悟空「オラの?」緑谷「ヒーローアカデミア!」   作:須井化

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前回までのあらすじ

どこにでもいる無個性少年緑谷出久。

彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!

USJにて激戦を繰り広げ何とか敵連合の撃退に成功する1-A生徒達!!

だがその代償も大きく心体共に大きな傷を負ってしまう。

数日後緑谷少年は思わぬ形で孫悟空と再会する!!

……え?教師?

更に向こうへ!PlusUltra!!!


第19話

1890年 4月末…

 

孫悟空…雄英高校体育・ヒーロー基礎学(実技)()()教員就任。

 

その真相を知るには2日前…USJ襲撃から3日経った土曜日にまで遡る必要がある。

 

 

 

 

 

 

【雄英高校;議会室】

 

その日、雄英では緊急集会が行われていた。

 

警察関係者数名も巻き込んだ大規模な会議だ。

 

議題は勿論、敵連合に関する内容だ。

 

 

 

 

塚内「死柄木弔…触れた物を粉々にする個性」

 

塚内「黒霧…ワープゲートの個性…」

 

塚内「20代〜30代の個性登録を詮索しましたがいずれも該当するような者はおらず」

 

塚内「現在、行方を調査しております」

 

根津「戸籍、個性届…共に無しか」

 

根津「裏社会の人間か…これまた煩雑な輩が出てきたね」

 

スナイプ「結局手掛かりはゼロか…」

 

スナイプ「事態は一刻も争う。何としても主犯を畳み掛けねぇとな」

 

オールマイト「()()…か」

 

 

オールマイトはその言葉を口にすると資料を眺めながら首を傾げる。

 

不思議に思い根津校長が声をかける。

 

 

根津「どうしたんだい?オールマイト」

 

オールマイト「いえ……生徒の証言からするにこの敵連合という組織の長が【死柄木弔】という男で間違いないのですが」

 

オールマイト「不可解な点が多過ぎる」

 

セメントス「不可解…?」

 

オールマイト「私が来た時には既にほぼ決着が着いていた状態で実際に相見えたのはほんの数秒の事」

 

オールマイト「私自身は何とも言えません…が」

 

オールマイト「奴の意図…というか人格が読み取れない」

 

ミッドナイト「生徒からの情報じゃ貴方の殺害を目的にこに侵入して来たのよね」

 

ミッドナイト「確かにそれにしては諦めが早すぎるというか…何というか」

 

オールマイト「そう!そこが解せん」

 

エクトプラズム「恐ラク奴ラノ勝テル算段トイウノガ脳無ダッタノナラバ…」

 

エクトプラズム「敵ガ逃走スルノモ妥当ナ選択ナノデハ?」

 

オールマイト「それもあるだろうが……あの言い方ではマジで殺害対象を私のみに限定していた」

 

オールマイト「そして奴らはあたかもゲームをプレイするかの様に遊び感覚で雄英を襲いに来た」

 

根津「思い通り事が運ばぬとすぐ取り乱し…」

 

根津「更には悠々と生徒に脳無の情報などを与え寧ろ自分を不利にさせていく」

 

セメントス「【個性不明】…このアドバンテージを自ら捨てるのは何か目的があるのか…」

 

ブラドキング「ただ教えた所で状況変わらずって予想したんだろ…」

 

ブラドキング「正直知っていようがそうでなかろうが戦況は変化しなかったと思うぜ」

 

オールマイト「だとしてもだ…これだけ用意周到に準備されていたにも関わらず大胆な奇襲を仕掛けてきた」

 

オールマイト「奴らにあれ程の戦力があるのならばもっと私を殺すのにいい方法だってあった筈だ」

 

オールマイト「根津校長の指摘した通り、最もらしい稚拙な言論…自己中心的な思考」

 

オールマイト「ここから導き出される死柄木の本質はいわば()()()()()……とでも言うべきか」

 

塚内「問題はそこなんです」

 

塚内「今回検挙した敵の数72名…どれもよく見るチンピラ…一般の敵でしたが」

 

塚内「その子ども大人に少なくともこの数十人もの人間が賛同していたという事実…」

 

根津「…数十年…抑圧されていた悪が暴走を始めたか」

 

