悟空「オラの?」緑谷「ヒーローアカデミア!」   作:須井化

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前回までのあらすじ

どこにでもいる無個性少年緑谷出久。

彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!

USJにて救助訓練最中になんと敵が出現!

生徒達が各ゾーンに散らばってしまうが戦力差を実力で補い見事に敵の猛攻を掻い潜る。

半ば追い詰めたと思いきや敵連合が遂に奥の手出して来やがった!

ってか相澤君!?死んでないよね!?嫌な音したけど!!

更に向こうへ!PlusUltra!!!






13号「今回は結構キツめの暴力表現となっております!閲覧にはちょい注意!」

13号「後入口から芦戸outしてます!訳分からneeeeって方は活動報告をチェック!」

13号「後途中で語り手変わってます!緑→八です!!」

13号「では第14話とくとご堪能ください!」

蛇足多…


第14話

【倒壊ゾーン】

 

 

ここでもまた、一方的な戦闘が繰り広げられていた。

 

時折響く爆発音が戦況の激しさを伺わせる。

 

…3分後には決着着いてたんだけどね。

 

 

 

切島「っふぅ……」

 

切島「これで全部か」

 

爆豪「随分呆気ねぇな?おい」

 

 

数十人いた戦闘部隊をあっという間に蹴散らした。

 

元々建物が倒壊していたとはいえ壁にヒビが入ったり穴が空いたりと…

 

この戦いの影響は凄まじいものであった。

 

切島「っしゃ!ひとまず皆の所向かおうぜ」

 

切島「俺達がここに転送されたっつー事は他の奴らも同じくUSJ内にいるはずだ!」

 

切島「攻撃手段持ってねえのが何より心配だ」

 

切島「俺らが先走っちまったせいで13号先生に迷惑かけちまった」

 

切島「じゃなきゃ先生がモヤ吸ってて万事解決だったのによ」(ペタペタ…

 

切島「男として責任取らなきゃ」

 

隙あらばとさっき攻撃を仕掛けた事を負い目に感じているらしい。

 

まぁかっちゃんは何食わぬ顔で話しており反省の色が全く見当たらないんだが。

 

現状を見ると切島君の判断が正しいとは思うけど…

 

爆豪「行きてぇなら勝手に1人でやっとけ」

 

爆豪「俺ァあのワープゲートぶっ殺す」(トトッ

 

切島「はぁ!?此の期に及んでんなガキみてぇな…」

 

切島「それにあいつに攻撃は…」

 

爆豪「うっせ!敵の出入口だぞ」

 

爆豪「いざって時に逃げられたらどうすんだ。今の内に元を締めたらぁ」

 

爆豪「それにあのモヤの対策も無い訳じゃねぇ…」

 

 

 

敵(…あの野郎…)

 

悠々と話している間に敵がかっちゃんの背後まで迫っていた。

 

体色変化の個性であたかもカメレオンかの様に簡単に近づけてしまったのだ。

 

短剣を片手に一気に距離を詰める。

 

敵(さっきからウダウダダベりやがって…!!)ダダッ!

 

敵(その油断がっ)ブンッ

 

爆豪「つーか」ヒョイッ

 

敵「へ」ガシッ

 

ドゴオオッッ!!

 

不意打ち位じゃかっちゃんにかすり傷も与えられないぞ…

 

刃物での刺撃をあっさりかわし敵の頭を地面に叩きつける。

 

更に零距離の爆発のおまけ付きだ。こりゃ痛い。

 

爆豪「俺等に充てられたのがこんな雑魚なら大概大丈夫だろ」ボボッ

 

切島(……は…反応速度速ぇぇ…)

 

切島「そ、そんな冷静な感じだったっけ?お前…」

 

爆豪「俺は常時冷静だクソ髪野郎!!」

 

切島「あーそれそれ安心したわ」

 

爆豪「じゃあな、行っちまえ。後は俺が片付けてやるよ」

 

