悪と正義の波紋&幽波紋(スタンド)使い、変化する者の幻想入り   作:(´鋼`)

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幻想十字団編
天狗の長


現在、ふよふよと浮かび移動している京谷たち。

 

京谷「いやー、『C-MOON』が使いやすい。」

プッチ「私のスタンドを『使いやすい』か。何か不思議な感覚だ。」

京谷「使いやすいスタンドは使いやすい。その事実は変わらないよ、父さん。」

文「ヤバい、この親子見てると本当に観光気分になってくる。」

京谷「お、そろそろ着くかな?」

文「ここから降りますよ。木には気をつけてください。」

京谷「はーい。」

プッチ「分かった。」

 

文がある地点に降り立つ。京谷とプッチも、続くように降り立つ。

京谷たちが見たものは、目の前に聳え立つとても大きな建物。

 

京谷「おー、でけー。」

プッチ「これほどの大きさ、見たことが無いぞ。」

文「本当に観光気分だ。この親子。」

 

そして、その周囲に他の天狗たちが集まる。

京谷とプッチの周囲は、とてもざわついていた。

 

京谷「なぁ、父さん。」

プッチ「んー?」

京谷「邪魔だから、退かせても良い?この天狗の集まり。」

プッチ「だ、そうだ。君の意見を聞きたい。」

文「わ、私ですか!?」

京谷「ねぇ、良い?退かせても。」

文「で、出来るならばの話ですが……」

京谷「良いんだね。じゃあ遠慮無く。」

文「えっ?」

 

京谷は、その天狗の集団に。いや、京谷の半径五メートルに『色気』を、『恐怖』を与えた。

すると、どうだろう。先程までざわついていた天狗たちが、一瞬にして静まり返った。いや、静かに、京谷に『怯えていた』。それは文とて同じ。何故京谷から、この様な『色気』と『恐怖』が感じとれるのだろうと。

 

京谷「………天魔という奴がいる場所は……ここか?」

 

京谷が天狗たちに向かって話す。

その声を聞くだけで、天狗たちは少し体が痙攣した。

 

京谷「……私は……単に場所を聞いているだけなのだが?」

 

その独特の話し方、声のトーン。聞くたびに体が恐怖で震える天狗たち。中には、耐えられず、その場に倒れ込む者もいた。しかし、動こうとはしなかった。京谷から放たれるオーラの方が、圧倒的に勝っていたからだ。

 

文「(な、何なのよ!?急に雰囲気が変わったと思ったら、体が動かない!!今、私が目にしているのは『五十嵐京谷』という人間!なのに!放たれている気は『五十嵐京谷じゃない』!?ここまで天狗を恐怖させるし、しかも心に食い込まれる様な感覚!そして!異様な甘さ!一体何なの!?この五十嵐京谷という人間は!一体何なの!?)」

 

そんな最中、ある声が建物から聞こえてくる。

 

?「目を覚ませ!貴様ら!」

 

そんな大きな声と共に、天狗たちは正気を少しだけ取り戻す。

京谷とプッチがその声のした方向へ向く。

そこには、大きな体、真っ赤な顔に長い鼻と、天狗そのものであった。

その天狗は京谷たちに近づく。

 

?「貴様が、最近噂になっている人間か。」

京谷「………だとしたらどうする?」

?「………フゥム、なるほど。その気質、ただならぬ物と理解した。」

京谷「貴様の様な奴に、この私を理解されたくはない。要件を言え。」

?「………ほぉ、天狗を愚弄するか。」

京谷「………愚弄………か。そういえば、初めて神奈子に出会った時も、その様なことを言っていたな。」

 

京谷はまだ、そのオーラを出したまま話す。

 

京谷「愚弄?……私は『要件を言え』と言ったのだ。貴様なんぞ、貶す価値も無い。」

?「ほぉ、ならば!!その度胸が本物かどうか、試させてもらおう!!」

 

その天狗は空を飛ぶ。

 

?「儂の名は『大天狗』!天魔様の命により、貴様を潰す!」

 

対し、京谷は動かなかった。

 

京谷「ほぉ、それが要件か。良いだろう。」

 

京谷はスタンドを出す。

 

京谷「だが!この京谷を倒す事は!例えるなら、ミジンコが人間に立ち向かう事と同じ!つまり!貴様は自身の寿命を縮める為に自らやって来たミジンコの様な存在よぉ!」

大天狗「ほざけ!人間!」

 

大天狗は真空波を発生させる。

 

京谷「間抜けがぁ!知るがいい!我が力を!」

 

突如、周囲の色が失われる。

そう、真空波が当たる直前に、京谷は時を止めたのだ。

 

京谷「『世界《ザ・ワールド》』時は止まった。」

 

京谷はゆっくりと浮かび上がり、大天狗の元に近づく。

 

京谷「先ずは、貴様のその長ったらしい鼻を折らせてもらうとするか。」

 

京谷はスタンドを構える!

 

京谷「WRYYYYYYYYYYYY!!」

チェンジャー「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

 

京谷のスタンドは大天狗の鼻に向かってラッシュを仕掛けた!そして、その鼻は折れる!

