悪と正義の波紋&幽波紋(スタンド)使い、変化する者の幻想入り 作:(´鋼`)
ある人間は夢を見ていた。とても懐かしい夢を。
小さな子供と大人。ボールの投げ合いで楽しんでいる様子。
その人間は懐かしい気分に入り浸っていた。その光景を見逃したくない一心で。
だが、現実は非常だ。その夢は闇に包まれた。
その人間は少しの間、恐怖を抱いた。大切な出来事がどんどん自分の手から離れていく様な感覚だった。
京谷「……………………ん………ん~?」
京谷の目が覚める。
京谷「ここは…………えーっと…………何処だ?」
辺りを見渡そうとする。しかし、首筋に痛みが走る。
京谷「いっつ!あーいてて。寝違えたか?」
取り敢えず今の状況の確認をしたいため、体を起こす。
京谷「っあー…………あっ?ん?」
永琳「すぅ……んにゃ~京谷~……ぐぅ。」
京谷「………………………何だ、永遠亭か。」
京谷は何故か近くに居た永琳を見てそう呟く。
京谷「……………あれからどんぐらい経ったんだろうか?」
京谷が考えているとドアが開かれる。
見覚えのあるうさみみ。鈴仙が入ってくる。
京谷「よぉ、鈴仙。」
鈴仙「うおっ!!び、びっくりしたぁ。」
京谷「なーんで驚くんだよ?」
鈴仙「いや、だって、貴方一ヶ月も寝てたのよ。いきなり目覚められたら驚くに決まってるじゃない。」
京谷「…………あー、あれから一ヶ月も経ったのか。」
鈴仙「あれ?随分冷静ね?」
京谷「いやー、なんか、ね?」
鈴仙「ふーん。そう。」
永琳「ふにゃあ?」
話をしていると永琳が目覚める。重たい瞼を少し擦りながら、京谷を見る。
京谷「よぉ、永琳。眠たそうな顔してんなぁ。」
永琳「…………あぁ、ぁあ………」
鈴仙「あっ、しまった禁断症状が……」
永琳「京谷ー!!」
目覚めた途端、永琳は京谷に飛びつく。京谷を抱き抱えるとおもいっきり力を込める。
京谷「ギニアアアア!!」
鈴仙「あー!治療がー!」
京谷「痛い痛い!体が痛い!あー!首はやめてやめて!力込めないで!ちょー!!」
永琳「京谷ー!!」
京谷「あ、ヤバい気絶するわ。」
首に鋭い痛みが走った後、京谷はベッドにもう一度横たわった。
『五時間後』
京谷「…………はぁ!はぁ、はぁ、あー夢か。」
鈴仙「だ、大丈夫ですか?」
京谷「……さっきの見て大丈夫だと思えるなら眼科行ったらどう?」
鈴仙「いや、一応病院の役割あるんですが。」
京谷「……もう良いや。ところで永琳は?」
鈴仙「師匠なら、別の部屋で待機してもらっています。」
京谷「良い判断だ。」
京谷はベッドから降りる。
京谷「あーところで、着替え何処?」
鈴仙「京谷さんが持って来たバッグの中から拝借しました。これです。」
京谷「あー紫さんが持ってきてくれたんか。」
鈴仙「それじゃあ私は出ますよ。終わったら声を掛けてください。」
鈴仙はその場から出ていく。
京谷は寝ていたベッドに着替えを置き、服を脱ぐ。
京谷「………そういや。」
京谷はふと、自分の首の後ろを見る。
京谷「………やっぱりあったよ。星形の痣。」
京谷は頭を抱え、ベッドに座り込む。
京谷「…………はぁー。えーっと、アイツが言ってたな。生まれ変わりって。」
てゐ「何の生まれ変わりだい?」
京谷「うおっ!!て、てゐ!おまっ何でベッドの下に!?」
てゐ「鈴仙が出ていった後、そそくさと。」
京谷「お前なぁ。」
てゐ「んで?何の生まれ変わりだよ?」
てゐはベッドから出て、京谷に向き合う。
京谷「お前にゃあ関係ない。」
てゐ「んだよー、ケチ。」
京谷「うるせー、さっさと出ていかんかい。」
京谷は握り拳を作り、てゐの頭に落とす。ゴンッという音がてゐの頭に響く。
てゐ「いってー!やらなくても良いじゃん!!」
京谷「さっさと出ていく。じゃないと今度はもっと痛い目見るぞ。」
てゐ「わーったよ。出ていけば良いんだろ?」
てゐはその場から逃げ去るように立ち去る。
京谷「………ふぅ。」
京谷は着替えを終え、近くの洗面台に行く。
京谷「ん?これって………」
ふと、京谷は鏡の自分の首を見る。
何故か、京谷の首には斬られた様な模様があった。
京谷「………まさか、関係してんのか。DIOの生まれ変わりだから。」
さらに自分の耳を見る。そこには三つ並んだほくろがあった。
京谷「………これで、俺が生まれ変わりってか。『ジョナサン・ジョースター』の魂で星の痣。『DIO』の魂でほくろと首の模様。………にわかには信じがたいが、これが『真実』なのか。」
