悟空「オラの?」緑谷「ヒーローアカデミア!」   作:須井化

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前回までのあらすじ

どこにでもいる無個性少年緑谷出久。

彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!

遂に幕を開けた雄英体育祭!!まず初めに行われる競技は障害物競走!

多種多様なトラップを掻い潜り皆が皆着々とゴールへ近づいていたが…

満を持して緑谷少年が立ち上がる!!

ってあれ!?緑谷少年ってスタート地点で棒立ちしてた筈…え!?

更に向こうへ!PlusUltra!!!


第22話

さてと…全国のここの閲覧者の今の心境を前回のあらすじで代弁してもらった所で…

 

時間をええっと…たしかあれは轟君がアフガン入ったか入ってないかくらいの…

 

……まぁそこら辺まで巻き戻してみよう。

 

 

 

 

 

 

障害物競走の展開がヒートアップし、熱く繰り広げられていた一方、観客席ではどよめきが漂ってくる。

 

実はまだスタートしていない選手がいるのだ。ゲート前で突っ立ってる。?誰だって?

 

勿論僕さ!……………

 

 

 

そんな蔑んだ目でこっち見ないでくれ…

 

 

 

「何あいつ…ずっと棒立ち状態だけど」

 

「体育祭やる気ねーのか?早よしろよ!!」

 

緑谷「……」

 

先程から今のようなブーイングが巻き起こってるが正直そんな事はどうでもいい。

 

今重要な点はそこではない。

 

ボソボソと呟きながら情報処理中です。

 

緑谷「大体の人等がザ・フォールの所に来たな…これまでの距離間隔と総距離4kmからするに恐らく障害は後1つ、2つ…そろそろ轟君とかかっちゃん辺りが第2関門突破すると思うんだよね…1番理想的なのは最後の障害物が分かっている段階でそこに足を踏み入れているって事なんだが…早過ぎれば真っ先に引っかかる対象だし遅ければ言うまでもない…」ブツブツ…

 

暫くの間唸っていたが次第に背中を曲げ、腰を下ろし始めた。完全にクラウチングスタートの体勢が整った時、息を1回大きく吸ってから…

 

 

 

 

緑谷「…よし、走るか」

 

 

ダダッッ!!!

 

「おおっ!?速ぇ!?」

 

「今更スタート!?」

 

 

地面を踏込む音を強く響かせながら走り出す。不思議な事にその衝撃はまるで観客席にも伝わるようだったという。

 

ゲートに出来ていた人混みを軽くピョンと飛び越し早速仮想敵エリアに到着する。

 

…なのだが…

 

「待て…あれ見ろ!」

 

「そうだ…先駆者か先に殆ど撃退しちまったから敵が全然残ってねぇ!!」

 

緑谷「っしゃ…」ダダダ…

 

既に残るロボットはインフェルノ1、2体と他の仮想敵4、5体のみ。最もそれらのいずれも破損等で動けない状態だったのが多数な訳だが。

 

親切な事に第2関門へと続く一本道が出来上がっていた。そのまま敵の破片を避けつつコースを駆け抜ける。

 

緑谷(一々相手するのは面倒だったからな)

 

緑谷(障害無しで気楽に走れる!)ダダッ…

 

という感じで1分足らずで第2関門突入。崖を渡らなければならないので綱渡り必須……

 

だけど時間ロスが大きくなるなそりゃ。

 

緑谷「はっ!!」ダダンッ

 

思い切り高く跳躍し、崖と崖を行き来する。偶に思いの外大きく飛びすぎて2、3先の崖に着地する事もあるが。

 

あれ…意外と仮想敵のトコより時間かからんかったか?ジャンプを7回程繰り返した頃にはもうアフガンが視界の中に入っていた。

 

緑谷「…確か次は地雷んとこ!」シュタッ

 

緑谷「あれが最後か…」ダダッ…

 

無事第2関門も完走し、残る障害は怒りのアフガンのみ。ラストスパートという事もあって激しい混戦状態にあった。

 

特に先頭。かっちゃんと轟君が互いを押しのけて激しい順位変動が展開されていた。丁度ここの半分過ぎた辺りのトコか…

 

さぁどう抜けようか……

 

緑谷「予選なんかで界王拳なんてリスク付きの大技出す訳にゃいかない…そこら辺も考慮して今1番成功率が高いと思われる打開策は…」

 

一旦立ち止まって再び作戦を練り始めた矢先かっちゃんの走姿が僕の目に入った。

 

緑谷「…爆発…ターボ…!」

 

緑谷(威力は弱め!だけどアレと組み合わせれば或いは…!!)

