悪と正義の波紋&幽波紋(スタンド)使い、変化する者の幻想入り   作:(´鋼`)

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第11話 悲しき王

「京谷!!………!?」

 

「京谷さん!!咲夜さん!!無事でした……か……!?」

 

 

どうやら、あのフードの奴との戦いは終わったらしい。俺と咲夜はその場に立ちながら、ふと思った。周りにある死体の中心に居ながら。

 

 

「……勇人、妖夢、じいさん。終わったのか」

 

「京谷、咲夜……これは……何だ?」

 

「この部屋に居た吸血鬼の元配下よ。さっきまで死にながら生きてたけど」

 

「……急に湿っぽくなったな。悪い」

 

「い、いや……別に平気だ。心配しなくて良い」

 

「そうか……まだ階段が続いてる。少し休んで行くか」

 

 

少ししこりを抱えたままゾンビを『赤の魔術師《マジシャンズレッド》』に変化させた右腕で燃やし、俺たちは壁に寄りかかる。その燃えている炎を見ながら、少しだけ体の調子を見る。

 

元に戻した右手を握ったり開いたりを繰り返した後、予め真実の上書きで作った【輝彩滑刀の流法】を出し入れする。自身の骨や皮膚を硬質化させた物を見ていると、自分の姿が映り自分の顔を見て思う。疲れたなと。

 

 

「京谷~、お~い」

 

「……ん、あぁ。わり」

 

「大丈夫?京谷」

 

「……んまぁ平気だ。心配すんな」

 

「本当かしら?……それじゃあねぇ」

 

 

咲夜は俺の顔に徐々に近付く。……成る程、そういうことか。と思い少し身構えた。だが、予想外のことが起きまして。

 

 

「うおっ!?」

 

 

首に冷たい感触が当たり、ビクッと体が震えた。見てみれば……咲夜が首にキスしてた。

 

 

「何時もの仕返しよ♪」

 

「仕返しって……それやると俺だって」

 

 

お返しに咲夜の頭を両手で挟み首から顔を離した後、咲夜の唇を奪い犯す。

その感触を味わう度に少しずつだが、体温の上昇と呼吸の荒さが増してくる。

 

一言で言おう。咲夜が色っぽい、可愛い。

 

 

「うぉっほんッ!!!」

 

「「!!!!!!」」

 

「……イチャイチャするのは良いけどよ、時と場合を考えろよ。見てる俺たちが恥ずかしいわ」

 

「「……ごめん」」

 

 

そういやそうだった。ここには俺と咲夜の他にも、勇人と妖夢、勇人のじいさんが居たんだった。

 

妖夢は顔を紅潮させて意識失う一歩手前という所におり、勇人のじいさんは普通に見ていた。何の恥じらいも無く。

 

勇人に至っては仮眠を取る始末。ここを家と思ってるんじゃないだろうか?←おまいう

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

 

~30分後~

 

漸く勇人の意識が目覚めた。しかしながら勇人は何かしらの感触に違和感を持っていた。

 

それもその筈、勇人に膝枕している人物『魂魄妖夢』の膝の感触を味わっていたからだ。いや、『味わう』というより『味わされた』の方が正しいだろう。

 

妖夢に気が付いた勇人は瞼を擦りながらも、体を立ち上がらせる。体を伸ばした後、一気に脱力させて眠気を覚ます。

 

俺たちもそれに合わせるかの様に立ち上がり、準備運動を軽くする。それを終わらせた後、俺たちは階段を上り次の部屋に行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上り詰めた先には先程の部屋より広く、狼男と呼ばれる奴等がゾロゾロと『ある場所』を取り囲んでいた。

 

その『ある場所』には……この中に居る狼男達よりも一回り大きく、獲物を狙う目は鋭く突き刺さるほど。

 

 

「やぁ~ん、京谷~こわ~い!!」

 

「嘘こけ」

 

「はいはい、分かったから。今敵の前だから」

 

 

しかし俺と咲夜には関係無かった。確かに鋭く突き刺さる程の眼光だが、所詮その程度。時を止める訳でもなく、尚且つスタンドを所持している訳でもない。

 

 

「はっ!!貴様ら、ここまで辿り着けたとはな……褒めてやるぞ、人間ども」

 

 

一回り大きい狼男……で良いのかな?そいつが俺たちに話しかける。口調はあれだけど……2人ほど人間じゃあないんですが?んまぁ気にしたら負けか。

 

 

「頭!!その人間と、そこのメイドからは何の恐怖すらも感じられません!!寧ろ状況に感化されていません!!」

 

「黙れ童」

 

 