根津「今の時代、こういった無邪気な邪悪に皆惹かれているのかもしれない」

 

「……」

 

その場にいた教員は一斉に黙りこく。

 

敵の話題という事もあるだろうが今を生きている若者がこうして悪に感化していると聞けば教師としてはさぞ複雑な気分なのだろう。

 

先日から騒がれている()()()()()()()()()についても言える事だが行動を実際に起こしているのは本人でもその思想を作り上げた原因は自分達にもある。

 

一概に責任は無いとも言い切れない。タダでさえこの間生徒達を見殺しにしかけたのもあってとてもやるせなかった。

 

 

塚内「…まぁヒーロー達のお陰で我々も地道な捜査を行える」

 

塚内「捜査網を拡大し引き続き犯人逮捕に尽力して参ります」

 

根津「ああ、助かります」

 

マイク「力を持った子ども…か」

 

マイク「言い方変えりゃまだ成長できる余地があるってこった」

 

オールマイト「もし優秀な指導者もついていたりでもすれば…」

 

オールマイト「いや…考え過ぎか」

 

根津「さてと。じゃあその話は一旦切って……」

 

オールマイト「…アレですか」

 

塚内「……はぁっ…」

 

いきなり頭痛が始まったのかと言わんばかりに頭を抱え愕然とする。

 

その様子を見て殆どの教員は不思議がる。

 

だって書類に書いてある内容はさっきの話題に比べれば特に問題のあるようなモノじゃないんですもん。

 

ミッドナイト「え、ええと…次の話題…というのは1-Aの学級担任についてですよね」

 

ミッドナイト「引き続き相澤先生となってはいるけど…」

 

オールマイト「あ、ゴメ。それ誤載」

 

「………え?」

 

まぁ違うんですよこれが…

 

資料には5月からの復帰の見通しだとか何とか書いてある。

 

実際可能と言えば可能なのだが…

 

根津「まぁまぁ…とりあえず話を聞いてくれ」

 

根津「おーい、もう入っていいよ」

 

ドアに向かって外にいる誰かに呼びかける。皆視線をそこに集中させるのだが…

 

何秒経ってもドアが開くような気配が無い。

 

当たり前だ。使う必要無いのだから。

 

 

 

 

悟空「いんやこりゃすげぇ!」

 

悟空「ここにいんのがこの学校の先生全員なんか!!」

 

「………」

 

聞き覚えの無い声だと思えば振り返った先にはスーツを着た見知らぬ男がポツンと立っていた。

 

いつ侵入したんだと言わんばかりに皆唖然としていた。

 

根津「紹介しよう!!彼が来週からここに就く&1-Aの担任となった!!」

 

根津「孫悟空君さ!!!」

 

悟空「…まぁなんだ…よろしくっ!」

 

 

 

 

 

スナイプ「…つ、つまり…」

 

マイク「Doooo…you事だってば・YO!?」

 

流石の先生達もこの無茶振りにはコメント困る。

 

ヒーローでも何でもないただの一般人がここの教師に普通選ばれるものか。フリーダムにも限度ってものがあるでしょう。

 

なんかマイクだけはノリノリで楽しそう。

 

オールマイト「今回の事件…これにより恐らく殆どの人間が雄英の監視体制に疑問を抱いた事だろう」

 

オールマイト「特に1年生の各生徒の保護者様」

 

オールマイト「自分の子等が敵に殺される危険性があるような高校に通わせまいと思うのが多数派だと思う」

 

オールマイト「5月に行われる行事にも関わってくる…その為この方を1-A専属の特別教員に任命する事に決定した!!」

 

オールマイト(一方的に!!)

 

そこは強調しなくていいです…オールマイト。

 

エクトプラズム「ナ、ナントイウ急展開…」

 

スナイプ「相澤にはちゃんと許可を得たのか?」

 

 

 

オールマイト『ほ、ほら…君が了承するだけで今回の生徒20人の個性行使ってのはチャラにしてくれるみたいだしさ?」

 

オールマイト『此間の緑谷少年とのイザコザの件もあるし?ね?』

 

相澤『解せぬ』

 

 

 

オールマイト「……ま、まぁ一応…」

 

これは………良くないなぁ…うん。

 

というか意識戻ったみたいで安心しましたよ、相澤先生…

 

根津「悟空君の戦闘力は僕とオールマイトが保証するよ」

 

根津「脳無を殺…倒したのも彼だからね」

 

根津「彼曰くオラなら日本を3秒で更地に出来るそうだ」

 

「………」

 

皆が皆根津校長の言葉を疑った。

 

新手のジャパニーズジョークじゃないのか?気でも狂ったのか?

