悟空「オラの?」緑谷「ヒーローアカデミア!」   作:須井化

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前回までのあらすじ

どこにでもいる無個性少年緑谷出久。

彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!

USJにて救助訓練最中になんと敵が出現!

更に敵連合の秘密兵器【脳無】も現れ、続々と仲間が倒れていく中緑谷少年が駆けつける!

脳無と奮闘するかと思いきやあまりの戦闘力の差は最早絶望!!

最後の力を振り絞り400%の超パワーの賭けに出るが…?

更に向こうへ!PlusUltra!!!


第16話

つい先程まで出ていたモノよりも激しく、大きく…そして凄まじいオーラが身体を包んでいく。

 

度重なるダメージの蓄積によりとうとう痛覚さえ麻痺してしまった。

 

 

 

痛いと感じられない。身体の限界はとっくに越えていたんだ。

 

使っている自分だから分かる。多分…後10秒以上闘ったらもう2度と立ち上がれなくなる。

 

だから頼む……

 

 

 

 

 

緑谷(この4倍界王拳でカタをつけさせてくれ…!!!)ボボオッ!!

 

 

 

 

 

 

死柄木「……うーん」ポリポリ

 

死柄木「面倒だなぁ…一刻も早く帰りたいって時に」

 

黒霧「ならば私がゲートで奴を…」

 

死柄木「多分ゲート現れた瞬間抜けるぜそりゃ」

 

黒霧「左様ですか」

 

死柄木「でもまぁ…」

 

死柄木「足掻けば足掻いてくれる程こちらとしては見ものなんで構わないんだがさぁぁ」ニィィ

 

 

嘲笑いながら敵がこちらを向いてきた。そして再び濃霧に指示を出す。

 

 

死柄木「そばかす殺せ、脳無」

 

 

 

 

ダダッ!!

 

緑谷(はっええ…)

 

さっきよりも段違いの速度でこちらに向かって走ってきた。まだこいつ本気じゃなかったのかよ…!

 

打撃が効かない…んな事は分かってる。

 

でもあいつの個性は【ショック()()】だ………ならば限度があるはず。

 

チャンスは 一回……

 

 

奴が怯んだ隙に…

 

 

 

 

緑谷「っっ!。ドガァッッ!!

 

脳無「!!??」

 

脳無の顔面に右ストレートを炸裂させる。メリメリッとめり込みそのまま真後に吹っ飛んでいく。

 

攻撃を終えた吹っ飛ぶ脳無を通り越し背後で待ち構える。

 

 

緑谷「だぁりゃぁあっっ!!!」バギィッッ!!!

 

脳無「…ッッ」

 

ビュン!

 

 

こっちへ接近した矢先に脳無に強烈な上段蹴りを浴びせる。その反動で脳無は空高く吹き飛んでしまう。

 

死柄木「あのガキ…まだあんな力が…」

 

黒霧「……ですが…」

 

 

緑谷「く……そ」

 

身体が上手く動かない。ピクピク震えるだけで全く言う事を聞いてくれない。

 

4倍だ…負荷を感じる間もなく倒れてしまうだろう。もう意識保ってるだけで精一杯だ。というか眠い、怠いやば…死ぬ。

 

 

でも……でも……

 

敵1人位片付けないとカッコつかんだろうに…!!

 

緑谷「かぁぁぁ!めぇぇぇ!!!」

 

死柄木「亀?」

 

緑谷「はああっ!!めぇぇええ……!!!」ギュルル…

 

黒霧「羽目?」

 

切島「あいつっ…!」

 

 

緑谷「波ぁぁああああっっっ!!!!」ボボオオオッ!!!

 

上空…脳無目掛け全力のかめはめ波を放つ。その衝撃の影響で地面は凹み大きなヒビが入ってしまう。

 

ごめんなさい13号!でもこれしかない!

 

空中なら自由も利かない!再生しようが一気に身体が吹っ飛べば問題無い!!

 

緑谷「行けぇぇっっ!!」

 

脳無「……!!」

 

 

 

 

 

ズッッ!!

 

死柄木「……」

 

黒霧「あ…………」

 

爆豪「な……」

 

バリィッ!

 

緑谷「……」

 

 

 

 

ドサッ!!

