悟空「オラの?」緑谷「ヒーローアカデミア!」   作:須井化

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前回までのあらすじ

どこにでもいる無個性少年緑谷出久。

彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!

初のヒーロー基礎学で対人戦闘訓練を行う事になった緑谷少年。

爆豪・飯田少年ペアに苦戦を強いられるも何とか勝利を収めた!

…え?今回は飯田少年の話?

前回最後に盛大な前振りしたのに!?

更に向こうへ!PlusUltra!!!


第10話

レポーター(♀)「……」

 

私は通りすがりの取材記者。

 

歳20代後半、身長180cm位、体重はひ・み・つ

 

バストは聞いたら○す

 

今日は一大スクープを狙って雄英高校にやって来たの。

 

ネタは勿論!言わずと知れたオールマイト就任!!!

 

今回彼に生でインタビューする予定なの〜

 

くぉぉ…長年(?)のレポーター魂が疼くぞコレぇぇ…

 

お、早速生徒達が来た♪授業受けてる子達にも聞いてみよっと…

 

 

Q.オールマイトの授業はどのような感じですか?

 

緑谷「あいたた…お腹が…すみません保険室に…」

 

レポーター「えー…」

 

 

 

Q.平和の象徴が教卓に立っている様子を聞かせて!

 

麗日「え、えーっと…」

 

麗日「筋骨隆々です!」

 

レポーター「な、成る程…」

 

 

 

Q.教師オールマイトについてどう思ってます?

 

飯田「最高峰の教育機関に自分は在籍しているという事実をことさら意識させられますね。威厳や風格はもちろんですが他にもユーモラスな部分など我々学生は常にその姿を拝見できるわけですからトップヒーローとは何をもってしてトップヒーローなのかを直に学べるまたとないk

レポーター「次次」

 

飯田<ハアッ☆

 

 

 

Q.オールマイト……

 

レポーター「あれ!?君【ヘドロ】の時の…」

 

爆豪「うっせ」

 

 

 

Q.オールマイトの…って小汚っ!

 

レポーター「なんですか貴方は!」

 

相澤「彼は今日非番です。授業の妨げになるんでお引き取りください」

 

「オールマイトに直接お話伺いたいのですが!」

「なんか見たことあるようなないような…」

「あなた小汚すぎませんか!」

「消え失せろ!二度とその面見せるな!」

 

相澤(見れなくしてやろうか)

 

レポーター「少しでいいのでオールマイトに…!!」

 

私は戻ろうとする小汚い教師を追いかけるが…

 

後ろに居た先輩に突然呼び止められる。

 

「ちょ…バカ!!」

 

ガゴゴゴッ!

 

その瞬間私の目の前にあったゲートが突如地面から現れた鉄の壁により封鎖されてしまう,

 

レポーター「ぅえっ!?ナニコレ!!」

 

「雄英バリアー。俺らはそう呼んでる」

 

レポーター「ダサッ!?何スかそれ!」

 

「学生証とかさ…通行許可IDを身につけていない輩が門を潜ろうとするとそこを閉鎖するってセキュリティ」

 

「校内の至るところにそのセンサーがあるらしーぜ」

 

レポーター「な、何それー!お高くとまっちゃって!」

 

レポーター「一言位くれてもいいのにさー!」

 

「ったく本当によー!2日も粘ってんのにウンともすんとも言わねぇぇ!」

 

正に鋼のような防衛セキュリティで八方塞りであった。

 

…まぁ薄々気づいてはいたんだけどさこの結果…

 

………だけどこの日は違った。

 

?「……」

 

ある事が起きて…事態は変わっていった。

 

思えばこの日を境に社会に変化が現れていたのかもしれない…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

体力テスト…対人戦闘訓練…様々な事を通してようやく学校にも慣れ始めた今日この頃…

 

って言ってもまだ3日目だけどね。

 

今日は…とある1人の男子の小さな物語を話そうか。

 

飯田「……?」

 

 

 

 

 

 

相澤「皆おはよう」

 

<オハヨウゴザイマス

 

朝。いつも通りSHRが始まった。

 

初日の反省もあってチャイムが鳴って2秒後には着席しているようになっていた。

 

流石雄英。迅速な行動を心がけさせているなぁ。

 

