みかん色の風   作:OCEAN☆S

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なんか変なタイトルになっちゃいました(笑)


第11話「無料のタクシー」

~早朝

 

「そんなぁー!」

 

千歌のでかい声が旅館全体に響き渡る…もちろん俺の部屋にも聞こえてきた。お陰さまで朝からシャキッと起きられたけど、旅館で叫んでも大丈夫なのか?

 

「こら千歌!他のお客様もいるんだよ?」

 

「うぅ…ごめんなさい…。」

 

俺は部屋から出ると、千歌とみと姉が何やら揉めているのが確認できた。

 

「えっと…朝から何かあったんすか?」

 

「あ、そうだ!悠之君に頼んでみたら?」

 

「確かにそれいいかも!助かった~」

 

え…?え…?なんか2人とも急に盛り上がってきてるけど…話の流れが全く分かんないだけど・・・

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「なるほど、今日は卒業式なのにいつもの時間帯のバスが運休してて、しかも家の車もメンテ中で困っていると…。」

 

「そ~なんだよ~!だからね……」

 

千歌がジーッと見つめるけど、言いたいことが大体分かった。

 

「俺のバイクで送ってくれ……という事かな?」

 

「ピンポンピンポーン!」

 

まあ、今日から春休みだし…ここの旅館にはいつもお世話になってるし、1日くらいバイクを走らせてもいいかな?

 

「分かった、じゃあ千歌は早く準備しておいで。」

 

「はーい♡悠之君ありがとね~!」

 

さて…と俺も千歌の準備が終わる前に着替えておくとしようかな…そういえば二人乗りなんてした事ないけど大丈夫かな?

 

「さ、悠之君は着替えが済んだらご飯食べちゃっててね?」

 

「あ、はい。ありがとうございます。」

 

 

 

 

 

♢

 

後から、千歌も食卓に来て一緒にご飯を食べた。

千歌の顔を少し見てみると、三つ編みの部分につけているリボンがいつもよりちょっとオシャレで、凄く可愛い…。

 

「千歌の今日のリボン、いつもよりも素敵だな。卒業式用に買ったのか?」

 

「うん!しま姉が昨日買ってきてくれたんだぁ~♪」

 

千歌が嬉しそうな笑顔を見せる、これから卒業式なのに随分と楽しそうだな。

 

「2人とも~!いちゃいちゃしてないで早く行きなさいよ~!」

 

「「は~い!」」

 

俺は先に玄関から出て、バイクの調子を念のため確認した。そういや東京にいた時に母さんに買ってもらったけど…最近は全然使ってないな…。

 

幼馴染のみんなと一緒に登校した方が楽しいからって言って、通学にも使かわなかったし……使う機会は今回くらいかな?

 

「悠之君~!」

 

お、千歌も来たみたいだな…

 

「これが悠之君のバイク?すっごい~!」

 

千歌が目を輝かせながら俺のバイクをジロジロ見ている、間近で見るのは初めてなのかな?

 

「よし、じゃあ後ろに乗ってくれ。」

 

「うん!」ワクワク

 

千歌が後部座席に座ったので、そのままヘルメットを渡す。

 

「付けれた?」

 

「ちょ…ちょっとまって~」

 

…どうやら、付けるのも初めてみたいだな。

 

「ほら、手をどけな。」

 

「あ、うん…ありがとう…///」

 

ちゃんとヘルメットを固定出来たので、俺はそのままエンジンをかける。

 

「うわぁ!す、凄い音だね…!」

 

「しっかりと肩に捕まっとけよ~!」

 

けだましいバイクの音を立てて、いつもの通学路を疾走する。

 

ここら辺で走らせた事は無かったから、知らなかったけれど…この辺は海の潮風が強く流れて来て気持ちいいな…。

 

 

「ひゃあ~!凄いっ!気持ちいい~!!」

 

「風が気持ちいいだろ~!?」

 

「うん~!」

 

内浦の朝ってあんまり車が通らないんだな…結構自由に走れるみたいだ。

 

 

 

「よし、もっと飛ばすぞー!」

 

「おぉー!」

 

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「よいしょっ…と着いたぞ」

 

「すご~い…いつもなら三十分はかかるのに15分くらいで着いちゃった…。」

 

まあ、バスとは違って信号以外で止まったりはしないから、その分早くついたんだろう。

 

