みかん色の風   作:OCEAN☆S

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皆様明けましておめでとうございます!


第1話「年明け」

「悠之君~!千歌ちゃんの調子はどうかしら?」

 

しま姉が千歌の部屋に入る。

 

「大丈夫みたいですよ、ちょっと色々と抱え込んじゃったみたいで。」

 

「そっか…でも、ちょうど悠之君が来てくれたおかげで助かったわ~。」

 

 

 

 

千歌が俺の右手を握ったまま眠っている…ごめんな。ちゃんと連絡先とかメールアドレスの交換くらいしておけばよかったな……。

 

「悠之君が帰ってきていきなり甘えちゃって…。よっぽど悠之君に会いたかったのね。」

 

「俺もこの日を楽しみにしてましたよ。何せ3年ぶりなんですから。」

 

「ふふっ。未来は十千万は千歌ちゃんと悠之君の夫婦旅館になるのかしら?」

 

「な、なにいってるんすか!?」

 

 

 

 

~~~~~

「いや~今日もお客さんがたくさんで疲れたなぁ…。」

 

「今日も1日お疲れ様!千歌がマッサージしてあげようか?」

 

「ほんと?じゃあお願いしようかな?」

 

千歌が後ろに回って肩を揉みはじめる。

 

「悠之君は今日も一生懸命頑張ってくれたんだね…肩のこりが物語ってるよ。」

 

「まあ、俺だってここの旅館のオーナー何だから当然だろう。」

 

千歌がマッサージをするたびに、千歌が徐々に体を詰め寄せてくるので、千歌の胸が背中に当たり…そして千歌の柔らかい吐息が首にかかった。

 

「千歌…吐息が…。」

 

「えへへ…わざとだよ?わ・ざ・と♡」

 

「へぇ…生意気なやつだな。」

 

ドサッ!

 

「悪い子には…軽くお仕置きしなくちゃな。」

 

「お、お仕置きって何をするの?」ワクワク

 

「嬉しそうにするな!」

 

~~~~~

 

まさかなのこんな事が起きるわけ…。

 

 

そんな事を想像していると、千歌が起き始める。

 

 

「う…ん?」

 

「おはよ、千歌。」

 

「あれ~?なんで悠之君は顔が赤くなってるの~?」

 

「さぁ?なんででしょうね~。」

 

千歌が起きるのと同時に、みと姉が千歌の部屋に入ってきた。

 

「しま姉~お母さんがご飯出来たって言ってるけど……あれ?千歌起きてんじゃん!大丈夫なの!?」

 

「一応大丈夫みたいよ、誰かさんのおかげで」チラッ

 

「あー!悠之君来てんじゃん!いつ来たの!?」

みと姉がでかい声をあげる。

 

「いや…さっきですけど。」

 

「知らぬ間に大きくなって~!!」

みと姉が急に頭をわしゃわしゃ撫でる。

 

「ちょっと!悠之君にいきなり何してんの!?」

千歌がベッドから降りる

 

「あ、千歌は悠之君の事大好きだもんね、ごめんごめん。」

 

「なっ!べ、別にそんな事ないもん…///」

 

「昨日あんなに泣いてた癖に?」

 

「う…うるさいっ///」

 

「てゆうか、悠之君がここに来ることをなんで教えてくれなかったの!?」

 

「いやぁ…サプライズの方が嬉しくない?」

 

「う、嬉しいけど…」

 

千歌とみと姉がまた言い争いをはじめる…ここに来るといつもこうなんだからな……他の人がいると素直になれない千歌が可愛い。

 

「まあまあ、とりあえず今は夕飯にしましょ?悠之君もいるんだから…ね?」

 

「う……は~い…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~~~

「あれ?千歌の母さんは食べないの?」

 

「あ~ちょうど店番してるからね…。」

 

「そうか、じゃあ時間があったら挨拶しておかないとな。」

 

食事の最中しま姉を呼ぶ声が聞こえる…。恐らく千歌の母親だろう。

 

「私、行かなくちゃいけないみたい。3人は食事を続けててね。」

 

そう言いしま姉は部屋から出ていく…すると今度はみと姉が立ち上がる。

 

「あ、私ちょっとトイレ行ってくるね~。」

 

また部屋から1人減った…今この部屋に残っているのは…俺と千歌だけ…。

 

「ねえ、悠之君。」

 

「な、なんだ?」

 

「はいっ!アーン……」

 

「!?」

 

「さっきのお返しっ!」

 

「あ、ああ…ありがとう。」

 

千歌は俺よりも2つ歳が違うけど、今のさりげない行動に胸がドキドキする……だから俺は高校生活の中で誰とも付き合ったことがない。千歌が大好きだから…。

 

 

 

 

 

 

何故かみと姉は部屋を出てから帰ってこない…そしてしま姉の方が帰ってくるのが早かった。ほんとに何がしたい人なのかわからん…。

 

「とりあえず悠之君のお部屋に案内しておくわね、着いてきてちょうだい。」

 

