悟空「オラの?」緑谷「ヒーローアカデミア!」   作:須井化

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前回までのあらすじ

どこにでもいる無個性少年緑谷出久。

彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!

遂に幕を開けた雄英体育祭!!予選・本選共に順調に突破していく緑谷少年!

体育祭の最後を飾る第3種目、その気になる内容は生徒16人による勝ち残りガチンコトーナメント戦!!

2回戦第1試合は個性【洗脳】を見破った轟少年が見事勝利を収めた。

嘆き苦しむ少女の姿を目の当たりにし、緑谷少年は何を思う…

更に向こうへ!PlusUltra!!!


第31話

ちょっと話題が逸れるのだが…皆覚えているかな?

 

大分前に少し触れていた【連続ヒーロー殺人犯】。

 

第2試合を始める前にこの男の話をしよう。

 

 

 

 

 

【超常】発生後史上最も凄絶なこの(ヴィジランテ)を……

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴー…ヴー…

 

「お?」

 

 

身体が激しく振動する。服のポケットを手探りし、バイブが鳴っているスマホを取り出す。

 

どうやら兄弟から電話がかかってきたようだ。

 

……あ。予め言っておくけどこの人ヒーロー殺しじゃないよ。というかヒーローだよ。

 

 

ピッ

 

「あー…俺だけど」

 

<兄さん?良かった…無事つながったみたいだ

 

「なんだなんだ?お前今日体育祭の筈だろ?なんでかけてくる」

 

「大体俺、現在進行形でパトロール中だし」

 

仕事中に電話をかけてしまった事を申し訳なく思い、弟は物悲しい声で返事をする。

 

<む…そうか。ごめん

 

<兄さんに色々と報告したい事があったから伝えようかと思って…

 

「バッカ。そういう土産話は家に帰るまでのお楽しみにしとけ」

 

「割とマジでお前1位になるの期待してんだからよ俺は」

 

「後お袋が録画してるお前の活躍本人からネタバレされる訳にもいかねーし」

 

 

「ま、兎に角頑張れよ、天哉」

 

飯田<ああ。ありがとう、兄さん

 

 

兄からの後押しを受けた飯田君は嬉しそうに挨拶してから電話を切った。

 

…っと…この場合は飯田弟と言うべきか。

 

そう…何を隠そう、今唐突に出てきたこの人物は飯田君の実の兄。ターボヒーロー【インゲニウム】なのである。本名は【飯田天晴】。

 

飯田君の着用しているモノと同様のプレートアーマーのコスチューム装着し、只今街のパトロールで外を出歩いていたのだ。

 

因みに個性の能力自体は同じだがお兄さんの方は腕に排気筒が付いてます。

 

 

天晴「よーしよし、歩道異常なし。車道も問題ない!」

 

天晴「今日も平和だ天晴れ!天晴れ!」<俺だけに

 

 

インゲニウムはグッと背伸びをし、硬くなった身体をほぐす。多忙な身としてはのんびりと外の空気を吸うのはとても心地よい事だろう。

 

…まぁのんびりとするのがパトロールじゃないけどさ。

 

 

ひと気が無く、薄暗い路地裏を悠々と巡回する。こういう気づきにくい場所での犯罪って結構多いんだよね。

 

買い物帰りに3人組のチンピラに痴漢に遭う危険性もあるので皆も路地裏を通る時には気をつけよう。

 

天晴「ここは…不審者も誰も居なさそうだな」キョロキョロ…

 

見る限りこれといって怪しい箇所は見つけられなかった。ここも他の場所といたって変わらず難事は何1つ起こってなさそうだ。

 

 

だが念には念を。

 

彼は歩くのをやめ、道の真ん中に佇む。

 

耳を澄まして微かな音も漏らさず聞き取ろうとしているのだ。

 

天晴「…いい天気…だな」

 

東京という大都会ではあるものの、辺りの自然の豊かな恵みは依然として美しく、肌で感じとれる。

 

絶え間ない鳥のさえずり。優しく吹くそよ風の風音。

 

 

 

 

 

 

 

ダッ……

 

 

そして小刻み…されど重く、速く地面を踏み込む足音。

 

天晴「!?」

 

「ひとりめ」

 

グオッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所変わって…雄英高校。

 

インゲニウム(お兄さん)への電話も済ませ、もうじき始まる2回戦第2試合……

 

上鳴君との対決に備えていた。

 

飯田「緑谷君と当たるとしたら決勝」

 

