どこにでもいる無個性少年緑谷出久。
彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!
遂に幕を開けた雄英体育祭!!第1種目の障害物競走もぶっちぎりの1位で予選通過!
第2種目の騎馬戦では1000万という膨大なP所持を課せられ多チームから襲われる羽目となる。
八百万・拳藤少女、常闇少年と騎馬を組み何とか多くの刺客を退けていく緑谷少年だったが…
残り時間7分で早くも轟少年達と対峙する!
更に向こうへ!PlusUltra!!!
円場「あんまし煽んなよ物間…同じ土俵だぞそれ」
物間「ああ…そうだね。ヒーローらしくない」
物間「それによく聞くもんね…ほら」
物間「恨みを買ってしまったヒーローが敵に仕返しされるって話」
流石に焚き付けすぎたかと思ったB組のチームメイトは物間君に大概にする様説得するがそれを逆手にとって更に煽らせる結果となってしまう。
かっちゃんは身体をプルプル震えさせながら小さく、おおっ……おォォ…と鰻り始める。何とか彼の頭を冷やそうと切島君はフォローするが…
切島「落ち着け爆豪!冷静になんねぇとP取り返せねぇよ!!」
爆豪「おおおおお…っ!」プルプル
ボオオオッッ!!!
芦戸「へあっ!?」
右手を広げ、そこに握り左拳を強く叩きつけ爆発を起こす。右手に爆炎が発生しそれが消えた直後モクモクと黒煙を上げながら
シュゥゥ…
爆豪「っし進めぇ…切島」
爆豪「俺ァ今すこぶる冷静だ…!!!」ニヤァァ
苦笑いしながら前進する様前騎馬に指示を出す。口の端を大きく歪め眼から黒目は無くなっている。
もうどっち応援すりゃいいんだコレ
切島「いや割と本気で頼むぞ…」
遂に轟君と当たってしまった…正直今僕が思う中で1番厄介だと思われるチーム。やっぱり組んだのは飯田君と上鳴君…後は麗日さんだ。騎馬の配置も予想していたのと全く同じ。しかもまだ7分も残ってるってのに…
常闇「もう少々終盤で相対するのではと踏んではいたが…」
常闇「随分買われたな緑谷」
緑谷「……まぁね」
常闇君は平然としているようだが本人が1番理解している筈だ。きっと内心冷や汗かいてる。
だってあそこのチームには…
轟「麗日、回避・
麗日「5秒位しか耐えられへんよ…」ピト…
轟君はチーム内の3人に指示をかける。目をつむりながら組んでいた右腕を離し、嫌々手と手を合わせる麗日さん。
轟「飯田、着地後すぐ前進」
飯田「ああ!」
轟「上鳴は…」
上鳴「いいよわってる!!ちゃんと離れてろよ!?」バチバチッ
轟君が喋りかけた所を間髪入れずに左翼の彼が直様放電体勢に入る。やっぱり最初にそう来るか…!
緑谷「常闇君!!防いでくれ!」
常闇「無論そのつもりだ!!」
A組でまだハチマキが残されている2チームに目がつき、周辺から数体の騎馬がこちらに駆けて近づいて来る。
勿論ハチマキを取られたA組のチームも然り。
蛙吹「いつハチマキ失ったの…いい策だったから貴方でも組んだのに!」
峰田「分からねぇよ!でもこれで失うモンはねぇ!」
峰田「障子、駆け抜けろ!!全力であの2組のPかすめ取ったる!」ダダダ…
葉隠「ここで会ったが百年目…緑谷君!さっきの復讐今こそ果たしてやる!!」
耳郎(途轍もなく下らない因縁…)ダダダ…
峰田組と耳郎組がこちらに向かって走って来る。そうだよ、仕掛けて来るのは1チームだけじゃない。だから…
麗日「皆飛ぶよ!!!」
轟「ああ…」グオッ…
そう言うと麗日さんは個性を発動し、自分含む上鳴君を除いた3人を空高く空中に浮かばせる。?なんで上鳴君は1人地上に残っているかって?
上鳴「無差別放電……」
上鳴「130万V!!!!!」バヂィッッ!!!