相澤先生が手に持っている資料は…どうやら昨日のヒーロー基礎学の成績表みたいだ。

 

早速その事について話し出す。

 

相澤「昨日の戦闘訓練お疲れ様」

 

相澤「Vと成績見させてもらった」

 

相澤「…ま、各々に指摘したい点とかは色々あった訳だが…」

 

相澤「俺から言いてえのは2つ」

 

相澤「爆豪」

 

爆豪「!」

 

相澤「もうガキみてぇな真似すんな。能力あるんだから」

 

まだかっちゃんは昨日の事引きずっていそうだ。

 

一応立ち直りはしたんだが…

 

小さくボソッと呟いて返事した。

 

爆豪「……分かってる」

 

相澤「…んで緑谷はまた買ったのか」

 

緑谷「!!」

 

相澤「いや…まぁ俺としては積極的な所はよろしいと見てはいるんだが…」

 

相澤「こうやって毎日喧嘩沙汰なのは如何なモンかと思うぞ」<俺が言えた台詞じゃねぇけど

 

相澤「実力行使も程々にな、実績あるんだからお前」

 

単身0Pに突っ込む。

 

初日に担任とタイマン。

 

翌日はクラスメイトに売られた喧嘩買う。

 

側から見れば危なっかしい行動しかしてないな僕…確かに。

 

個性の件もある…目立った行動は控えた方がいいな。

 

緑谷「はい…肝に銘じてます」

 

相澤「んで…今日の本題。時間無いし急で悪いと思ってるんだが…」

 

急な用…相澤先生…皆この組み合わせには頭痛を感じざるを得なかった。

 

峰田(なんだぁぁまた臨時テスト!?)

 

麗日(除籍除籍除籍除籍除籍…)ガタガタ…

 

 

 

…で肝心の内容はというと

 

相澤「学級委員長を決めてもらう」

 

A組「学校ぽいの来たぁぁあああっ!!!」

 

普通に平和的なやつでした。

 

相澤「いや〜初日に決める筈だったんだが体力測定に気取られてな」

 

相澤「という訳でやってくれる奴挙手」

 

切島「俺俺!!俺やるっす!!」

尾白「僕も立候補します!」

峰田「オイラのマニフェストは女子全員膝上30cm!」

青山「僕の為にあるヤツ☆」

芦戸「リーダー!やるやる!!」

 

緑谷「皆すっご」スッ…

 

クラスの大半が挙手をしていた。

 

普通科とかなら皆面倒くさがってこんな事態は起きないがヒーロー科では【集団を導く】っていうトップヒーローの素地を鍛えられる役なんだ。

 

僕らにとってはかなり重要な役割だ。

 

かく言う僕も手挙げてるし。

 

だが自己主張の嵐でざわついててこれじゃ話が一向に進まんぞ…

 

飯田「静粛にしたまえ!!!」

 

ナイスツッコミ飯田君。

 

飯田「多をけん引する責任重大な仕事だぞ…!」

 

飯田「【やりたい者】がやれるようなモノでは無いだろう!!」

 

飯田「周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら…」

 

飯田「これは投票で決めるべき議案!!!」プルプル…

 

緑谷「…」

 

とても正論でいい感じにまとめられてるけどさ……

 

手挙げてたら説得力無いよ飯田君…

 

蛙吹「日も浅いのに信頼もクソも無いわ飯田ちゃん」

 

切島「皆自分に入れるに決まってらぁ!!」

 

ぞろぞろと反論が立ち並んでいく。

 

だが飯田君も意地を見せる。

 

飯田「だからこそだ!この状況下で複数票を獲った者こそが真に相応しい人間という事にならないか?」

 

蛙吹「2票が最大で他18人が反対意見なのにそれは民主主義に則っていると言えるのかしら…」

 

A組「…………」

 

痛い所突くなぁ蛙吹さんは。

 

相澤「何でも良いけど時間厳守だからな」モゾモゾ…

 

相澤先生は寝袋に入らないでください。

 

 

 

 

 

結局話し合いの結果多数決となった。

 

クラスで投票を行った所やはり自分に挙げる人が多数派だった。

 

ただし、2票入っていた人が2人存在していた。

 

飯田「俺が…2票」

 

八百万「私もありますわね」

 

切島「なんだかんだ言って昨日も好評だったからなぁ…」

 

障子「大体読めてはいたがな」

 

緑谷「…?」

 

瀬呂「どした?緑谷」

 

緑谷「いや僕の所に1票あったから…」

 

瀬呂「え?あれお前入れたんじゃねえの?」

 

麗日(えーーデク君推薦しちゃったん?)

