どこにでもいる無個性少年緑谷出久。
彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!
遂に幕を開けた雄英体育祭!!予選・本選共に順調に突破していく緑谷少年!
体育祭の最後を飾る第3種目、その気になる内容は生徒16人による勝ち残りガチンコトーナメント戦!!
準決勝前半戦は轟少年の冷ややかな熱い闘志が僅かに上回り、見事彼は決勝戦へと駒を進める事となる。
一方、緑谷少年は拳藤少女の助言により、ある決意を固めるのだが…?
更に向こうへ!PlusUltra!!!
Yeahhhh!久しぶりのナレーションだったが失敗しなかったぜ!!
…え?まだ録音終わって無かったの?
マイク<決勝戦1人目に上がったのは轟焦凍ーー!!エンデヴァーの血筋を引くだけあってかなりの実力派!!
マイク<このまま体育祭優勝なるかぁああっ!?
部屋に設置されているスピーカーから流れてきたアナウンスは上鳴君と轟君の試合が終了したという内容であった。
まぁ、なんとなく予測はしてた。皆個性のインパクトで忘れがちだが凍結を使う際、轟君が個性を解除をしない限り彼の脚も地面と一緒に凍結している筈なのだ。そりゃ脚を千切れる位の力が無けりゃビクともしませんわ
大方後ろに回り込んでケリいれたけど効果無しで終了と言ったところだろう。上鳴君が全快の時か、或いは無差別放電を使ってたならまだ話は別なんだが…
さてと……ここでまた更に1つ問題が生じたぞ〜
拳藤「ほんじゃ、私等も一丁行きますか
緑谷「待った待った待った!」
緑谷「あれから結局どっちが1番のゲートを通るか決めてないじゃないか」
拳藤「え、決めるの面倒だから一緒のゲート通っちゃダメ?」
駄目に決まってるだろ。
困ったな。つい話に夢中になって部屋から出るタイミングを逃してしまった…とは言え試合が始まるのは今から10分近く後の話。歩いて第1ゲートに向かっても十分間に合う時間なのだ。
緑谷「い、いやぁ控え室はそりゃ供用してもギリギリセーフかもだけどね?」
緑谷「入場する時に同じゲートから2人同時に来られたらそれこそ面倒な状況になりかねんからさ…」
拳藤「別に時間内にステージ入場済ませりゃいい話だろ?」
拳藤「そんな小さな事気にする程
緑谷「だ、だとしてもね!?ぼ
ガシッ
話している途中で突然拳藤さんが僕の手を掴み、ドアの方へ身体をグイッと引っ張っていく。またもやボディタッチですか…三度目の正直は本当に嘘つきだよね。
拳藤「要は先生に怒られるのが怖いんだろ?心配すんなって!」
拳藤「いざとなったら私がかばってやるからよ」
緑谷「い、いやいや!?庇うとかそういう話をしてるんじゃ…」
拳藤「はいはいそれじゃ出発ー」ガチャ…
緑谷「ぃぇぅぇぁぉぇえええっ!?」ダダッ
決死の説得も虚しく、半ば強引的に拳藤さんに引き連れられ僕は控え室を後にした。もう抵抗する気力も起きないよくそったれ…
べ、別に手を繋いで歩くのが死ぬ程嫌って訳じゃないけどさ…てか寧ろ嬉しいんだけどさぁ…
…死ぬ程恥ずかしいです…
結局、拳藤さんに導かれるがまま大人しく彼女の後をついていく他無かった訳だが…
緑谷「あ、あのさ…せめて入場ゲートを通る時は手を離した方が…」ダダッ
拳藤「別に気にする事無いだろ?何だ?それとも私と手を繋ぐのが嫌
ドッ
ドサッ
拳藤「いったたた…」
緑谷「け、拳藤さん?大丈……?」
「あ、あのっすみません!け、怪我ぁあぁりませんか!?」
廊下の角を曲がった直後、どうやら今僕達にペコペコとお辞儀しながら謝罪している男性とぶつかってその拍子に拳藤さんが転んでしまったらしい。