 

そう思いながら周りを見渡し地雷のある場所を確認する。丁度3m先に大きめの凸凹を発見。

 

緑谷(あたかも踏まないでくださいと言わんばかりの分かりやす過ぎる構造!)

 

緑谷(もしかすると…)ダダッ

 

即座にそこの地面に向かっていき、地面を掘り始める。対人用の地雷のなんてせいぜい深くしても14〜15cm程度。これならすぐ掘り返せる。

 

ザクザク…

 

緑谷「…!!」

 

中から出て来たのは大量の地雷。やった!予想通り!

 

直後にすぐ両手を腰に添えかめはめ波の体勢に入る。

 

緑谷(…軽めの気功波を地面に発射して……」

 

緑谷(そんでもって爆風に乗せる!!!)ギュルル…

 

緑谷(名付けて…)

 

 

 

 

 

 

 

緑谷(超爆速ターボ!!!)ボオッ!

 

ドオオオオオンッッッ!!!

 

気功波が地雷と衝突した瞬間巨大な爆発音が鳴り響く。あの…うん。この音からして普通に強いですよね!?威力!

 

その衝撃+かめはめ波の反動で一気に差を縮める!!

 

 

 

轟「!?」

 

爆豪「!?」

 

オールマイト「マジか…!!」

 

マイク「……あれ、君……いつから……」

 

悟空「………」ニッ……

 

 

 

 

 

こんな風に今に至る感じですぅぅぅっ!?

 

マイク「1-A緑谷出久!!!ここに来てまさかの怒涛の猛追かぁぁぁぁっっ!?」

 

マイク「つーか……ん?」

 

緑谷(速速速っ速ぁぁあああっ!?)ゴオオッ

 

ジェットコースターかの如く加速していってますよ!?これ!!そりゃまぁ計算じゃなくて憶測とか勘で切り抜けようとは思ったけどさぁ!!

 

だが飛距離は申し分ない!!このまま…

 

 

 

 

爆豪 轟「「!?」」ゴォウッ!!

 

緑谷「ひぃぃっ!?」

 

マイク「ぬっ…抜いたぁぁぁあああっ!?」

 

マイク「一気に戦況がひっくり返った!!現在1位は轟でも爆豪でも無い!!」

 

マイク「緑谷!!!」

 

身体が2人の数cm真上を通過し、やっとこさ1位に返り咲く。だがまだ窮地は続く。あれだ…うん、もう地面と衝突しそう。

 

 

着地とか考えてなかったよ。咄嗟に考えた策だったから降下時間とか考慮してないんだってばぁ!?

 

緑谷(どうするどうするどうする!?)

 

今から飛べて…10〜20mが限度!後ろは今越えたばっか…体勢を立て直す時間も合わせるとかなりのタイムロス!加えてすぐ後ろに居んのが…

 

 

爆豪「デクぁああっ!!」ボオオッッ!!

 

緑谷「いっ…」

 

爆豪「俺の前を行くなぁあっ!!!」

 

爆速ターボで激走してくるヤツ(かっちゃん)と…

 

 

パキパキ…

 

轟(後続に道作っちまうが…)

 

轟(気にしてる暇ねぇ!!!)

 

ダダダッ…

 

地面凍らせて滑走してくるヤツ(轟君)が急接近してくる。

 

そもそもこの速さでは落ちてくる前に追いつかれてしまうのでは…?それに凍らされたからもう地雷は利用できない!!

 

 

 

オールマイト「緑谷少年…!」

 

マイク「元・先頭の2人は足の引っ張り合いをやめ、緑谷を襲う!!」

 

マイク「共通の敵が現れれば人は争いを止める!!」

 

相澤<争いは止まってないがな。

 

悟空「……」

 

 

 

 

 

緑谷「っ…が!!」グオッ

 

軌道を修正しようと身体を傾けるが前のめりになってしまいクルッと一回転する。

 

爆豪「がぁあっ!!!」ボオオッッ!

 

轟「…っ!!」ダダッ…

 

気が付けば3人一直線に並んでしまっていた。やばい!着地する頃にはまた90°回転して地面と仲良く顔面直撃…

 

最低でもこの2人は越せない!!

