原作前から始まります
「・・・・で、どうでしょう?戦車道が盛んな我が校に入ってくれませんか?」
俺の名前は
俺は今学校の校長室で聖グロリアーナからの勧誘を受けていた。
「そうですね・・・・・色々言いたいことはありますが、まず・・・・俺は男です。」
戦車道は乙女の嗜み。つまり男が戦車道をやるのはかなり珍しい。
というかない。ほぼない。もしかしたらこの人俺の性別間違ってるんじゃないか?
「知ってます」
知ってたのか。うん、じゃあ・・・・
「では次に・・・・・おたくの高校女子高ですよね?」
「そうですね。なので特例ということです」
嫌だ。さすがに男が1人もいないのは嫌だ。
「・・・・・なぜそこまで私を?男が戦車を乗る時点であり得ないし選手としても出れません。なのに授業料免除と学校に関わるものなら全て無料なんて・・・・そこまで島田の名が欲しいんですか?」
世界に日本戦車道ここにあり。と、知らしめた島田の名は有名だ。
その知名度を使って生徒数を上げたいってことも考えられる。
「私共が欲しいのは島田の名ではなくて、島田秋人さん本人です。ハッキリ申しますとコーチとして最低3年間在籍してほしいのです。」
コーチねぇ・・・・
「・・・・去年の中学選抜のことを言ってるんですか?あれはあの世代が異常だっただけですよ」
中2の頃、縁があり中学選抜の監督をやることになってしまった。
その時当時の高校選抜を破ってしまったのは記憶に新しい。
「西住まほ筆頭に当時既に高校レベルの実力を持った人がそこそこいたんです。正直運もありましたし私の力じゃありません」
「ですが当時をよく知る人間は口を揃えてこう言いますよ?『島田秋人がいなければ絶対勝てなかった』と」
「私はただ練習中に横から口だししただけですよ。凄かったのは彼女らであって私ではありません」
「作戦は貴方が考えたと聞きましたが?」
「確かにそうですが・・・・誰でも思いつくような作戦ですよ」
「誰でもねぇ・・・・(当時の試合を観たけどあの作戦が誰にでも思いつくわけないでしょう。彼はやっぱり聖グロリアーナに欲しいな・・・・・・)」
考え込んでどうしたんだろ?
「うちに来ればダージリンも喜びますよ?」
ダージリン?あぁ、アイツの事か。そういえばあの高校では紅茶の名前で呼ばれるんだったな。
「似たようなことはサンダースやプラウダにも言われました」
この人が来る前にサンダースやプラウダも来たんだよなぁ・・・
「やはり2校も来てたんですね。黒森峰からは?」
「あそこは今ガチガチの西住流ですからね。それに女子高ですし絶対来ないでしょう」
「そうですか・・・・・で、そろそろ返事をお願いしたいとこですが?」
「お断りします」
予想通りって顔してるな。駄目元で来てたのか。
「理由をお聞きしても?」
「男子がいないのはやはり肩身が狭いのと。上品すぎるところは性に合わないので・・・申し訳ありません」
「いえいえ、正直駄目元だったので・・・・一応気が変わりましたらご連絡ください」
そう言ってスカウトの人は帰っていった。
「というわけで断ったよ」
『そうですの・・・・一緒に戦車道をしたかったんですが・・・』
俺はダージリンに携帯で今断ったことを連絡していた。
「悪いな。言ってなかったけど高校は戦車道の無いとこに入る予定なんだ」
『・・・・はい?私耳が遠くなったのかしら?』
「戦車道のあるとこには入らない」
『なぜ?貴方は戦車がお嫌いになったの?』
「なるわけないだろ。俺にとって戦車道は全てなんだからな。俺ってお前ら好きだし単純にどっかに肩入れするよりかは最初からどこにも入らないほうがマシなんだよ」
『そ、そうですの・・・・・(好きって言ってもらえて嬉しいですが、そこは「ら」を抜いてほしかったですわ)』
女々しい理由で退かれたか?でも事実だししゃーないしゃーない。
「じゃあそろそろ切るよ。じゃーな」
さて、次は・・・・
「あ、母さん?俺だけど」
『どうしたの?母さんの声でも聞きたくなったのかしら?相変わらずマザコンなのね』
「俺をマザコンにするのは止めてください。進学先のことで話が・・・」
『電話でいいの?直接会わなくてもいいの?母さんの温もりいらないの?』
これ会いたいのって母さんのほうだよなぁ・・・・
「ああ、電話でいいよ。確認だけしたくてさ・・・・俺の進学先って好きにしていいんだよな?」
『そうね。秋人は成績も良いし・・・どこか入りたいとこがあるの?』
「そうだなぁ・・・・候補としては大洗学園かな。戦車道ないし学園艦の雰囲気も悪くなさそうだ」
『そう・・・・やっぱり戦車道はしないのね』
ちょっと残念そうな母さん。
「皆の敵に回るくらいだったら応援したいなーって・・・ダメ?」
『ダメじゃないわ。秋人が決めたことなら私も賛成するわよ。私もだけど愛里寿は普通の学校生活は無理だろうし・・・・秋人だけでも普通の学校生活を楽しんでほしいわ』
「愛里寿については・・・本人は納得してるけど実際どう?」
俺の妹の愛里寿は飛び級で来年大学に入ることに決まった。
愛里寿は優秀だけど引っ込み思案なところがあるので少し心配だ。
『大丈夫よ。秋人が愛里寿を想っている限りは絶対大丈夫だから』
「そっか・・・・近いうちに自宅に戻れるからまたその時に」
『ええ、待ってるわよ』
そして電話を切る。
時は流れて4月。俺は大洗学園に入学することに決まった。
プロローグだしこの辺りで。
次回から1年生編が始まります