 

 

 

気功波は脳無の上半身を見事に貫通しそのまま天上の窓ガラスを割って遥か彼方に飛び去っていく。

 

皮肉にも先程再生された下半身だけが無惨にも残り真下の地面に落下。

 

そのまま身体は横たわり静止する。

 

 

 

緑谷「はぁ…はぁ…っ…」シュンッ

 

ドサッ

 

界王拳の長時間使用…そして脳無から受けた傷の深さ…それに伴う肉体的苦痛は想像以上に恐ろしい物だ。

 

界王拳を解除した直後前に倒れ込み活動が停止される。もう身体が動くような力も気も微塵に残っちゃいなかった。

 

さてと…問題はあの2人なんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛙吹「み、緑谷ちゃんがあの怪物倒したわよ」

 

蛙吹「早く救けに…私達なら残りの2人も…」

 

切島「そ…そうだな」

 

2人は即座に僕の所へ駆け寄ろうとするが…

 

轟「………」

 

 

 

 

轟「いや、見ろ」

 

轟君に呼び止められてしまう。

 

切島「え」

 

轟「あいつ…やり損ねやがった」

 

 

 

 

 

 

突然、脳無の両足がその場に立ち上がった。腰辺りの部位から急激に細胞が増殖していく。

 

緑谷「……あ」

 

脳無「」ズズッ…

 

次第に胴体、両腕、頭部と新たな身体が構成されていく。

 

たった数秒で上半身が再生されてしまった。

 

 

 

 

 

死柄木「いつ頭部を壊せば機能停止するって言った?」

 

 

 

あ、はい…分かってました。

 

脳を破壊すれば必然的に…って思ったけどやっぱ無理だったか…あはは。

 

全部消滅させる余裕は無かった…

 

…駄目だ。身体がピクリともしない。界王拳ももう使えない。

 

チェックメイト…こりゃもう万策尽きたかな……

 

緑谷「はは…お母さん。ごめん」

 

緑谷「もう家に帰れないわ……僕」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

切島「っにゃろぉぉ…しぶてぇ奴!!」

 

切島「俺だけでも救けに…」スタスタ…

 

ガシッ

 

切島「っ…!」

 

 

救助に向かおうとする切島君の腕に峰田君が掴みかかる。

 

峰田「何やってんだよ切島ぁ!!」

 

峰田「態々殺されに行くのか!?」

 

切島「んな事しねぇよ!緑谷救けてすぐ逃げりゃ…」

 

轟「できる訳ねぇだろ」

 

間髪入れずに台詞が言い終わる前に口を挟む轟君。

 

切島「なんでそんな事断言出来んだよ!!」

 

轟「お前さっきみてぇなバトル繰り広げられんのか?」

 

切島「…」

 

轟「無理だろ…多分10秒耐えりゃ良い方」

 

轟「それにあいつと一騎打ちするってあっちから言い出したんだ」

 

轟「俺らみてぇな()()()が委員長の妨害する訳にゃいかねぇだろ」

 

切島「…っ…緑谷はそんなつもりで言ったとは限ら…」

 

ガシッ…

 

轟「…」ググッ…

 

 

 

爆豪「今…何つった…ああ?」

 

いきなりかっちゃんが轟君の襟を掴んできた。さっきまでただ突っ立ってて僕の闘い見てただけだけど…

 

どうやら轟君の発した言葉でようやく目が覚めたみたいだ。

 

爆豪「なんで俺まで除け者扱いなんだぁ?オイ!」

 

爆豪「しかもよりにもよってクソナードによ!!」

 

轟「…」

 

爆豪「……っ……」

 

 

 

緑谷『いいなぁかっちゃん個性かっこいいもんなぁ』

 

 

緑谷『君が…優秀なんだから……』

 

緑谷『君が凄い人だから…勝ちたいんじゃないか!!』

 

 

 

爆豪「あの野郎がっ…()()()()する訳ねぇだろ……!!!」

 

轟「……じゃあなんで今こうしてんだよ…お前は」

 

爆豪「っ!?」

 

轟「行きてぇなら勝手に1人で行ってろ。俺ァそれで命落とすなんて懲り懲りだ」

 

轟「怖気ついて本当は足が動かねぇだけだろ?」

 

轟「この間ボロクソに負けてしかもさっき救けられたばっかの癖して…偉そうなご身分で」

 

爆豪「……」

 

その言葉を聞いた途端額に青筋が大きく浮かんでくる。…やばい。感情が抑えきれずに右腕上がり始めてるよかっちゃん。

 

 

 

爆豪「もういっぺん言ってみらあああっっ!!」ボオオッッ

 

激しく爆発させながら握ったその拳を轟君に振り下ろす。

 

これには流石の轟君も呆れながら…

 

轟「っるせぇな…少し黙ってろ」スッ

 

右腕で迎撃し(凍らせ)ようとする。

 

このままでは小競り合いが始まると見た切島島君は必死に説得しようとするが……

 

