ガールズ&パンツァー~島田家の長男~   作:園部

12 / 16
前回の続きから


11話

「お疲れさん」

 

俺はみほに自販機で買ったスポドリを投げ渡す。

試合も終わったので今は休憩中だ。

 

「ありがと。それにしても、秋人君が乗ってるの気づかなかったよ。最後の1対1になったとき動きが鋭くなったのは分かったけど・・・やっぱり秋人君がいるだけで違うんだね」

 

「俺の事はともかく、そっちの操縦手だ。なんだアレ。俺ら以外に経験者いたのか?そもそもどこで拾ってきた?最初はいなかったハズだろ」

 

「うん、お昼寝してたみたいで危ないから乗せたんだ。操縦すごい上手いよねー。教本一通り見ただけであそこまで動かせるんだもん」

 

は?

 

「いや、待て。教本見ただけだと?経験者じゃないのか?」

 

「え?うん・・・・あれが初めてだって」

 

それが本当なら恐ろしい才能だな。

運転は一朝一夕じゃ身に付かない。なのに初めてであれだけの動き・・・・しかも多少見ただけで教本を覚える記憶力。恐らく頭も良いのか。

 

「名前は?」

 

「冷泉麻子さん。ほら、今あっちで沙織さんと話している子」

 

指を差す先には沙織と話している子がいる。

名前で思い出したけど、確か幼馴染って言っていたな。

 

「そうか・・・・それにしても、あの状況でこっちが負けるとは思ってなかった」

 

「私も・・・勝てると思わなかったよ」

 

あの近距離の一撃はこちらが外した。

そしてそのままⅣ号に撃たれてこっちの負けで終わった。

 

「ま、楽しめたからいいけどさ。久しぶりにみほとも戦えたし」

 

負けたけどかなり満足してる。

いや、口に出さないだけで結構悔しいけどさ・・・・

 

「うん、私も楽しかったよ!戦車乗って楽しかったのは久しぶりだな~」

 

みほも笑顔だし、今日の所はこれでいいか・・・

 

俺は全員を集合させる。

 

「じゃあ今日の訓練はここまで。明日からも頑張るように・・・・蝶野教官。最後にお願いします」

 

「じゃあ皆お疲れさま!初めてでこれだけ動かせれば充分よ!特に・・・・AチームとEチーム!両者素晴らしいものを見せてもらったわ!それでは、最後に・・・・・一同、礼!」

 

『ありがとうございました!』

 

 

皆が学園の風呂場に行ってるので俺は1人で寂しくシャワー浴びたあとみほ達を待っていた。

 

「お待たせー!」

 

俺が携帯を弄りながら待っていると沙織の声が聞こえる。

目を離して声の方向に向くとみほチームがこちらに来ていた。

 

「ああ、別に待ってないよ。さっぱりした?」

 

「はい。お風呂が広いっていいですよね」

 

華が満足したように言う。

俺は冷泉のほうを見ると、不満と言うかなんとも言えないような顔をしていた。

 

「よう、沙織から名前だけは聞いてたけど初めまして。島田だ」

 

俺は握手を求めて手を冷泉のほうに向ける。

 

「知っている。何かと有名な男だからな。冷泉麻子だ」

 

それに冷泉は答えて握手を交わした。

 

「で、冷泉は戦車道を受講するのか?」

 

「単位の為にな」

 

「麻子は遅刻が多いから単位不足気味なの」

 

呆れたように沙織が言う。

なるほど・・・出来れば島田流(ウチ)に誘ってみたかったが、この様子じゃ無理か?