 

「んじゃ、帰りも迎えに行くから。」

 

「え!?来てくれるの!?」

 

「ああ、しま姉さん達の車が直るのは明日みたいだから……」

 

「わぁい!ありがとう~!」

 

千歌が嬉しそうにぴょんぴょんはねている…嬉しそうにはしゃぐ千歌はいつ見ても可愛い。

 

 

「じゃあ、行ってくるね!」

 

「あ、ちょっとまって!」

 

「うん?なぁに?」

 

俺は千歌を呼び止めて、胸に手をやる

 

「バイクにのってた時にズレちゃったのかな?」シュルシュル

 

俺は千歌の制服のリボンを一回ほどいてから、もう一度結び直した。

 

「~っ///」

 

「これで…よしっと。」

 

「……///」

 

「どうした?千歌?」

 

「今・・・」

 

「ん?」

 

「今おっぱい触ったでしょ///」

 

あ…そういや、リボンを触った時になんか柔らかいものに触れた気がするな…って思ったけど……。

 

「ま、まぁ…け、健康的な…柔らかさだったよ。」

 

俺はしどろもどろで言い訳をしつつ、少し褒めてみる…が。

 

「もうっ!悠之君のばかっ!エッチ!変態!」プクッ

 

「ちょ…そんなことをでかい声で叫ぶなよ。」

 

「だ、だってぇ…///」ムスッ

 

「と、とりあえず今は卒業式をしっかりとやっておいで。」

 

「むぅ…ちゃんと帰りも来てよね…。」

 

「大丈夫、ちゃんと行くって。」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 

 

千歌を何とか送り出した俺はとりあえず一回旅館に戻ることにした。

 

それにしても…千歌の胸…柔らかかったなぁ。

制服の上からでも感じたあの温もりと柔らかさはなんか別物な気がする…。

 

別に他の人のを触ったことがある訳では無いけど、なんだかもっと触りたくなってしまう…そんな感触だった。

 

 

いやいや、俺は一体何を考えているんだ…。故意的にやった訳では無いけど、千歌からすればただの痴漢にしか思えないし……。

 

まずいな…変なこと考えて、事故を起こさないようにゆっくりと帰ろう…。

 

 

♢

 

悠之君にいきなり触られた時は凄くドキドキしたなぁ…。

何でだろう、前にお布団で触られた時とはまた違った気がする…。

 

もしかして、外で触られたから余計にドキドキしちゃったのかなぁ…でも…私はそこまでエッチな性格じゃ・・・

 

「おーい!千歌ちゃ~ん!」

 

「あ、曜ちゃ~ん!」

 

「あれ?千歌ちゃん顔真っ赤だよ?」

 

「えっ!べっ別に…!///」

うぅ…私って感情とかがすぐに表情に出ちゃってるのかなぁ?

うわぁ…恥ずかしいよぉ…

 

「もしかして、悠之君とまた何かやったのかなぁ~?」ニヤニヤ

 

「そ、そんな事ないよっ///」

 

「ほんとかなぁ~?」

 

「むぅぅ…!よーちゃん!」ムッ

 

「あはは、ごめんって!早く教室にはいろ!」

 

「もぉ~!」

 

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

さて…チンタラ走ってたから少し遅くなったけど・・・

 

とりあえずは旅館で待機しておくか…。

 

「あ、悠之君!お見送りありがとね!」

 

俺が旅館から戻ると、千歌の母さんが玄関の掃き掃除をしていた。

 

「いえいえ、帰りは何時くらいに迎えに行けばいいですかね?」

 

「ん~12時くらいでいいんじゃないかな?」

 

「分かりました、ありがとうございます。」

 

12時か…今は…9時だし、何かすることはねえしなぁ…

 

俺は自分の部屋でゴロゴロしてると、何やら聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「お~い、悠之~!いる~?」

 

「いるけど、なに?母さん。」

 

「何よ…その素っ気ない態度は…せっかく進級祝いを持ってきたっていうのに~」

 

何!?進級祝いだと!?毎年ケチって俺にはくれないくせに…珍しい。

 

「進級祝いってなんだ?」

 

「そこの紙袋に入ってるわよ。」

 

「現金かと思ったけど、そうじゃないのか…まあいいや…」

 

ガサゴソ・・・

 

「…何これ?」

 

紙袋の中から、何やら化粧水のような物体が入ってた…

 

「アンタ、知らないの?」

 

「いや、知らねえ…初めてみた。」

 

「これはね…ヘアワックスよ。」

 

「…はい?」

 

俺はもう一度聞き直した…ヘアワックス?