切島「ちょ…馬鹿!そんな事してる場合か!」

 

切島「ほ、ほら!梅雨ちゃんとか峰田からもなんか言って……」

 

ダダダ…

 

 

 

切島「……え?峰田…おま…」

 

峰田「……」

 

切島「まさか……行かせたのか!!?」

 

 

切島「梅雨ちゃんを!!!」

 

轟 爆豪「「!?」」

 

 

 

 

 

 

 

緑谷「…」

 

脳無「………」

 

死柄木「さってとそれじゃ四肢でも捥いで首だけでも持って帰って標本にでもしてやろうじゃないか」

 

死柄木「先生の最高傑作とも言えるこいつをダウンさせたんだからな」

 

死柄木「せめて安らかに眠らせてやるよ」

 

果たして四肢もいで首を千切るのが安らかな殺し方なんだか…

 

いや…もうこの際どうなっても構わないや。

 

 

でもまだ希望は残ってる。今ようやく八百万さんが学校に着いたようだが少し前にオールマイトが学校から出発していたんだ。

 

この速さならば後3分もしない内に着くだろう。

 

まぁ…要は…なんだ。

 

 

 

無駄死にじゃ無かっただけマシだねって事なんだけどさ。

 

 

 

 

 

……ダダダ…

 

緑谷「……」

 

何だろう。気のせいだとは思うんだけど誰かがこっちに走ってくる音が聞こえる。何故かその人の気も段々近づいていってるんだよなぁきっとこれは身体の感覚が全部狂っ

黒霧「死柄木弔。何やら向こうから生徒が向かってきていますが」

 

死柄木「……ん。ありゃ蛙の小娘じゃねぇか」

 

 

蛙の小娘……?

 

 

 

緑谷「あ…蛙吹さん!!?」

 

 

 

 

 

 

蛙吹「はぁ…はぁ…」ダダッ…

 

蛙吹(私…本当に駄目な子だ…)

 

 

緑谷『邪魔になる様な事は考えていないよ』

 

緑谷『少しでも負担減らせれば……』

 

蛙吹『……』

 

 

蛙吹(あの時!私がちゃんと止めてあげていればこんな事にはならなかった!)

 

蛙吹(でもまた彼なら何とかしてくれるって放ったらかしにした!!)

 

蛙吹(馬鹿!馬鹿!自分の馬鹿!)

 

蛙吹(勇気出して立ち向かっていた緑谷ちゃんや峰田ちゃんの方がよっぽど立派よ!!)

 

蛙吹(このまま見過ごせば…)

 

 

 

 

緑谷『うちの()()に手ェ出すなぁぁあっ!!』

 

 

 

 

 

蛙吹(羽生子(あの子)にもう2度と顔向け出来ないじゃない!!)

 

 

 

 

 

蛙吹「緑谷ちゃんっっ!!!」

 

大きな声で僕の名前を叫ぶ蛙吹さん。

 

馬っ鹿…なんでここに来るんだよ!!

 

緑谷「蛙…つ、梅雨ちゃん!!早く逃げて!!」

 

掠れた声で何とか蛙吹さんを広間に行く様指示するが…

 

 

彼女は一切動揺せずにこちらに走り続けていた。

 

 

 

蛙吹「無理よ!!放っておけない!!」

 

緑谷「…うすぐっ…!オールマイト…来るんだ!!」

 

緑谷「頼む!!もう少しだけ耐え…」

 

蛙吹「嫌!!!」

 

 

 

 

蛙吹「友達が死ぬのを見るなんて…」

 

蛙吹「私には無理よ!!」

 

ポタポタ…

 

峰田「……蛙吹……」

 

 

 

 

 

…やめてくれ。今すぐ…戻ってくれ。

 

そんな…泣きながらこっち向かれたら…

 

 

死ぬの怖くなっちゃうだろ……

 

緑谷「……蛙吹…さん……」

 

死柄木「…」

 

死柄木「いいねぇ…すっごいうん…感動的」

 

 

 

 

死柄木「だからどうした」

 

 

 

 

ブオッ!!!

 

構わず脳無は手と手を固く握り締め、そのまま両腕を僕の頭目掛けて振り下ろす。

 

どうやら頭蓋骨を粉砕しようとする気らしい。

 

それ所じゃ無いんですが。

 

緑谷(な…何とかしないと…このままじゃ蛙吹さんが殺され…)

 

緑谷(くそ…せめて舞空術さえ使えれば…)

 

緑谷(動け…数秒だけでいいから彼女を……!!)