「あ、そういえば荷物が!たしか入口の方に…」

 

「さっき部屋に運んだから大丈夫よ。」

 

 

 

 

しま姉が案内した部屋に入ると、他の部屋によりも断然広く、快適な部屋だった。

 

「あの、こんな立派な部屋をお借りしてもいいんですか?」

 

「年単位でお金を払ってくれるお客様だもの、これくらいは当然よ。」

 

「いいなぁ~悠之君のお部屋、千歌の部屋よりも立派じゃん!」

 

「わがまま言わないの、千歌ちゃん。」

 

千歌が俺を羨ましいそうな表情で見つめる……いや、俺の事を見てもなにも変わらないと思うんだが…。

 

「とりあえず、悠之君はお風呂入っちゃってね。」

 

「間違えて女湯に入らないようにね?」

 

「それは無いな、確実に。」

 

千歌が余計ななことを言う。全く…間違えて女湯だなんて聞いたことが……あ、俺の高校のクラスに1人居たな、確か修学旅行の時、女湯の方からすげえ悲鳴が聞こえたもんな…。

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~

俺は3年ぶりの十千万の温泉に入ったが…相変わらず居心地のよい湯だったな…。

そして温泉から上がって時計を確認すると、既に夜の11時を回っていた。

 

そして、自分の部屋に戻ると1人用のお布団が綺麗に敷いてあったさすがは旅館…と思ったが、何故か布団の上に千歌がいる…。

 

「千歌?どうしたんだ?」

 

「その…さっきまでずっと寝ちゃってたから…中々寝られなくて…。」

 

「そっか…じゃあ千歌の部屋に行くよ。」

 

 

俺がそう言うと、千歌は首を振る…。

 

 

「一緒に…寝てほしいの…。」

 

「え…?」

 

「長い間ずっと…悠之君に会えなかったからさみしくて…さみしくて…。」

 

千歌が涙を流す…

 

 

「じゃあ…さっきと同じように、寝られるまでずっとそばにいるよ。」

 

 

二人で一緒に布団に入る…さっきよりも顔の距離が近くて、とても緊張する…。

 

 

「私…嬉しいよ…また一緒にいられて。」

「そうだな…俺も同じ気持ちだよ。」

 

「悠之君…」ギュッ

 

 

千歌がぎゅっと抱きしめる…柔らかい感触が俺の体に伝わる…。

 

この時思った…女の子の身体ってこんなに暖かくて柔らかいのだと…。

 

 

「ごめんね…今日来てくれたばかりなのに…こんなに甘えちゃって…。」

 

「大丈夫…とりあえず今日はもうこのままおやすみ。」

 

「うん…おやすみ♡」

 

 

 

 

そして、翌朝…みと姉にあっさり見られ、一日中ネタにされっぱなしになってしまった。

 

 

 

 

