悟空「オラの?」緑谷「ヒーローアカデミア!」   作:須井化

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前回までのあらすじ

どこにでもいる無個性少年緑谷出久。

彼は将来の夢であるヒーローを目指すべく日々修行を積み上げていく!

初のヒーロー基礎学で対人戦闘訓練を行う事になった緑谷少年。

なんと対戦相手は爆豪・飯田少年ペア!

八百万少女と共に協力し見事クリアなるか!

そして前回の冒頭の少女誰!?

更に向こうへ!PlusUltra!!!


第9話

爆豪「ムカつくなぁっっ!!!」

 

かっちゃんの怒りも限界に達し大きな怒声を僕等に浴びせた。

 

こうなると見境がつかなくなるぞ…

 

ツーツー…

 

爆豪「…何だ」ピッ

 

飯田君に無線で呼ばれたようだ。

 

声を荒げながら応答する。

 

飯田<爆豪君!状況を教えたまえ!どうなっている!?

 

爆豪「黙って守備してろ…ムカついてんだよ俺ァ今!!」

 

飯田<きっ…気分を聞い

プツ…

 

飯田君が話し終わる前に無線を切ってしまう。

 

今は戦闘訓練とかそれ所じゃなさそうだ。

 

爆豪「デクテメェ…」

 

緑谷「……」

 

 

 

【地下モニタールーム】

 

切島「何話してたんだアイツ?」

 

切島「定点カメラで音声ないと分からねぇな」

 

どうやら映像は上手くキャッチできてるようだが声は言うほど拾えてないらしい。

 

会話の内容までは聞き取れてない。

 

よかったねかっちゃん…

 

オールマイト「コンビと小型無線で話してるんだろう」

 

オールマイト(まぁ大方予想はつくが…)

 

葉隠「持ち物は無線と見取り図…後さっきのテープ」

 

葉隠「制限時間15分で核の場所は【ヒーローチーム】には教えられないんですよね」

 

尾白「ヒーロー側が不利なルールだこりゃ」

 

オールマイト「そこはPlus Ultraさ!限界超えてけ!」

 

流石にこの無茶振りには対応しきれない。

 

観察組「お…おおー」

 

 

 

 

え?じゃあなんで核の場所が分かったって?

 

2人の気を探っていたからに決まってるじゃないか。

 

 

 

 

 

八百万「み…緑谷さん!ここは一旦…」

 

緑谷「いや、かっちゃんは僕を逃がす気は更々無い!」

 

緑谷「ここで足止めする!八百万さんはその間に()()()()()!!」

 

爆豪「シカトかおい!?」バッ

 

再びかっちゃんは僕に向かって飛び出した。

 

完全に標的扱いだ。

 

緑谷(見極めろ…右腕か?左腕か?右脚か?それとも…)

 

爆豪「っらあっ!!!」プンッ!

 

こっちの思惑通り上段回し蹴りを繰り出しに来てくれた。

 

それに応えるようひょいとしゃがんで軽く避ける

 

爆豪「テッメェ…!!」

 

緑谷「へ…っ」ニッ

 

八百万「……」

 

八百万「止むを得ませんわね…」ダダッ…

 

事態の収束がつかないと判断した八百万さんは直様階段の方に走り去る。

 

勿論かっちゃんはそんな事に気付かない。

 

緑谷(よっしゃ…後は彼女次第…!)

 

爆豪「っ!!!」

 

かっちゃんはそのまま攻撃を続ける。

 

右腕を振り上げ構え……

 

緑谷「っと!!」ダンッ

 

ドゴオオッ!!

 

左腕で殴りかかる。

 

勿論右腕はフェイクだと分かっていたのでこれを避けるのも簡単だった。

 

僕はしゃがんだまま後退して態勢を立て直す。

 

緑谷(読める!大体!)キキーッ…

 

緑谷(相手がかっちゃんだってのもあるかもだけど…)

 

緑谷(頭に血昇ってるから挙動が激しい!!)

