どこにでもいる無個性少年緑谷出久。
彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!
遂に幕を開けた雄英体育祭!!まず初めに行われた競技は障害物競走!
機転を活かした戦法で見事ぶっちぎりの1位で予選通過の緑谷少年だったが…
第2種目の騎馬戦で1000万Pという破格の持ち点が彼に課せられてしまう!
窮地に立たされたと思いきや謎の少女、拳藤一佳が現れて…?
更に向こうへ!PlusUltra!!!
聞き覚えのある声…左肩まで垂れ下がったサイドテール。
気は分からずともどことなく妙に懐かしい感覚を覚えた。
間違いない。この娘は1年前…風船の時の。
緑谷「あっと………」
拳藤「……?」
一瞬喋りかけたがすぐに口を閉じ俯きっぱなしとなってしまう。
待て待て待て。これはつまりどういう事なんだ…なんであの娘がここにいるの?え?彼女もヒーロー志望だったの?
拳藤「どした?黙りして」
首を傾げながら僕に問いかける。
聞きたいのはこっちでございます、拳藤さん。パッと見僕を覚えていないような接し方だが…
いや…そういうのは今は関係無しにせよこの娘の目的が分からない。何故同じ組でもない僕と組もうとしているんだ?必然的に僕の騎馬は四六時中狙われるんだぞ?
全くもってして彼女にとってのメリットを感じられない。
緑谷「ええっと…僕…今1000万所持してるが故に高確率で襲われると思うけど…」
緑谷「いいの?」
拳藤「いい!」
拳藤「逆に放ってたら勝ち逃げされそーだし」
拳藤「それにしてもあんた滅茶強いねー。ビビッタ!」
……はい?
この人は僕がこの種目勝てるっていう見込みで来ているのか?ロクに個性把握できなかったのに!?今トップってだけで!?
緑谷「…あの…それって過信してるんじゃ…」
拳藤「するさ。何より…」
拳藤「強い人と組むに越した事ないじゃん?」ニッ
優しく微笑みながら彼女は僕にそう言った。
まずい!眩しい!太陽かの如くまばゆく光るその笑顔に謎の罪悪感を感じる!!
緑谷「っ!!」キュン…
口を窄めてムッと軽く顔面崩壊が起こってしまった。あーうんそうか…この娘ピュアだ。
あまりにも綺麗なガラスの
拳藤「えっと……顔大変な事になってるよ」
緑谷「っとと…不意に感動してしまった……!」
拳藤「カンドー……」
緑谷「君がそう言ってくれるのなら大歓迎!というか寧ろ土下座モンだ!」
緑谷「是非僕と組んでくれ!」
拳藤「OKOK…任された!」
やった…ようやく1人確保!しかもまさかこんな形でこの娘と再会を果たすとは…
人生何起こるか分かんないね。
そういえば肝心な事を聞き忘れていたな。
緑谷「僕はA組緑谷出久…個性はあれ、ビーム出す」<カメハメハー
緑谷「君の個性は?」
拳藤「私は【大拳】だ」
拳藤「手を自由自在に大きくできる……つっても限度あるけどね」
緑谷「手のサイズね………」
どうやら前回の時のように巨大化を可能とする所は手部のみと限られているみたいだ。騎手にせよ何にせよこれを発動しても視界が狭まるだけ…か。
緑谷(どうにかして利用できないか………)
少し考え込むが、程なくしてその個性の応用策を閃いた。
緑谷(………待てよ。手が大きいのならばつまり………!)
緑谷(という事は
拳藤「ん?何案じてんの?」
そりゃ内容バレないように言っているんですから答えられる訳ないじゃないですか、拳藤さん。
緑谷「いや……少し君の個性を利用して策を考えてたんだけどさ、組んでほしい人が出て来たんだよ。1人」
緑谷「探しに行かないとなーって」
拳藤「お…私も手伝う手伝う」
人物特定されているなら5秒で見つけられるなんて言える訳無いです。すぐに2人でその例の1人の元へと急ぐ。
早歩きしながらふと残りの1人を誰にするかを惟ていた。正直この子が来てくれた事自体奇跡的なんだよなぁ…この流れに乗って4人組めればいいけど。今の状況で僕とやってくれる人なんてい……
八百万「…あ…」
緑谷「あ…」ピタッ…
拳藤「おー」ピタッ…
…居たかも。
歩いている途中に八百万さんと遭遇。彼女もこちらに気づいたようで僕等の方に顔を向けていた。今日は悪運が強いというか何というか……
八百万さんは確か【創造】の個性だった筈…。半数以上の個性が不明という点を考慮すれば汎用性高いぞ!?
