悟空「オラの?」緑谷「ヒーローアカデミア!」   作:須井化

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前回までのあらすじ

どこにでもいる無個性少年緑谷出久。

彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!

入学初日に除籍を賭けた体力測定を行うが、最下位になった峰田少年の為に一肌脱ぐ緑谷少年。

相澤君と対峙するもオールマイトの乱入により戦いは痛み分けとなる。

1日乗り越えたくらいで安心してる余裕は無いぞ少年少女!

ここからが本番だ!

更に向こうへ!PlusUltra!!!


第8話

ザワザワ…

 

教室中に何十人もの話し声が響き渡る。

 

ここはヒーロー科1年B組だ。

 

「昨日見た?A組の」

 

「見た見たーなんでも1人の生徒が担任に喧嘩売ってバトったんだってねー」

 

「ははっその後どうなったんだろなー!」

 

ガヤガヤ…

 

「……」ピッピッ…

 

そんな中1人少女は携帯で撮った写真を眺めながらこう呟く。

 

「…面白そーじゃん…」ボソッ

 

 

 

 

 

 

とうとう雄英高校生活2日目だ。

 

今日から本格的に授業が始まる。

 

午前中は至って普通の教科の授業…

 

英・公・数・国

 

いわゆる主要科目5教科だ。(理科?なにそれおいしいの?)

 

因みに今は公民を受けている。

 

先生「えー…最近世界で騒がれている事件を挙げればキリが無い訳だが…」

 

先生「例えば緑谷、どんなのがある?」

 

緑谷「…え…ぁぁ…」

 

緑谷「僕らに身近な事って言えばやっぱり…連続爆破テロ…ですかね」

 

先生「成る程な」

 

緑谷「いつも被害を受けるのは決まって病院で…」

 

緑谷「犯人の足取りもままならないとか」

 

先生「…この様に、ヒーローが世界に浸透されても尚事件・事故は絶えない」

 

先生「それを未然に防ぐ為に我々が一刻も早く動かなければならない」

 

先生「ヒーロー社会になった影響で。利得を得た者、奈落の人生を歩んだ者…」

 

先生「様々な変化が表れた」

 

先生「今の社会の理解を深める事が出来ればこういう犯罪も減少させる事も可能…」

 

先生「……っていう俺個人の見解ではあるが語らせてもらった」

 

先生「これから1年間この学習方針に基づいてお前達にビシバシ社会情勢を教えていくつもりだ」

 

先生「そういう意識を持って公民の勉学に励むように!」

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン…

 

4時間目の終わりを告げるチャイムが学校中に鳴り響く。

 

授業を終えると皆が真っ先に向かって走っていく場所は大食堂。

 

クックヒーロー【ランチラッシュ】が作る一流料理を安価で頂く。

 

午前中の授業で疲れた体に染み渡って一層より美味となる。

 

八百万「」モグモグ…

 

緑谷「すみませーん。おかわりくださーい」

 

ランチラッシュ「よく食べるね…もう6人分はいってるよ」

 

爆豪「!?」ガツガツ…

 

 

 

 

 

 

だがここまでは序の口だ。

 

午後の授業は2時間続き。

 

僕らはこの教科の授業を受ける為に今日ここに来ていると言っても過言ではない。

 

その名も【ヒーロー基礎学】!!

 

 

 

「わーたーしーがー!!!」

 

緑谷「来

オールマイト「普通にドアから来た!!!」ガラッ

 

廊下から声がしたし、気で探ったりもしたから分かってたんだけどさ…うん。

 

この間はスーツ姿での初対面だったが今回は正真正銘コスチュームを着た【ヒーローとしてのオールマイト】だ。

 

昨日以上の迫力・インパクトで皆気をそそられる。

 

尾白「銀時代(シルバーエイジ)のコスチュームだ」

 

切島「画風が違いすぎて鳥肌が…」ピクピクッ

 

オールマイト「さぁ諸君!!この時間は何の科目か分かるかな?」

 

オールマイト「そう!皆が待ち望んでいたであろう【ヒーロー基礎学】だ!!!」

 

オールマイト「ヒーローの素地を作る為様々な訓練を行う科目だ!!」

 

オールマイト「単位数も最も多いぞ!!」

 

オールマイト「早速だが今日はコレ!」バンッ!

