悟空「オラの?」緑谷「ヒーローアカデミア!」   作:須井化

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前回までのあらすじ

どこにでもいる無個性少年緑谷出久。

彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!

USJにて救助訓練最中になんと敵が出現!

更に敵の個性により生徒達が散り散りになってしまった!

さぁ反撃の時間だ敵共!!!

後悟空!早く来てくれぇぇえええっ!!

更に向こうへ!PlusUltra!!!

相澤<とりあえずお前も早よ来い…な?
<すみませんでした。



第13話

僕らがUSJで敵と遭遇していた頃…

 

オールマイトは13号先生や相澤先生に連絡を取っていた。

 

まぁ当然電波が遮断されて繋がらないわけだが…

 

オールマイト「……うーむ」

 

オールマイト「結局どっちも応答無しか…」

 

オールマイト「相澤君の合理的理論からすれば前回のオチみたいにはしないはずだからなぁ」

 

前回のオチ…

 

オールマイト「いや彼の事だからオールマイト、ウザいとか言ってマナーモードにしてるとか…」

 

オールマイト「…何にせよそろそろ向かわねばな」

 

オールマイト「勤務時間外の都合で教鞭を放りだす…我ながら愚かしい事をしたものだ」

 

オールマイト「とりあえず()()の方は2、30分維持できるし…」

 

オールマイト「 私が行

オールマイト「がぼぉっ!?」ドバッ

 

ソファから立ち上がってみれば身体の負担の影響で吐血してしまう。

 

普段から彼は相当な無理を重ねている。

 

今日は特に出勤時に張り切ってしまった為制限時間ギリギリまで活動してしまったのだ。

 

咳きをしながら再びソファに座り込む。

 

オールマイト「これは…あれかい?歳か?歳なのかい?」

 

オールマイト「そりゃもう確かにいい歳してヒーローやってるおじさんだぞ!?」

 

オールマイト「だからといっておじさんだぞ!?お爺ちゃんじゃないんだぞ!?」

 

オールマイト「40未満だぞ!?」(コンコン…

 

愚痴愚痴言いながら嘆いているオールマイト。

 

まだ若いし現役ですよ…

 

オールマイト「…歳か…」(ガチャ…

 

オールマイト「はぁ……」ピッピッ…

 

ため息をつきながら何やら携帯を操作し始める。

 

アルバムの中の1枚の写真に目が止まった。

 

ある1人の女性(ヒーロー)の画像だ。

 

オールマイト「あれからもう5年も経つのか…」

 

オールマイト「あの方は元気にしてらっしゃるのだろうか…」

 

オールマイト「あの世に元気もクソもないか」

 

オールマイト「………いつも笑顔…か」

 

女性の写真を眺めながらルーキー時代を振り返り懐かしむ。

 

いや…正確に言うと………

 

いずれこの女性とオールマイトの関係については話される事だろう。

 

今はまだその時じゃあ無い。

 

根津「おや、昼間から何とも楽しそうな事をしているねオールマイト」

 

オールマイト「…………」クルッ

 

オールマイト「こここここっここっ校長ぉぉっ!?」

 

根津校長唐突に乱入。

 

オールマイトのスマホに写っている画像をニヤニヤしながら背中から覗いていた。

 

オールマイト「せ、せめてノックぐらいはお願いしますよ!!先生!」

 

根津「え…したけど」

 

オールマイト「嘘っ!?」

 

根津「あれれ〜君この間『仕事に追われてるから恋愛とか興味ない』とか言ってなかったっけー」

 

オールマイト「ち、違います!断じて想像しているような事はしていません!私!!」

 

根津「No.1ヒーローはやはりヒーローフェチと」カキカキ…

 

空かさず貴重なオールマイト情報をメモしていく。

 

オールマイトの好みはすごいレアだぞ…(カキカキ…

 

オールマイト「記録しないで!お願い!!」

 

根津「冗談だよ冗談」

 

根津「でもこの娘が好きな事には変わりないんだろ?」

 

根津「じゃなきゃ頰赤くして慌ててないぜ今頃」

 

オールマイト「ぐぼあ!?」

 

根津「……例の…6年前亡くなった方なんだろう?」

 

オールマイト「……」

 

根津「今更見返してどういう心境の変化だい?」

 

オールマイト「何となく…そろそろ潮時かなぁと思いましてね」

 

根津「おいおいまだ退職するのは早すぎるぜ?」ピッピッ…

 

根津「君の朝の行動を見る限りそんな気はさらさらないって感じだったしね」スッ…

 

iPadの電源を入れオールマイトにある画面を見せた。

 

開いていたサイトには今朝のパトロールについての記事が載っていた。

 