後方へ倒れたので僕自身には何の影響も無かったが、急に崩れ落ちたもんだから慌てて彼女に近寄って負傷したかどうか、様子を確認した。
幸い怪我は無かったようで安心した。
…でだ。この喋り方といい、皆はこの男性をどこかで見覚えがあるんじゃないかと思う。
どう考えても前回のコートさんですね。
パッと見ての初印象は概ね前回の説明通り。全身灰色のコートで覆って暑そうだなぁというのと話し方がオドオドとしてて僕と似ているなぁ…位かな。
いやでも、その
この人から感じる【気】は今まで感じ取ってきた【気】の中で最も僕に近い。
表現が難しいし、僕の語彙力じゃとても説明できないがこの人の【気】を認知した瞬間僕が感じた事をあえて一言で言うのであれば……
そんな風にコート男の様子をじっくりうかがっていると、唐突に彼が喋り始める。
「え、ぇっと…貴方達は確か、B組の中で唯一ベスト4にまで上りつめた拳藤さん……と………」
「もももぉもっもも、もしかして君は緑谷出久君ですか!?」
緑谷「は?」
「いやはや!お初にお目にかかります!私あるヒーロー事務所に勤めている者なのですが、是非とも君と一度お話ししたいと思っていたのですよ!現在の所、午前中の予選・本選、そして午後のトーナメント戦3競技ともに全て圧勝で決めていて…あっ!特にさっきの切島君との闘いは胸熱でした!スゴイ迫力ありましたし、スゴイ白熱してましたし、えと……とにかく色々スゴかったです!」
緑谷「…ぇ…ぃは」
来ました、褒めづくし
所詮子供だましの胡麻擂りだな。大方スカウトしたいから褒めに褒めまくってるんだろうが、そんなあからさまな煽て方じゃ僕の心はちっとも動かせないぞ。
「貴方の活躍は先生方からよく聞かせてもらっています!あのイレイザーヘッドさんと小競り合いを展開するも一歩も引けを取らなかったと言う噂では無いですか!プロ顔負けの高校生なんて居ませんよ普通!?しかもUSJで敵襲来があった時にはかなり奮闘していたと聞きます!様々な敵が数十人も一斉に襲ってきたにも関わらず、一寸も恐れずに立ち向かったそうじゃないですか!?いやぁ流石は今年の雄英入試で派手にロボ・インフェルノをワンパンした【0P殺し】の異名を持つだけあります!伊達に実技試験で100P以上の成績を残してませんね!感激です!」ペラペラ…
緑谷「い、いやいや!?過大評価ですよ〜。自分がした事は貴方が仰る程大した事ではありません!だだだだっだっってドッスン?0Pを倒したのは結果的にって話で仮想敵の真下にいた女の子が潰れそうになったから助けただけであって…そもそも担任と喧嘩したのは誇るべきような事ではありませんし、大体情けない事にUSJから帰ってきた時は即病院行きの重傷モノであったものですから、あまり活躍は出来ませんでしたし…寧ろ酷い事ばかりしてると言うかなんと言うか…」ペラペラ…
拳藤「……」
「そんな事ありませんよ。私は貴方のその常軌を逸する身体能力!個性の技術!!」ペラペラ…
「何より貴方のその正義に対する執念に心を揺るがされた!私は君の心技体全てにおいて買っているのですよ!」ペラペラ…
「非常に素晴らしい才能を持っている!貴方は!!」ペラペラ…
緑谷「そ、そんなぁ、恐縮ですよもうっ!」
くっ…見事に術中にはまってしまった。前回あんなシリアスな雰囲気出しながらグダグダと長話してたのに全くもって説得力が無いじゃねーか!ベタ惚れやないか!
で、でもよく考えてもみろ?この人入試とかUSJの事とか今までの出来事全て混ぜこぜでかつ簡潔にまとめて発言してるんだぞ!?こんなにたくさん褒め叩かれれば誰だって照れるって!