飯田「それまでに僕は上鳴君と轟君に勝ち続けなければなるまい…か」ギュッ

 

緩みかけていた靴紐を硬く縛る。心強い兄からの声援もあり、心体共に準備万端と言っていいいだろう。

 

 

だが彼には一抹の不安があった。勝てるイメージがいつになっても掴められない。

 

この学校に来るまで当然のように学年のトップの座に着き、ヒーロー家の恥にならぬよう日々精進してきた。

 

しかし蓋を開けばどうだ。皆のリードを引っ張るどころか足を引っ張るまでになってしまう。

 

USJで自分は何をした?ただ脳無に殺されかけ、気絶していただけ。友が、先生が死を賭して命を繋げてくれたその場面を自分は見る事すら叶わなかったのだ。

 

 

飯田(不甲斐ない…不甲斐ない)

 

飯田(自分がこの場に甘んじている間にも彼らはさらなる飛躍を遂げている)

 

飯田(自分は弱い……)

 

 

麗日『皆将来に向けて頑張ってる!』

 

麗日『そんなら皆ライバルなんだよね…だったら…』

 

麗日『決勝で会おうぜ!』

 

 

飯田(だが、今俺は家族と友の思いを背負っている)

 

飯田(ここまで来たんだ。兄の為にも…)

 

飯田「見事No.1になってみせよう…!」

 

ガチャ…

 

 

 

 

 

 

 

 

ワァァァア…

 

緑谷「……」スタスタ…

 

切島「お、緑谷帰っ…」

 

切島「ってなんか顔面崩壊してる!?」

 

とぼとぼとベンチに戻ってきた僕は目尻が下がり、眉毛や目が情けなく垂れていた。いつもの数倍陰気臭かったとか何とか…

 

前回の(あんな事あった)直後に席戻ってきたから仕方ないんだけどさ…

 

いや、いい加減この話はやめよう。ここ最近何故か頭痛に魘される事多いんだが…

 

緑谷「次の試合は…飯田君と上鳴君か」

 

緑谷「速度対決ね…………」

 

 

あ…という事は……

 

直様トーナメント表に目をやると、轟君の線が第3回戦の方にまで伸びていた。あ〜…もう轟君と心操君のは終わってしまったのか。

 

僕のと麗日さんのは把握しているからまだしも切島君と鉄哲君の試合と今の2人の試合を見過ごしたのは辛いな…

 

緑谷(まぁ後々VTR見てぼちぼち書いていけばいっか)ペラ…

 

少しがっかりしながらも渋々ノートを開き次の試合を書き取る準備を進めるが…

 

 

お?

 

緑谷(これは…見ていないはずの2試合分…というか僕と麗日さんのも?)

 

緑谷(なんで!?)

 

覚えの無い書き記しに混乱してしまうもその原因はすぐに分かった。

 

戻ってきたと見るや葉隠さんがこちらに手を振ってる事に気がついた。実際には短い袖を振っているようにしか見えないのでしばらくしてから気付いたんだけどね。

 

葉隠「…」フリフリ…

 

緑谷「……葉隠さん…か」

 

それを一目見て大体の事情は察せた。一体何故その行為をしたのか素朴な疑問も残ってはいたが善意あっての事であると解釈し、彼女にペコリと一礼した。

 

…何か字が独特的で解読するのに時間がかかりそうなのですが。

 

緑谷(先手必勝…恐らくどっちも始まる瞬間とっておきを使ってくる筈だ)

 

緑谷(とすると…勝敗を左右するのは……)

 

 

 

 

 

マイク「さぁ…集えよ速さを極めし戦士達よ!」

 

マイク「その速度、雷の如し!!」

 

マイク「ヒーロー科!上鳴電気!!」

 

上鳴「へへ…」ワァァァア…

 

 

マイク「その速度!…ええと………とにかく速えよ!」

 

マイク「同じくヒーロー科!飯田天哉!!」

 

飯田「よしっ」ワァァァア…

 

 

マイク「1年の最速決定戦と言っても過言じゃあねえこの戦い!」

 

マイク「さあ制するのはどっちだぁああ!?」

 

悟空「おめぇ今の轟と瀬呂ん時も使ったよな…」

 

想像の域を遥かに超えた2人の超スピード。この対決の結末など誰にも想定つかないモノで、本戦でも注目すべき名試合と言えるだろう。

 

まさかこの2人の直接対決が実現するとは…

 

 

上鳴「俺対策はバッチリしてきたか?飯田」

 

