無銘達のガンプラバトル   作:らとっさん

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この為だけに作ったアンサインドのライバル機が今回登場

全力のガンダムマーカー塗装でムラが凄いし不完全塗装。冬場の北海道だもの。仕方ない仕方ない(((


2話

 やられたらやり返す、倍返しだ

 どっかの誰かが言っていた気がする

 現に私は、今度は返り討ちにされた

 

「驚いたな……。1週間足らずでこの様な機体を作ってしまうとは」

「あぁ、そうかい。俺も随分と舐められたようだな」

「全くだ。君を甘く見過ぎてた様だ」

 

 事は単純だ

 1週間前、道場破り紛いの事をして私と対戦したヘイズル・ノーヴァ。その使い手が新たな機体を持って再戦を行うという約束をしていた

 その前の準備運動がてら、シミュレーターを使ったら『積年の恨み』というヤツか。先週、私に惨敗したファイターが揃いも揃って1対多のバトルロワイヤルを仕掛けてきたのだ

 

 

推奨BGM:PowerResonance/ガンダムビルドファイターズOST

 

 フィールドは市街地。アンサインドは一人、ビル群で姿を隠していた

 

「全く……、情けない連中だ。『戦いは数』とはよく言うが」

 

 ガンプラの性能差や数の量が戦力の決定的差では無いとは思う

 この時の彼はそう思っていた

 しかし、ザッと数えただけでも50機は居る。これを一人で対処できるかと言われると少し厳しい

 中には単体で無双が出来る程の機体が見られる

 

「何と言うか、執念深いな」

 

 アンサインドは210mm対物ライフルを構え、カメラを遠距離に設定

 

「余分なプライドは棄てた方が楽だというのに」

 

 それ程遠くの敵までは狙えないが、相手が密集陣形で接近して来てくれているのは何よりも好都合である

 

「布石を打たせてもらおう」

 

 対物ライフルが弾丸を発射し、遥か遠くの大型ガンプラに直撃。その機体は真っ先に脱落

 これで敵にアンサインドの居場所がバレたであろう

 素早く移動を変えつつ、距離を置く戦法だ

 少しでも長く敵に見つからず、数を減らしていく。乱戦になってしまうと、アンサインドは確実に不利になる

 発射位置にサーベルビットでも置いておけば、多少は時間稼ぎは出来るかもしれない。しかし、アレ単体での稼働時間はそう長くは無い。発射元の機体に戻り、エネルギーを回復することも可能だが、それでは居場所が特定されてしまう恐れがある

 

「とにかく、バレさえしなければ━」

 

 その時、彼の機体からアラートが発せられる。途端に、上空が暗くなる

 

「まさか……!!」

 

 太陽を背に降下してくる大型機『RX-160S バイアラン・カスタム』

 しかし、別にSFS(サブ・フライト・システム)代わりに使える機体でも無いのに、その背中に乗っかっている機体が居た。そしてその機体もまた、それはそれで問題だった

 新たな宇宙世紀系ガンダムタイプ。ファーストガンダムをベースとした火力と防御力に重みを置き、それでありながら当時の機体では高い推力を持っていた表舞台に立つことのなかったガンダム

 

━FA-78 フルアーマー・ガンダム(サンダーボルト版)

 

 間違いなく相手にしたくない機体が2機も揃って登場である

 

 バイアラン・カスタムは市販されている1号機と漫画にのみ登場し、期間限定の発注品の2号機が存在する。

 相手の機体は1号機ではあるが、それでも元々機動力に特化した機体で、あの世界の機体ではSFS(サブ・フライト・システム)という機体を遠距離へ運搬するシステムや可変機体で無ければモビルスーツが空を飛ぶこと自体無かった

 だが、このバイアランは熱核ジェットエンジンによりモビルスーツ単独での大気圏内飛行が可能として、エンジン部分を換装することで宇宙での戦闘にも対応可能という驚異的な機体だ。開発に当たっては先日戦闘したガンダムTR-1[ヘイズル]シリーズの恩恵を受けている