耳郎「上…鳴……」
峰田「あばばばば!?」
緑谷「ぐあっ…」カッッ
周辺にいたA組・B組の騎馬に瞬時に強い電流が流れて来る。気絶する程の威力とまではいかないが無防備の状態で食らってしまった。麻痺して数秒は動けない。
幸い僕等は黒影を盾にして防ぐ事は出来たが…何よりこれと同時に迸る閃光がとても眩しい。
麗日「解……除!!」フワフワ…
シュタッ
放電が終わると共に麗日さんはゆっくり降下しながら個性を解除し、轟・飯田君と一緒に地面に着地。めっちゃ気持ち悪そうな顔してますよ、麗日さん。
だが彼等は感電を避ける為だけに避けたのでは無い。轟君の手には氷で出来た棒のような物が。
3人は空中にいる間何かを凍らせていたのだ。
轟「残り6分弱。後は引かねぇよ」ズザザ…
パキパキィッッ!!!
葉隠「んなぁぁっ!?」
障子「チィッ!」
僕達の所へ走って向かいながら手に持っていた棒状の氷で地面を削っていく。味方が巻き添えを喰らわない様周りにいる生徒等の脚を凍結させ一掃する。
ビリッ
「うおおお!?俺らのPー!」
轟「悪いがそこでじっとしててくれ。すぐ終わる」ダダッ
轟君がすれ違い様にB組のチームのハチマキを奪っていく。脚が凍らされ身動きも取れない為彼等はみすみすそれを見逃す事しか出来なかった。
マイク「おー!凍結して轟組他チームを一蹴!」
マイク「…ってなんで放電させてからって面倒な事してんの?」
悟空「考えたな〜!
悟空「電気で動きを一旦止めてから確実に凍らせに行ったんだ」
マイク「ナイス解説!」
八百万「どうしますの!?このままでは追いつかれてしまいますわ!」
轟君のチームの前騎馬は飯田君、故にかなり早い移動速度を有する。今から逃げたって振り切れない。1番無難な対応策は……
緑谷 常闇「「牽制する!!!」」
黒影<リョウカイ……
緑谷「……!」
常闇君と共に黒影に指示を出し、左腕で迎撃を狙おうとする。その時、黒影の声が少々弱々しくなっていることに気が付く。少しひっかかりながらも攻撃を仕掛けるが…
轟「壁…作るか」バッ
先程から握りっぱなしだった左手を前に突き出し広げた。その中から何か粉末の様な物体が空中にばら撒かれた。そう、さっきの棒を作る為に凍らせたのもコレ。
緑谷「か、髪の毛…?」
轟「ご名答」
パキパキ…
冷たい吐息を口から吹き千切って空中に散乱させた髪を凍らせる。四方八方に広がったので数cmもの厚い巨大なな壁となる。
ガッッ!
常闇「チッ…ガードされた!」
黒影<ナンテヒドイコトスルンダ!
麗日「よっと…!」ピトッ
作った氷壁により見事黒影の攻撃を防ぐ事に成功した。途端に麗日さんが氷にタッチし間一髪飯田君の頭部との衝突は免れた。
麗日「はぁ…はぁ…」
だが先程から過度の重量を操っている為か強く喘いでしまう。
飯田「大丈夫か!?麗日君!」
麗日「ふへ…だ、大丈夫大丈夫。この位」
緑谷「……予想以上に凄いな。
緑谷「主に人を浮かす為だとかそんな活用法しか思い付かなかったけど…」
緑谷「いざ何かしらの物体があればいくらでも応用が利く」
常闇「いや…それよりも上鳴がこの上なく厄介だ」
常闇「今程の装甲ならば
緑谷「……黒影…」
前騎馬の方を向くと常闇の隣に目が潤んでいる黒影がポツンと。さっきの上鳴君の電光の影響で萎縮してしまっている。
黒影<アクマタン…
上鳴君が放電する事により黒影を弱めれば反応等も鈍くなり戦況にかなりの影響を及ぼす。何とか拳藤さんの大拳で対処していきたいのだが…
拳藤「…」プルプル…
緑谷「………だ、大丈夫?拳藤さん」
拳藤「こ、こんなのいつもの10倍キツイ筋トレよ…!」
拳藤「へっちゃらへっちゃら…」プルプル…
顔真っ青にして戦慄いながら言う台詞じゃないよ拳藤さん……とまぁこんなギリギリの狭間を彷徨っている感じだ。
八百万さんに何か武器を出してもらうにせよ何を創ればいいか分からない。がむしゃらに出しまくった所で別チームの戦力を増やすだけだ。加えてここで気功波の類もあまり意味を成さない。
緑谷「………攻撃力低下…って一時的な物?」
常闇「まぁ…拳藤の陰もある。それを利用すればすぐにその闇に馴染む」
常闇「が…麗日がいる以上またいつ放電するか見当もつかん」
緑谷「相手はそれ…知ってると思う?というか…知ってる?」
常闇「無い、な。余程勘のいい奴でない限り」
常闇「この欠点を知っているのはUSJで口外した口田のみだ。そしてあいつは口が堅い」
緑谷「そっか……」
目を閉じ、一回深呼吸をしながら脳内に様々な情報を張り巡らせる。数秒後閉じていた目をゆっくりと開き始め僕は皆にこう言った。
緑谷「知られてないなら…牽制にはなる」
緑谷「大丈夫。何としても1000万は持ち続ける」
その頃かっちゃんチームはと言うと…
物間「ははっ…いい個性じゃないか」
物間「すごいや」ボォオンッ!!