 

 

緑谷「……」ヒュゥゥ…

 

 

 

 

 

緑谷(駄目だ!行かせるか!!)ギュルル…

 

爆豪「あ!?」

 

緑谷(2人の前に出られた一瞬のチャンス!!)

 

轟「っ…!?」

 

緑谷(追い越し無理なら…………)

 

聞き覚えのある効果音と突如下から発生した光に気が付き、顔を下に向けた。

 

その瞬間…

 

 

 

 

緑谷「抜かせるかあああっ!!!」ボオオオッッ!!!

 

爆豪「っ!?」ゴオオッ!!

 

轟「……!」ズズ…

 

 

 

誰が()()()()()気功波は撃てないと言った?

 

 

着地する手前膝を曲げ両足首を合わせかめはめ波のような姿勢を取った。そして真下に発射する!

 

これなら背後の選手も妨害する事ができる且つ再び距離を置ける!!

 

これがベスト!!よっしゃ…もうゲートは目と鼻の先!

 

 

かめはめ波の衝撃に耐えきれず思わず2人は後退してしまう。すぐに前を振り向き再び走り出すが……?

 

 

 

 

 

あまりにも激しい場面展開で会場が混沌と化してしまう。

 

さっきまでノリノリで実況していたマイク先生も冷や汗をかきながら画面越しに相澤先生に問いかける。

 

マイク「な、なぁ…なんか障害が全く仕事なさってくださらないんですが…」

 

マイク「お前どういう教育してんの?イレイザーヘッド」

 

相澤<何もしてねぇ、奴らが勝手に火ぃ付けあってんだろ。後今俺担任じゃない。

 

マイク「………お、おう」

 

あまりにも冷静に的を射ている正論(コメント)に最早ツッコミする気も失せた。

 

気を取り直しゲート前の状況の中継を行い始める。

 

 

マイク「さぁ…序盤の展開から誰が予想できた!?」

 

マイク「今1番にスタジアムに還ってきたその男…」

 

 

 

 

 

キキーッ!

 

鋭く激しい摩擦音が生じる。

 

今両足でブレーキ掛け、一足先に戻ったのは…

 

 

 

 

 

緑谷「はぁ…はぁ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

マイク「緑谷出久の存在をっっ!!!!!」

 

 

ワァァァア!!!

 

緑谷「っ…ひゅー!」

 

 

 

僕でした。結構フルスピードで駆け回ってたからめっさ息切れしてしまった…

 

前半ただゲート前で他の者を傍観していた生徒が1番早くに戻ってきた…誰もがその事実に驚愕し、そして壮大な拍手と大歓声で出迎える。

 

何処だ何処だと悟空を探そうとキョロキョロと会場を見回した所司会席に目が止まった。

 

 

 

 

そこには僕に向かってサムズアップしている悟空さんの姿が…!

 

悟空「ナイスー!」

 

マイク「??」

 

 

緑谷「……」ゴシゴシ…

 

緑谷「っい!!」グッ

 

僕も親指を立てそのサインに返事する。いかんいかん。涙ぐんでしまった…!!慌てて目を擦って波を拭き取った。

 

到着してから間も無く続々と後続がゴールしてくる。おおよそA組は50位以内には皆入っているから大丈夫そうだ。

 

麗日「ぜぇ…はぁ…」

 

麗日「やっぱし…デク君スゴイ…いつの間にか抜かれてた!」

 

そんな独り言をしていると深刻そうな顔になりながら飯田君が話しかけてきた。

 

飯田「……なぁ麗日君」

 

麗日「?…どしたの」

 

飯田「彼は…緑谷君は……」

 

 

 

 

飯田「()()()()()()()()()()()()()()

 

麗日「い、いつって…私も()()()()()抜かされてたから何とも…」

 

麗日「……あれ…というか…」

 

麗日「ゲート前にも見かけてなかったけど……あれ?あれ?」

 

麗日「……いつから障害物競走参加していたん…?」

 

 

 

これだけ見るとただただ僕の影が薄かっただけという印象に捉えられてしまうが…

 

よく考えてほしい。他の課やB組が気付かないのは無理ないが…

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()僕を警戒しない者はいるのだろうか?確実に皆僕がいるかどうか目を凝らして一回確認する筈なんだ。

 

だがどうだ。前回、果たして僕が登場するまで僕の存在に触れていた者はいるのだろうか?