敢え無く彼の称賛責めに堕とされてしまった僕は完全にペースを取られ、ひたすら雑談をし続ける事に…トホホ。
「君には是が非でも職業体験で私達の事務所に来てもらいたいものです…」ペラペラ
緑谷「い、いやぁ…お気持ちはありがたいのですがその…まだスカウトさえ決まってないこの状況で一概には決めつけられないというかなんというか……」ペラペラ
拳藤「…おい、デク?」
「素晴らしい!他人の発言に流されず自分の意見を主張できるのは自己意識が高い証拠ですよ!益々君が事務所の
緑谷「え、試してたんですか?嫌だなぁ意地悪で…まぁ試される位の信頼があると思うと尚更嬉しいけど」ペラペラ
拳藤「おーい。デークー」
「あわよくば実際に君を一目見てみたいと思って控え室前に来た甲斐がありました。競技終わった後すぐにステージに行っても居なくなってたので今日1度も会えないかと思って冷や冷やしてましたよ〜」ペラペラ
緑谷「そ、そうなんですか?いやぁ光栄だなぁ…貴方のようなヒーローに認めてもらえるなんて………?」
夢中に話してる内に1つ、結構重要な事に気がついた。うっかりしてた、この人がどういうヒーローか知らないじゃん。そりゃ今の台詞に違和感感じるわな。
コートで全身覆ってるから特徴とかも分からないし、口調では流石に特定できない。せめてヒーロー名さえ分かれば脳内にヒットするかもしれないな…
………というかまずそもそも相手の名前聞かない時点で失礼極まりないな、おい。
今ならまだ遅くないと思い、コートの男性に名前を尋ねようとすると…
緑谷「あ、あの…そういえばあなt
「いえいえ!恐縮でございます!緑谷君のお陰で今日は有意義な時間が過ごせたというものです!あ、あの出来ればっ!私と握手して下さいませんか!?」
あーコレは普通に出遅れたパターンですわ。この手の会話は1度途切れると話が再開しづらいからなぁ。結局、僕の質問は勢いに流され名前を聞くタイミングを完全に失ってしまった。
まぁでも、別に握手した後聞いたって問題ないからな。少し大げさに考え過ぎたか。
コートの男性が右腕を伸ばしこちらに手を差し出すのを見計らうと、僕も左手を前方へゆっくりと伸ばしていく。
僕の手が彼の身体に触れる
まさにその寸前だった。
マイク<えー続きまして準決勝第2試合、緑谷vs拳藤の対決でございます
マイク<両者共にまだ来てねーから至急ステージにカモン!!!
マイク<試合開始まで残り3分切ったぞ!
廊下の壁にあるスピーカーからまたまたマイクの放送が…って何!?もう7分位話してたの!?いつまで経ってもやって来ない僕達に痺れを切らして招集をかけたのか……やばっ時間時間…
今の時刻を確認する為に前へ出していた左腕を自分の身体の方へ引き戻す。急いでポケットの中から携帯を取り出そうとすると
ガシッ
拳藤「すいません!自分等この後すぐに試合あるんでっ失礼します!!」
緑谷「うお!?」
「ぇ…ぁちょっと!?」
早口でコートの男性と挨拶を交わし、拳藤さんは僕の右腕を引っ張りながらその場を走り去っていった。
別れる祭にヒーローさんが何やら言いたげな様子をしていたが、まぁそんな事程気にする程の余裕は無い訳で気にも留めずそのまま入場ゲートへ駆けていった。
緑谷「ご、ごめんごめん…つい会話に没頭しちゃって」
拳藤「ごめんもへったくれも無ぇよ!デクが悠長に話しちゃってたからお客さん達待たせちゃったじゃんもう!」
緑谷「面目無い……」ダダッ…
拳藤「………」
拳藤「ま、いいよ。今回は何とか間に合ったし」
緑谷「う…ん」
さっき握られた時よりも掴み方がやけに乱暴だった事と、声が少々荒げていた事から僕は今、拳藤さんが苛立っているとなんとなく察した。
なんとなくも何もそりゃ何分間も棒立ちにされれば怒るのは当然だと思うのだが、さっきまで笑ってばかりだった彼女が突然感情を表に出したものだからつい驚いちゃって…
後さっきまで僕の顔をたまに覗きながら話しかけてたのに今は俯いて下を向いたままだからなぁ…相当機嫌損なわせちゃったのかな。
少し申し訳なさそうに思いながら入場ゲートへ急いで向かっていく。
今だからこそ、言える事だけどさ、
コート男について、謎が深まるばかりだったが…結局今でもあの人が一体何者だったのか見当もつかない。