『オールマイトたった1時間で3件解決!』

 

あのゴツい人以外に2人も成敗してたんだね。

 

根津「君が来たにも関わらず未だこの街で犯罪を起こす輩共も大概っちゃ大概だが」

 

根津「事件が起これば反射的に動く君も君さ!」

 

オールマイト「あ…はい。その件に関しては誠に申し訳ございませんでした」

 

根津「昔っから変わってないよね。ほんと」

 

根津「君がここに来た理由、分かってるよね?」

 

根津「怪我と後遺症によるヒーロー活動の限界」

 

根津「それを見計らって()()()を探しに来たんだろ?」

 

根津「だからと言って平和の象徴に固執している君が今にでも倒れそうなんですよなんて伝えられるもんじゃない」

 

根津「個性の件にせよ今の話にせよ世間に知られまいとする君が安全に活動できる場所としてはうってつけだろうと思って僕が推薦したんだ」

 

根津「も少し腰落ち着かせてもいいんじゃないかな」

 

オールマイト「…………」

 

オールマイトは嫌な予感がした。

 

僕らの身の心配ではない。寧ろ自分の事だ。

 

根津校長は反対側のソファに腰掛けて続けて話し始める。

 

根津「現に今回だって最後の十数分しか出れないんだろ?」

 

根津「こっちから薦めたからあれこれ言う訳にもいかないけどさ」

 

根津「引き受けた以上は教職優先で動いて欲しいんだよ学校側からすればね」

 

根津「この街にも何十ものヒーロー事務所がある」

 

根津「手柄を一人占めにしちゃ皆から嫌な目で見られるぞ?」

 

オールマイト「そ…そもそもヒーローは利益目的で活動してる訳ではありませんし…」

 

オールマイト「だからこそ…今USJに向かおうとですね…」

 

切磋琢磨に弁解し説得しようとするが…

 

肝心の校長はお茶を淹れ始める。

 

これは……

 

根津「今行ったってすぐ戻る羽目になるだろう?」

 

根津「だったらここで私の教師論を聞いて今後の糧としたまえよ」

 

根津「そちらの方がいい時間の費やし方だと思うよ僕は」

 

オールマイト(ムムム…校長は一度話し始めると2、30分は解放してくれないぞ?)

 

オールマイト(……まぁあっちには相澤君や13号君がいる)

 

オールマイト(少し聴いたらすぐ向かおう)

 

今すっごいピンチなんですが。

 

まさか敵が雄英に襲来してきたとは予想だにもせず…

 

渋々校長のお話を聞く事にしたオールマイト

 

根津「えーまずヒーローと教師という関係の脆弱性と負担について」

 

オールマイト「…お変わりありませんね、先生も」

 

根津<80大先輩って凄いと思うだろ?

 

オールマイト<80?

 

 

 

 

 

 

【入口前】

 

入口付近に取り残された生徒と13号さんはワープホールの敵と再び対峙していた。

 

黒霧「……」

 

13号(物理攻撃無効のワープか)

 

13号(厄介な奴を手懐けたもんだ…)

 

13号「…副委員長」

 

八百万「何でしょう」

 

13号「……万に1つ…我々に希望があると言えば…?」

 

八百万「…………そう…ですね」

 

返事をした後数秒考え込む。

 

少し間を空けてから1人の生徒の名前を呼んだ。

 

八百万「飯田さん」

 

飯田「俺…か?」

 

八百万「貴方、入口(あそこ)まで真っ直ぐ走ってどれぐらいで着きますか?」

 

飯田「……」

 

飯田「10…いや、8秒あれば…」

 

八百万「ではそちらに賭けた方がいいですわね……」

 

飯田君の言葉を聞くや1つの決断を下す。

 

周りの生徒全員に聞こえるように大きくはっきりとした声でこう伝える。

 

八百万「副委員長指示です!!飯田さんはUSJから出てすぐに先生方に救援を!」

 

八百万「他の方々は入口までへの誘導andサポート!!」

 

A組「承知!!」

 

飯田「お…おい待て!何故クラスメイトを置いて1人でなど…」

 

13号「警報も鳴らず、電話も圏外になっていました」

 

13号「ここの警報は赤外線式です」

 

13号「下で先輩…イレイザーヘッドが個性を消し回っているにもかかわらず無作動…」

 

13号「これは恐らく誰かそれらを妨害可能な個性が居て、即座に隠したのでしょう」

 

13号「それらを見つけ出して倒す…という方法にはかなりのリスクがかかる」

 

13号「八百万さんの作戦が一番最善な策だと思います」

 

飯田「し、しかし…」

 

砂藤「早く行け!外には警報がある!だからこいつら中だけで事を起こしてんだろう!?」

 