飯田「いいや…上鳴君は?レシプロ対策」

 

上鳴「まさか…」

 

飯田「だと思った」

 

マイク「START!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【東京都保須市:とある路地裏】

 

男は不思議に感じていた。

 

自分は路地裏に居た1人のヒーローに斬りかかってきた筈だ。刀と標的までの距離が10cmと無かった所までそのヒーローは確かに彼の目に映っていた。

 

 

だが刀を振り下ろしたと思うとなんとそのヒーローは視界から消えていたのだ。速度から考えれば捉えていた距離から彼に刃物が当たるまでの時間は実に0.1秒程。

 

つまり奴は0.1秒の間に攻撃を避けたと言うのか…まさか……

 

空を切る間に既にヒーローの姿は前方から消えていた。単純に考えればこの時間内に遠くまで逃げる事は不可能の筈だ。

 

という事は……

 

 

 

「…上か」

 

 

天晴「危な危な……コンマ1秒でも反応遅れてたら首斬られてたぞおい…」

 

 

 

男が上を向くと看板の上に先程のヒーローが居るではないか。間一髪インゲニウムは敵の気配を感じ、個性【エンジン】を使って攻撃を回避する事に成功したのだ。

 

「成る程。速い」

 

「流石に口だけでは無さそうだ」

 

天晴「おいおい…こう見えて10年近くはこの職就いてんだぞ」

 

天晴「そんじょそこらの新米さんと見くびられては困るな」

 

「見くびってなどいない」

 

「【ワンポイントの個性を拾い上げて適材適所に配置】」

 

「【チームの総合力で勝負】」

 

「チーム“IDATEN"…」

 

「代表、ターボヒーロー【インゲニウム】」

 

天晴「おー…そこまで調べてもらっているとは光栄光栄」

 

天晴「流石は暗殺のプロ。情報通だな」

 

「………」

 

天晴「まさかこんな所で貴様みたいな大物をお目にかかれるとは運がいいのか悪いのか…」

 

天晴「殺人・殺人未遂合わせてざっと40人」

 

天晴「S級凶悪犯…ヒーロー殺し」

 

 

 

 

天晴「通称【ステイン】」

 

ステイン「ハァ……」

 

ステイン「貴様…最初から気付いていたな……ハァ」

 

天晴「さぁ?なんとなく、()()()()()()()()()()()だよ」

 

ステイン「……」

 

天晴「言葉足らずだったかな?」

 

 

 

 

フッ…

 

天晴(消えっ…速!?)

 

淡々と喋っていたインゲニウムだったがその矢庭に今度はステインが消えてしまう。そして…

 

 

 

ステイン「ハァ……ァ」

 

天晴「っそだろ!?」

 

ステイン「下らん茶番をするつもりは無い」ジャキッ…

 

一瞬にしてステインはインゲニウムの顔先にまで接近する。助走無しの飛躍力といい、動きの素早さといい他の敵とは桁違いの身体能力だ。

 

右手に持った刀を再びインゲニウムに振り下ろすステイン。

 

咄嗟に後ろにジャンプして致命傷は避けたものの、攻撃自体は当たってしまい右足首を斬りつけられてしまう。

 

天晴「チッ…掠った」

 

ステイン「ハァ……ハァ……」

 

 

またもや攻撃を避けられてしまったステインだったが、どういう事か彼は不気味な笑みをこぼしながら……

 

 

 

 

 

 

ステイン「終わりだ」ペロッ

 

天晴「何…!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【雄英高校:体育祭会場】

 

マイク「START!!」

 

飯田「はっ!!」DRRR…!

 

開始のゴングが鳴ると同時に飯田君がレシプロで勝負を賭けに出た。異常なまでの早さで上鳴君に接近する。

 

それに対し彼は微動だに動かない。

 

上鳴「…」

 

飯田(何故動かない?この速さなら君の隠し玉とやらを使わん限り対応できん筈…)

 

飯田(何にせよこの内に!)ダダッ…

 

黒煙を激しく巻き上げながら左脚を上げ、蹴りを浴びせる

 

 

 

 

 

が……

 

飯田「なっ!?」スカッ

 

飯田(消えた…?このタイミングで!?)キキーッ…

 

キックが触れる寸前に彼は上鳴君の姿を見失ってしまう。急停止して前後左右…ならば上下かと全方位確認して見てみるがやはりいない。

 

マイク「オッシー!後ちょいでイイダーキック決まったのに…」

 

マイク「て、ってかあれええ!?突如フィールド内から消えた上鳴!!」

 

マイク「何処いったあいつ!飯田完全に棒立ち状態!!」

 

悟空「消えてねぇよ」

 

マイク「Where!?」

 

悟空さんの言う通り、上鳴君は消えた訳ではない。凄い速さで彼の気が移動を繰り返している。何より……

 

 

 

ダダダ…

 

飯田「足音…!」

 

 

小刻みに地面を踏み付ける音が微かに耳に入ってくるのがその証拠。飯田君の周りを円を描くように走っているのだ。

 

飯田(だが…捉えられない…!)