何故なら、再会の約束は果たされる事なく彼との会話はこれっきりに収まってしまったのだから。
別世界だと色々とこの方にお世話になるとかならないとかだが……
……まぁ、それももう少し後に話すとしよう。
「………チッ。プレゼント・マイクめ…」
「後少しだったのを妨害されてしまった」
「まぁ、また職業体験の時なり、インターンの時なりに見ればいい話…か」
「それよりも気になったのは…」
ヴー、ヴー、ヴー…
「ん、誰からか電話が…」ピッ
「……
一方観客席はというと、僕達が入場するのを今か今かと待ち構えている状況で周りの民衆は次の試合…つまり僕と拳藤さんの闘いについて議論し合っていた。
「第2試合楽しみやなぁ。確か緑谷クンと拳藤ちゃんなんやろ?」
「果たしてどっちが勝つのやら」
「正直さっきの前半戦が実質決勝戦みたいなもんだと俺は思うけどねー」
「瞬殺電気と瞬殺氷だろー?聞きゃこれから闘るのは両者とも格闘戦専門って言うじゃねぇか」
「近づいた途端試合しゅーりょーって…んなのただの詰みゲーじゃねぇかよ」
「でも緑谷クンやってよー分からんスペシウ○光線もどき使うやろ?」
「触れるのがアカンやったら距離取って叩けばええんとちゃうん?」
「馬ー鹿。そんな悠長に遠距離攻撃する余裕があるのなら1回戦でセロハンが場外勝ちに出来てたし、或いは2回戦でインゲニウムJrがトドメ刺してたろうよ」
「奴のおっそろしぃ所は何よりその個性の発動の
「余程鍛錬してきたと見える。あんなの一朝一夕にできる
「
「こりゃ予想以上にあっけない結末になりそーだぜ。体育祭」
「せやろか…ウチにはとてもそうは思えへんけどなぁ…」
「……後拳藤ちゃんをおっぱい呼ばわりはやめときや」
「間違っちゃいねぇだろ間違
「ウオオオオッ!変わらずスゴイ熱気っス!!」
「男と女が小細工無しの正真正銘拳と拳のみでの語り合い!!」
「くぅぅ…これが青春っスか。熱すぎて火傷しそうっスよ!」
「………めっちゃ暑苦しいのが隣におるんやが」
「格好が制服だったし学生団体様か何かだろ。態々遠いところからご苦労な……」
「?どないしたん?」
「……いや、何でもねぇ」
「暑苦しー奴の被ってる帽子が
だが僕らの到着があまりにも遅いように感じていた
ある人は地面に脚を踏み付けは離しを繰り返し、
ある人は髪の毛をグシャグシャにかき回し、
ある人は爪を口に咥えてカリカリとかじり、首を長くして待ち続けていた。
切島「おっせぇな緑谷…後1分で試合始まんぞ」
麗日「どしたのかな。もしかしてさっきの試合のオペまだ済んでないんじゃ…」
憂わしぎな表情で第2ゲートを見つめる麗日さん。そんな彼女をなだめるように切島君は話し続けた。
切島「んな事ねぇだろ。轟と上鳴の試合が早く終わったからって、あの程度の痣で治療に数十分かかるなんてなぁ…」
切島「あり得ねぇあり得ねぇ」
芦戸「分からないよー?もしかして見た目以上のダメージどころか、かなりの致命傷だったりして」
切島「おいおいそりゃお門違いだぜ。いくら何でも過大評価だ、俺ァそこまで健闘してねーよ」
笑いながら茶化す芦戸さんの様子に切島君は直様ツッコむ。芦戸さんなりのフォローと捉えた為かその時の彼はとても複雑な表情をしていた。
一向に来る気配が無い僕と拳藤さんを皆が皆不審がっていたが、それ以外にも不安要素かある生徒も中には居た。
常闇「…緑谷の奴、かなりの消耗戦になりそうだな」
尾白「ああ。ただでさえついさっき切島とあんなに激しい攻防戦を繰り広げたばかりだ」
尾白「これで勝ち進めば、すぐに決勝戦」
尾白「休憩時間があるにしろ、これじゃ2、3試合連続で闘ってるのと何ら変わりないぞ」
瀬呂「おいおい…16人中最悪のクジ運じゃねーかよあいつ」
緊張の余り、震えている肌身を優しく撫り、高ぶる感情を抑えようとする蛙吹さん。
蛙吹「緑谷ちゃん…」
マイク「来ねえなぁ…2人共。一体何道草食ってんだか」
悟空「道路に草なんて生えてねぇぞ。マイク」
マイク「お前はとりあえず義務教育を1度受けろ。話はそれからだ」
…とまぁこのような風にピリピリとした雰囲気が試合開始1分前まで展開されていた訳だが、とりあえずは第2ゲートの方に目を向けて欲しい。
<チョッ…たい!…って拳籐さん一旦ストップ!
<だーもう時間ギリギリで何の躊躇をしてるんだ己は!