 

「だから~ワックスよ。」

 

「いや、別に頼んでないんだけど。」

 

「あんたね~!高3になるんだからワックスくらい使いこなせるようになりなさい!」

 

「いやいや、その理屈が意味わかんない。」

 

「だいじーな彼女もいるんでしょ?」

 

「…まあ、そうだけど…//」

 

「だったら服装だけじゃなくて、少しは髪にもこだわりを持ったら?」

 

「はいはい、分かりましたよ~」

 

別にワックスくらいでそんなに言わなくてもいいのになぁ~

 

「で、これどこのメーカーの奴なの?」

 

「原宿にある、メンズヘアサロンが使ってるメーカーよ~。」

 

「原宿…!?扱いが難しそうなワックスを買ってくるなよなぁ~」

 

「まあ、練習すればどうにかなるでしょ。」

 

丸投げ!?ほんとにいい加減な母親だな~相変わらず呆れるぜ。

 

「まあ、久しぶりの進級祝いサンキューな」

 

「あら、珍しくお礼を言うようになったじゃない。」

 

…余計な事を…でも…

 

「だからといってよ…1ダースも同じワックスを買ってくんなよなぁ~」

 

「いや~原宿なんてそんなに行かないし、つい~」

 

「はぁ…使わなくちゃ勿体ないし、今度使ってみるか…」

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

~11時

 

とりあえず、昼食を済ませ、もう一度千歌の中学校に向かう準備をした。

 

「それじゃ、もう一度行ってきますね。」

 

「うん、千歌の事よろしくね?」

 

「はい、任せてください。」

 

 

 

 

 

 

♢

 

 

 

 

 

 

「千歌ちゃんさっき泣きそうになってなかった~?」

 

「よ、曜ちゃんこそ涙目になってたじゃん~!」

 

ワイワイガヤガヤ……

 

 

「あれ?なんだか、あの辺が騒がしいね?」

 

「行ってみようよ!」

 

私と曜ちゃんでその場所に向かうとそこには……

 

「大学生さんかな?」「大人っぽい~」「かっこいい~」

 

なんか騒々しいけど、誰か有名人でも来てたのかな?

 

 

「あ、やっと来たか。」

 

「ゆ、悠之君!?」

 

そこには、朝とは髪型が大きく変わっている悠之君の姿があった。

 

「ど、どうしたの!?その髪…」

 

「まあ…色々と事情があって・・・変かな?」

 

「そ、そんな事ない…かっこいい…。」

 

千歌ちゃんが凄くうっとりしてる…。確かに今どきの大学生みたいな髪型をしてて…。

 

凄くかっこいいと思う・・・今、この渡辺曜も悠之君から目が離せなくなっております!

 

「えっと…迎えに来たけど…まだ他の友達とかと喋ったりする?」

 

「う、ううん…さっき丁度別れたばかりだし…。」

 

「そっか、じゃあ行こーー」

 

『千歌ちゃんとその人って付き合ってるの?』

 

「「え!?」」

 

千歌のクラスメイト?かな、その子がそう呟いた。

 

「ね、どうなの?千歌ちゃん?」

 

「え、えっとぉ…///」

 

「だーいじな旦那様だよね!千歌ちゃん!」

 

「ちょ、ちょっと!よ、曜ちゃん!」カアアア

 

『年上の人と付き合ってるの?すごーい!』

 

「ううぅ…悠之君助けて~!」

 

千歌の頭から湯気がぷしゅーと音を立てて、凄く恥ずかしそうにしている…飛んだ災難だったな…。

 

『そこの彼氏さんは千歌ちゃんの事をどう思ってるの?』

 

「ん?どうって…大切な俺の彼女だよ。」

 

ちょっとカッコつけて、千歌を少しいじってみる。

 

『きゃあー!素敵ー!』キャッキャ

 

「もー!悠之君は本っ当にデリカシーが無さすぎるよー!///」

 




何故今回は、訳の分からない理由でワックスを出したかと言うと。

私が原宿のヘアサロンに行ってきたからです(笑)ただそれだけです(笑)


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