悟空「オラの?」緑谷「ヒーローアカデミア!」   作:須井化

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前回までのあらすじ

どこにでもいる無個性少年緑谷出久。

彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!

ひょんな事から学級委員長に就く事になった緑谷少年!

果たして彼はうまくクラスをまとめ上げる事が出来るのか?

?なんで前回クラスの皆(飯田・麗日除く)がテレパシーを不思議がらなかったかって?

しゅ…主人公補正に決まってるだろ言わせんな恥ずかしい!!

更に向こうへ!PlusUltra!!!



ChapterⅠ-episode3 USJ強襲編
第11話


雄英高校に入学してから数日経った。

 

マスコミ騒動から目立った事件も起こらずそれなりに平和な生活を送っていた。

 

だがこの日を折に…

 

僕の身の周りの環境が少しずつ変化していった。

 

 

 

 

AM 7:35 水曜日

 

とあるビル街にて…

 

 

 

 

 

「いいかぁ俺を追うなよヒーロー共!!」

 

「追ってきたらこの裕福な家族ぶっ壊してやるからな!」

 

常人よりも一回りも二回りもでかい巨人が出現した。

 

連続強盗殺人犯【僧帽ヘッドギア】だ。

 

奴は3人の家族を人質にとり強盗を図っていたのだ。

 

巨大な腕でその一家を軽々と抱え今にも圧死させようとしている所であった。

 

この状況には流石のヒーロー達も応戦出来ず言う事を聞く他なかった…

 

Mtレディ「姑息な手を…!」

 

シンリンカムイ「単純な戦闘力も只者ではないぞ…!」

 

子供「うあああっ!助けてぇえっ!」

 

恐ろしい敵に怯え号泣してしまう女の子。

 

その子の両親も死の危機を目前にして冷静でいられる筈がなかった。

 

必死にヒーローに助けを求める事位しか彼らには出来なかった。

 

父「ヒーロー!お願いだ…娘だけでもっ!!」

 

ヘッドギアはそんな事御構い無しに少しずつヒーロー達との距離を離していく。

 

殺ろうと思えば1秒足らずで人質の命を容易に奪える状況だった。

 

迂闊に手出しは出来ず棒立ちのまま敵が逃げるのを待つしかなかった。

 

ヘッドギア「このまま逃げおおせたらあ!!」

 

シンリンカムイ「くっ…」

 

敵が勝利を確信した正にその時だった。

 

 

 

「もう大丈夫だファミリー!!!」

 

 

ある1人の男が駆けつけた。

 

勿論……

 

 

 

MISSORI(ミズーリー)……」

 

ゴオッ…

 

ヘッドギア「へっ?」

 

SMASH(スマッシュ)!!!」ガッ!!

 

ヘッドギア「ぐは……お……」

 

ドサッ

 

Mtレディ「あ、あれは…」

 

 

 

オールマイト「私が通勤がてら来た!!!」

 

誰もが知るあのトップヒーロー【オールマイト】だ。

 

敵の後方から猛ダッシュで接近し後頭部に強烈な手刀を浴びせる。必殺技超カッコいー!

 

かくしてヘッドギアは一撃粉砕された…ワンパン○ンとはこれいかに…

 

まぁただ…

 

シンリンカムイ「手助けしていただくのは結構なのだが…」

 

Mtレディ「私達の立場どうなんの…これ」

 

働き過ぎると失業してしまう人も出てくるので程々にねオールマイト。

 

警察官「ご協力感謝いたします!オールマイト!」

 

敵退治に尽力してくれたオールマイトに敬礼する警察一同。

 

それに応えるようにジェスチャーしながら…

 

オールマイト「力になれて光栄だ!」

 

オールマイト「んじゃ遅刻するとアレなんでおいとませていただくよ!」

 

そう言ってその場を去ろうとする彼にまたもや誰かの悲鳴が耳に入ってくる。

 

<誰かー轢き逃げよー!

 

オールマイト「ンンー…」

 

オールマイト「遅刻するとやばいんだけど……」グッ…

 

オールマイト「ナッーーーー!!!」ゴォウッ!