瀬呂「逃げ切れりゃこっちのもんだ!お前の脚でモヤを振り切れ!」

 

13号「救う為に…個性を使ってください!」

 

飯田「!……」

 

麗日「私達…サポートなら出来るから…!する!から!!」

 

麗日「お願いね元委員長!!!」

 

飯田「っ!!」

 

 

そうだ。元々飯田君が委員長になる筈だったのだ。

 

それ程クラスからの信頼が厚かった。

 

だからこそ…この危機的状況において皆から命運を託された…

 

その事をようやく理解し、飯田君は頷きながら静かに覚悟を決める。

 

 

飯田「……分かった」

 

黒霧「手段が無いとはいえ…」

 

黒霧「敵前で策を語る阿保が居ますか!!?」ゴオオッ

 

敵は再度身体を霧にしてこちらに襲い掛かる。

 

13号先生は指先にあるフタを開けブラックホールの態勢に入った。

 

13号「バレても問題ないから…」ボコッ…

 

シュゴォォッ……!

 

13号「語ったんでしょうが!阿保っ!!!」ゴオッ!!

 

 

 

 

 

 

 

【水難ゾーン】

 

戦わなきゃ生き残れない。

 

とにかく作戦を模索して早く相澤先生に合流しないと…

 

最低でも僕と蛙吹はそう感じていた。

 

 

 

 

が、まぁ皆が皆納得するはずが無く…

 

峰田「何が戦うだよバカかよぉめぇら!!」

 

峰田「オールマイトブッ倒せるかもしれねー奴らなんだろ!?」

 

峰田「矛盾が生じてんぞ緑谷ぁ!!!」

 

峰田「雄英ヒーローが助けに来てくれるまで大人しくが得策に決まってらいっ!!」

 

緑谷「峰田君あの敵達明らかに水中戦想定してるよね」

 

峰田「ムシしやがった……」

 

峰田(くそ…2人相手とはいえこれじゃプライドが傷ついたぜ…」

 

蛙吹「そもそもプライドあるの貴方」

 

峰田「お?」

 

心の声漏れてる漏れてる。

 

蛙吹「これを見る限りじゃ敵達はこの施設の設計も把握して人員を集めたって事になるわね」

 

蛙吹「ここまで周到に準備してる連中にしちゃ少し謎な所があるわね」

 

緑谷「…気づいた?」

 

峰田(勝手に話進めてやがる…しかもついていけねぇ…)

 

峰田(完全に赤ん坊扱いしてやがる!!)

 

蛙吹「生徒の事も知ってるなら勿論相手が有利になる様な場所には転送しないでしょうね」

 

緑谷「ああ。本人曰く水難の独壇場だ」

 

緑谷「態々味方がやられる様な事はしない筈…」

 

峰田「だからつまりどういう事なんだよお!!」

 

緑谷「つまり…僕らの個性までは把握出来てないって事だ」

 

緑谷「だからこうしてバラバラにして数で攻め落とす作戦にしたんだろう」

 

峰田「…!成る程」

 

緑谷「数も経験も劣る…勝利の鍵は1つだ」

 

緑谷「奴らにとって僕らの個性と実力は未知数だって事……!!」

 

 

 

 

 

 

とりあえず軽く僕らの個性についての情報を交換した。

 

まだ初めて会ってから数日しか経ってないからね。

 

全員の個性を覚えている訳じゃない。

 

蛙吹さんの個性は以前にも言った通り舌を伸ばしたり壁に張り付く…後跳躍。

 

僕はビーム、飛行……後その他。

 

そして峰田君は……

 

ブチッ

 

ペタッ

 

緑谷 蛙吹「「……」」

 

峰田「くっつく。俺が触ると跳ねる」

 

峰田「もぎ取りすぎると血出る以上」

 

緑谷 蛙吹「「…………」」

 

前の話で解説してるからって反応に困ってしまうから雑に概要言うのはやめてくれ…

 

僕と蛙吹さんはお互いを見つめながら掛ける言葉を探していた。

 

峰田「だから言ってんだろ大人しく助けを待とうってよお!!オイラの個性はバリバリ戦闘に不向きなーーーー」ドバババ…

 

時間切れでした。

 

泣き喚きながら挫折する峰田君。

 

何とか誤魔化して機嫌を取ろうとするが…

 

緑谷「いっいやすごい個性だから今活用法を…」

 

ガギッ!!!

 

緑谷 蛙吹 峰田「「「…へ」」」ゴオオオッ!!!