そう考えるとさらに勿体ないな。

 

「冷泉は戦車道に興味ないか?」

 

「ない。しかし単位の為だ、やるしかない」

 

やはり無理そうだな。

しかし今はⅣ号の操縦手になってくれるだけでいい。

これから先色々話すこともあるし、将来的には口説き落とそう。

 

「じゃあ皆揃ったし・・・・ん?」

 

俺の携帯からバイブレーションと音が鳴り響く。

会長からか・・・

 

「もしもし?」

 

『あ、島田君?急で悪いんだけどさ・・・・島田君のツテでどっか練習試合組めないかな?』

 

今日触ったばっかなのに・・・時間がないししょうがないか。

試合経験は積ませたいしな・・・

 

「分かりました。色々あたってみます」

 

『よろしくー』

 

さて・・・・と

 

「今の誰からですか?」

 

華が興味深そうに聞いてくる。

 

「会長だ。やること出来たから俺はここで・・・・・じゃあ、また明日な」

 

 

俺はみほ達と別れた後、色々考える。

黒森峰は絶対無理。そもそも選択肢にすら入らないし・・・・

プラウダは・・・無理。カチューシャが相手にするとは思えない。

聖グロなら・・・・ダージリンなら恐らく・・・

俺は携帯からダージリンの番号を鳴らす。

 

『もしもし?秋人さんですか?』

 

「ああ、秋人だ。今大丈夫か?」

 

『ええ、構いませんよ。そうだ、次はいつこちらに来ますか?アッサムもオレンジペコもローズヒップも・・・というか、みんな貴方に会いたそうにしてましたよ。ペコもローズヒップも春休みに1回会っただけなのにね・・・相変わらずの人たらしね』

 

人たらしって言われても、普通に対応しただけなんだけど。

 

「ああ、そっちには当分行けない。多分大会が終わるまでは」

 

『・・・・どういうことでしょう?別に約束はしてませんけど、貴方は定期的にうちのコーチをしてくれます。なのに、大会が近いこの時期に・・・・何かあったんですか?』

 

「うちの学校で戦車道が復活した。だからもう、お前らのコーチは出来ない」

 

向こうから何か割れた音が聞こえた。

何かやっていたのか?

 

『・・・・・それは本当なの?私たちのコーチが出来ない?』

 

「ああ、少なくても大会が終わるまではこっちに掛かりっきりになるだろうな」

 

『そう・・・・そう言えば何か用があったんじゃなくて?』

 

「ああ、練習試合をお願『受けましょう』・・・・即答か。でもいいのか?」

 

聖グロは4強の1角だ。他のチームからも誘いがあったはず。

 

『ええ、ちょうど今週はキャンセルがあって空きがあったの・・・・それで、1つ練習試合で賭けでもどう?』

 

「賭け?」

 

珍しいなダージリンが賭けを持ち出すなんて。

 

『ええ、私達が勝ったら秋人さんは聖グロリアーナに転校・・・・とか』

 

「無理だな。そもそもこっちは今日戦車に触ったばっかりの素人集団だ。あまりに分が悪すぎる」

 

賭けにすらなってない。

いくらみほが居ても、本気で厳しい。

 

『・・・・冗談よ・・・じゃあお互い1日限りの命令権なんてどうかしら?』

 

賭けは冗談じゃないのかよ。

 

「その程度なら・・・・問題ないな。あ、一応言っとくけど、この賭けはダージリンと俺の個人的な賭けな」

 

『ええ、勿論そのつもりよ』

 

それならいい。ダージリンならそう無茶な要求もしないだろう。

 

「じゃあそれでいい。場所はこっちで開催するとして・・・・日時は?」

 

『日曜日の10時開始でどうでしょう?』

 

10時か・・・試合前の戦車の点検・整備・近隣の避難・安全チェックで・・・・6時集合辺りが妥当か。

 

「分かった。それでいい」

 

『では、日曜日に』

 

俺は電話を切った。

というか今週日曜って・・・・あまりに時間がなさすぎる。

 

「まず戦車道連盟に練習試合を伝えて審判派遣してもらって・・・あ、審判は蝶野さんでいいか。あと、商店街の人たちや施設関係者への説明も早くしないと・・・」

 

決まったのなら早く行動しなければ試合まで間に合わないかもしれない。

俺は早速各所に連絡を取った。

 

 

「・・・・ってもう10時か・・・・」

 

各所に連絡を取った後は生徒会室で必要な書類作成に勤しんでいた。

1回練習試合をする度に色々連絡や書類の作成があるのは面倒だな。

しかしそこを怠ったらトラブルの元になるので絶対に手を抜けないし・・・

 