 

地面を強く踏み蹴り空高く飛び上がる。

 

困り果てながらも空飛んで助けに行くあたり我らが平和の象徴って感じだよね。

 

 

 

 

 

 

だが彼には【通勤】以外の問題も抱えていた。

 

オールマイト「…」

 

オールマイト(以前よりも速度が落ちた…また衰えたか…)

 

オールマイト(まだ()()を行ってないとは言えやはり後遺症はデカかったか…)

 

オールマイト(……これは急を要するようなモノではない…いや寧ろ焦って決めるべきではない)

 

オールマイト(だが…そろそろ決定させて接触だけでもせねば……)

 

オールマイト(……緑谷出久…か…或いは………)

 

 

 

 

 

PM0:00

 

所変わって僕の自宅にて…

 

悟空「………」

 

悟空「ヒマだぁぁ…」

 

最近出番が少ないこの男…

 

僕の師匠の孫悟空さんだ。

 

僕につけていた稽古も終わってしまいやる事が無い彼はただただ途方に暮れていた。

 

悟空「……修行してもベジータとかがいねぇから組手できねぇし…」

 

悟空「緑谷の母ちゃんに話しかけようとも思ったけど家事とかで忙しそうだしなぁ…」

 

悟空「…すっげぇ暇だぁ…」

 

なんなら働けと一体読者の何割がツッコミを入れたのだろうか…

 

悟空「……思えばチチは悟飯とか悟天の時とかもずうっとやり続けてたんか…」

 

悟空「申し訳なぇな……今会えねぇけど」

 

 

 

彼は2度死んでいる。

 

1度目は修行の件も兼ねて1年後に生き返らせてもらった。

 

まぁこれでも長い期間だと思うけど…(というか生き返る事自体信じられない)

 

2度目の時もすぐに復活出来る状態だったんだが悟空さんは一旦拒んだんだ。

 

自分がいると地球に敵がやってくる。だからあの世にとどまるって…

 

何とも自分勝手な旦那さん…だが100%否定しきれないという所があれだが。

 

そんなこんなで7年間ずっと生き返らずに死んだままでいたらしい。

 

奥さんもさぞや悲しんだだろう。愛する人がこの世から永遠に消える事を自ら望んだんだから…

 

……何やかんやあってその後成り行きでこの世に帰って来たみたいだけど…

 

生死ってこんな軽いものなのか

 

 

 

勿論、この世界でそんなホイホイ復活出来るような便利な()()()()は存在しないが。

 

あるんならとっくに……

 

いや…この話はやめておこう。気分が悪くなる。

 

……っと少し脱線したね。

 

 

 

悟空「……フリーザとかセルとか居ねぇし…それなりに平和だからいいんかな?」

 

悟空「久々に昼寝でもすっか……」

 

悟空(……)

 

悟空(まさか……な)

 

悟空(でぇじょうぶでぇじょうぶ…そん位で死ぬ様な柔な修行は

悟空「zzz」

 

台詞言い切ってから寝ろよ。

 

……この人も…ある1つの悩みを抱えていた。

 

今回直接関わるのはこっちの方の問題だ。

 

 

 

 

 

 

 

PM0:50

 

雄英高校1-Aホームルーム…

 

今日の5・6時間目は皆お待ちかねのヒーロー基礎学!

 

何やら今回はちょっと特別らしい。

 

 

相澤「えー本日行う内容としてまず…オールマイト・俺…そしてもう1人の3人体制で授業を進める」

 

緑谷「もう1人…?しかも3って」

 

瀬呂「へいへーい!何するんですか?」

 

相澤「災害水難なんでもござれ」

 

相澤「人命救助(レスキュー)訓練だ!」

 

またもやRESCUEと書かれたカードをバンッと僕らに突き出しながら説明していく。

 

緑谷「レスキュー…」

 

瀬呂「っわぉ…これまた大変そうなの来たな」

 

芦戸「ねー」

 

切島「バカおめー!これこそヒーローの本分だぜ!?」

 

切島「鳴るぜ!!腕が!」

 

蛙吹「水難なら私の独壇場」<ケロケロ…

 

