悟空「オラの?」緑谷「ヒーローアカデミア!」   作:須井化

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前回までのあらすじ

どこにでもいる無個性少年緑谷出久。

彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!

遂に幕を開けた雄英体育祭!!第1種目の障害物競走もぶっちぎりの1位で予選通過!

第2種目の騎馬戦では八百万・拳藤少女、常闇少年と共に数々の奇襲を退けた。

後1分と言う所で飯田少年の秘策【レシプロバースト】により轟少年に1000万Pが奪われてしまうが…

不屈の精神で持ちPを取り返し、見事最終種目へと足を入れる事となる。

更に向こうへ!PlusUltra!!!



第25話

騎手を胴上げしながら歓喜するチームも居れば

 

納得出来ない結果となり泣き崩れるチームも居た。

 

各々の所感に違いはあれどそれを胸に収め、午前の部のプログラムは全て終了した。

 

 

さて、ここで前回紹介しそびれた騎馬戦のリザルトを発表しようか。4位までだけど。

 

 

まず前回も発表された通り、1位は緑谷チーム。トータルは1000985P。元々の持ちPと轟君が最後所持していた70Pと490P、序でにいただきました。

 

2位はかっちゃんチーム。トータルは1350P。見事物真君からハチマキを奪い返したまでは良かったものの…僕達に追いつくまでには至らず時間切れ。

 

3位は……多分B組の誰かしらか轟君辺りかと予想するのだろうが、1番これが意外な結果だった。

 

 

心操チーム。因みに言っておくと心操という生徒はヒーロー科には在籍していない。彼は普通科の生徒。この間かっちゃん達に宣戦布告してきた男子だ。

 

トータル1105P。ついさっきまで鉄哲チームが所有していた得点とそっくりそのまま…というか彼らが持っていたハチマキ2本ですね。

 

僕自身あまり目をやる余裕は無かったが発表時のマイクの異様な驚き様を見る限りPを入手したのはタイムアップ寸前と考えるべきだが……果たしてどうやって彼らは鉄哲君達からハチマキを取ったのやら…

 

そして最後、4位でギリギリ通過したのは轟チーム。結局自分達の持ちPだけで騎馬戦が終了してしまうが、幸いな事に元々の所持Pが高かった為どうにか生き残る事だけには成功する。

 

以上が最終種目への出場可能チーム。出場可能チーム。

 

大事な事だから2回言った。

 

 

 

 

マイク「それでは1時間ほど昼休憩入れてから午後の部始めるぜ!じゃあな!!」

 

ガヤガヤ…

 

 

競技が一旦終わっても観客席の賑やかさは変わらず、寧ろ障害物競走や騎馬戦の観戦によりヒートアップしてきていた。

 

早速今生き残った16人から誰が優勝するのかとネットで議論の嵐が熱く繰り広げられていた。

 

逆に生徒の大半は午前の競技で疲れ果てており、とぼとぼと食堂へと向かっていく。今日は特に時間も少ないし混むだろうなぁ…

 

 

 

蛙吹「悔しいわ三奈ちゃん!おめでと」

 

芦戸「うーん…爆豪は轟対策で私入れただけだからなぁ」

 

芦戸「実力に見合ってんのか分かんないよー」

 

羨ましがる蛙吹さんに対して微妙な反応を示す芦戸さん。酸は汎用性あるしかっちゃんの判断合ってると思うけどな…案の定活躍しましたし。

 

羨ましいといえば麗日さんが飯田君に色々文句言ってたな。

 

麗日「飯田君ずるい!あんな超必隠してて!」

 

飯田「ずるいとは何だ。あれはただの【誤った使用法】だ!」

 

反論の仕方が飯田君っぽいな。一発逆転の起死回生を狙う技としちゃ上出来だし僕からすれば【立派な活用法】だ。

 

上鳴「ウェーーイ!」

訳:楽しかったアレ

 

そういえば上鳴君、電邪気になるんだったね。…デンジャキって誰だ。

 

飯田「どうにも緑谷君とは張り合いたくてな」

 

麗日「男のアレだな〜…っていうか」

 

麗日「その緑や…デク君は?」

 

飯田「そう言われてみれば轟君も居ないな…」

 

 

 

 

 

 

 

緑谷「……」

 

緑谷「あのー…」

 

轟「…」

 

 

緑谷「話って何?」

 

 

 

一先ず先に控え室に戻っていた僕と轟君は人気の無い廊下で2人立ち並ぶ。彼に突然話がしたいと言われ流れで来てしまったが…

 

