どこにでもいる無個性少年緑谷出久。
彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!
遂に幕を開けた雄英体育祭!!予選・本選共に順調に突破していく緑谷少年!
体育祭の最後を飾る第3種目、その気になる内容は生徒16人による勝ち残りガチンコトーナメント戦!!
準々決勝最終戦は緑谷少年と切島の少年の格闘対決。
切島少年の猛攻に苦しまれながらも弱点であるスタミナ切れを突き、1度は倒したかと思いきや…
更に向こうへ!PlusUltra!!!
会場中がどよめき、波紋を呼ぶ。
それ程までにこの試合に衝撃的な展開が巻き起こっていたのである。
下克上…まるで生命の危機に直面した小ぶりな蛇が突如本能的に精強な大蛇に進化したかのように…
虚弱な蛇が強壮な白虎を捕食するその瞬間を…
今まさに彼は目の当たりにしているのである。
切島「俺ァ!ヒーロー科1年A組8番!!切島鋭児郎だぁっ!!!」
ズドドドド……!
緑谷「ぅっ…ぁ゛ぁ゛!?」ドバッ…
マイク「ここでまさかの超どんでん返し!?緑谷が切島のペースを崩したかと思いきや…」
マイク「更に戦況が傾いてしまったぁぁっ!?」
13号「この土壇場で追い込み!?」
スナイプ「おいおい…さっきまで内臓エグって致命傷出させる程の威力は無かった筈だろ?」
スナイプ「今になってなんで…」
オールマイト「…拳…」
スナイプ「?」
13号「手がどうしたんですか?」
オールマイト「ここからでは微かにしか見えんが…切島少年の握り拳の形を良く見てみな」
13号「え……別に特別形が変………」
それを言ったきり、13号の言葉はぷつりと途切れた。恐らくこの時点で切島君の変化に気づき彼と同じように唖然とする者も居たたろう。
先程までの拳打と今打ち込んでいる拳打の決定的な相違点…それは……
スナイプ「………なんで…あいつ……」
スナイプ「
通常、正拳突きというのは握り方が多少違えど相手の身体にぶつけるのは手の第2関節から第3関節の間の部分である。
何故ならこの方法が相手により大きなダメージが与えられ、尚且つ当たった時の自分の拳の衝撃を最小限に抑えられる為だ。
だが触れた時の手の表面積が広ければ広い程、相手に与える総ダメージが大きくとも一部のダメージが広範囲に拡散し、思った通りの威力は出す事ができない。
一方切島君が打ち込んだパンチは第2関節のみが相手に当たるように拳が握られている。
そうする事によって触れる表面積は小さくなり周りに拡散する事なくピンポイントに大ダメージを通す事が出来るのだ。
13号「ま、待ってください…確かに当たる表面積とその攻撃の威力は反比例するかもしれませんが…」
13号「あんな強硬な身体に関節のみを集中してしまえば骨なんて当たった瞬間砕け…」
オールマイト「
13号「え…」
オールマイト「硬化が使える切島少年だからこそ…」
オールマイト「あんな無茶な戦い方が彼にとって理にかなっている戦法なんだ…!!」
だが勿論、それを理解した上でも満身創痍の状態で急に攻撃の威力が格段に上がる訳など無いと観客は思いこんでいた。
それもその筈。これはあくまで体力がほぼ使い切って放っているパンチ。対してさっきはほぼ体力全快でガチガチに固めて打っていた攻撃だった。
いくらなんでも倍以上の威力が出る訳が無いのだ。常識的に考えればそうである。
ならば…逆に非常識に考えてみればどうだろうか,
例えば彼が……この死闘の最中無意識にパワーアップしていたとすれば?
果たしてそんな事があり得るのだろうか……
悟空「…」プルプル
マイク「ど…どしたカカロット…武者震いか?」
悟空「マッジかよっ…」
風向きが変わっても尚、彼は笑みを崩す事は無かった。
しかしマイクが見たのはとても喜びや快さを表す笑顔とは遠くかけ離れていた。
口の端を吊り上げ、眉毛は内側から外側へかけ下がり気味となり冷や汗をかいている。
悟空(……切島の奴……)
悟空(まだ気功波も撃ててすらいねぇのに)
悟空(いつの間に
【気】…これは体内にある全エネルギーの総称を指す。
動物・植物…この世に生きる者であれば誰もが持つものであり、裏を返せば気がない者は少なくとも既に現世には魂が残っていないだろう。あ、機械生命体は除くらしい。
気というのはその生命の全エネルギーを表す…いわば象徴のようなもので体力が減ったり身体が傷つけば気は小さくなるし、体力が回復したり怪我等が治れば気も大きくなり元の状態に戻る。
だが気が全快の時から突然ふっと膨れ上がる事は無く、大きくする為には地道に鍛えて少しずつ強くなる他ないだろう。それでも多少の誤差範囲に過ぎないが…
しかし…全ての生物には普段纏っていない秘められたエネルギーが存在する。
そのリミッターを解除するのがこの気の集中・開放の技術である。
身体の一点に全エネルギー(仮)を集中させ、攻撃の際戦闘力を瞬間的に上げるのを【気の集中】、その集中した気を爆発させ、それと全く同量のエネルギーを全身に満遍なく張り巡らせるのを【気の開放】という。
いつも僕が放っている気功波というのは体内の気を具現化し、外に放出させる…いわゆる気の集中のファーストステップ。
これが上達すればかめはめ波の時のような溜めなしで攻撃・防御の際瞬時に気を集中させ、通常の2、3倍の戦闘力は出せると言われている。まぁ気の開放を習得しない限り、その瞬間にしか戦闘力は上がらないよって話だが。
それを今、奇しくも切島君が体現してしまっているのである。
悟空(なんてこった…信じられねぇが確かに攻撃の時、一瞬気が膨れ上がった!)