よく耳を済ますと2人の生徒の話し声が聞こえてくる。何故会話が聞こえるかはひとまず置いといて、その場にいた観客は声のする方へ視線を変える。
「お、この声は…」
「ふぅ…どうやら間に合ったみたいやなぁ」
マイク「ウオオオオ!どれだけ待たせてくれりゃ気が済むんだこのお馬鹿さん's2人組は!!」
マイク「さぁスーパーお待たせいたしました!準決勝、熱い後半戦を繰り広げる2選手の登場……」
「……」
麗日「……ほえ?」
蛙吹「…げこ…」
緑谷「た、タンマタンマ!拳籐さん?まだ今なら間に合うから!離して!後痛い!!」ギリギリギリギリ…
拳籐「間に合うも何も無いわ!お陰で恥かいちゃったじゃんもう…こんな大民衆の中で」グイグイ…
緑谷「と、とりあえず腕引っ張るのは止めてええええ!?」
ここに来てようやく第2試合に出る2名の選手がステージにその姿を現した。
何とか開始前に間に合ってくれて良かった……そうホッとするのも束の間、この現状だ。
男女2人が手を取り合い、仲良さげに一緒のゲートから入ってくる始末である。しかも時間ギリギリになって来やがった。
今変な妄想をした人、先生怒らないから後で職員室ね。
マイク「えー。コホンコホン…」
マイク「ゲホッ!!!」
緑谷 拳籐「「」」ビクッ
マイク「ウェ…うん」
マイクは咳払いを2、3度しながら深刻な顔つきでこちらに問いかける。
マイク「あー、あのね。チミ達」
マイク「アレだ。俺…おじさん優しいからさ、遅れた理由とかは強要しないけどさ…これだけは言わせて」
マイク「そういうのは、せめて高卒なってからヤッて?」
緑谷「」
一気に会場の空気が冷たくなってしまった。アレ、やべえ…震えが止まらない。体感温度的には暑い位なのになんで身体が凍えてるんだろハハ。
何だろう。大して重大な事でも無いし、というか下らない事の筈なのに…
なんで敵連合襲撃
何でもいい。まずは一言お詫びを入れて、さっさと試合ムードに戻そう。
そうするべきだと僕の野生的本能が53回位叫びました。
なので僕が大声を出す為に口を開こうとした瞬間、
緑谷「え、あn」
拳籐「あの、少々お時間くれないでしょうか。マイク先生…」
拳籐さんが僕の口を手で塞ぎ、マイク先生に弁明する余地を与えてくれるよう要求してくれた。
まずい!やめてくれ!それ以上やると恐ろしい事態になりかね
マイク「ん、まぁいいよ。で?何の時間?」
拳籐「遅くなってしまった事について、少し理由を説明したいと思いまして」
マイク「…お、おー、けー…ぷぷっ」
ダァァァそれはアカンヤツだぁぁ!やめろおおおっ!!
マイクがあまりの出来事に現実受け入れてないよ!?スゴイ失笑してますよちょっと!?悟空さん!何とかしてくださいよ!
悟空「………」
悟空「なんだなんだ?あいつらエッチな事でもしてたんかぁ?」
アンタもかぁぁぁ!ってか悟空さんそっち方面の知識あんの!?なんで!?確かに息子とか孫とか居るとか聞いてたけどさ、そりゃ無いよ!!?
お陰で状況が悪化してるわ!!
緑谷「ね、ねぇ…このままだと試合どころの話じゃ……」
拳籐「まぁまぁ、元はと言えば私が部屋間違えたのがアレだったし」
拳籐「上手く誤魔化してやるよっ」
とても頼もしい位輝きのある笑顔になっていますがとても誤解を解けるとは思えないんですがそれは…
後誤魔化すって…何をどう誤魔化すんですか拳籐さん!?おーい!?
拳籐「…えーと?この度はステージ入場までの時間が長引き試合開始の時刻が遅れてしまった等で、観客や職員の皆様にご迷惑をおかけして申し訳ございません」
拳籐「実は私今し方廊下で転んで足首を挫き、歩けない所をデッ…緑谷君が控え室2の所まで運んで下さいました。一応今は治りましたが、念の為という事で私と一緒にここまで足を運ぶに至りました」
拳籐「なので緑谷君は悪くありません。遅れて来たのもすべて私のせいなのです。然るべき罰は私が受けます。私を責めてください」
マイク「…………」
悟空「……」
「………………」
マイク「…えっと……拳籐、sun?」
拳籐「はい、なんでしょうか」
マイク「ナンデホケンシツにイカナカタノカナー?」
拳籐「………………」
拳籐「ほ、保健室が遠かったから、です」
気がつけば観客席のあちらこちらからざわざわと嫌な会話が耳に入っていた。
「うわー…密室で男女2人ってコレは確定だゾ」
緑谷「」グサッ
「へー。やるじゃんあの根暗野郎、少し素質はあるって期待してたんだよなぁ」
「そないな訳無いやろ!いくら年頃の男の子や言うても緑谷クンはアブノーマルちゃうで!」
緑谷「」グサグサッッ
上鳴「流石兄貴!大衆の前でも破廉恥を平然とやってのける!」
峰田「そこにシビれる!あこがれるゥ!!」
耳郎「シビれねーし憧れねぇわ!!」
緑谷「」グサグサグサッッッ
ざわ…ざわ…
「…」ざわ… ざわ…
ざわ…
ざわ…
拳籐「……」
拳籐「ホラ、何とかなったろ」
緑谷「何とかなってないよっ!?」
緑谷「というか最悪だよ!!今の台詞聞いた人全員に変な誤解招いちゃってるよちょっと!?」
拳籐「誤解?何のだよ」
緑谷「ホラ…アレだよ……その」
そんな同学年の女子に堂々と言える事な訳ないだろ畜生…後何でこういう系統は鈍感なんだ拳籐さん!?