爆豪「っ…!」
突如謎の爆発がかっちゃんを襲う。爆発自体は大して効かないが、その際の打撃を顔面に諸に食らってしまう。
自分と全く同じ個性を持っている事には流石に驚きを隠せずにはいられなかった。一旦後退し体勢を立て直す。
瀬呂「マジかよ…爆豪殴りやがった!?」
切島「爆豪!おめーも個性ダダ被りかよ!!」<つかいってー!
爆豪「っんの…」
爆豪「クソがっ!!!」ボオオッ!!
こなくそと騎馬を前進させ物間君の顔面に爆撃カウンターをお見舞いする
が。
物間「まぁ…」
爆豪「……!?」シュゥゥ…
物間「僕の方がいいんだけどさ」ガチガチ…
なんと左腕で軽くガードしてみせる。更に彼の身体の一部がゴツゴツと角ばっていく。まるでそう、切島君の硬化のように。
切島「なっ…!?俺の個せ…え?爆…?はぁ!?」
複合的個性でも無い限り2つ以上の個性は誰も持てないと言うのは以前も言った通り。だが物間君はさらっとそれをやってのけてしまっている。
突然の出来事に皆動揺するもただ1人かっちゃんだけはそれが可能な理由を理解していた。今出した個性の共通点は共に触れた者の能力である事。つまり……
爆豪「…こいつ…コピー持ちか」
物間「当たりー。まぁバカでも解かるよね」
物間寧人。個性【コピー】
触れた人物の個性を5分間使い放題。
だが同時に2つ発動とかは無理なのでご注意!
「物間!避けろ!!」
ビュルッ!!
物間「っと」
切島「わわっお!?」ベチャッ!
瀬呂「か、カタマターー!?」
B組の別チームの仲間が物間君達に加勢しに来た。ぶち撒けられた液体に脚が触れた瞬間地面としっかりくっ付いてしまい動けなくなってしまう。
芦戸「な、何これ…ボンド!?」
物間「仕掛けて来たか凡戸!!」
切島 瀬呂 芦戸(((まんまだったー!?)))
凡戸「ああ。このまま逃げ切るぞ!」
凡戸「このポイント数なら確実に合格圏内には入る!」
物間「ご苦労様」
凡戸固次郎。個性【セメダイン】
顔にある穴から瞬間接着剤のような液体を出し対象を固めてしまう。
好きなのはプラモ作りらしい。実に接着剤らしい趣味だ。
切島「クッソ…動かねぇ!」
芦戸「待って!今あたしの酸で溶かすから!」
瀬呂「ちょ…早よ!今0だぞ!?」
芦戸「分かってるてば!」
いそいそと脚に付着したボンドを除去しようと奮闘するもこれを好機と見計らい、B組の面々はその場を離れていく。
爆豪「……」ワナワナ…
物間「あ、怒らないでね?煽ったのは君なんだから」
物間「えーとホラ…宣誓で言ってたの……恥ずかしいヤツ」
物間「まぁいいや!お疲れ!」ボンッ
別れ際に手を爆発させながらそう捨て台詞を残して物真君は立ち去っていった。
爆豪「………」
爆豪( 俺 が 1 位 に な る )
ギリリッ…
小さく…されど出来る限り目一杯強く歯ぎしりを立てる。力を入れすぎた故か、歯茎から少し出血してしまう。
だがそんな事を考える暇など微塵も無かった。
彼の傷跡が再び悲鳴を上げる……いや、顔面のじゃなくて、アレ、
心の。
『でもこんなんじゃちょっとおめぇにゃオラの身体触れねぇかな…』
『ベジータでもこんな軽い挑発乗らねぇぞ』
爆豪「1位だ」
切島「は?」
爆豪「ただの1位じゃねえ」
『さっきの演習……ヒーローチームの勝利だ』
『君もよく頑張っていたんだがな!ちと積極的に行動し過ぎだ!』
爆豪「俺が奪るのは」
切島「え…ちょ…爆豪?おーい!」
芦戸 瀬呂「「うおぉぉっ!」」ドババ…
『だから今度は…いつか…』
『僕は…全力で…君を越えていく』
『俺はここで
爆豪「完膚なきまでの1位だっ」
爆豪「半端な結果は要らねぇんだよ…っっ!!」
残り時間約1分。