切島「待て待て待て……ダチを信じる」

 

切島「男らしいぜ!爆豪!!」

 

切島「ノったよおめぇに!!!」

 

 

 

 

 

【入口前】

 

ゴォォッ…

 

13号「っが……」

 

麗日「…じゅ…13号ぉぉっっ!!」

 

瀬呂「っそだろ…」

 

黒霧「13号…災害救助で活躍するヒーロー…」

 

黒霧「やはり戦闘経験では一般ヒーローに比べ半歩劣る」

 

ブラックホールの先にワープゲートを作り、13号先生の真後ろに移動させる。

 

皮肉にもそれにより己の個性の矛先が向いた。

 

宇宙服ごと、肉体がバラバラに分解されその破片がブラックホールに吸収されていく。

 

咄嗟にフタを閉め、個性の発動を停止したが時既に遅し。

 

そのまま前に倒れて気絶する。

 

13号(しくじっ…た)

 

ドサッ

 

黒霧「まず1人目…」

 

飯田「くそっ…」

 

黒霧「では…他の方々も私直々に殺して差し上げましょうか」

 

八百万「…っすみません。13号先生……!!」ズズッ

 

黒霧「む」

 

何やら八百万さんが創造したみたいだ。

 

ある物を掌から出現させる。

 

八百万「これ…何だか分かるかしら」ピッ

 

黒霧「手榴弾…でしょうか」

 

八百万「ご名答っ!!」ブンッ!!

 

ピンを外し敵に投げつける。

 

爆発など効かない…そう思い黒霧は平然としていた。

 

八百万さんが狙っていたのはこの隙だ。

 

手榴弾は敵にギリギリ当たらず真下の地面に落下する。

 

黒霧「……何を…」

 

敵の頭の中である違和感を感じていた。

 

その途端、手榴弾から煙幕が噴き出してきた。

 

爆発はフェイクだったのだ。

 

黒霧「ごほっごほっ…」

 

黒霧「何が狙いかは知りませんが」

 

黒霧「煙など一瞬で…」ズズッ

 

そう言って煙幕をワープで取り込み視界を取り戻す。

 

よく目を凝らして1-Aの生徒達を見ると…

 

すぐ数秒前の様子と違う事に気がついた。

 

生徒が1人足りない。

 

直様後ろを振り返れば疾走している飯田君の姿が…

 

飯田「くそっ…!」ブロロ…

 

黒霧(喰らいもらした子供…速い個性の奴を行かせるために視界を!?)

 

八百万「ふっ…」

 

黒霧「待つべきはあくまでオールマイト」

 

ゴォォッ!

 

飯田「なっ…!」

 

ワープに距離も時間も関係ない。

 

1秒足らずで飯田君の目の前に移動する。

 

黒霧「他の教師の方々も呼ばれてはこちらも大変ですので」ゴオオッ…

 

飯田(駄目だ…ワープにはまる!!)

 

飯田(皆を!僕が!任された!!)

 

 

緑谷『どんな時でも冷静に分析して判断するのに長けているから僕は適役だと思うけどな…』

 

 

飯田(クラスを!!僕が!!!)

 

ワープに吸い込まれる……

 

 

 

 

その寸前で障子君が駆けつけた。

 

翼の様に大きく広げた両手で敵の闇を覆い尽くす。

 

障子「ぐっ…」ガバッ

 

飯田「しょ…障子君…!」

 

障子「早く……行け!!」

 

飯田「すまない!!」ダダッ

 

味方の協力を得て、再び走り出す飯田君。

 

だがこの時間稼ぎも長くは続かなかった。

 

僅かな腕と腕の隙間から霧が表れる。

 

逆に障子君がその闇に包まれてしまった。

 

障子「ぐおっ!?」

 

黒霧「ちょこざいな…外には出させない!!」ゴォォッ

 

無事抜け出せた敵は飯田君の元へ急いで行く。

 

時間稼ぎもままならない現状では敵の個性に

対処しようがない。

 

皆はただ捕まらない事を祈って待つ事しかできなかった。

 

八百万(まずい…追いつかれる!)