 

突如載っていた船に大きな亀裂が入る。

 

敵の個性だ。水を操って大きな刃にしたんだ。

 

敵「じれったいだけだ。ちゃちゃっと終わらそう」

 

蛙吹「なんて奴…船が割れた」

 

緑谷「くそ…もうここには留まれ…」

 

峰田「……ぅ…ぅ」

 

緑谷「峰田…君?」

 

峰田「うわあああああっ!!!」ブチブチッ!

 

ブンブンッ

 

蛙吹「っ峰田ちゃん!」

 

とうとう気が狂ってしまったのかヤケクソになって頭のブヨブヨを大量に千切って海に投げつける。

 

呼びかけても反応してくれない…まずい発狂してる。

 

必死に泣きながらこっちを振り向く。

 

峰田「うわああああっ!!」

 

緑谷「ちょ…峰田君!とりあえず落ち着いて!」

 

緑谷(やばい…敵に個性がバレる!)

 

直様海の方に振り向くと…

 

敵「かっ…きもちわり」バシャバシャ…

 

プカプカと浮かんできた黒い球体が身体に触れない様に水で距離を置く。

 

緑谷(……警戒してる…触ってないぞ!)

 

緑谷(……)

 

敵「へっ。船は1分と持たねぇ」

 

敵「水中に入りゃ100パー俺らの勝ちよ」

 

峰田「ごもっともでございます魚人様!!」ガシッ!

 

手すりを両手で掴み船にしがみつく。

 

またスランプにはまってしまう。

 

流石の梅雨ちゃんもここまで来ると呆れ果てて反応し切れない。

 

蛙吹「峰田ちゃん…本当にヒーロー志望で雄英来たの?」

 

峰田「うっせぇぇっ!!!」

 

峰田「怖くない方がおかしいだろーがよ!ついこの間まで義務教育受けてた中坊だったんだぞ!?入学してすぐ殺されそうになるとは思わねぇだろ!?いやまぁ実際何度か死にそうになった時とかあるけどさぁ!ああ!せめてヤオヨロッパイぱふぱふしてから

「『敵が勝利を確信した時が大きなチャンス』」

 

 

 

 

峰田「……へ?」

 

緑谷「昔…情熱大陸でオールマイトが言ってたよ」

 

峰田「…だから何だって…」

 

緑谷「そうだよな。僕は委員長だ」

 

緑谷「なら…ちゃんと()()()を誘導させないと…な」

 

緑谷「峰田君」

 

峰田「……俺?」

 

 

 

 

 

 

敵「ピーピー喚いて…やっぱガキだな」

 

敵「油断だけはするなと死柄木さんが言ってただろが」

 

敵「歳で判断すんじゃねぇ…個性を見ろ。常識だろ」

 

敵「水中じゃ俺達の個性が確実に有利なんだからよぉ」チャプチャプ…

 

敵「違いねぇ」

 

敵達は僕らの潜水を今か今かと待ち構えていた。

 

水をチャプチャプ言わせながら直ぐにでも攻撃できる様態勢を構える。

 

緑谷「……」

 

ダンッ

 

敵「飛んだ!」

 

敵「そばかすの野郎か!」

 

僕は手すりを勢いよく踏み切る。

 

そのまま舞空術で空を飛び円陣になっている敵達の中心のほぼ真上まで来た。

 

緑谷(ここら辺か…)

 

敵「ちっ…あいつ飛ぶから水中に落とせねぇじゃねぇか」

 

敵「なぁに…遠距離で攻撃すりゃいい話よ」

 

緑谷「…」バッ

 

敵「…?んだあの構え」

 

緑谷「か…め…」

 

敵「何か言ってるぞ」

 

緑谷「は…め……!」

 

ギュルルッ!

 

敵「!?」

 

驚くのも無理はない。手と手の間から謎の光が現れたんだからな。

 

両手に気を集中させかめはめ波の態勢を整える。

 

蛙吹「行くわよ緑谷ちゃん!」ダンッ!

 

峰田「うごあっ!?」

 

僕がかめはめ波を撃つすんでのところで峰田君を抱えながら高く飛び上がる。

 

流石蛙。ジャンプ力がえげつない。

 

っとと。そんな事してる場合じゃないな。

 

緑谷「波ぁぁああああっっ!!!」ボオオッッ!!

 

ザバァァッ!!

 

敵「うおおっ!?」

 

海のほぼど真ん中にかめはめ波を撃ち込む。

 

その強い衝撃により巨大な波が起こる。

 

蛙吹「……わお」

 

峰田(……)

 

峰田(なんでだよ…おめぇ…)

 

峰田(初日の時からずっと……)

 

峰田(なんでそんな笑ってられんだよ…怖くねぇのかよ…)

 

峰田(まるでオールマイトじゃねぇかよ…)ブチブチッ…

 

緑谷「峰田君っっ!!今だ!」

 

峰田(……カッケェ事ばかりしやがってぇぇぇっっ!!)ボボボボ…

 

敵「!?」

 

峰田「だだだだだだだだっっっ!!!」

 

峰田(俺だって…俺だってぇぇっ!)