今回は校舎とは少し離れた場所にある大きな訓練場で行うらしい。

 

特別授業な事もあり皆期待を膨らませる。

 

まぁ勿論ワイワイ雑談を挟めば…

 

相澤「おいまだ途中」ギロッ

 

A組「」

 

こうなる(睨まれる)

 

相澤「今回のコスチュームの有無は各自の自由でいい」

 

相澤「場合によっちゃ活動に制限がかかるモノも出てくるだろ」

 

相澤「はい準備始めて。校庭集合バスもう待ってる」

 

相澤「7分以内にね」

 

A組「はぃぃぃ急げぇぇえっ!!」

 

タイムリミットを告げられるとそそくさに教室から駆け出す生徒達。

 

僕特にやべぇぇぇえええっ!!!

 

緑谷(救助訓練…)

 

緑谷(憧れの…最高のヒーローに近づく為の訓練だ!)

 

緑谷(頑張るぞ!!)

 

そう意気込みながら更衣室に走っていく。

 

……廊下は走っち(ry

 

 

 

 

 

 

 

着替え終わり僕等はすぐにバスが停まっているという校庭に集合した。

 

なんだかんだ言って皆コスチューム着用してるなぁ

 

ん?僕はどうなんだって?

 

麗日「あれ…デク君体操服なんだ」

 

緑谷「この間の戦闘訓練でボロボロんなっちゃってね」<たはは

 

緑谷「修復待ち」

 

コスチュームが壊れてもサポート会社が修繕してくれるから安心。

 

まぁ所によっちゃ買い直しの部分も出てくるけどね。

 

ベルトやヘルメット(首部分…ヘルメットって言うのか?)は体操服に装着してる。

 

バスに乗る前に飯田君がとある提案をして来た。

 

飯田「委員長!バス内での混乱を防ぐ為に番号順で2列に並ぶのはどうだろうか!?」

 

緑谷「……」

 

八百万「貴方でしょ」

 

あ、そうだ。僕委員長だったな。

 

緑谷「そ、そうだね…そうしよっか」

 

飯田「ほら皆!委員長の指示に従って並ぶんだ!!」

 

学級委員よりも積極的に指揮をとる飯田君

 

…委員長してるなぁ

 

 

 

 

 

で生憎三方シートだったバスにぞろぞろと乗車していった。

 

結局ごちゃ混ぜか。

 

飯田「こっちのタイプかよ……」

 

芦戸「イミなかったなー」

 

緑谷(なんだか可哀想だな)

 

相澤「んじゃ行くぞ。10分位で到着するからな」グッ

 

アクセルを踏みバスを発進させる。

 

…バスで10分かかるなんて台詞が言えるくらいの敷地面積を持ってる事にツッコミを入れないあたり

 

僕等も成長したなぁ…いや慣れただけだが。

 

バスで移動している間何もしないという訳にもいかない。

 

クラスの皆とのトークタイムだ。

 

早速隣に座っていた蛙吹さんに声をかけられる。

 

蛙吹「ねぇ緑谷ちゃん」

 

緑谷「あ、ハイ…どしたの?蛙吹さん…」

 

蛙吹「梅雨ちゃんと呼んで」

 

呼び方指定かよ。

 

蛙吹「貴方の個性…」

 

蛙吹「オールマイトに似てる」

 

緑谷「…………ぶあ?」

 

緑谷「えええええ!?」

 

緑谷「い…いや…そんな滅相な…」

 

緑谷「僕の個性はあれ…気…とか何かああしてこうするやつだから」

 

個性の話をする時はろくな事が無い。

 

テレパシー、空中浮遊、そして光線。

 

あまりにも用途がバラバラすぎて説明がつかない。

 

実際やろうと思えば皆にも習得出来る個性だからなぁ。

 

今もほら、口滑って【気】ってワード出しちゃった。

 

蛙吹「気?」

 

緑谷「ええっといやこのそのあの…」

 

必死に誤魔化そうとしていると便乗して蛙吹さんの隣の席にいた切島君が話しかけてきた。

 