周りに氷の山を作り逃げ場を無くした事によりサシ仕様のフィールド完成。
あっという間に1000万奪取され……
マイク「…とか思ってたよ5分前までは!!」
マイク「なんと緑谷チームこの狭い空間で5分以上逃げ切っている!」
悟空「っひょぉぉ…よく緑谷堪えられたな!」
意外に思うかもしれないがこの5分間大して激しい攻防戦は行なっていない。何故なら轟組の攻略法は至って単純で地道な方法だから。
轟「……」
ザザッ
緑谷「キープ!」
常闇「ああ…」ザザッ…
轟「……っ……」
轟組が左に向かったら距離を置いてこちらも右に向かうだけ。簡単だろ?この作戦の1番のポイントは如何に相手の心理を読むかにある。
まず僕が不思議に思っていたのは左側…つまり半熱の個性を使ってない事。この前も言ったと思うが轟君はどういうこだわりからか左側の個性は極力収めている。そして今回の障害物競走の結果、騎馬戦の途中まで観察した感じ【炎熱は使わない】という意思が見えてくる。
では左翼付近は手薄の状態になっているのではないのか?それである程度距離が離れていれば轟君はどうも手出し出来ないのではないのか?
そしてそれは上鳴君にも言える事である。
前述した通り上鳴君は電気の放出量によって脳がショートするという欠点がある。ここ1、2ヶ月の特訓で多少はマシなモノになっているかもしれないが、黒影が無効化してしまう以上無闇に放てば相手の思う壺。
更に言ってしまえば自分ら3人を浮かす余裕があるという前提条件が関わってくる。麗日さんは今見ていただいた通り人3人分浮かすだけでも10秒と耐えられない。上鳴君で攻撃しようとすると二次災害が起き、最悪2人同時に気絶という事態も想定できる。
轟(最短で凍結させようとしてもどうしても間に飯田が挟まっちまう)
轟(麗日や上鳴にこれ以上負担かければ最悪アウトにもなりかねない)
轟(リスクを考えればここでの放電は無茶があり過ぎる)
轟(…野郎……っ!)
緑谷「……」
最終的にこういう結論に至るのだ。
勿論、そんな事は全く無い。寧ろ我々にとっては不都合極まりない。また2、3回放電の閃光を喰らえば黒影は戦力外となってしまう。
万が一の時の為、拳藤さんに巨大な右手を挙げ続けてもらってはいるが、もういつ挫折してもおかしくない状況だ。
拳藤「〜〜〜っ……」プルプル…
だからぶっちゃけると現在の戦況は五分五分と言ったところ、いつ奪われてもおかしくない状況だ。だが相手も攻める一歩手前で踏み出せないでいた。自分達にとって賭けるデメリットが大きすぎるから慎重に近づいていく他ない。
そんなこんなで5分も時間を稼げたというワケだ。正直ここまで上手い事逃げ続けられるとは思ってもいなかった。恐らく苦肉の策で炎を使って迎撃したりとか再度放電するとか色々予測はしたものの…
轟「……」ザザッ…
緑谷「……??…」
常闇(もう万策尽きた…か?)ザザッ…
半ば諦め状態か、移動して距離を置くの繰り返し。ここまで筋書き通りに話が進むと逆に気持ち悪いが。
残り1分。ラストスパートをかけ、皆の士気を奮い立たせる。
緑谷「後数十秒!このまま死守するぞ!!」
八百万 拳藤 常闇「「「御意!!!」」」
最初はそれこそ不安しか無かったが、次第にこの調子で行ければ、と自信や希望が心の中に芽生え始めていた。
とまぁ…もうシメに入ろうとしてるけどさ……
理不尽を覆すのがヒーローなんだよね、うん。
飯田「皆、聞いてくれ」
轟 上鳴 麗日「「「???」」」
飯田「
飯田「後は頼んだぞ」
轟「飯田…言っている意味が……」
飯田「しっかり掴まってろ」
飯田「絶対奪れよ…轟!!!」
轟「!?」
DRRRRR!!