 

緑谷(だけどクソ真面目に相手してたらキリないな!)ダダッ…

 

そう思うと後ろを振り返り走っていった。

 

死角を利用して身を隠す為だ。

 

爆豪「あ゛?逃げんのかデク!!!」

 

緑谷「…!」ダダ…

 

角を4、5回曲がった所で止まって息を潜めた。

 

緑谷「よ…し……」

 

緑谷(多分ここなら少し時間稼げる…多分)

 

緑谷(…八百万さんは眼中に無いってか…完全に僕しか狙ってきてない…)

 

緑谷(かっちゃんが暴れてるな…)

 

緑谷(本来尖兵出すなら機動力高の飯田君だしどっちもそんな事理解してる筈だ)

 

緑谷(即突入で2人同時に相手するってのも1つの手だったんだけど…)

 

緑谷(かなりのリスクも伴う)

 

緑谷(かと言ってここで2人共足止めくらったら効率悪過ぎる)

 

緑谷(1番理想的なのはかっちゃんをここで押さえて八百万さんが核を奪取する!!)

 

緑谷(彼女の個性は【創造】だ!余程の事が無い限り問題は無い!)

 

緑谷(んでもって僕も後から加勢すれば最悪カバーできる!)

 

緑谷「…その場合僕がかっちゃんに勝つ前提の話になるけど…」

 

緑谷(被害の事を考えればかめはめ波は使えない…)

 

緑谷(だとしても…今の実力なら格闘戦だって…)

 

緑谷(八百万さんには場所も伝えてある…!)

 

緑谷(大丈夫…行けるぞ!)

 

今までかっちゃんに勝とうだなんて到底考えられなかった。

 

無個性でひ弱な自分にそんな力は無いと思ったから…

 

今でも無個性なのに変わりないが…あの1年で僕は確実に強くなったんだ!

 

その内自分でも皆と同じ位の土俵に立てるだけの力という自信が出てきたと共に…

 

心の中でかっちゃんを見返してやる…負かしてやるという小さな灯火(闘志)が密かに燃え上がっていた。

 

 

 

 

爆豪「……石ッコロ…」

 

一方かっちゃんはとぼとぼとゆっくり前に進んでいた。

 

だが着実に僕の所へと近づいている。

 

爆豪(ただの石コロだ…アイツは…!)

 

爆豪(俺を誰だと思ってる!?)

 

 

ドボン!!

 

『かっちゃん川に落ちたー』

 

『早く上がってこいよ!』

 

 

爆豪(俺は優秀なんだ!強ぇんだ!)

 

爆豪(他人の救けなんざ要らなかったんだ!!)

 

 

緑谷『大丈夫?』

 

緑谷『頭打ってたら大変だよ…』

 

 

爆豪(だからそんな顔で俺を見るな!!)

 

爆豪(そんな顔で俺を見下すな!!)

 

爆豪(俺の方が上なんだ………!!!)

 

 

 

 

隠れてから1分とも経たない内に八百万さんから連絡が入った。

 

ツーツー…

 

緑谷「…八百万さん。どう?見つけた…?」ピッ

 

八百万<……驚きましたわね

 

八百万<地図に記されている所とぴったり一致しています

 

緑谷「……いける?」

 

八百万<既に作戦は考案済みです

 

八百万<緑谷さんも直ぐに合流してください!

 

緑谷「うん、分かった」

 

それだけ言うと僕は無線を切って大きなため息をつく。

 

何故かって?

 

緑谷(…八百万さん…悪いけどちょっと直ぐには加勢できる状況じゃないかも……)クルッ

 

爆豪「……なんで使わねぇ…個性」

 

爆豪「舐めてんのか?デク…」

 

かっちゃん(ヤツ)が来た…

 

かっちゃんはこちらを向くなり不気味な笑顔で僕を迎えた。

 

先程とは別の意味で恐ろしい形相に変わっていた。

 

緑谷「…もう君を恐がるもんか」

 

緑谷(ここだけは…ここだけは負けたくない…!)

 

爆豪「テメェのストーキングならもう知ってるんだろうがよ…」

 

爆豪「俺の爆破は掌の汗腺からニトロみてぇなモン出して爆発させてる」スッ…

 

緑谷「…?」

 

かっちゃんは急に淡々と喋りながら右腕の籠手をこちらに向けた。

 

一体何をしようとしてるのか見当もつかなかった。

 

爆豪「【要望】通りの設計なら…籠手(こいつ)にそれを内部に溜めて…」ガコ…

 

そう言いながら籠手の突起部分?みたいな所を掴んでスライドさせた。

 

すると手榴弾のピンみたいなのが出てきた…

 

…手榴弾?