 

そう言うと英語のある単語が書かれてあるカードを僕らに突き出した。

 

葉隠「battle…」

 

緑谷「って事は……戦闘訓練!?」

 

オールマイト「そのとーり!!」

 

オールマイト「そしてそいつに伴ってこちら!!」ピッ

 

リモコンのスイッチを押すと教室の壁の一部が飛び出し棚のようなものが出て着た。

 

そこに収納されていた物は…

 

緑谷「戦闘服(コスチューム)…!」

 

オールマイト「それぞれ入学前に送ってもらった個性届や要望等に合わせてある!」

 

オールマイト「今からそいつに着替えて10分後グラウンドβに集合!」

 

オールマイト「格好から入るってのも大切な事だぜ少年少女!!」

 

オールマイト「自覚するのだ!」

 

オールマイト「今日から自分は…」

 

オールマイト「ヒーローなんだとっ!!!」

 

 

 

 

被服控除。

 

入学前に【個性届】【身体情報】を提出すると学校専属のサポート会社がコスチュームを提供してくれるという親切設計。

 

更に要望を入れる事で自分に合った最新鋭のコスチュームを手に入る。

 

……まぁ無論僕は無しだった訳だが…

 

一応個性届は更新が認められているんだ。

 

体内の水を噴出する個性かと思ったら空気中の水分を液体に変換してた……

 

そんな事例がごく稀にあるので1、2回の変更は認められる。

 

3週間前……

 

 

 

緑谷「……とは言え」

 

緑谷「何も無かった筈なのにいきなり発現したってそもそも受理されるような内容じゃ…」

 

緑谷「後僕の場合何だ…?」

 

緑谷「かめはめ波…は多分ビームとかで片付くんだろうけど…」

 

緑谷「飛行だとかは流石に修行したから〜じゃ通らないよな…」

 

個性届にどう記入すればいいか悩んでいた。

 

あまりにも能力の範囲が広すぎる為だ。

 

勿論普通人間が持てる個性は1つだけで複数などあり得ない。

 

なので全ての技がこの1つで説明つくような個性を考えている……

 

が全く思いつかない。

 

緑谷「…気を使ってあーだこーだしてるんだから…」

 

緑谷「生体エネルギーの制御……?」

 

緑谷「いやだからって舞空術とかかめはめ波に辿り着くのかそれ…」

 

そんな風に思い詰めていた所、母が買い物から帰ってきた。

 

ガチャ…

 

デク母「ただいまー」

 

緑谷「お帰り、お母さん」

 

デク母「出久出久ー」ゴソゴソ…

 

緑谷「?」

 

デク母「これなーんだ」スッ…

 

母は手探りしてトートバッグからある物を手に取った。

 

ジャンプスーツだ。

 

緑谷「な…なんでそれ…」

 

デク母「入学祝いー早とちりかもだけど」

 

デク母「このままじゃ様にならないしね」

 

デク母「いやー出久が勉強寝落ちしてる時にノートが目に入っちゃってね」

 

思春期の息子の私有物に手は出さないでくれ…

 

デク母「……前…酷い事言っちゃったって引きずってたのよこれ」

 

 

 

緑谷『お母さん…』

 

緑谷『どんなに困ってる人でも笑顔で救けちゃうんだよ…』

 

緑谷『超カッコいいヒーローさ…』

 

緑谷『僕も…なれるかなぁ』

 

デク母『…!』

 

母は幼子の僕を抱いて泣きついた。

 

デク母『ごめんねぇ出久…ごめんね……!!』プルプル…

 

その時は震えながら僕に謝る事しか出来なかった。

 

違う。僕が求めているのはそんなんじゃない。

 

当時の僕はそんな事しか考えられなかった。

 

 

 

 

この数年間母を苦しめ続けたのは他でもない僕なのだ。

 

学校などのゴタゴタで四六時中心配させ続けた。

 

悟空さんと出会うまで僕が精神的に病まなかったのもこの人の存在が大きい。

 

