悪と正義の波紋&幽波紋(スタンド)使い、変化する者の幻想入り   作:(´鋼`)

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第6話 天空に潜む虫

「慧音さんッ!!うちの息子が……息子がいないんです!!」

 

「俺の娘もッ!」

 

「私の息子もッ!!」

 

「わ、分かっている!原因は分かっている!!」

 

 

ここは勇人が住む幻想郷の人里。ここでは、ヘブン・クラウドの出現という事件の他にもう1つ起きていた。

 

それこそ、子どもたちが消えたという事。里の子どもたちが一晩の間に消えていったのだ。この事件に追われている人物が1人、この世界の『上白沢慧音』だ。

 

 

「なら、何処なんです!?」

 

「ああ………あそこに空が浮かんでいるだろ?そこに向かう子供達を目撃したとの情報がある………」

 

「それなら、早く助けに!!」

 

「早まるんじゃない!貴方達が行っても無駄死にをするだけだ!!今、勇人を探しているから待ってくれ!!」

 

「勇人、勇人先生なら助けてくれるんですか!?」

 

「ああ!!必ず彼は助けてくれる!!だから、待っててくれ!!」

 

 

上白沢慧音は尋ねてくる人里民に落ち着かせる様に仕向ける。少し移動すると、ここの里長と出会う。

 

 

「慧音さん……これはどういう事なのでしょうか……」

 

「里長……私にもさっぱり……何故"子供達"なのか……それとあの城はなんなのか……」

 

「やはり……勇人さんとは連絡つきませんか……?」

 

「はい……家を訪ねたのですが、いませんでした……」

 

「兎に角、今日は村の者に一晩中警護させます。何が起こるのか分からないので」

 

「ええ、私も手伝います」

 

 

そう言って、上白沢慧音たちは警護の準備を始めていた。連絡の着かない勇人が、あの城に向かっている事を願って。

 

 

 

 

 

 

──────────────────────────

 

 

 

 

 

 

~京谷side~

 

「それにしても……不気味な場所だな……」

 

 

全くもって同感する。ってか、俺たちの時は違ってるからよ。しかも明かりもあるし………第1層の時は真面目に暗かったんだが?

 

 

「ああ……俺らの時とは大分違うな……」

 

「ええ……それにしても……嫌な感じね……」

 

「…………兎に角、進もう。ここにいてもしょうがないからな」

 

「そうですね……」

 

 

少し進むと、勇人が尋ねてきた。何なのか聞いてみると、このヘブン・クラウドの事についてだ。

 

 

「誰がこんな事をしたんだ?」

 

「俺にも分からない。初めはDIOが原因かと考えたが……俺らの時とは全く違うからそうじゃないと思ってる」

 

「しかし、この城は使い勝手が悪そうですよね。入り口は見る限りあそこしかありませんでしたし、こんな迷いそうな道だと」

 

 

早苗の言う通り。ここは複雑過ぎて使い勝手が悪そうなのだ。俺たちの時は本当に何も家具や壁も無かった。まるで試練に向かう挑戦者を試すように。

 

 

「…………!!待て!!」

 

「あ?どうした、勇人?敵か?」

 

 

ふと、勇人が俺の動きを止めた。俺が踏もうとしていた場所に石ころを投げた。すると、原始的な罠【トラバサミ】が作動した。

 

 

「は!?これって…………」

 

「"トラバサミ"だな。ここだけ魔力を感じた。魔力で隠してたんだろうな」

 

「これまた原始的だな……」

 

「それに引っかかりかけたんだがな。死にはせんが……歩行不能にはなるだろうな」

 

 

うっわ何これ………めっちゃ原始的じゃん。初めて見たよ………殆ど紅魔館の図書館だったり、美鈴と少しばかり手合わせしたり………何これ?ニートっぽくね?

 

んで、少し歩みを進めると大きな扉があるわけで。

 

 

「おいおい……また、何かあるぞ?」

 

「またか?厳重だな」

 

「鈴仙、その辺の床の波長はどうだ?」

 

「そうね……少し周りと違うわね。少し波長を変えてみるわ」

 

 

めっちゃ便利だね、その目。こっちの方はそこまで影響をうけないけど。

 

んで、見てみれば地雷があったよコンチクショウ。

 

 

「なぁ……これって……」

 

「"地雷"だな。爆発させてしまう手もあるが……音で敵が来るかもしれん。避けて通ろう」

 

 

んで、地雷を避けて通りましたと。

 

 

「ところでさ、帰り道、分かる?」

 

「…………」

 

「さ、咲夜は?」

 

「え……あ……」

 

「大丈夫ですよ、印、つけてきましたから」

 

「ほ、本当か?早苗?」

 

「ええ!!迷宮で帰り道の確保は常識です!!」

 

 

………ありがとさん。俺が脱出した時はヘブン・クラウドが壊れて落下していったからね?ある意味死を間近で感じたわ。走馬灯も思い出したわ。

 

 

「ふぅ……最悪、城に穴を開けなきゃならんとこだった」

 

 

だってさ、このヘブン・クラウド………強度が半端無かったんだとさ。あの時、別世界のDIOも1分間ラッシュをしなきゃヒビすら入らなかったし。それだと一番強い形態出さなきゃ壊せねぇんだよ。

 

 

「!!?……静かにしてください!!」

 

「ん?」

 

「向こうに4人程誰かいます」

 

 

ひょこっと顔を出して様子を伺うと、確かに4人程居た。勇人が警戒されても困るというので、時を止めて気絶させた。やはり時止めは便利である。

 

 

「それにしても、やっと人が現れたわね。目標に近づいてるのかしら?」

 

「んー、そうだな。何かを守ろうとするときは必然的に近くに守らせたいからな」

 

 

そんな事を思いながら進んで行くんだお。

 

んで、道中見張りも居たけど俺がスパーキング!!(気絶)させて進む。

 

すると、何か話し声が聞こえた。

 

 

「なぁ、兄貴、子供達が攫うっていう命令に従って良かったのか?」

 

「あ?何言ってんだ?ハキムさんが言うんだ。絶対に決まってんだろ?」

 

「しかしヨォ、そのハキムさんから何人か貸してくれって言われてからさそいつら戻ってきてないぜ?」

 

「フンッ、きっとハキムさんのところで活躍してんだ!!」

 

 

ハキム?誰だそれ?厨○病患者か?