悟空(気を知ってんならともかく何の知識もねぇ奴がいきなり使うなんて見た事ねぇぞ…!?)
悟空(八百万や爆豪は特にずば抜けて気を操るセンスはあると見込んではいたけど…)
悟空(緑谷との戦いでいち早く切島がその潜在能力を発揮しやがった…!?)
無論全ての打撃がこの気の一点集中に成功している訳では無い。そもそも気の概念すら触れていない切島君がこの技の正体を理解できる筈も無く、その時点でこの技術を応用するのは不可能なのだ。
そう…
ズドドド…!
緑谷「ぐっぅ゛…!?」
緑谷「………」ドドド…
実質の詰みに追い込んだ途端に…この反撃だ。何とか応戦しようにもさっきの一撃が相当入ったのか中々ガードが固まらない。
切島君の急激な攻撃力の変化に僕は動揺はとても隠せずにはいれなかったが、それと同時に彼に対して素朴な疑問を抱いた。
1発1発の威力の変動が激しすぎるのだ。
先程のように遥かに高い破壊力を誇る正拳もあれば、中には先の一撃どころか今まで放っていた打撃より威力が著しく低下しているものも存在した。
今の
そして自ずと身体がその主に教えてくれるのだ…勝利への道しるべを。
彼の勝利の執念故に切島くんにこそ成せた技と言うべきか…或いは偶然の産物というべきか……
何にせよこの現状を見る限り僕に理解できる事はただ一つ。
切島君はこの試合の中で飛躍的な成長を遂げているという事だ…!
この恐ろしい所は彼が今、現在進行形で進化している事。ポテンシャルというのは心にも左右されやすく、気まぐれ一つでその才能を開花させる事がある。
この状況を打破する方法自体は簡単だ。まだ不完全な技ならば相手の様子を伺って拳打の本命か否かを見極めればいいだけの事なのだ。
だがその識別している時間が長くなるにつれ、本命の割合が増えていき終いにはワザを完全に会得してしまう。
もういっそ界王拳を使いたいのだが…ここまででかなりダメージを負ってしまってる。この後治癒する事を考えると結構な体力を削る事となる。
界王拳を多用する事自体が命取りという訳だが…
緑谷(出し惜しみしてたのが裏目に出ちまったよ…畜生……!)
緑谷「ぐ…ぉばっ!?」
何度も内臓が無理やり圧縮され、多量の血を吐いてしまう。いってぇぇ…多分コレ相当痣できてるぞ……
開始直前まで漂っていた軽視ムードが急変、誰も見向きをしなかったこの試合が一気に注目の的となる。
「攻防戦があっという間に一方的に……」
「み、緑谷ってやつすげえ強かったんじゃねぇのかよ!?」
「違う…私達が
「彼の異常なまでのタフネス、そして隠れ持つ天性が僅かながら緑谷を上回った…!」
「切島鋭児郎…1年の中でも優勝候補に選ばれるに相応しい強さを持ったヒーロー予備軍よ!」
皆、善戦を繰り広げる切島君に少しずつ感化されてきているのだ。彼に無関心だった客は試合が進むにつれ威容に興味が表れ始めていた。
「すげぇ…すげぇよあいつ」
「
鉄哲「……っ……」
ガタッ
塩崎「鉄哲…さん?」
鉄哲「……ぃぃ切島ぁああああっ!!!」
鉄哲「やぁれええええっっ!!」
じっとしていられず椅子から立ち上がり、鉄哲君がステージに向かって大きく叫び出す。彼の声援に続いて会場全体が次々と熱狂で溢れかえっていった、
「がんばれぇぇ!硬いのー!」
「切島ぁ!ファイトォ!」
ワァァァア…
切島(皆…俺の名前を歓呼している……)
切島(そうだ、それでいい。これが俺のベストシチュエーション!)
切島(もっとだ…もっと俺を熱くしろ…っ!!)ドドドド…!
緑谷「…!?」
ここに来て切島君の連打の速度が更に増してきた。真偽の差がつかない…全てに圧が込められている!
マイク「防戦一方どころか、最早ガードも崩れかけ防御もままならない状況だぁぁ!」
マイク「緑谷出久なす術無しかぁー!?」
切島「うらぁぁっ!!!」ゴオッ
緑谷「…!」
燃え盛る熱気は、肉体を熱くし…その血をたぎらせる。屈強な精神と鋼の身体…それらが何倍にも増幅し
彼を勝利へと誘う。
ズドォオッ!!!
