悪と正義の波紋&幽波紋(スタンド)使い、変化する者の幻想入り 作:(´鋼`)
『第3階層』
「ほら、着いたぜ。これでもまだ3階だと言うのだから驚きだな」
そう言って勇人を見る。やはり疲れているな、無理もない。
カサカサ…………
んぁ?この音は………
「…………ギャアアアアアア!!」
「どうした!?妖夢……って、ウワッ!!」
妖夢の足元に黒光りの“G”が居た。オレ、G、嫌ぁぁ!!何だけど、ここは余裕ぶって。
「ハハ!ゴキブリ如きでビビってんじゃねぇぞ」
「……なら、京谷。こいつを掴んでその辺に投げてくれよ」
「え、つ、掴む必要は無いだろ?」
無駄でした。だってG掴むなんて北海道民ぐらいでしょ、するの。昔のだけど。つーかGをどうすんのこれ?
と、んなことを考えてたら………もっと大きくて多くのGが接近してて………嫌ぁぁぁぁぁぁ!!!
「な、なんだありゃ!?ば、馬鹿みたいにでかいぞ!!」
「ゆ、勇人!!お前がやれ!!」
「は、はぁ!?お前のスタンドでやれ!!」
スタンドでも触れると感覚伝わんの!!嫌なの!!って言ってる間にGの頭にナイフが刺さって死んでた。
「これでいいかしら?」
「「は、はい……」」
う~む、咲夜が頼もしい。それよか………この大きさは一体?
「ふむ……これは魔術によるものじゃな」
「勘弁してくれよ…………ただでさえキモいのが巨大化って…………」
「そんなお主に悲報じゃ」
えっ?カサカサ、カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ……
「このフロア中にいるぞ」
「oh…………shit…………!!」
「英語で言っても変わらんぞ」
クソッタレがあぁぁぁぁぁぁぁ!!!気持ち悪いわぁぁぁ!!お食事中の方ごめんなさぁぁぁい!!汚食事にならない様に気をつけてぇぇぇ!!
「どうやら、ゴキブリだけじゃないみたいね。コオロギに蜘蛛…………選り取り見取りよ」
「勇人……」
「分かってる……でも、進むしかないんだ……」
さてっと、シリアスに戻してっと。
「『変化者 魔術師の赤《チェンジャー マジシャンズレッド》』」
俺は炎を使い、デカブツの虫を焼く。何とか炎から逃れた虫も居るが、やはり生物の本能で火は恐怖の対象らしいな。
俺は近くにあった長めの木片を持ち、炎を先端に着けて松明代わりにした。それを勇人に持たせる。
「こ、これでもう虫は寄り付かないんですね?」
「ああ、これで大丈夫だ」
しっかし………参ったな。虫は結構苦手なんだよなぁ。見るのも嫌だし。兎も角、先に進んでいく。虫たちは炎が移動するにつれ退行したり前進してたりしていた。
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暫く進んでいると、勇人が足を止めた。
「…………!!」
「どうした?勇人、急に止まって…………ってこれは…………」
「酷いわね……」
無惨に食い散らかされた痕が残った死体だった。見れば右半身は殆ど食われ、左半身はまだ肉の骨が露になっていた。
着ている衣服から、あの山賊と同じ奴等と思える。
「あのゴキブリが食ったとは思えないわね…………」
「そうだな…………ゴキブリなら残さずに食いそうだからな…………」
「俺達もこうならないようにしないと…………」
そう思っていると、今度は羽音が聞こえてくる。虫の羽音のようだ。
「なんだあれ?」
「ちっさい虫の大群じゃねぇか」
ってか、何か音が近付いてるような………
「!!!?」
「こ、こいつら火を恐れないぞ!!」
マジかよ………しかも。
「た、松明に突っ込んできた!?」
松明に突っ込んだ事で虫たちは焼死したが、灯りが失われたのは最悪だ。オマケに隠れてた虫たちがワラワラと!!