不意にその一回り大きい狼男は、喋った仲間の首に手を回し首の骨を折り行動を停止させた。

 

勇人、妖夢、じいさんは驚いていたが……俺と咲夜はそこまで影響は無かった。

 

 

「……悪いな、俺はどうにも短気なものでな。コイツらを見てくると無性に腹がたつ」

 

「か、頭!?何故その様な事を!?」

 

「……はんッ。それよりも奴等を倒すことを命ずる。お前達は人間を殺して食っておけ」

 

『へ、ヘイッ!!!』

 

 

その一言で俺たちの方に狼男達は向く。勇人は銃を2丁構え、妖夢は楼観剣を構えた。しかし、それよりも速く、俺は……進んでいた。時を止めずに。

 

 

「「!!?きょ、京谷!?/京谷さん!?」」

 

 

チェンジャーを『ワイルド・ハーツ』という狼獣人型のスタンドに変化させ、俺はスタンドに捕まり狼男達の群れに飛び込んだ。

 

腕の骨と皮膚を硬質化させ、斬りつける。スタンドは素早さが主軸なので、活かして的確に急所を狙わせる。

 

 

「俺とッ!!スタンドで道切り開くからッ!!!お前らはそこのデカブツをッ!!頼んだぜ!!」

 

「……あぁ!!分かった!!」

 

 

その言葉を聞き、俺は狼男どもを蹴散らす。

 

勇人たちに向き合い、立ち上がった一回り大きな狼男。まるで戦いに無用や遠慮は要らないという目をしながら。

 

 

「貴様らが相手をするのか……だが、それも良かろうて!!」

 

 

その一回り大きな狼男は腰を低く落とし、右腕と右脚を前に出し、左腕と左脚を下げる構えを取る。

 

 

「我が名はグントラム!!このライカン共を統べる王なり!!この戦いの中に一切の言葉は無用!!全ては血風の中で語り合おうぞ!!」

 

 

その言葉を合図に、グントラムと勇人たちは戦闘に赴く。

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

俺は勇人たちに懸かる火の粉を振り払う作業をするだけ。つまりは殺す。咲夜も、この火の粉払いに参加し着実に数を減らしていっている。

 

それでも、現在分かっているだけで約60体ほど。ここまで削ったことに関しては褒めてほしいね。最初200ほどいたもん。

 

ってか、コイツら動きが異様に素早いから当てるのが難しいんだよな。つー訳で。

 

両手を地面におもいっきり当てる事で地面に波紋を伝える!!

 

 

「『衝撃波紋疾走《インパクト・オーバードライブ》』!!」

 

 

地面に当てた事で波紋が広がり、地面に足が付いていたライカン共は動けずにいた。その隙に咲夜が持てるスピードを活かし、スタンドで殺す。

 

これにより、残り30まで減らすことが出来た。後は残りを始末するだけだな。

 

俺に向かってくるライカン、精々8体ほど。だが、それよりも速く、俺のスタンドは速く動き急所を狙って殺す。

 

まだ急所を斬っても動いたライカンには、頭から刃を通す様に切り裂き絶命させる。

 

向かってくる6体のライカン。スタンドを此方に引き戻し、『星の白金《スタープラチナ》』に変化させ、ラッシュをぶちかます。

 

後ろから7体のライカンが迫ってくる。その内4体は咲夜が殺し、俺はスタンドをチェンジャーに戻してラッシュを放つ。

 

残り9体のライカンは勇人たちに向かっていたが……

 

 

「『世界《ザ・ワールド》』!!時よ止まれ!!」

 

 

世界の色が失われ、時が止まる。その隙に俺はライカン共を切り裂き、スタンドで粉砕するまでラッシュをぶちかます。

 

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!!」

 

「時は動き出す」

 

 

ある程度の行動を行った俺は時を稼働させた。すると、周りのライカンたちは血飛沫を飛び散らせながらも殺される。

 

勇人たちの方を見ると、じいさんと妖夢がグントラムを抑え込み、勇人は2丁拳銃をグントラムに向ける。

 

 

「『ようこそ、男の世界へ』」

 

 

2丁拳銃に霊力を最大まで込め、トリガーを引く。

その最大霊力により放たれた銃弾はバイソンと呼ばれる動物の様に荒々しく、男が持つ決闘美を象徴するかの様に速く、グントラムの眉間を貫いた。

 

グントラムはその場に倒れ、こうして俺たちの戦いはおわったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、皆様。うぷ主の鬼の半妖です。

京谷と咲夜は何時でも何処でもイチャコラするのが定番らしいです(困惑)

グントラムの戦闘シーンはコラボしてくださってる【諸行有常記】をご覧ください。

では、次回もお楽しみに。

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