 

麗日(さっき手挙げてたのに…)

 

爆豪「」ギリギリギリギリ…

 

歯ぎしり立てながら納得していない者約1名。

 

麗日(爆豪君にバレなかったからええか)

 

飯田「だがこれでは同票だから決められないな」

 

葉隠「2人で決選投票だねー!」

 

相澤「zzz」

 

寝ないで下さい相澤先生。

 

 

そして2度の多数決の結果…

 

飯田君 11票

八百万さん 9票

 

よって飯田君が学級委員長を務める事になった。

 

飯田「い…いざやるとなると務まるか不安だな…」

 

麗日「ツトマル!!」

 

切島「メガネだしザ・委員長って感じだしな!!」

 

それは理由としてざっくりし過ぎだと思うんだ。

 

緑谷「頑張りなよ飯田君!」

 

飯田「…ああ」

 

学級委員になった2人をクラス総出の盛大な拍手で迎える。

 

ようやくその音で相澤先生も起きたようだ。

 

寝袋からモゾモゾと出てくる。

 

相澤「……む…じゃあ委員長飯田の副八百万だな…書いておく」

 

飯田「よろしくお願いします!」

 

八百万「……」

 

 

 

 

 

お昼休み…メシ処(食堂)

 

麗日「お米が…うまい!」

 

この時間帯は人混みが凄い。

 

ヒーロー科は勿論、サポート科経営科…様々な人が行き交う場となっている。

 

昼飯時には食堂全体に賑やかな会話が響き渡る。

 

緑谷「」ガツガツ…

 

麗日「デク君がっつくねぇ」

 

緑谷「腹が減っては戦はできないからね」

 

緑谷「それにしても良かったじゃないか飯田君」

 

緑谷「委員長になれて」

 

飯田君の方を振り向くと…

 

飯田「……」ズゥゥン

 

緑谷「……ふぁ?」

 

予想とは裏腹にすっごい落ち込んでいるよ委員長。

 

自分の所に票を入れた事が未だに気掛かりで仕方ないらしい。

 

元々多数決の発案者だったから思い詰めるのも無理はない。

 

飯田「やめてくれ…自ら言っておきながら自分に入れた僕をこれ以上責めるのはやめてくれ」

 

緑谷「いっいや責めてないし責めるつもりもないんだからね!?」

 

緑谷「別にいいと思うよ?八百万さんだって自分に入れていたかもしれないし」

 

緑谷「少なくとも1票は誰かが飯田君を推薦した事には変わりないし」モグモグ…

 

緑谷「どんな時でも冷静に分析して判断するのに長けているから僕は適役だと思うけどな…」

 

飯田「そ、そうか…?」

 

麗日(あー…デク君飯田君に入れたんだ…)

 

麗日(…あれ?)

 

麗日「そういえば飯田君…今僕って…」

 

飯田「?」

 

麗日「もしかして…坊ちゃん?」

 

緑谷「坊!?」

 

飯田「……そう言われるのが嫌で一人称を変えていたんだが…」

 

 

 

飯田君の家系は代々ヒーローを継いでいて、ターボヒーロー【インゲニウム】の実の弟がこの飯田天哉その人である。

 

インゲニウムは東京の事務所に65人もの相棒を雇っている大人気ヒーローだ。

 

規律を重んじ人を導く愛すべきヒーロー!