 

 

 

いないじゃん。

 

 

 

 

悟空(……)

 

悟空(あいつ…気を消しやがったな)

 

悟空(始まって走らねぇ時はどうしたかと思ったけどよ…)

 

悟空(あいつの気が感じられねぇと分かってからはすぐ合点がいったぞ)

 

悟空(先走っても最前列にいちゃトラップに必ず引っかかちまう。だからある程度状況把握してから出発したんだな?)

 

悟空(おまけに気を探って誰が今何処にいるかも一瞬で分かる。好きなタイミングで走れっからな)

 

悟空(あのかめはめ波の応用は初めの頃の体力テストで実践済み…)

 

 

緑谷『か…め…は…め…』ギュルル…

 

爆豪『なっ…テ』

 

緑谷『波ぁあああっっ!!!』ボボオオッ

 

 

悟空(気を消す技術はこないだオラが稽古した時の失敗をちゃんと克服してら)

 

 

悟空『よっと』スカッ

 

ガッ

 

緑谷『っ…』

 

 

 

 

悟空(オラが教えた覚えはねぇのによ…)

 

悟空(先週、あいつがギクシャクしてて心配したけど…なんだ)

 

悟空「やりゃできんじゃねぇか…はは」

 

マイク「いきなりどした?カカロット」

 

悟空「え…いや!なんでもねぇ…」

 

悟空(……)

 

悟空(…後で()()()に礼言わねぇとなぁ…)

 

 

 

といった按配だ。これで前回走らなかった理由が分かったろ?

 

彼の考察通り、僕はただ出るタイミングを見計らっていただけだ。何もボーッと突っ立ってた訳じゃない。

 

…とはいえだ。

 

これの方が効率がいいと高を括ってはいたものの…正直馬鹿馬鹿しい博打を賭けているとは自覚していた。

 

もしこれで先頭程有利な障害物ならば1位どころか合格圏内に入らない可能性だってあった。

 

だからと言って先頭を走っていても先程述べた通り未知なるトラップ&後続からの妨害が立ちはだかる。そう、まるでマリオ○ートのような修羅場だ。

 

…まぁ、結果的には成功したのでとりあえず良しとするか。

 

 

そう結論を下し一気に肩の力を落とす…

 

ズコッ

 

緑谷「痛!?」ガン!

 

とか思ったら動作が激しかったもんだから尻もちついちまった!逆に力んじまったじゃねえか!くそ!

 

緑谷「ってて…」グッ

 

スッ…

 

緑谷「ん?」

 

ひとまず立ちはだかろうと腰に力を入れようとした時…僕の目の前に誰かが手を差し伸ばしてきた。

 

 

 

 

 

八百万「…っと…大丈夫です…の?」

 

緑谷「あ、ああ…」ガシッ

 

 

八百万さんだ。ズッコケてしまった僕の手を掴み引っ張ってくれた。やはり病院の時同様、緊張しているのか何かもぞもぞと喋っていた。

 

まぁ…なんだ。可愛いけど。

 

緑谷「八百万さんは…どうだった?」

 

八百万「私は…多分8、9位辺りで1桁台ではあるかと」

 

緑谷「そっか!良かったね」

 

八百万「え、ええ…」

 

会話を続けようとするとマイク先生から諸連絡のアナウンスが入る。

 

マイク「これから順位結果を集計し始める!10分後発表だからそれまで自由に休憩してくれYo!」

 

マイク「その後すぐ本選開始だー!リスナー達も始まる前に便所走っとけ!」

 

緑谷「べん……兎に角戻ろっか、控え室」

 

八百万「そうですわね」

 

 

緑谷「あの…それと……お尻にくっついてるのは…?」

 

峰田「なんだその下品な胸は…偽乳か何かか?」

 

八百万「」

 

 

 

蛙吹<カエルがなんですって?

峰田<ギャース!それ違う!それタイチョーのほう!

緑谷 八百万<<……

 

 

※峰田君は無事蛙吹さんに捕縛されました。

 

 

 

 

 

 

 

…とまぁ色々ありはしたが無事に第1種目終了。

 

再びスタジアム中央のステージに集合し、モニターにて結果発表。

 

A組は無事全員予選通過だ。…?他の順位?原作を………っと暗黙の了解で。

 

ミッドナイト「……という訳で本選進出したのは以上42名!!」

 

ミッドナイト「落ちちゃった人も安心なさい!まだ見せ場は用意されてるわ!」

 

ミッドナイト「さぁ…本選の開幕よ!」

 

ミッドナイト「ここからは取材陣も白熱してくるよ!キバりなさい!」

 

ミッドナイト「さーて!第2種目よ!私はもう知ってるんだけどねー」ドゥルルル…

 

来た…2種目目の競技!またモニターに競技名が映し出されるのか…

 

緑谷(頼む…出来れば個人のにしてくれ…!)