とはいえ…勿論パーティ候補に入れてはいたものの、今言った様な強み故にすぐに誰かのチームに入ってしまうだろう、というのと彼女だからこそ僕のチームに入った時の利害を1番に考えるだろうという憶測から半ば諦めてはいたんだが。
悟空さんの初授業の時もいつも通り僕と接してくれた。まだ決まってないのならば今の内に…
八百万「あの…緑谷さん」
緑谷「はっはい!?」ビクッ
突然彼女から話しかけられたので少々動揺しながらも返事をする。
え?これはもしや…もしや?
八百万「貴方は…その……もう組む方を全員決めてしまった…のかしら?」
緑谷「あー…うん。1人だけだけど…えー…?」
拳藤「言うの忘れてたな、あたしB組B組」
緑谷「こちらB組の拳藤さん」
緑谷「それで今後2人探してるんだけどさ…」
それを聞くと八百万さんは数秒逡巡するも、はにかみを見せながら僕にこう言い放った。
八百万「……っ……と……」カァァ…
八百万「で…出来れば私を貴方のチームに入れてくださりませんか?」
緑谷「………あ」
緑谷「い、いいよ!僕も丁度君と組みたいと思ってたんだ!」
緑谷「頼むよ」
八百万「よ、よろしいですのね!感謝しますわ…」ニコッ
緑谷「う……う…ん…?」
意外すぎる発言に暫く言葉を失った…まさか彼女から申し出てくるとは思いもよらなかったぞ。まさか八百万さんも単純に僕が1位だったから?いやいや…んなアホな……
後笑顔はやめてくれって。色々と反応に困るからさ……褒め言葉的な意味で。
緑谷(八百万さんが来てくれた!これはかなりデカイ。色々と
緑谷(後は……彼次第…何とか頼んでみるか)
八百万(…………ところで)
拳藤「んー?」
八百万(あの後ろの方は何故緑谷さんと一緒にいるのでしょう)ニコニコ…
何だろう。あの笑顔から段々殺意が感じてくるんだが。
その頃他の皆はというと……
爆豪「…………???」
砂藤「俺と組め!」
芦戸「えー爆豪私と組も!?」
青山「僕でしょ?ねぇ?」
かっちゃんの周りが異様に騒がしいんですが。
A組を中心に大きな人だかりがそこには出来ていた。我こそはと言わんばかりに皆かっちゃんを仲間に入れようと奮闘している。
……まぁ…
爆豪「………」
爆豪「テメェらの個性なんだ?俺ァ知らねぇ」
芦戸「ゑゑゑゑゑっ!?」
砂藤「B組ならまだしも!!お前ホント周り見てねーんだな!!」
まるでモブの様な扱い。僕とか轟君以外は眼中に無いってか…というか僕も入れないでください。
大した捻くれ様だがこれでも予選では3位・200P。見た目とは裏腹のトリッキーさと万能な個性を考慮すれば人気が高いのも頷ける。
手の付けようもなく全員茫然となってしまうが…また1人、かっちゃんへ駆け寄る生徒が現れた。
切島君だ。
切島「おーい!爆豪!俺と組もう!!」ダダッ…
切島「轟の奴ソッコーチーム決めやがった!」
爆豪「クソ髪か」
切島「切島!!いい加減覚えろや!!」
切島「つーかおめーの頭とあんまし変わらねぇよ!」
一理あります。
切島「おめぇどうせ騎手しかやらねぇだろ!ならお前の爆発に耐えられる前騎馬は誰だ!?」
爆豪「…………根性ある奴」
無理あります。
切島「違うけどそう!!硬化の俺さ!」
切島「ぜっってぇぇぇブレねぇ馬だ!保証するぜ」
切島「奪るんだろ!?