「こ、こいつら、自らを犠牲に火を消しやがった!!」
「きょ、京谷!!走るぞッ!!」
俺は右腕を『赤の魔術師《マジシャンズレッド》』に変化させ、向かってくる虫を燃やし、咲夜のスタンドで殺し、勇人のじいさんは……普通に素手で捌いてた。
「キャッ!」
その声でふと後ろを見る。どうやら妖夢が転けてしまったらしい。勇人は妖夢に駆け寄った。
「…………ッ!!」
「勇人!!」
「先に行け!俺は妖夢を運ぶ!!」
置いていける事は出来ない。だが、この場合は勇人に任せようと思う。Uターンをし妖夢を抱えた途端、虫どもが勇人に襲い掛かる。
「勇人ッ!!後ろッ!!」
「………なッ!!?」
勇人はその光景には驚いていたが、直ぐ様考えを改め……
「はぁッ!!!」
勇人を中心に衝撃波が発生する。便利だな。しかし、まだ虫は追ってくる。
俺たちはいち早く部屋を見つけ待機し、勇人たちを誘導する。
しかし、後残り僅かの所で部屋の入り口に柵が降りてしまった。俺は右腕を『星の白金・世界《スタープラチナ・ザ・ワールド》』に変化、チェンジャーをスタープラチナに変化させ、柵を壊そうと試みたが………無理だった。
「じいちゃん!!俺に神力を!!」
「わ、分かったぞ!!」
勇人はどうやら他の部屋を探すらしい。俺たちは俺たちで行動するしか無い様だ。
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部屋を見渡せば、1本の通路を発見した。
俺たちは走る。早く追い付かなければならないから……
「ッ!!?ごほっ!!」
不意に喉を逆流してくる感覚を覚え、慌てて口を抑える。
手のひらを見れば………真っ赤な血が出ていた。
「!?京谷!!」
「どうした!?………これは……!!」
「はぁ……はぁ……す、すんません……」
「少し待っとれ」
勇人のじいさんは俺の心臓辺りに手を当て、神力を流し込んでくれた。ある程度はマシになった方だ。
しかし………どうやら、迎えが近そうだ。
「京谷!!ねぇ京谷!!」
「落ち着け。京谷よ、何時から異変を?」
「………結構前さ。咲夜が分かる範囲と言えば、あん時オーバーヘブンを使い過ぎた時だな」
「それじゃあ……やっぱり……」
「………こんな時にアレじゃが、聞いても良いかの?そのオーバーヘブンとやらを」
「構いませんよ」
俺は話した。オーバーヘブンの能力、性能、代償を。
その代償とは『魂の消費』。事足りていた魂の量が、尽きかけていたのだ。それを知って尚、俺は戦うことを求めた。
「それが……か。成る程、勇人の【不変化する能力】との相殺が起きたのは、【真実を上書きする能力】によるものじゃったと。そして、本来それは魂を補充しなければ使えぬ諸刃の剣じゃったか」
「えぇ………しっかし、参りましたね。気分は普通だけど、何時まで持つのか?」
そんな自虐的な事を言っていると、不意に抱き締められる感覚を覚えた。咲夜だった。
咲夜は涙を流しながら、俺に向かって言った。
「…………バカ………バカ………何で言わないのよ………何で………」
俺は答えることが出来ず、咲夜の頭を優しく撫でる。これぐらいしか、俺に出来る事は無い。
しかし、ここで待っているのも時間の無駄だ。
「咲夜、行こう。今は行こう。後から考えれば良いさ」
こうとしか言えなかった。少しでも安心させるには、こうしなければなかった。
咲夜は俺を支える。しかし俺は咲夜の腕をゆっくりと降ろし、チェンジャーを『ハウリング・ウルフ』に変化させ乗る。つまりは移動手段。
それで移動すること5分。別の部屋に到着。そこには無惨に食われた者たちの跡と、勇人に妖夢………赤毛寄りの茶髪ポニテの奴が居た。
「『変化者 ザ・ハンド《チェンジャー ザ・ハンド》』!!」
勇人と妖夢と俺たちの空間を削り、勇人と妖夢を救出する。
「危なかったな、間一髪ってとこか?」
「勇人、無事じゃったか…………」
俺は山賊の死骸を見て、次に“奴”と向き合う。
「テメエ……今まで何人食ってきた?」
「なら、貴様は今まで食べたパンの枚数でも覚えてるのかしら?」
「…………!!テメエ…………!!」
確かにそうだが………それは俺の台詞。つまりパクんな。
「名を教えてやろう。私はシアンだ」
何か勝手に名乗ってるけど。だが、本にする手間が省けた。
「それはご丁寧に、なら私が殺してあげるわ」
咲夜はスタンドを出してナイフを構える。
「貴様のような人間には興味が無い。それではまた会おう、"勇人"」
何故か、勇人にのみ言い姿を消した。
「勇人、大丈夫か?」
俺は勇人に話しかける。しかし、何も返事をしなかった。まるで、何かに上の空の様な気分で。
「おい!!勇人!!」
「はっ!!?あ、ああ、大丈夫だ。少し疲れただけだ…………」
「そうか……無事で何よりだ」
「お主が死んだらわしはもう…………」
「大丈夫だってじいちゃん」
そう言って勇人は立ち上がり、また俺たちはまた上の階層を目指す。だが、その前に………俺の事を話した方が良さそうだな。
どうも。うぷ主の鬼の半妖です。
……もしかしたら主人公死ぬかもしれない。命の危機です。
魂のストック切れ、ここで発動しました。
そして……全ての真実を言うことになりそうです。
では、次回もお楽しみに。