 それが後に改修を施され、何十年の時を経て再び表舞台に立ったのは『OVA版 機動戦士ガンダムUC ep.4』。同時期に製造された機体のパーツを一部流用することで、劇中で相手にした敵の殆どが旧型機とは言え、最新鋭機にも勝るとも劣らず。登場時間がたった1分間弱でありながら戦闘不能にさせた機体は映像に映っていた物だけでも8機という猛威を振るった。正に『大空を掌握する機体』である

 

 もう1機、フルアーマー・ガンダム(以下FAガンダム)。こちらはファーストガンダムの時代が舞台の外伝で登場する機体

 それまで一般的に知られているFAガンダムとは装備レイアウトや装甲形状等が異なるが、その発展途上機。言うなればプロトタイプ機の位置付けだと思われるが、その辺りの説明は割愛する

 この機体は先のバイアランとは違い、火力と防御で固めた機体。弾薬と火力は有り余るくらい持っている他、装甲や不要となった装備をパージする事でその速度も速くなっていく。長期戦になれば間違いなく不利になること間違いなし

 その点ではアンサインドも同じなのだが、現在の戦況ではそんな物は通用しない

 また本機の戦闘エリアが基本的にデブリ帯だった為に、脚部に接地用クローが装備されている。それによる方向転換も容易いということだ

 

 敗色濃厚とは正にこの事なのだろう。だが、このタイミングで敗けるワケにも行かない

 アンサインドはデッドウェイトとなる武器、210mm対物ライフルとハイパーバズーカをパージし、ビームライフル甲を右腕部で持つ。左腕には先日でも決め手となったパイルシールド

 機体を浮かせてホバー移動で後退していく。他の仲間に位置を知らせる為か、FAガンダムはバイアラン・カスタムの背中から離れ、バックパックに搭載された大型ビーム砲で牽制射撃を行う

 

「今のでバレたか、直にここに集まってくるのも時間の問題か……」

 

 後退しつつ、迫る射撃をブレードシールドとパイルシールドで防ぎつつ、ビームライフル甲を撃ち続ける

 しかし、前方ばかりに気を配っていたアンサインドはアラートが鳴るまで後方に居る敵に気付かなかった

 

「後ろ……ッ、バイアラン!! いつの間に!?」

 

 両腕のクローを使い、掴みかかろうとする

 ギリギリの所で腰部バインダー内蔵のスラスターで上昇し、回避する。そして2機が固まった所でビームライフルを撃ち込み、再度着地する

 

「……危なかったな」

《そうだな、危なかった》

「ッ!?」

 

 晴れた煙から現れた2機のガンプラ、バイアラン・カスタムとFAガンダムが残っていた

 そのFAガンダムだ。バックパックのギミックであるサブアームで2枚のシールドで今の射撃を防いだのだ

 2枚のシールドは破損し、使い物にならなくなったとは言え、本体に傷は一つとして付いていない

 更にタイミングが悪い事に他の相手も彼の後ろ、上空に現れ始めた

 

《残念だったな》

「くっ……」

 

 やむを得ない。そう感じたアンサインドはバーストサーベルビットを展開し、ビームライフル甲を一度バックパックに収納。右肩にマウントさせていたガンブレイド・ショートを持つ

 49機のガンプラによる一斉砲火。その全てを躱し、一部はビットの刀身で弾いては、パイルシールドとブレードシールドで防ぐ。そうしつつ、ビルを蹴っては上空の敵に接近しブレイドで斬る