緑谷「えと…今話さないといけない事…なのかな?」

 

緑谷「早く行かないと食堂混んじゃうし、ね?」

 

という風に少し急かすように轟君に話しかけると、彼は先程よりも冷たい視線をこちらに向けてくる。

 

その表情はさっきより多少眉の角度を変えただけであくまで表向きに感情を剥き出しにしてはいなかったがその眼からは何か静かに燃ゆるようなモノを感じ取れた。

 

 

純粋に怒りを見せるかっちゃんとはまた違う冷たい威圧感…

 

 

轟「気圧された」

 

緑谷「?」

 

轟「自分(テメェ)の誓約を破っちまう程によ」

 

緑谷(誓約……?もしかして使ってなかった左側の事か?)

 

話したい内容はようやく理解し出してきたが今まで半熱を抑えてきた訳を今ここで話す理由なんて僕には思いつきもしなかった。

 

寧ろそこに何かしらのデメリットがあって使ってないとすると態々ここで相手に弱点を教えるのは危険なのでは…

 

轟「飯田も、上鳴も、麗日も、八百万も、常闇も……」

 

轟「全員が全員()()()何も感じ取っちゃいなかった」

 

轟「……何故だろうな」

 

緑谷「???」

 

あの時…というのは騎馬戦の際に界王拳を使ってすぐ解除した時の話か?確かに驚いた拍子に左を解放してはいたが…

 

緑谷「それは…つまりどういう……?」

 

轟「……脳無とカカロットが戦っていた時、俺の親父と似たような…というより」

 

轟「それ以上の気迫を感じていた」

 

轟「そう…まるでオールマイトみてぇな……そんな感覚だった」

 

緑谷「オールマイトみたいな…?」

 

轟「そしてそれは緑谷(お前)も然り」

 

轟「ガキの頃から肌で、直に親父と向き合っていた俺だから言えた事なんだろう」

 

轟「すぐにこの結論に辿り着いた」

 

轟「なぁ…緑谷」

 

 

 

 

轟「お前、孫先生の隠し子かなんかか?」

 

緑谷「……………」

 

あーそう来る?そうなる?

 

まさかの血縁関係説が出るとは。まぁ確かに言われてみればコネとか使って就職させたとかやたら戦闘スタイルが似てたりとか考えると成る程、結構いい線行ってんな…義父だからギリギリセーフ?

 

とりあえず誤解を解く為にあれこれと反論してみる。

 

緑谷「ちっ…違うよ。それは」

 

緑谷「って言ってもね!もももしそれが本当なら隠し子だから違うって言える訳ないじゃんとかそ、そそうなるけどさ!とにかくそんなんじゃなくて!あのそのこのどの?えと…」

 

緑谷「そ、その…逆に聞くけどさ、なんで君は僕をそんなに狙おうとしているの?」

 

轟「…そんなんじゃなくて…」

 

轟「つー事は何かしら言えない繋がりがあるのは確かだよな?」

 

的確なツッコミありがとうございます。急に悟空さん絡みの話をクラスメイトと話したからかなりキョドッてしまっている。つい口を滑らせ余計な情報を与えてしまった。

 

緑谷「……」

 

轟「俺の親父はエンデヴァーだって事は知ってるよな?」

 

轟「万年No.2のヒーローだ」

 

轟「敵連合(ヤツら)が言っていた対オールマイトの兵器…あの時オールマイトが来たとしてその勝敗は考えられねぇ…」

 

轟「が、()()()が親父以上……オールマイト級の何かを持っているのだとしたら」

 

 

 

轟「俺は尚更勝たなきゃならねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コツコツと静かに階段を下る音がする。顔面・肩部周辺を激しく燃え上げさせながらゆっくりと下階のトイレへと向かう1人の男性が居た。

 

それ室内燃えるんじゃねとか野暮な質問しちゃいけない。

 

「オッス……じゃなくて、よっ!」

 

「ここに居たのか!」

 

その男性を見つけたと思うともう1人、階段の前でその人を呼びかける男の人がいた。

 

髪はV字に大きくピョンっとはねている…皆よくご存知のあの人だ。

 

 

オールマイト「超久しぶり!お茶しよ!」

 

オールマイト「エンデヴァー!」

 

エンデヴァー「オールマイト……」ギロッ

 

後ろを振り向き、声の主を確認するや否やすぐにオールマイトを強く睨みつける。まぁいつもの事だと構わずオールマイトは話し続けるが。

 

オールマイト「超久しい!10年前の対談振りじゃあないか?」

 