だがその分、母には随分な負担と迷惑をかけてしまっている。

 

 

 

デク母「……()()()、私は勝手に自分で諦めてた…」

 

デク母「貴方はいつまでも夢を諦めず、追い続けてたのに…」

 

緑谷「お母さん……」

 

デク母「ごめんね。出久」

 

デク母「これからは手放し全力で応援するからね!」

 

 

 

 

 

そして現在…

 

あれから…個性届も身体情報も提出はした。

 

だがコスチュームの製作は頼んでない。

 

オールマイトの髪をオマージュした突起がついているヘルメット。

 

他は特異点も無くどこにでもある様な感じの服で…

 

見栄えが決していいとも言えないコスチュームだった。

 

緑谷(…母の気持ちだ)

 

緑谷(これを着ずして何を着る)

 

緑谷(便利じゃなかろうと最新鋭じゃなかろうとそんなの問題じゃない)

 

緑谷「これが僕のコスチューム…!」

 

 

 

 

 

緑谷「皆…早い早い」ダダッ

 

更衣室を出る頃には既に生徒は全員グラウンドに到着してた。

 

それ程凝ってる訳でもないしすぐに着替えられると思ったんだけどなぁ…

 

…僕がトロいだけか。

 

着替え終わった後直ぐに急ぎ足でグラウンドβに向かう。

 

 

幸いまだ指定された時間まで3分残ってた。

 

何とか授業間に合った……

 

緑谷「皆すごいの着てるなぁ…」キョロキョロ…

 

ある人は全身をコスチュームで覆って板金鎧みたいになってるし…

 

ある人は手袋とブーツだけ…みたいな感じで制服より寧ろ無防備になってるし…

 

これまた各々の性格や個性が表れて目を惹かれる。

 

そうして皆のコスチュームを観察していると麗日さんが声をかけてきた。

 

麗日「おーデク君かっこいいね!」

 

麗日「地に足着いた感じで!」

 

緑谷「う…麗日さん…それは…」

 

麗日「うへへ…要望ちゃんと書けば良かったよー」

 

麗日「パツパツスーツんなった…恥ずかし」

 

麗日さんは照れながらもそう話していた……

 

がまぁこれがまた色んな意味ですごい。

 

腕とか足がムチムチしてて胸が物凄く強調されてる…

 

どんな意図でこんなコスチューム作ったんだサポート会社…

 

いやそもそもそんな着眼点を作っている自分が情けないわ!

 

因みに要望は【首や手首等に酔いを抑える為のツボ押し機能】……

 

お、おう…

 

峰田「ヒーロー科最高」グッ

 

緑谷(何グッジョブしてるんだ峰田君!!)

 

そうこうしている内にオールマイトも現れ戦闘訓練の説明が始まった。

 

オールマイト「よーし揃ったな!」

 

オールマイト「さぁ始めようか有精卵共!!戦闘訓練のお時間だ!!」

 

オールマイト「ンンーー…皆良いじゃないか」

 

オールマイト「カッコいいぜ!!」

 

オールマイト「?」

 

どうやらオールマイトは僕のヘルメットの突起部分に気付いたようだ。

 

オールマイト(分かりやすっ!!)ププッ

 

全面的にオールマイト感出している服には流石の彼も失笑か。

 

そんな露骨に笑わずとも…

 

飯田「先生!ここは入試時の演習場だと思われますが…」

 

飯田「また市街地演習を行うのでしょうか」

 

さっき言ったプレートアーマー男の正体は飯田君だったのか。

 

中々カッコいいデザイン!