 

いや、根津先生に限ってそりゃ無いという結論に至った。

 

オールマイト「敵連合にとっては最大最強の障害だ」

 

オールマイト「まず間違いなく悟空さんが居る限りは迂闊に生徒達に手は出せまい」

 

オールマイト(そしてそれは…()()も然り)

 

オールマイト「後これは全員周知していて欲しいのだが…」

 

オールマイト「クラスに関わる業務は全力を持って協力してくれ」

 

オールマイト「も、もしだ……もしも放置などして彼1人に任せたとしたら…」

 

根津「」ガタガタ…

 

 

オールマイトと根津先生の身体が激しく震える…念の為と適正検査でもしてとんでもない事が起こったのか…

 

まぁ予想はつくが…

 

大方パソコンを操作させたら一瞬でぶっ壊れたり10秒でデータが吹っ飛んだりしたんだろうなぁ…10台位。そもそもあの人のIQを期待するのが間違いだ。

 

 

悟空「ま、そーゆー事だからこれから仲良くやってこうぜ皆!」

 

「………よろしくお願い…します」

 

 

 

 

余談だが…

 

塚内さんはその日から度々胃痛が起こるようになったらしい。

 

こうして波乱万丈な雄英高校生活が再びスタートする…

 

以前より更にヒートアップして。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

朝のHRも無事?…に終わり

 

そして現在に至る訳ですが…

 

 

【更衣室】

 

緑谷「」ヌギヌギ…

 

切島「びっくりだぜ…先週の話からして暫く相澤先生が来れないのは予想してたけど」

 

尾白「まさか新しく就任した先生にいきなりこのクラスを任せるなんてね…」

 

飯田「ネットにも一切【カカロット】なんていうヒーローの情報は載っていないしな…」

 

砂藤「確か噂じゃあんな格好の男が1年前のヘドロん時に居たとか何とか…」

 

爆豪「知らねぇよあんなカス頭」

 

飯田「こっ…爆豪君!職員の方になんて失礼な!!」

 

飯田「委員長からも…」

轟「飯田」

 

飯田君は僕を呼ぼうとするが轟君に睨まれすぐに口を閉じる。

 

 

飯田「……す、すまない」

 

緑谷「……」

 

緑谷「はぁ」

 

 

 

 

孫悟空。ヒーロー名【カカロット】…と称されているが勿論そんなヒーローは存在しない。

 

以前、2学期から就く事が決定しておりたまたま先駆けにここを見学していたら…という形で何とか誤魔化そうとはしていたが…

 

正直言って無理がある。なんで学校側は了承したんだ…?失礼な事言うけどこんな見るからに怪しい化物男普通採用する訳ないだろ!?お巡りさんちゃんと事情聴取しました!?

 

全く…朝から変な事ばかり起こってる。クラスからは何か距離が置かれている様な気がするし、何処に行ったかと思えば悟空さんはいきなり教師になったりとか…

 

…そして今いる場所を見れば分かると思うが…

 

次の授業は体育である。勿論担当は…

 

 

 

 

 

悟空「えーそんじゃ改めてよろしく!」

 

悟空「たい…たいい…えーっと…」

 

悟空「特訓の授業早速始めっぞ!」

 

 

 

この人であった。

 

 

 

 

 

唐突に授業を始めようとするモンだから皆驚いた。何の前振りも無くそのまま特訓開始かよ…

 

何も疑問に思わない筈がない。瀬呂君が空かさずツッコミを入れる。

 

瀬呂「あーっとすんません…先生」

 

瀬呂「とりあえず俺ら初対面だし軽く自己紹介とかしといた方が…」

 

悟空「今回はそれを知る為の運動だ!」

 