 

緑谷(現状団体戦にされちゃ皆と組めるような状況じゃな

ミッドナイト「騎馬戦(コレ)!!!」

 

 

 

緑谷「……………」

 

デスヨネェェ…

 

そんな1人無双してりゃ優勝できるような訳ないとは腹括っていたけどさ…

 

騎馬戦て……こりゃ…

 

ミッドナイト「この42人の内から2〜4人のチームを作って貰うわ!」

 

ミッドナイト「基本のルールは普通の騎馬戦と考えてもらっていいのだけれど…」

 

ミッドナイト「特異的な点が2つ程存在するわ…まず」

 

ミッドナイト「①予選の順位によってそれ相応のPが振り分けられる」

 

ミッドナイト「さっきの障害物競走の結果に準じてそれぞれ初期所持P(ポイント)が割り当てられるわ」

 

ミッドナイト「そんでもってチームを組んだ所には人数分の合計したP分のハチマキプレゼント!」

 

ミッドナイト「それを首から上につけて制限時間15分間奪い合ってもらうわ」

 

砂藤「それで最終的な持ち点で次の進出の有無を決めると」

 

砂藤「入試みてぇなP形式か。分かりやすいぜ」

 

ミッドナイト「そして次に重要な所は」

 

ミッドナイト「②ハチマキが全て取られるor騎馬が崩れるとなってもアウトにならないって事!」

 

ミッドナイト「つまりは余程の反則が無い限り10以上の全組がフィールド内に存在する訳」

 

ミッドナイト「だからハチマキが多ければ多い程管理が大変になるわよ!気をつけて!」

 

青山「シンド☆」

 

芦戸「一旦取られて身軽になるってのもアリかもね!」

 

蛙吹「それに関しては全体のPの分かれ方見ないと判断しかねないわね…三奈ちゃん」

 

皆が所々補足入れてくれるのはありがたいけどさ…

 

 

ミッドナイト「あんたら、今私お話中なんですけどよく喋るねぇ…!?」グイィィ…!

 

「」

 

 

 

鞭引っ張りながらキレているんで一旦黙ろう。

 

って言う前に静止してるわな、うん。

 

 

ミッドナイト「個性発動ありの【残虐ファイト】よ!」

 

ミッドナイト「でもあくまで騎馬戦!悪質な崩し目的での攻撃はレッドカード!一発退場とします!」

 

ミッドナイト「質問ある人いる?」

 

切島「ちょっとイイすか?」

 

ミッドナイト「何かしら」

 

切島「Pの付け方とかってどうなってるんスか?」

 

ミッドナイト「ああ…ごめんなさい。言い忘れてたわね」

 

ミッドナイト「Pは()()順位が1つ高くなるにつれ5P追加としているわ」

 

ミッドナイト「42位が5、41位が10Pって感じに」

 

成る程成る程、5Pずつ増えていくのか。その場合だと僕はどうなるんだ?42×5=210…?多いなぁ。210Pも…

 

そんな呑気に計算していると更に彼女から思わぬ発言が……

 

 

 

ミッドナイト「上を行く者には更なる受難を」

 

ミッドナイト「雄英に在籍する以上何度も聞かされるよ」

 

ミッドナイト「これぞPlus Ultra(更に向こうへ)!」

 

緑谷「…………?」

 

上に行く者?何の事言ってるんだ?もしかして僕の事指してる?1位だから…え?そういえばさっき()()()とか言ってたなオイ!ま、まさかさ、最初の持ち点無しとか言わないよな!?やめてくれよ!?タダでさえ今絶体絶命

ミッドナイト「予選通過1位緑谷君!!!」

 

 

ミッドナイト「持ちP1()0()0()0()()!!!!!」

 

 

 

 

クルッ…

 

「………」

 

緑谷「………は?」

 

緑谷(せ……ん…まん?)

