やはり俺がその罪の意味を知ろうとするのは間違っている。   作:さめのひと

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キャラ同士を会話させると無駄に冗長になる気がします。


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そんなこんなと過ごしてるうちに既に一週間経過していた。

 

その一週間のうち、3日を新しい武器のドロップ狙いに充て、残りの4日間は再び迷宮区に潜り狩りをしていた。

 

いくらレアドロップ品とは言えど所詮は下層の武器。

 

既に二本確保しており、一本は威力+4強化、もう一本は耐久値+4強化を施して、主に耐久力を強化したほうを用いて狩りしていた。

 

こんな時に役に立つ耐久力減少武器のインゴット化様々である。

 

ちなみに武器名は”シープ・バー”という、これまたありきたり(?)な名前の武器だった。

 

まぁ、名前の由来通り、羊系のモンスターからのドロップではあったりはする。

 

どんな作りをしているかは謎だが、ゲームの武器にそういう細かいものを求めるのも無粋な気はする、うん。

 

とりあえず、強化していけば第3層ぐらいまでは乗り換え無しで使えそうな武器性能に俺は不満はない。

 

流石にこのあたりはプロの情報屋から仕入れた情報とオレは感嘆したものだ。

 

そして、武器性能が格段に上がったことにより狩り効率が見違えるほど上昇し、俺のレベルは現在13まで達し、あと1日半もあれば14に届くであろうというところまできていた。

流石に狩り効率が上がったとは言えど、レベル15以上に上げるのは骨が折れそうだ、というのが俺の私見だった。

 

それはさておき

 

「キリト、お前何やってんの」

「…とりあえず通報だけはしないでもらえると助かる、かな?」

 

そう、迷宮区内の安全区でおれが休憩してる際に、キリトが謎の人物Aさんを抱えてキリトが安全区までやってきたのだった。

 

Aさんってお前この前も言ってたじゃん、とかと思う人もいるだろうが、この前のやつはアルゴって分かったのでまたAさんの枠に人がはいったんだよ?

 

本当だよ?

 

ってか誰に説明してるんだよ俺…

 

 

 

 

 

 

「無茶な狩り、ねぇ…」

 

俺はキリトからひとしきり事情を聞いて、何とも言えない気持ちになった。

 

状況から察するにニュービーの可能性はほぼ皆無だし、無茶と断言できる要素があまりにも少なかったからだ。

 

尚、その狩り方を無茶じゃないと言った際、キリトに「それはオクトだけだろ」と言われて少し凹んだのは内緒だ。

 

そして、キリトが抱えてきたプレイヤーを見てふと思った。

 

「あ、そういやこのプレイヤー見覚えあるわ」

「本当か!?」

 

思ったことを口に出すと、何故か全力でキリトが食いついてきた。

 

「お、おう。俺がお前らと初めて会う前の話だが、迷宮区から出る前に入れ違いで入ってきたプレイヤーだわ。ちょうどお前とアルゴと会った日の話だから、6日前の話だな」

 

そう言うとキリトは考え込むような仕草をした後に

 

「マップデータ公開前となると、益々ニュービーの線は消えたな。じゃあなぜこんな無茶を…」

 

至極まっとうな疑問を口にした。

 

「ん…んむぅ」

 

その途端に目を覚ますとかやっぱキリトって物語とかがあったとしたら主人公の才能あるんじゃねぇの?知らんけど。

 

「あ、やっと目を覚ました」

 

キリトがそのイケメン度MAXの面から微笑を浮かべ、意識を取り戻したプレイヤーAさんに声をかけた。

その一言でどうやらAさんは完全覚醒したようだ。

 

てかキリト顔立ちが幼いだけでまじでイケメンだな。爆発しろ。

 

そんなくだらないことを考えてるうちに、Aさんも完全に意識を取り戻し、キリトのことを認識したのだろう。

 

Aさんがキリトのことを認識すると

 

「どうして、あの時置いていってくれなかったの?」

 

と言い放った。

 

…ん?

 

「えっと、お前さんもしかしてまだ意識ボーッとしてる?」

「そこのぬぼーっとした人は黙ってて」

 

…なんだろう、ぬぼーっとした人って久々に言われた気がする。

 

てか声かけただけで散々な言われようである。

ハチマン、ツラクナイヨ?

ハチマン、ウソツカナイ。

 

「で、それは置いといて。なんであそこで死なせてくれなかったの?」

 

Aさんはキリトに向き直り、問いただそうとしてるようだ。

 

「目の前で死なれちゃ目覚めが悪いからだよ」

「そんな、あなたの勝手で…」

「あー、ちょっと良いか」

 

助けてもらっておいてこの始末である。

はっきり言って聞いてられなくなった俺は、この自己中プレイヤーにとりあえず一つだけ物申したい。

 

「…なに?」

「そこのプレイヤーさんよ、キリトってんだけどさ。キリトは”目の前で死なれちゃ目覚めが悪い”って言ったんだよ。意味分かるか?」

「…だから?私がどこでどう死のうが勝手でしょ?」

「人様に迷惑かけないならな」

 

そう言うと、プレイヤーAさんは頭にハテナを浮かべてた。

ってか声とか話し方からして女か?

 

まぁ、どうでもいいが。

 

「状況はキリトから聞いただけだから俺は何とも言えないけど、少なくともキリトの目の前で死ぬって時点でキリトは”不愉快”なんだよ」

 

そこまで言うと、Aさんはハッと顔を上げた。

 

「人死にの現場なんか誰も見たいもんじゃないしな。死ぬなら死ぬで、人様に目がつかないように死ね。ちなみに迷宮区はそろそろ攻略組のプレイヤーが押しかける頃合いだろうから人はわんさか来るから死ぬなら他所でやりな」

「私、は…」

 

ここまで言って、まだ何か言いたいことがあるのだろうか?