悟空「言葉で直接話されっよりも体動かしながらの方が楽しいし分かりやすいだろ!」

 

瀬呂「はぁ…?」

 

とりあえず返事はするものの納得するような素振りは見えない。

 

無論僕もだよ。

 

自己紹介しながらの運動?悟空さんの事だ…ロクな遊びじゃ…

 

悟空「今日やんのはこれ!しっぽ鬼ーー!」スッ…

 

あ、普通のレクでした。

 

 

 

彼の右手に握られているのは一巻のスズランテープであった。

 

それを15cm程度に人数分切り、それぞれ渡していく。貰った生徒達は服の下に入れ込み尻尾を作る。

 

…大体5cm位しか出てないぞおい…マジかよ。

 

峰田「ま、まさか先生…アンタァ…」

 

悟空「?」

 

峰田「女子と男子チームに分かれ互いの尻と尻をぶつけ合ういわばお尻合いゲェェ

悟空「違ぇよ?全然」

 

峰田 上鳴「「」」

 

膝を地面につけてガッカリする程でも無いだろうに…何気に上鳴君もちゃっかり便乗してるし…

 

まぁ大体内容は予測できるが…

 

悟空「今からオラが鬼になる。おめぇらはそのしっぽが取られねぇように逃げりゃいい」

 

悟空「簡単だろ?」

 

上鳴「さては…先生1人で女子6人の尻独…」

 

耳郎「どうやら死にたいようだなぁ…ああ!?」キィィ…

 

峰田 上鳴「「耳耳!!耳がああああっ!?」」

 

懲りない2人に心音の鉄槌を。ナイスフォローです耳郎さん。

 

悟空「後これはオラが勝手に作ったルールだけどよ…」

 

 

 

 

 

 

悟空「オラが誰かの身体に触れた瞬間おめぇ達の勝ちにする」

 

「!?」

 

麗日「そ、それってつまり…誤って身体を触った場合は…」

 

悟空「勿論、その時はオラの負けだ!かんたんだろ?」

 

飯田「果たしてそれが自己紹介とどう関わっているのでしょうか!?先生!」

 

悟空「おめぇらの走り方とか…後はどういう戦法使うかでそいつの性格も分かるし」

 

悟空「ま、色々」

 

飯田「成る程!」

 

葉隠「うひゃー!なんか楽しそ!!」

 

口田(それって僕の場合脚とかに蝶でも触れさせたらOKなのかな?)

 

飛び跳ねてはしゃぎ始める者もいれば余りにも無茶苦茶なルールに困惑する者も居た。

 

どういう形にせよ皆は悟空さんの授業にある程度の関心と期待は持ち始めていたのはいい事なのだろうが…

 

 

正直僕としては皆受け入れるの早くね?という疑問と不安しか思えなかった。間違えて気功波出しちゃったとか舞空術使っちゃったとかならないだろうか?

 

でもこれ以上緩くしようが無いんですよね…確かに。?何故難しいのかって?

 

 

 

 

だってあの人地球上で2番目に強い生物だもの。彼の身体を触れるだけでも至難の業だ。

 

そんな事かっちゃんだって分かっている筈なのだが…

 

爆豪「ハッ…なんでそんなガキみてぇな遊びしねえといけねぇのか…」

 

完全に舐め切ってますねこりゃ…幼稚過ぎる内容に呆れるのも無理は無いが…

 

悟空「そんな固え事言うなよー…オラ皆と仲良くやりてぇだけだってのに」

 

爆豪「っからなんで馴れ合いしなきゃいけねぇんだよ!!早く授業進めやがれ!!!」

 

悟空「おめぇが文句言うから進まねぇんじゃねぇかー」

 

爆豪「揚げ足取んなァアンッ!?」

 

悟空「足は上げてねぇし揚げてもねぇぞ」

 

爆豪「」ブヂブヂッ…

 

あ、青筋立った。

 

 

 

 

爆豪「んだとテメェェッ!!!」ボボボオッ!!