 

八百万(せ、せめて…せめて一瞬でも隙を作れたら…)

 

麗日「…」チラッ

 

13号「」

 

麗日「13号………」

 

地面に倒れ込んでいる13号先生を数秒見つめると…

 

ある決意をする。

 

麗日「っ!!!」ダダッ

 

八百万「!?」

 

突然敵と飯田君に向かって走り出した。

 

今更追いかけても無駄なのに…誰もがそう思っていた。

 

だが…

 

瀬呂「おい!麗日どこに…」

 

麗日「皆!!アレ見て!!」

 

敵の方を指差しながらそう叫ぶ。

 

砂藤「見てって…ありゃただの…」

 

八百万「……服!?」

 

…ようやく全員おかしな点に気がついた。

 

そう。彼はワープゲートを作りながらも服を身につけている。

 

当然の事かもしれないが…単純に考えれば普通個性発動時には着用出来ないはずなのだ。

 

つまり…

 

 

 

飯田「…自動ドア!!」

 

とうとう残す所10m程となった。

 

目の前に巨大な自動ドアが立ち塞がる。

 

勿論悠長に開くのを待つ時間など無い。

 

飯田(蹴破るか!!…蹴破れる厚さなのか!?)

 

飯田(ええい!当たって砕けろだ!!!)ダダッ

 

ドアに向かって一直線に走って行く。

 

が、目前で敵に追いつかれてしまった!

 

飯田「!!しまっ…」

 

黒霧「往生際が悪いぞメガネ」

 

黒霧「終わりだ!!」ゴオッ…

 

振り切れる訳も無くただ敵のワープホールに突っ込んでいくが…

 

グオッ…

 

飯田「っ!?」

 

黒霧「な…まさか!!」

 

突如敵の身体が上空に舞い上がる。

 

麗日さんが敵の身体に触れて無重力にさせたのだ。

 

そう……こいつ実体はあるのだ。ならそこを狙えばいい。

 

麗日「理屈は知らへんけど…」

 

麗日「こんなん着とるなら実体あるって事じゃないかなぁぁあああっ!!」

 

大きく叫ぶと同時に両腕を上げ敵を遥か上空にへと吹っ飛ばす。

 

追い討ちをかけるかの様に瀬呂君は隙を見て敵の服に自分のテープを貼り付けた。

 

瀬呂「これなら逃げらんねぇだろ?」ブチッ!

 

テープをある程度伸ばした瀬呂君は砂藤君にそれを手渡す。

 

さぁ糖分の力を思い知れ、

 

テープを強く振り回し思い切り振り回す。

 

そして勢いよくぶん投げる。

 

砂藤「うおおおっ!!」ブオッ!!

 

黒霧(まずい…今からワープしても…!)

 

黒霧(逃げられる!!)

 

八百万「行ける…行けますわ!!」

 

瀬呂「行ったれ飯田ぁぁあああっ!!」

 

飯田(後数m……)

 

飯田(間に合うぞ!!)ダダッ

 

麗日「よ、よかった……」

 

誰もが勝利を確信していた。

 

先生達が来る…助かるんだ。

 

僅かではあるが絶望が小さな希望へと変わっていったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

だが、それは単なる馬鹿げた幻想に過ぎなかった。

 

 

 

 

 

シャッ

 

麗日「…っ…あっあかん!離れて飯田君!!」

 

飯田「?」クルッ

 

急に大きな声で麗日さんに呼ばれたので反射的に後ろを振り向いた。

 

するとそこには……

 

 

バギイッッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

【暴風・大雨ゾーン】

 

ここでは常闇・口田ペアが多数の敵達と対峙していた。

 

このゾーンは他の所よりも特異で大きな1つの室内となっている。

 

頭上の屋根からは激しい豪雨が降り注ぎ、壁からは強い狂飆が吹いている。

 