轟「っぶな…!」ガシュッ
緑谷「は…?」
八百万「え……」
マイク「…………What?」
その瞬間、会場の溢れ出ていた活気が一気に静まり返ってしまう。
ほんの一瞬の出来事だ。脚部のエンジンから激しい爆煙を巻き上げながら轟組の騎馬が奇襲にかかってきた。
轟君は驚きながらも親譲りの反射神経で難なく1000万Pハチマキ奪取成功。
尋常じゃない速さだった。
いくら飯田君の個性が速さに特化したものであったとしても僕はちゃんと目で動きが追えたし、動きについて行ける程度のものだった筈だ。
それ所の話じゃない。
今、彼の気の感知すらままならなかったのだから。
飯田「トルクオーバー【レシプロバースト】」
飯田「トルクと回転数を無理矢理上げ爆発力を生んだのだ」
飯田「反動でしばらくするとエンストするがな」
飯田「クラスメイトには教えてない裏技さ」
緑谷「……っそだろ……」
飯田「言ったろ、緑谷君」
飯田「君に挑戦するとっ!!!」
ワァァァア!
マイク「ぬぁあああっ!?速っ速っはは速あああっ!?」
マイク「空前絶後!!飯田!君まだ必殺技隠し持ってたんかい!」
マイク「予選の時に出そ!?そーいうの!」
スタジアムには再び大歓声が巻き起こる。飯田君の見せた超加速のパフォーマンスは会場にいた観客全員の心を震わせた。
【インゲニウムの弟】という肩書きもあり開始前からある程度注目されてはいたものの、今の一連の場面により期待値はグッと急上昇した事だろう。
マイクも興奮のあまりテンパってます。
悟空「緑谷……!」
だからこそヤバイ。
後1分未満というこの土壇場の所で逆転劇が起こってしまった。
加えてこちらは防御に徹してたから他のハチマキに気を取る余裕も無し。
マイク「ここで轟チーム意地を見せるーー!!決死の1000万P獲得成功!!!」
マイク「そして緑谷!!急転直下の0Pーーー!!」
この状況でハチマキ取られるのは相当ヤバイ!!飯田君のレシプロにも勿論おったまげたがそんな場合じゃない!
このままだと皆…!!
緑谷「常闇君!突っ込むぞ!!」
常闇「上鳴がいる以上攻めでは不利だ!他のPを取りにいくのが堅実では…!?」
緑谷「…っ!」
迷ってる暇は無い、そんな事は分かってる。だけどなりふり構わず突進すれば自分の首を絞める結果となる。
選択肢1つで皆の命運が決定されてしまう。
失敗は許されない。
緑谷「考えろ…考えろ…確かに常闇君が言ってることは一理ある。だけど今更どこにどの位ポイントが持ってのかを把握してないこの状況で行くのは無謀!取れたとしても4位までにはいけない!それだったらもう飯田君が動けなくなった向こうを…でもまだ上鳴君と麗日さんがいる…それに無闇矢鱈に突っ込んでしまえば結果は言わずもがな…けど上鳴君と麗日さんも限」ブツブツ…
マイク「後30秒!!!」
考えれば考える程ジレンマが悪化していくだけで切羽詰まってしまう。
緑谷(落ち着け…冷静になれ……!必ずどこかに突破口は…)
緑谷(突破口は…)
後数十秒で見つかる訳ないだろ馬鹿野郎…
単独舞空術で狙いに行ったってハチマキを所持しているのがほぼA組以外のチームだ。個性によっちゃ詰んでしまう。
取り返しに行こうとしても轟君に瞬時に凍結され返り討ちに合うのが見え見えだ。
駄目だ…挽回できるような策も隙も見当たらない。
また皆を失望ささるのか…?USJと同じように?あんな結末を?
