の為に頑張ってお洒落してくれたんだろ?」
「う、うん…」
「ありがとな、千歌。」
俺は、そう言いながら千歌の頭をそっと撫でる…
「う、うん…どういたしまして///」
「千歌…」
俺は千歌の顔との距離を近づける…
「め!」
千歌が俺の唇に指を当てる…
「今日はデートじゃなくて、旅館のイルミネーションを買いに来たんだからダメ!夜までお預けだよ?」
「ごめんごめん、ついな…。」
「もぅ…隙があればすぐにキスしようとするんだから…」
「悪い、今は大人しくするよ。」
「まぁ…そんな大胆な所も大好きだけど…」ボソッ
「ん?何が言ったか?」
「んーん、何にも♡」
♡♡♡♡♡
~雑貨屋~
「わぁ~いろんな色があるよ~!あ、このトナカイさんのイルミネーションも可愛いな~♡」
「そうだな…あ、これとかもいいな。」
「ネコの…カチューシャ?」
「なぁ、千歌…」
「え、ま、まさか…」
「あぁ。」
「い、いやぁ…流石にそれはちょっと恥ずかしいよ…」
千歌は恥ずかしいがってるが、俺は、見てみたい…
「少しだけでもいいから、頼む!」
「う、うん…そこまで言ってくれるならなら…。」
「じゃあ、失礼するね。」
俺は、千歌にカチューシャを付けてみる…動物的な可愛いさもプラスされて、今すぐに抱きしめたくなるくらいに可愛い…
「ど、どう…?」ピョコピョコ
「可愛い…こんな可愛いらしいネコがいたらずっと甘やかしちゃいそうだ。」
「も、もう…そ、そんなに褒めたって…嬉しくないもんね!」
「すーっごくニヤニヤしてるぞ?」
「も、もぉー!!!」
♢
『お会計2500円になります』
「あ、そのカチューシャ結局買うのな。」
「その、悠之君が好きなら…別にいいかなって。」
「ありがとう、千歌。」
「もぅ…気が向いた時…だけだからね?」
「分かってるって。」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
大体の買い物が終わり、2人で喫茶店に行くことにした…。
~松月~
「懐かしいね~松月に来るのも…。」
「そうだな…アレからもう約1年か…千歌とずっと居たからかな?
あっという間に感じるよ。」
外にいた時は、白い息が出たし…そろそろ雪が本格的に迫ってきているのだろう。
「ねぇ…悠之君。」
「どうした?」
「悠之君はもう進路って決まってるの?」
「──っ!」
そうか…俺は、三年前この時期に居なくなったから心配してるのか…
「もう決まってるよ、とゆうか夏休みの時に確定した。」
「え…?」
「千歌には黙っていたけど…俺は、もう夏で受験が終わってたんだ。」
「そ、そうなの!?なんで言ってくれなかったの!?」
千歌が痛いところをつく…。
「それは…千歌が悲しんじゃうかもしれないから。」
「どうして?」
「俺は…」
『今年中に東京へ帰らなくちゃ行けないから。』
俺の一言で周りの空気が凍りつく…
「それって…東京の大学へ行くことが決まった…ってこと?」
「あぁ…だから…」
「凄いじゃん!悠之君!!」
「え…?」
予想外の返事が返ってくる…。
「だって、それって悠之君の行きたい場所に受かったってことでしょ?それって凄いことだよ!」
「でも、俺と千歌は…」
「私は嬉しいよ?だって悠之君の希望が叶ったんだもん…!」
千歌は悲しそうな顔をすると思っていたけど、少し予想外だ…
「千歌…俺が東京にまた帰っちゃったら…また、離れ離れになっちゃうんだぞ?」
「わかってるよ…そんなこと…わかってる…でも、私は…離れ離れになっても…私、寂しくないよ?」
「千歌…俺は……」
俺はチラっと千歌の顔を見る…
「千歌?」
「…別に寂しくなんかないもん…また…いつでも会えるもん…」
「千歌…」
俺は、椅子から立ち上がり、千歌の身体を抱きしめる…。
「…泣いてもいいんだよ?」
「嫌だ…もう、悠之君の前で、悲しい顔は見せたくないんだよ…」
「千歌…もっと感情に素直になってくれ…。」
「嫌だよ…そんなことしたらまた、昔の時みたいに弱い自分になっちゃうよ…。」
「昔なんて関係ないよ…感情を殺してまで自分を追い詰める必要なんてないんだから…。」
「悠之君…」
「俺は、無理をする千歌よりも、素直な千歌の方が好きだよ。」
「悠之君…やっぱり君はいつも反則だよ…。」
そう言うと…千歌は吹っ切れたように俺の胸で泣き…そのまま俺の身体を離さなかった…。
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「…落ち着いた?」
「……うん。」
「じゃあ、帰ろっか。」
俺は、千歌の手を握る…。
「まって…」
「うん?」
俺が歩こうとした時、千歌が呼び止め…
そのまま、俺の唇にキスをした…
「覚えてる?悠之君はここで…この暗闇の中で初めてキスをしてくれたんだよ?」
「あぁ…あの時か。」
「私は嬉しかったよ…初めてのキスの相手が悠之君で…。」
「俺も嬉しかったよ…って言ってもいきなりキスをしだしたのは俺だけどな。」
「くすっ…そう言えばそうだったね♪」
二人で一緒に笑い合う…
「悠之君…やっぱりもう1度…そっちから…してよ。」
「…わかった。」
俺は、千歌の身体を抱き寄せながらキスをする…。
「千歌…」
「なぁに?悠之君?」
「遠くに離れても…俺は、千歌の事をずっと愛してるから。」
「私もだよ…悠之君…。」
「「大好き。」」
次回…最終回です。