 

再び頭のブヨブヨを水中にいる敵達に向かって投げまくる。

 

千切りすぎて次第にマスクの中から流血してきた。

 

だがそんな事は気にせず千切まくってひたすら球体を落とし続ける。

 

次第にブヨブヨは敵達の身体にくっついていき…

 

敵「…っだこれ取れねえ!」ベタッ…

 

ベタッ!

 

敵「お、おいくっついちまったよ!」

 

敵「ダメだ!身動き取れねぇから離れられんねぇ!!」

 

終いには水難ゾーンにいた全ての敵がブヨブヨによって1つの巨大な塊と化した。

 

無論こんな状態で泳げる訳もなく…

 

ゴオオッ…

 

敵「やべえ!中心の穴に…」

 

蛙吹「水面に強い衝撃を与えたら広がってまた中心に収束するから…」

 

ザバァァッ!!!

 

敵達「うおおおああああっ!!??」

 

蛙吹「一網打尽って訳ね」

 

バシャァッ!!!

 

波に引きずり込まれた敵達はやがて中心に流され高く跳ね上がる。

 

そのまま落下していき思い切り強く水面に叩きつけられた。

 

コレでしばらくは追ってこれまい。

 

蛙吹「第1関門突破って感じね。凄いわ2人とも」ダキッ

 

蛙吹「……え?」

 

緑谷「大丈夫?蛙吹さん」ゴオオッ…

 

蛙吹さんの飛行はあくまで跳躍だ。落ちる前に掴まないと…

 

そう思い蛙吹さんを抱きかかえた。

 

…最悪のやり方で

 

峰田「…ぁぁ…ぁ…っ」

 

緑谷「?どうしたの?峰田君…まだ敵でも…」

 

蛙吹「緑谷ちゃん…お姫様抱っことは積極的ね」

 

緑谷「わわわっ!?ご…ごめん!!」

 

蛙吹「……ありがと」

 

ニッコリと笑いながらそう言ってくれた。

 

ったく…礼を言うべきなのはどっちだって話だ。

 

君がいなかったら峰田君は今頃魚の餌になってたよ。

 

…でも…

 

緑谷(嬉しいよ、そう言ってくれると)

 

峰田(後でぶっ殺してやる!)

 

緑谷「……さてと…」

 

峰田「今朝快便だったし1日以上はくっついたまんまだぜ奴ら」

 

峰田「ザマァねぇな」

 

蛙吹「でも一息つく暇はないわよ」

 

緑谷「ああ。とにかく今は助けを呼ぶのが最優先だ」

 

緑谷「広間を避けて水辺に沿って入口に向かえばすぐに出れるはずだ」

 

緑谷「敵達とも鉢合わせせずに済む」

 

峰田「まずそもそも空中だから攻撃できないwwファーww」

 

蛙吹「黙れ小僧」

 

峰田「ダニィ!?」

 

緑谷「いや…」ヒュゥゥ…

 

チャポン…

 

足がつく程度の深さの場所の海で静かに着地した。

 

抱えていた2人を下ろし、ゆっくりと歩き始めた。

 

緑谷「ここからは歩いていく」

 

蛙吹 峰田「「え?」」

 

緑谷「空に誰も居ないって事は逆にバレやすいって事だ」

 

緑谷「何より黒い敵の個性を考えると怖い点もある」

 

緑谷「ここは素直に歩いて入口まで行こう」

 

蛙吹「……まさか緑谷ちゃん…」

 

峰田「おいおいおい!?そりゃねぇぜ?なぁ」

 

2人とも鋭いな。勿論目立つっていうデメリットもあるけど何より僕が心配しているのは…

 

相澤先生だ。広間で大勢敵を引きつけてくれてはいるが…そろそろスタミナ的にも危ない。

 

あの大きい気を持っている奴がそこにいる以上僕が対峙して時間稼ぎをする他ない。

 

緑谷「邪魔になる様な事は考えていないよ」

 

緑谷「ただ…先生は制圧するつもりで突っ込んだんだろうけど…僕達を守る為に無理通してると思うんだ」

 

緑谷「少しでも負担減らせれば……」

 

蛙吹「……」

 

初戦闘にして…初勝利。

 

これが勘違いだった。

 

僕達の力が敵にも通用するんだと……

 

そう錯覚してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【土砂ゾーン】

 

轟「……おいおい。子供1人に情けねえな」

 