切島「違うぜ梅雨ちゃん。オールマイトはビームなんて撃てねぇしテレパスだって出来ねぇ」

 

切島「似て非なるアレだぜ」

 

いや言っちゃうと似てないです。オールマイトみたいって言われるのは嬉しいけど…

 

切島「確か生体エネルギーを云々って感じだったよな…()()()の個性な感じか?」

 

切島「あの系統はシンプル且つ派手で出来る事が多い!」

 

個性にはそれぞれ型があって…

 

生誕時から身体の構造が変化している異形型…

 

自分の意思でその効果を発する事が可能な発動型…

 

身体のあらゆる部分を変形させる事が出来る変形型…

 

主にこの3つに区分される。

 

まぁそもそも【個性】っていう概念が一体どういうモノなのか定義すら曖昧なもんだから…

 

厳密にどんな種類があるかと言われると不明と言わざるを得ない。

 

どうやら変形型の【硬化】である切島君はそれに不満らしい。

 

切島「俺の個性って対人じゃ滅茶強ぇけどいかんせん地味なんだよなこれが」

 

切島「ただ硬くなっただけじゃナニソレ?って周りから見られるからな」

 

緑谷「見た目は確かに変わらないかもしれないけど僕的にはかっこいいと思うけどな」

 

緑谷「プロにも十分通用する個性だしね」

 

切島「プロなー!でもヒーローって結構人気商売みてぇなとこあるぜ!?」

 

切島「オールマイトとかその象徴だろ!」

 

常闇「一理ある」

 

青山「僕のネビルレーザーは強さも派手さもプロ並み」

 

芦戸「でもお腹壊しちゃうのはヨクナイね!」

 

A組「……」

 

水差しちゃダメ、ゼッタイ。

 

このクラスの女の子ってさらっと棘刺してくるよなぁ。

 

切島「いや派手で強えっつったらやっぱしおめぇとか爆豪…後轟とかじゃね?」

 

さりげなくかっちゃんと同列に並べられた事に驚きを隠せない自分がいる。

 

爆豪「けっ」

 

対してかっちゃんは同格にされた事が気に食わないのか冷たい反応をした。

 

……いやあいつの事だから僕が先に挙げられた事にムカついているとかありそう…

 

?…轟って誰?

 

ああ…今かっちゃんの後ろに座っている男子生徒。

 

オッドアイで左右の髪が白髪と赤髪になっているのが特徴的の生徒だ。

 

轟「……」

 

彼の紹介はもうじきするからもうちょっとだけ待ってくれ。

 

蛙吹「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気出なさそ」

 

爆豪「んだとコラ出すわ!!!」バンッ!

 

なんと蛙吹さんがかっちゃんで遊び始めた。

 

その挑発にすぐ乗ってしまいかっちゃんは座席から立ち上がってしまう。

 

だから火に油はいけないと…

 

蛙吹「ホラ」ビロビロ…

 

ホラじゃないよ…しかも舌出して馬鹿にしてる…

 

…あれだ、人気投票で1(ゲホンゲホン

何でもないです。

 

上鳴「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだ性格と認識されるって逆にすげえよおい」

 

爆豪「テメェのボキャブラリーは何だコラ殺すぞ!!」

 

段々皆がかっちゃんをからかって面白がってきてるぞ…

 

信じられない光景だ。

 

今までは力でクラスどころか学年さえもねじ伏せてきたあのかっちゃんだぞ…?

 

流石雄英…レベルが違いすぎる。

 

……どんなレベルの話してんだろ自分。

 

あ、上鳴君も紹介し損ねてたな。

 

轟君同様にもう少しだけ待っててくれ。

 

こんな馬鹿げた会話に中には呆れる人も。

 

八百万「低俗な会話ですこと…」

 

八百万「子供でもありませんのに…黙って待つ事もできないのかしら」

 

麗日「でもこういうの好きだ私!」

 

飯田「爆豪君、君本当に口悪いな!」

 

爆豪(クソはセーフなのかよクソは!!)

 

<あはははは!