その言葉を聞くなり、かっちゃんは微笑を浮かばせながら静かに頷く。
爆豪「………」
ニィィ…
切島「……決まりだな」
あ、これは殺る気スイッチ入りましたわ。
一方先程見かけた轟君チームはというと…
轟「お前らを選んだのはこれが最も安定した布陣だと思うからだ」
轟「上鳴は左翼で発電し近づけるな」
轟「麗日は右翼…防御・移動の補助」
轟「飯田は先頭で機動力源もといフィジカルを生かした防御」
飯田「それで轟君は氷と熱で攻撃・けん制というわけか」
轟「いや…」クルッ
飯田「?」
轟「右だけだ。いいのは」
そう言うと轟君は後ろを向き観客席をキョロキョロと見回した。
それと思わしき人物を見つけたと思うと即座に睨みを利かせある宣戦布告をする。その人もまた轟君を見つけるなり重く鋭い眼光を放ってこちらを向いていた。
轟君が探していたのは……
エンデヴァー「…」
轟「戦闘に於いて
轟「絶対にだ」
そんな中B組からも不穏な動きが表れる。予選を通過したB組の生徒
「……ここにいる客のほとんどの狙いはA組だ。何故だ?」
「そして鉄哲が前述した通りA組の連中も調子づいてる」
「おかしいよね…彼等と僕等の違いは?【会敵したか否か】…これだけじゃん」
物間「
物間「調子づいたA組に知らしめてやろう皆」
物間「…って時になんで拳藤が居ないんだい?」
円場「そんな事知るか」
【警備員及びプロヒーロー控室】
デステゴロ「この雄英体育祭ってヒーローとしての気構え云々より…」スゥゥ…
デステゴロ「ヒーロー社会に出てからの生存競争をシミュレーションしてるな」
煙草を一本口に咥え、吸いながら連れのプロヒーロー達と会話しているデステゴロ。
長らく堪能していたのか…持っていた煙草をグリグリと灰皿に擦り付け火を消した。その直後すぐにまた新しく1本取ったんだけどね。
デステゴロ「ヒーロー事務所がひしめく中、おまんま食ってくにゃ…」カチカチッ
ボオゥッ
デステゴロ「時に他を蹴落としてでも活躍見せなきゃなんねーってのが
ライターで煙草に小さな火を灯し、再び喫煙し始める。どうやらMt.レディは煙草が苦手なようで渋々手で煙をはらう。
Mt.レディ「アレ心苦しいですよねー」<後タバコやめろ
シンリンカムイ「貴様…!!」
プルプル震えながら激情を必死に抑え込むシンリンカムイ。何って……彼も経験者だからだよ。
あくまでシラを切るつもりだが、以前Mt.レディはシンリンカムイが撃退寸前だった敵を不意打ちで倒し手柄を分捕った事がある。
詳しくはヒロアカの第1話を見て欲しい。
って何故宣伝している自分……
デステゴロ「その一方、商売敵とは言えど協力していかなきゃ解決できねー事案も腐る程ある」
デステゴロ「ヘドロん時みてぇな風にな」
Mt.レディ「あー…それで騎馬戦がもってこいだと!そっか」
Mt.レディ「自分の勝利=チームメイトの勝利ですもんね。後々結構響いてくる」
Mt.レディ「相性やら他人の個性把握……持ちつ持たれつ!」
シンリンカムイ「
シンリンカムイ「他事務所との合同個性訓練」
デステゴロ「プロになれば当たり前の生きる術を子どもが今からやってんだなぁ」
Mt.レディ「大変ですね……」
因みに3人はモニターに映った解説の
Mt.レディ「そう言えばあの司会の派手な髪型の男性…」
シンリンカムイ「何処かで見た事ある顔だな……」
デステゴロ「言われてみればそんな気もするようなせんような…」
3人「むー………」
デステゴロ「……監視に集中しよ、な?」
Mt.レディ「そーですね」
シンリンカムイ「異議なし」
……ヘドロ事件自体は覚えてんのになんで肝心な事は覚えてないの…?この人等……
好都合だから構わないんだけどさぁ
とまぁそんなこんなで15分にかけての天下分け目の交渉時間は終了した。
とうとう騎馬戦の始まりだ!!