 

 

 

 

 

その言葉が聞こえた瞬間41人の生徒はこちらに一斉に視線を向ける。大量の人間の視線が集中するというのは初経験の事では無い。

 

寧ろ慣れっこの方だ。

 

 

 

 

 

『テメェが何をやれるんだ!?』

 

 

 

 

皆そう嘲笑いながら僕の方を見つめていた。今となっては懐かしい程度の昔の悪夢のようなモノだった。

 

 

 

あの時とは全く違う周りの目…

 

あくまで刹那的に立ったトップの座。

 

 

 

その筈だ。たったそれだけなのになんだ!何なんだ!?この胸騒ぎは!?

 

心臓がドクンドクンと激しく鼓動する。滅茶苦茶苦しいぞコレ…

 

 

 

 

緑谷(No.1とはこれ程重いのか…!?)

 

緑谷(オールマイト……!!!)ドクンッ

 

 

 

 

 

オールマイト(この体育祭は【人を助ける】というヒーローの主義と相反する【他を蹴落として】競う場だ)

 

オールマイト(現代商売等の面が大きく関わるこのヒーロー社会にとって【他人より上】という貪欲さは)

 

オールマイト(君だからこその注目すべき点だが同時に君故の欠点とも言えよう。緑谷少年)

 

オールマイト「これからが見所だな」

 

 

 

 

 

 

ルール説明後すぐに15分間のチーム編成時間。長いなぁ…いや正直…

 

緑谷(この状況で僕誰と組めます?)

 

という一言に尽きると思うんだ。

 

まず普通考えるのが同じ組で組もうという事だと思うんだ。だって他の組の個性なんて把握してないもん。意思疎通を図れるって点でもそっちの方がやりやすい。

 

だけど生憎今僕はクラスメイトと絶賛絶交中なのだ。話しかける事もままならない状況。加えて誤魔化しで通してるから個性についての不確定要素が多すぎる。

 

USJのゴタゴタが無かったにせよ元々の信用性を考えれば避けられるのは必至と言えよう。

 

なら他組と組めばいいじゃないとなるがこれは言うまでもない。無理。個性を互いに把握してない上にほぼ初対面に近い形だ。信用もクソもない。

 

負ければそのチーム全員が失格だ。チーム編成も慎重に決めなければならない。

 

更に追い討ちをかけるかのように強大な1000万P。他の生徒にとっちゃ千載一遇の逆転チャンスだろうが皆にターゲット対象にされるとなると15分間約40人の猛者からハチマキを死守しなければならない。

 

どう考えても保持し続けるより終盤で稼ぐ方が戦法として理に適っているからな。

 

 

 

 

ここから導き出される答えは

 

こんなリスクありまくりな奴のチームになれる訳ありません。

 

って事だ。

 

実際3分間歩きまくってるがだーれも近づいてくれない。

 

緑谷「あ、おっ尾白君…僕…」

 

尾白「」スタスタスタスタ…

 

緑谷「あ…うん……ごめん」

 

 

むしろ離れていくんですが。

 

緑谷(どうしよ…このままじゃ作戦立てる間も無くスタートしちゃう!)

 

緑谷(誰でもいいから僕と一緒に騎馬……!)スタスタ…

 

 

緑谷「!?」

 

麗日「〜」

 

飯田「…〜」

 

 

…とそんなこんなで彷徨っていると数m先に麗日さんと飯田君発見!何か誰かと喋ってるな。

 

ダメ元で頼みに行くしかない!!2人に駆け寄って交渉をしてみようと試みる。

 

 

ダダダ…

 

緑谷「麗日さん!飯田君!!」

 

飯田「…緑谷君?」

 

麗日「デク…君……」

 

緑谷「騎馬…僕と組んでくれないかな…」

 

緑谷「出来れば意思疎通がスムーズに出来る人と組みたいんだ。現状それに最適なのはまず君達2人だ!」

 

緑谷「ちゃんと策も考えたんだよ」

 

緑谷「飯田君を先頭に僕と麗日さんで馬を作る!」

 

緑谷「事前に僕と飯田君を麗日さんの個性で軽くすれば機動性は抜群だ!」

 

緑谷「騎手は……まだ決めかねてるけどフィジカルいい人」

 

緑谷「これ位しか今の所逃げ切りを可能とする方法は…」

 

飯田「……」

 

麗日「……ぅ……っ…」

 

 

2人は暫く黙り込むと顔を下に背けた。

 

この時点でどういう結果になるかは大体察せてはいたが敢えて何も反応せずにただだだ答えを待ち続けた。

 

 

まず話し始めたのは飯田君。

 

 

 