 

 

 

バスでの待ち時間の間…1-Aは歓楽と笑いで溢れていた。

 

新たな体験に皆期待に胸を膨らませていたんだ。

 

僕も勿論楽しみだったし、ワクワクしていた。

 

……だけど頭の片隅である不安がよぎっていた。

 

 

それは何時ぞやのマスコミ騒動の日の夜であった。

 

悟空さんと一緒に軽い筋トレをしていた時だった。

 

 

悟空『ふぅ…大分汗かいたぞ』

 

緑谷『じゃあそろそろお湯入れてきましょうか』

 

悟空『あ、悪り…頼むぞ』

 

緑谷『はーい』ガチャ

 

ドアを開けて風呂場に向かおうとすると急に悟空さんに呼び止められる。

 

悟空『ああっ!緑谷!ちょっと待て!』

 

緑谷『?どうしました?』

 

振り返って悟空さんの顔を覗くと…彼は少し険しい表情になりながらこちらを向いていた。

 

いつも大らかなあの人が一体どうしたのか不思議に思いながら近づくと悟空さんは話し出した。

 

悟空『…緑谷…今日学校で何かあったか』

 

緑谷『……?あ…いやちょっとしたゴタゴタはありましたけど…』

 

緑谷『特にその…問題は…』

 

悟空『そっか…』

 

悟空『………一瞬…まぁ2、3分ぐれぇの事なんだけどよ』

 

悟空『おめぇの学校に馬鹿デケェ気を感じた』

 

緑谷『!?』

 

悟空『まぁ言っちまえばオラにとっちゃ大した事ねぇ程度だったんだけどよ…』

 

悟空『……緑谷…彼奴らはおめぇよりも強い…そう断言できる』

 

緑谷『断言て…』

 

悟空『普通の人間の10倍じゃすまねぇくれぇの気のデカさ…そして何より』

 

悟空『()()()()()()()…その場にふっと』

 

緑谷『それって…つまり瞬間移動?』

 

悟空『ああ…消える時も同じ風にな』

 

悟空『オラと同じ風にヤードラット星人から習った猛者なのか…それともヤードラット星人自体が来たのか…』

 

緑谷『若しくは…それに似た個性を持ってる人…ですか』

 

緑谷『僕は少しバタバタしてたんで感じる余裕は無かったんですけど…』

 

悟空『とにかく…オラから言いてぇのは1つだけだ』

 

 

 

 

 

緑谷「……」<あははは!

 

 

悟空『無茶だけはすんな…ぜってぇに』

 

 

緑谷(……界王拳…僕が使える許容範囲は2倍まで…)

 

緑谷(3倍は発動した時はあったけど…10秒で立っていられなくなった)

 

緑谷(恐らく悟空さんはそれの事も含んで言っていた)

 

緑谷(もし3倍の界王拳でもどうにもならない相手だとしたら……)

 

緑谷(オールマイトと悟空さん以外…誰も太刀打ちできない敵って事になる)

 

緑谷(万が一何かあっても僕のテレパシーはまだ遠距離にまでは使用できない)

 

緑谷(精々1km程度…訓練場からじゃ校舎には届かない)

 

緑谷(……何も起こらなきゃいいんだけど…)

 

相澤「もう着くぞ…いい加減にしとけよ」

 

A組「ハイッ!!!」

 

相澤先生の一言によりクラスの会話が一斉に止む。

 

沈黙の間もその不安が消える事は無く、最悪の可能性を憂虞し1人汗を垂らしていた。

 

奇襲でも起こるんじゃないのか、それとも何かしらのテロでも起きやしないか…

 

何事も無く無事に教室に戻れる事を祈る事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

だが…僕の願いも虚しく数分後、予期していたであろう最悪の事態が起こってしまう。

 

皆はそれも知らずにいそいそとバスの中で授業の始まりを待ち続けていた……

 

 

 

 

キキーッ

 

相澤「到着」

 

ブレーキを強く踏みバスを停車させる。

 

バスからぞろぞろと降りていった僕達の目に映ったのは……

 

 

けわしく聳え立つ崖や激しく流れ落ちる滝…燃えさかる火の海

 

広大な自然の数々であった。

 