 

 

敵「っんだあいつ…」

 

敵「あれだけ攻撃したってのにノーダメージて…」

 

常闇「はぁ…はぁ…」

 

口田(大丈夫?常闇君)ススッ

 

個性の黒影(ダークシャドウ)を駆使し、圧倒的な力で敵達を薙ぎ払う。

 

だが体力の消耗からか息切れを起こしている常闇君。

 

手話で話しながら口田君が心配するが…

 

常闇「長時間個性を使ってきた作用か…」

 

常闇「静まれ…黒影!!」

 

黒影<ジレッタイ!ミナゴロシニスレバスムハナシダ!

 

常闇(天候が…最悪だ!)

 

常闇(こんな暗い場所じゃ長期戦は禁物だというのに…!!)

 

常闇「言う事を…っ!!」

 

敵「何だか知らねぇが怯んでる!」

 

敵「好機っっ!!!」ダダッ

 

隙あらばと敵が大勢で迫ってきた。

 

どうやら黒影のコントロールが効かなくなったらしい。

 

常闇君はその場に立ち竦んだまま動けなくなってしまう。

 

常闇「くっ…」

 

口田「……っ!」

 

口田(間に合って…!!)

 

……ビキ

 

ズドォッ!!

 

敵「な、なんだ!?」

 

壁にヒビが出き、巨大な穴が開く。

 

なんとそこから何十羽もの鳥の大群が敵に襲い掛かる。

 

敵「ビビんな!!ただのチキンだ!」

 

敵「3秒で丸焼きにしてやるよ!!」ジャキ…

 

銃など遠距離攻撃で迎撃しようとするが…

 

敵「っ!!」バンッ

 

スカッ…

 

敵「チッ!」

 

敵(数の多さとすばしっこいので標的が定まらねぇ!!)バサバサッ…

 

敵「ん」

 

ズッ!!

 

敵「痛ええっ!!?」

 

攻撃に物ともせず敵の頭を強く突いていく。

 

鳥に気を取られている内に口田君は常闇君を抱え先程開いた穴へと走り出す。

 

常闇「す…すまない」

 

口田(それはこっちの台詞だよ)ススッ

 

口田(君が鳥達が来るまでの時間を死にものぐるいで稼いでくれたんだ)ススッ

 

口田(僕にも少しは協力させておくれ)ススッ

 

常闇「助かる……」

 

 

 

 

 

 

 

 

【火災ゾーン】

 

尾白「はぁっ!!」バキッ!!

 

敵「がっ」

 

敵の後頭部に尾白君の蹴りがクリーンヒットする。

 

急所を的確に狙い大抵の敵はたった1発でKOされる。

 

尾白「ふぅ…」

 

尾白「粗方片付いたかな」

 

尾白(くっそ…他の皆とは違って僕の個性戦闘向きじゃないからなぁ)

 

尾白(だから空手とか習ってるわけなんですが)

 

尾白「兎に角先生達と合流しよう」(ボコボコ…

 

尾白「確かうろ覚えだけど地図だとここは…」ゴッ…

 

尾白「っと!!」スカッ

 

敵「お」バチバチッ…

 

数m離れた後ろの地面から大柄な敵が現れた。

 

電気系統の個性を使うマスク男だ。

 

攻撃に当たる寸前で気配に気付き受け流す。

 

尾白「まだ居たのか…」

 

敵「そんじょそこらの愚図供じゃ相手にならんかったか」

 

敵「いいさ俺が相手してやるよ」

 

尾白「これまた強そうなのが来なすった…」

 

敵「2つ…いい事を教えてやる」

 

尾白「?」

 

敵「1つ…」

 

敵「俺はバナナが大っ嫌いだ」

 

 

 

尾白「……」

 

尾白「は…はぁ」

 

わざとボケて相手の隙をつきたかったのか…或いは元々天然(そう)なのか…

 

ある意味衝撃的な台詞に尾白君は反応に困った。

 