マイク「…………」
悟空「……あいつ……」
大歓声が始まったかと思うや否や程なくして再び沈黙の空気が流れ出す。
麗日「ぅ…っぉお…」
爆豪「………あのバカ…」
かっちゃんが唐突に放った【バカ】という言葉…それは誰に向けて言ったものなのか…
ズキッ…
切島「…っ痛……」
緑谷「はぁ…はぁ…」ボボボ…
油断など微塵もしていなかった。決して大蛇は締め付けを緩めようとはしていなかった。そんな彼に死角などある筈が無かった…
しかし…だからこそその時に生じた焦りがこの試合の勝敗を決定的にした。
一見僕の周りに纏っている派手な紅いオーラに気を取られがちであるが、切島君の方に目を向けてみよう。
彼の左脚が地面から離れているのだ。
恐らく切島君自身も今の攻撃のメカニズムをなんとなく理解してきてはいたのだろう。
だがそれ故に下半身にまでは注意が行き届かなかっだのだ。彼が出した攻撃は全てパンチ…逆に脚の方は全くの無防備状態だった訳だ。その事にさっきようやく気付いた僕は咄嗟に彼の左脚に蹴りを入れ込んだ。界王拳使ってね。
無論それでもさっきの正拳が使いこなせるようになれば速攻で倒しに行くという手も無かった……いや、切島君はその手の考えだっただろう。
常闇「…緑谷の方を見てみろ」
芦戸「あ、カイオーケン使ってる」
常闇「それもあるが…問題は奴の身体だ」
蛙吹「……あれだけ打たれた割には痣の数が少ないわね」
砂藤「って事はつまり…切島の攻撃力が著しく低下しているって事か?」
麗日「………」
1回戦、同じような末路を歩んだ麗日さんが1番彼の状況を理解していた。
長時間気張り続けた事により、切島君にはもう並の威力の拳打を打てるエネルギーすら残って無かったのだ。
左脚が後ろに反れ、身体が前へ傾く。
切島(た、おれ…!?)ググッ…
何とか右脚て踏ん張り態勢を立て直そうとする。
見逃す訳無ぇだろそんな隙!!
バヂィッッ!!
鋭い衝撃音が発生すると共に切島君が上空へ高く吹っ飛んでいく。
緑谷「威力2倍の…ジャン拳パーだ…!」
ズドォ!!
間もなくして切島君は急降下。勢いよく地面に衝突して、そのまま倒れ込む。
決着は着いたかに見えたがそれでも僕は戦闘態勢を崩さず構えていた。1回戦あんな極限状態の中でも立ち上がった底無しのタフネスだ。いくら界王拳を使っていたからと言って今ので倒れるとは限らんぞ……
緑谷「……」ボボボ…
ググッ…
切島「っぉ…」スクッ
盛大にジャン拳を食らった顎を押さえながらゆっくり立ち上がる。フラフラとよろめいている所を見る限り、こうかはばつぐんと言った所か。界王拳2倍の攻撃をモロに受けて尚立たれるだけでもこちらとしては大分ショックだけど…
その打たれ強さはかっちゃんと同等かそれ以上か。
緑谷(いっそ3倍にでも上げなきゃ気が済まなさそうだな…おい)
僕は両手をググッと握り締め、褌を締め直す。相手は切島君だ…ちょっとやそっとの攻撃じゃ倒れないとは思っていたがここまでタフとは…
リスク云々の話してる場合じゃねぇだろ。僕自身も腹括らねばならんぞこりゃ…
身体の周りに纏っているオーラは大きくなり、荒々しく迸る。倍数上げて第2ラウンド開
ドサッ
緑谷「……え?」ボボボ…
切島「悪り…ギブだわ俺」
ミッドナイト「…切島君降参。緑谷君3回戦進出!」
ワァァァア…
地面に臀部を打った彼から放たれた最後の言葉は、
あそこまで粘ったにも関わらず、やけに諦めよく降参しあっけなく2回戦最終試合は幕を閉じた。
とは言ってもほとんどの観客にとっては結果こそ見れば想定内だったものの。終始予想をはるかに覆す試合内容だった模様。
個々の感想は違えど、恐らく彼の葛藤はこの試合を見た全ての観客に【切島鋭児郎という漢に対する評価】に大きな変化をもたらしたのは確かだろう。
それは生徒も然り、教師も然り。
瀬呂「あらら〜惜しかったなぁおい!」
砂藤「多分俺ら生徒で界王拳の攻撃まともに
食らったの切島が初めてだからな…」
砂藤「流石にあのタフネスでも応えたか…
麗日「……凄い…切島君」
麗日「ウチよりかなり善戦してた感じだぁ…!」
麗日「かっこよかったよね!透ちゃ…」
葉隠「……」
爆豪「…」プルプル…
麗日「えと……」
麗日「どしたん?2人共」
葉隠さんの表情はとても嬉しそうなものとも悲しそうなものとも感じられなかった。
彼女自身、結果は明白だったし僕にある程度の期待は抱いていたと言う。
だがその頭の片隅には【切島君に勝ってほしい】という密かな気持ちもあった。それは中学の頃から他の誰よりも切島君の様子を多く見てきた事がある彼女だからこそ感じられたものだろう。
一方でかっちゃんは両手を強く握り締めて、プルプル震わせながらただただ俯くだけだった。
自分ならばあそこまでやれたのか?自分が切島と当たったら果たして勝てていたのか?