 

オールマイト「いや!もう二歩先に踏み込む!」

 

オールマイト「屋内での対人戦闘訓練だ!!」

 

A組「屋内?」

 

オールマイト「敵退治といえば大半が屋外での事をイメージしがちだが…」

 

オールマイト「統計で言えば逆に屋内の方が凶悪敵出現率が高いのさ」

 

オールマイト「監禁・軟禁・裏商売……」

 

オールマイト「このヒーロー飽和社会において真に賢しい敵は屋内(やみ)にひそむ!」

 

オールマイト「君らにはこれからは【ヒーロー組】と【敵組】に分かれて2vs2の屋内戦を行ってもらう」

 

蛙吹さんは首を傾げながら

 

蛙吹「基礎訓練も無しにいきなり?」

 

オールマイト「その基礎を知る為の戦闘訓練だ!」

 

オールマイト「ただし!今回は入試の様なただぶっ壊せばオッケーってのじゃない所がミソだ」

 

八百万「勝敗のシステムはどうなりますか?」

爆豪「ぶっ飛ばしてもいいんすか?」

麗日「また相澤先生みたく除籍とかってあるんですか?」

飯田「分かれるとはどの様に分かれればよろしいのでしょうか!?」

青山「このマントヤバくない?」

 

蛙吹さんを先頭に怒涛の質問攻めが巻き起こる。

 

これでは説明出来ないし収集つかないぞ…

 

オールマイト「ンンー聖徳太子ィィ!!」

 

オールマイト「とりあえず1回この訓練の概要話すから質問ならその後!な?」

 

オールマイト「まず状況設定」ピラッ

 

カンペを取り出し再び話し始める。

 

オールマイト「敵がアジトに核兵器を隠している!」

 

オールマイト「そしてヒーローはその核兵器を処理するべくアジトの侵入を試みるって感じだ!」

 

A組(設定アメリカン)

 

オールマイト「そんでもって勝敗条件だが…」

 

オールマイト「ヒーローは制限時間までに核兵器を回収(1タッチ)する或いは敵を全員捕まえればその時点でクリア」

 

オールマイト「逆に敵は制限時間までに核兵器を守り抜く或いはヒーローを全員捕まえればその時点でクリア」

 

オールマイト「敵を捕まえる時は確保証明としてこのテープを使って相手を拘束する」

 

オールマイト「コンビ及び対決相手は…」

 

オールマイト「くじで決める!」

 

飯田「ええ!?て、適当なのですか!?」

 

緑谷「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップすることも多いしそういう事じゃいかな…」

 

飯田「そうか…先を見据えた計らい!」

 

飯田「失礼致しました!!」

 

オールマイト「いいよ!早くやろ!!」

 

 

 

そしてくじ引きの結果…

 

緑谷「……お?」←Aチーム

 

八百万「……あら」←Aチーム

 

こうなった。

 

緑谷「驚いた…まさか2トップがコンビになるとは…」

 

八百万「よろしくお願いします。緑谷さん」

 

緑谷「あ…う、うん」

 

軽く挨拶しようと思ったが喋っている内に自然と視線を下に向けてしまった、

 

またもや派手なコスチュームに目が留まってしまう。

 

何が驚きかと言われればそう…

 

露出度。

 

彼女の個性は創った物質を体内から放出するので性質上仕方ないのだが…

 

胸元から臍までかけてパックリ開けたレオタード…

 

更にその上袖なしで下半身はブーツとベルトのみという代物である。

 

半分以上身体丸見えなのだ。

 

緑谷(あ…後む)

 

緑谷(って何言おうとしたんだ自分ーー!?///)

 

見れば見る程顔が赤く染まっていった。

 

し…仕方ない。思春期だもの。

 

八百万「どうなされました?」

 

緑谷「い…いやっ!?別に!?」

 

緑谷「そ、そーいえば今から対戦チームも決めるんだっけ!?」チラッチラッ

 

何とか気を紛らわせる為に話題を変えようと必死に抵抗する。

 

でもやっぱり服気になる!!!

 

オールマイト「さてと…では最初の対戦カードはこちら!!」ゴソゴソ…

 

2つの箱にそれぞれ手を突っ込み1つずつコンビの名称が書かれているボールを取り出す。

 

オールマイトが最初に選んだ2つのチームは…

 

オールマイト「Aコンビ VS Dコンビ!!!」バッ!

 

オールマイト「緑谷少年…八百万少女と飯田・爆豪少年だな!」

 

緑谷(かっちゃん…!)

 

爆豪(デク…!)