だが重要な情報は2つ目のいい事。

 

敵「2つ……この襲撃はオールマイト殺害だけが目的じゃない」

 

敵「長には[お前の確保】も命じられている」

 

尾白「!?」

 

そう…中には僕達が知らない間に狙われていた生徒も存在している。

 

どうやら敵連合は生徒の情報が()()()()という訳ではないらしい。

 

まぁこのフォーメーションを見る限りじゃ個性や特徴を把握し切れていてはいないという点には変わりないのだが…

 

様々な疑問が残るが1つ確信できる事はあった。

 

目の前にいる敵は二流三流の相手では無いという事…

 

尾白(僕が狙われる理由を知りたいがそれ所じゃない)

 

尾白(ターゲットである自分に向けられた刺客だ…)

 

尾白(一筋縄じゃ行かない……)

 

敵「言い残す言葉はあるか」

 

尾白「そっくりそのまま返すね」

 

敵「そうか」

 

敵「なら逝け」ダダッ…

 

尾白「…!!」

 

 

戦って勝つしか…道は無い

 

そう覚悟を決め敵に勇敢に闘いを挑んでいった。

 

 

 

 

 

【入口前】

 

 

 

 

 

 

 

飯田「……ぁ…っ」

 

 

 

 

 

「……」

 

八百万「……ぅ…そ……」

 

一体何が起こったのか…

 

全員が呆然とする他なかった。

 

つい数秒前まで自動ドアにいた筈の飯田君がいきなり消えたと見るや右を向くと…

 

壁に深くめり込みコスチュームの一部が凹み損傷している…飯田君の無惨な姿が目に入った。

 

そして再び入口を見ると…

 

巨大な【怪物】がそこに仁王立ちしていた。

 

全身が真っ黒に染まっていたり眼がギョロッと飛び出ていたりなど…

 

もはやそれは【人】の()()とは遠くかけ離れていた。

 

敵連合ではこいつらの事をこう呼称する。

 

 

 

 

死柄木「対平和の象徴」

 

死柄木「改人【脳無】」

 

 

 

 

 

 

八百万(おかしい…おかしいおかしいおかしい!!)

 

八百万(確かに他の敵達は全員相澤先生が…)

 

八百万(見過ごす筈が無い…つ…つまり……相澤先生は……!!)

 

八百万(いえ…今はそんな事を考えている暇は…)

 

八百万「皆さっ」

 

焦燥感に駆られながらも指示を出そうと口を開いた……

 

その瞬間

 

 

 

シャッ

 

麗日「へ」

 

脳無「ッ」ブンッ

 

ズドォォッ!!

 

八百万「……ん………」

 

ミシミシ…

 

麗日「うっ…かはっ………」

 

麗日「っえ…!」ドバッ

 

ドサッ

 

 

 

麗日さんは脳無の攻撃を諸に食らってしまう。

 

その拳は麗日さんの腹部に極限までめり込み、容赦無く臓器を押し潰す。

 

酔いとか…そんなレベルじゃない。

 

今までの比にもならない程の吐き気に襲われ地面に激しく嘔吐する。

 

そのまま倒れすぐに動きが停止された。

 

 

八百万(…そんな…馬鹿な事…)

 

八百万(私…これじゃ…殺され……)

 

八百万(って何言ってるの!私は…ほ、他の人達を…)

 

死ぬ…そんな恐怖に怯えながらもまだ副委員長のプライドは捨ててはおらず一刻も早く行動を起こす様自分に言い聞かせる。

 

だが…足が動かない。

 

頭の中で理解はしていても身体が言う事を聞いてくれない。

 

 

 

 

 

 

 

バギィッッ!!