 

 

 

飯田「…そんな兄に憧れ俺はヒーローを目指した」

 

麗日「おおおー凄い経緯ー」

 

飯田「しかし……」

 

何か言いたげな顔だったが一旦黙り込んでまた喋り出す。

 

飯田「いや、何でもない」

 

何かを見透かしたのか微笑みながらそう言った。

 

麗日「む。飯田君もしかして初めて笑ったんじゃない!?今!」

 

飯田「そうだったか?笑うぞ俺は!」

 

緑谷「……」ガツガツ…

 

緑谷(僕にとってのオールマイトが…)

 

緑谷(飯田君にはインゲニウムなんだね)

 

麗日「デク君顔リスみたいになっとる」

 

緑谷「ぼぶ?」

 

<ハハハハ…

 

 

たわいもない会話をしながらご飯を頬張る。

 

いつの間にか学校での密かな楽しみの1つとなっていた。

 

中学校の時は1人で過ごす時が殆どだったので尚更嬉しかったんだ。

 

クラスの皆ともすぐに馴染めたし……

 

本当に雄英に受かって良かったなぁって実感する。

 

 

緑谷(…悟空さん今頃何してるんだろーな)ガツガツ

 

緑谷(山奥で修行でもしてるのかな?若しくはゴロゴロ…)ガツガツ…

 

緑谷(…)ガツガツ…

 

 

 

 

だがその休息は突然終わりを告げられる。

 

 

ウウーー…

 

緑谷「ぶ?」

 

校舎全域に警報サイレンが鳴り響く。

 

異常事態が発生した様だ。

 

それに伴い次の様な放送が流れた。

 

<セキュリティ3が突破されました

 

<生徒の皆さんは速やかに屋外に避難してください

 

<繰り返します……

 

飯田「セキュリティ3!?」

 

麗日「3!?ランク分けされてるの!?」

 

緑谷「あの…これってつまりどういう…」

 

先輩方にセキュリティ3の概要を聞いてみると…

 

「校舎内に誰かが侵入してきたって事!」

 

「3年間でこんなん初めてだ!君らも早く!!」

 

緑谷「マジかよ……」

 

たった3分で食堂内は大混乱。

 

先程も触れた通り何百もの人間が通行するので渋滞発生は避けられない。

 

大勢の生徒が慌てふためき出口へ大行列で全速前進する。

 

麗日「痛たた!押さっ…」

 

緑谷「ぐおお…」ギュゥゥ…

 

飯田「流石最高峰!危機への対応が迅速だ!!」

 

迅速過ぎてたった今パニクり中です。

 

あっという間に通路に人だかりが出来てしまい、おしくらまんじゅう的な状況に…

 

周りの人に圧縮されて今にも押し潰されそうだ…

 

緑谷「ってどわぁぁぁ!しまったぁぁあ!!!」

 

呑気に解説している間に2人とはぐれてしまった!

 

飯田君!麗日さーん!!

 

緑谷(むぐぅぅ…かくなる上は…使いたくはなかったが…)

 

 

麗日「デク君どこー!?」

 

飯田「これでは避難もままならん!一体何が侵入してきて…」

 

飯田「はべぶ!?」ベタッ!!

 

麗日「飯田君!?」

 

人混みに押されて窓とぶつかってしまった。

 

見事に生徒達に押し込まれてしまう。

 

飯田「だ…大丈夫だ麗あた!?」ギュゥゥ…

 

麗日「大丈夫じゃなさそうだよね!?」

 

飯田「くっ……だがこれで外の様子も…」

 

飯田「!?」

 

 

 

飯田君の目に真っ先に映った物は…先程の報道陣だ。

 

何かの拍子にゲートが開いてしまったのか…

 

学校内へと侵入してしまっている。

 

何とか追っ払おうと職員達は奮闘するも…

 

 

「オールマイト出してくださいよ!いるんでしょう!?」パシャパシャ…

 

「一言コメント頂いたら帰りますから!」パシャパシャ…

 

カメラで連写しながら問答無用に質問と要求を繰り返す。

 

流石にこの人数では教師達も対応しきれない。

 

マイク「だから非番だっての!」

 

相澤「一言録ったら二言欲しがるのがあんたらだろ…」

 

記者達を説得しながらマイクが相澤先生に耳打ちする。

 

マイク<なぁもう不法侵入だよこれ

 

マイク<敵だよ敵ぶっ飛ばしゃ駄目かな

 

相澤<やめとけマイク。ある事ない事書かれるぞ

 

相澤<警察来るまで待つしかない

 

マイク<ゑゑゑゑゑゑ!!

 

 

 

 

飯田(何かと思えばマスコミか!迷惑な事この上ない!!)

 

飯田「み…皆さっ…落ちつ」

 

飯田「いぶ!?」バンッ

 

「人倒れたって!」

 

「押すな!押すなって!!」

 

逃げる生徒達が固まって窓から身動きが取れなくなってしまう。

 

飯田(先生方はこの対処に追われているのか?)