 

オールマイト<ちよ…爆豪少年!ストップ!!

 

今の放送で大体理解した。

 

ヤバい。

 

オールマイト<殺す気

爆豪「当たらなきゃ死なねぇよ…!!」ピンッ

 

緑谷(あ。ピン抜け…)

 

 

 

 

 

ボオオオオッッ!!!

 

その瞬間巨大な爆発が起こった。

 

手榴弾とか…そんなレベルじゃない。

 

一瞬にしてビルを半壊させる程の……

 

緑谷「……っそだろ…」

 

直前でデカイのが来ると予測できた為何とか避けられたものの…

 

その衝撃は並の爆破の比ではなかった。

 

緑谷「こんなのありかよ……」

 

爆豪「個性使えよデク……」

 

爆豪「全力のテメェをねじ伏せる」ニタァ

 

かっちゃんのその笑顔は正に敵そのものだった。

 

彼はこちらに向かって嘲笑いながら…

 

再度僕に強い恐怖(トラウマ)を植え付け蘇らせた。

 

 

爆豪勝己。個性【爆破】

 

掌の汗腺からニトロの様なものを出し爆発させる!

 

溜まれば溜まる程その威力は増していく!!

 

 

 

 

 

 

飯田「さっきの…揺れは…」

 

飯田(一旦下の様子を見に行くか?万が一の事態があれば…)

 

飯田(いや…余計な事は考えるな…今は核を死守…)

 

飯田「核か…爆轟君はナチュラルに悪いが今回の訓練では的に射ている訳だ」

 

飯田「ふむ…ならば僕も敵に徹するべきなのだ」

 

飯田「これも飯田家の名に恥じぬ立派な人間となるための試練!」

 

飯田「なりきれ!ヒーローになる為に悪に染まれ!!」

 

飯田「俺は至極悪いゾォ~」

 

いかにもワルそうな顔になって敵を演じる飯田君。

 

下が激戦なだけにここは平和……

 

 

 

バァンッ!

 

 

 

という訳でもなかった。

 

突然部屋の中から銃撃音がした。

 

咄嗟にその方を向くと…

 

一台のラジコンカーがある物体を乗せて走っていた。

 

飯田「…」ブルルル…

 

飯田「何だ…ただのラジコンか…」

 

飯田「……ラジコン!?」

 

カッッ…

 

飯田「ぐおっ……」

 

ラジコンから眩い光が発せられた。

 

強烈な閃光が飯田君を襲う。

 

八百万(計画通り…!このまま核に1タッチ…)ダダッ…

 

好機と言わんばかりに八百万さんは核の方にむかって走り出す。

 

ラジコンもそれに乗せていた閃光手榴弾も全部彼女の作戦だったのだ。

 

飯田「っく…目が……見…え…」

 

八百万(貰っ…)

 

彼女の指が核のハリボテに触れる…

 

飯田「なんちゃってっ!」ガシッ

 

ダッ!

 

八百万「なっ…」

 

かと思いきや的確にキャッチし八百万さんから核を遠ざける飯田君。

 

どうやら直射光は防いだようだ。

 

八百万「貴方…どうやって」

 

飯田「八百万君か……爆豪君が離脱してしまった以上君が来る事は想定済みだ…」

 

飯田「何しろ彼の狙いは恐らく緑谷…」

 

飯田「貴様と奴のお陰でイレイザーヘッドの二の舞にならずに済んだよ」

 

八百万「……まさか貴方!!」

 

飯田「そう!!ついさっきかけていた眼鏡をサングラスに変えたんだ!こんな事もあろうかとなぁ!!」

 

飯田「さぁどうする!!ヒーロー!」

 

サングラスをかけている事により尚一層その微笑みの怖さを増していく。

 

…無論ヘルメットに隠れて実際には見えていないんだけどね。

 

じりじりと八百万さんも追い詰められていく。

 

八百万「……っ……」

 

 

 

 

 

 

緑谷「……っぶ…ねぇっ!」

 

かっちゃんの最大火力は凄まじいもので…

 

撃たれた方向を向くとそこにあった筈の建物の壁は階数関係無く跡形もなくふっとばされてる。

 

緑谷(…1つ上の真ん中フロアだぞ?)