 

蛙吹さんは徐々に僕との距離を詰めていく。

 

だが逆に言えば脳無に接近しているのと同じ事…!

 

とても3分も逃げられるような力は無い!!

 

緑谷(神様仏様うんたらかんたら様……)

 

緑谷(誰でもいいから…!!)

 

脳無の拳が髪の毛に触れるまでに近づいてしまう。

 

あ、これ死ぬ。

 

緑谷(………)

 

 

 

 

 

緑谷(悟空さん…助けて…………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

 

 

 

あれ…痛く…ない。

 

というか攻撃して…いない?

 

不思議に思いながら上を眺めてみると……

 

 

 

 

 

ググッ…

 

脳無「……!!?」

 

「……とりあえずおめぇは…」

 

「緑谷から離れろぉっ!!!」プンッ!!!

 

ビュンッ!!!

 

死柄木「……は?」

 

ズドオオッッ!!

 

緑谷「………」

 

 

 

 

 

誰かが当たる寸前に脳無の腕を掴んで攻撃を阻止してくれたらしい。

 

その男は脳無を片手で軽々と投げ軽くあしらう。

 

すごいや…脳無が壁にめり込んでる。

 

 

 

 

 

こんな事できる人なんて1人しか居ないよなぁ。

 

 

 

 

「すまねぇ緑谷…」

 

「おめぇの気探すのに5秒もかかっちまった」

 

「でも安心しろ?」

 

 

 

悟空「オラが来たっ!!…てな」

 

 

緑谷「く…来るの遅すぎですよ…悟空さん」

 

 

 

唐突の市民の乱入に誰もが呆然とする他無かった。

 

いやそもそもこいつはただの一般人なのか?

 

どうやってここに侵入したのか?何故脳無をあんな簡単に力押しできるのか?

 

疑問点は挙げればキリが無かった。

 

 

 

蛙吹「…あ、貴方は一体…何者なの?」

 

慎重に近づきながら悟空さんに話しかけた。そりゃ怪しむか…こんな登場じゃ。

 

悟空さんはにっこり笑いながら…

 

悟空「オラか?オラは孫悟空だ!」

 

蛙吹「孫悟空?……西遊記の?」

 

悟空「うーん…ちょっと違ぇかな…後オラそいつ知らねぇし」

 

緑谷「悟空…さん…あっちに僕の友達が…いるんですけど」

 

緑谷「まだこの施設内に散らばっているんです…分かりますか?」

 

言葉が途切れ途切れになりながらも悟空さんに話しかける。

 

問いかけられた後すぐに気を探り始める。

 

悟空「………………」

 

悟空「うん。8人くれぇかな…向こうの奴ら除いてだろ?」

 

蛙吹「なんで人数が…」

 

悟空「何となく分かんだよ……後6、7人は怪我人か?」

 

悟空「すっげぇ気が小せぇ」

 

緑谷「ええ…おおよそそんな感じ」

 

悟空「よし。まずあいつらん所に散らばってる奴らを連れてこよう」

 

そう言って額に指を当てるとフッと姿を消していく。

 

 

 

 

 

 

 

切島「あ?なんかあのおっさん消えたぞ?」

 

峰田「一体何

上鳴「ウェーーーイッッ!?」

 

峰田「ぎゃああああっっ!!!」

 

背後から急に呻き声(?)が聞こえて絶叫してしまう峰田君。

 

ただそりゃいきなりオン○○ル語が聞こえたらぞっとするわ。

 

峰田「上鳴かよ!!何驚かせ…」

 

峰田「…え?上鳴?」

 

 

 

 

そう、彼はたった3秒で各ゾーンに居た8人を連れ戻してしまったのだ。

 

 

切島「あ!芦戸!常闇も!!皆!!」

 

耳郎「な…何が起こったの今…」

 

口田「??????」

 

あまりの出来事に皆驚きを隠せない。当然だ。気がつけば別の場所へ自動的にテレポートしたんだから。

 

しかも当の本人はいつの間にか元の位置に戻ってるし。

 

轟(あのおっさん…今何しやがった…)

 

 

 

 

 

悟空「……事情は何となく想像ついたぞ」

 

悟空「奴らが襲って来たんだな」

 

死柄木「おいおい何なんだこれは?」

 

死柄木「どうしてこういつも邪魔が入って来る!」ガリガリ…

 

死柄木「しかも今度は生徒でも教師でもオールマイトでもないじゃないか!!」

 

死柄木「どうやれば一瞬で大勢の生徒を集められるんだ!?」

 