オールマイト「君同窓会とか全く参加せんからな…」

 

オールマイト「見かけたから挨拶しとこって思ってさ」

 

エンデヴァー「そうか。ならもう済んだろう」

 

エンデヴァー「ならとっとと去れ」クルッ

 

おちゃらけすぎている挨拶にうんざりとするエンデヴァー。再び階段の方を向き、歩き出す。

 

エンデヴァー「茶など冗談じゃない….便所だ」スタスタ…

 

エンデヴァー「失せろ」

 

ダンッ

 

エンデヴァー「ぬっ」

 

オールマイト「HAHAHA!つれない事言うなよー!」

 

下に降りようとするエンデヴァーを飛び越え、前の段に着地し笑いながら通せんぼするオールマイト。今すぐ離れたい所だが力ずくでは通じないと察した彼は渋々オールマイトの話に付き合う事にした。

 

エンデヴァー「何の用だ」

 

オールマイト「君の息子さん、焦凍少年さ」

 

オールマイト「力の半分も使わず素晴らしい成績じゃないか」

 

オールマイト「教育がいいのかな」

 

オールマイトの含みのある意味深な発言に気になったエンデヴァーは途端に問いかけた。

 

エンデヴァー「貴様、何が言いたい」

 

オールマイト「いや、マジで。聞きたくてさ」

 

オールマイト「()()()()()()()()()()ってのをさ」

 

エンデヴァー「俺が?貴様に教えろと?」

 

エンデヴァー「相変わらずそのあっけからんとした態度が癪に触る」スタスタ…

 

ドッ

オールマイト<痛!

 

エンデヴァー「フン」

 

オールマイト「ご、ごめん」ショボン

 

少し会話するとすぐに去ろうと再び歩き出し、オールマイトを強く自分の肩で押し退けるエンデヴァー。流石にふざけ過ぎたかと思い、申し訳ないと謝りながら彼はしょぼくれてしまう。

 

階段を下りながらエンデヴァーはこんな台詞だけ残していき立ち去っていった。

 

 

 

エンデヴァー「これだけは覚えておけ」

 

エンデヴァー「アレはいずれ貴様をも超えるヒーローにする」

 

 

 

 

エンデヴァー「そうするべく、作った仔だ」ニィ…

 

オールマイト「……!」ゾッ…

 

 

彼のその顔は嘲笑っていた。

 

エンデヴァーの表情に一瞬動揺し、オールマイトはそれに対し何も答えられなかった。

 

オールマイト(………何を…?)

 

エンデヴァー(今は下らん反抗期だが…)

 

エンデヴァー(必ず超えるぞ)

 

エンデヴァー(超えさせる…!!)

 

 

 

 

 

 

 

エンデヴァーは非常に野心的な性格であった。ヒーローとして就職後、昇竜の勢いで名を馳せ、他を遥かに凌駕していった。

 

そんな彼にとって平和の象徴は正に最大の障害だった訳だ。

 

試行錯誤を繰り返し打開オールマイトを目指すエンデヴァーだったがとうとう断念。()()()()敵わないと判断し、苦肉の策に出た。

 

 

 

それが【個性婚】だ。

 

【超常】が起こってから第2〜3世代間で大きく騒がれた制度だ。最も、今となっちゃ法律で禁止されてはいるのだが。

 

自分の個性強化を図り子孫をより強力な人間にする事を目的に結婚を試みる、というか多くは強制させる…が正しいな。

 

色々と問題点有りまくりなこの結婚法だが実際昔には何十世帯もの人々がこれを行っていた。子を産むのではなく、作るのだ。何とも酷い話だと思わないか?

 

No.2と言えど世界で2番目の力を誇るエンデヴァー。実績と財産は腐る程存在していた彼は轟君の母親の親族を丸め込み今の冷凍能力を手に入れた。

 

 

 

要はオールマイト以上のヒーローを自身の手で作り上げ、自身の欲求を満たす為に自身の子を産ませた…という事だ。

 

 

 

 

勿論、妻…轟君の母親に全くもって愛など感じていなかったエンデヴァーは反抗しようとすると直様彼女に暴行を加えたり、恐喝したりなどして最早奴隷同然の扱いをしていた。

 

 

轟君曰く、「記憶の中の母はいつも泣いていた」。

 

度重なる苦痛や恐怖を味わう事により遂に発狂寸前にまで身体も精神も追い詰められていた。

 

 

 

10年前、母親は彼の頭部に煮え湯を浴びせてしまう。

 

 

 