 

緑谷(僕が左端に移動してなかったらどうなってた今頃…!!)

 

爆豪「ハハ…すげぇ…」

 

爆豪「なぁ?どうしたデク?」

 

爆豪「来いよ…まだ動けんだろ?」

 

緑谷(せめて確認だけでも…!)

 

かっちゃんの質問に応える余裕も時間も無かった。

 

兎に角核周辺にいるであろう2人の安否が気になっていたので直ぐに連絡を取る。

 

緑谷「八百万さん…そっちの状況は?」ピッ

 

これで更にかっちゃんの怒りを買う事になってしまう。

 

爆豪「おう無視かよスッゲェな」ビキビキ…

 

 

 

 

【地下モニタールーム】

 

麗日「…あ、あばばばば……!!」

 

一方地下で観察していた者達はビルの被害を目の当たりにしどよめき始めていた。

 

切島「お、おい先生!止めた方がいいってこれ!」

 

切島「あいつ相当クレイジーだ!緑谷殺しちまう!!」

 

オールマイト「いや…」

 

 

爆豪『当たらなきゃ死なねぇよ…!!』

 

 

オールマイト(妙な部分で冷静ではある…みみっちいというか…何というか…)

 

 

 

 

 

 

オールマイト<爆豪少年。次それ撃ったら強制終了で君らの負けとする

 

緑谷「!」

 

またもやオールマイトからの放送が入った。

 

やはり過度に強烈な技は減点対象だったか…

 

イエローカードを言い渡される。

 

オールマイト<屋内戦に於いて大規模な攻撃は守るべき牙城の損害を招く!

 

オールマイト<ヒーロー・敵関係なくそいつは愚策だ!大幅減点だからな!

 

爆豪「っあー…じゃあもう…」バッ…

 

かっちゃんは呆れながらも即座に態勢を整える。

 

両腕を思い切り上げ脚に力を入れる。

 

緑谷「窓側柱に…また……!」

 

爆豪「殴り合いだぁあっ!!」

 

ボオオッ!!

 

持ち上げた腕を勢いよく振り下ろし、地面に着く寸前に同時に爆発させる。

 

その反動を利用して僕の方に向かって非常に高いジャンプをしてきた。

 

一気にこちらとの距離を縮める。

 

緑谷「くっ…」

 

動揺を隠せず焦りながら構える。

 

次の攻撃のタイミングを伺いつつ両腕を前に突き出した。

 

緑谷「っりゃ…」グオッ

 

ボオッ!!

 

緑谷「まぶっちぃっ!」ヒリヒリ…

 

だがかっちゃんは触れる寸前で爆発を起こし上空に逃げる。

 

そして僕の背後に回り込み…

 

緑谷(やば…がら空

 

ボボオッ!!

 

緑谷「ぎっ…!」ズドオッ!!

 

再度【爆破】を起こし軌道を僕の方に直して強力な爆発を僕に浴びせる。

 

着地して間もなく攻撃態勢に入る。

 

休む暇も与えない。

 

爆豪「ホラ…テメェの大好きな右の大振り!!」ブンッ…

 

緑谷(避けな…)

 

ドゴッッ!

 

右腕に手刀が1発諸に入った。

 

身体中に激痛が走る。

 

緑谷「…った…!!」ビリッ…

 

だが怒涛の猛攻は終わらない。

 

右腕を掴み僕の体を持ち上げる。

 

爆豪「テメェは俺より……」ボボオッ…

 

すると空いている手を連続で何度も爆発させながら体を180°回転する。

 

その爆風によって出来た強い遠心力を利用し僕を床に思い切り叩きつけ、回し投げを決める。

 

ドッッ!