【競技場】
グイグイッ…
ミッドナイト「そろそろ15分ねぇ…んじゃぼちぼち始めるとしますか!」
腕を腕で抱え込み肩のストレッチを行いながら気合いを入れるミッドナイト。
司会席の仲良し3人トリオ※は開始のナレーションを入れ始める。
※細かく言えば1人は病院のベッドの上にいるのだが…
マイク「おーい!ナースさん!」
マイク「呑気に寝てるその陰気野郎起こして下さい!」
冗談半分でスマホ越しに相澤先生を茶化しているが…
相澤<誰が陰気野郎だって?
マイク「ファッ!?」
なんだ、起きていらしたのですね先生…
スピーカーから発せられた音声には尋常じゃない程の鬱々たるオーラを漂っていた。あながち陰気というのは間違ってはないぞ、うん。
恐ろしい相澤先生からの返信に内心ビビりながらも悟空さんと共に解説を再開する。
マイク「と、とうとう15分に渡り行ってきたチーム決め兼作戦タイムも終了!!」
マイク「フィールド内に12組の騎馬が出揃った!!」
悟空「…中々面白ぇのが見れそうだ」
マイク「さぁ上げてけ鬨の声!!」
マイク「血で血を洗う雄英の合戦が今!」
マイク「狼煙を上げる!!!」
それを聞くと生徒達は立ち上がり、騎馬の体勢を整える。先頭の右肩、左肩にそれぞれ右翼、左翼の人の腕が乗っかり、その二本の腕に跨ぐように騎手が座り込む。
前騎馬の両手に空いたもう一方の手をそれぞれつなぎ……っと待った待った。
緑谷「拳藤さん」
拳藤「…
緑谷「任せたよ…!」
もう準備万端だ。いつでも走れる。
物間「鉄哲ー恨みっこなしだぞ」
鉄哲「おう!」
マイク「よおおおし!組み終わったな!?準備はいいかなんて聞かねえぞ!!」
マイク「いくぜ!!残虐バトルロイヤルカウントダウン!!」
爆豪「狙いは……」
かっちゃんチーム
爆轟(騎手) 200P
切島(前騎馬) 160P
芦戸(右翼) 120P
瀬呂(左翼) 175P
TOTAL 655P
轟「一つ」
轟君チーム
轟(騎手) 205P
飯田(前騎馬) 185P
麗日(右翼) 125P
上鳴(左翼) 95P
TOTAL 610P
カウントダウンが始まる瞬間、会場は巨大な緊迫感に包まれ、観客の誰もが息を飲みこんだ。開始まで…後3秒……!
僕はハチマキをギュッと締めながらチームの点呼を取り始める。
マイク「3!」
緑谷「八百万さん!」
八百万「っはい!!」
マイク「2!!」
緑谷「拳藤さん!」
拳藤「はいよっ!!」
マイク「1!!!」
緑谷「常闇君!」
常闇「ああ…!」
緑谷「よろしくっ!!!」
常闇(前騎馬) 180P
拳藤(右翼) 75P
八百万(左翼) 170P
僕(騎手)……10000000P
緑谷チーム
TOTAL 10000425P!!!
マイク「START!!!」
マイクの合図と共に
それを聞くと直様近くにいた騎馬がこちらに向かって走り出してきた!ですよねぇぇぇ!?
えっと何々…
鉄哲「実質
葉隠「はっはっはー!緑谷君!いただくよー!!」
葉隠さんのチーム、砂藤君と口田君。後耳郎さん居んなぁ……ともう1つの方は………誰あの人…B組かな。
前回解説してただろ。
と言うかもしれないがあれはあくまで実際の僕では無い僕…ややこしくなるなぁ、もう。
ナレデクの説明の為僕は知らない。予選ほぼほぼ道中見てなかったからなぁ…っとそんな場合じゃないな。
常闇「まず2組…開始早々襲撃か!」
常闇「追われし者の
緑谷「勿論逃げの一手!!!」
常闇「ああ………?」
指示を送りすぐに騎馬を後退させようとするが…おかしい。下の3人が動かないぞ。
緑谷「ど、どうしたの!?」
八百万「あ、足が動きませんわ…と言うより…」
八百万「沈んでる!?」
緑谷「えっ!?」チラッ
下を覗いてみると、何と3人の脚が地中に埋まっていく。……いや、よく見てみれば地面に波が発生している!?
