悪と正義の波紋&幽波紋(スタンド)使い、変化する者の幻想入り   作:(´鋼`)

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第7話 死して尚生きる屍

『人里』

 

勇人の住まう幻想郷。ここは子どもが誘拐された事件で一時騒然としていたが、早苗と鈴仙が連れてきてくれた事で何とか治まった。子どもたちは両親たちとの再開を喜び、それを見ていた上白沢慧音は少し涙を流していた。

 

それを見ていた早苗は感慨深そうに、鈴仙は別の事を考えていた。

 

そんな感動的な光景を見ている途中、上白沢慧音の元に中年男性が駆けつける。その男性は慌てている様子であった。

 

 

「け、慧音さん!!大変な事が起きました!!」

 

「こ、今度は何だ!?誰がさらわれたんだ!?」

 

「そ、そういう事じゃありません!!」

 

「………どういう事だ?」

 

「墓が荒らされて、死体が居ないんです!!」

 

「「!!!!??」」

 

「死体が居ない!?それは………何故……?」

 

「と、兎に角来てください!!」

 

「分かった!!」

 

「鈴仙さん、私たちも行きましょう。この目で」

 

「………そうね、行きましょうか。何か勇人の役にたてるだろうし」

 

 

中年男性に連れられ、上白沢慧音は墓地へと向かう。その後を早苗と鈴仙は追う。

 

着いた先には、辺り一面墓が荒らされていた。地中から死体を取り出した様な地面が掘られている痕も見える。

 

 

「これは………一体………?」

 

「墓が………だが、一体何故?」

 

「………もしかして」

 

「早苗!?それに鈴仙も!?」

 

「慧音さん、この惨状は………」

 

「ちょっと待って」

 

 

鈴仙は目を使い、波長を読み取る。特殊な波長が感じられた為、波長を変えて再度見る。その波長は、やはりヘブン・クラウドへと続いていた。

 

 

「やっぱり……あの城に続いているわ」

 

「あの城………2人共、詳しく話を聞かせてもらえないか?」

 

「分かりました」

 

「では、私の家で話そう。君は此処から離れていても構わないよ」

 

 

早苗と鈴仙は上白沢慧音の家へと向かう。あの城での出来事を。

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

 

~京谷side~

 

今、俺たち5名は第2階へと進んでいる。あの化け物に変わった山賊を解放すると、周囲を見渡しても、何処を捜してもハキムが居なかった。

 

つまり、居ない奴は居ないで仕方ない。ならば上を目指し、本来の目的である真相を知る。それしか無いと思った。

 

………しかし、長い。このヘブン・クラウド、そもそも階段が長いのだ。事実、俺たちも上るだけでも気が遠くなりそうだった。最初の頃は、『自分たちの居場所を守りたいから』ということもあった。しかし、途中から『父さんを知りたくなったから』に変わっていたと思う。

 

あの頃の自分は父さんの事を忘れていたが、見ていると懐かしい気持ちになっていた。その不思議な感覚の正体を知りたかったから。その為に動いていたのかもしれない。

 

今は違う。不思議な感覚も無く、しかも別の世界の幻想郷を救う為に行動している。しかも、ヘブン・クラウドは1度起こった事象なのだ。俺の心に『飽き』が生じていた。不謹慎だが、そう思っている。

 

『飽き』が生まれると、何が生まれると思う?様々な感情が生まれる。『退屈』『倦怠感』etcetc………そう思ってしまう。

 

しかし、そうも言ってられない物で………気が付くと2階まで上り詰めていた。

 

その部屋には、生屍人《ゾンビ》が多く居た。

 

その部屋の中央に、少し肉が爛れていた人間が見えた。いや、既に人間とは呼べないな。ゾンビ………死………死霊………死霊使い《ネクロマンサー》か。『バーニング・ダウン・ザ・ハウス』の上位互換の能力者か。

 

 

「ふぅ………」

 

「あれは………?一体………」

 

「ゾンビが1匹、ゾンビが2匹………やめましょう数えるのは。頭がどうにかなりそう」

 

「だろうな」

 

 

俺は咲夜に返事をした後、咲夜と共に前衛に出る。

 

 

「京谷?お前、何を?」

 

「あのネクロマンサーを3名で叩け。ゾンビ共は何とかする」

 

「!!?しかし、あの数を相手にするのは危険なのでは!?」

 

「大声を出すな妖夢。ゾンビは音に反応するんだからよ」

 

「し、失礼しました………」

 

「兎に角っと『アヌビス神』『サムライ・スピリット』」

 

 

俺は右腕から『アヌビス神』を、左腕から『サムライ・スピリット』を出現させ二刀流の構えをとった。

この2つもスタンドだが、2つとも見えるスタンドだ。つまり、初見の3人にとっては興味深い物であって。

 

 

「ほぉ………これが………しかし、どちらも刀なのだが?」

 

「勿論、銃のスタンドも存在するぜ。ただ、使い時ってあるだろ?じいさん」

 

「……………」

 

「綺麗か?勇人。この『サムライ・スピリット』の刀身」

 

「率直に言えばな」

 

「そうかい………作戦はさっき話した通り、良いな?」

 

 

そう言うと、勇人は2丁拳銃を構え、勇人のじいさんは堂々と構え、妖夢は楼観剣を構え、咲夜はスタンドとナイフを構えた。

 

そして、一気に駆け抜ける。

 

走り出して直ぐ近くに居たゾンビの首をサムライ・スピリットで斬りつけ行動不能にさせる。

 

ゾンビ共はそこまでノロノロしていない。寧ろ普通の人間の歩く速度となんら変わりなかった。

 

なので、アヌビス神を振って鞘を飛ばして攻撃を仕掛けアヌビス神で首もとに突いた後、首を飛ばす。

 

慣れない動きなので、少々隙も出来てしまう。現に後ろからジャンプしてくるゾンビに対処出来ない。

 

そこは咲夜がスタンドで直ぐ様殺し、俺の背中に立つ。

 

勇人たちは勇人たちで背中を守っている様だ。少しは安心していいかな?