もとより彼も僕の勝利を確信していたが今回の試合の大きな展開で最も衝撃的に感じたのは多分かっちゃんなのではなかろうか…
爆豪(クソッ…クソクソッ!!)
爆豪(切島も…轟も…っ!)
爆豪(
爆豪(っんだよ…これじゃ……)
爆豪「これじゃ俺が弱ぇみてぇじゃねぇかよ…!」
芦戸「そいえば次、上鳴の番じゃないの?早めに行っといた方が…」
芦戸「でぃだっ!?」バチッ
青山「な、何だい!?今確かに全身に何かしらの衝撃が……」
峰田「静かにしとけ」
蛙吹「あら…急に改まってどうしたの?峰田ちゃ…………」
上鳴「はぁ〜っ…面倒くせぇ面倒くせ…」バチバチ…
上鳴「ちょっくら行ってきますか」スタスタ……
蛙吹「……あらあら」
峰田「何だよおい…今の見て滾っちまったってか?」
峰田「あんな殺る気満々の顔初めて見たぜ…」
円場「むぅ…どっちが勝つにしろA組だったからどーでも良かったんだが」
円場「やっぱし緑谷の圧勝かよ〜」
A組だけでなくB組でも今の試合の話題で持ちきりだった。落胆している円場君に塩崎さんがさりげなく話しかける。
塩崎「今のは圧勝…では無いのではないでしょうか」
塩崎「実際切島君の猛攻で彼、危ない場面はいくつもありましたし」
円場「おいおい…あいつの情報何も知らねーのか?」
塩崎さんの発言にため息をついて、呆れながら返事をする円場君。
円場「あの野郎が今出した界王拳…ビームやら空を飛ぶやらただでさえ超人じみたチート能力者だけどよ」
円場「あれ、単純に使う倍率だけパワーとかスピードが上がったりするっぽいよ」
塩崎「え!?ではさっき言った2倍…というのは?」
円場「多分戦闘力が2倍になったんじゃね?」
塩崎「な…そんな武術があるのですか……?」
円場「こっちの方が聞きてぇよ」
円場「しかも聞いたところそいつは最大で4倍まで使ってたとか何とかだと」
円場「とどのつまり、あいつはまだ本領発揮なんかしてねぇってこった」
円場「こんな化け物に果たして拳藤が勝てるかっつぅと…いくらクラスメイト補正つきでも俺にはとても応援できねぇよ」
円場「あれだけ切島が奮闘した結果がこのザマじゃ…むしろ同情するぜ」
次々とまくしたてる円場君に思わず息をのむ塩崎さんだったが、だが彼の発言に懐疑する者も少なからずいた。
突然物間君が彼らの話に割り込んでくる。
物間「…何だよ。随分A組の肩を持つな、円場」
円場「持つっ…つったってよ」
円場「お前も見たろ?あいつらの実力」
円場「ただでさえトーナメント進出できんかった爆豪相手に惨敗だったんだぜ?俺達ァ」
円場「今更言うのも馬鹿らしいけどよ…とんでもない奴らに喧嘩売っちまったなと」
円場「あんなん同期でできる差とは思えねぇよ」
物間「………あのさ、円場」
物間「なんで僕があれだけ本選で拳藤の存在を危惧してたのか分かるか?」
円場「あ?」
円場「………」
円場「お前が拳藤の事g
物間「お前一片死ね」
塩崎「???」
物間「…拳藤はさ、良くも悪くもいつもいい加減なんだよ」
物間「訓練の時だろうが何だろうが、彼女はヘラヘラ笑いながら課せられた任務も難なくこなしてる」
物間「つかみどころが無いというか…なんというか」
円場「…何が言いてんだよ」
物間「お前は拳藤の
円場「……」
物間「銃弾を避けるだけのスピードが出せるなんて知ってたか?違うだろ」
物間「一度でも拳法をかじってるなんて台詞聞いた事があるか?無いだろ」
物間「僕達は今まで
円場「あいつがそれだけ奮起してここ2週間で大分成長したって事じゃねーの?」
円場「なんで拳藤が今まで舐めプしてたなんて断言できんだよ」
物間「あのなぁ…円場」
物間「お前こそ情報網が狭いんじゃないのか?」
物間「拳藤がここの入試でどんな成績だったのか知らないのか?」
円場「はぁ?」
物間「筆記は合格最低点にドンピシャ。挙句実技は38P…35位の奴の成績より1Pだけ少ない結果になってる」
円場「………偶然じゃねぇのか?それ」
物間「もし最下位の奴と実技の成績が同じ38Pじゃ筆記の成績と比較された場合おじゃんだろ」
物間「まるでそう…最初から、最低でどの位のPを取れば合格できるかを知っていたみたいな……」
円場「んなアホな!受験生全員が1フロアで試験やっていたならまだしも何グループにも分かれてやったんだぞ?」
円場「あり得ねー!!」
物間「だからって偶然にしちゃ出来過ぎな成績だろ…とは言え、確かに普通に考えれば絶対に起こる訳がない事態なんだが」
円場「じゃあ一体何だって言んだよ…お前は」
物間「そんな事分かってたら苦労はしないさ。僕だって知りたい」
物間「だからこそだ…」
物間「…だからこそ、怖いんだ」
物間「常に何を考えているのか全く読めやしない…得体が知れないんだよ」
円場「……得体の知れない…ねぇ」
物間「今だってそうだ。3回戦まで大分時間があるってのに一向に戻ってくる気配が無い」
物間「試合も見れない程の用事があったのか…或いは
物間「……ま、結果的に僕が言いたいのは」
物間「ベスト8進出者を相手に深傷を負われるようじゃまだ無傷の拳藤に勝てる訳が無いだろって話だよ」
塩崎「……」
塩崎(結局の所どちらもまだ全力を出していない以上、容易に予測できない試合内容となりそうですが…)
塩崎(勝敗の行方は神のみぞ知る…と言った所でしょうか?)