相当苛立っているようだ。両手でガリガリと強く顔をかいていく。いや寧ろこれ傷つけてるんじゃ…って思う位に出血してしまっている。

 

落ち着かせようと説得をする部下の敵。

 

黒霧「気を確かに…死柄木弔」

 

黒霧「あの男についての情報も少なからず入手しております」

 

死柄木「じゃあ何だって言うんだよ」

 

黒霧「個人情報はどれも不明なのですが…丁度1年前ヘドロの事件があったのを覚えていますか?」

 

死柄木「ヘドロ…?ああ。先生も言ってた爆発小僧が襲われてたやつ?」

 

死柄木「それと何の…」

 

黒霧「その敵は突如現れた謎のツンツン頭の男によってバラバラに粉砕された……丁度あんな感じの輩です」

 

黒霧「たった1発…しかもその拳1つで天候まで変えてしまったとの事です」

 

死柄木「何だそりゃ…オールマイトですらできるか怪しい所業じゃねぇかよ」

 

死柄木「何故それをあんな男が…」

 

 

 

悟空「……なぁ、()()

 

蛙吹「!?」

 

悟空「危ねぇからこいつを皆の所に連れてってくれねぇか?」

 

……なんで悟空さん蛙吹さんの事知ってるんだ?もしかして知り合い?いや…でも蛙吹さんの驚きようからしてそれは…

 

悟空「ちょーーっとおめぇの頭ん中見させてもらっただけだよ、緑谷」

 

緑谷「頭の中…?記憶?」

 

悟空「ほら、さっさと行った!あいつ来るぞ」

 

 

 

会話の最中、脳無が埋まっていた壁から再び姿を現わす。

 

そしてゆっくりとこちらに近づいていった。

 

 

死柄木「相手がオールマイト級なら今の内に始末しておいて損はねぇだろ」

 

死柄木「とりあえずあいつからやってしまおうか」

 

黒霧「ええ」

 

悟空「うっへー…あいつまるで効いてねぇな」

 

緑谷「悟空さん!そいつはショック吸収と再生能力を持ち合わせています!」

 

悟空「再生?セルかなんかかよあいつ…」

 

悟空「分かった!あんがとな緑谷」

 

悟空「後は全部オラに任せとけ」

 

そう言うと僕の頭を2、3回ポンポンと叩いてそのまま立ち去っていく僕達を見送った。

 

…まぁ個性(?)を知ってようが知ってまいがあの人には関係ないかもしれないけど一応…ね?

 

 

 

 

 

 

 

緑谷「…」

 

蛙吹「……」テクテク…

 

 

歩いて暫くして蛙吹さんが僕に話しかけてきた。

 

蛙吹「ごめんなさい。緑谷ちゃん」

 

緑谷「え」

 

蛙吹「私のせいで貴方を危険な目に合わせた」

 

蛙吹「貴方にさっき救けてもらったばかりなのに…仇で返す所だったわ」

 

蛙吹「ごめんなさい…本当にごめんなさい」

 

緑谷「……」

 

彼女の話を聞き終わると僕は照れ臭そうにこう返事する。

 

緑谷「……いや…その…うーん…」

 

緑谷「正直……君には感謝しかないんだけど」

 

蛙吹「?」

 

緑谷「……もし…今の……あの数秒が無かったら」

 

緑谷「多分僕は殺されてた」

 

緑谷「君がやった事は全部正しかった」

 

緑谷「じゃなきゃ…全員生きてるなんて結末にはならないよ」

 

蛙吹「緑谷ちゃん……」

 

蛙吹「…でもあの人が脳無?を倒せるとは…」

 

緑谷「大丈夫大丈夫。あの人は負けないよ」

 

 

 

 

緑谷「世界で2番目に強い人間だからね」

 

僕は微笑みながらすかさずそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

悟空「…おめぇらがどうしてこんな事してんのか知らねぇけど」

 

悟空「よくもオラの家族をいたぶってくれたな!!」

 

死柄木「家族…?お前はあの地味な奴の父親なのか?」

 

悟空「似たようなもんだ」

 

黒霧「気をつけてください死柄木」

 

黒霧「奴……こんな遠くからでもかなりの威圧を感じる」

 

死柄木「分かってら。さっさとケリつけようぜこんなミニゲーム」

 

死柄木「行け、脳無。あの脳筋男をぶちのめせ」

 

指示を出されるや否や脳無はすぐに走り出す。

 

僕が戦った時の速度とは桁違いのスピードだった。

 

緑谷(うっそ…ギリギリ見えるかどうかだ!)