轟「しっかりしろよ、大人だろ?」

 

土砂ゾーンとは言うものの…

 

轟君が転送されて数秒後には全く別の地帯になってしまっていた。

 

周りの土は全て氷漬けにされ、敵達はあっという間に動けなくなってしまった。

 

流石は体力テスト3位…推薦入試で上がってきた事だけある生徒だ。

 

 

轟焦凍。個性【半冷半燃】

 

身体の左半分で相手を燃やし、右半分で相手を凍らせる。

 

ご覧の通り個性の速効性といい、汎用性といいチートじみた能力だ。

 

…左はまだ氷溶かす時しか見た事ないけどね。

 

 

敵「こいつ…移動してきた途端に…いってて」

 

敵「15のガキなのかねホント…」

 

身動きは取れないもののまだ口を開ける程度の気力は残っていた。

 

まぁその程度で済む様に轟君がコントロールしただけなんだけどね。

 

轟君は敵のあまりのあっけなさに呆れてしまう。

 

轟「散らして殺すか…」

 

轟「言っちゃ悪いがあんたらどう見ても…」(ダダッ

 

敵「うおおっ!」プンッ

 

スカッ

 

轟「【個性を持て余した輩】以上には見受けられねぇな」ガシッ

 

敵(気づいただとぉぉ!?)パキパキ…

 

背後からの不意打ちを軽々と避けて持っていた武器を掴んで同時に敵の身体を凍らせた。

 

どうやら崩壊しているビルに1人隠れていたらしい。

 

その努力も虚しく今度こそ土砂ゾーンの敵達が全滅する。

 

轟(オールマイトを殺す…ねぇ)

 

轟(初見じゃ精鋭揃えて数で押さえるのかとおもいきやフタを開けりゃこのざまだ)

 

轟(ただの三下、生徒用のコマじゃねぇか)

 

敵(見た限りじゃ本当にやばそうなのは3〜5人程度…)

 

轟「なぁ…敵さん」

 

今さっき凍らせた敵に話しかける。

 

まぁ反応する筈がないが。

 

敵「………」

 

轟「このままじゃあんたら数分後には壊死していく訳だが…」

 

轟「俺もヒーロー志望。()()()()そういう酷ぇ事は避けたい」

 

敵「!?」

 

できれば…この4文字の言葉が強調され、敵全員がゾッとした。

 

無表情で冷たい眼差しで話していた彼だからこそやりかねんと思ったからだ。

 

轟「あのオールマイトを殺すっつう根拠…策って何だ?」

 

 

 

 

 

 

【山岳ゾーン】

 

ここでは土砂ゾーンとは全く反対の展開が勃発していた。

 

3vs多…人数で言えば轟君よりかは有利に戦いを進められそうだけど……

 

敵「オラァッ!」プンッ!

 

スカッ

 

上鳴「わっとと…危ねぇ!」

 

敵のパンチを間一髪しゃがんで回避した。

 

尚敵はまだ10人以上いる模様。

 

上鳴「怖えええ!!マジ!!今見えた!三途見えたマジ!!!」

 

上鳴「何なんだよこいつらは!!どうなってんだよ!!!」

 

「そういうの後にしよ。今はこの数どう乗り切るか」

 

芦戸「まだ沢山いるぞー…」

 

「つーかあんた電気男でしょ!?バリバリッて一掃しなよ!」

 

上鳴「んだーーもう!戦闘訓練の時も言ったろ!?ペアだったろ耳郎!?」

 

上鳴「俺ァ電気を纏うだけだ!放電出来るけど操れる訳じゃねー!」

 

上鳴「おめえらも巻き込ん仕舞うのよ!あれ!轟と似た様な感じ!!」

 

上鳴「助け呼ぼうにも今特別電子変換無線(こいつ)ジャミングやべえしよ!」

 

上鳴「つーワケで現在俺は頼りになんねー!頼りにしてるぜ耳郎!芦戸!」

 

耳郎「っまぁ男の癖にウダウダと…」

 

耳郎「んじゃ人間スタンガンッ!」ドガッ

 

そう言うと上鳴君に近づき強く敵の方に蹴り飛ばす。

 

上鳴「マジかバッ…」ペタッ

 

バチィッッ!!