その光景はまるでそう…1つのテーマパークに足を踏み入れるような感覚であった。

 

誰もがこの壮大さに息を飲む他無かった。

 

切島「すげぇ…」

 

切島「USJみてぇだ」

 

飯田「ここさえも所有地の一部でしか無いと言うのか…」

 

飯田「恐ろしいな…最高峰」

 

「1年A組の皆様ですね〜。よくぞおいでになりました」

 

入り口に入るとそこにはある1人の男性が僕らを待ち構えていた。

 

例のもう1人の担当教師だろう。

 

彼は僕らに話しかけ、挨拶をし始める。

 

「水難事故・土砂災害・火事…etc.」

 

「あらゆる事故や災害を想定し、僕がつくった演習場です」

 

「その名も…」

 

 

 

 

13号「U(嘘の)S(災害や)J(事故ルーム)!!」

 

A組(USJでしたぁぁぁ)

 

スペースヒーロー【13号】だ。

 

災害救助で目覚ましい活躍をしている紳士的ヒーロー!

 

まぁ当の本人は宇宙服に身を包ませているから素顔を見た人は指折り数えられる位しか居ないらしいけどね。

 

初対面で興奮の余りピョンピョン飛び跳ねてしまう麗日さん。

 

どうやら熱狂的なファンみたいだ。

 

麗日「うおおおっ13号先生だ!!」

 

麗日「私滅茶苦茶好きなんよー!」

 

相澤先生は13号先生に近付いて小声だ何か喋り出した。

 

聞かれたらまずい事でもあったのか…

 

耳を澄ませてよく聞いてみると…

 

 

 

 

相澤<……13号、オールマイトはどこにいる?

 

相澤<ここで落ち合う予定なのだが

 

13号<せ…先輩それが……

 

13号<どうやら()()()()()()まで活動してしまったらしく…(スッ…

 

13号<仮眠室で休んでます

 

オールマイト『すまん!!終わりがけに少しなら顔出せるから…ホント申し訳ない!』

 

相澤<不合理の極みだなオイ

 

 

 

 

緑谷「……?」

 

緑谷(限界ギリギリ?何の話だ…)

 

話の途中、13号先生は右手で小さくジェスチャーしていた。

 

人差し指中指薬指を立ててた……あれはどう見ても【3】のサインだ。

 

もしかしてオールマイトにも活動制限がかかっているのだろうか…

 

でもまさかウル○○マンみたいに3分が限度とかな訳無いし…

 

3時間限定とか……今までのを見る限りそんな感じしないけど。

 

さっきの話題でも出ていたがオールマイトの個性は正体不明。

 

テレビでは【怪力】や【ブースト】などなど…様々な冗談でお茶を濁していた。

 

ただ単にプライパシー的に知られたくなかったのでは無くそういう理由もあって黙っていたのかもしれないな。

 

結局謎が深まるまま…オールマイト抜きという形でヒーロー基礎学はスタートした。

 

オールマイト居ないのは悲しいなぁ……

 

13号「えー始める前に僕からお小言を1つ2つ…」

 

13号「あいや3つ………4つ…」

 

13号「…あー5つ程」

 

どんどん増えてます先生。

 

13号「皆さんご存知だとは思いますが僕の個性は【ブラックホール】」

 

13号「どんな物も吸い込んでチリにしてしまいます」

 

多分これを読んでいる人は初めて……いやもう止めよ。

 

13号さんは先述の通り、火や岩石…ありとあらゆる物を吸収する。

 

だから火事も火を吸い込み被害の拡大を防いだり…

 

或いは残骸の下敷きになった人間も瓦礫などの障害物を全て吸い込み救出したりする事ができる。

 

そうやってどんな災害からも多くの人達をすくいあげてきた。

 

13号「一見僕の個性が便利だなって思うでしょ?」

 

13号「ですがこの個性…裏を返せばどんな人間でも一瞬にして粉々に消す事が可能なのです」

 

13号「皆の中にもそういう…()()()()()()()()()()ような個性を持っている生徒もいるでしょう」

 

緑谷「……」

 

13号「今あるこの超人社会は何年、何十年と膨大な時間をかけ作り上げてきたものです」

 