 

オールマイト「敵チームは先にアジト(仮)に入ってセッティングを!」

 

オールマイト「5分後…ヒーローチームが潜入して演習スタートだ」

 

オールマイト「他の者は地下に行ってモニターで観察するよ!」

 

オールマイト「飯田少年と爆豪少年は敵側の思考をよく学ぶように!」

 

オールマイト「とりあえずこれほぼ実戦形式だから怪我とか恐れず思いっきり!」

 

オールマイト「あ、でも度が過ぎだら中断するらかもしれないから良識の範囲内でな」

 

緑谷 爆豪((………))

 

 

 

かっちゃん達がセッティング…他の皆が地下のモニタールームに向かっている間に…

 

僕らは敵コンビのアジトに行かなければならない。

 

多少会話しながらアジトと指定されたビルに移動していた。

 

八百万「…成る程。大体把握できましたわ」

 

緑谷「ええ!?早っ!」

 

緑谷「ビルの見取り図渡されてから1分経ってないよ!?」

 

八百万「この程度の情報量なら30秒で暗記できますわ」

 

緑谷「流石は八百万さん…頭脳派だー」

 

八百万「お世辞は結構。緑谷さんも早く覚えてください」

 

八百万「それと……」

 

緑谷「」ガタガタガタ…

 

身体をガクガク震わせながら僕は見取り図をひたすら眺める。

 

世間で言うところのマナーモードか。

 

八百万「何故震えていますの?」

 

緑谷「いっいや…き、緊張とか…そういうのじゃなくて…」

 

緑谷「相手…かっちゃんだからさ」

 

八百万「…かっ…ああ…爆豪さんですか?」

 

八百万「あの方は体力テストで4位…一般入試で総合成績ぶっちぎりの1位でしたわね」

 

八百万「確か貴方と幼馴染だとか…貴方によく絡んできますわね」

 

緑谷「……まぁ…幼馴染…というか腐れ縁というか」

 

緑谷「目標も…自信も…体力も…個性も…」

 

緑谷「僕なんかより何倍も凄いんだ」

 

緑谷「ただ…」

 

八百万「?」

 

緑谷「…だから今は負けたくないなって」

 

八百万「………1つ言わせていただきますが…」

 

八百万「任務に私情は厳禁ですわよ」

 

緑谷「…!」

 

八百万「貴方はどうも感情的に動いてしまう節があります」

 

八百万「そこで冷静さが欠けてしまう」

 

八百万「私が先頭を歩きますわ。くれぐれも出張らないように」

 

緑谷「は…はい」

 

初めての戦闘訓練……僕が緊張し過ぎってのもあるかもしれないけど…

 

八百万さんっていつも冷静だなって思う。

 

昨日の体力テストで除籍の話を聞いても顔色1つ変えず動じていなかった。

 

それ程好成績になる自信があったんだろう。

 

全員除籍はいくら何でも納得出来なかったみたいだが。

 

()()()()()()()も個性は必ず使おうとはしなかった。

 

正当防衛で無い限り公共での個性の使用は禁止されている。

 

だから無闇矢鱈に武力行使は行わなかった。

 

ザ・優等生って感じがする。

 

緑谷(流石は推薦合格者…)

 

緑谷(場に応じての対応・処理能力が半端ない)

 

緑谷(…かっちゃんとはまた別の天才か…)

 

緑谷(すごいなぁ…皆)

 

 

 

 

一方その頃かっちゃんグループは先駆けてアジトでスタンバイしていた。

 

飯田「訓練とはいえ敵になるのは心苦しいな」

 

飯田「…」コンコン…

 

何やら小型ロケットミサイルのようなハリボテを触ったり、それがある部屋の詳しい状況を確認したりなど行っていた。

 

…飯田君は。

 

爆豪「…おい」

 

いつもより数倍の殺気が込められた声で飯田君に話しかけるかっちゃん。

 

それを必死に抑え込みながらもこう問いかけてきた。

 

爆豪「デクは…個性……あるんだな?」

 

飯田「…?昨日の見たろう」

 

飯田「何やら個性の特定までは出来ないようだが様々な効果があるようだ」

 

飯田「しかし、君は事ある毎に緑谷君につっかかるな」

 

爆豪「おう….…そうか」

 

かっちゃんは静かに相槌を打って会話を終了させた。

 

飯田君は作業を再開する。

 

肝心のかっちゃんはというと…

 

爆豪(……ハハハハ)

 

爆豪(そういう事か…つまりぃ…あいつは今までぇ…)

 

爆豪(ずっとこの俺を騙してたのか!!??)