 

~~~~~

そして…あの日から5日過ぎた…今年から楽しい日々が送れそうだ…

母さんからは0時ちょうどにメールで「明けましておめでとう」って届いた…。

 

仕事で旅館には来れないと、メールにも書いてあった。

 

それにしてもさっきから布団から起きようとすると何かが乗っていて起き上がれない…何かグレー系の髪色の女の子が見える……

 

「オッハヨーソロー!ゆ~じくん!」

 

「うわぁ!やっぱり曜か!?」

 

「えっへへ…千歌ちゃんから帰ってきたと聞いたので…えへ♡」

 

曜がウインクをして敬礼をする…懐かしいなぁ。

 

「こ~ら~曜!いきなり飛びついちゃだめだよ。」

 

果南(かなん)!?めっちゃ背が伸びたな?」

 

「えっへへ!でしょ~?」

 

「ゆ~じく~ん!起きた~!?」

 

今度は千歌が俺の部屋に入る、今日はにぎやかだな…。

 

「悠之君、おせちが出来てるから食べに行こ!」

 

千歌がオレンジ色の着物を着ている…彼女だけではなく、曜も果南も綺麗な着物を着ていて、とても可愛いらしい…。

 

「ちょっと待ってくれ、直ぐ着替えるから…」

 

「え!今ここで…?」

 

「ここから出ろって意味だよ。さあ早く!」

 

「はーい。」

 

3人が部屋から出ていく…

 

 

朝から驚いたな…曜と果南が旅館に来ていたとは…そういえば会いに行くのを忘れていたな…

 

寝起きだったから気付かなかったけど、俺の部屋に男性用の着物が置いてある…着ろって意味なのか…?

 

俺はそのまま用意?されていた着物に着替える…。そしてそのまま鏡で確認する…。

 

「(似合ってるかな…?)」

 

そんな不安を抱えながら部屋から出る…。

 

 

 

 

「わあぁ…!凄く似合ってるよ!悠之君!!」

 

千歌がちやほやしてくるので、少し顔が熱くなる…。

 

「似合ってるよ!」

 

「うん、かっこいいよ悠之君。」

 

曜も果南も褒めてくるので恥ずかしくなってしまう…俺よりも千歌達の方がよく似合っているのに…。

 

 

 

俺達はおせち料理を食べに食卓に移動する…

 

「あれ、千歌の母さんはまた店番?」

 

「うん、しま姉とみと姉も今日は1日店番するからずっと自由にしてもいいって!」

 

「そうなのか、じゃあ気遣ってくれた3人に感謝しなくちゃな。」

 

まだちゃんとしたお礼も言えてないのに…なんか申し訳ないな…。

 

 

 

 

 

 

 

そしておせち料理で祝った後に俺達は、初詣に神社へ向かった。

 

「4人揃って出かけるなんて久しぶりだねー!」

 

「毎年悠之君がいなくて寂しかったんだよ?」

 

曜が俺の服の袖を握る…。曜も見ないうちに随分と可愛いくなったな…

 

 

「ごめんな、ちゃんと連絡先を教えておくんだったな…。」

 

「まあ、急な事だったんだし、こんな事だってあるよ」

 

果南がフォローしてくれる…1番気遣いが上手なのは変わってないみたいだな…。

 

4人で会話していると、神社の階段のところまで着いた…。

 

「うわぁ…相変わらずここの神社は階段がきついな…。」

 

「そう?私はいつも駆け上がっているよ?」

 

「果南ちゃんは例外だよ~。」

 

「千歌…大丈夫?」

 

みんなで階段を登っていると、千歌が少しずつ遅れているのがわかった…。

 

「だ、大丈夫だよっ…」

 

「辛いなら無理するな…それに普段履きなれていないゲタなんだし…ほら」

 

千歌にそっと手を差し伸べる。

 

「え…!?いいの?」

 

「ああ、足がくたびれちゃったら困るしな。」

 

「あ、ありがとう///」

 

俺と千歌が手を繋いでいると果南と曜がじーっと見てくる…。

 

「悠之君ってほんと千歌ちゃんに甘いよね~」

 

「ほんとほんと~昔と全然変わってなーい。」

 

いやだってな…千歌がなにかに困ってると、ちょっと追い詰められた子犬のような顔をするから、ついつい甘やかしちゃうんだよな…。

 

「まあ、見ているのも好きだから別にいいんだけどね~」

 

「もう、曜ちゃん!それ以上言わないで!1人でも歩けるもん!!」

 

千歌が俺の手を離す…。

 

「あれ?話しているうちにてっぺんまで来たぞ。」

 

「あ、ほんとだー!」

 

頂上に着くと沢山の人で賑わっていた…。

 

「あ、おみくじがあるよ!」

 

「ほんとだ!みんなで引いてみる?」

 

「賛成!」

 

みんなで一斉に引く……今年こそはいいのが引けますように…!

 

「果南ちゃんはどうだった?」

 

「えっと…しょ、小吉…曜は?」

 

「私は…吉だ!千歌ちゃんは?」

 

すると千歌が大きな声で叫んでる…。

 

「大吉だよ!やったー!」

 

「マジで!?」

 

「悠之君は?」

 

「えっと…あ、俺も大吉だ。」

 

「わああ!!お揃いだー!」

 

千歌が俺に抱きつく…。

 

「お、おいこんな所だと目立つぞ?」

 

「あ、ごめん…。」

 

周りを見ると、老若男女からの視線がじーっと集まった…

 

「若いって羨ましいわね~」

 

「ねえねえ、あのお兄ちゃんとお姉ちゃん抱き合ってるよー!」

 

「こら、邪魔しないの!」

 

「新年から何やってんだ、あのリア充……爆ぜろ!」

 

 

こういうひそひそ声ってなんでこんなに聞こえやすいんだ?

 

 

その後から恋愛運を確認してみると…必ず結ばれると書いてあった……結ばれるといいな…。

 

 

 

色々あったが、みんなで参拝をしに行くことになった。

 

「悠之君はいくら使うの?」

 

千歌が俺に聞いてくる。

 

「俺はいい事があったから多めに500円にするよ。」

 

「いい事?」

 

「また、みんなと一緒にいられること…それと、千歌とも一緒だしな。」

 

「も、もう!悠之君…///」

 

千歌がこれまでにないほどに顔を真っ赤にしている。

 

そしてみんなでお願いをする…。

 

「曜は何をお願いした?」

 

「高校生になっても水泳が上手くいくように…ってお願いしたよ!果南ちゃんは?」

 

「私は、これからもダイビングを楽しめたらなーって。」

 

 

そっか…2人共ちゃんとした目的があるんだな…。

 

 

「そういや、千歌は何をお願いしたんだ?」

 

「ふっふ~ん…なんでしょう?」

 

「え~教えてくれないのか?」

 

「だ~め♡」

 

 

だって…教えちゃったら意味が無いもん。

 

『悠之君にちゃんと思いを伝えられますように』ってね。

 

 




そして、ダイヤ様!お誕生日おめでとうございます!!

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