 

切島「バッ…おま爆豪!!」

 

突如かっちゃんが悟空先生に駆け出した。

 

両方の掌を後ろに構え同時に爆発させ加速する。めちゃんこ速度が増す技…なのだが

 

 

 

 

 

 

悟空「待った待った…」ピラピラ…

 

悟空「まだスタートなんて言ってねぇだろ?」

 

 

爆豪「は………っ!?」ボボボッ…

 

 

 

 

近づいている途中である違和感に気づく。今さっきつけた筈のスズランが無い…何処に落としたかと探してみると

 

悟空さんの右手にそれらしき物がプラプラと垂れ下がっていた。

 

 

 

 

悟空「でもこんなんじゃちょっとおめぇにゃオラの身体触れねぇかな…」

 

悟空「ベジータでもこんな軽い挑発乗らねぇぞ」

 

爆豪「なっ…ふざけんな!!」

 

怒り心頭に発するかっちゃんだがそれを気にも留めずに悟空さんは再び話し始める。

 

悟空「今の見りゃ分かると思うけどこれは1vs1じゃねぇんだぞ?」

 

 

 

 

悟空「()()でかかってこなきゃオラには勝てねぇよ」

 

 

「…っ…」

 

 

思わず息を呑んでしまった。それ程までに鋭い眼光だった。

 

当然だ。今目の前にいるのは世界最強に最も近い男なんだ。以前敵連合も言っていた通りだ。

 

威圧感が半端無い…

 

 

 

 

 

悟空「んじゃ始め!!」

 

緑谷「!?」

 

ヤバい!ぼっとしてた!!急に開始の合図をされたので一瞬戸惑ってしまう。

 

だがやる事は分かってる!まずは…

 

緑谷「皆!!少…」

ダダダダ……!

 

緑谷「ちょ、ちょっと!?待ってよ!!」

 

合図が聞こえた途端皆が一斉に走り出す。バラバラに挑んだって無理なのに…ってか極端に私を避けるが故にやってません!?皆さん!!

 

とうとう置いてけぼりされてしまった…1人かよ。

 

緑谷「……どうしよう…絶対敵う訳ないんだけど」

 

緑谷「せめて誰か1、2人でいいから協力しできないか…?」キョロキョロ…

 

周りを見渡すがやはり誰にも僕の声が届いて……

 

緑谷「……あ」

 

「あ…」

 

いたよ、1人だけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

切島「っぬぉぉぉっ!!!」ダダッ…

 

悟空「うおっ…一気に来たな…」

 

切島「強行突破じゃああああっっ!!!」

 

気高い雄叫びを上げながら駆けていく切島君。それを先頭に1-Aほぼ総出で悟空さんに襲いかかる。

 

成る程。集団で固まれば否が応でも取った拍子に誰かに当たる筈だもんな。がむしゃらに走っていった訳じゃなさそうだ。

 

遥か上空に聳え立つ高い壁に果敢に挑むそのPlusUltraの精神は評するべき物だろう。

 

 

 

 

 

だがこの男にそんな想いとか…気持ちだけじゃ通じない。

 

 

 

 

ビュゥゥ…

 

飯田「……」

 

麗日「え…」

 

 

 

 

途中、そよ風のようなモノが通り抜けるのを感じた。しかし()()()()()()()である。

 

かっちゃんがさっき感じた違和感とほぼ同じ感覚であった。一瞬…されど永遠のように感じるその一瞬はまるで時が止まったかのように皆はただ立ち尽くす事しか出来なかった。

 

皆考える事は同じだった。ゆっくりと後ろを振り返ってみると…

 

 

 

 

 

 

悟空「ひぃふぅ…えっと…」

 

悟空「これで14個だな!」

 

 

束になったスズランの枚数を数える悟空さんの姿が。

 

反応すらままならなかった。何せスズランを取られた事に気付いたのはこれを見た後だからな。

 

無くなったという感覚が取られている訳が無いという錯覚に敗ける程の速度だった訳だ。どの位か具体的に言ってあげようか?

