みかん色の風   作:OCEAN☆S

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こんにちは!ちょっと久しぶりに書いたので文章がおかしいかも知れませんが、続きをどうぞ!


第17話「真夏の文化祭開演!(後編)」

土曜日

 

今日は土曜日…千歌達の学校、浦の星女学院の文化祭の日だ。

 

確か浦女は、生徒の数も少なくて統廃合になってもおかしくないと、世間から言われて来たが…思ったより人は多い…まあ、今はそんな事どうでもいい…

 

絶対来てね!と言われたから、ここにまで来たのだが…

 

 

千歌達のクラスどこだよ!?

 

クラスの数は少ないのに校舎の大きさと比率していない…ここに来てからもう10分程経過している…

 

そればかりか周りは文化祭の仕事に夢中な生徒ばかりでごちゃごちゃしていて、千歌本人を探すのにも苦労しそうだ…。

 

「それにしても人が多いな…」

 

俺が校内をウロウロしていると、後ろから肩をトントンと叩かれたので振り向いてみる…

 

 

「あれ?悠之君じゃん。」

 

「あ、果南!ちょうどいいところに…千歌のクラス何階かしらないか?」

 

「え、千歌から何も聞いていないの?」

 

「あぁ、今朝聞こうと思ったんだが、結構早く家を出てしまったみたいでな…」

 

「はは…流石は千歌、相変わらずおっちょこちょいだね…」

 

果南が苦笑いを浮かべる…まあ、それが千歌らしいってところでもあるんだけどな…

 

「とりあえず、千歌のクラスの場所を教えてくれないか?」

 

「うん、いいよ。」

 

果南に校舎を案内される・・・

 

「それにしても結構活気的な文化祭だな、俺の中学の頃とは大違いだ…。」

 

「そうなの?ここは毎年こんな感じだよ?」

 

「まあ、中学の頃は荒れてたからな…俺も周りの連中も…」

 

今思えば余りいい思い出ではないな…中々俺の記憶から離れてくれない…

 

「おぉーい、悠之君?」

 

「あ…何?」

 

「どうしたの?もう千歌のクラスの教室に着くよ?」

 

「おう、悪いな手間かけて。」

 

「じゃ、私は他の手伝いがあるからこれで…」

 

果南と別れてから教室の扉を開いてみる…すると…

 

「いらっしゃいませ~!」

 

たくさんの角度から声が聞こえる…どうやら喫茶店のようだ、文化祭では定番な部類だけど、かなり出来が良い…時間かけて作ったんだろうな…。

 

「いらっしゃい悠之君♡」

 

俺の目の前に、フリフリのエプロンのウェイトレスを着た千歌の姿が目に入った…

 

「えへへ♡やっと来てくれたんだ~待ってたんだよ?」

 

「……///」

 

「悠之君?」

 

「……天使。」バタッ

 

「ゆ、悠之君!?ゆ~じく~ん!!??」

 

ざわざわ…

 

なんだ?

 

倒れたぞ?

 

「よ、よーちゃん!ゆ~じくんが死んじゃったよ~!」

 

「大丈夫、悠之君はただ気を失ってるだけだよ…千歌ちゃんの魅力にね…」

 

「ど、どうしよう…」

 

「とりあえず、私が悠之君を連れていくから千歌ちゃんはお店の方をお願い。」

 

「でも、1人だと大変じゃ…」

 

「大丈夫…悠之君をお姫様抱っこするくらい余裕だよ…。」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

~喫茶店裏

 

「よいしょっと…ふぅ…さっきあんなこと言ったけどやっぱり男の子を持ち上げるのは辛いなぁ…」

 

私は悠之君を並べた椅子のところに寝かせて、登校カバンを枕にして置いてあげた。

 

それにしても…

 

「千歌ちゃんが言った通り、悠之君の寝顔って可愛いんだなぁ…」

 

私は自然と悠之君のほっぺをつついていた…

 

「こんなに優しくて素敵な人が…私の恋人だったらなぁ…。」

 

でも…悠之君は千歌ちゃんの事が大好きだし、千歌ちゃんも悠之君の事が大好きだ……。

 

両思い…か…

 

「…ん…あぁ…。」

 

「あ…悠之君起きた?」

 

「あれ…?曜…?」

 

俺は辺りを見回し、曜の顔を見る。

 

「なあ…曜…。」

 

「ん?どうしたの?」

 

「…どうして泣いてるんだ?」

 

「え…?」

 

俺がそう言った時に、曜の瞳から涙がポロッと流れ落ちた…。

 

「あ、あれ?何でかな?そ、そうだ!多分コンタクトがズレちゃってるんだよきっと!」

 

「…嘘。」

 

「へ…?」

 

「だって曜の涙…さっきから止まってないし…。」

 

俺がそう言うと曜の顔が少しずつ赤くなっていく…

 

「それに…寂しそうな顔してる。」

 

「……!」

 

「何かあったのか?」

 

「いや別に何も…」

 