 

爆豪「下だ!!!」

 

緑谷「っは……!」

 

先程の痛みに加え床との衝突による衝撃は僕の身体にかなりのダメージを与えた。

 

 

 

 

 

【地下モニタールーム】

 

瀬呂「目眩しを兼ねた爆破で軌道変更…」

 

瀬呂「そして即座にもう1発」

 

障子「考えるタイプには見えないが意外と繊細だな」

 

蛙吹「慣性を殺しつつ有効打を加えるには左右の手の爆発力を微調整しなきゃならないしね」

 

峰田「才能マンか!才能マンヤダヤダ」

 

尾白「というかコレもうリンチだろ…!テープ巻きつければ捕らえた事になるのに…」

 

常闇「ヒーローの所業に非ず」

 

切島「緑谷もすげぇと思ったけどよ…戦闘能力においちゃ爆豪は間違いなく…」

 

切島「センスの塊だぜ…!」

 

 

 

 

 

 

緑谷「ひっ…」

 

爆豪「どうした…俺とやり合うんじゃなかったのか…?」

 

爆豪「ああん!?」

 

緑谷「っそ!」ダダッ…

 

さっきまでの威勢はどこに行ってしまったのやら…

 

僕は尻尾をまいて逃げる事しか出来なかった。

 

緑谷(無理だ!やっぱかっちゃんに勝てるだなんて馬鹿な事考えてたぞ自分!)

 

緑谷(身の程を弁えろ!!)ダダッ…

 

数秒前までの自分の強がりを相当後悔している。

 

僕みたいな底辺がかっちゃんみたいな優秀な奴とは…やっぱり張り合えない。

 

そんな結論に至る所だった。

 

爆豪「ハハッ。そうだ。そうさ…そうじゃなきゃなぁ?デク…」

 

疲労からか走るスピードが遅くなってしまい、段々かっちゃんに追いつかれてきた。

 

爆豪「テメェはいつもそうだった」

 

爆豪「地面に這いつくばって他人の害にしかならねぇ…」

 

爆豪「ただの()()()()()だったんだテメェは!!!」

 

緑谷「………!」

 

 

悟空『落ちこぼれだって努力すりゃエリートを超えられる事だってあるんだ』

 

 

その言葉を聞いて…ようやく思い出した。

 

そうだ。僕はただの落ちこぼれなんだ。道端に落ちているただの石ッコロ…

 

だから…君に勝ちたかったんじゃないか…爆豪勝己(エリート)に……!!!

 

 

緑谷「……っっ!!」キキィッッ

 

()()()()に辿り着くと走っていた脚を止めその場に留まった。

 

爆豪「…なんでぇ…止まった…!!」

 

緑谷「…」

 

爆豪「ガキの頃からずっと…そうやって!」

 

爆豪「俺を舐めてたんかテメェは!!?」

緑谷「違うよ」

 

爆豪「あ゛!?」

 

緑谷「君が…優秀なんだから……」

 

緑谷「君が凄い人だから…勝ちたいんじゃないか!!」

 

恐喝にビビって泣きそうになりながらもかっちゃんに反論する。

 

緑谷「勝って!!君を超えたいんじゃないかバカヤロォォオッッッ!!!」

 

爆豪「その面ヤメロやクソナードッッ!!!」

 

ブンッ!!

 

かっちゃんは僕の顔面めがけ右腕で襲いかかる。

 

僕はそれに動じずただ立ち尽くすだけだった。

 

 

 

 

切島「ちょ!先生!マジで!やばそうだって先生!!!」

 

オールマイト「……いや…まだ……っ!」

 

<ボオオッッ!!

 

切島「!!」

 

オールマイト「…!?」

 

麗日「ひっ……」

 

 

 

 

シュゥゥ……

 

爆豪「………テ……ンメ……ェッ!!」

 

頭から煙が立ち昇ってきた。

 

顔にはあざが出来、鼻は出血してしまってる。

 

だが……

 

そこまでの痛みじゃない…!!

 

緑谷「…へへ」ニッ…

 

僕はかっちゃんに余裕の笑みを見せる。

 

膨らみ上がって一気に萎んでしまった筈の自信がまた湧き上がってきた。

 

彼の頭にの攻撃を…爆破を正面から受け切ったのだ…!

 

爆豪「……こっ…んのっ!!!」

 

緑谷「…ありがと…かっちゃん」

 

緑谷「()()()()()()()()()

 

爆豪「……は」ブオッ

 

次の瞬間ボキッという衝撃音がかっちゃんの脳内に響いた。

 

身体は宙に浮き気が付けば天井を向いていたという。

 

 

 

 

 

 

八百万「く…」

 

飯田「ふはは…」

 

飯田(手荒な真似はしたくない…このまま角まで追い詰めて…)

 

ツー…

 

八百万「どうなさいました?緑谷さ…」ピッ

 

緑谷<そこから動くな八百万さん!!