緑谷「どういう…!」
拳藤「……骨抜か…!」
緑谷「B組の生徒!?地面を沼にする個性か!?」
拳藤「違う。地面を
鉄哲「動き封じれた!でかした骨抜!!」
骨抜「ケケッ」
骨抜柔造。個性【柔化】
どんな物も極限まで柔らかくするぞ!!というかコレ液状化ってレベルじゃねぇぞ。
…思ったけど人に使ったらどうなるんだろ。
緑谷「八百万さん!拳藤さん!!しっかり掴まってて!」ガシッ
両手で常闇君の腕を掴み、勢いよく持ち上げる。それならこっちは空飛んで強行突破だ!!!
ドッッ!!
バシャッと大きな波音を立てながら3人を抱え空高く宙を舞う。総重量150kg以上か…結構重っ!
砂藤「飛んだっ!」
鉄哲「野郎、個性はビームじゃなかったのか!?」
骨抜「…つーかなんで拳藤はあれ……」
緑谷(やっべ…【気】を使うのも程々にしないと面倒な事になる…!)
緑谷(気をつけないとな!)
難を逃れたと思うのも束の間。先程の2チームが後ろから追撃してくる。
葉隠「耳郎ちゃん!」
耳郎「わってる」ギュルッ!!
耳郎さんは両耳からコードを伸ばし、フラグを突き立て…
鉄哲「塩崎後ろだ!!」
塩崎「承りました…!」グオッ!
塩崎さんは頭髪の茨のつるを僕らに向かって放つ。
塩崎茨。個性【ツル】
頭部の髪をツルと化し触手のように操り戦うぞ!
伸縮自在!後切り離しも可能だ!
常闇「
黒影<リョウカイ!
バシバシッ!
常闇君の呼びかけと同時に黒影は空かさず後方のツルとコードを払いおとす。
耳郎「チッ…!」
塩崎「ああ…私はなんて過ちを……!」ガクッ
そこまで深刻に見なくていいです、塩崎さん。
常闇「よし…いいぞ!黒影」
常闇「常に俺達の死角を見張れ」
黒影<アイヨ!
緑谷「すごい…すごいよ!かっこいい!」
緑谷「僕らに足りなかった防御力…それを補って余りある全方位中距離防御!」
緑谷「すごいよ常闇君!!!」
常闇「選んだのはお前だ……」
常闇「それと、俺の活かし方がなってるな」
緑谷「やっぱり…さっきより調子いい?」
常闇「ああ…すこぶる快調だ」
数分前…
緑谷『そう…防御に徹してほしい…』
常闇『……いいが…厳しいぞ?』
常闇『俺の個性は闇が深い程力を増すが…どう猛になり制御が難しい』
常闇『逆にこの日光下は制御はできるものの攻撃力は中の下といったところか…』
常闇『保持する為とはいえそれだけで俺を誘うのはハイリスクじゃないか?』
緑谷『いいや…君にいい事を教える』
緑谷『実は僕のチームに体の一部を巨大化させる個性の人がいるんだよ』<B組で
緑谷『だから君が前騎馬になれば常にその人の陰でその黒影を強力にしてもらう!』
緑谷『真っ暗って程じゃないからコントロールも出来るはずだ!』
常闇『…フッ。面白い』
常闇『お前の頭脳と戦闘力があるのは
緑谷『…常闇君……』
常闇『そこまで言うなら乗るぞ、その話』
常闇『俺を使ってみろ、緑谷』
常闇『託したぞ』
当然気を探れば相手が攻撃してくるか探る位僕にとっちゃ造作の無い事ではあるが、他チームの個性なども考えると防御面じゃ僕だけではカバーしきれない。常闇君にうってつけだった訳だ。
交渉に応じてくれたのはホント不幸中の幸いだった。信じてくれてありがとう、常闇君。
ただ……1つ問題なのは
拳藤「……」プルプル…
緑谷「………むむ」