 

緑谷(あいつはまだ全然本領発揮してなかった!あんなのと渡り合おうとしてたのか僕は!?)

 

同時に悟空さんの方を振り向くと…

 

 

 

 

悟空「……っ」

 

 

あれ…なんか…

 

緑谷(滅茶苦茶怒ってる…?)

 

 

 

 

爪が食い込む程に強く拳を握りしめ髪が揺れ今にも逆立ちそうだ。

 

表情が崩れていない所を見る限りこれはどちらかと言うと怒りを抑えてる感じか?

 

あんな所…見た事ない。

 

それは襲来してきた敵や無茶をし続けた僕に対しての怒りでは無かった。

 

 

 

悟空(情けねぇ情けねぇ…!!)

 

悟空(何が暇だ退屈だ!)

 

悟空(もしなんかあった時にって思ってたっちゅうのに何呑気に寝てんだオラは…!)

 

 

悟空『おめぇが立派な大人になっまで見届ける』

 

悟空『それが…帰るまでのオラの役目だから』

 

 

 

悟空(あんな事言っておいて…)

 

悟空(オラは緑谷と他の皆も傷つけさせちまった!)

 

悟空(不甲斐ねぇ!!!)キッ…

 

 

 

 

 

 

少し冷静さが欠けてしまったようだ。

 

気がつけば脳無を強く睨みつけていた。

 

そう…ただ少し感情を高ぶらせただけだった筈が…

 

 

 

脳無「!!!???」ピタッ

 

 

 

一瞬…コンマ1秒の事だが……

 

脳無は翻弄されてしまったのだ。彼の怒りに。

 

それが野生の本能故なのかはたまた前世の人間の理性が微かに目覚めた故か…理由は定かではないが…

 

感情の無い筈の脳無に一つの【戸惑い】が生まれていた。

 

 

 

 

だがそれもあくまで寸秒の事だった。脳無は意に介さずにそのまま走り続ける。

 

ダダッ!!

 

悟空「……」

 

悟空さんは構えずそのまま静止していた。相手からすればただ無防備な姿としか捉えられない。

 

彼の胴体に向けて脳無は右ストレートを仕掛ける……

 

 

 

 

 

 

 

 

悟空「よっと」ガッ!!

 

脳無「!!?」

 

つもりがなんと軽く打ったパンチであっさりと弾かれてしまう。再び攻撃を仕掛ける脳無だったが…

 

脳無「ッッ!!」ブンッ!!

 

悟空「よっ」ガッッ!

 

脳無「ーーッ!!」ブォォッ!

 

悟空「ほっ」ガッッ!

 

いくら打ち込んでもただただすぐに相殺されるだけだった。

 

1発1発が駄目ならと闇雲に連続で殴り続けようとするが……

 

 

 

 

 

 

 

ガガガガガガッッ!!

 

悟空「うひょー…速ぇ速ぇ!」ガガガガ

 

脳無「!?」ガガガガ…

 

 

脳無の猛撃を物ともせず全ての攻撃を確実に弾き返している。

 

いや…これ…

 

悟空さん段々速くなってるよね

 

 

 

 

悟空「凄ぇじゃねぇかおめぇ!この速さでもついていけんのか!?」

 

脳無「…ッッ!!」ドッ!!…

 

ドッ!!

 

 

 

蛙吹「激し過ぎて何しているか見れたものじゃないわ…」

 

緑谷「………」

 

蛙吹「流石にあんな戦いされちゃ緑谷ちゃんも……」

 

緑谷「凄い」

 

蛙吹「え…」

 

蛙吹「……いやまぁ確かに凄いものではあるけど」

 

緑谷「……脳無の奴…追いつけなくなってる」

 

緑谷「もう10発以上モロに食らってるよ」

 

蛙吹「!?」

 

蛙吹「み、緑谷ちゃん、あのパンチ見えるの?」

 

緑谷「うん。分かる…少しだけだけどね」

 

 

 

 

徐々に脳無の身体が仰け反っていく。次第に押され始め劣勢になっていくが尚一切攻撃をやめる気配は無い。

 

その屈しない精神自体は賞賛に値するべきモノであると言えよう。

 

 

 

だがこの男の前でそんな悪足掻きは無に等しい。

 

 

 

悟空「おめぇよりかは兄ちゃんと戦った方がまだ面白かったかもな」ガガガッ…

 

脳無「……?」ガガガッ

 

悟空「このままじゃキリねぇな…なら……」

 

 

 

悟空「10倍だ」

 

 

 

 

 

 

ガガガガガガッッ!!!

 

脳無「!!!!!?????」ガガガガガガッッ!!