 

ダダッダッ…

 

飯田(いや…こんな速さ視認できるわけないだろう!)

 

飯田(見るんじゃない!感じるんだ……) ダッダダダ…

 

目では追えないと見た彼は聴覚を研ぎ澄まし、精神統一を図ろうとする。

 

だがそう易々と攻撃させる隙など与える上鳴君では無かった。

 

緑谷「飯田君!!止まっちゃ駄目だ!動け!」

 

 

飯田「がっ…!」バキッ!!

 

 

 

彼はすれ違いざまに飯田君に強烈な蹴りを食らわせる。スピードが早ければキックの勢いも強くなる。相当な威力上昇となるだろう。

 

飯田「くっ…」

 

バキッ!!

 

飯田「うっ!?」

 

絶えず攻撃を続ける上鳴君。こんな状態で雷速の相手の動きを見切れる筈もなかった。

 

ミッドナイト「1度姿を見失えばまた捉えるのは至難の業ね」

 

ミッドナイト「更に彼は上鳴君より先に必殺技を使ってしまった…制限時間が同じ以上実質先にPPが尽きた方の負け」

 

ミッドナイト「焦りで尚更集中し辛いわ」バキッ!

 

緑谷「…飯田君」ドッ!!

 

 

 

ズドッッ!!

 

飯田「…ぁっ…!!」

 

ドサッ…

 

 

攻撃によるダメージは予想以上に深刻なものでとうとう膝をついてしまう。

 

咳き込みながらすぐに彼は態勢を立て直す。

 

飯田(レシプロを使って…5秒経った)

 

飯田(もう半分を切ってしまった…)フラフラ…

 

飯田(駄目…なのか?また俺は……)

 

上鳴「そろそろ…終いにするぜ!」ダンッ!

 

上鳴君はよろけながらも立ち上がった飯田君に向かって後ろから飛びかかる。トドメを刺すつもりだ。

 

 

狙いは…頭部。

 

緑谷「っ…飯田君!!う

 

そう喋りかけた時には既に彼の脚は飯田君の頭に触れていた。

 

 

 

ガッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【東京都保須市:とある路地裏】

 

 

 

 

ポタポタ…

 

天晴「はっ…はぁ…!」

 

ステイン「ハァ……所詮この程度か」

 

 

 

刀で脚に切り傷が出来て早3分、彼は最早瀕死寸前にまでに追い込まれていた。身体のあらゆる箇所が斬りつけられて出血しており、身体を動かす事さえままならなかった。

 

というか…

 

天晴「妙だ…な、なんで……」

 

天晴「こいつの攻撃受けた途端何故身体が動かない!?」

 

ドッ!

 

天晴「っあ…!」ドサッ

 

ステインの膝蹴りを顎に諸に食らってしまったインゲニウムはその場に倒れてしまう。

 

痛みに苦しめられながらも何とか立ち上がろうとするもやはり動かない。ステインが押さえつけるように脚で彼の顔を踏みつける。

 

ガッ

 

天晴「ぅ…かっ……」

 

天晴(個性…か?なんなんだこいつ)

 

ステイン「ハァ……適材適所…か」

 

ステイン「結局貴様らも何も理解していないようだな」

 

天晴「何…だと?」

 

ステイン「優位な場限りの強さの英雄(ヒーロー)など以ての外」

 

ステイン「敵は神出鬼没、闇に潜む…ハァ……いつ何処で現れるかなど分かったものではないだろう」

 

ステイン「適当な場を提供するのでは無い。その者が適応せねばならんのだ」

 

ステイン「貴様は……ハァ……自分が適応出来ない環境ならばやむを得ないとその場を去るのか?」

 

天晴「そんな事…一言も……言ってねぇだろ…っ!」

 

天晴「馬鹿正直に突っ込んだ所で犠牲者が増えるだけ…その人にはその人なりの最善の術を使えばいいんだよ……!」

 