 

顔面に血管が浮き上がる位滅茶苦茶切れていた。

 

無理もない。僕と10年以上の付き合いだ。いきなり個性ができたなんてまず信じられないし…

 

何よりあいつは…僕の性格を誰よりも分かっている。

 

だから尚更許せなかったんだ。僕が欺いていた事に…

 

爆豪「クソナードが……!」

 

 

 

 

 

【同ビル地下モニタールーム】

 

瀬呂「これまたすっげぇの搭載されてんなぁ…」

 

何十もの監視カメラの映像を見ながら皆はそんな感想を述べる。

 

各階にそれぞれ20のカメラが設置してある。

 

何処にいようが行動は全て筒抜けだ。

 

麗日(うう…デク君大丈夫かな…爆豪君ともし喧嘩しちゃったら…)アセアセ…

 

麗日(で…でも体力テスト1位だったし後組んでる人もその時の成績優秀だった筈…)アセアセ…

 

どうやら麗日さんは僕の心配で観察どころでは無いらしい。

 

余程僕を思っての事だから僕自身嬉しいのだが…

 

麗日(最悪さっき触ったから危ない時はウチが浮かし)

 

それだけはやめてくれ。

 

オールマイト「さあ!皆も考えて見るんだぞ!!」

 

オールマイト(緑谷少年…見せてもらおうじゃないか…)

 

オールマイト(君の実力がどれ程か…確とこの目で!)キッ

 

クリップボードとペンを持って気合を入れているオールマイト。

 

皆が皆張り切ってるな。

 

 

 

 

 

オールマイト<皆所定の位置に着いたな!!

 

街の中心部にあるメガホンから放送が流れ始める。

 

スタートの合図だ。

 

オールマイト<それではこれよりAコンビとDコンビによる…

 

オールマイト<屋内対人戦闘訓練スタート!!!

 

緑谷「お…始まった…」

 

緑谷「早速中に…」ダダッ

 

と馬鹿みたいに正面の入り口に向かって突っ走ってしまう人が一名。

 

八百万「お待ちなさい!」ガシッ

 

緑谷「いったた…!な、何さ…」

 

ほっぺを抓って僕を連れ戻しながら説明をする。

 

八百万「敵前で正面突破する人が居ますか!!」

 

八百万「それにあれ程私の前に出るなと釘刺しましたわよね!?私!!」グイッ

 

緑谷「は…はひ!」

 

観察組(何やってんのあいつら…)

 

 

 

 

 

フワフワ…

 

とりあえず僕達は核兵器がある部屋が存在すると思わしき階層……

 

より1F下の所侵入する事にした。

 

直接行ってしまえば不意打ちにあうかもしれないし不確定要素が多すぎる。

 

そこまでの移動法は勿論舞空術(これ)

 

緑谷「……し、しっかり掴んでて…ね?」

 

八百万「ええ」

 

八百万さんの脚が垂れ下がりプラプラ浮いてる。

 

足が着かないって今でこそ何ともないが慣れなきゃトラウマもんじゃないのかこれ…

 

おまけに唯一頼りなのは今掴んでいる僕の脚だからなぁ…

 

そんなこんなで難無くその階に到着。

 

窓から潜入する。

 

鍵は八百万さんがキーピックでさくっと開けてくれた。

 

八百万『…』カチャ

 

八百万『開きましたわ』

 

緑谷『まだ1分経ってないよ!?』

 

八百万『この程度のロックなら30秒で解けますわ』

 

緑谷(ピッキング技術も半端じゃねー…)

 

何かこの会話何処かで見た事ある。

 

 

 

緑谷「よーし侵入成功」

 

緑谷「早速行こう」

 

八百万「…はい」

 

足音を立てないように静かに移動する。

 

ビルの中は迷路のような配置になってて曲がり角が幾つもある。

 

見取り図が読めなかったら真っ先に右往左往しそうな道のりだ。

 

勿論、訓練の途中で見取り図を見る事は可能っちゃ可能なんだが…

 

奇襲等も考えられる為そんな悠長な事はしてらんない。

 

ゆっくり慎重に…上の階に繋がる階段へと向かっていった。

 

八百万(……この方の気が知れませんわ)

 

八百万(初対面の時はもう少し真面目で凛々しい方かと買い被っていましたが…)

 

八百万(結局ただ成績が良ろしいだけで間が抜けている人じゃない!!)