塩崎(…それにしても……)
塩崎「急にいなくなりましたが、鉄哲さんは一体どこへ…?」
こうして4戦に渡る本戦トーナメント3回戦は無事終了した。
幾多もの観客の胸を熱くしてきた雄英体育祭もとうとう準決勝戦2試合、決勝戦の1試合を残すのみとなった。
マイク「ヘイ!リスナー!いよいよこの体育祭も大詰めだ!!」
マイク「大波乱の準々決勝も全て決着し、遂にベスト4が出揃った!」
マイク「No.2ヒーロー【エンデヴァー】の実の息子!その肩書きに恥じぬクール&ホットヒーロー!」
マイク「轟焦凍ーーっ!!」
マイク「対するは1年の中でも随一の速さの持ち主!本戦から急激に株を上げてきたビリビリ野郎!!」
マイク「上鳴電気ーーっ!!!」
マイク「本戦から目立ってきたと言えばこいつも忘れちゃならねぇ!唯一B組で準決勝まで勝ち上がってきたこの少女!」
マイク「拳藤一佳ーーっ!!!!」
マイク「そして大トリを飾るのが我らが大本命!!緑谷出久DAAA!!!!!」
マイク「予想を外し、尚期待を裏切らない!この怒涛の進撃を果たして3人は止める事は出来るのか!?」
マイク「こりゃもう誰が優勝するか見当もつかないんじゃねーの?カカロット!」
悟空「……そうだな…確かに」
悟空「
マイク「…え?」
相澤<……
マイクによる3回戦開始時刻の告知アナウンスが流れる中、入場口近くの廊下で立ちすくむ生徒が居た。
生徒は放送を聞き終えると同時に右拳を壁に思い切り叩きつける。
ドッ!!
「はぁ…はぁ……」
スタスタ…
「…?」
鉄哲「…おーおー」
鉄哲「どこにいるかと思ったらまだこんな所に居たのかよ」
鉄哲「情けねぇ面して戻ってきやがってよぉ。エリート様と存分に戦えた気分はどうだよ?」
鉄哲「切島」
切島「……誰かと思えばおめーかよ」
つい先程まで猛火の如く満ち溢れていた闘志も試合の敗北と共に燃え尽きてしまったのか、彼の悲愴な顔つきからは最早その面影すら見られなかった。
鉄哲君が目にしたのは、全身から覇気がすっぽり抜けだした弱々しい切島君の姿であった。
切島「感想?ぁぁ、最悪だよ。胸糞悪りぃ」
切島「あれだけ出しきっといて結局
切島「完敗だよ、今回も」
鉄哲「…」
鉄哲君は淡々と話し続ける切島君に少しずつ近づいていく。
切島「いやぁ…こりゃ鍛錬不足だな」
切島「もうちっと特訓気合い入れねぇとなぁ」
鉄哲「……ぉぃ」スタスタ…
切島「惜しいとこまでは行ったと思ったんだけどよ」
切島「何せ全身痺れるくらい酷使しちまってたからなぁ…参るぜ」
鉄哲「おい…」スタスタ…
切島「すまねぇな…お前から必死こいてもぎ取った一勝だったってのにな」
切島「……無駄にしちま
ガッ!