 

悟空「だだだだだだだだぁぁっ!!!」

 

脳無の身体に何十発、何百発ものパンチが降り注ぐ。あまりの拳速に抵抗もままならなかった。

 

こんなのショック吸収も超再生も意味ないだろ…

 

 

攻撃ををありったけ叩き込み、一旦中断する悟空さん。

 

すっかり身体中に打撲の後が出き、歯が殆どボロボロに砕け散っていた。

 

…?再生しないのかって?

 

 

黒霧「…し、死柄木…弔」

 

黒霧「脳無が動きを停止しました」

 

死柄木「………なんで?」

 

黒霧「恐らく…奴の攻撃のダメージが脳無の能力を遥かに凌駕したかと…!」

 

死柄木「んな…んな馬鹿なっっ!!!」

 

 

 

もはや脳無の意識は途絶え動かぬ巨大な像と化した。しかし一時的な事なので暫くすれば脳無は再び動き出すだろう。

 

形勢逆転だ。もう遅い。

 

 

 

悟空「おめぇは強えよ…すっげえ楽しかったぜ?」

 

悟空「だからもう次は悪い事すんじゃねぇぞ」グッ…

 

右拳をギュッと握りって腰に添えた。

 

……この構え…僕は知っている。

 

いや…後もう1人目の前で見ていた奴もいたか。

 

 

 

爆豪「…ありゃ…まさか………」

 

爆豪(あのおっさんは……)

 

 

 

 

 

悟空「龍拳」

 

ズドォオオオッッ!!!

 

脳無「ーーッォォ……」

 

ビュンッ!!

 

バリィィッッ!!!!

 

 

 

 

 

 

 

眩い一筋の光が脳無の身を包んでゆく。

 

その光は天上のガラスを突き破りあたかも流星群かの様に華麗に上空へ飛び去っていった。

 

何枚ものガラスが割れた影響により他にも天上に存在していた筈のガラスが連なって全て木っ端微塵に砕け散っていく。

 

そんな事はどうでも良かった。彼から放たれた光について皆は口々にこう呟く事しか出来なかった。

 

 

 

 

蛙吹「今の……龍?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死柄木「………」

 

死柄木「おいおいおいおいおい!!!」

 

死柄木「今の見たか?ショック吸収無効にしちまいやがった!!」

 

死柄木「真正面から馬鹿みたいに殴り合ったら脳無があっさり倒されちまっただろ!!」

 

死柄木「しかも!!あんな!!一般市民に!!!」

 

死柄木「先生の最高傑作だ…そんな簡単に壊せる訳ないだろ…!!」

 

黒霧「む…むぅ………」

 

とうとう敵連合も後が無くなった。最終兵器の脳無も無くなり、残っていた部下達も悟空さんが連れきがてら首トンして気絶させている。

 

完全に気圧された。そりゃそうだ…こんなチートキャラ誰も勝てる訳ないだろ。

 

…まぁオールマイトなら何とも言い難いけど。

 

立ち尽くしていた2人の敵に悟空さんが話しかける。

 

悟空「今の見たろ?おめぇらの負けだ!さっさと家に(けぇ)れ!!」

 

死柄木「ふっざけんな!ここまで来ておいて平和の象徴の顔も拝めずにトンズラできるか!!」

 

黒霧「しかし…死柄木。今の我々の戦力では奴には敵いません」

 

死柄木「レベルが低いから倒し甲斐があるってもんだろ!お前の個性であいつの足掴めば俺らの勝ちだ!」

 

黒霧「だとしても他の生徒や職員が…」

 

死柄木「ごちゃごちゃ言わず早く手伝えっ!!!」

ドガァァアアアッッ!!!

 

 

死柄木 黒霧「「!!?」」

 

悟空「なんだぁ?」

 

緑谷「……」チラッ

 

入口から凄まじい衝撃音が響いてきた。

 

自動ドアが誰かに破壊されたらしい。

 

思わずその方向を向くと………

 

 

 

 

 

オールマイト「はぁ…はぁ…」

 

遅れて登場、我らがNo.1ヒーロー。まぁヒーローは遅れて登場するから仕方ないね。

 

良かったじゃないか。逃げる前に顔は拝めたぞ?

 

 

 

 

 

最早怒る気も失せたらしく大きくため息をつきながら再び話し始める。

 

死柄木「……はぁ……」

 

死柄木「出てくるの遅ぇよ平和の象徴…」

 

死柄木「時ある毎に目障りな奴がやってくるもんだ……」

 

死柄木「もういいや黒霧、帰ろうアジトに」

 

黒霧「……はい」

 

 

 

 

 

逃走を図ろうとしているのが一目で分かった。

 

悟空さんに捕らえるよう指示を出そうとするが……

 

緑谷「悟空さん!!!そいつらは…」

ゴオッッ!!

