ガールズ&パンツァー~島田家の長男~   作:園部

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今回偵察と報告だけ


14話

サンダースとの対戦まで残り2週間になろうとしている。

俺は情報を収集しようと自家用ヘリでサンダースまで来ていた。

 

「さすが金持ちの学園艦。施設が充実しすぎだね」

 

幼稚園から大学までのマンモス校で、アメリカとの関係も深いせいか街並みなんかもアメリカっぽいし・・・

 

「バーガーでっかいなー」

 

サンダース大付属に行く前に昼食を摂る。

昼食を摂った後はある人との待ち合わせの為にサンダース大付属高校の前に行く。

さっきから色んな人に挨拶されるけど、さすが校風が校風なだけに初対面の男相手でもノリが良い。

 

「アキト」

 

おっと、どうやら待ち合わせ相手が来たな。

 

「久しぶりだな、ナオミ。元気にしてたか?」

 

旧友の1人でもあるサンダース大付属高校戦車道チーム副隊長のナオミが俺の待ち合わせ相手だ。

 

「ああ、元気さ。アキトがサンダースを蹴ったときは三日三晩泣き続けたけどね」

 

「嘘つけ。んなタマかよ」

 

「ハッハッハ!じゃあ早速行こうか」

 

ナオミの案内で学園の案内をされる。

 

「しかし今更だけど女子校に男が入っていいのか?」

 

「本当に今更だね。問題ないよ。校風が自由だから皆好き放題に知人を入れてるし誰も気にしないさ」

 

「それならいいんだけどな。そういえば、ケイはどうした?案内役はケイ自身がすると思っていたんだが・・・」

 

「ああ、最初はそのつもりだったんだけどね。今ケイは書類と睨めっこ中さ」

 

なるほど。仕事が溜まっていたのか。

 

「そっか。忙しいときに来て悪いな」

 

「いいさ。この時期じゃないと意味がなかったんだろ?」

 

「ああ、バレてた?」

 

バレても問題ないけどな。ケイやナオミはそういうの気にしない性質だし。

 

「君が大洗に行ったのは有名だからね。タイミングとか考えても偵察以外にないと思ったよ」

 

「一応旧交を温めるってのもホントだけどな。なんだかんだで一年連絡取ってなかったし」

 

「お互い忙しい身だし頻繁に連絡を取り合うようなタイプじゃないからね・・・と、着いた。ここにケイがいるよ」

 

扉には「隊長室」と書いてあった。

 

「こんな部屋があんのかよ」

 

「実質隊長の私室みたいなものさ」

 

ナオミが部屋に入る。

ノックしなくていいのかよ・・・

俺もナオミの後に続いて中に入る。

 

「アキト!」

 

「ケイ・・・・急に抱きつくなよ」

 

会う度会う度抱きついてくる癖はなんとかならんのかね。

 

「だって久しぶりじゃない!あなたったら全然連絡も寄こさないし・・・・今日は偵察よね?存分に見てって!」

 

「お前隊長なのにいいのか?」

 

「いいのよ。アキトならここで却下してもどうにかして情報得そうだもの。それにアキトがどの程度見たかこっちも把握できるしね」

 

なるほど。把握されるくらいならどの程度把握されるか自分らのほうでも認識しときたいってことか。

 

「それなら存分に見ようか」

 

「ええ!この後会議あるけどそれまで時間あるからお話しましょ!」

 

「ケイ、書類は?」

 

「・・・・書類を片づけながらお喋りしましょ!」

 

会議の時間までナオミやケイと一緒に話していた。

ケイは書類を片づけながらだったが。

そして会議の時間が近くなってきたところで俺達は移動した。

 

「俺はどこで見ればいい?」

 

「会議室の隣に空き部屋があるからそこで見ていいわよ。会議の様子は部屋にあるPCでリアルタイムで見れるようになってるから」

 

俺は部屋まで案内されて会議室の様子を見る。

ケイとナオミともう1人が壇上に上がる。

大洗の対策会議・・・ファイアフライ1両、シャーマンA176ミリ砲搭載1両、75ミリ砲搭載8両か。

1回戦から容赦ないなぁ・・・ま、フェアプレイが信条のケイだ。全力で相手にぶつからないと失礼になるからって理由だろ。

 

『じゃあ、次はフラッグ車を決めるよ!OK!?』

 

『イエー!!』

 

フラッグ車を決めるだけで盛り上がりすぎじゃないのか?

で、フラッグ車は76ミリか。

 

『何か質問は?』

 

壇上にいるもう1人が質問を呼びかける。

ここで編成とか聞ければ・・・・

 

『はい!小隊編成はどうしますか?』

 

お、ナイス知らない子・・・・知らない子?