 

飯田(この場で大丈夫な事を知っている者は!?いや…気付いていればこんなパニックになっていない!)

 

飯田(どうする…どうする……!!)

 

この事態の打開策を必死に練り続ける。

 

余計な事はせずまずこの行列に乗って食堂を出るべきか…

 

或いは大声で叫んで校内の安全を知らせるべきなのか…

 

考えが右往左往していた。

 

飯田(こんな時…緑谷君なら……)

 

飯田(兄ならば…!!)

 

麗日「飯っ…田君!!」

 

飯田「!う…麗日君!」

 

流れに逆らって飯田君の所へ近づこうとする麗日さん。

 

だが後一歩という所で飯田君には届かない。

 

飯田(…そうだ!非常口!)

 

飯田(麗日君の個性で浮いて彼処に移動すれば…)

 

飯田(目立つ場所で尚且つ確実性がある!)

 

飯田「麗日っ…君!こっちに手を…!」

 

麗日さんに向かって手を伸ばしていく。

 

麗日さんも同様に手を出すがまだ届かない。

 

後2、3cmという所だった。

 

麗日「うっ…うー……!」

 

飯田「後…すこ……」

 

ドッ!

 

飯田「うわっ!!」

 

また人混みが前に進んでしまい距離が離れてしまう。

 

依然として移動できずに窓にへばりついたままとなってしまう。

 

飯田(くそっ!まずい…これは……!!)

 

 

 

 

その時突如頭の中にある人物の声が流れ出す。

 

《皆さん!落ち着いてっ!!》

 

飯田「え?」

 

麗日「これって…」

 

《侵入したのはただのマスコミです!何もパニックになる事はありません!》

 

《ここは最高峰の人間に相応しい対応をしましょう!》

 

「……」

 

ついさっきまで騒いでいた生徒達が一瞬にして静まりかえった。

 

「なぁおい今のって…」

 

「幻聴…?」

 

「おい…あれ見ろ!」

 

1人の生徒が窓を指差すと皆が皆外の状況をその目で確かめる。

 

「ほ、本当だ!報道陣じゃねえか!」

 

「何だ…ビビらせんじゃねぇよ……」

 

現状把握をし、事無きを得たと分かり皆は一安心した。

 

慌てて避難していた人達は其々さっきまで居た場所へと戻っていく。

 

飯田「……な…何とかなった…な」

 

麗日「そ…そうだね」

 

緑谷「う…麗…麗日さん…飯田君…」

 

飯田「緑谷君!大丈夫だったか!?」

 

緑谷「うー…多分うん」

 

麗日「デ、デク君…」

 

緑谷「?」

 

麗日「()()()()…何したの?」

 

麗日「皆聞こえてたっぽいけど…」

 

緑谷「…ああ!あれ?」

 

 

 

 

ここまで言われたら多分皆気付いただろうけど…

 

先程起こった現象のタネは僕のテレパシー。

 

飯田君同様にマスコミの事を知った僕は空かさずその場に居た人達の頭に僕の声を流したんだ。

 

念の為悟空さんから教わっておいて良かった……

 

 

 

 

 

 

慌ただしい昼休みがようやく終わり午後の授業。

 

今日はHRだから気を楽にして授業を受けられる……

 

筈だった。

 

 

飯田「えー…では他の委員の執り決めを行いたいと思います」

 

飯田「その前に…」

 

飯田君はこちらをチラッと覗きながら話し始めた。

 

何が何だか訳も分からず話を聞いていると…

 

彼の口から思わぬ言葉が発せられる。

 

飯田「委員長は緑谷君の方が相応しいと思う」

 

緑谷「え」

 

葉隠「えええ!?飯田君あんなに委員長やりたがってたじゃん!」

 

切島「まだ司会1、2回しかやってねぇのに…」

 

飯田「…さっきのトラブルを見れば一目瞭然」

 

飯田「たかがクラスメイト数人さえも守れない俺にやる資格は無い」

 

緑谷「でも…」

 

飯田「それに人を導く立場はまだ俺には早いのだと思う」

 

飯田「俺と違って実技入試の構造に気付いていた上手の彼が就任するのが正しい」

 