言い忘れていた…というか敢えて言ってなかったというか、轟君には頭から左眼にかけ大きな火傷の跡があったのだ。

 

左は勿論、炎熱の方なので火傷をする理由が尚更考えられなかった。切島君みたいに目を擦ってる最中誤って個性発動して擦り傷を作ったとか…知らぬが仏として聞かないではいたが…

 

まさかそんな経緯が………

 

 

 

 

 

轟「……とまぁ、ざっと話はしたが俺がお前につっかかんのもあの屑野郎を見返す為の行為だ」

 

轟「あんなクソ親父の個性なんざ必要ねぇ」

 

 

 

轟「使わず【1番に上り詰める】」

 

轟「そして奴を完全否定する」

 

 

緑谷「…………………」

 

まるで何処ぞのコミック主人公ばりの背景ではないですか。聞いている半ばもう彼にかけられるような言葉は一切無くなってしまった。

 

あまりにも住んでいる世界が違いすぎた。目指す場所は同じでも、こんなに違うのかって正直ビビった。

 

そりゃまぁ…熱意だとか意気込みだとかなら皆と同じ位あるとは思うけどさ。僕の動機はただオールマイトに憧れたってだけで…

 

 

 

だけ…

 

 

だけ………なの……か?

 

 

 

轟「言えねぇなら別に構わねぇよ」

 

なんで僕はヒーローになりたいと思ったの?

 

轟「お前が孫先生の何であれオールマイトの何であれやる事は変わらねぇ」

 

なんで僕は人と戦おうと思ったの?

 

轟「最終種目で右だけを使ってお前の上を行くだけだ」

 

なんで僕は強くなりたいと思ったの?

 

轟「それだけだ。時間取らせたな」スタスタ…

 

 

 

なんでだろう。

 

 

 

 

 

 

緑谷「僕は…」

 

緑谷「僕はずうっと助けられてきた」

 

轟「…?」ピタッ

 

何か喋りかけたと思い動いていた脚を止め、離れようとした轟君はその場に立ち止まる。

 

 

 

緑谷「1年前も、入試の時も、入学式の日も、USJの時も…さっきだって」

 

緑谷「ここに来る前からだ。僕は今まで…」

 

 

緑谷「ずっと誰かに助けられて今、ここに立ってるんだ」

 

轟「……」

 

緑谷「オールマイト。彼のようになりたい」

 

緑谷「でもその為には1番になる位強くならなきゃいけない。君に比べれば些細な動機かもしれない」

 

緑谷「でも僕だって負けらんない」

 

緑谷「僕を助けてくれた人達に応える為にも…」

 

緑谷「さっき受けた宣戦布告、改めて僕からも」

 

 

 

 

 

 

緑谷「僕も君に勝つ…!!!」

 

ビュオオ…

 

轟「………」

 

 

 

強い風に吹かれ、髪や木々の葉は激しく揺れまるでこれから始まる激戦を示唆する前兆のようだった。それだけ轟君に言い放つと僕等はすぐ別れ其々の行動を始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

爆豪「……」

 

その頃、壁の陰に隠れながら誰かが聞き耳を立てていた生徒が1人…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑谷「…」

 

ワイワイ…

 

緑谷「むむむ…」

 

そして食堂に来たらこの有様よ。いつもの数倍騒がしい生徒達の嘶きが食堂全体に拡散されていく。めちゃうるせぇ!アイドルのライブか何かかここは!

 

何処でもいいから空いている席は無いかと辺りを歩き回ってみるもののどこも満席状態。そりゃまぁほぼ同時に全員食べに来ますわな…1時間しか昼休み無いし。

 

どこのテーブルも全部埋まってしまっている為仕方なく、外に出て1人で食べる事にした。

 

 

 

 

 

と食堂から出ようとした時だった。

 

 

 

「緑谷さーん!」

 

 

 

と遠くから僕を呼びかける声が聞こえた。

 

「こっち!こちらですわー!」

 

この口調…まさかと思いその方向を向くと……

 

 

なんと見事にA.組女子6人で固まっているテーブルがあるじゃないか。…って2つ席空いてんな。

 

八百万「緑谷さんが遅くなると思って皆でここを空けていましたのー!」

 

八百万「さっ…ご、ご遠慮なさらずー!」

 

なんと…僕の為に皆席をキープしていてくれたのか!?女子陣の配慮に感動するが……

 

 

クスクス…

 

緑谷「……」

 

 

頼む。食堂でそんな叫ばないで?