緑谷「……っそ……」グッ…
常闇「緑谷…」
八百万「緑谷さん…」
陰鬱な顔になりながら右拳を強く握りしまるも次第に緩まり、脱力していく。
やっぱり……最初から僕には無理だったのかな、リーダーなんて。
ごめんよ、皆…全員僕のせいで。
一瞬についてきてもらったのに
最っ低だ…自
拳藤「隙あり」ビシッ
緑谷「痛!?」
いきなり拳藤さんが大拳解除して右手で脛を殴ってきた。滅茶苦茶痛いです。
緑谷「な、何すんのよさ!?」ヒリヒリ…
拳藤「後ろ振り返んな!!」
拳藤「今はただ真っ直ぐ前向け
緑谷「………」
『…それ過信してない?』
『するさ』
『強い人と組むに越した事ないじゃん?』
そうだ…こんな所で立ち止まる訳にはいかない。
八百万「……」
『私は…貴方のパートナーですし…』
『そういう無駄に視野が広い所、嫌いじゃありません』
常闇「…」
『俺を使ってみろ、緑谷』
常 『託したぞ』
皆僕を信じてきた。
僕も皆を信じてここまで来た、
僕は今3人の思い背負ってんだ…
緑谷「このまま…引き下がれるかよっ……!」
常闇「…決まりだな」
八百万「ええ!」
拳藤「へへ…」
所変わって再びかっちゃんサイド。
見事かっちゃんのハチマキをかっさらい2位へと返り咲いたB組チーム。
物間「2位…結構出来すぎたな」
物間「ま、キープに専念しようか」
円場「観客うるせぇな」
既にかっちゃん達と別れてから数十秒経ち、最早彼等の存在など忘れ去りかけていた頃だ。
再び切島君の声が遠くから聞こえてくる。
切島「待てっ!待てっておい!!」
極度の追跡には流石に呆れてモノも言えない。
物間君は大きい溜め息を一つしてからまた喋り始めたが…
物間「しつこいなぁ。その粘着質はヒーロー以前に人として
切島「爆豪待て!!勝手すなああああっ!!!」
物間「は?」
その発言でようやく気づいた。
切島君が呼びかけているのは自分達ではない。
少し目線を上にすると…
爆豪「…っ!!」
ボオオッッ!
爆風で勢いよくこちらに向かって飛び上がっているかっちゃんの姿が…
物間「円場!
円場「っしゃっ!」
動揺する間も無く空かさず前騎馬に指示を出す。円場君は大きく息を吸い空気を口内に溜め込み、放出すると…
ドガッ!
爆豪「っ…!」
かっちゃんが目視できない何かしらの障害物にぶつかってしまう。幸い淵に指が触れかかっていたのでそこを掴み空中に浮く事はできた。
円場「へっ!見えねー壁だ!ザマーミロ」
円場硬成。個性【空気凝固】
呼吸を行い、円形の空気の壁や足場を構成!
肺活量によって大きさは自由自在だ。
爆豪「こなクソ…」
ブンッ
爆豪「がっ!!!」バリッ!
負けじとかっちゃん右は腕を勢いよく振り下ろし壁を殴り壊して強行突破する。物間くんの首に巻いてあったハチマキを手にし…
ビリッ
物間「取られた!2本っ…」
マイク「爆豪チーム!ケツから堂々3位へのランクイン!!」
マイク「この終盤での順位変動激しい!若気の至りだー!」
奪う際、右腕を勢いよく後ろに運んだ為後ろに仰け反り落下しそうになるかっちゃんだが寸での所で瀬呂君がテープを伸ばしにキャッチに成功する。
伸ばしたテープを巻いて無事かっちゃんを騎馬の上に着地させる。
とうとうB組も追い込まれた。
Pが一気に減ってしまった為順位が下がってしまったのではないかと彼らは不安に駆られるがまだ4位、かっちゃん達から奪い取った持ち点655Pのハチマキを守ればと物間君が奮起させる。
瀬呂「飛ぶ時は言えったろ爆豪!」
切島「けどファインプレーだぜ!これで通過確実だ!」
芦戸「何とか逃げ切ろ!」
爆豪「まだだ!!!」
かっちゃんチームの方も同様で取った2本のハチマキを死守する様に徹底しようとするが、かっちゃんは相手の残り一本のハチマキももぎ取ろうと反論する。
切島君の頭をポカポカ殴りながら
瀬呂「はぁ!?んな事してる余裕は…」
爆豪「っるのは!!完膚なきまでの!1位なんだよ!!!」ガガガ…
切島「痛い!分かったから!痛い!!」
芦戸「ええーーやんの!?切島!」
切島「いやこいつ人の話聞かねえし…」ガガガ…
切島「……一理ある」
芦戸「はい!?」
切島「
切島「惚れたぜ。そこん所に関しちゃ」
瀬呂「……ったくよ。面倒な」
芦戸「あたし女だけど…ま。間違っちゃいない」
爆豪「さっきの俺単騎じゃ踏ん張りが効かねぇ!」
爆豪「行け!!全力でっ!!」
爆豪「俺達のP取り返して1000万も奪る!!!」
切島「へいへい…分かりやしたよ。リーダー!」
物間「早く走れ!あの爆発男は何仕出かすか分からない!」
物間「とにかく距離取ろう!」
円場「おう!」ダダッ…
物間組は再度奪取されないようかっちゃん達との距離を少しでも広げようと他チームの妨害を退けながら逃走を図っていた。
残り20秒ちょい。数十mも離れていれば流石に追ってこれまいと踏んでいたみたいだけどさ…
理不尽を覆すのがヒーローなんだよね、うん。
大事な事なので2回言いました、
爆豪「しょうゆ顔!!テープ!」
後方からかっちゃん組の騎馬が追いかけてきた。何やら企んでいるようだがそんな事お構いなしに瀬呂君の伸ばしたテープを軽く避ける……?