 

「私は、どうせみんな死ぬんだから…戦い抜いたその先で、満足して死にたい」

 

…俺が思うに、こういうやつがもう少し短絡的になった結果が大量のプレイヤーの自殺だろう。

 

情勢の情報をアルゴから教えてもらった際に自殺者の情報を聞いていたが、やっと'腑に落ちた'。

 

「どうせ、死ぬのが早いか遅いかだけの違いよ」

「いや、俺は生きるぞ」

 

だからなのか、俺はこいつが無性に気に食わない。

 

Aさんはなんか呆けてるようなので話をすすめることにした。

 

「俺は、リアルじゃぼっちだ。それも筋金入りの、だ」

 

けどな、と区切って

 

「俺には妹がいる。だから死ぬ訳にはいかないし、こんなクソみてぇな環境からとっととおさらばしなくちゃならねぇんだよ。兄が妹を悲しませていい道理なんざねぇからな」

「けど、こんな世界で…一度死んだら終わりの世界よ?そんな事が本当にできると思ってるの!?」

 

呆けていた意志が復活したのか、俺の言ったことに食いついてきたな。

 

まぁ、それはともかく

 

「本当なら働きたくなんざねぇが…まぁ、それはいい。んで、こればっかはできるできないじゃなくて、"やる"だけだ」

 

そう、小町のために。

 

小町が家出したあの日、俺は小町を一人にしないと誓ったんだから。

 

まずこんなクソゲー早く終わらせて、約束を違えたことを謝って、次こそちゃんと約束を果たせばいい。

 

ただ、それだけなのだから。

 

すると、Aさんがまた口を開く。

 

「そんなの…できっこないわよ。このゲームが始まって一ヶ月も経つのにまだ始まりの一層すらクリアされてない状態で、なんでそんなこと出来るって断言できるの!?」

「いやお前悲観的すぎだろ」

 

思わず突っ込んでしまった。

 

その突っ込みが不快だったのか、Aさんはこっちを睨んでくる。

 

てかキリト空気だなおい。

 

「少なくともこのゲームを攻略しようと動いてるやつは何人もいるんだ。時期が来れば攻略組が組織だって会議でも開いて動き出すだろう。えと、あんたがどう思ってるかは知らないが、少なくとも今は時期が悪いってのもあるしな」

「どういうことよ?ってかあんたって呼び方、やめて」

「オクト、俺も気になった。時期が悪いってどういう事だ?」

 

お前ら、矢継ぎ早に話しかけてくるんじゃねぇよ…ぼっちにそれは辛いぞ?

 

「ただ単に時期が悪いのについては…デスゲーム開始宣言からの混乱から抜け出すのが遅れたこと、それに伴う本来"攻略に参加しようとしてた人間たち"のレベル不足とか、あとは、デスゲームになったが故に安全マージンを大幅に要求されたことでレベリングの効率が落ちてること、だな。このゲームがデスゲームでなきゃ、もうとっくに一層は突破されてたと思うぞ」

 

と、ここで一旦区切って

 

「それと、名前がわからん以上なんて呼んだら良いんだよ…」

 

とAさんに質問してみる。

 

もう一人ぐらい矢継ぎ早に話す人物が増えてたらたぶんもっとアタフタした…だろう。

たぶん、おそらく。

 

「私はアスナ。貴方はオクト、でいいの?」

 

そうだ、名前で呼んでほしけりゃプレイヤーネーム教えろってだけの話だからな。

 

とか考えてたら

 

「えと、こういうときは、本名を名乗っちゃだめなんだっけ?まだよくわからないけど…」

 

と抜かしだしたせいで、俺とキリトが呆然としてしまった。

 

「えっと…二人とも、何を呆けてるの?」

 

いや、アンタのせいだからね!?

 

「えと…アンタ、じゃなかったアスナさん?」

「なんで疑問系なのよ…」

 

女子の名前呼ぶのに慣れてないのを察しろってのは無茶な話か。

 

「ま、まぁそこは置いておくとして…アンタ、まさかだけどニュービーか?」

「アルゴさん曰く、そういう事になるらしいわね。ちなみにMMORPGもSAOが初めてだから」

 

おいおいマジかよ。

 

なんでそんなプレイヤーが迷宮区に辿り着いたんだよ…

 

アルゴと知り合いっぽいが、アルゴは命知らずに情報を売るほど良識がないってのはあり得ないから、アルゴがアスナさんとかいう目の前のプレイヤーに情報を提供したとは考え難い。

 

ソースは俺の提供したマップデータの扱い。

 

なんて考えていると

 

「ニュービーがマップデータ公開前になんで迷宮区にいたのかは分からないけど、あれだけ戦えるならアスナさん、アンタも攻略組に参加したらどうだ?」

 

とキリトが唐突に提案しだした。

 

まじか、ニュービーの、それもMMORPGすら初めての人間が、ベータ上がりの、それも情報屋曰くトップクラスのキリトのお眼鏡に叶うレベルで戦えるとは…

 

確かに、戦力として遊ばせておくのは勿体無い気はする。

 

「キリトにそこまで言わせるレベルで戦えるなら俺もキリトの案には賛成だな。戦い抜いた中で死にたいなら、尚の事だと思うし」

 

俺も追随して賛同するついでに、アスナさんの目的にも合致させて誘導しておく。

 

暫くアスナさんが考え込んだ後

 

「なら、あなた達が教えて。この世界のことと、攻略組とかいう集まりについてのことを」

 

そう、言い放った。




一応プログレの流れを踏襲していますが、どこまでプログレに合わせるかはまだ決めてません。

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