 

兎も角、勇人に少し尋ねる。

 

 

「勇人、どうだ?」

 

「!!!!そ、そこを通るなッ!!」

 

 

へっ?カチ…………あり?

 

 

「何か起こる……!!」

 

 

大きな警報の音が鳴る。それに気付いた奴等は俺たちを見る。

 

 

「へー……あんたらここまで来れるとは……褒めてやるぜ」

 

 

………小物ぉww。いや、普通に小物だ。笑える。

 

 

「フッ……俺の名は源地震太郎。この辺の山賊の親分だ」

 

 

聞いてねぇよ。つか、あれだな。普通だな。

 

 

「なぁ、勇人、お前がいくか?」

 

「まぁ、京谷が出る幕も無いだろう」

 

「私がいきましょうか?」

 

「んー……鍛錬の足しにもならなさそうですね」

 

「いっそわしがいくか?」

 

 

そうそう、お前みたいな小物に構ってる暇なんぞ無いわ!!

 

 

「こ、この野郎!!舐めた口聞きやがって!!野郎共!!こいつらをぶちのめせ!!」

 

 

まったく、何て無謀な………

 

 

はい、結果は火を見るより明らか。ボッコボコだお。

 

 

「こ、この俺が?負けた?ち、畜生!!覚えとけ!!」

 

「お、おいこら!!待て!!」

 

 

………えぇー。最後まで小物ぉ。

 

だが、その後に何か声が聞こえた。その声の発生源を辿ると………子ども。子どもが居た。しかも大勢。

 

勇人は見覚えのある子どもも居るようだ。

 

 

「早苗、鈴仙」

 

「どうしまし……こ、子供?」

 

「多分里の子達だ、2人でこの城から連れ出してくれないか?」

 

「わ、分かりましたが、勇人さんは?」

 

「あの山賊共に話を聞く」

 

「……分かりました」

 

 

勇人は怒りを覚え、その怒りに身を任せて逃げた山賊の元へと行こうとしていた。流石にヤバイので止めるが。

 

 

「おい待て」

 

「なんだ?京谷」

 

「少し落ち着け。この先嫌な予感がする」

 

「安心しろ、簡単にやられるような柔じゃ無い」

 

「いいから落ち着け。怒りに身をまかせるな」

 

「………………すまない。しかし、先には行く」

 

「俺もついて行く」

 

「私もよ」

 

「私もご一緒します」

 

「わしも行くぞ」

 

「そうか……すまないが早苗と鈴仙は子供達を」

 

「ええ!!任せてください!!」

 

「き、気をつけてね?」

 

 

勇人が落ち着いた所で、俺たちは先へと進む。

 

だが、逃げた山賊は近くに居た。見知らぬフードの男と一緒に。

 

 

「ふふ……ここまで来たのが運の尽きだったな。なんせ、このハキムさんがお前達をぶちのめしてくれるからな!!」

 

「……源地君、少しは役に立て。俺を頼ろうとするんじゃない」

 

「え?ハキムs」

 

 

刹那、フードの男………ハキムってコイツだったのか。ハキムが山賊を刺した。流石に驚いた。まぁ大抵の奴等は雑魚なんて興味ねぇわな。

 

 

「な、なんで……」

 

「お前!!何をしてるんだ!?」

 

「あ?役立たずを少しは使えるようにしただけだ」

 

「ぐ、グギャアアアアア!!!!」

 

 

刺された男は人の原型を留めていない魔物の姿へと変貌した。右手がハサミ、左手が触手という気持ち悪い設計。子どもが見たら発狂しそうだな。

 

 

「フンッ、俺は忙しいんだ。こいつと遊んどけ」

 

 

おーおー、気取りおって。まぁ、遊びにもならんだろうが。

 

ハキムは影へと消えた。

 

 

「ま、待て!!」

 

「ギャァァァ!!」

 

 

勇人が追おうとすると、化け物に変貌した山賊が勇人に攻撃を仕掛ける。勇人は銃で相手の眉間を撃ち、貫通した。

 

しかし、その穴は塞がれピンピンしていた。………しゃあねぇ。

 

 

「『チェンジャー・オーバーヘブン』」

 

 

オーバーヘブンに進化して、怪物に成り果てた山賊にスタンドで一発ぶちかます。

 

「【真実を上書き】して元の人間に戻した」

 

 

それを終えると、俺は解除する。ふと勇人を見てみると悩んでいるのか言葉がこぼれた。

 

 

「分からない……」

 

「分からないなら進むしか無いな?」

 

 

そう、分からなければ先に進もう。何かが見えてくる筈だから……………!!?……少し……ヤバイな。咲夜は気付いているのか、俺に駆け寄ってくる。勇人たちにバレない様に。

 

 

「平気?京谷」

 

「………心配すんな、ちょっと疲れが出てるだけだからよ」

 

「………無茶だけは………しないで」

 

「………あぁ、そうしようかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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