飯田「…駄目か?」

 

これは歯剥きとかそういうのじゃなくて彼の誠意だ。

 

それを踏み躙る訳にもいかない…か。

 

元々僕もやりたかったし…

 

緑谷「…委員長からのご指名だ」

 

緑谷「断るわけにもいかないじゃないか」

 

瀬呂「いーんじゃね?緑谷派手でカッコつくし」

 

麗日「わ、私も別に構いません!」

 

相澤「何でもいいから早くしろ時間が勿体無い」ギロッ

 

緑谷 飯田「ひぃぃっ!?」

 

寝袋の中から相澤先生が睨んできた。

 

起きてたのかあんた…

 

爆豪「」ギリギリギリギリ…

 

賛否両論あったが結局僕が委員長になる形で収まった。

 

高校生活始まって3日経たずでどデカイ役を買って出てしまった。

 

果たして僕にこんな職務が務まるのか…?

 

別世界では飯田君が委員長になるとかならないとか…

 

その話はまた今度…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑谷「…という訳で今回のHRの議題は以上となります」

 

緑谷「相澤先生、何か諸連絡は?」

 

相澤「無い。解散」

 

A組(締め雑…)

 

HRも終わり今日1日の授業が全て終了した。

 

帰りの支度をする者、部活の見学に行く者…

 

クラスの人等が取る行動は様々だった。

 

相澤「おい緑谷、八百万」

 

身支度を済ますと相澤先生から声を掛けられる。

 

何やら山積みの資料を両手に抱えている。

 

相澤「これ掲示板に貼っとけ」

 

緑谷「あっ…掲示物ですか全部…これ」

 

緑谷(軽く30はあるぞおい…)

 

相澤「重要なモンばっかりだ。しっかりやれよ学級委員」

 

乱雑に教卓にプリントをドサッと置くとそのまま教室から立ち去っていった。

 

緑谷「っかぁ……こりゃとんだ仕事に駆り出されたな…」

 

八百万「常に下学上達。何事も一意専心に励まねばトップヒーローになどなれませんわ」

 

八百万「それとも…そんなに嫌ならば今すぐ辞めたら如何でしょう?」

 

緑谷「っい…いや別にそういうつもりで言った訳じゃ…」

 

八百万「なら…さっさと貼り出す。時間は有限ですわよ」

 

無愛想にそう言うと彼女は先程の資料を手に取り壁に貼り始めた。

 

その凛々しい姿はまさにリーダーそのものだった。

 

緑谷(真面目でしっかり者の優等生…か)

 

緑谷(僕と対照的だな)

 

緑谷「…っと僕もやらないとな」

 

 

 

 

 

 

【雄英高校 セキュリティゲート前】

 

校長「…うーむ…これは…」

 

リカバリーガール「こりゃまた派手にやられたねぇ」

 

マイク「というか……ただのマスコミに()()()()出来んの?」

 

相澤「できる訳ないだろ…個性使わん限りまず」

 

 

 

授業終了後…先生達は雄英バリアーの様子を見に来ていた。

 

マスコミが侵入した原因を探る為だ。

 

不具合が生じたのか?はたまた通行許可IDを持っている者が居たのか?

 

否……

 

 

 

 

職員達が目にしたのは…

 

 

粉々に破壊されたゲートの残骸だった。

 

 

校長「唆した者がいるね」

 

校長「邪な者が入り込んだか…」

 

校長「或いは宣戦布告の腹づもりか…」

 

校長「……いずれにせよ悪い予感しかしないな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜、八百万邸…

 

 

 

シャー…

 

八百万「……」

 

八百万「っ…」ドッ

 

八百万「はぁ…はぁ…」

 

広々とした浴場で八百万さんは1人入浴していた。

 

今日1日の疲れを取る為にシャワーを浴びているのだ。

 

だが疲労は一向に抜けず寧ろ水に当たる時間が長くなるにつれて身体が重くなる。

 

頭痛に悩まされ壁に手をやり身体を支える程までとなっていた。

 

八百万「…駄目……」

 

八百万「あの男……!」

 

八百万「何かにつけて毎度私の前に立ち塞がる…!」

 

八百万「体力測定も…対人戦闘訓練も…今日だって……!」

 