拳藤さんがいつまで右腕上げられるかなんだよなぁ。
2組の騎馬から十分距離を置けたと思うとゆっくりと落下していき、地面に着地する。
シュタッ
緑谷「よし!とりあえず走って!僕達は所持P上これを保持すれば確実に上がれる筈だ!」
葉隠「緑谷君とこ追うよ!さぁ耳郎ちゃんリベンジ!」
砂藤「ってかおい…葉隠お前……」
葉隠「ん?」
砂藤「何いつの間にハチマキ奪られてんの!?」
葉隠「……え」
葉隠さんは額にある筈のハチマキを手探りして触ろうと試みるが…
ホントだ。無くなっちゃってますね。
葉隠「にゃああにぃぃっ!?」
葉隠「なんで!?いつ!?どこで!?誰が!?どのように!?」
口田(4W1H…)
同じ時、後ろにはさりげなく取った葉隠さんのハチマキをクルクル回しながら悠々と歩いている騎馬が1組…
物真「漁夫の利ー」
マイク「おおっ!まだ2分も経ってねぇが早くも混戦混戦!!」
マイク「各所でハチマキ奪い合い!!!」
悟空「他の奴らに狙われる事考えっと無理に1000万取らずに地道に2〜4位目指すのもアリだな」
マイク「お前戦略とかそういうとこの知識はピカイチなんね」
峰田「奪い合い?違うぜこれは…」
峰田「一方的な略奪よ!!」
緑谷「!?」クルッ
マイクの発言に反応するかの様に突然背後から峰田君が喋り出した。焦って後ろを振り向くがどこにも彼の姿は見当たらない……
が、代わりに無言で突っ込んでくる障子君の走姿が見えた。何やら背中を両腕で覆ってる様だが…
障子「…」ダダダ…
緑谷「あれ!障子君1人!?」
緑谷「これ騎馬戦だよ…?」
常闇「兎に角逃げろ!!複数相手に立ち止まってはいかん!」
拳藤「心得た!」
一旦距離を置く為再び走ろうと足を踏み出すが、その瞬間地面の感触に違和感を覚えた。
ブニッ
八百万「きゃっ!……な、何これ…」
左脚で何か柔らかい球体の様なものを思うと八百万は驚き、その物体を確認する。
すると地面には峰田君のもぎもぎ髪が…
緑谷「何処から投げてきた!?確かにいるみたいだけど…」
不思議に思い峰田君の気を探ると何と障子君の上に彼の気が……
まさか……
峰田「ここからだよぉ…緑谷ぁぁ…」チラッ
なんと障子君の腕の腕の隙間から恐ろしげな表情でこちらを覗いてきた。お前は貞子か!!?
緑谷「ええっ!?あれアリなのかよっ!?」
ミッドナイト<アリ!
緑谷<嘘ぉぉっ!?
ギュオッ!!
緑谷「んなっ!?」ヒョイッ
更にその隙間から長い触手のようなものが襲ってきた!何とか紙一重でかわしたけど!!
緑谷「何だよさっきから…!!」
蛙吹「流石ね緑谷ちゃん」チラッ
緑谷「蛙吹さん!?君もか!」
峰田君の隣に舌を伸ばした蛙吹さんの姿が。お前は…貞子か。
というか2人共翼の様に広げた障子君の腕に覆い被さってたのかよ!?すげぇな複製腕!!
蛙吹「梅雨ちゃんと呼んで…」
蛙吹「ケロ」ギュオッ!
再び舌をこちらに伸ばしハチマキを奪い取ろうとする。逃げたいのは山々なんだけど峰田君のブヨブヨのせいで身動き出来ない!
常闇「万事休すか…!?」
拳藤「緑谷…っ!!」
緑谷「……」
八百万「お待たせしました!緑谷さん!!」スッ
緑谷「ありがと…八百万さん!」パシッ
どうやら間に合ったようだな…八百万さんにある物を創造させて、こちらに渡してもらった。それは何かというと…
バヂィッッ!!!