 

八百万「!!」

 

バリィッ

 

瀬呂「ぐぁ…っ」

 

脳無「……」

 

 

そうこうしている間に次の標的を定める。

 

瀬呂君だ。

 

1秒足らずで彼の目の前に移動し、強力な蹴りを彼の顔面にお見舞いする。

 

ヘルメットは一瞬にして粉砕され、シールドの破片が地面に飛び散る。

 

無論その破片は瀬呂君の顔にも降り注ぐ。

 

顔に切り傷をつけながらとてつもない速さで吹っ飛ばされる。

 

瀬呂「っ…」ヒュゥゥ

 

ズザザ…!

 

そのまま地面に落下しても尚勢いは殺されず地面を滑っていく。

 

動きが止まった頃には既に敵の攻撃のダメージと地面との摩擦で生じた高熱に耐えきれず意識がなくなってしまっていた。

 

砂藤「っ野郎!」

 

障子「お、おい待て砂藤……」

 

脳無に向かって走り出す砂藤君を必死に呼び止めようとするが…

 

シャッ

 

脳無「……」

 

砂藤「な…」ガシッ

 

走って間も無く脳無との距離を詰められる。

 

気づけば彼の腕は脳無の餌食となっていた。

 

右手首を掴まれ、強く圧縮し始めた。

 

ギュゥゥゥゥ

 

砂藤「ぐっ…ぉぉああっ!?」

 

その潰れる音はいつしか折れる音と化し…

 

バキバキと痛々しい音を響かせながら脳無は砂藤君の身体を徹底的に破壊していく。

 

…気が済んだのか突然握力を弱めていく。

 

砂藤「ぅぅっ…あ…めぇ……!!!」

 

脳無「…」グオッ

 

砂藤「うぉっ!?」

 

ブンッ!!

 

身体を回転させ壁に向かって砂藤君を投げ飛ばす。

 

ガッッ!!!

 

砂藤「……ぉあっ…」ヒュゥゥ…

 

ドサッ

 

壁に思い切り叩きつけられ、静かに地面へ落下していく。

 

その時に衝突した際に起きた衝撃も尋常ではない強さだが…

 

最も大きい傷を負ったのは先程の手首だろう。

 

骨は完全に折れておりプラプラと垂れ下がってもはや手は機能しなくなってしまっていた。

 

障子「くそ…どうにかして入口まで…」

 

ゴオッ

 

障子「ぶっ…!!」ズドォォッ!!

 

脳無「…」

 

死柄木「顔面がミンチになったよやったねモブちゃん」

 

今度は障子君の顔に強烈なエルボーが炸裂する。

 

鼻や口から出血し、頭蓋骨にヒビが入る様な音がする。

 

更にその衝撃は脳にまで響きいとも簡単に彼の意識をシャットダウンしてみせた。

 

気絶しその場に倒れ地面に横たわってしまう。

 

………たった1分で生徒が5人もやられてしまった。

 

しかも…ほぼ一発で。

 

 

 

 

 

死柄木「ったく…危ねぇじゃねぇかよ黒霧」

 

死柄木「後ちょっとで逃げられるとこだったぞ子どもに」

 

黒霧がワープゲートを使いこちらに戻ってきた。

 

黒霧「すみません…油断していました」

 

黒霧「あんな餓鬼共に不覚を…」

 

死柄木「ん…まぁ結果オーライだ」

 

死柄木「お前が時間稼ぎしてくれたお陰でこんな殺せた」

 

死柄木「さっきのしくじりはチャラにしてやるよ」

 

黒霧「…まだ殺してませんよね」

 

死柄木「冗談だって冗談」

 

死柄木「殺す訳ねぇだろ」

 

死柄木「貴重なおもちゃだ…もっと脳無に遊ばせねぇとなぁ……!」

 

 

 

 

八百万「………………」

 

…敵の会話など…もう耳の中には入ってこなかった。

 

彼女はただ…ポロポロに傷ついた仲間達を眺める事しかままならなかった。

 

八百万「飯田さん…麗日さん…」

 

八百万「瀬呂さん…砂藤さんに…障子さんまで……」

 

さっきまでの威勢は何処へ行ったのかと言わんばかりの表情だ。

 