最早正常な判断などする余裕も無かった僕にできる事と言えば大声で何かを叫ぶ他ならなかった。
何とか拳籐さんの目を覚まそうと奮闘を試みる。
緑谷「とにかく変なモノは変なんだよ!!」
緑谷「Hが付くくらい変なモノだよ!」
拳籐「変ってそもそも最初のスペルHじゃん!」
緑谷「そーいう事話してるんじゃないんだよ!!」
拳籐「じゃあ何だよ!言いたい事あるならハッキリ言いなよ!」
緑谷(ハッキリ言えねぇから言ってねぇんじゃねぇかよォォッ!?)
この話の噛み合なさにはもう救いようが無かった。地味に大衆の話し声が段々と大きくなっているし…
まずいです。このままでは体育祭とかスカウトとかそんな場合ではありません。退学です。しかもドが付くほどの変態というレッテルを張られて追い出されてしまいます。将来的に死んでしまいます。
事態の収拾もつく気配すら感じられないこの状況を何をどうすれば凌げるのでしょうか。あ、よーし。こういう時には円周率を数えればでぇじょうぶだみたいな事をばっちゃが言ってた(気がする)から試してみよう
緑谷「えーと、π=3.14159265358979323846264…」ガシッ
拳籐「ゴチャゴチャ言わんで早よ位置につけぇぇえっ!!!」ブオッ
緑谷「ぅおあああいっ!?」
「え」
マイク「え」
オールマイト「おっ」
悟空「おー高ぇ高ぇ」
それぞれ雑談に勤しんでいた観客達は一斉に目線を選手の方へ戻していく。
いや…そりゃ……
いくら筋力があったって15の女子が同じ歳の男子を片手で軽々と数十m投げられる訳ありませんって……
緑谷「わぶ!?」
緑谷「…ーてて……?」
投げられて程なく、背中にドシンと大きな衝撃が走った。痺れる背中を摩りながら立ち上がって後ろを振り向くと……
緑谷「…あ、あれ……1番…ゲート?」
マイク「お、おいおい…ゲートからゲートまでどの位距離あると思ってんだよ…」
悟空「ざっと100」
相澤<惜しい90mです
拳籐「さっきから何だか浮かない顔だったりキョドッてたり…混乱してて」
拳籐「何があったのかさっぱり分からんけどさ」
拳籐「ま、こいつは
軽く肩や肘を伸ばしながら拳籐さんがゆっくりとステージへ上がっていく。
静まり返ったと共に何故か突然重苦しくなった空気にある違和感を感じながら僕も彼女の方へと近づいていった。
セメントス「さっきは選手間の距離がかなり長かったが…」
セメントス「今回は逆に狭くなってるな」
後ろに下がってると急接近した時逃げ場が無くなるからな…第一、この娘はまだこれっぽっちも本領発揮していない。距離を無駄に置いとくなら自分から攻撃受けに行った方が対処はしやすい。
まずは2、3…いや4、5発位攻撃流して対策を……
拳籐「アレ、結構前に出ちゃってるけどいいの?当てやすくなるぞ」
緑谷「…それは君だって同じじゃないか。相手との距離が短いって事は己敵双方が受ける影響は大きくなる」
緑谷「メリットも何も、+ーゼロだよ」
拳籐「ほーん」
マイク「……え、ナニコレ始めちゃってE感じの雰囲気?」
ミッドナイト「一応言うけど、開始予定時刻からもう2分」
相澤<早よ
悟空「って言ってっぞ」
マイク「な…何か重大な事柄をスルーされた気がするけど……」
マイク「…ま、いっか。それじゃ遅くなっちまったが始めるぜ準決勝後半戦!」
ワァァァア…
やれやれ、一時はどうなるかと思ったけど何とか紛らわせ…たって言うのかコレ。つーかさっきから妙な事が起こりまくってて反応に困ってるって感じですよね。(とりあえず盛り上がってはいるけど)
マイクも困惑気味ってかさっきの聞いて引いてんのか知らないけど少しテンション下がってますよ。
マイク「レディィィィ…」
全く恥晒しもいいトコだな。一先ず強姦容疑は晴れたような晴れてないようなグレー的な立ち位置だけど…あーっとさっきの諸々については一旦忘れよ。深く考えすぎると集中力切れるし、うん。
この後は轟君との決勝戦も控えてるんだ。何なら最初から界王、いやでもできるだけアレは終盤まで使いたくな
マイク「START!!!」
スッ…
拳藤「……」
緑谷「……………」
は…?