 

00.01.59

 

その間に彼は14人の生徒の背中を取った事になる。そして尚且つ脳内では…

 

 

 

悟空(飯田は速ぇな…そういう個性持ちなんか?それにしてもいいポージングだ。後筋肉とかもいい感じについてら。筋肉って言えばえーっとあいつは…芦戸とか砂藤辺りも結構な脚力あるなぁ。お、本物のしっぽ生えてる奴もいるな!!確かあいつは尾白…だっけか。他の奴よりも気が大きめだな毎日修行とかトレーニングとか欠かしてねぇ感じだな後(ry

 

 

みたいな感じで生徒達を観察してる。瞬間的にこんな分析できるもんなのか?これもっと応用すればもっと別の事に活かせるんじゃ…

 

 

 

…けど、あくまで14人だけだ。まだ全員は捕まってはいない。

 

ほら、早速先手仕掛けられた。

 

 

 

 

パキパキ…

 

悟空「おおっ!?こ、凍っちまったぞ…」

 

轟「俺達はそこの奴等みてぇに馬鹿正直に突っ込んだりはしねぇんでね」

 

 

USJの時と同様に彼の下半身を凍結させる轟君。一人称が複数形に変わっている事に気付き悟空さんは即座に後ろを振り向いた。

 

2人の生徒が迎撃を狙いに来たのだ。1人は腕からテープを、1人は自分の影を伸ばして徐々悟空さんの身体に近づけていく。

 

瀬呂君と常闇君だ。いつの間に3人で作戦立ててたのかよ…

 

瀬呂「悪いけど先生…レクリエーションの時間は10秒しか取れねぇみたいだぜ?」ギュオッ…

 

常闇「行け!黒影!!」

 

悟空「ひー…やべぇやべえ!!」

 

ああは言ってるけど全く焦ってるような様子は伺えない。寧ろ不利な状況になって楽しみ出したよこの人。

 

そんな中そっと氷を指で叩く。

 

するとどうだろうか…

 

 

 

 

ビキビキ…

 

轟「…!?」

 

身体の周りに張られた氷にヒビが入っていくではないか。しかも何ヶ所も、その音が止む事無く。

 

次第に効果音は大きくなっていき…

 

 

バリィッ!!

 

瀬呂「んな阿保な…」

 

常闇「割れた!?」

 

 

 

見事に振動を氷のみに伝えバラバラに破壊したのだ。どうしたらそんな曲芸ができるんだよ…

 

これで身動きが取れるようになった。間髪入れずに再び氷結の体勢を取るが…

 

轟「ちっ…」パキパキ…

 

ビュゥッ…

 

轟「っ!?」

 

悟空「よーし。これでまた3本ー」ピラ…

 

気付かぬ内に彼の手にはテープが3本新たに握られていた。腰回りを確認するが当然スズランテープは見当たらない。

 

瀬呂「う、嘘!?取られた!?」

 

常闇「不覚…!!」

 

これで20人中18人やられてしまった…残るチャレンジャーは2人のみ。

 

 

 

 

悟空「後は…緑谷と………えっと…」

 

悟空「ヤオローズ?だっけか」

 

八百万「八百万(やおよろず)ですわ」

 

八百万「以後お見知り置きを」

 

さっき僕の呼びかけに真っ先に気付いてくれたのは紛れも無い彼女だ。本当ありがとう副委員長(泣)

 

悟空「あっという間におめぇらだけになっちまったなぁ」

 

悟空「どうする?」

 

緑谷「どうするも何も…足掻くしか無いでしょう」

 

とは言うものの打開策だって思いつかないし増してや勝てるような節なんて全くもって見当たらない。

 

でも今まで何十回も組手やって来てずっと連敗記録更新してるんだ。一回位…一矢報いさせてくれたっていいじゃないか。

 

八百万「…緑谷さん、本当にさっきの作戦通りで…?」

 

緑谷「うん。多分行ける…多分」

 

八百万「……」

 

困惑しながらもやむなくとある物を創造し始める。

 

何を創り出したかと言うと…

 

八百万「孫先生!!これをご覧なさい!!」ブンッ!!

 

悟空「?……ああっ!?」

 

悟空「メシッッ!?」ダンッ!!

 

骨つき肉だ。八百万さんはその骨を手に取り上空に勢いよく投げつけた。このお肉により悟空さんは完全に目を奪われてしまう事となる。

 

反射的に彼の身体が真上に飛んで行ってしまう。

 

?…生物は作られないんじゃなかったのかって?