13号「個性の使用を資格制にし厳しく規制する事で一応成り立ってはいます」

 

13号「ですが一歩使い方を間違えれば容易に人を殺せる【いきすぎた個性(ちから)】を個々が持っている事を決して忘れないでください」

 

13号「相澤さんの体力テストで自分の秘めたる力の可能性を知り」

 

13号「オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体感したかと思います」

 

13号「この授業では心機一転!」

 

13号「人命の為に個性をどう活用するかを学んでいきましょう!」

 

13号「君たちのその力は人を傷つける為にあるのではない」

 

13号「助ける為にあるのだと心得て帰って下さいな」

 

…すっごい感動した。13号の熱弁に。

 

こんな先生とこれから2時間…この広い土地を利用して様々な演習をするのかと思うと…

 

楽しみで仕方ない!!まぁ楽しむもんじゃないけどサ!!

 

13号さんの弁論が大きな拍手で称えられる。

 

飯田「ブラボー!ブラーボー!!」パチパチ…

 

麗日「ステキーー!」

 

緑谷「13号…すっごくカッコいい…!!」

 

13号「えー以上です!ご静聴ありがとうございました」

 

拍手に応えるよう13号先生も僕らにペコッと一礼する。

 

さぁ救助訓練の始まりだ!

 

話し終えたのを見計らって相澤先生が訓練の説明をし始めようとする。

 

相澤「よし…そんじゃあまず施設の概要をサクッと……」

 

ズズ…

 

奇妙な音が後ろから聞こえた。

 

演習場内で何か起こったのか?

 

振り向いてその先を見ると…

 

 

 

 

 

 

空間に歪みが発生しその中からある人物の顔が出てきた。

 

間違いない。敵の襲来だった。

 

他の奴等もその歪みから出現し演習場にその姿を現す。

 

「………」ゴオッ…

 

相澤「!!」

 

それに気づかない筈が無かった。

 

僕も複数の気を感じ取り探っていた。

 

その中には僕や相澤先生よりも…遥かに大きい気を持つ者が居た。

 

緑谷(……嘘だろ…このタイミングで!?)

 

緑谷(これが悟空さんが言っていた……?)

 

相澤「一かたまりになって動くな!!!」

 

飯田「え?」

 

相澤「13号!!生徒守っとけ!!」

 

生徒や13号に向かって大きく叫ぶ。

 

切島「なーんだありゃ色々出てきたぞ?」

 

切島「もしかしてまた入試ん時みてぇなもう始まってんぞパターン?」

 

首にかけていたゴーグルを目に装着しながらこう言い放つ。

 

相澤「動くなっ!!あれは……」

 

相澤「敵だ!!!」

 

予測していた最悪の事態が発生してしまった。

 

奇しくも…命を救える訓練時間に()()()()は現れた。

 

黒い敵「13号に…イレイザーヘッドですか」

 

黒い敵「先日頂いたカリキュラムによればオールマイトもこの場にいる筈なのですが…」

 

相澤「やはりゲートのアレはクソ共の仕業だったか…!」

 

ボス?「……どこだよー……せっかくこんなに大衆引き連れてきたのにさ」

 

ボス?「オールマイト…平和の象徴…いないなんて…」

 

緑谷「…………これは……」

 

プロが一体何と戦っているのか

 

何と向き合っているのか…

 

 

 

 

ボス?「子どもを殺せば来るのかな?」

 

 

それは途方もない悪意

 

 

 

 

 

 

緑谷(本格的にやばい……!!)

 

 

 




須井化です…はい…

敵連合出現エマージェーシーエマージェーシー!
果たして多少強くなってニューゲームした緑谷君に奴等に勝つ術はあるのか?
とりあえず今回はキリいいのでここまで。いかがでしたか?

とうとうアニメ一期の山場に到達しましたねー!
まぁ11話は蛇足的な部分が大半だったけど。
チートは寝かせておきました。はっきり言ってバランスブレーカーだからねあいつは。


何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。
2月2日(木)以内に第12話の投稿を予定しております。

お楽しみに!




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