蛙吹「う……そ……」
ドサッ
僕が手に取った物に触れた瞬間、蛙吹さんの全身に電流が走る。感電してしまい、そのまま気絶する。
峰田「ぎ、偽乳隊長おおおっっ!?」
常闇「間一髪…か」
八百万「ですが脚にまだ峰田さんの髪が……」
緑谷「それは任せて。ちょっとじっとしてなよ…」
そう言うと僕は片腕から小さな氣功波をポゥッ放ち彼女の脚にくっついたブヨブヨを焼滅させる。危ない…あと少し気入れてたら八百万さんの靴燃やすとこだった…
ジュゥゥ…
拳藤「お、おぉ…すごいじゃん?」ピクピク…
八百万 常闇「「………」」
八百万(き、気のせいかしら…今……)
常闇(ビームが…曲がった……ような…?)
気のせいです…はい。?どうやったらまっすぐ撃って靴に当たらないんだって?
…………???(惚け)
緑谷「電圧低いから軽めな麻痺の筈だ」
緑谷「すぐに起きるさ、1、2分寝ててくれ」ダダッ…
使い捨ての
ボボオッッ!!
一難去ったらまた一難かよ!!すぐ左上から爆発音が聞こえてくる。爆発てまさか……そそくさとその方向を確認してみると
爆豪「調子乗ってんじゃねぇぞクソが!!!」
緑谷(やっぱりかっちゃんですたぁぁぁっ!?)
かっちゃんがなんと単独でこっちに飛びかかってきた!?マジかよ!!
緑谷「黒影!!!」
黒影<アラヨット
ボオンッッ!!
右腕で爆破狙いで殴りに来たかっちゃんだが…黒影に当たった瞬間爆発が遮られてしまう。
爆豪「っんだこいつ…火が消えた!?」ピタッ
驚く間も無くかっちゃんの身体にセロハンがくっつき、彼の身体を引っ張り上げる。そのままかっちゃんは組んでいた騎馬の上へ着地する。
そうか…瀬呂君がテープ伸ばして引き戻したのか。
瀬呂「っと…」シュルルッ…
切島「ナイキャッチ!!」
ボフッ
爆豪「っの野郎…!!」
マイク「おおおおいっ!?今騎馬から離れたけどセーフなの!?」
ミッドナイト「テクニカルなのでOKよ!地面に脚付いていたらダメだったけど!」
「皆面白れぇな!個性フル活用してらぁ」
「客の俺らからしても楽しいやなー!」
「敵と戦ったってだけでこうも差が出るかねぇ!!」
マイク「やはり狙われまくる1位と猛追を仕掛けるA組の面々共に実力者揃い!」
マイク「果たして現在の所持Pはどうなっているのか!?」
マイク「7分経過した現在のランクを見てみよう!」
するとスタジアムに大きなモニターが出現し、騎馬戦の中間結果が表示される。ってかもう半分かよ。
Pの分かれ方も気になったのでモニターに目を運ぶ……も。
緑谷「あ…れ?」
マイク「あら?あらら!?」
マイク「A組緑谷以外パッとしねぇ…ってかえ?爆ご…」
なんと僕と轟君のチーム以外、A組の生徒は皆ハチマキは0であった……
え?かっちゃんのとこも0P!?
物間「単純なんだよ。A組」
ガシュッ…
爆豪「…!?」
なんとB組の騎馬の1組がすれ違い様にかっちゃんのハチマキをいとも簡単に奪い去ってしまう。何とかその騎手の身体を掴もうと手を伸ばすが間に合わない。
爆豪「んだテメェコラ返せ!!殺すぞ!」
芦戸「や、やられた!!」
物間「…君等さ、少し落ち着いてごらんよ」
物間「ミッドナイトが
騎手の生徒は騎馬を止めて淡々と話し始めてしまう。そんなペラペラ喋ってるような余裕無いと思うんだが…?