 

 

 

 

周りからクスクスと失笑を受けながら女子達が空けてくれた席によっこらせと着席する。午前中ほぼぶっ通しで気も体も休める間もなかったからなぁ。

 

疲労困ぱいだった精神・身体に熱々のとんかつは堪らない。席に座った途端7、8杯あるカツ丼に盛大に箸でがっつき始める。女子のいる前でなんてはしたない…

 

緑谷「」ガツガツ…

 

麗日「相変わらずすごいスピードで平らげるねぇ…デク君」ヒソヒソ…

 

蛙吹「男子の食欲って軒並みこんな感じなのかしらね…」ヒソヒソ…

 

ボソボソと呟きながら会話していく麗日さんと蛙吹さん。2人共話したいのは山々なのだが最近交えた会話が会話である為迂闊に話しかけれなかった。

 

一方僕の隣に座っていた八百万さんはというと…

 

八百万「」モグモグモグモグ…

 

三段重ねになっているハンバーグを淡々と食べていた。こちらもサラダ2皿と白米3杯、更にショートケーキ3個と豪華なラインナップとなっている…というかこっちよりも多くね?

 

蛙吹「いや…こっちもこっちで大概ね」

 

葉隠「あれだけ食べてあの体型維持してるもんね…」

 

耳郎(あれ位食べれば胸大きくなるモンか?)モミモミ…

 

この男女2人の常識を覆す食欲には女子5人も呆れ果て、たじろいでしまう。耳郎さん胸揉んで確かめなくてもいいです。

 

後中には…

 

 

麗日(いいなぁ…ちゃっかりデク君の隣座って…)

 

 

と嫉妬している人もいた。なんで麗日さん焼きもちやいてんだ?

 

結局お昼ご飯は僕と八百万さんはこんな膨大なら量であるにも関わらずたった7分で終了。

 

一応2人共皆よりよく食べているってのは自覚しています。一応…

 

満杯となったお腹を右手で撫りながらタイミングを見計らい、八百万さんがここぞとばかりにこちらに話しかけてきた。

 

八百万「緑谷さんは…また豚カツですの?」

 

八百万「この間もカツサンド食べてましたわよね?お好きなのですか?」

 

緑谷「あー…うん。カツ丼は大好物だね」

 

緑谷「何と言ってもあの肉汁が堪んないし、後ここの豚肉すごい柔らかいんだよね」

 

八百万「へー…私も今度食べてみようかしら…」

 

緑谷「是非食べてみなよ、おすすめするよ。特にカツ丼に乗っている卵も絶品だし…」

 

という風に今度は2人で仲良く食後のお話だ。またもや女子5人は置いてけぼりとされてしまう。特に麗日さんと蛙吹さんがこっち睨んでくるような気がしてきたが多分気のせいだろう。うん…多分。

 

 

会話が快調してきた今を好機とし、一気に話の主導権を握ろうとする彼女だったが…

 

八百万(よし…話の流れは完全に掴めましたわ!このまま…)

 

「おー良いとこに空き席発見」

 

芦戸「?」

 

「ちょっとお邪魔するよ」

 

緑谷「………ああ!」

 

 

 

僕の向かい側にあった空席に誰かが座りに来た。聞き覚えのある声だと気付き前を向くとそこにはなんと言わずと知れた拳藤さんの姿が。

 

 

拳藤「お、何処ぞのあーっとアレだ…うん」

 

拳藤「デクか!久方ぶりだー!」

 

緑谷「あ…はい。デクです」<ヒサカタ?

 

 

流石に今回は僕の事を忘れてはおらず誰だかちゃんと把握してはいたものの名前が不明である為呼ぶ事が出来なかった。…というか僕さらっと自己紹介し忘れていたな。

 

…そして出した驚愕の答えがまさかの【デク】だ。確かにかっちゃんが連呼してたからそれに気づいてもおかしくはないのだが…

 

まずその前に目に入ったのがプレートの上に乗っていた料理だ。なんとサラダ1皿のみ…

 

僕達とは真逆の昼食で思わずツッコミを入れてしまう。

 

緑谷「えっと……お昼ご飯はお金足りなかった…のかな?」

 

拳藤「あ…コレ?いや食欲無いとかそういう訳じゃ無いんだけどさ…」

 

拳藤「最近食べ過ぎてさぁ…少し減量中」プル…

 

耳郎「」

 

 

 

八百万さん並みの巨大なそのブツを1回揺らしながらそんな事を言っていた。女子6人の脳内にピシッと鋭く亀裂が走った。

 

そんな事お構いなしに僕は更に彼女達に苦しい追撃を仕掛けてしまう。

 