突然、近寄ってきた鉄哲君が切島君の顔面を思い切り殴りつける。
壁に強く衝突し、その衝撃で痛む傷を手で押さえながら切島君は殴りかかってきた彼を睨みつける。
切島「何してんだよ…っ!こちと」
そう言いかけた途端、鉄哲君が切島君の胸ぐらに強く掴みかかってきた。強引に引っ張られ首を痛めながらも話し続ける切島君。
切島「ってぇ…な…何を……」
鉄哲「ふざけんなよ…おい」
鉄哲「てめぇの武勇伝なんざ今はどうでもいいんだよ!」
切島「は…?じゃ一体何を……」
持ち上げている切島君の身体を激しく揺らしながら彼はこう言い放った。
鉄哲「なんでぇ…」
鉄哲「……なんで棄権したんだよ!!切島ァ!」
鉄哲「お前1回戦の最後、酷使して動かねぇ足腰を無理やり立たせたから勝てたんだろうが!!」
鉄哲「さっきギブした時だって、本当はまだ戦える気力は残ってた筈だろ!?」
鉄哲「なんであんな中途半端な結果で終わらせた!?」
鉄哲「なんで最後まで戦おうとしなかった!?」
鉄哲「なんでなんで…なんでだよっ!!」ググッ
服を握る力を徐々に強めていく。更に持ち上げる高さも段々高くなっていき、息が苦しくなる。
切島「っ……」
鉄哲「何だァ!?B組程度の雑魚には負けんのは死んでも御免だが、緑谷なら強ぇし仕方ねえと自己満で妥協でもしてたんか!?」
鉄哲「どうなんだっつってんだよ!!」
切島「……………」
髪を逆立てて、怒りを露わにする鉄哲君に切島君はボソッと呟き質問に返答した。
切島「……何も知らねぇくせに偉そうな事言うんじゃねぇよ…」
鉄哲「………は?」
彼の答えに一瞬頭をよぎってしまう。
自分が理解できないから聞いてるのであってそれを【分からない癖に】と難癖をつけられても本末転倒な話なのである。
訳も分からず鉄哲君の怒りは更に増していく。
鉄哲「知らねぇからテメェに聞いてるんだってんだろ!?」
鉄哲「意味わかんねーな本当!!」
切島「あー…悪い悪い」
切島「確かにこれじゃただ言い訳してるようにしか聞こえねーわな」
切島「でも実際、俺はおめーが凄く羨ましかった」
鉄哲「はぁ!?さっきからグダグダと長く駄弁りやがってよ!!」ググッ…
鉄哲「言いてぇ事があんならはっきり言え!漢だろが!!」
切島「…………あの時、もしお前が勝っていたら…」
切島「俺よりも緑谷に勝つ可能性は高かっただろうよ」
鉄哲「…?」
切島「俺が棄権したのは別に疲れたからとか、どうでも良くなったとかそういう訳じゃねぇよ」
切島「あの時点で既に……」
切島「棄権する前にもう俺は緑谷に負けてたんだからよ」
緑谷『だぁああっ!!』
脳無『ッッッ!!!』
ズドドドドッ…
(入学式の日から、あいつからとてつもない異臭が漂っていた)
(何か、こう……こいつは他の奴よりもスゲェ才能がある…みたいな)
(胡散臭いなぁ…程度にしか思ってなかった)
(いや、おかしいだろ…何だよその姿)
(テレビでプロヒーローの活躍を遠くから眺めるのとは全く違う感覚だった)
(間近でだからこそ、
(胡散臭ぇ?そんなレベルの話じゃねぇよ…本当に学生でたどり着ける次元の強さなのか?ありゃ…)
(あいつの烈烈たる闘姿からは圧巻どころか、恐怖…狂気すら感じていた)
『すげぇ…すげぇよあいつ』
『
『がんばれぇぇ!硬いのー!』
『切島ぁ!ファイトォ!』
ワァァァア…
(俺は内心ほくそ笑んだ)
(俺は今お前と同じ土俵に立ってるんだって)
(俺はようやく、お前と対等に渡り合ってるんだって)
(それだけで滅茶苦茶嬉しかったんだよ)
(どうだよ?お前も俺の事はちったぁ……)
緑谷『はぁ…ハァ…ッ!!』
切島『……っ!…』
(ギラついたその鋭い眼つき、血が出る程まで食いしばったそのボロボロな歯、ピリピリと震わせるその眉毛)
(完全に
(なんでだよ…脳無に比べりゃ俺なんて屁でもねぇのになんでそんな必死になっ………)
切島「その時に、もう勝負はついていた」
切島「最初から俺は緑谷に勝つ気なんて全く無かったんだよ」
切島「俺ァ…ただ緑谷と張り合いたかっただけなんだ」
切島「【緑谷は俺より圧倒的に強い】…その固定観念にまんまと惑わされちまって」
切島「ずっと俺はこの試合は負けるって決めつけてた…」
鉄哲「……」
切島「…緑谷はどんなに簡単な問題でも手を抜かねぇで全力で挑んでる」
切島「当たり前…だよな」
切島「その当たり前の事すら俺は出来なかった」
切島「負けても平然として【仕方ねえ】、【相手が強過ぎただけ】って…」
切島「それ所か…【予想以上に奮闘できた】とか、【俺は強くなった】なんて不確かな自分の成長だけ喜んで」
切島「結果は惨敗だったのに…試合自体には満足しちまってる」
ポタポタ…
切島「悔しいよ…」
切島「悔しいって…そう思えねぇ自分が……」
切島「超辛ぇよ!!」
切島君は高ぶる感情を抑えられず、思わず涙ぐむ。涙が垂れてしまった事に気付き焦って右腕で目を擦るが、拭き取るどころか更に興奮してしまい目から涙が溢れ出てきた。