ステイン「……ハァ…」

 

ステイン「愚策だな」

 

 

ステインは踏みつける脚の力を強くする。

 

ステイン「そんな意識の低いようなヒーローがこの世界にのさばってはならんのだ」ミシミシ…

 

天晴「っぁぁあ!」

 

ステイン「本当に人を救いたいのであれば己の欠けてるであろう点を何かしらで補うか消去できる」

 

ステイン「自分ではこれが限界だと諦め、ハァ……無理だと決めつけるような輩はただの半端者なのだ」

 

ステイン「貴様はそういう人間だ。ハァ……ただの偽善者」

 

天晴「っ………」

 

 

 

 

『兄さん、凄いや。かっこいい!』

 

『僕も兄さんと一緒に人を救ける仕事に就きたい!』

 

 

 

天晴「…………」

 

ステイン(…何だ?)

 

 

突然、インゲニウムは黙り込み静かに静止する。脚の力をいくら強めても微動だにしなくなってしまった。

 

叫ぶ気力も尽きたと見たステインは脚を顔から離し、刀を構える。

 

ステイン「英雄の最期だ。ハァ……遺言位は格好をつけたいだろう」ジャキッ

 

天晴「………」

 

 

天晴「お前の言っている事は理解したよ」

 

天晴「けど()()()()()()()

 

天晴「テメェの仁義だ正義だを武力を使って恐怖を染みつけ身を以て覚えさせる」

 

天晴「貴様のせいで何人の人々が怯えていると思う…?」

 

天晴「敵の癖に正義面してるお前の方がよっぽど偽善者だバカ」

 

ステイン「………ハァ…ハァ…」

 

ステイン「それだけか?」

 

天晴「……」

 

ステイン「多数の幸の為に少数の犠牲は必ず伴ってくる」

 

ステイン「せめて貴様も命を張って世界の手綱を引くがいい…!」グオッ…

 

ステインはインゲニウムの頭部目掛け刀を思い切り振り下ろす。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天晴(……そうだ。俺はまだまだ未熟者だ)

 

飯田(友を救うどころか、迷惑までも散々かけてしまっている)

 

天晴(今の自分の力じゃ乗り越えられねぇ壁も沢山ある)

 

飯田(今の自分の実力じゃ皆を助けることも守る事すら十分に出来ない)

 

 

 

飯田 天晴((…だけど……こんなザマじゃ))

 

 

 

天晴(天哉に)

 

飯田(兄さんに)

 

 

 

 

飯田 天晴「「顔向け出来ないだろっ!!!」」

 

 

 

 

 

ステイン「!?」ガッ!

 

DRRR!

 

天晴「ハッ!」

 

 

ステインの刀が地面に埋まってしまう。攻撃が当たる寸前、インゲニウムは後ろに回って紙一重で刀を避けたのだ。

 

そして瞬時に個性【エンジン】で距離を詰める。

 

怒りの鉄拳を食らうが良い。

 

天晴「うおおおっ!!!」ブンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

グルッ…

 

上鳴「…ジかよ」

 

飯田(ギリッギリ…避けれた!)

 

マイク「う、うおお…飯田…会心の一撃何とか回避ーー!!」

 

悟空「まぁ正確には避けたんじゃねぇけどな」

 

キックに擦りはしたものの蹴る方向に向かい蹴り以上の速さで回転し威力を相殺した。

 

さぁ、これで上鳴君は無防備状態だ。

 

上鳴「や、ヤバし……」

 

受け流した際の回転を利用に脚に残っている限りの力を込め、渾身の一撃を浴びせる。

 

飯田「トルクオーバー…」

 

 

 

飯田「レシプロバースト!!!」ブンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

…と思いきや

 

 

ブオッ…

 

飯田「何っ!?」

 

またもや回避されてしまう。崩れてしまった態勢を立て直そうとするが…

 

背後から上鳴君の声が聞こえる。

 

上鳴「俺はこっちだ」

 

飯田「しまっ…

 

 

 

上鳴「だりゃっ!」ズドッッ!!!

 

 

飯田君が振り返った途端、彼は顔面に勢いよく上段蹴りをお見舞いする。眼鏡は顔に強くめり込み、その圧力に遂には割れてしまう。

 

ステージ横の壁に向かって吹き飛んでしまう飯田君。

 

 

 

 

ドガァァッ!!