緑谷「そうだ…拳藤さん!B組の個性知ってる分できるだけ教えてくれない?」

 

拳藤「ん?いいけど…なんで?」

 

緑谷「なんで…というか一応…知っておいて損はないし」

 

緑谷「後最終種目で当たるB組の個性も把握しときたいし」

 

拳藤「先を見通した情報収集ね…いいじゃん。あたし協力したげるよ」

 

緑谷「ありがとう!ほんっと恩にきる!」

 

八百万「」ゴゴゴ…

 

麗日「」ゴゴゴ…

 

蛙吹「」ゴゴゴ…

 

芦戸「お、おーい…麗日…うららかじゃなくなってるよー?」

 

耳郎「今は放っておきなよ…刺激したら殺される」

 

耳郎「今回ばかりは同意するけど」

 

 

後から聞いた話だが僕の周りにいた3人の女子から殺気丸出しのオーラが漂っていたとか何とか…何故かは今でも定かではない。あくまで僕の中での話だが。

 

 

 

拳藤「……まぁこんな感じかな」

 

緑谷「うんうん…だいたい分かったよ。20人共把握できたと思う」

 

拳藤「そっか。なら良かった!」

 

拳藤「さてと…そんじゃ食い終わった事ですし」

 

拳藤「そろそろあたしは行きますか」スタッ…

 

緑谷「あ…」

 

一通り教えてもらった頃拳藤さんの食事も無事終わり、椅子から立ち上がり彼女は下膳をしに行った。

 

ようやくB組が消え、ほっとしたA組女子。主に八百万さんと麗日さんと蛙吹さんなのだが。再び話しかけようとする八百万さんだが…

 

八百万「み、緑谷さん…?今聞いたB組のデー

緑谷「っと…待った待った。まだ話したい事あるんだけど」スタッ

 

八百万「…緑……谷………さーん」スタスタ…

 

間髪入れずに席から外れすぐに僕は拳藤さんを追いかけてしまう。その場を離れてからも八百万さんは僕に呼びかけるが結局最後まで届がなかったと言う。

 

悪意があって無視した訳じゃ無いんです。本当なんですって…

 

八百万「私達もさっさと食べ終わらせてしまいましょう…」ズゥゥン…

 

麗日「うん…そだね」ズゥゥン…

 

蛙吹「午後の部の準備もしないといけないものね」ズゥゥン…

 

芦戸 耳郎 葉隠「「「………」」」

 

肩を落としながらやれやれと再び食事を開始するA組女子。無論八百万さんはもう食べ終わってるのでブツブツと呟く事しか出来なかったが。内容はあまり公にできるようなものじゃないらしいので今回は省き。

 

それから暫くそこのテーブルには不穏な空気と3人の女子の呻き声だけが流れ続けていたとか何とか…あくまで周りにいた生徒から聞いた話だから一概には言えない。

 

 

 

 

 

 

そんな状況になっているとも知らずに僕は呑気に拳藤さんの後を追っていた。下膳を済ませ、食堂の扉で彼女に追いつき直様呼び止めた。

 

緑谷「拳藤さん!」

 

拳藤「ん?なーにデク」クルッ

 

拳藤「もしかして聞き漏らし?さっき確認したじゃん」

 

呼ばれた事にすぐ気付き、後ろを振り向きそれに応じてくれた。対応迅速で助かります。

 

緑谷「いや…そういうのじゃなくて……さっき急に控え室戻っちゃって言えなかったんだけどさ…」

 

 

ペコッ

 

拳藤「……?」

 

彼女に対し深く一礼をし、尊敬・感謝の意を示した。

 

 

緑谷「騎馬戦…ありがとう。組んでくれて」

 

緑谷「終始君がいなければ危ない目に遭ってた所だった。最後決断出来たのも君のお陰だし…」

 

緑谷「ホント…感謝し切れない」

 

拳藤「あ…さっきの……え!?でも私そんな大した事は…」

 

緑谷「いや…最初誰も近寄りもしてくれなかったし、もし拳藤さんが僕に話しかけてくれなかったら……」

 

緑谷「…たら…」ウルウル…

 

 

 

緑谷「僕余った1人と組んで惨めに午前の部で体育祭終了する所だったよおおおおっ!」ドバババ…

 

拳藤「うわ冷たっ!?」

 

僕の両眼から突如として感涙の滝が流れ出す。抑えていた感情がとうとう我慢し切れず表面化してしまった。

 

流石に涙のシャワーは汚い&服が濡れるという恐ろしい問題点があったのですぐに僕に泣き止むよう拳藤さんが説得する。

 