曜が目をそらし、また涙が流れ落ちる…。

 

「悠之君には…関係ないよ…分かるはずがない…。」

 

「曜…」ギュッ

 

「ひゃっ…ダメだよ…悠之君…千歌ちゃんにバレちゃったら…」

 

悠之君が優しく私の体を抱きしめた…

 

「確かに、この状況を千歌に見られてしまったら関係が複雑になってしまうだろう…」

 

「だったら…何で…」

 

「俺は…大切な幼なじみの悲しい顔とか苦しんでる顔は…もう見たくないんだ…。」

 

「悠之君…。」

 

そっか…前に千歌ちゃんが連れ去られた時…電話越しだったけど、物凄い怒りと悲しみを感じた…

 

「内容は無理やり聞いたりしないから…何が出来る事があったら…言ってくれ…」

 

「その…えっと…」

 

曜が少し戸惑った顔をする…

 

「このまま…私の事を抱きしめて…ください…」

 

「…あぁ。」

 

ギュッ…

 

そのまま…一分くらい悠之君に抱きしめてもらった…暖かくて何だかいい匂いもする…。

 

 

「…もういいかな?」

 

「うん、ありがとう悠之君…。」

 

「そっか…あ、このハンカチ使うか?」

 

「あ、ありがとう…」

 

曜が俺のハンカチで涙を吹きそのまま、自分達の教室に戻ろうとする。

 

「今日は…その…ありがと…///」

 

「あぁ、何かあったらまた力になるから。」

 

「うん!」

 

 

 

曜は俺にハンカチを返して自分の教室に戻った……さて…と

 

「いつまでそこに隠れているんだ?」

 

「あちゃー…やっぱりバレちゃってたか~」

 

「それくらいすぐに分かるぞ、千歌の気配はわかりやすいからな。」

 

机のしたから、千歌がひょこっと出てくる…

 

「…さっきの事、許してくれるか?」

 

俺は少し真剣な顔をして千歌の顔を見つめる。

 

「くすっ…」

 

「…?」

 

「ぜ~んぜん…大丈夫だよ、ちゃーんとした理由があるんだし、落ち込んでる曜ちゃんを元気づけてくれたんだから。」

 

千歌は思ったより優しい笑顔で俺のことを見てくれた。

 

「そっか、その…千歌は嫉妬したりはしないのか?」

 

「う~ん…私は悠之君の事信じてるからそんな事思ったりしないかも…えへへ。」

 

「はは…心が広いな…千歌は。」

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

とりあえず俺は喫茶店の方に戻って、空いてるテーブル席を探す…

 

「悠之さーん!」

 

俺は声のする方に向くとそこには、ルビィちゃんと花丸ちゃん、黒いマントみたいなのを羽織っている女の子…ん?あの子どっかで見た気がするぞ。

 

「やっぱり、悠之さんも来てたんですね!」

 

「あぁ、まあね。」

 

俺は最近思う…なんで俺の知り合いには、同性の友達がいないのだろう…まあ、中学の頃の同級生と比べれば遥かにマシだ…。

 

「千歌さんのウェイトレス姿見たずら?」

 

「見たぞ…そしたら気を失ってた…」

 

「ふっ…それはきっと、彼女の強力な魔力のせいよ…」

 

…?このマントの子…一体何を言ってるんだ?

 

「あ、気にしないで上げてください。」

 

ルビィちゃんが呆れた顔をしている…あぁ、きっと思春期に訪れるあの病なのだろう…。

 

「あ、今日は善子ちゃんも来てくれてたんだ~うれしいな~」

 

「私はヨハネよ!遥か遠い天空から来てあげたんだから感謝しなさい!」

 

いつの間にか、千歌が飲み物を持ってきていた。

 

「千歌、知り合いなのか?」

 

「うん!前に花丸ちゃんとニ〇ニ〇動画で…」

 

「ストーップ!」

 

善子だか、ヨハネだかどっちか分かんないけど、急いで千歌が喋ってるのを止める…何か理由でもあるのだろうか?

 

「結構ネット上でも話題になってるから、あんまり言わないでちょうだい(小声)」

 

あぁ、そうか…だったらまずそのマントからやめた方がいいと思うんだが…多分その格好で何か動画とか投稿しているのだろう…

 

「とりあえず、悠之君何か頼む?」

 

「あぁ、そっか…じゃあカフェラテ一つ。」

 

「はーい♡」

 

千歌が俺達のところから離れて、5分ほどで戻ってきた…

 

 

「お、さんきゅ…ん?」

 

よく見るとカフェラテでなにか書いてある…

 

『I LOVE YOU』

 

「えへへ…今日のためにいーっぱい練習したんだ~♡」

 

「わあぁ…これがラテアート~未来ずら~!」

 

「凄い…こんな大胆なメッセージを書けるなんて…流石は千歌さん…///」

 

「これが愛の契約…ってものなのかしら?」

 

千歌が大変満足気な顔している…きっと今日の為に頑張ってくれたんだな…

 