 

八百万「は、はぁ?言っている意味が理解でき…」

 

ピシッ…

 

床に小さな亀裂が入る。

 

飯田 八百万「……え」

 

…ズドォォオッッッ!!

 

突如2人の間の地面からかっちゃんが4Fの天井を突き破って現れた。

 

爆豪「……かっ……」

 

飯田「ばっ…ば…爆豪君ーーー!?」

 

八百万「そんな…まさか…」

 

ダンッ

 

それに便乗するように僕も開いた穴から5Fへと飛び移る。

 

緑谷「八百万さん!!テープ!」

 

八百万「え…はい!!」ブンッ

 

そそくさに投げられたテープを右手でキャッチする。

 

緑谷「ありがと…」グッ…

 

飯田「な…何が起こった?爆豪君!おい!?」

 

緑谷「はああっ!!」ヒュッ!!

 

相手が焦っている隙に両手に持った2つのテープを同時に敵チームに巻きつける。

 

飯田「なっ!?」ギュッ

 

爆豪「っ…」ギュッ

 

かっちゃんと飯田君拘束完了だ。

 

オールマイト<……ヒーローチームWINNNNN!!!

 

 

 

 

 

 

その後皆と合流し僕達の演習の講評が行われた。

 

指摘されたのはやはり僕とかっちゃんの方で私怨丸出しの勝手な行為・建物への多大な損害がかなり問題視された。

 

核周辺の2人は特に目立って悪い点は無く、結果的に適切な行動だったと判断づけられた。

 

ただしかっちゃんがこの話を聞いたのは授業を終えた後の話だ。

 

あの時のアッパーカットが思ったよりもいい所に入ってしまったらしく暫く気絶していたのだ。

 

 

 

 

放課後念の為傷の手当をする為に保健室に向かった。

 

今はリカバリーガールに治癒してもらってる。

 

リカバリーガール「…こん位の傷ならすぐ治る筈さね」

 

緑谷「あ…ありがとうございます」

 

リカバリーガール「爆豪も大した怪我じゃ無いから後数分で目覚めるか…」

 

緑谷「そうですか…」

 

緑谷「…失礼しました」

 

ガラッ

 

退室しようと保健室のドアを開けた途端目の前に八百万さんが現れた。

 

八百万「…」

 

緑谷「あ…ど…ども」バタン…

 

静かにドアを閉めながらもぞもぞと挨拶する。

 

八百万「……あれ程無茶な行為はしないよう念を入れましたのに…」

 

八百万「どうしたらビルがあんな廃墟と化しますの!?」

 

緑谷「いや…これには…事情?がありまして…」

 

八百万「任務に私情挟むなって私それも貴方に忠告していましたわよね!?」

 

緑谷「し…私情じゃ無くて…なんだ…その…」

 

八百万「昨日も今日も!!貴方はそうやって自分から面倒な事態に発展させてしまっている!」

 

八百万「少しは反省の顔色を見せたらいかがですかね!?」グィー…

 

頰を強く引っ張りながら僕に喝を入れる。

 

緑谷「ぶ…ぶびばせんーー!」

 

八百万「……まぁ、その不条理で2回助けられている私が偉そうに言える立場ではありませんが」パッ

 

緑谷「痛っ!?」バチッ!

 

急に離さないで八百万さん。めっちゃ痛い!

 

八百万「今回は…私も少々早とちりしてしまった箇所が幾らかありました」

 

八百万「申し訳ございません」

 

緑谷「いやいやっ…む、むしろ飯田君と善戦してたっぽいし僕なんかよりは…」

 

八百万「……貴方の個性、便利ですわよね」

 

緑谷「え…」

 

八百万「人間の位置を特定できますし、多種多様な光線を撃てる…」

 

八百万「空中浮遊だってお手の物」

 

八百万「今日の演習…貴方の方が私よりもよっぽど活躍できていたと見受けられますが」スタスタ…

 

それだけ言うと彼女は1人教室に戻っていった。

 

緑谷「……」

 

緑谷(…なんで保健室の前で待ってたんだろ…)

 