拳藤「だから言っただろ?」
拳藤「 ま え に で す ぎ だ っ て 」
緑谷「マジでs
ズドォォッッ!!!
ズズズ…
緑谷「……く…ぅおぉぉぉ…っ…」
ズズッ……
「………」
緑谷「…ひ、ひゅぅ…」ガクガク…
ドサッ
緑谷「.い、いーー…」
マイク「………な、なぁおい…なぁおいさっきから一体何が起きてんだよ…?」
悟空「掌底打ちだ…いいカタチだぞ」
マイク「そそ…そりゃ分かるけども…」
相澤<嘘付け。見えなかっただろうに
相澤<…それよりも驚くべきなのは……
オールマイト「前の試合では何発もの打撃のダメージが蓄積されたのも合間って…」
オールマイト「だからこそ切島少年の攻撃は緑谷少年の芯に届き得たのだ」
スナイプ「……そういう話じゃねぇだろうよ。そもそも切島の試合でも倒れるって場面だけなら幾らでもあった」
13号「開始した瞬間…彼女は攻撃に出ていった。観客も、私達教員もそれだけじゃない」
13号「1番近くに居た筈の緑谷君にまでそれを悟られないようなスピードで、尚且つ…」
13号「ガードをして和らげた筈の衝撃でステージの端まで彼を押し出し膝までつかせた」
オールマイト「……拳藤少女、か。緑谷少年がヒーロー科兼A組のジョーカーなら」
オールマイト「
たった一瞬
そこで何が起こったのか。
そんなの答えはシンプルだ。彼女に
自分の脚は未だにプルプルと震え続けている。だが脳無を目前にして感じたモノとは感覚。また違った…恐怖というよりはまた別の。
いつから動いていた?スタートした後一体コンマ何秒で僕に攻撃を繰り出していた?さっき開始の合図が聞こえた瞬間、攻撃する手前彼女の姿が見えたけど…
ってか耳元で何か呟いていたぞオイ。アレ無かったら構えなんて作れて無かったぞ?イヤそもそも今ガードできたのもほぼ反射神経のお陰だけれど!全然動きが目に追いつかなかった!なんで!?確かに僕の目には彼女を捉…
緑谷(あ、でもおっp……面と向かうの恥ずかったから逸らしてたかも…)
緑谷(…あれ、また顔熱くなってる?///)
ってそうじゃない!別の話だ!
拳打1発で2、30m吹っ飛ばすとか
他の生徒とは全く違う!パワータイプとかそんな問題じゃない!拳藤さん……
た、多分B組の中だと1番ツヨイ…
拳藤「…どしたの。俯いて」
緑谷「…っ…」
拳藤「再度言っとくけど、私デクとの試合滅茶滅茶滅っ茶楽しみにしてたんだよね」
拳藤「
拳藤「ね、今は私と戦うんだから私の事だけ考えろ。ゴチャゴチャしたモンは全部取っ払ってさ」
緑谷「………はっ。何だそりゃ」
緑谷「まるで…そんな余裕も与えないみたいな素振りですけど?」
拳藤「分かってんなら早く立ちな」
拳藤「さっきから身体がウズウズしてるんだよ。お前と闘りたくて」
緑谷「…………」
ピッ
「…もしもし」
<あーら!Mr.0げんきしてるー?あいかわらずあいそのないこえね。
<でもつーかそこが【萌え】?てきな!
「何の用ですか。頼みますから不必要な用件で私を呼ばないでください!今日でもう153回目ですよ!?」
<なにいってんの〜?それはわたしとたいざいした20かかんぜんぶふくめてのはなしでしょ?
「平均して7、8回は電話してんじゃねぇか!!」
<まぁまぁそんなあつくならずに。クールなふうかくがいっきにだいなしだゾ♡
「で、なんですか。またポップコーン買えだとか無茶な頼みはいたしませんよね?」
<あー。それはいいわ。さっきのそこの
<もんだいはそっちじゃなくて
<もうはじまっちゃってるけど、ちゃんと
「……いえ、見れませんでした」
<え、マジで!?きみおとくいのアゲアゲからのアクシュしっぱいしちゃたの!?