「今日の為にありがとな、千歌。」

 

「うん!」

 

千歌が嬉しそうに笑顔を見せる…

 

「さあーて!喫茶店まだまだ盛り上がるよ~!次は曜ちゃんお得意の『ヨキソバ』だ~!」

 

「ヨーソロ~!」

 

さっきの悲しそうな曜はもう無い…楽しそうにこの時間を過ごしていて何よりだ。

 

「おぉ…喫茶店でオムそばとは…なんともヘビーな…」

 

「わあぁ…すっごく美味しそうずら…」

 

「あ、ずら丸!独り占めはダメなんだからねー!?」

 

「食べ物は逃げないよ善子ちゃん?」

 

ヨキソバの登場により、一気にカオスになったが…文化祭ってこんなに楽しいものだったんだな…。

 

「何ニヤニヤしてるの?ゆ~じくん?」

 

「うん?何でもないさ。」

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

そして、翌日…今度は俺達の学校の文化祭の日だ。

 

俺はちゃんと時間帯を伝え旅館を出た…千歌はちゃんと来てくれるかな?

 

 

 

 

♢

 

学校に到着して、俺はすぐに準備を始める…学校の行事でこんなに張り切ったのは初めてだ。

 

俺達のクラスは体育館を使う…うちのクラスの学級委員が頑張って争奪戦に勝利してくれたんだ…準備くらい真面目にやらなくちゃな。

 

「よしっ…これで準備はほぼ全て完了だな」

 

「悠之ー!音出しするからステージの方に来てくれー!」

 

「はいよー」

 

俺はステージの方へ向かおうとすると、体育館の入口の方から何やら気配がした…振り向いてみるとそこには…

 

長い髪の女の子が立っていた…

 

「なんだ…あの子?見たことの無い制服を着てるけど…」

 

何やらウロウロしている見たいだ…迷ってしまったのかな?

 

「おーい悠之ー!」

 

「わりい、ちょっと待っててくれ」

 

俺は何故かその子の方へ向かっていた…何かに引き付けられるように…

 

「君、そこで何をしてるんだ?」

 

「え!?あ、あの…」

 

俺は間近でその子の顔を見ると、どこかで見覚えのある顔だった…

 

「えっと…私今日…ここに転校してきて…先生を探しているんですけど…。」

 

文化祭の日に転校?何か変な話だな…

 

「今日は文化祭だから、何かの手違いとかじゃない?」

 

「え…?」

 

その子は自分のカバンの中をあさって、資料のようなものを取り出した…

 

「あ、明日だった…///」

 

「やっぱり…まあでも、せっかく来たんだし文化祭楽しんでいけば?」

 

すると彼女は少し考えてるような顔をして

 

「じゃあ、少し見てみますね。事前見学…みたいな。」

 

「それがいいと思う!きっと学校にすぐ慣れると思うし。」

 

俺と彼女は自然と笑顔になっていた。

 

「何だか、貴方と喋るの…初めてじゃないみたい。」

 

「俺も、君とどこかで会ったような気がするよ。」

 

「ふふっ私もです。」

 

「俺は小野悠之、君は?」

 

「私は…」

 

『桜内梨子です』

 

 

♢

 

午前11時そろそろ俺達のクラスの出番が来たみたいだ…。

 

俺は一応最終確認の為に1通り点検する…よし…完璧だ。

 

 

「ねえねえ、悠之君達はまだかな?」

 

「もうすぐだと思うよ。」

 

「楽しみずら~」

 

「体育館で何をするでしょうか?」

 

私達は何も悠之君から内容は聞いてないので、さっぱりわからない…けど、体育館でやるくらいなんだから相当なものに違いない…。

 

そんな事を考えていると、照明が暗くなってステージに光が差し込み始めた。

 

そして、光が全体に広がってようやく視界が見えるようになった…すると…

 

ギターを構えてる人…ドラムを構えてる人…そして…スタンドマイクを構えた…悠之君の姿があった。

 

ロックバンド風な服装に着替えた悠之君がとても眩しく見えた…激しい音楽とともに聞こえる悠之君の歌声…

 

「…かっこいい」

 

「…ずら」

 

「…ヨハネ堕天」

 

いつも爽やかな雰囲気がある悠之君のギャップが激しくていつもより一層素敵に見えた。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

放課後

 

「いや~悠之君凄くかっこよかったよ~まさかバンドをやっちゃうなんて~だから最近帰りが遅かったんだ~」

 

「まあ、俺も今年はかなり真面目に頑張ったからな。千歌へのサプライズ返しだよ。」

 

「えへへ、サプライズの規模が大きすぎるよ~」

 

2人で手を繋ぎながら、旅館に戻って行く…。

 

「お疲れ様悠之君。」

 

「そちらこそお疲れ様、千歌。」

 

 




皆さんはスクフェス感謝祭に行きましたか?
私はもちろん参加しました、今年も楽しめたと思います。

それではまた次回でお会いしましょう~!

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