京谷は重い足取りで部屋から出ていく。
客間
京谷「おーい、来たぞー。」
早苗「き、京谷さん!!」
咲夜「京谷!!」
利久「京谷さん!!」
文「京谷さん!!」
椛「京谷さん!!」
京谷「おー、お前ら、アイツから解放されたのか。」
文・椛・早苗「か、解放?」
咲夜「ッウ!!」
京谷「さ、咲夜!?おまっ!」
京谷の元に咲夜が駆けつけ、京谷に抱きつく。
早苗・椛「んなっ!?////」
利久「ありゃ。」
文「わーお!ネタを発見!写真写真!」
咲夜「よ、良かった。本当に、良かった。」
京谷「はぁ、全く。俺は体力が殆ど無かっただけで、死んだ訳じゃあなかったらしい。後文、その写真は出すなよ。出したら即座にブッ飛ばす。」
文「怖い怖い。その表情。」
利久「もう動いて良いんですね。京谷さん。」
京谷「どうもそうらしい。」
京谷は辺りを見渡す。
京谷「………プッチは……何処だ?」
早苗「ぷ、プッチ!?何でそこでプッチの名前が!?」
利久「い、いえ。僕たちが目覚めても、何処にも。」
京谷「………いねぇのか。」
早苗「き、京谷さん。何でプッチの名前が!?」
京谷「………そうか………」
京谷は少しふらつく。
咲夜「き、京谷!?ど、どうしたの!?」
京谷「わ、悪い。少しな。」
利久「少し休まれては?京谷さん。」
京谷「いや、座るだけで良い。」
京谷は壁に姿勢を預けながら、座る。
京谷「すまんな。咲夜。」
咲夜「良いわよ。そんな事。」
京谷は目を閉じ、話す。
京谷「………今思えば、あんたはプッチに頼まれてたんだな。俺を守ってくれって。そして、見守り続けた。そうだろ?紫さん。」
紫「……あら、そうかしら?」
五人「うわっ!?」
京谷「俺の記憶を操作したのも紫さんだろ?『境界を操る程度の能力』つったか。それで俺の記憶を操作し、俺に身に付いていた特徴も、見えなくさせた。こんな芸当、紫さんにしかできないさ。」
紫「あらあら、分かってたのね?貴方自身のこと。」
京谷「あの『DIO』から聞いた。俺の事を全て。」
早苗「でぃ、DIO!?何でDIOの名前も!?」
京谷「俺たちが『DIOと戦った』って言ったら?」
早苗「じ、じゃあ!この新聞の黒幕って!?」
京谷「新聞?」
文「あ、それは私の作った『文々。新聞』の事です。見てください。」
文から渡された新聞を見る。
大きく一面に『突如崩れた空に浮かぶ城!』とあった。
詳しく見ると、関与していた人物、京谷、咲夜、妖夢、利久、安神、霊夢の名前があった。
京谷「ふーん、内容は霊夢や安神に妖夢、ここにいる咲夜や利久から聞いたのか。」
咲夜「問い続けるから、お引き取りしたわ。」
利久「僕もです。家にまで来るから何時ものドララしたぐらいですよ。」
京谷「おいおい、結構鬼畜じゃあねぇか。」
文「あれは死ぬかと思った。」
椛「文さん。死にかけだったんですか。」
早苗「そ、それで!?DIOと戦ったんですか!?DIOと出会ったんですか!?」
京谷「あ、あぁ。もう二度と戦いたくねぇけど。」
早苗「い、良いなぁ!!あのDIO様と戦うなんて!!」
咲夜「実際会うと、飲み込まれるわよ。あの恐怖してるのか安心してるのか分からない感覚に。」
紫「実際に、賢者の一人が飲み込まれたわよ。」
早苗「でも良いなぁ。ジョジョラーの憧れですもん!」
京谷「死にそうになってた人間に向かってよくもまぁんな事が言えるねぇ。」
咲夜・利久「本当よね(ですね)。」
早苗「あはは、ってそんな事より!プッチに頼まれたってどういう事ですか!?」
京谷「………………」
紫「………………」
咲夜「き、京谷?」
京谷「いや、ちょいな。」
京谷と紫は頭を抱える。最初に言ったのは紫からであった。
紫「……先ずは、彼の、京谷の事から話さないといけないわ。」
早苗「き、京谷さんの事、ですか?」
紫「えぇ。京谷の『真実』をね。」
咲夜「京谷の………」
文「真実…………」
京谷「……………」
紫「………ふぅ。じゃあ先ず一つ目。『京谷はこの世界の住人ではない』」
五人「!?」
京谷「………所謂、別世界の人間だ。」
紫「次に、『京谷は未来人』よ。」
早苗「み、未来人!?じゃあ京谷さんは未来からきたんですか!?」
京谷「………そう、別世界の未来人。俺は2026年の人間らしい。」
紫「最後ね。これを聞いて、貴方たちがどうするのかは勝手よ。でも、覚悟していた方が良いわ。この真実に。」