 

八百万(いやそれも相まって私は救われたのかもしれませんが!?)

 

八百万(兎に角…また無茶な行為をされては堪ったものじゃありませんわ)

 

八百万(私の評価にも影響を受ける…)

 

八百万(何としても私が先導切ってこの訓練を成功させなければ…!!)ググッ

 

彼女には八百万家としてのプライドと己の野心がかかっていた。

 

失敗は許されなかった。

 

八百万さんは強く拳を握り締め粛然と覚悟を決める。

 

それが無意識の内に彼女を焦らせてしまったのか…

 

段々八百万さんの歩くスピードが早くなっていく。

 

緑谷「ちょ…待ってよ」

 

八百万「待てませんわ。少々動きが鈍くなくって?」

 

緑谷「そんな事ないよー…!寧ろこれさっきよりペース上げてる…」

 

八百万「早く着いて来なさい!」スタスタ…

 

とうとう率直に命令系になった!!

 

緑谷(というかそんな大声出しちゃ…)

 

緑谷(あ)

 

八百万(全く…こちらの身がもたないですわ)

 

八百万(さっさとこの様な訓練終わらせま…)クルッ

 

次の曲がり角を曲がろうと右を向いたその瞬間……

 

 

 

 

 

爆豪「……」バッ

 

八百万「……え」

 

かっちゃんが八百万さんに襲いかかってくる。

 

爆豪(チッ…!デクじゃなかったか!!)

 

爆豪(まぁいいこの際…)

 

爆豪(どっちでもいい!!!)ブンッ!!

 

八百万さんの顔面に向かって殴りかかろうとする。

 

右腕を力の限り勢いよく振り下ろす。

 

八百万(しまっ…)

 

唐突の出来事に彼女も対処しきれなかった。

 

顔と拳の距離はもう1、2cm程度しか無かった。

 

 

 

ドオオオオンッッ!!!

 

大きな爆発音がこのフロア全体に反響する。

 

壁は見事に破壊されその瓦礫が散乱する。

 

八百万さんはというと…

 

 

 

緑谷「危なっ…掠った!」

 

寸での所で救出した。

 

前へ飛び出して彼女を抱き抱えそのまま転げ落ちた。

 

その間1秒。

 

お陰でヘルメットの左半分焼かれた(持ってかれた)

 

八百万「………な…」

 

緑谷「怪我無い?八百万さん」

 

八百万「貴方また……何故…」

 

緑谷「…()()()()()()()()()…」

 

八百万「え…」

 

気を探っていたのでかっちゃんがこのフロアに降りてきていたのも既に知っていた。

 

だが侵入した後の話だったので迂闊にその話題は出来なかったし他の階になんて移れなかった。

 

何よりここで…ケリをつけたかったから…

 

緑谷「…かっちゃん」

 

緑谷「僕を殴るのは勝手だけど他の人を巻き添えにするなよ…!」

 

僕の不注意で八百万さんに怪我を負わせる所だった。

 

自分の不甲斐なさに怒るとともに躊躇なく攻撃を仕掛けてきたかっちゃんを強く睨みつけた。

 

爆豪「…いつから俺に…」

 

爆豪「そんな口聞ける様になったぁああんっ!?」ダダッ…

 

かっちゃんも同様に怒りを露わにし再攻撃を図る。

 

こちらに向かって一直線に走ってきた。

 

 

 

【地下モニタールーム】

 

切島「うわあぁ…爆豪ズッケェェ」

 

切島「奇襲なんざ男らしくねぇよ!」

 

芦戸「よく避けたねー緑谷!」

 

麗日「」ピクピク…

 

麗日さんは緊張のあまりとうとう静止してしまった。

 

青山君はフォローに入ろうとするが…

 

青山「君彼の事心配?」

 

ってフォローになってねぇ。

 

オールマイト「いいや。反則でもなんでもないぞ奇襲は」

 

オールマイト「彼らは今実戦の最中なんだぜ!」

 

オールマイト(……それに大変なのはこれから…だろ?)