「そういえば彼女らの指導はどうするか・・・・最初はみほと別れてそれぞれ基本を叩きこんで・・・・その後で全体練習だな。せめて試合になればいいんだけど・・・」

 

作戦はどうするか・・・・そもそも作戦通りに動けないだろうし・・・なるべくⅣ号優先で作戦を組むしかないか。

 

「いや・・・・まずは書類だけ終わらせよう」

 

やることが多すぎるけど、優先度の高い順からやっとかないとグダグダになっちまう。

各所に提出する書類が終わったのは11時だった。

 

「やっと終わったー・・・・あ、電源切れてた」

 

俺が携帯を見ると電池が切れていた。

すぐに充電して携帯を開くとみほから連絡がきていた。

 

「あー・・・・夕飯か・・・」

 

そういえば何も言ってなかったな。

俺はすぐにリダイヤルをする。

 

「もしもし?」

 

『秋人君、帰り遅いけど大丈夫?』

 

「ああ、仕事が残っててね・・・・心配させて悪い。すぐに帰るよ」

 

『うん・・・・でも気を付けて帰ってきてね?』

 

「ああ、じゃあまたな」

 

俺は電話を切って荷物を纏めて生徒会室を出る。

さすがに暗いな・・・・・あ、心配させた詫びに何か買って帰るか。

俺がコンビニに入ると、そこには冷泉がいた。

 

「冷泉!?こんな時間に何やってんだよ!」

 

いくらここら辺の治安が良いからって・・・

 

「島田か。少し小腹が空いたのでおにぎりを買いにきた」

 

「前に沙織が言っていたんだけどさ・・・お前が低血圧なのって夜更かしが原因?」

 

「今回はたまたまだ。島田は何をしている?制服だけど、まさか今が帰りか?」

 

「ああ、仕事があってな・・・・・と、俺も買うか」

 

俺はデザートコーナーに行ってみほの好きなマカロンを何個か買い物カゴに入れる。

 

「・・・・男がマカロンって珍しいな」

 

買い物カゴを見る冷泉が言う。

 

「みほのだよ。帰り遅くて心配かけたからワビにな」

 

「・・・・一緒に暮らしてるのか?」

 

「部屋が隣で夕飯は大抵みほの家で食ってるからな」

 

「恋人というわけじゃないのか?」

 

なんだ?さっきからグイグイ来るな。

 

「恋人じゃないけど・・・・何?そんなに俺に興味があんの?」

 

「・・・・・自意識過剰」

 

分かってたけど・・・・言われるとグサってくるな。

そして冷泉が続ける。

 

「私じゃないよ・・・・ある女がどうやらお前の事が好きらしいから聞いてみただけだ」

 

「へー・・・・それは嬉しいね」

 

「もしその子が告白したら付き合うのか?」

 

「さぁ?誰かも分からないし・・・・でも相手が真剣ならこっちも真剣に向き合うよ。本気には本気・・・でね」

 

「ふーん」

 

買い物を済ませて冷泉と店を出る。

外は暗く静まり返っている。

 

「送ってくよ」

 

「いらない」

 

拒否しても無駄です。

 

「悪いけど冷泉の意見は聞いてない。こんなに暗い中女1人で家まで戻るのは俺が後で不安になるから勝手に送る」

 

「・・・・変なヤツだな。私に下心でもあるのか?」

 

「ない。加えて言うなら、沙織の幼馴染になにかあって沙織が泣くことがあったら一生後悔する。冷泉だって沙織が泣くとこ見たくないだろ?」

 

「沙織が理由ならしょうがないな・・・・・・沙織が惚れるのも少し分かるな」

 

冷泉さん。小声で言ったつもりだろうけど、こんなに静かでしかもこの距離じゃ普通に聞こえるぞ。

 

「今の・・・・聞こえてたほうがいい?それとも難聴のフリしたほうがいい?」

 

「・・・・いずれ沙織から伝えるだろうから難聴のフリで」

 

「あいよ・・・・・・え!?なんだって!?」

 

俺は冷泉に思いっきり蹴られる。

 

「ワザとらし過ぎて凄いイラっとした」

 