「1人は話をしてる最中マイクの放送で…私とした事が、オールマイトの話題に夢中になって時間を忘れてしまいました」
<……あ、うん。そりゃシカタナイネ
「ガチ目に引いてもらうのやめてもらいません?」
<でももうひとり、カワイイこがいたでしょう?そのコとはせっしょくできたの?
「……ええ。直接触りはしました」
「…ただ…………」
<……ただ?おーい。けんしょうきん8100まんベリー?もしもーし
「いえ、なんでもありません」
<…そ。ならいいんだけど
<で、どうすんの?つぎの
「…
「ただ彼らは少しピンと来るものがあったので調べただけで、これ以上ここにのさばっては流石に怪しまれるかと…」
<さすがもなにも、もうけっこうなかずのヒトにあやしまれてるわよ。ワニ男クン
<ネヅくんにはもうきょかとってるんだからドウドウとすればいいのに〜
「潜入調査を堂々とやる馬鹿はいませんでしょうに……」
「それに、今回20回も周っておいてまだ手がかりの1つも掴めてない」
「ここは一旦退却すべきだと思います」
<……それでいいならわたしもかまわないけど?
<やろうとおもえばギョウレツむししてなんかいでも
<でもそれじゃれいのソバカスクンはしらべられずじまいだけどいいの?サー・クロコダイル
「…………あの、先程から気になっていたのですが」
「その呼び方やめてくれません?」
<………あれ?キミの二つな【アラバ○タの英雄(笑)】とかじゃなかったっけ?
「……」
<ってジョ、ジョークだよジョーク。イマはやりのパイレーツジョーク!
<ま、きがすんだらいつでももどっておいで。あとでくわしくきかせてもらうんだから。調査報告
<楽しみにしてるよ。サー・黒子クン…じゃなかった。
<…悪夢君♡
………えーと…その…ども須井化d
ふぉおっ!?(ガシッ
<誰だお前は…死にたいのか?
めめ、め滅相もございません!伝説の超復帰をさせていただきたく参りました…
という訳だぁ!
<どうやら死にたいようだな…(ググググッ
や、やめるんだ!それ以上気を高めるなぁァァアァ!ってか許してくださいゴメンなさい別にめだかボッ○ス見返してたとか貧○神見返してたとかアホ○ール見てたとかそういうんじゃなくてそりゃスマッシュタップはしてましたけどね!?というかこの1ヶ月何も無かった訳じゃねえんだよイデェェエェ!!!
<クズがぁ…どの面下げて帰ってきてるんだぁい?
お助けください!!7月と8月の9月分の月初めのコーナー10月の初めにまとめて公開しますから許してくださいお願いしますからァ!後更新少しずつでも早くしますからァ!後々貯まってたメッセージ返しますからァ!後々後セイ○○○さんの作品もちゃんとm
<うるさい!(チュドーン
…という訳で7月と8月の活動報告でした。
<活動報告なら別の所でやればいいだロット…
イヤ、確かに報告も書くんだけどさ。最低限の事は必ず目につく所が良いかなと。重要事項だし多少はね?
随分長いことお待たせしてしまいました。オラのヒーローアカデミア第36話です…はい。
7月にも少しで投稿するよと言っときながら50日経過…あの時はよくも七夕企画やろうとかほざいてたなこの野郎。
正直ここまで更新無しだと見てる人ってほとんど残ってないよね?よね?(チラチラッ
まぁだからと言ってサボる訳には行きませんが…そもそもコレは私の独断と偏見で2chから移動してまで行ってきた作品!元より打ち切りにする予定は無いですよぅ!
…ただしこの2ヶ月で何も心変わりしてないかというと嘘。もしかするとリメイク前よりも予想以上に展開変わるかも。そういう意味では有意義に1ヶ月半過ごせたよな。ってかそういう事にしよう。うん、人生前向き大事、ポジティブポジティブー
………とまぁここまで言っておけば大体の人は安心してますよね?とりあえず夏休みの戦績は別の所で公開するとしてちゃっちゃとあとがき終わらせましょうか。
まぁ長い期間空いていたせいか色々とカオスな事になっています。カオスな事になっている分、前回と2話1セットで結構
ただし鍋○先輩と○仙風紀委員長を出したのは反省している。ゴメン。なんとなくこの2人入れたかった。OPIって言わせたかったんじゃなかったんだからね?
さぁ次回もデク君と拳藤さんが2人揃ってイチャイチャする回だお楽しみに!!おや…病室のベッドの様子が…
ん?月初のリクエスト企画はどうしたって?腐☆腐。勿論出来てます。9割方は。
恐らく夜の間に投稿…出来るかなぁ。