 

オールマイト(緑谷少年…)

 

 

 

 

 

 

緑谷「…!」

 

…驚いた。

 

以前まで見えなかった筈のかっちゃんの動きが全て捉えられていた。

 

何より…

 

爆豪「ぐぉらぁぁぁっ!!!」ブオッ…

 

ガシッ…

 

爆豪「何っ…」

 

その感傷に浸れる程の空白の時間がある事に…驚きを隠せなかった。

 

緑谷「っ……」

 

緑谷「ああ!!!」ドッ!!!

 

かっちゃんのパンチを難無く受け流し、見事に背負い投げを決めた。

 

爆豪「がっ…!?」

 

瞬時に大きな衝撃が背中を襲ってきたので思わず咳を出してしまう。

 

まさに【何が起こったんだ】みたいな顔しか出来ずかっちゃんはただ呆然とする事しか出来なかった。

 

それから数秒後ようやく意識を取り戻し起き上がる。

 

爆豪「……っ……んだ…!」

 

フラフラと態勢を立て直しながら僕はこう呟いた。

 

緑谷「…大抵1発目は右の大振り」

 

爆豪「!?」

 

緑谷「どれだけ見てきたと思ってる…」

 

緑谷「凄いと思ったヒーローの分析は…全部ノートにまとめてるんだ!!」

 

緑谷「君が1年前…爆破して捨てたノートに!!」

 

爆豪「……!!」

 

緑谷「かっちゃん…」

 

緑谷「僕はもうただの()()()()じゃないんだぞ…!!」

 

大きく息を吸って手にグッと力を入れこう叫ぶ。

 

 

 

緑谷「僕は……俺はヒーロー科1年緑谷出久だっっ!!!」

 

 

 

爆豪「…内心ビビりながら…そんな風に図に乗る所が…」

 

ビキビキ…

 

爆豪「ムカつくなぁ……!!!」

 

 




体調不良で更新が遅れると言ったな。

モ○「はい…期限が過ぎても一生懸命に…」

あれは嘘だ(デッドパニッシャー!

○ア「ウ、ウワァァァァァァ!!」




この俺が病感染位で死ぬと思っていたのか?

ヘェハハハ!インフルが感染したとて、予防接種を超える事は出来ぬぅ!!

流石は須井化と褒めてやりたい所だぁ…

(実は診察してもらってない事は内緒だZE)

(家で寝込んでた所3日程度で回復。お陰で咳も無くなったお)

さーてとこの口調やめやめ。<ヘェアッ!?

挨拶遅れました。須井化ですよ。

第8話いかがでしたか。

今回はデクVSかっちゃん突入まで。
相方が八百万ってとこ以外は大体原作通り…
かと思いきや所々変わってるな。
…いい加減【ヒロインは八百万】タグはつけないのかって?
いんだよ!この後ヒロイン出てくんだからもう1人(汗)!!

?時々出てる緑谷のストーカー?<ストーカー言うなし!

あの子を正式に登場させるまでもう少し時間かかります。もうちっとだけ続報を待つんじゃ。

(因みに私の治りが早かった要因の1つもこの人)
(え?訳わかめ?ならヒロアカのアニメHPチェック!)





<いやー最初にあの子んとこの枠決める辺りスタッフ有能マジ有能

<画像見た瞬間ぶっ倒れそうになったってマジで!

おっと余談が過ぎた。まぁその子の登場も待ち遠しいですねぇ!

次回の緑谷VSかっちゃんも目が離せませんぞ!あ、飯田君と八百万も、ね?


何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。
1月24日(火)以内に第9話の投稿を予定しております。
アニメ第2期も近づいて参りました!
始まるまでにUSJ終わらすぞー

お楽しみにー
皆様方体調を崩されない様お気をつけて過ごしてください!病は気からですぞー!



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