あれ?おかしいな・・・声聞いたことあるぞー・・・

 

『Oh!いい質問ね!今回は完全な二個小隊が組めないから3両で1小隊の一個中隊にするわ!』

 

『フラッグ車のDFは?』

 

やっぱりこの声・・・・

 

『ナッシング!』

 

『敵には・・・・Ⅲ突がいると思うんですけど・・・』

 

『大丈夫!1両でも全滅させられるわ!』

 

会場がお~という声で満たされると・・・

 

『見慣れない顔ね?』

 

しまった。ナオミが気づいたか。

恐らく逃げるだろうから俺は逃走準備を始める。

 

『所属と階級は?』

 

『えっ、あのー、第六機甲師団オッドボール三等軍曹であります!』

 

『偽物だー!』

 

その瞬間優花里が逃げ出したので俺も部屋を出る。

 

「優花里!」

 

部屋を出たところで優花里に声をかけた。

 

「し、島田殿!?」

 

「話は後だ。こっちに来い!」

 

俺は優花里の手を引いて走り出す。

その前にバックを回収し、そのまま外に出てヘリに乗せて出発させる。

 

「し、島田殿・・・・なんでここに?」

 

「偵察と旧友に会いに・・・お前も偵察だな?無茶しすぎだろ・・・・」

 

「だ、だって・・・・西住殿や島田殿が悩んでいた様子だったので」

 

「気持ちは有難いし偵察は禁止されてないから別にいいけどさ。質問はやりすぎじゃないか?あのまま黙ってても小隊編成は発表されてたぞ」

 

「す、すみません・・・・」

 

それに偵察が来てるって分かったら変更されるかもしれないし・・・

いや、今回に限ってはそれはないか。

 

「そう沈むな。お前のビデオは凄い役に立つ。サンダース戦の勝機も見えてきた。お前の頑張りは無駄にしないよう策を考えるさ」

 

「あ、ありがとうございます!島田殿!」

 

「何でお前が礼を言うんだよ。むしろこっちが礼を言わなきゃな」

 

「いえ、島田殿のお役に立てれば光栄です!」

 

忠犬・・・・

俺はヘリを操縦しながらそう思った。

 

「ところで島田殿って操縦士の免許持ってたんですね?」

 

「ああ、それに昔っから乗り回してたからなー。最近買ったばかりの新品だし安心してくれ」

 

これかなり便利なんだよな。学園艦からの移動とか

あ、後でケイに勝手に帰ったことメールしとかなきゃ。

 

 

 

大洗の学園艦についた後は取りあえず優花里の家に向かう。

 

「この制服じゃ親に見つかったらなんて言われるか・・・」

 

「お前の部屋ってあそこら辺だっけ?鍵空いてるか?」

 

俺は2階の窓に指を差す。

 

「空いてますよ」

 

それなら楽勝だな。

俺は優花里を肩に背負って塀をつたって2階まで行き窓を開けると・・・

 

「秋人!?それにゆかりんも!」

 

そこにいたのはあんこうチームの皆だった。

 

「お前ら何やってんの?」

 

「それはどう見てもコッチの台詞だと思う」

 

麻子の言う通りだと思う。

俺は優花里を下ろした。

 

「あ、皆さん御揃いで・・・どうしたんですか?」

 

とりあえず俺は座って話をする。

 

「端的に言えばサンダースの偵察に行って、優花里がいたので回収って感じだな」

 

「そうですね。島田殿がいるとは思いませんでしたけど・・・」

 

「じゃ、じゃあ別に2人とも学校休んでデートに行ったわけじゃなかったんだ!」

 

は?デート?

 

「何の話だ?」

 

俺はみほに聞いてみた。

 

「それが・・・」

 

 

みほside

 

 

今日は1人で登校する。

いつもは秋人君と一緒に学校に行くけど「用があるから学校休む。期待して待ってろ」って言われたけど・・・・どうしたのかな?

 

「みっぽり~ん!」

 

この声は・・・

 

「沙織さん」

 

「おはようみぽりん。あれ?今日秋人と一緒じゃないの?」

 

「うん、何か用があるみたいで今日はお休み」

 

「そうなんだ。じゃあ今日は二人っきりの登校だね!」

 

「ふふ、そうだね。あれ?今日は麻子さんと一緒じゃないの?」

 

「麻子ったら全然起きないんだもん!遅刻するから置いてきた!」

 

麻子さんは本当に朝に弱いからね・・・

そして沙織さんと登校して途中で華さんとも合流して一緒に学校に行った。

 

「あれ?優花里さんもお休みなの?」

 

今は戦車道の時間だけど、優花里さんが休んでいなかった。

 

「そうみたいなんです。だから放課後様子を見に皆で行きたいなって」

 

華さんがそう提案する。いいかもしれない。体調崩していたら心配だもんね。

 

「だから放課後私達で行こうよ!」

 

「うん。いいよ」

 

それにしても優花里さんも休みなんて一体何があったんだろう?

ケガや病気じゃなければいいけど。

 

「あ、待って・・・・今日は秋人もゆかりんもいない・・・・これって偶然かな?」

 

え?

