やはり俺がその罪の意味を知ろうとするのは間違っている。   作:さめのひと

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アルゴの口調難しすぎません?


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「…ふぅ」

 

あの悪魔のようなデスゲームの宣言開始日からちょうど2週間、俺のレベルはようやく11へ届こうというところまできていた。

 

本来ならばこのペースでのレベリングはほぼ不可能に近いのだが、狩場の独占と一日一時間睡眠の実施により無茶苦茶なレベリングを可能としていた。

 

…持てる時間をすべて吐き出してるからこそできるレベリングであって、リアルとの生活を共存させながらこんな無茶なことはできなかっただろうなぁ、とは思うが。

 

「そろそろアイテムとか補充しないとな。ついでに一旦ちゃんと休息取るか」

 

そう、俺はAGI優先でステータス振りをしていたので、あまりアイテムを消費することなくレベリングをしていたのだ。

 

そして、迷宮区の中にも、安全区はある。

所謂セーフティーゾーンのようなものだ。

 

そこで睡眠を取ることにより通常では考えがたい効率でのレベリングを実現していた。

 

本当は不眠不休でレベリングを行いたいところではあるが、肉体的な疲労はなくとも、精神的な疲労というのはSAOのなかにも存在するようで、定期的な休息と睡眠は必須と言えた。

 

肉体的疲労が伴わないとは言えど、街への補給がてら精神衛生上のリフレッシュ日を設けることも欠かさないようにしていた。

 

…こんな世界だ。何が原因で死ぬかわかったもんじゃないからな。

 

そんなふうに考えていた俺だが、俺の考えではそろそろ迷宮区に来るプレイヤーがいてもおかしくない。

 

それどころか、もっと早くに他のプレイヤーが来ることになるだろうと予測していたが、実際はそんなこともなく、と言った感じである。

 

デスゲームに怯えて攻略が進んでいないのか、はたまた安全確保のためのマージンをとっているのか、他人との交流のない俺にとってはわかりかねることでもあった。

 

「…街へ戻るついでに情報収集もこなさなきゃな」

 

そうして俺は街へ戻ることにした。

 

「…」

「…」

 

戻ったときに、フードをかぶったプレイヤーとすれ違いはしたが、ぼっちの俺には関係あるまい。

 

強いて言うのであれば、ようやく迷宮区で狩りをするプレイヤーが現れたことに対して「やっとか」という感情を抱いたことだけだろうか。

 

これが俺がぼっちでなければマップデータの一つでも譲ってやるところではあるが、俺はぼっちであるが故にそんなことできるはずもなかったのだった。

 

いや、威圧感に気圧されて話しかけれなかったとかじゃないよ?

 

ハチマン、ウソツカナイ。

 

 

*****

 

 

そして俺は、ホルンカの村へと到着した。

 

途中プレイヤーらしき影とも遭遇したが、特に気にも留めず全スルー。

 

そんな時であっても隠匿のスキルを使うのを忘れない俺であった。

 

隠匿のスキル上げのついでにあわよくば隠れれば最高だなぁとか思っちゃいないよ?

 

ハチマン、ウソツカナイ。

 

さて、ホルンカの村に着た理由はたった一つ。

 

第一層の他の安全区の宿に比べてホルンカの村の宿の設備が整っている上に、格安だからである。

 

それはそうと、他にも宿を取ってるプレイヤーが存在しているようで、俺が目星をつけていた宿への宿泊は不可能だったが、第二候補が全然普通にあいていたため、そちらに宿泊することにした。

 

第一候補よりかは豪華なベット(とはいえ第一層なのでそれなり程度ではあるが)にシャワーのみ。

 

簡素ではあるが、ビジホとしてみるのであれば第一候補よりも優秀とも言える。

 

まぁ、俺も言うてそこまでビジホに泊まる機会なんて合ったわけじゃないけどな?

 

アキバで遊んでて終電逃したときに泊まったとかそんなこと絶対無いからな?

 

ハチマン、ウソツカナイ。

 

さて、とりあえずホテルの部屋だけ確保した後、はじまりの街へ戻ることにしようとしたのだが…

 

「ちょいまち、そこの腐り目のニーチャン」

 

謎の人物Aに呼び止められてしまった。

 

「…なんすか?」

「あんた、ベータテスターなのカ?」

 

その言葉を聞いた瞬間に俺は武器を取った。

 

「PLやら養殖やらタカリならよそでやってくれ。俺は俺で手一杯だ」

「タカリ…あながち間違いじゃないかもしれないナ」

 

瞬間、圏内ではあるが俺はソードスキルを謎の人物Aに放っていた。

 

脅迫がてら顔の横を掠めさせるだけのつもりではあったが。

 

だがそれは、強烈な金属音と共に

 

「―っ」

 

一人の剣士によって防がれていた。

 

 

 

<<Side Kirito>>

 

”例のソロプレイヤーの行方が補足できた。念のために護衛してほしい”

 

そうアルゴにメッセを飛ばされた俺は、あまり意味は理解してなかったが、護衛ということだったので二つ返事で了承の旨を返し、フレンドの探索機能を使ってその場所まで急ぐことにした。

 

そして俺が見たのは

 

「タカ…間…じゃな…ないナ」

 

そう聞こえた途端にソードスキルを発動する腐り目の男だった。

 

―間に合えっ!

 

そう思い俺はソードスキル”レイジスパイク”を発動させ、間に割って入る。

 

ガキン、と強烈な金属音を響かせ、なんとかアルゴに直撃する前に止めることが出来た。




オンゲ用語解説

【PL】【養殖】
どちらもほぼ同意語。PL⇔パワーレベリング
要はレベルが高い人物Aがレベルの低い人物Bを連れて狩り回ることでBのレベルを加速度的にあげようとする行為。
海外MMO(というか外人間)では割と盛んに行われていたりするが、アジア系地域間で見かけたことは筆者はあまり無いから多分地域差なのかな?とは思ってる。

弊害として、十分なPSが身につかないこと(立ち回りや装備選定、ゲームシステムへの理解など)や狩場荒らしになりやすいことなどが挙げられる。



【狩場荒らし】
字面の通り、狩場を荒らすこと。
横狩りや適正レベルを超えたプレイヤーがフィールド上のモンスターを借り尽くすことによる荒らしなど、用途は多岐にわたる。
尚、SAOのようなフィールドPKが可能なゲームである場合、フィールドに出てきたプレイヤーをひたすらPKするようなパターンもあったりなど、ほんとに多岐にわたるのでおそらく書ききると作者が死にます。



【PS】
プレイヤースキル。読んでまんま。
プレイヤー自身の技術のこと。



…キリトと八幡を邂逅させようと思えば、何故かこんな形に仕上がっていました。
後々補完しますが、八幡はまだゲーム感覚が抜けきっていない、ということで…汗

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