五人「……………」
紫「京谷の真実。それは………」
京谷「『DIOの生まれ変わり』」
咲夜・利久・早苗「なっ!?」
京谷「そう、お前らと敵対していた黒幕の、生まれ変わりらしい。その証拠に俺には星形の痣、左耳に三つのほくろ、首にゃ斬られた様な傷の形をした模様。」
早苗「あ、あぁ、あえ!?」
咲夜「う、生まれ変わり……って、本当なの?」
京谷「あぁ、俺もアイツから、DIOから全部聞いた。」
利久「き、京谷さん。」
京谷「………お前ら、どうした?幻滅したか?」
早苗「わ、私は幻滅してませんよ!それどころか凄いじゃないですか!あのDIO様の生まれ変わりって!」
京谷「………そういや、早苗はジョジョラーだったか。」
咲夜「わ、私だって幻滅してないわよ!確かに驚く所はあるけど、京谷は京谷よ!」
利久「……まあ、考えてみれば生まれ変わりどうこうより、今が大切ですし。」
京谷「…………ぷっ、なんだそりゃ。」
京谷は少し微笑む。それにつられて、紫も微笑む。
紫「ふふっ。それより京谷、貴方に朗報よ。」
京谷「ん?朗報?」
五人「???」
紫「今すぐ白玉楼に行ってらっしゃい。」
京谷「へっ?」
紫は手を横に払う。すると京谷の下に裂けた空間が出現する。
京谷「WRYYYYYYYYY!?」
京谷「YYYYYYYYYYY!!」
妖夢「うえっ!?」
京谷「いってぇー!!もっとましなの無かったのかよ!」
妖夢「き、京谷さん!?何でここに!?」
京谷「おー妖夢か。久々だな。」
妖夢「け、怪我の方は?」
京谷「怪我?俺は体力無くなってて寝てただけだ。」
妖夢「そ、それだけなんですか!?」
京谷「それだけだ。」
妖夢「そ、そうなんですか。」
「そうか。強く育てた甲斐があったよ。」
京谷「!?」
京谷は声のした方向へと視線を向ける。
しかし、その方向を見ても誰もいなかった。
京谷「げ、幻聴……か?………」
「何処を見ている京谷。こっちだ。」
京谷「!?いや、違う!幻聴じゃあない!」
もう一度、声のした方向に向く。
京谷「……………………」
プッチ「どうした?京谷。」
京谷が見た姿、額に星形が象られていた髪に見慣れた神父の服。前回見た時より、若い姿のプッチであった。
京谷「……………………ッぐっ。」
プッチ「???」
京谷はプッチに向かって走る。そして、プッチに抱きつく。
プッチ「おいおい、どうした?」
京谷「てめぇ!何で来なかった!?」
プッチ「……………」
京谷「何で来なかったんだよ!?」
プッチ「………すまないな。少し……野暮用だ。」
京谷「その野暮用ってどれぐらいで終わったんだよ!?」
プッチ「たった三日で終わったさ。」
京谷「だったら、さっさと来いよ!
『父さん!!』
プッチ「……………今、何と言ったのかな?」
京谷「一回しか言わねぇよ!父さん!」
プッチ「…………私を………父と呼ぶか………京谷。」
京谷「あんたが育ててくれたんだろ!俺にとっちゃ父親だ!」
プッチ「全く、親離れできない、大きな息子だな。」
京谷「父さんの事を忘れた挙げ句、二年も父さんと一緒じゃあ無かったんだよ!親離れしたくても出来ねぇじゃあねぇか!」
プッチ「…………ふふっ、確かにな。そうだったな。
『京谷』
『私の一番愛した息子よ』
京谷「お帰り、父さん。」
プッチ「ただいま、京谷。」
京谷とプッチは互いに見つめ合い、微笑む。
幽々子「どうやら再開できたようね。」
京谷「ゆ、幽々子さん!!」
妖夢「幽々子様、そろそろ出発致しますか?」
京谷「しゅ、出発?一体何の事だ?」
幽々子「あら?紫から言われてない?今日、博麗神社で宴会するって。」
京谷「え、宴会!?聞いてねぇよ!!」
妖夢「ああ、後今回の宴会の主役、京谷さんですから。行かなきゃいけませんよ。」
京谷「えっ!?まじ!?だったら早く行くよ!父さん!」
プッチ「分かったから慌てるな。少し落ち着いたらどうだ?」
京谷「落ち着いていられるか!父さんと久々に一緒になれるんだ!さっさと行くよ!」
プッチ「全く。忙しない奴め。」
京谷はプッチと手を繋いだまま、外へ出る。
その光景は仲の良い親子に見えた。
どうも、うぷ主の鬼の半妖です。
いやー、どうですかね?京谷君とプッチ神父の親子の絆は。
上手く書けてたら幸いでございます。
次回は宴会パートになります。何時もの毎日投稿になりますが、楽しんで頂けたら何よりです。
では、次回もお楽しみに。