緑谷「て…あっ!ちょっと待ってよ!」

 

素朴な疑問を抱えながら僕は彼女を追いかけていった。

 

 

 

 

 

 

爆豪「……」

 

 

 

 

 

『勝って!!君を超えたいんじゃないかバカヤロォォオッッッ!!!』

 

爆豪「っああ…!!!」ガバッ

 

意識を取り戻し慌ててベッドから跳ね起きる。

 

爆豪「はぁ…はぁ…」

 

爆豪「ここは…何処だ……!?」

 

爆豪(さっきまでビルん中いた…はず)

 

どうやら状況が把握出来ず混乱しているようだ。

 

リカバリーガール「お…どうやら起きたみたいだねぇ」

 

爆豪「どうして俺は…ここに!?」

 

リカバリーガール「何故も何も…あんたが気絶したんだからここに連れてきたんじゃないか」

 

爆豪「はぁ?そ…それって…つま…」

 

オールマイト「さっきの演習…ヒーローチームの勝利だ」

 

爆豪「………は…」

 

オールマイトに肩を両手で掴まれながらそう告げられた。

 

オールマイト「君もよく頑張っていたんだがな!ちと積極的に行動し過ぎだ!」

 

オールマイト「他の組の結果もビデオに収録してある。この後時間が合えば…」

 

かっちゃんの頭の中には何の言葉も入らなかった。

 

嘘としか思えなかった。思いたくなかった。

 

爆豪(俺…デクに攻撃入れようとしたら…いきなり…気失って…)

 

爆豪(デクのパンチ…分からなかった…?)

 

爆豪(そりゃ…つまりガチでやり合っても…俺 完 全 に デ ク に )

 

爆豪「っ…がぁぁっ!!」ダダッ…

 

オールマイト「とわわっ…ま、待て!爆豪少年!!」

 

ドアを乱暴に開閉してそのまま彼は保健室から飛び出していってしまった。

 

リカバリー「あらま」

 

オールマイト「……っかぁぁ…自尊心の塊……」

 

オールマイト「手懐けられん…」

 

オールマイト「せっかく犬と一緒にジョギングしながら連想ゲームして遊んであげたかったのに…」<ワンワン!

 

オールマイト「後サボテンも台無しだ…」

 

リカバリーガール「……この教師にしてこの生徒ありだねぇ」

 

オールマイト「ぬ?」

 

 

 

すぐに着替え教室に戻り荷物を持って下駄箱に走っていった。

 

その間誰とも会話を交えなかった。

 

それ程切羽詰まった状況だった。

 

爆豪「っの野郎……」

 

爆豪「……!!!」

 

 

緑谷『いいなぁかっちゃん個性かっこいいもんなぁ』

 

緑谷『僕も早く出ないかなぁ』

 

爆豪『デクがどんな個性でも俺にはいっしょーかなわねーっつーの!』

 

幼少時の記憶が蘇る。

 

今となっては思い出したくもない過去だ。

 

爆豪「クソ…クソ…!!」

 

バタン!!

 

下駄箱の扉を乱暴に閉めて急いで靴を履き替える。

 

一刻も早く帰ってすぐにでも頭を冷やしたかった。

 

外靴に履き終えた後出口に走り出した。

 

その時向こうに誰かがいる事に気がついた。

 

 

 

緑谷「……」

 

僕だ。あの後かっちゃんにどうしても話したい事があったので校門で待ち伏せしていた。

 

かっちゃんはとぼとぼと歩きゆっくりこちらに近づいてきた。

 

通りかかってきたので1回話しかけると…

 

緑谷「よ…ようかっちゃん…」

 

爆豪「あ?殺すぞ…」ギロッ

 

こちらを見るなりこれだ。ガン飛ばしてきやがった……

 

いつも通りで何よりではあったが。

 

緑谷「…いや…今の内に…話しときたい事があって…さ」

 

緑谷「昨日のアレとか…ホント個性でも何でも無くて……」

 

緑谷「この1年間…ずっと修行してきたんだ。毎日重りつけながら学校行ったし休日にはある人から技の伝授もしてもらった…」

 

緑谷「だから…決してかっちゃんを騙した訳じゃない…」

 

緑谷「……よ?」

 

爆豪「ああそうかいそうかい」

 