 

悟空「腹減ってたんだよー!ラッキー!」

 

悟空「いっただきますーー!」

 

だってこれ…

 

 

 

バリッ…

 

悟空「ぶぼ…?なんばぼれかぺぇな…」

 

悟空「それに鉄の味……?」カッッ

 

 

ドオオオンッ!!!

 

 

骨つき肉(の形をした時限爆弾)なのだから。よくこんな無茶苦茶な要望答えてくれたね八百万さん…

 

噛み付いた瞬間、悟空さんの身体は白い光に包まれ間も無く爆弾が爆破する。

 

勿論当の被害者は無傷なのですが。

 

 

 

悟空「げほっげほっ…」

 

悟空「かぁっー…おでれぇた。いきなり肉が爆発するもんだからよぉ…」

 

爆発に巻き込まれてしまった為周りに煙幕が発生し周辺の状況が視認できなくなった。

 

何が何やら…今何が起こったのか分からず、悟空さんは煙が消えるまでおとなしくする他なかった。

 

こんな隙だらけで狙わない方がおかしいじゃないですか…

 

 

 

 

緑谷(ねぇ!?悟空さん!!)ゴオッ…

 

爆弾起動後すぐ上に飛んでいって彼に接近していたんだ。距離はもう1m未満!真後ろに回り込んだ!!

 

悟空さんの背中に腕を思い切り伸ばしていく。

 

よっしゃ…敵将討ち取った

悟空「よっと」スカッ

 

 

 

りはできませんよね!分かってました!ええ!!当たる寸前に横に避けられましたよ!

 

お陰で前に傾いて体勢崩れちゃったよ……ああっとこれはあれか。

 

 

ガッ

 

緑谷「っ…」

 

綺麗に首部に手刀がクリーンヒットしました。弱めたとはいえそれなりの威力があったからすぐ気絶してしまったよ。

 

悟空「っとと」ガシッ

 

落下しそうになる僕の身体を抱き抱える悟空さん。どうやら攻撃する前にしっぽは取っていたようだ。つけていたはずのスズランはどこにも見当たらない。

 

悟空「よーし。これで緑谷のも取れたし全員……」

 

八百万「………」

 

悟空「………」

 

八百万「…」チョンチョン

 

自分を指差しながら必死に【まだ取られていない】アピールをする。

 

悟空「あ」

 

今更遅い!!!

 

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで悟空さんのドジ?によりこのゲームは僕達が勝利した。一応見返り無いのもアレだったので個性(仮)をお披露目してくれた。

 

瞬間移動の証明としてオールマイトのコスチュームを部屋からこっそり取って来てもらった。勿論体育の後こっ酷くオールマイトに怒られたが。

 

先が思いやられるなぁ…

 

 

 

 

 

【食堂:メシ処】

 

 

 

 

 

緑谷「…」モグモグ…

 

昼休み、1人で静かに食事中です。飯田君と麗日さんを誘おうとしたけどなんというか…気分的に乗らなかった。

 

どうして皆は僕を避けているんだ…?切島君に至っては謝罪されたにも関わらずだ。

 

全く理由が思いつかず唸りながらカツ丼を頬張っていた時だった。

 

後ろから誰かに声を掛けられたのだ。

 

 

 

 

蛙吹「ねぇ、緑谷ちゃん…隣いいかしら」

 

緑谷「…?蛙吹さん?」

 

蛙吹「少し話したい事があるの」

 

蛙吹「体育祭の事も兼ねて」

 

緑谷「…………!」

 

 

 

 

 

 

あったな、5月に体育祭(そんな行事)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




最近はドタバタする事多いなぁ…

須井化です…はい。

今回は悟空さ初めての授業だお!

というか時間が無かったから今回文章が雑になってるかも…何かおかしな点があればすぐに修正致します!

…え?これ年代設定とか決まってたん(惚け)

いかがでしたか?

次回は体育祭の開始前までです。

今回スルーした朝のHRについても次回触れますよ。

ちょっと量多くなるかも…はは(泣)



何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。
3月2日(木)以内に第20話の投稿を予定しております。

お楽しみに!





<親父ぃ…ギリギリ間に合わなかったようだなぁ

や、やめろブロリー!落ち着…

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