緑谷「あ゛りがどぉぉおっ!!」ドバババ

 

拳藤「ちょ…落ち着け!私はそんなお前に貢献していないしそんな礼言われるような筋合いは…」

 

緑谷「あ…ご、ごめん。あまりにも…嬉しかったから、色々と。うん」

 

拳藤「そ、そうか?なら幸いだけどさ」

 

緑谷「今回はメッチャ助かった!この恩は一生忘れない!割と真面目に!」

 

拳藤「イッショウ…」

 

緑谷「……あ」

 

 

 

オーバーリアクション多発によってとうとう拳藤さんがドン引きし始めてきたぞ。気分を害したのではないかと心配になり僕は焦って対処しようとするも…

 

 

 

緑谷「ごっごめん!ついその…いや感謝の気持ちはホントそうなんだけどさ!興奮しちゃつて言葉上手くまとめられなくてさ!でも僕は

拳藤「ははははっ!一生てお前長すぎるにも程あるだろ!もー!」バンバンッ

 

緑谷「ひゃう!?」

 

逆にウケたらしい。大げさなお礼の言葉が見事ツボにはまり僕の背中を叩きながら必死に爆笑している拳藤さん。とりあえず痛いです。

 

拳藤「あー面白!お前本当面白い奴だよ!」

 

拳藤「……ま、だからお前と組んだんだけどさ」

 

緑谷「?」

 

拳藤「一生忘れない…ね。OKOK。んじゃ…」

 

 

 

 

拳藤「その言葉、私は一生忘れない」

 

緑谷「……」

 

拳藤「約束だ」ニコッ

 

満面の笑みで明るくそう答えると彼女は出入口の扉を開け、食堂から走り去っていった。

 

彼女の後ろ姿はやはり1年前と全く変わってはおらずしみじみと感激したと同時に少し心がモヤモヤしてしまう。その後顔真っ赤にして3分間棒立ち状態になってしまった事は今でも思い出せてしまう恥ずかしい出来事であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数十分後、遂に午後の部開始!マイクによりDJ解説も再開し早速会場に熱気が戻り始める!

 

マイク「さぁ!なんか1人寂しく昼飯食ってた俺だが気を取り直して午後の部開始だぜぇぇっ!!!」

 

悟空「悪かったって…」ワァァァ…

 

マイク「そんじゃもう最終種目と行きてぇ所だが騎馬戦や障害物で落ちてしまったそこの君!」

 

マイク「あくまで体育祭だ!ちゃんと敗けちまった奴にも活躍の場は残ってるぞ!」

 

マイク「全員参加のレクリエーション企画だ!楽しく競えよ生徒諸君!!」

 

マイク「本場アメリカからはチアリーダーも呼んでいる!華麗な応援で一層種目を…」

 

マイク「……あーと?ありゃ?」

 

チアガールの集団を眺めていたマイクがふと口を止めてしまった。それもその筈、マイクの目の先にいた人物達に悟空さんが目をやると…

 

悟空「……何やってんだあいつら?」

 

マイク「な、なんとA組女子!!まさかの飛び入り参加!突然の乱入だーー!」

 

マイク「一体どーいう事だい!?」

 

八百万さんを始めとするヒーロー科A組の女子生徒6人が揃いもそろってポンポン両手に準備万端の体勢を取っているではないか。

 

まさかの事態に驚きの教員と生徒達だったのだがその様子を見て八百万さんがようやくある2人の策略にハマったと気付いた。

 

八百万「峰田さん!!上鳴さん!!騙しましたわね!」

 

峰田 上鳴「GJ!!」グッ

 

何グーサインしとるんだこの2人は。

 

 

 

 

これはほんの10分前の事。

 

峰田『午後は女子全員ああやってレクリエーションの時は応援合戦しねぇといけねーってよ!』

 

八百万『え?聞いてませんけど…』

 

上鳴『信じねぇのも勝手だけどよ……』

 

 

 

上鳴『悟空先生の言伝だからな』

 

 

 

 

 

あり得ないと思いません?そんな細かな連絡悟空さん自分からするなんて…

 

折角急いで作ったチアガールの服もポンポンも台無し且つ仇になってしまったと知ると八百万さんはすっかり脱力し落ち込んでしまう。

 

八百万「はぁ…どうしてこうも峰田さんの策略にハマってしまいますの…私」

 

麗日「百ちゃんのせいじゃないよ…落ち込まんで」

 

フォローすべく麗日さんは八百万さんに慰めていく。耳郎さんは彼等に怒りを覚え苛立ちながらポンポンを床に投げつける。

 