敵達に対する闘争心・怒りが徐々に恐怖へと形を変え八百万さんの精神を蝕んでいった。

 

 

 

 

死柄木「…それじゃ最後の奴も軽く殴っとくか」

 

黒霧「死柄木弔…先に13号にトドメを刺すのはいかがでしょうか」

 

死柄木「何?お前が殺ったんじゃねえのかよ」

 

黒霧「ブラックホールでチリにしようとしたのですが途中で個性を停止させましてね…」

 

黒霧「生徒に夢中になってて生死の確認はしていなかったのです」

 

黒霧「奴は戦闘に長けている訳ではありませんが個性が脅威」

 

黒霧「もし万が一個性を使われれば脳無だろうが誰だろうが吸われてしまうでしょう」

 

死柄木「……そうだな」

 

死柄木「じゃあまずは先生から息の根止めるか」ニィィ……

 

嘲笑いながら脳無にそう指示を出す。

 

それに反応し脳無はゆっくりと13号先生へ近づいていく。

 

八百万「せ…先生……」

 

八百万(まずい…次の1発で確実に殺される!)

 

八百万(早く助けに………)

 

八百万(でも…そんな事したら絶対に…)

 

八百万(だからといって見殺しにするのは…!!)

 

先生を助けに死にに行くのか…脳無を見過ごして少しでも生き長らえるか…

 

究極の2択…だが選びようがなかった。

 

何しろどちらの未来も死ぬのが見え見えだったのだから。

 

先生2人もやられた。例えここに残っている生徒集めたとしても奴を倒すのは不可能。

 

今から逃げようとしても敵のボス、ワープゲートの男、そして脳無…

 

足掻きようがなかった。絶望しかなかった。

 

もはや行動を起こす気すら失ってしまう。

 

八百万(…そうだ。何もしなければいいんだ)

 

八百万(私が余計な事をするから皆に迷惑がかかってしまうもの…)

 

八百万(なら…このまま待てばいいじゃない)

 

八百万(それが1番得策………)

 

 

緑谷『()()()()()()()()()を安全なルートだとは思えない』

 

緑谷『可能性が1割でも1%でもあるなら、最善の術を使う』

 

 

八百万「……っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

バンッッ!!

 

死柄木「!?」

 

黒霧「何だ?」

 

脳無「…」シュゥゥ…

 

八百万「はぁ…はぁ…」

 

[創造】で創った拳銃で脳無の頭部を狙撃する。

 

だが怯む様子は全く見られない。

 

八百万さんは大きく息を吸って敵達にこう叫んだ。

 

八百万「…っ今すぐやめなさい!さもないと撃ちますわよ!!」

 

死柄木「さもないとて……既に撃ってんじゃねぇかよ」

 

黒霧「まだ生徒が…奴は……」

 

死柄木「やめとけやめとけ黒霧。ああいう馬鹿には何言っても理解してくれない」

 

死柄木「身を以て味わってもらおうか」

 

死柄木「脳無あれ…破れ」クイッ

 

そんな風に八百万さんを指差すと脳無は指示に従って進行方向を彼女に変え少しずつ近づいていった。

 

だがそれに動じず抵抗を続ける八百万さん。

 

八百万「動くなって言ってるじゃない…!!」バンッバンッ!

 

脳無「…」メリ…メリ…

 

銃を何発も発砲するが当たっても多少筋肉が捻れるだけですぐに身体に埋まってしまう。

 

撃つごとに距離を詰められてしまうので足を引きずったりして間をキープする。

 

……がそれも長くは持たず数歩歩いた所で後ろにあった壁が背中とぶつかる。

 

もう後が無かった。

 

ありったけの弾丸を敵に撃ち続けるが、物ともせず彼女に接近していく。

 

残り10m弱になったという所で弾切れが起こった。

 

八百万(創造して…リロードを……)

 

…隙を見計らい、軽く地面を踏み切り脳無は八百万さんの目先にまで移動する。

 