切島「っの…畜生!」ゴシゴシ…
切島「くそっっ!!クソッ!くソっ!!クッッッそッ!!」
切島「はぁ…はっ…!」
鉄哲「……じゃあ何だよ」
鉄哲「次は負けても【悔しい】…そう思えられりゃお前は万々歳だってのかよ」
切島「…」ゴシゴシ…
切島「いい訳ねぇだろ」
切島「負けっぱなしは御免だな。あいつに作られた
切島「今回は心技体…全てにおいで完敗だった」
切島「鍛えて鍛えて鍛えまくって…今よりもっと強くなってやるよ」
切島「精神も、肉体も…全部丸ごと限界を何度もぶち抜いてやらぁ」
切島「その
切島「目標なんて最初から存在しなかった。今回の体育祭でようやく分かったよ」
切島「俺は
彼は笑いながらそう言うと、鉄哲君の右肩に右手を静かに乗せすぐその場を離れていく。
鉄哲君は以前より何倍も大きく見えたその背中を確認し、ようやく一安心する。
鉄哲「…何でぃ…肝が座ってんじゃねぇか」
鉄哲「漢だねぇ」
チュゥゥ…
緑谷「ぅぉっ…」スポッ
リカバリーガール「はいよ。とりあえずこれで治癒終了さね」
緑谷「ありがとうございます…」
流石にこの傷だらけの身体で3回戦に挑むのは辛いので、いつもの事ながら接吻タイム。今でもまだ慣れないんだよなぁ…これ。
効果音が生々しいというか…皮膚吸ってからのスポて……
リカバリーガール「打撲数か所…か」
リカバリーガール「あんたにしちゃ珍しくないかい?こんな傷負って帰ってくんのは」
緑谷「そ、そうですかね」
リカバリーガール「相当切島の攻撃が応えたみたいだねぇ」
リカバリーガール「これまでにあんたが来たのって対人戦闘とUSJの時位だと思うけど」
リカバリーガール「爆豪と闘り合った時はそんなに怪我は多くなかったような…」
まぁそもそも食らった数が文字通り桁違いだったからなぁ…あの時受けたのは4、5発程度だったし。
あ、かっちゃんと言えば…
緑谷「そういえば爆豪君は…」
リカバリーガール「確かあんたの試合が始まった直後にここから出てった筈だよ」
リカバリーガール「多分緑谷と切島の試合は見てたんじゃないのかねぇ」
緑谷「そうですか…なら良かった」
緑谷「あ、後それから…」
リカバリーガール「八百万でしょ?まだ眠ったままだよ」
リカバリーガール「あの娘の傷相当深かったし」
なんと喋り終わる前に僕の用件を言い当ててしまった。何故僕が八百万さんの容態を聞きたいって分かったんだ…?
リカバリーガール「…いや、さ。さっきまであの娘頭痛があったのか唸っててねぇ」
リカバリーガール「
クスクスと薄笑いをしながらリカバリーガールは僕に説明する。いや…なんで笑ってんのアンタ…
リカバリーガール「意識無くなる寸前まで委員長の事を考えていたなんてねぇ…」
リカバリーガール「随分と良い信頼関係が築けてるじゃあないかい」
緑谷「…信頼関係…?」
リカバリーガール「…というかさぁ……」
リカバリーガール「もしかして緑谷、八百万と付き合ってたりとかは」
緑谷「そ、そそそそそんな滅相な!断じて違います!違いますから!!あり得ません!」
首を激しく横に振りながら必死に否定し続ける。興奮して露骨に顔を赤くしてるから尚のこと怪しく思われるんだなこれが…
突然何を言い出すんだリカバリーガール…まだ知り合ってから1ヶ月弱しか経ってないんだぞ!?いや確かに入試前にバッタリ会ったのもカウントするとざっと半年ぐらいは経ちますけれど!
リカバリーガール「どうだか…疑わしいねぇ」
リカバリーガール「それにしてもすぐ照れちゃって…」
リカバリーガール「ピュアだねあんた」
褒め言葉として受け取っておきますよ…一応。
緑谷「と、兎に角!僕この後またすぐ試合控えてるんで!お邪魔しました!」
コレ以上の長居は禁物だと判断した僕は座っていた丸椅子から立ち上がり、早歩きて出口へ向かった。
ペコっとお辞儀を済ませると粗暴にドアを開けて焦って保健室から去っていった。
リカバリーガール「あらら…どさくさに紛れて逃げちゃって」
リカバリーガール「これまた興味深いネタができたねぇ…ふふ」
リカバリーガール「それにしても重傷の方の切島はどこで道草食っているのやら…」
緑谷「…ふー…危ない危ない」
緑谷「全く、いきなり何を言い出すかと思ったら……」
緑谷「あんな事言われちゃ恥ずかしくて居ても立ってもいられないよ」
リカバリーガールのお茶目っぷりに少々落胆しながらも控え室へ向かって廊下をとぼとぼと歩いていた。
何度も言うが僕は彼女の事を性的な目でしか見ていない訳じゃないんだぞ。そりゃまぁなんか大分前にコスチュームの説明した時の、アレ欲望丸出しな文章だったかもしれないけどさ!?彼女賢いし?文武両道だし?IQ高いし?ってIQ高いのは賢いのと変わらんだろ!…ほら、だから…憧れとか、尊敬みたいな…?そういうイメージを持っている…的な、そういう………
だーもう!要するに言いたいのは僕は変態じゃないって事だよ!!