 撃っては斬る

 隠れては斬る

 それを繰り返した。それしか勝つ方法も無い

 やがてブレードシールドは破壊。パイルバンカーも使い切った為に投棄

 ビームライフルもエネルギー切れ、ガンブレイドも同じくエネルギーを切らしては、ブレイドも刃毀れで投棄せざるを得なかった

 そして最大の武器でもあるビットは1つは破壊され、爆散させたサーベルの刀身も残りは1つのみとなった

 残る敵は15機。これでもよくやっただろう。彼は思った

 バイアラン・カスタムもFAガンダムも既に倒したとは言え、彼らの戦闘が何よりも痛手だった

 

「フッ……万事休す、か。まさかあのヘイズルの乗り手に負ける物かと思っていたが……よもや、この様な敗北をキ喫する事になろうとは」

《命乞いでもする気か?》

 

 誰とも知れないファイターからの通信が入る

 

「まさか。この程度の事で勝ったと思うくらいならば、貴様らは所詮その程度だと言う事が私としてはよく分かったよ」

《その言葉、後で後悔するぜ!!》

 

 1機のガンプラ(HGUCのリゼル)がビームサーベルを持ち、しゃがんだ状態のアンサインドに突っ込んでくる

 

「…………」

 

 これで終わりか。そう思ったその時だ

 リゼルが突如真っ二つになり、爆発する

 

「何……?」

《何だ!?》

 

 その他の機体も次々と爆発していく

 

《外部からの攻撃だと!?》

《何処だ……ぐぁっ!!》

《速い……!》

 

 他のファイターの断末魔と同時に爆散していくガンプラ達。残ったのはアンサインド1機のみである

 

「…………」

 

 ビルの陰に潜みつつ、高速移動で確実に接近してきている

 証拠として、スラスターを吹かしている音が聞こえていた

 

「…………!!」

 

推奨BGM:Mobil Suit Gundam:Iron-Blooded Orphans/機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズOST

 

 突如、ビルの壁が破壊され、姿を現す機体

 真紅に染められた狼。悪魔の名を以て相手を恐怖に陥れる存在

 

━ASW-G-08 ガンダムバルバトスルプス

 

 その手に持つ物は、敵を狩る為の鈍器『ソードメイス』

 それがアンサインドに向け、振り下ろされる

 

「形振り構わずか!?」

 

 直撃ギリギリの所で回避し、後退するもバルバトスの追撃が入り攻撃を受けてしまう

 

「ッ!!」

 

 倒れるのを堪え、バーストサーベルを杖代わりにして立ち上がろうとする。しかし、彼の喉元に刃が出る

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ここまでか……」

《何だ、終わりか。まぁそれだけボロボロなら仕方ねぇわな》

 

 聞き覚えのある声。先週、アンサインドが倒したヘイズルの乗り手の声だ

 

「貴様、まさか……」

《あぁ。お前との決着を付ける為、わざわざ用意したんだ。ありがたく思え》

 

 

 それがさっきの言葉に繋がるワケだ

 

「その機体、バルバトスルプスか」

「ただのバルバトスじゃないぜ。真紅の狼『ガンダムバルバトス・ルフスルプス』さ」

 

 ボディの基本色を赤に、一部分にはアクセントに黒や黄色が使われている。恐らく、機体のパーツに合わせてカラーリングを設定したんだろう

 

「まぁ、まだ未完成だけどな」

「それでか? 結構完璧に見えるが」

「武器が足りてないからな」

 

 確かに、今の武装はソードメイスただ1本。たったそれだけで10機のガンプラを一気に倒したのだ

 

「……君への評価を見直す必要があるな」

「そりゃどうも。それでどうする? その状態じゃ、リベンジマッチしても俺が面白くない」

「とは言え、お互い剣1本同士。やれないことは無いが」

「馬鹿言え。肝心な機体がボロボロだろ、今日は見逃してやるさ。時間はまだある」

 

 悔しいが、今回は引き下がる他ない。彼が言うように、このまま続けていれば間違いなく動いてる最中にでも分解してしまいそうだ

 

「では、お言葉に甘えさせてもらおうか」

 

━次こそは、お互い完全な状態で


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