物間「だからおおよその目安を仮定し、その順位以下にならないよう予選を走ってさ」<大体40位位じゃね!?みたいな感じで
物間「後方からライバルになるであろう生徒等の個性や性格を観察させてもらった」
物間「【その場限りの優位】に執着したって仕方ないだろう?」
切島「っ…クラスぐるみかよ」
物間「ま、全員の総意ってワケじゃないけど良い案だろ?」
物間「
爆豪「………!」
かっちゃんはすぐにそれが遠回しに放った自分に対する軽蔑の言葉である事に気がつく。
ああ〜やばいぞ。物間君、今の内に謝…
物間「あ。あとついでに君、有名人だよねー」
物間「ヘドロ事件の被害者!!今度参考に聞かせてよ」
物間「年に一度敵に襲われる者の気持ちってのをさっ!」ニコッ
満面の笑みを見せながらそう言った。
これは……洒落にならん。
爆豪「」ブチブチブチィッッ!
爆豪「おい切島…予定変更だ」
切島「は?」
爆豪「デクの前にこいつら全員、殺そう…」ゴゴゴ…
血管が切れる程、青筋を立てながら激怒のオーラを周囲に露わにする。
かっちゃんストレートに言うより遠回しに馬鹿にされる方がキレるからなぁ…
どうする、物間君。
物間「……」
とりあえずこの光景を見て言えるのは必ずしもB組の狙いが
B組は予選を捨てた長期スパンの策に出た。確かに体育祭開始前からA組が食っていた空気を覆せばより強い印象を与られる。ただ…
ならなんで拳藤さんはここにいるって話だが…
拳藤「〜っ」ピクピク…
兎も角……これは発想からするに僕を狙う事に必ずしも固執していない。僕達にとっちゃ絶好のチャンスだ!
緑谷「皆!逃げ切りやす…」
下にいる3人に声をかけようとしたが途中で口が止まってしまう。
来てしまったのだ。1番厄介な相手が…こんな早く…
緑谷「……ははっ」
緑谷「そう上手く、行く訳ないよね……」
轟「そろそろ…奪るぞ」
飯田「…ああ」
麗日「うんっ」
上鳴「………」
緑谷(轟君……!!!)
マイク「残り時間半分切ったぁっ!」
マイク「B組隆盛の中…」
マイク「果たして1000万は誰の頭に垂れるのか!!!???」
須井化です…はい。
何とか日曜に投稿完了!!ハッハー見たかこの野郎!気力さえありゃざっとこんなモンよ!ふぁーはっはっはっ!!
<でもぉ、お前この間気力はあるって言ってただロット……
え?
『気力は十分あるんですがやはり時間が上手く取れなくてですねトホホ…』
………何のことかなww?
<……
<どうやら死にたいようだな。
ニャ、ニャメロ…
<イレイザーキャノン!!(ボーピー
デデーン…
529998→529997
須井化です…はい。
?もう挨拶はしたって?何ご冗談を…
今回は拳藤さんと八百万さん初対面〜騎馬戦途中までっすたな。
もう修羅場モード入ってるね、どうしようもないね。
とりあえず原作とポイント違うのは気にしないでくだサイヤ。
いかがでしたか?
そして!前回時間が無く紹介し損ねた!拳藤の挿絵公開しますぞ!!!
久々だーい!例の如く作者はさいころソード様でございます!一応その方のマイページのリンクも貼っておきます!↓
http://syosetu.org/?mode=user&uid=175541
内容は拳藤!桃白白風チャイナドレスver
【挿絵表示】
ではでは補足頼みますよぅ!
さいころソード「あくまで桃白白「風」なのであしからず」
さいころソード(彼女の元々のコスチュームとさしたる変化がない。腰のたれ位かな。)
さいころソード「桃白白そのままの長袖にすると、彼女の個性「大拳」を使用する度に袖が破れるという不具合が発生するのでオミットした次第」
<嘘です!奴は拳藤たんの生腕・生足を描きたいがために修正したんです!
さいころソード「…まあへそ出しは完全に遊び心ですが」
今回も可愛い挿絵ありがとうございます!ははぁ…実はこれは2、3ヶ月も前に既に貰ってたんだよなぁ…ようやく紹介できたぞコレ!
めっちゃ可愛いんで見てください!てかバッチリーミロー!
最後に上半身ズームver
【挿絵表示】
何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。
3月16日(木)以内に第24話の投稿を予定しております。
お楽しみにー