 

緑谷「っわぁ!?」

 

突如発生した強風で今にも身体が吹っ飛びそうだ……

 

オールマイトが全速力で敵連合に接近しているんだろう。

 

 

 

オールマイト「貴様らぁあああっ!!!」ダダダ…

 

ズズ…

 

死柄木「今回…君が相手でも同じ結末……だったかなぁ」

 

死柄木「何にせよ敗けは敗けだ。大人しく引き下がるよ」

 

 

 

 

 

死柄木「だけど今度は必ず殺すよ…オールマイト」

 

オールマイト「FUCK!!!」

 

 

 

 

 

 

ドゴオオッッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

オールマイトが繰り出したスマッシュにより新たな亀裂が地面に現れる。

 

だがそこには敵の姿も血も見えず……

 

後に残ったのは僕らの無念と…屈辱感のみだった。

 

 

 

 

 

 

 

ようやく悟空さんとオールマイトが来た。

 

敵も殆ど退治した。後は八百万がプロヒーローを連れてくるからもう問題ないだろう。

 

皆…助かったんだ。

 

 

 

…………ふぁぁ…安心したら……眠くなっ

 

 

 

 

 

 

 

 

蛙吹「皆!!!」

 

切島「梅雨ちゃん!!」

 

峰田「無事か…良かった良かった」

 

切島「良かねぇよ!」

 

切島「危うく死ぬ所だったじゃねぇかよ!!」

 

切島「なんでさっき飛び出していったんだ!?」

 

蛙吹「ご…ごめんなさい…緑谷ちゃんを救けたかったから」

 

耳郎「まーま、そこまでにしときなよ」

 

耳郎「梅雨ちゃんが命張ってくれたお陰で緑谷逃げられたんだからさ」

 

尾白「寧ろ誇らしい事だと思うよ」

 

上鳴「ウェーーーイッッ!!」

 

芦戸「剣崎は黙ろっか」

 

切島「……まぁ…それもそっ…」

 

切島「あれ…緑谷?」

 

緑谷「……………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロの世界。その脅威と立ち向かうにはまだ僕らには早すぎた。

 

各々が自力の限界を痛感し、良い意味でも悪い意味でも僕達にとって重要な経験となった。

 

 

 

 

だけど…この襲撃はあくまでも後に起きる大事件の前兆にしか過ぎない。

 

…まぁ……今はそんな事…誰も知る由も無かった訳ですが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オールマイト「くそ…くそ!!」

 

オールマイト「逃げられた……っ!」

 

オールマイト「私は何て事をっ……」

 

悟空「……おめぇが…オールマイトなんかぁ?」

 

オールマイト「はっ!!見知らぬ顔だな!もしや貴様も敵連合……」

 

悟空「い、いや違ぇけど…」

 

オールマイト「………むむ…そのチョンチョンヘアーは……」

 

悟空「あれ……オラ達ってもしかして…」

 

 

 

悟空 オールマイト「「何処かで会った事ある?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ワイにとっての夕方は日が変わるまでなんだよぉう!!(惚け)

須井化です…はい。

今回は悟空さバリバリ活躍回っすた。4倍界王拳?何それ痛そう。

ライ○ーネタが多いのは気のせいかな?うん。きっと錯覚だろ。

今回特筆すべきはやはりケロインですなぁ。書いてて割とマジで

<やべ可愛い

とか思いましたわ。

……こんな低レベルな文章で果たして可愛いと感じるのは何人なのだろうか。

番外編のお陰で尚更キャラ立ちましたわ!ありがとう!堀越先生!!


次回は反省会的なアレです。緑谷出るかなぁ…

……ん?悟空さ敵倒してるとこ見られたじゃん。これ詰んだんじゃね?

………

か、過度に期待せずに待てぃ……

<下級戦士が…無様なm
ウァァァァァァァァ!?(チュドォッッ!!!

<クズロットは帰ってどーぞ

流石ロコリーと褒めてやりたい所だぁ…





何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。
2月20日(月)以内に第17話の投稿を予定しております。

お楽しみに!



ところで俺の袋を見てくれ。こいつをどう思う?

<すごく…少ないです…はい。

<ってか0個だロット…

全てはお前の言う通りだ。

ファッハッハッハッハァーッ!(泣



皆さんは何個貰えました?チョコ。




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