円場「はっはー!外れだバァカ!」ピタッ
物間「…?」
物間(今あいつ…わざと僕等ではなく地面に?)
爆豪「黒目!!溶解液弱!」
直様かっちゃんは芦戸さんに進行方向に溶解液を掛けるよう指示するが…
物間(な、何をする気だ…A組!)
態々攻撃を外す意図が分からず次第に彼の心に困惑と焦りが生じてくる。観客席にいる人々も皆何をしているのかさっぱりという状況だったが…
ただ3人、A組の彼等の作戦に気づいた者がいる。
相澤(物間…B組の対応は合理的でとても良い)
相澤(ただ…痛いな。考慮し損ねたのは)
オールマイト(爆豪少年!)
オールマイト(君は言われずとも非常によく理解しているんだろう!?)
オールマイト 相澤((常にトップを狙う者とそうでない者の執念の差を…!!))
ふと身の危険を察知した物間君が後ろを振り向く。すると……
いつの間に移動したのか、目の前にはかっちゃん達が現れていた。
物間「なっ!?」
切島「俺これでもバランス感覚は鍛えてんだよなぁ」
物間「……まさかお前…!!」
そう。そのまさかだ。
切島君の個性を利用し、足を硬化させる事によってより早く滑走し急接近できたのだ。テープに伝って滑れば標準がズレることも無い。
悟空(軽い挑発に引っかかちまうのは良くも悪くもベジータ似か…)
悟空(でも…その分負けず嫌ぇだから失敗すりゃとことん何処が悪かったか探って特訓して力つけていく)
悟空(そこは緑谷にも無ぇ強みかもしれねぇな)
悟空(……試しに煽って正解だったぞ)
ここまでできれば後は簡単。奪い取るだけ。
爆豪「っしゃらぁっっ!!」ボォオッッ!!
ビリィッ
物間「っぁあ!?」
マイク「ヒューーッ!爆豪容赦なし!!やられたからやり返しましたってか!」
マイク「彼はアレだな完璧主義者!?」
マイク「さぁ時間ももう残り僅かだぜ!!」
物間君の首に付いていた最後のハチマキを無理やり彼の身体から引きちぎる。すれ違い際に強めの爆発を顔面に炸裂させた。
合計1000P以上。とうとう2位と轟組に次いでトップ。
だが満足するなどある筈も無く、残り20秒にも関わらず1000万P強奪を狙う。
爆豪「次ぃ!!デクと轟ん所だ!!!」
緑谷「行けぇえええっ!!」
常闇「ああっ!」ダダ…
タイムリミットは20秒、これが本当に最後のチャンスだ。1000万Pのハチマキを奪い返すべく前へ突き進む。
飯田君はエンジンをエンストを起こし動けない状態だ。10、20mしか離れてない為すぐ逃げようとしてもすぐ追いつかれるだろう。
轟君が迎撃態勢に入る。
轟「上鳴、麗日…手出し無用で頼むからな」
上鳴「言われずとももうウィけるような状態じゃねぇよ…」
麗日「もう倒れそ…」
取れる確証なんて全く無い!でも今やらなきゃもうチャンスだって無い!!虚仮威し…出来れば使いたくなかったが…!
緑谷「界王拳!!!」ボォオッ!
轟「!?」
接近しながらも身体に紅いオーラを帯びせ、戦闘力を大幅に高める。1.5倍でも結構体力使うんだぞ!?
右腕を前へ突き出し轟君の首目掛けて伸ばしていく。それに対して轟君は左腕で顔を隠すようにして添え、ガードの構えをする。
来た所を右手で凍らせるって魂胆だろうがやらせるかよ!!
緑谷「あああああああっっ!!!」ゴオオッ!
轟「……っ!」
ボオオッ!!
間近で発せられた雄叫びと気迫に驚いた轟君は咄嗟に左手を開放し、炎を灯けてしまう。
ここだ!!!
シュンッ
緑谷「らあっっ!!」ガッ!!
轟「!!」
当たる寸前で空を切るように彼の左腕を右下へと弾いた。その衝撃でふと我に返り狼狽する。
轟(俺は何を…反射的に個性を……)
轟(っべぇ!)