 

敵「ぐああああっ!?」

 

上鳴「へ?」

 

敵「」ドサッ

 

芦戸「わ…真っ黒だ」

 

触れた瞬間敵に高圧電流が襲いかかる。

 

たちまち電撃を受けた敵は真っ黒焦げとなり、そのまま倒れた。

 

上鳴「あ、通用するわコレ…」

 

上鳴「俺強い!!」

 

上鳴「よし2人共!!俺を頼れ!」

 

耳郎(軽いなおい)

 

敵「調子乗ってんじゃねぇぞクソガキがぁっ!」ブオッ

 

喜ぶのも束の間。今度は横から敵が攻撃を仕掛けてきた。

 

拳を巨大な岩石にし、上鳴君の顔面めがけ腕を振り下ろす。

 

もうその時点で至近距離に敵が迫っていたので避けられる筈もなく…

 

上鳴(やべっ…顔粉々ん…)

 

耳郎「っ!!」ブゥゥン…

 

ビキキッ…

 

敵「ん?」バカッ!

 

敵「…なぁぁあっ!?」

 

耳郎さんのコスチュームのスピーカーから出た音波で手の岩を破壊する事に成功。

 

何とか紙一重で攻撃を避け

上鳴「ひでぶ!」ドゴッ

 

れなかったよ。顔面に10のダメージ。

 

たがただのパンチなので大した傷は負っていない。

 

勿論この隙だらけの瞬間を逃す訳も無く相手の腕を掴み感電させる。

 

ガシッ

 

上鳴「よくもやりやがったなぁオラァァッ!!」バチィッッ!!

 

敵「うおああああっ!!!」

 

シュゥゥ…

 

敵「けぽ…」ドサッ

 

黒い煙を口から排出しながら先程の敵と同様に地面に倒れ込んだ。

 

上鳴「ってぇぇ…けどナイス耳郎!助かったわ!」

 

耳郎「頼りになるんじゃなかったの?」

 

上鳴「ま、お互い様っつー事で」

 

耳郎「何処がだよ」

 

芦戸「仲良いねー2人共」

 

耳郎「生理的に無理だわあんなの」

 

上鳴「酷くありませんかねぇ!?」

 

上鳴「っにしてもキリ無ぇ!どうにかできねぇもんか…」

 

耳郎「酸…電気……」

 

そこで耳郎さんはある方法をひらめく。

 

耳郎「芦戸!あんた周りに酸撒き散らして!強度はどうでもいい!!」

 

芦戸「アイアイサー!」

 

ドバドバ…

 

言われるがままに芦戸さんは上鳴君と耳郎さんにかからないよう周辺に大量の酸をかけた。

 

敵「うっわ!きしょ!」

 

敵「んだこれ…」

 

耳郎「あたしは芦戸のすぐ隣にいる」

 

耳郎「これなら電撃は当たらない」

 

上鳴「…あーなる」バチバチッ

 

どうやら耳郎さんの意図に気づいたらしい。

 

上鳴君は目一杯できるだけの電流を全身に纏わせた。

 

敵「何企んでんのか知ったこっちゃねぇが!!」

 

敵「やっちまえ!!」ダダッ…

 

上鳴「これなら俺は…」

 

上鳴「クソ強ええっ!!」バヂィッッ!!!

 

近距離から遠距離まで広範囲の敵にフルパワーの放電を浴びせる。

 

その強烈な電流は凄まじい閃光が激しく迸っていた。

 

一瞬にして数十もの敵を焼き焦がしてみせた。

 

耳郎「【酸】は電解質…」

 

耳郎「中学のテスト受けてなかったのかい?」

 

 

 

数秒後…

 

耳郎「…うわ」

 

芦戸「めっちゃ綺麗」

 

先程まで存在していた崖などが全て粉々に砕け、山岳ゾーンは見事綺麗な平地に整地されていた。

 

一方上鳴君はというと…

 

上鳴「ウェーイウェイウェイッ!」ブンブン…

 

耳郎 芦戸「「」」

 

芦戸(駄目だこいつ…早くなんとかしないと)

 

口は開きっぱなしで目が宙を泳ぎ更には両腕共に前後にブンブン振っていた。

 

いわゆるアヘ顏的なヤツ(?)だ。

 

これは個性の性質上の問題なのでいきなりイかれたとかじゃないからご心配なく

 

上鳴「ウェーイッ!?」

 

 

上鳴電気。個性【帯電】

 

電気を纏う!感電・放電可能!

 

ただし上限オーバーすると脳がショートする!

 

上記の様になるのでご注意!!

 

 

耳郎「……ぷぷぷ」プルプル…

 

笑ってあげるな耳郎さん…

 

 

耳郎響香。個性【イヤホンジャック】

 

プラグを挿して自分の心音を相手に爆音ボリュームでお届け。

 

だけどまともに食らうと鼓膜が破けたり物体が壊れたりするから注意しよう!