 

「いや、偶然だと思いますけど・・・」

 

「だってあの2人が学校休むって珍しくない!?しかも2人同時で休んでるんだよ!もしかしたら学校休んでデートに行ってるんじゃ・・・」

 

「考えすぎでは?」

 

私もそう思う。

 

「そこら辺も確かめないと!」

 

そして放課後になって優花里さんの家を訪ねる。

 

「へーゆかりんの家って床屋さんなんだ」

 

「とりあえず入ってみましょうか」

 

華さんが扉を開ける。

中にいたのは2人の夫婦?だった。

 

「えっと・・・優花里さんはいますか?」

 

中にいたおじさんが答える

 

「あんたたちは・・・?」

 

「友達です」

 

そう言った瞬間おじさんが驚く。

 

「友達!?友達ってあの憎っくき島田以外にもいたのか!?しかも今度はちゃんと同性・・・・あわわ、いつも娘がお世話に」

 

憎っくき島田・・・・秋人君、優花里さんのお父さんに何したんだろう。

 

「ちゃんと島田君以外にも友達がいたのね。初めまして、優花里の母です」

 

「あ、父です」

 

お母さんのほうは落ち着いてる感じだなぁ。

 

「優花里は朝早く学校行ってからまだ戻ってないの。どうぞ、優花里の部屋で待っていてくれないかしら?」

 

まだ戻ってないって・・・優花里さん学校に来てないんだけど・・・

そして部屋まで案内される。

部屋の中は予想通り戦車のプラモやポスターが所狭しと並んでいた。

 

「ごめんなさいね。これよかったら食べて」

 

優花里さんのお母さんがクッキーとお茶を用意してくれた。

 

「ありがとうございます」

 

私達はテーブル囲んで座る。

 

「いいえ。お父さんがごめんなさい。同性の友達が家に来るのは初めてだったから・・・ほら、部屋がこんなんだから中々友達が出来なくて・・・でも去年に気の合う友達が出来て喜んでいたし、今年は戦車道の友達が出来て喜んでいたわ。じゃあ、ゆっくりしていってね」

 

そう言っておばさんは退出した。

 

「島田君って秋人の事だよね?家に行くような関係だったんだ・・・」

 

「そうですねぇ・・・そういえば去年からの付き合いだとか・・・」

 

「それに・・・おばさんは学校を休んだ事を知らなかった」

 

本当にどこ行ったのかな?優花里さん

 

「やっぱりデートだよ!学校行くフリをしてデート!」

 

「うーん・・・・」

 

期待して待ってろ・・・・・優花里さんとのデートの結果を期待して待ってろ?なんてあり得ないよね。もし本当にそうだったら鬼にもほどがあるよ。何で好きな人のデートの結果を期待して待たなきゃいけないの?・・・・本当にないよね?

 

「なんにせよ。待つしかない」

 

確かに麻子さんの言う通りだと思う。

その時窓が開いたと思ったらそこに居たのは

 

「お前ら何やってんの?」

 

サンダースの制服を着た優花里さんを肩に背負っている秋人君だった。

それはこっちが言いたいよ。

 

 

みほsideout

 

 

「なるほどねー。タイミング良く2人が休んだからデートしてるんじゃね?って沙織は思ったのか。でもみほには『期待して待ってろ』って言ったはずだけど・・・他人とデートに行くのに普通そんな事言わないだろ」

 

「あはは・・・そうだね」

 

「というか、何で玄関から入らなかったの!?」

 

ああ、沙織の疑問も分かるけどそうするわけにはいかなかったんだよ。

 

「親父さんが他の制服を着た優花里を心配するのと、俺に対して良い印象を持ってないから揉める可能性が高い」

 

「そういえば憎っくき島田とか言ってましたね」

 

やっぱりな。

窓から入って正解だったようだ。

 

「何でそんなに恨まれてるの?」

 

「優花里を押し倒す所を見られたから」

 

あれはまいったね。神がかり的なタイミングだった。

 

「押し倒す!?」

 

「まぁ・・・」

 

「事故です!それがちょうど父に見られてしまったので・・・」

 

最初は好意的だったけどそれ以来敵にしか見られてないんだよね。

お母さんはずっと好意的だけど。

 

「それより面子揃ってるし偵察ビデオ見ようぜ」

 

そして俺達は優花里撮影のビデオを見る。

まず校門、コンビニの制服からサンダースの制服に着替えるシーンは残念ながらカットされていたか。

それで、戦車倉庫。

お、真ん中の金髪ツインテの子可愛いな。

で、全体会議では俺も聞いていたのでその通りだ。

最後は優花里が逃げる姿と俺が手を引く姿が映されて終了。

 

「これで終わりです。最後は島田殿のヘリで無事に逃走出来ました」

 

「秋人ヘリ持ってるの!?」

 

「持ってる。そんなことよりこれを参考にみほと一緒に策を立てる」

 

「うん!絶対無駄にしないから!」

 

色々上手くいったし後は残り2週間みっちり練習するだけだな。

俺達はお暇することにした。

何か忘れてるような気が・・・

 

「お・・・もう帰るのかい?帰り道に気を付け・・・島田ァ!!」

 

あ、親父さんいたんだった。

おばさんが親父さんを黙らせて無事に家に帰った。




後はオリジナルと原作挟んでサンダース戦かな?

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