飯田「………成る程。流石だ、緑谷君」

 

飯田「だがすまない」

 

 

 

 

飯田「断る」

 

 

緑谷「………」

 

麗日「飯田君……」

 

飯田「少し…訂正しておくぞ」

 

飯田「僕は君を見限っちゃいないからな」

 

飯田「()()()だ」

 

緑谷「?」

 

飯田「君は強者だ。確かに君についていくのが得策には変わりないが…」

 

飯田「いつまでもそう縋っていては僕はただの未熟者だ」

 

飯田「僕は……俺は君に挑戦する!!」

 

そう言って後ろに振り返って歩き出した。彼の脇をチラッと覗いてみるとその先に居たのは上鳴君と轟君。

 

 

 

 

なんだ。

 

 

丁度4人いるじゃん。

 

 

 

 

今度はボソボソっと麗日さんが喋り始めた。

 

麗日「…ッ…デク…君……さ」

 

麗日「ウチ…皆待ってる…」

 

麗日「だからその………」

 

麗日「ほんっと……ゴメン……!」

 

ダダダ…

 

緑谷「……」

 

それだけ言うと彼女は飯田君と同様に走り去っていく。

 

 

……だから…だからなんで謝るんだよ…皆。

 

 

緑谷「……はぁ」

 

大きくため息をつきながら再び歩き始める。周りを見てみればチームが出来ている所がチラホラ…早いなぁ。

 

 

 

 

相澤先生も言っていた。

 

【友達ごっこじゃいられない】

 

僕は今1位。周りは全員敵なんだ

 

そんな事は分かり切っていた……つもりだよ。

 

 

 

じゃあどうしろってんだよ…

 

 

 

 

 

次第に残り時間が少なくなっていき後が無くなっていく。最早考える気すら失せて呆然と途方に暮れるのが精一杯だった。

 

もう組めなかった人同士でも…というか誰でもいいや。どうせ他の人となった所で…………

 

 

 

 

 

 

ポンポン…

 

っとと…いつの間にかネガティブスイッチがONになっていたようだ。後ろから突然肩を叩かれたもんだからハッと我に返った。

 

一体誰だろ…まず気は感じた事ないからきっとA組以外の生徒だって事は分かるけど……

 

恐る恐る後ろを振り向いてみると……………

 

 

 

 

ん?……

 

 

 

ん?…………

 

 

 

 

 

 

 

「よっ…1位クン」

 

「私と組まない?」

 

緑谷「…………」

 

 

 

 

気は…感じた事が無かった。

 

だがその声と姿はハッキリと脳裏に刻まれていた。

 

 

『はい。今度は離すんじゃないぞ?風船』

 

女の子『うん!』

 

緑谷『………』

 

 

 

オレンジ色の髪の毛…キラキラと輝いた眼…とても優しい眼差しであった。

 

 

 

 

 

緑谷「君……は?」

 

「あ、私?私はな…」

 

 

 

 

 

拳藤「拳藤、拳藤一佳ってんだ」

 

拳藤「よろしくな?」

 

 

緑谷「……」

 

 

 

 

 

これを境に僕等の運命の歯車が狂い始めた……と思う。

 

その果てに待っているのは幸せな結末なのか、はたまた最悪の未来なのか……

 

 

 

まぁ…大分後に語られる事なんだけどね

 




見事に締め切りをオーバーしてしまった須井化です…はい。

ここ最近多忙の身でして(言い訳)。

とりあえずさぁ……


流石に今日の朝から書こうとしても間に合わないと思うんだ。

気力は十分あるんですがやはり時間が上手く取れなくてですねトホホ…

まぁその分次回はお詫びも兼ねて少し早めに投稿しようかなと思っております。

出来ればいいなぁ……





とまぁ前振りはこの程度にしておいて…

キマシタワー!!!

拳藤ちゃんキマシタワー!!

今か今かと待ち望んでいた方大変お待たせしました!

やって来ましたよ!俺の嫁(本気)

これから色々と活躍させるつもりなのでお楽しみに!

ええっと…後あ、緑谷君予選通過おめです。以上。


いかがでしたか?



次回は騎馬戦突入…終わりまでは無理だわ。

果たしてデク騎馬はどんなメンバーが揃うんでしょうねぇ。

乞うご期待ー!



何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。
3月12日(日)以内に第23話の投稿を予定しております。

お楽しみにー

<よし今日は半分書こ…オールマイトならぬオールnightじゃー







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