「痛てーよ。お前が難聴のフリでって言ったからやったんだろうが、というか疲れてるんだから労われ」

 

仕返しに俺は冷泉の髪を両手でワシャワシャする。

 

「や、やめろ・・・・お前は女の髪に触れることに抵抗はないのか・・・」

 

「ない。何だ意外とサラサラじゃないか。色々弄っていいか?」

 

「やめろと言ってるんだが・・・・」

 

顔を赤らめながら抵抗する冷泉。

しかしその程度で俺が止めると思ったか。

 

「まぁ、任せろ。妹の髪のセットもやっていた俺に抜かりはない」

 

「人の話を聞け!」

 

なお、このやり取りは麻子の家に着くまで続いた。

 

 

俺は今みほの家の玄関先で正座してる。

そして俺の目の前でみほが怒った顔で仁王立ちをしていた。

 

「今何時か分かる?」

 

「0時30分であります」

 

「電話から1時間以上もかかって何をしてたの?」

 

「は!これを買っていました!」

 

俺はみほにマカロンを献上する。

 

「ふーん・・・・これを買うだけで1時間以上もかかるのかなぁ・・・」

 

俺は隠すことじゃないと判断して麻子に会ったことを話す。

 

「後は・・・・コンビニいた麻子を家まで送っていました」

 

「え?冷泉さんを?・・・・というか、麻子?」

 

「小腹が空いてコンビニにいた麻子を家まで送り届けてました!名前呼びに関しては流れでそうなりました!」

 

あれだけ気安く接していたのに苗字呼びもねぇ・・・・呼んだとき嫌な顔をしていた気もしないでもないが、無視をした。

 

「・・・ふーん・・・秋人君だもんね・・・・今回はマカロンで許すけど、心配するのでちゃんと連絡してください」

 

「はい」

 

そうしてみほが笑った。

 

「じゃあご飯にしようか。温めてたからすぐに食べられるよ」

 

俺は立ち上がってリビングに向かう。

 

「今日はなに?」

 

「今日は・・・・・揚げ物に挑戦してみましたー」

 

揚げ物?とうことは・・・・

俺は期待の眼差しをみほに向ける。

 

「唐揚げでーす」

 

「やったねみほ大好き!」

 

俺は勢い余ってみほに抱きつく。

 

「あ、秋人君!?あんまりそういうのは・・・その・・・・嬉しいけど・・・」

 

顔を赤らめながら慌てるみほ。

しょうがないので抱きしめるのを止めた。

 

「だって疲れてるし腹も減ってるときに好きな食べ物だぞ。テンション上がりまくって抱きしめるのもしょうがないね」

 

しかし今日は最高の日だな。

みんなと戦車道出来るし夕飯は好きな食べ物。

1日の疲れが吹っ飛んだよ。

 

「いっぱい作ったけど味見ついでに私は食べたから・・・・・マズくは「いただきまーす!」早い!?」

 

だって我慢出来ないし・・・・

夕飯を食べた後は時間も遅いので家に戻ってすぐに寝た。

 

 

「唐揚げ残したの正解だったなー」

 

「朝から揚げ物はキツイよぉ・・・」

 

俺とみほは学校に向かうために登校中である。

朝ごはんは昨日残った唐揚げを食べた。

 

「おーい、みぽりーんあきとー!」

 

ん?後ろから沙織の声がしたので振り向くと・・・

 

「ごめん・・・・手伝ってぇ・・・」

 

麻子を背負って登校している沙織の姿があった。

 

「おー低血圧って聞いてたけど登校すらまともに出来ないのか」

 

「早く助けなきゃ!」

 

俺とみほは沙織のところまで行く。

 

「とりあえず麻子は俺が背負おう」

 

「うんお願いー・・・・・麻子?」

 

沙織から麻子を受け取っておんぶをする。

 

「うぅ・・・・秋人ぉ・・・・このまま家に帰るぞ・・・」

 

「麻子さんや・・・・貴方のいるべき所は家ではなくて学校ですぞ」

 

「え、秋人?ちょっと麻子!いつの間に名前で呼び合うようになったの!?」

 