 

飯田「っぅあ……」

 

 

壁に強く衝突し、体力も時間も限界を超えてしまいその場に倒れ込む。

 

 

ミッドナイト「飯田君場外!!」

 

ミッドナイト「上鳴君3回戦進出!」

 

上鳴「っしゃあ!!」

 

マイク「あぁぁあっと!インゲニウムの弟、ここに崩れる!」

 

マイク「最速王に輝いたのは上鳴電気だぁぁぁっ!!!」ワァァァア…

 

悟空「…うーん…最後の不意のつき方は勝てると思ったんだけどよ…」

 

緑谷(速攻で焦りすぎたのは痛いにせよ飯田君は善戦してた)

 

緑谷(やっぱり元々の速さに差が表れてるのか…?)

 

緑谷(もしかすると轟君にも…)

 

轟「……」←いつの間にか席に戻っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怪我をリカバリーしてもらい、試合を終えてから早10分が経過した。

 

飯田君は廊下をとぼとぼと歩きながらベンチに戻りつつあった。

 

飯田「くぅぅ…!後少しで勝てると思ったのだが…」

 

飯田「上鳴君…この1ヶ月で相当なパワーアップを果たしていた」

 

飯田「僕も負けてられん。明日明後日は休校だが休んでなどいられんな!」

 

負けてしまった事を悔やみつつも敗北も糧とし今後に生かそうと意気揚々としていた。反射的に動いたとはいえ上鳴君の動きについていけたのだ。特訓の成果が自ずと見えてくる。

 

そんな時ポケットに入れていた携帯が震え出す。飯田君も誰かからお電話が来ているようだ。

 

取り出して、早速電話する、

 

プッ

 

飯田「もしもし…ああ母さん」

 

飯田「すみません。負けてしまいました」

 

飯田「結果は…」

 

飯ママ<違うの!その事じゃなくて!!

 

飯田「?」

 

 

いつもより母の声が荒々しい…何かあったのだろうか。少し嫌な予感がしながらも話を続ける。

 

飯ママ<ごめんなさい…あの…天哉

 

飯ママ<落ち着いて聞いて

 

飯田「…はい」

 

飯ママ<…天晴が…天晴が……

 

 

 

 

 

飯ママ<兄さんが敵に…!!!

 

飯田「!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ステイン「……ハァ……ハァ…」

 

ステイン「名声…金…ハァ…」

 

ステイン「どいつも…こいつも…ヒーロー名乗りやがって…」

 

ステイン「ハァ……ハァ、テメェらは…ヒーローなんかじゃねぇ」

 

ステイン「彼だけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

ステイン「俺を殺っていいのはオールマイトだけだ……」

 

天晴「…」

 

 

 

 

 

 

後に残ったのは

 

辺りに散らばった多量の血と

 

無惨な彼の姿だけであった。

 

 

 

 

 




須井化です…はい。

ここ最近遅れる事がお約束になってしまっている…無理なスケジュールにしているつもりは無いんですが…どうしても時間がねぇ…

まぁその分番外編を増やすだけです。




…え?そんな時間あるなら本編書く時間確保しろやだって?

本編のペース上げて息詰まるよりも番外編書いて息抜きした方がいいじゃないですかヤダー…



今回は飯田+天晴君のターンでしたね。

回を重ねる毎に量が減ってる…不思議。

感覚としてはいつもと同じ位なのに…(馬鹿)

まぁこの後拳藤さんと八百万さんと戦う事を考えると仕方ないっちゃ仕方ないですけどね。

なら天晴消せよなんて突っ込みはしちゃいけない。折角IDATEN出したんだから…ね?(震え声)

いかがでしたか?



次回は前述通り拳藤と八百万のキャットファイト。

多分4試合目も入るんじゃないかなぁ…って気はします。うん、多分。

4人の熱い戦いを見逃すな!!




何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。か、風邪になったデク君の看病したい人募集中!4/15日までだから急いで書くべし!?締切間近!まぢか!








4月15日(土)18:00に第32話の投稿を予定しております。アニメが終わった瞬間始まるぞ!…で先週の分も見てないのですが…
お楽しみに!














<親父ぃ…どう考えても遅れるのにいいのか?

of course。やれば俺は出来る子なのだからなぁ!

ふーっふっふあーはぁーはぁーはーっうあぁ
<これ以上遅れない意思を見せなければ俺はペナルティを増やし続けるだけだぁ!

………



集中力ぅ…ですかね。
※もう何も言わない事にした。だってフラグが立ちそうですもの。

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