 

京谷「ふん、意外と脆い物よ。」

 

京谷はゆっくりと降り立つ。

 

京谷「時は動き出す。」

 

周囲の色が戻される。

 

大天狗「?グ!?ぐぬぅ!!」

文「ああ!だ、大天狗様の鼻が!折れている!」

 

その発言を聞き、天狗たちは大天狗に向く。

その様子を見た全ての天狗たちは、目の前の事実に驚愕していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「外が騒がしいな。一体何の騒ぎだ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突如、発せられた声。その声に全員振り向く。

そこには、京谷と変わり無い程の身長の女。

 

文「て、天魔様!!」

プッチ「ほぉ。」

京谷「ほぉ、こいつが。」

大天狗「て、天魔様!何故ここに!?」

天魔「お前が遅かったからだ。大天狗。だからわざわざ来てやったのだ。」

大天狗「も、申し訳ございません。天魔様。」

天魔「ご丁寧に鼻も折られているな。それほどまでの力の持ち主か。」

 

天魔は京谷を見る。

 

天魔「ほぉ、まだ年端もいかぬ青二才だな。」

京谷「貴様の見た目でも言えるのか?部下の教育がなってないぞ。天魔とやら。」

天魔「中々言ってくれるな青二才。貴様なんぞ、今この瞬間、一捻りに出来るというのに。」

京谷「その部下が弱すぎたのでな。貴様なんぞ、ただ単に井の中の蛙の様に、狭き場所で威張っているお山の大将に過ぎない。それぐらいの存在よ。」

天魔「中々口が減らないな。その口縫い合わすぞ。人間。」

京谷「……ふん、やはり自己中心的な考え方の種族か。貴様の様な奴は、どうも気に食わん。」

 

京谷と天魔は、互いにゆっくりと近づく。二メートルまで。

足を止め、互いに睨み合う。

 

京谷「…………………」

天魔「…………………」

 

何も、行動はしなかった。二人は、何もしなかった。

ただ単に、呼吸をしているだけであった。

まるで、何かを待っているように。

他の天狗たちは、汗をかいていた。冷や汗であった。

ある一体の天狗の汗が落ちた。だが、動く気配すら無かった。

 

文「……………………」

プッチ「……………………」

 

と、そんな中風を切る音が聞こえた。

そして、それは大声を発した。

 

 

 

 

    『それが、合図だと気付かずに』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜「京谷アアアアアアァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

京谷と天魔は遂に動く!

 

京谷「『変化者《チェンジャー》』!!」

天魔「ッアァ!!」

チェンジャー「無駄ァ!!」

 

天魔の拳とスタンドの拳が激突した。辺りからは轟音が響き、木々が揺れ、鳥たちが慌てふためき勢いよくその場から去る。

その間、京谷と天魔はまたしても、動かなかった。

しかし!その時間、僅か10秒!

遂に動きを見せた!

 

天魔「ふっ!!」

チェンジャー「フンッ!!」

 

天魔は京谷に対し、蹴りを入れようとしていた。だが、天魔には見えない何か、スタンドが防御した為、京谷には届かなかった。

 

京谷「『皇帝《エンペラー》』!!」

 

京谷は右手を天魔に向け、即座に一発放った!

勿論その弾丸も、銃本体も見えなかった為、天魔の左肩には弾丸の傷が生まれた。

 

天魔「笑止ッ!!」

 

肩に弾丸が当たっているにも関わらず、天魔は逆に、左手で攻撃を仕掛けた!

 

チェンジャー「無駄ァ!!」

天魔「ぐっ!!」

 

やはり、見えない何か。京谷のスタンドが、天魔の左手にカウンターを与える!そして天魔の左手は傷付き、左手から血が滴る。

 

天魔「この私に、血を流させたか。青二才。」

京谷「貴様が弱いだけだ。敵の情報を得ようとはしなかった愚かな過去の自分自身を恨むがいい。」

天魔「なら!今度はどうだ!?」

 

天魔は翼を出し、空を飛ぶ。

そして、弾幕を張った。

それは、他の天狗たちやプッチにまでも向かって行った。

しかし、表情を変える事無く京谷は、プッチの近くに素早く移動する。

 

京谷「『変化者 C-MOON《チェンジャー C-MOON》』」

 

京谷はスタンドを変化させた。

 

京谷「重力を変える。」

 

突如、他の天狗が吹っ飛ばされる!

それだけでは無い!先程放った弾幕が、一瞬にして跳ね返ったのだ!

 

天魔「何だと!?」

京谷「隙だらけだ!『世界《ザ・ワールド》』!!止まれぃ時よ!!」

 

もう一度、周囲の色が失われる。

そんな中、時が止まっているにも関わらず京谷に近づく人間が一人。

 

咲夜「京谷アアアアアアァ!!」

京谷「ぶべらっ!!」

 

そう、咲夜である。京谷の背中に、咲夜が激突する。

 

京谷「い、痛い。」

咲夜「あ、ごめん。」

京谷「良いよ別に。さて、気を取り直して先ずはこっちから早めに片付けておくか。」

 

そういい、天魔に歩み寄る。

 

京谷「中々、しぶとかったぞ。天狗の長、天魔よ。だが、貴様ももう終わりだがな。気づかないままな!」

チェンジャー「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!!」

京谷「時は動き出す。」

 

周囲の色が戻される。

 

天魔「ガブアァァ!!」

大天狗「て、天魔様!」

 

天魔は吹っ飛ばされる。そして、壁に衝突した。

意識が目覚める事無く、天魔はぐったりとしていた。

 

京谷「ふぅ、疲れた。殺しては無いけど。」

プッチ「お疲れ、京谷。」

京谷「おう、父さん。やーっと次に行けるな、これで。」

プッチ「そうだな、次の観光地が楽しみだ。」

文「もう、褒めるしかない。」

 

京谷とプッチ、そして咲夜は次の場所『地底』へと足を運ぶ。

文や他の天狗たちは、それを見送るしか出来なかったそうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも、うぷ主の鬼の半妖です。
いやはや、『幻想十字団編』最初のお話ですが如何でしょうか?京谷君のDIO様っぷりは感じ取れましたでしょうか?
感じて頂けたら、幸いです。
では、次回もお楽しみ。

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