爆豪「わざわざそれだけを言いにここで待っていてくれたなんてご苦労なこった」

 

緑谷「それだけって…」

 

ガシッ

 

かっちゃんに襟を強く掴まれる。

 

爆豪「テメェは今日俺に勝った。それでいいよ、な?」

 

爆豪「そういうお世辞とかどうでもいいから、マジで」

 

爆豪「分かったなら…」

 

緑谷「お世辞じゃない!!!」

 

爆豪「………は?」

 

緑谷「僕は無個性だ…それに変わりはない」

 

緑谷「まだ教わった技とか使いこなせ切れてないし…結局その力も今日出し惜しみしちゃった…」

 

緑谷「だから今度は…いつか…」

 

緑谷「僕は…全力で…君を越えていく」

 

爆豪「………」

 

緑谷(……あれー…なんか言いたい事まとめられてない感が…)

 

バッ!

 

緑谷「うわっ…たっ!?」

 

かっちゃんは持っていた襟から手を離しながら僕を強く突き飛ばす。

 

爆豪「…うるせぇ」

 

緑谷「?」

 

爆豪「無個性?技?言っている意味が理解できねぇよ…」

 

爆豪「これ以上コケにしてどうするつもりだ?なぁ…」

 

爆豪「だから何なんだよっ!!」

 

顔を手で覆って隠すようにして話を続けた。

 

爆豪「氷の…後ポニーテールの奴…昨日の見て敵わねぇんじゃって思っちまった!」

 

爆豪「クソッ!!」

 

爆豪「おまけにオールマイトに慰めかけられちまったじゃねえかよ!」

 

爆豪「クソッ!クソが!!!」

 

爆豪「なぁ!!デク!」

 

爆豪「テメェもだ!!」

 

爆豪「こっからだ…!!俺は…!」

 

爆豪「こっから…いいか!?」

 

爆豪「俺はここで1()()()()()()()()!!!」

 

緑谷「……」

 

大声で叫んでいるかっちゃんのその顔は涙ぐんでいた。

 

こんな顔を僕は見た事が無い。

 

後にも先にもこれっきりだろう。

 

爆豪「俺に勝つなんて2度と無ぇからな!!!」

 

爆豪「クソが!!」

 

緑谷「……かっちゃん…」

 

かっちゃんの導火線に火がついた。

 

ようやく同じスタートラインに立てたんだ。

 

何より遠回しではあるものの…

 

初めて僕の実力を認めてもらえた事には喜びを感じずにはいられなかった。

 

僕のやる事は依然として変わらない。

 

でもかっちゃん…次も僕が勝つよ…絶対に…!

 

 

 

 

 

 

 

 

ダダダ…

 

オールマイト<おーい爆豪少年!!一緒に犬と散歩して連想ゲームしながらサボテンの鑑賞しないかい!?

 

緑谷 爆豪<<……は?

 

息よく声を合わせられたなオイ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この数日後、僕らは知る事になる。

 

オールマイトが言っていた()()()()()()()を……

 

 

【神奈川県神野市某バー】

 

その男はある新聞のゴシップ記事を読んでいた。

 

そこに記されていた題名は…【オールマイト 雄英の教師に!!】

 

オールマイトに関する内容だった。

 

読み終えた新聞をテーブルに静かに置く。

 

「見たかコレ…教師だってさぁ」ポプ…

 

「なぁ……どうなると思う?」

 

 

 

 

「平和の象徴が敵に殺されたら……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




須井化ですよ。(ごはんですよみてぇな言い方だなこれ)

第9話いかがでしたか?急ピッチで仕上げたからもしかすると文章滅茶苦茶かも…

前回に至ってはなんか名前が融合してたし……(訂正済)

すまっしゅ!ネタは入れたくて入れたんだ!後悔はしていない。

気になる人はジャンプ+をダウンロードしよー!(宣伝臭)

とりあえず戦闘描写が分かってくれりゃええですよ…うん。

次回は皆大好き委員長決めダァァァァ!!(ほのぼの〜!)

果たしてその座を奪るのは誰ダァァァァ!?


何か意見等ございましたら感想・メッセージで気軽にご相談ください。
1月27日(金)以内に第10話の投稿を予定しております。

お楽しみに!

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