 

後聴力もいい。

 

 

 

 

 

 

 

【広間】

 

こちらの戦況にも変化が表れてきた。

 

ワープホールから最初に出てきたボスらしき人物が突然相澤先生に接近してきた。

 

…何やらボソボソと数字を呟きながら…

 

ダダダ…

 

ボス?「27秒……26秒…」

 

相澤「ようやく本命か」ビュッ

 

ボス?「24秒」

 

相澤「なっ…!!」

 

空かさずその敵に炭素繊維を投げつけるがあっさりと掴まれてしまった。

 

捕縛できなければと接近戦に持ち込もうとする相澤先生。

 

ボス?「20秒」

 

相澤「さっきからボソボソと…」ダダッ…

 

グイッ

 

相手の攻撃の間合いに入り、持っていた捕縛武器を引っ張り敵を近づけさせる。

 

零距離まで接近させ、右肘で凄烈なエルボーを敵の腹部に直撃させる。

 

ボス?「17秒」

 

相澤「気が散る!!!」ズドッッ!!

 

ボス?「……っ…」

 

 

 

…筈がなんとギリギリの所で左手でガードをされていたらしい。

 

相澤先生の攻撃に全く動じていない。

 

目を休める為一回瞬きする。

 

相澤(ちっ…効果無しか)

 

ボス?「動き回るので分かりづらいけど髪が下がる瞬間があるね」

 

ボス?「1アクション終える毎にだ。そしてその間隔は段々短くなっている」

 

相澤(こいつ…まさかさっき口に出していたのはその時間…!?)

 

ボス?「無理をするなよイレイザーヘッド」

 

相澤「ぐお…っあ!?」ボロボロ…

 

ボス?に触れている身体の部分がヒビが入り次第に崩壊していく。

 

この個性に気づくや否や空いていた左腕で敵の顔面を殴り距離を置く。

 

ドゴッッ!

 

ボス?「いってぇ…」ドサッ

 

相澤(右肘が…崩れた!?)

 

敵は相澤先生を見るなり嘲笑いながらゆっくりと立ち上がる。

 

ボス?「ははは…相澤先生…だったっけか?」

 

ボス?「その個性じゃ()()()()()()()()は向いてなくないか?」

 

ボス?「普段の仕事と勝手が違うんじゃあないかい?」

 

ボス?「君が得意なのは恐らく…あくまで【奇襲からの短期決戦】だろ」

 

ボス?「それでも単身立ち向かったのは生徒に安心を与える為か?それとも本気で俺らに勝とうとしてたの?」

 

相澤「……」

 

ボス?「かっこいいなぁかっこいいなぁ」

 

ボス?「ところで…ヒーロー」

 

ズド…

 

相澤「!?」クルッ

 

後ろから重く大きい足音が聞こえてきた。

 

反射的に後ろを振り返るとそこには…

 

 

 

 

 

「ァァッ…」

 

 

 

 

常人よりも遥かにデカイ巨体…

 

石の様に鋭く角ばってしまった歯々…

 

そして脳が剥き出しになっている奇妙な頭部…

 

さしずめ【怪物】と称するべきか。

 

相澤先生はただならぬ怨念のようなものを感知し後ずさりする。

 

その瞬間…

 

 

 

 

 

ドバッッ!

 

 

死柄木(ボス)「本命は…俺じゃない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…いつの間にか僕達は奴等に舐めてかかってしまっていたらしい。

 

敵の全貌。プロの世界。

 

僕らは何も見えちゃいなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




須井化です…はい。

今回は意外と文字数食って行きたいところまで行けんかった…

飯田君と愉快な仲間達のレースまで進めたかった。

まぁ次回がキリよくなりそうだから結果オーライか。

いかがでしたか。13話は地の文少なかったなぁ…次回からがんばるゾイ。

14話は飯田君が黒霧と仲良く鬼ごっこする回です。

まぁね!原作的に考えれば飯田君が逃げ切れないなんて結末あり得ないからね!

次回は大体原作のコピペかぁぁ!はぁぁ!つまらないなぁ(真顔)!!

…数話振りに挿絵が投稿できそうでオラワクワクすっぞ。

とりあえず14話は須井化的にも楽しみにしてる回なので乞うご期待!

八百万ちゃんも地味に活躍しますぞー(地味というかこっちメインなんやけど…)
飯田<ハァッ☆



何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。
2月9日(木)以内に第14話の投稿を予定しております。

お楽しみに!










ブロリー「親父ぃ…」(須井化)

<ブロリー…一体、どうしたと言うんだ

ブロリー「上げるといっておきながら2/6に上げないのはなんなんだぁい?」

<…?2月6日がどう……

<あ、ブロ……

ブロリー「忘れてたんですか?」

<………

<ひ、避難ダァ!(ウィィーン
ブロリー<スローイングブラスター!!(ボーピー

<あーう☆

デデーン…






529999→529998



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