遅い!左手に気を取られている間に肝心な場所を見落としていたな!
彼が自分の右腕の方から目を離している隙にハチマキを取ればいい!!
下か!?上か!?それとも真ん中!?最後に取ったのが上だからそこが無難だが轟君の事だ…シャッフルしてる可能性もある!
って拉致あかねぇ
緑谷「全取りだああああっ!」ビリィッッ!!
轟「!?」
ダダダ…
轟君の首部にあったハチマキ3本を左腕で掴み、破り取る。そのまま下げていた彼の左腕の方へと通り越した。右腕に触れて万が一凍ったら怖いからな…
マイク「おおおーーっと!残り十数秒で緑谷も怒りの奪還!!」
緑谷「取った!!取ったああっっ!!」
なんとかハチマキの奪取には成功したものの果たして1000万かどうかは定かではない。最悪彼等の初所持のハチマキとその他の合計Pが4位未満って可能性もある!だが確認している時間は無い!!
後はもう逃げるだけ!!
遂にマイクによる残り10秒のカウントダウンが始まる。
マイク「さぁタイムリミット10秒切るぜ!終了までの10カウント行くぞエヴィバディ!!」
マイク「10!」
轟「追え!!取り返す!」<9!
飯田「無茶だ!もう走れないと言っただろう!」<8! 7!
常闇「これは…」<6!
拳藤「行ける!」
爆豪「デクゴラァッ!!」ダダッ
マイク「5!!」
八百万「緑谷さん!爆豪さんがこっちに」
マイク「4!!」
緑谷「こんな時に!?」
マイク「3!!」
悟空「……」
マイク「2!!」
オールマイト「……これは……」
マイク「1!!!」
マイク「TIME UPPPP!!!」ピィィィ!!
スタジアム中に競技終了を知らせる笛が鳴り響く。とうとう騎馬戦は終戦したのだ。
その瞬間フィールド内の全騎馬が崩れ落ち、地面に倒れ込んでしまう。
芦戸「っそぉぉお!」
麗日「取り返せんかった…」
飯田「と、轟君…何をしているのだ…あれ程注意喚起したろう!?」
轟「……」
爆豪「クソがぁぁあああっ!!」
緑谷「はぁ…はぁ…」
拳藤「あ……ぶねぇっ…他の騎馬と激突しかけた…」
残り4、5秒の時にかっちゃん達がこっちに猛突進してきて一時はどうなるかと…後少しで衝突せざるを得ない状況だったぞ。
倒れた拍子にハチマキを落としてしまった。拾って確認しないと…
マイク「さーて!それじゃ上位4チームの発表行ってみよう!」
常闇「…緑谷」
緑谷「……?」スッ…
地面に落ちていたハチマキに手を伸ばすも常闇君が先に拾ってこちらに見せてきた。
そこには無数に書かれていた0の数々が並ばれていた。勿論左端は1になってます。
緑谷「……っ……」プルプル…
常闇「よくやった…お前が作った勝利だ…!!」
マイク「緑谷チーム!1000万保持達成1位ぃぃいいい!!!」
緑谷「いいいいい……」
緑谷 拳藤 八百万「よっしゃあああああ!!!!」
嬉しさの余り3人一斉に高く飛び跳ね、大きく歓喜の叫びを上げてしまう。
第2種目も…皆でクリアしたんだ。
それぞれ勝利の喜びを噛み締めながら、最終種目へとコマを進める事となる!!!
果たして1位を掴むのは…?
あ、2位以降は次回発表で
須井化です…はい。
大変投稿か遅れてしまい申し訳ございません…何度この謝罪をした事か…
いやその…うん。期間は長かったんですよね。いつもと比べると……
言い訳出来ませんわ…サボってた訳でも無いんですがねぇ…(惚け)←いや本当に
さて、今回は騎馬戦終了まで。もうちっとだけ書こうと思っていた俺の姿はお笑いだったぜ。
凡戸君の後ろにいたのが小大ちゃんと初めて知ったワイ、感激。
B組の皆もこれから色々と絡ませる予定なのでお楽しみに!
いかがでしたか?
次回は皆楽しみお昼休み!
色々とダベるだけなので平和です。
活動報告に書いてある例のアレは週末(日 23:59)までの記載をよろしくお願いします。
?アレって?まぁ見てからのお楽しみ。
何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。
3月21日(火)以内に
お楽しみにー……え?なんで傍点付いてんの?
(ガシッ
ファッ!?
八百万「話をしましょう」
………ゑゑゑゑ!?
〜続く…?〜