そして腕を勢いよく振り下ろす

 

八百万「……あ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいか?百は個性も凄いしヒーローになる素質も十分ある」

 

「だから誠心誠意勉学に励むんだぞー?」

 

「後運動もね貴方」

 

「あ、そりゃそっか」

 

 

 

何度も繰り返すようですが…

 

私の家庭では世界の中でも選りすぐりの人材を作るべく…

 

通常、一般的な人達の何倍もの先を行く教育を行っています。

 

歳問わず一族は頂点に立つものでなれなければならないのです。

 

 

 

 

 

4歳の時でした。

 

一般の中学入試を解いていた時の事です。

 

国・算・英・理・社の5教科で…

 

全て90点を超える結果となりました。

 

その際の両親の反応は…………

 

 

 

 

「90点なんて…誰でもとるだろこんなの」

 

「いけないなぁ…百。いけない」

 

「優秀じゃない子はいらないんだ」

 

 

 

 

 

 

齢4歳にして知った世界の現実。

 

2度と同じ事を繰り返さぬよう日夜勉学・稽古に励み、お父様やお母様のご期待に応えられるような人間を目指していった。

 

…娯楽も趣味も特に興味もありませんでした。

 

周りに合わせる必要性だって感じられなかった。

 

なので自分から騒がしいクラスの輪に入るような事は控えていました。

 

私にそんな事をしている余裕なんて無いから。

 

そんな事が楽しいだなんてとても思えられなかったから。

 

 

 

 

 

ああ。ごめんなさいごめんなさい。

 

結局私は親不孝の酷い娘だ。

 

何の名誉も得られずただ1人で惨めに死んでいくだけなんだ。

 

こんな馬鹿で出来損ないの娘に成長してごめんなさい。

 

せめて来世ではもう少し立派な……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドゴッッ!!

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

八百万「!?」

 

脳無「ッッッ!!!」ヒュゥゥ…

 

ズザザ…

 

八百万「………だ……だれ?」

 

つぶっていた目をゆっくりと開いていく。

 

その目に真っ先に映ったものは………

 

 

 

 

 

 

 

「だから、何度も言ってんだろ…」

 

 

 

緑谷「ウチの友達に…手ェ出すなって!!!」

 

 

 

 

颯爽と救けに駆けつけた…

 

私の最高の英雄(ヒーロー)の姿であった。

 

 




8日中に投稿などと、その気になっていた俺の姿はお笑いだったぜ(ToT)

須井化です…はい。

今回オリジナル成分たっぷりやったなぁ。

特に出番が見当たらなかった3人も一応活躍させときたかったからなぁ

個人的にあそこ暗いんじゃ…って感じたのでああいう戦闘(?)シーンになりました。

(鳥達強杉とか言っちゃいけない)

何か尾白がキーキャラと化していくのだがどーいう事だい(惚け)

ヤオヨロッパイさんの回想も自身的には上手く書けたつもりなんですがねぇ

いかがでしたか?

次回は緑谷vs脳無…

遂にデク君本領発揮です!

乞うご期待!



あ。そうだそうだ。今回の挿絵はどうでしたか?

本格的に本編に導入したのは今回が初めてなのですが…

今回の挿絵を描いて下さったのはさいころソード様です!
一応その方のマイページのリンクも貼っておきます!↓
http://syosetu.org/?mode=user&uid=175541

某ソード「構図は七つの大罪22巻p23を参考に描きました」

×→某ソード「絵師の力量不足をお許し下さい」

○→めっちゃうめぇ。<チョーイイネ!サイコー!

………とは言えあくまでこれは私の主観的なものなので一概には言えないんですけどね。

挿絵についての評価もよろしくお願いします。今後の参考にしてもらえると思うからね。

最後におまけとして緑谷ズームverも上げますぞい。作者曰くデクのそばかす観察にどうぞ。


【挿絵表示】






何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。
2月13日(月)以内に第15話の投稿を予定しております。

お楽しみに!

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