………あれ、今自分で取り返しのつかないような事を言った気が………
緑谷「付き合う…かぁ」
ただ1つ言っておくが僕は全く彼女に興味が無いという訳ではない。…あーうん。だから性的とかそういうのじゃなくて……
そりゃ…彼女は可愛いし…その上頭良いし…何でもこなせちゃうし………
好きか嫌いかどっちかと言うと……………
「なぁオイ。見たかさっきの」
「あー…
「当たった奴も可哀想だよなぁ。溝があり過ぎる」
「こりゃ準決勝も決勝も決まりかなぁ…」
緑谷「………」
「…?アレ、今誰か通らんかった?」
「気のせいじゃね?ほれ便所便所」
咄嗟に気を消して正解だったと思う。
……そう、だな。そんな事より今は…
『僕も
今は…………
たまたま通りかかった2人の男性の口からこぼれた会話が僕の胸へ深く突き刺さる。
とてもじゃないが気休めできるような状況じゃないわな…
本気で皆と向き合おう…開始前まではそう張り切っていたのにこれじゃあな………
決勝…かぁ。順当に行けば轟君に当たる筈…いやでも上鳴君の隠し玉相当えげつないからなぁ……
いずれせよ、これじゃ何の進展も生まれそうに無いけどな。
界王拳を2度使った上に治癒を行なった為か少し頭がくらくらする。まぁ多分今してる頭痛は別の問題だと思うけど…
控え室のドアに頭をペタリとつけて思いふけるが頭痛は一向に治らない。ぐぬぬ…保健室出た途端にこれかよ…
…正確にはさっきの会話を聞いた後だが……
緑谷「仕方ない。とりあえず部屋に入って休むとするか…」
ため息を1回つくと僕はドアノブに手を伸ばし、控え室に入ろうとした。
ドアノブを手で握ったその瞬間だった。
なんと
ドアノブを掴んでいたものだから部屋に誰かがいるという驚きよりも先に引っ張られ前へ転びそうになるのを焦って阻止しようとするのに必死だった。
ドアが開いた拍子に身体が前へ傾き、部屋の中へ強制入室。やばいな…この勢いじゃ開けた人にぶつか………
ドサッ
緑谷「い、いて…てぇぇ」
緑谷「……?」
前方へ脚が傾いていた筈が、いつの間にか後ろの地面に尻もちをついていたらしい。少々痛むお尻をさすりながらゆっくり立ち上がろうとする。
「あ、ごめん…どこか怪我無……て」
緑谷「……え……」
ようやく直立したかと思うと再度後ろに倒れ込んでしまう。勢いよく地面と衝突したもんだから結構お尻にヒリヒリ来たが痛みとか、疲れとかそんな事を感じている余裕などなくなっていた。
だって……おかしいだろこんなの…奇遇とか偶然とかじゃねぇってこんなの…
なんでさっきから何度もこの娘と遭遇してんだよ……
緑谷「け、拳藤さん…?」
拳藤「おーまた会ったな少年君!つーかデク!」
拳藤「2時間ぶり?あいや……」
拳藤「
はい。お久しぶりでございます皆様。1ヶ月ぶりの本編更新ですよ!
なんか月曜には上げられるでしょヘッヘッヘーみたいな事言っていたような気がしたが別にそんな事無かったぜ!(隠蔽)
ご心配をお掛けして申し訳ございません。展開が困ってた訳じゃありませんよぅ!
地の文作りに手間取ったとか!(の割には後半会話ばっか)
忙しかったとか!(聞き飽きた)
風邪引いたとか!(正味どーでもいい)
色々あったんだよっ!!(以上の事から須井化がサボリ魔である事が成り立つ)
<お陰でこっちもぉー暇だったYO
<という訳だぁ!
まぁそんなこんなでドタバタしてたので今回のは大目に見てくだサイヤ。
<できぬぅ!!
<後で
ぉぉぅ。
…とまぁいつまでもグダグダと謝罪をしてもうんざりするでしょうしお詫び自体は活動報告に載っているのでそっちを適当に流し見してくれると幸いです。
<いいぞぉ!…
<ってゑゑゑっ!?
さて、第34話いかがでしたか?
ちょいと切島君に重点を置いたおかげでかなり量を食ってしまいましたが、自分的には満足です。
体育祭以降も彼には色々とお世話になる場面が出てくるので少しは期待してもいいのよ。
そして今回は色々と重要な情報もわんさかと出ています。いつ順位は原作通りだと錯覚していた?(一応後付けではない)
リメイク前だと気の集中→爆発→開放と三段階踏みましたが、気の爆発の仕組みがちと分かりにくいかなぁと思って【気を爆発して開放させる】という風にミックスして簡易的に集中と開放の2種類のみにしました。
…え?そもそも気の云々自体が分からない?……………
知 ら ん な (ヤケクソ)
※真面目に意味不明という方がいらっしゃいましたらメッセージでクソボケナスとすぐにご連絡を
次回はオチの通りデッ君が拳藤さんと密室で2人きりです。
密室で2人きりです。
密 室 で
<うるさい!
多分準決勝第2試合開始まで…進められるかな?今回のを見る限り控え室での会話に時間食いそうだなぁ…
最低でも上鳴VS轟は書き切るつもりなのでよろしくお願いします!
できれば1週間以内に次回の投稿ができればいいと思います。アニメも結構進んでしまったからなぁ…追いつかねば……
あれ、もしかしてステ様kt?ってかん?もしかして体育祭で今期終わり?