 

 

「咲夜、ありがとうな」

 

「まったく………京谷、貴方って人は」

 

「こんな性格でゴメンよ」

 

「いえ、そんなのよりも………」

 

 

俺と咲夜は同時に後ろに振り向き、俺はサムライ・スピリットで、咲夜はスタンドのナイフで殺した。

 

勿論振り向き様にキスを交わす。どうやら思っていた事は同じらしいな。

 

短いキスだった。離れると咲夜は笑顔で

 

 

「貴方の全部が好き♪」

 

「言いおったなぁ~♪」

 

 

唯一だろう、こんな敵地のど真ん中でイチャイチャしてるカップルと言えば。そんなのは関係無い。そして、咲夜が時を止めた。

 

 

「さて、大掃除お願いね♪」

 

「そうだな♪」

 

 

俺と咲夜は空中に飛び、俺はスタンド能力で左腕を『スティッキーフィンガーズ』に変え、右腕から『皇帝《エンペラー》』を持つ。

 

スティッキーフィンガーズに変えた腕のジッパーを開き、中からナイフを全て取りだし、エンペラーでなるべく接近してから脳幹目掛けて多くのゾンビに撃つ。

 

咲夜は何時もの通りナイフをばら蒔き、スタンドのナイフで20体程殺す。

 

 

「時は動き出す」 

 

 

時が動き出した。エンペラーの弾丸と俺たちのナイフはゾンビの脳幹を破壊し、咲夜のスタンドのナイフは20体程倒れ腐敗した。

 

 

「勇人!!今がチャンスだ!!ネクロマンサーを狙え!!」

 

 

勇人は何も言わずに霊力を込めた弾丸を撃つ。ネクロマンサーはゾンビで防ごうとした。しかし妖夢が弾丸より先に楼観剣を投げゾンビを倒す。

 

障害物が無くなった事で、弾丸は真っ直ぐネクロマンサーの脳天を貫き、ネクロマンサーは最後を遂げた。

 

同時に、そこに居たゾンビは腐敗し消えた。

 

俺と咲夜は地面に着地し、勇人たちの元へと駆けつける。

 

 

「よぉ、お疲れ」

 

「そっちこそ」

 

 

拳と拳をコツンとぶつける俺と勇人。

 

 

「イチャイチャしおって………若いとは良いもんじゃのぉ」

 

「貶したいのか羨ましがりたいのか、どちらかにしてくださいませんか?」

 

「ふふっ♪どちらでも構いませんわよ♪ねぇ京谷♪」

 

「だな♪」

 

 

俺と咲夜は互いに見合って笑った。

 

 

「………これは、また派手にやりましたねぇ」

 

 

その声に反応し、俺たちは声のした方向に向く。

 

姿としては痩せた初老のじいさん、物腰が柔らかく優しい見た目だが、それとは裏腹に変な感覚を味わった。

 

そのじいさんは部屋を見渡して一言。

 

 

「成る程………恐ろしく強いですなぁ。特に、そこのお二人はねぇ」

 

 

俺たちを指差した。へぇ、力の差位分かるってか?

 

 

「まぁ待ちな。テメエ一体何モンだ?」

 

「こんな老体の名前を聞きたいのか?つくづく可笑しい奴じゃなぁ」

 

「答えなきゃ、お前を本にして見るだけだ」

 

「おぉ、何と物騒な。まぁ良いでしょう。私の名はソネというものです。それ以外の何者でも御座いません」

 

「そうかい」

 

 

俺は脚に波紋を流し、一気に距離を詰める。

 

しかし、ソネと言ったじいさんは魔物-山賊が変化した形態と似ている物-を出現させ、俺の首を掴む。

 

 

「ガッ!!?」

 

「「京谷!!」」

 

「では、私はこれにて」

 

「!!?待ちやがれ!!!」

 

 

勇人がソネを止めようと弾丸を撃つも当たらず、そのじいさんは消えた。俺は兎も角、足から『輝彩滑刀の流法』を発動させ魔物の体に刺しこみ心臓から下を斬る。

 

 

「ゴアァァッ!!!」

 

 

叫び声を挙げた魔物に向けて波紋入り輝彩滑刀で首と胴体を切断する。返り血が頬に付くが、真実を上書きして消した。

 

 

「平気か!?京谷!!」

 

「何とかな、それより上に進むぞ。もうこの階層に用は無くなったしよ」

 

「そ、そうか………」

 

 

心配してくれる勇人に笑顔を向け、大丈夫だという合図を送る。そして、次へと進む。

 

 

 

 

 

 

 

 




はい、皆様どうも。うぷ主の鬼の半妖でございます。

京谷君の心情 『飽き』『退屈』『倦怠感』だそうです。

そして、戦闘中でもイチャコラする京×咲カップル。そんな精神が羨ましい。

次回もお楽しみに。

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