耳郎「アホだろあいつらっ…」

 

葉隠「まぁ…本戦まで時間空くし、張り詰めてもシンドイしさ!」

 

葉隠「いいんじゃない!?やったろ皆!」

 

逆に葉隠さんはやたら楽観的に捉えすぎな気がする。まぁ彼女自身がノリ気でやりたいのならいいのだろうけど…

 

蛙吹さんは落ち込んでしまった八百万さんの為にある話を持ちかけ説得に持ちかける。

 

蛙吹「逆に考えましょう。百ちゃん、お茶子ちゃん」

 

蛙吹「こんな恥ずかしい格好を晒されたとするならば、いっそここで緑谷ちゃんにアピールすれば…」

 

八百万「はっ!?」

 

八百万さんに電撃走る。

 

麗日「或いは…!」

 

麗日さんにも電撃走る。

 

さっきまで陰気ムードに包まれていた3人組だったがチアガールというビッグチャンスを手にした事により彼女達の冷やされていた熱が再び燃え上がり始める。

 

八百万「麗日さん!蛙吹さん!お互い、頑張りましょう」

 

麗日「うん!」

 

蛙吹「ええ!」

 

終いには意気投合しちゃったよおい。まぁ元気を取り戻してくれたならいいのだが。

 

芦戸「皆青春してるねぇ」

 

耳郎「青春って言うの?アレ」

 

葉隠「三奈ちゃんは青春してないの?」

 

芦戸「え、う、うーん…まぁぼちぼち」

 

耳郎 葉隠「「ぼちぼち!?」」

 

こちらはこちらで恋愛トーク1色になってしまっているではないか。本当に応援する気あるのか皆…

 

因みに僕は控え室で尾白君とお話し中なので実際に見てはいません。

 

そしてとうとう第3種目…本戦の種目内容発表だ。

 

マイク「何はともあれレクリエーション!こいつが居れば後は最終種目を残すのみ!」

 

マイク「本戦の内容!それは即ち…」

 

マイク「進出4チーム総勢16人の生徒による…」

 

 

マイク「ガチ1vs1(タイマン)トーナメントだぁあああっ!!!」

 

 

 




須井化です…はい。遅れに遅れてしまい申し訳ございません。

毎度見事にフラグ回収する事にそろそろ定評がつき始めるぞ…やばいよやばいよ。

お詫び程度におまけつけておきました。地の文つける暇無かったけど…(´;ω;`)

今回はなんか女子メインの回ですね。6割方台詞がヒロイン達のになってます。

轟君の出生云々も明かされましたな。意外とこの奥さん可愛いんですよ、ええ。

後後半雑気味になってない事を祈ろう(手遅れ)。アンケートにご希望に出来るだけ添えたつもりです…はい。

あ、そうそう番外編の女子指定もどしどしお待ちしておりまーす是非どうぞー

(多数決以前に票が集まらない事件が発生し暫く立ち直れない水メロン君がいたりとかいないとか)

いかがでしたか?



次回はとうとうトーナメント戦開始!緑谷君と最初に当たるのは誰でしょうか!?

次回だけで7戦進める可能性が微レ存…

まぁ期待は程々に。



何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。

3月25日(土)18:00に第26話の投稿を予定しております。アニメが終わった瞬間始まるぞ!(現状を見て果たして誰が期待するのか)
お楽しみに!









〜おまけ:先生のお昼休み〜

①マイク先生の場合

マイク「…」モグモグ…

ワイワイガヤガヤ…

マイク「…」パクッ



マイク『おい!カカロット!一緒に飯食お
悟空『悪いけど急ぎの用事が出来ちまったんで…』フッ…

気づけば瞬間移動で居なくなっていたと言う。

マイク「悟空ーーー!早く来てくれええええっ!!」

マイク「寂しっ!」



②相澤先生の場合

【市内の病院にて】

マンダレイ「イレイザー。はい、あーん」

相澤「なんでこんな事されなきゃならんのだ」

マンダレイ「こんなて…私が可愛い可愛い弟置き去りにしてまで来てやったのにそりゃないでしょ!」

マンダレイ「貴方手どころか四肢全部やられてるじゃない!誰のお陰で飲み食い出来ると思ってるの!?」

マンダレイ「ほら文句言わず食べなさい!ほら!」

相澤「むごご…」



※マンダレイは大分後に出てくるキャラなので忘れても構いません。

マンダレイ<ハァ!?

相澤(悟空さん…早く来てくむごごご…)






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