「うるさい沙織・・・・・私は眠いんだ・・・・秋人に聞いてくれ・・・」

 

そのまま麻子は俺の背中で寝た。

 

「秋人!どういう事!?なんで1日で仲良くなってるの!?」

 

「正確には一晩だな」

 

俺は沙織に説明をする。

 

「うぅ・・・・まさか麻子まで・・・・いや、それはないか・・・・」

 

「とりあえず登校するぞー」

 

俺は麻子を背中に背負ってみほと沙織を連れて校門まで来たら風紀委員が立っていた。

 

「「よぉ、そど子」」

 

そど子。園みどり子だっけ?風紀委員長で去年から俺は目をつけられている。

 

「園みどり子よ!冷泉さん!遅刻ギリギリよ!島田君はまた不純異性交遊ね!去年貴方たちがどれだけ風紀を乱したか・・・・あれ?貴方たちって仲よかったっけ?」

 

「男と女・・・・仲良くなるのに一晩あれば事足りるんじゃないかな?」

 

俺は背負っていた麻子を移動させてお姫様抱っこに切り替える。

 

「え!?ま、まさか麻子・・・・」

 

沙織が反応してどうする。

 

「あ、秋人君・・・・・?」

 

冗談なのに悲しそうな顔すんなし。

 

「ふ・・・・・不純よ!!」

 

お、食い付いて来た。

 

「ふ・・・・そど子はおこちゃまだなぁ」

 

麻子が笑いながら俺の首に手を回して顔を俺の頬に近づける。

さすが学年主席。俺の意図をすぐ理解するとはやるじゃないか。

もしかして普段からこいつもそど子をからかってるな。

 

「な・・・・な・・・・」

 

顔を真っ赤に染めてるな。

そど子はからかい甲斐があって面白いなぁ。

 

「じゃあ行こうか麻子。委員長殿はおこちゃまだから免疫がないらしい」

 

「そうだな秋人。そど子はおこちゃまだ。あまり見せつけるのも可哀想だ」

 

俺はそのまま固まっているそど子の脇を通ろうとすると腕を掴まれた。

おっと、そど子がもう復活したか?案外・・・・・

 

「「ちょっと話を聞かせてもらえないかな?」」

 

そこにいたのは2匹の(みほと沙織)だった。

 

 

 

今日も戦車道の時間がやってきた。

 

「えー練習が始まる前に連絡事項です・・・・今週の日曜日練習試合が決まりました」

 

彼女たちがざわつくがそれはしょうがない。

まともな練習はしてないのに4日後が試合とか・・・・

 

「相手はどこですかー?」

 

優花里が質問する。当然の疑問だな。

 

「聖グロリアーナだ」

 

みほと優花里が驚愕するが分かってない他のやつらはのほほんとする。

 

「聖グロ?ってあのお嬢様学校の?」

「なら勝てるんじゃないかな?」

「お嬢様に戦車って出来るのー?」

「最初だから弱いとことか?」

 

 

「あの!」

 

優花里が再び手を挙げる。

 

「聖グロって・・・・あの聖グロですか!?」

 

「そうだ」

 

「全国でも準優勝したことのある超強豪校じゃないですかー!!4強の1角が相手って・・・・」

 

その発言でさらに場がざわめく。

ざわめきすぎなので俺は静かにさせた。

 

「確かに相手は強い。全国4強の1角で去年は全国ベスト4。しかし相手が聖グロならまだ勝ち目はある!」

 

「勝ち目って・・・・」

「適当なんじゃ・・・・」

 

「適当じゃない!相手は安定した強さを誇り、俺が定期的にコーチに赴いてさらに強くなった気がするが・・・・それでも勝てる!」

 

「キサマはなに相手を強くしてるんだ!!」

 

河嶋先輩が俺の首に蹴りを入れる。

 

「いてて・・・・つまり、俺は相手の情報を持っているということ・・・・情報は武器になる。その情報の扱い方次第で勝機はあるはずだ!時間が惜しいからすぐに練習に入る。試合まで後4日。気合い入れていくぞ!」

 

『はい!』

 

そして練習が始まった。




おつかれさまでした。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。