八百万「教室に戻れば皆が皆口を揃えて緑谷緑谷と言葉にする!」

 

八百万「しかも学級委員の時なんか…指名?」

 

八百万「私の事を何だと思ってるのかしら…!?」

 

八百万「…あの方を見ていると調子が狂う!」ドンッ

 

怒りの衝動に耐え切れず壁を強く叩いてしまう。

 

同時にギリッと鋭く歯ぎしりが起こる。

 

普段感情を表に出さない彼女だが今日は違うようだ。

 

僕に対する敵対心が剥き出しとなっていた。

 

八百万「くっ…これ以上ここにいると気絶してしまいそう…」

 

八百万「倒れる前に出てしまいましょう」

 

 

 

 

 

 

 

部屋に戻ると執事の爺が彼女を温かく迎えてくれた。

 

椅子に座ると執事が静かにティーカップを机の上に置く。

 

執事「……お嬢様、ご所望通りの紅茶でございます」

 

八百万「ありがとう…」カチャ…

 

八百万「…っ」ズズ…

 

八百万さんはカップを顔に近づけゆっくりと紅茶を口にする。

 

疲労困憊の彼女の身体に染み渡り、温める。

 

心安らぐ一口だった。

 

八百万「…やはり、貴方の紅茶を飲むと落ち着くわ」

 

執事「左様ですか…嬉しき限りでございます」

 

執事「して…お嬢様何か考え事をなさってはいませんか?」

 

八百万「考え事…というかまぁちょっとした悩みよ」

 

執事「悩みで…ございますか」

 

八百万「…」ズズ…

 

執事「むー…

 

執事は少し黙って考え込むと1つの答えにたどり着く。

 

執事「……あ!もしや恋ばなでは!?」

 

八百万「」ププー!

 

余りにも突然な出来事だったので八百万さんは口に含んでいた液体を一気に吹き出してしまった。

 

どストレートに突っ込んでいくなぁこのおじいさん…

 

飲んでいた紅茶が器官に入り咳き込んでしまう。

 

八百万「げっほげほっ!」

 

執事「い…如何なさいました!?お嬢様!」

 

八百万「誰のせいよ!!」

 

執事「………」

 

執事「私…でございますか?」

 

八百万「貴方以外にいる訳ないでしょ!!」

 

八百万「全く…私にとって恋色沙汰なんて断じてあり得ませんから…!」

 

八百万「変な事言わないでください」

 

執事「こ、これは誠ながら申し訳ございません…」

 

八百万「……あの、1つ聞きたいのですけど」

 

執事「え?」

 

八百万「どうしていきなりその話題を出したのですか?」

 

執事「……え…ええと…」

 

何か隠し事があるのか…

 

もじもじしながら執事はこう答えた。

 

執事「お嬢様の服を回収して臭いの確認をしていた所…浴場から何やら大きな声がしたのでドアをほんの少し開けて中の様子を…」

 

八百万「……」

 

執事「……あ」

 

八百万さんは無言で何かを創造し始めた。

 

あ、マシンガン。

 

八百万「何さらっと覗いているのよ爺やぁぁあっっ!!!」ガシャッ

 

執事「し、失礼致しましたお嬢様ぁぁっっ!?」ズドドッ

 

その日八百万邸から多大なる銃撃音が鳴り止まなかったという。

 

今日も八百万家は平和でした。

 

 

 

 

 

 

 




須井化です…はい…

ようやく二桁突入したよ…
いやはや長かった長かったw

第10話いかがでしたか?

原作では緑谷→飯田でしたが今回は飯田→緑谷でデク君が委員長に返り咲いてます。

(八百万との)絡みが多くなるよ!やったね出久ちゃん!

個人的に偶に出るポニーのレポーターさんは好み!!

これまたびっくり原作のコマで背を反らしている時胸囲が平らなんスよ……

……え、いや…なんだもないっスうん…

次回はUSJに大突入ノ巻〜心して待てぃ!

皆大好き13号(人造人間13号<呼んだ?

ブ<オヨビデナイ!!(ボーピー
13<ヌアアア!!

※人造人間13号とここでいう13号は別々の人物です。くれぐれも間違えないように!!




…皆大好き13号も出てくるよぃ…




何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。
1月30日(月)以内に第11話の投稿を予定しております。

お楽しみに!

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