やはり俺がその罪の意味を知ろうとするのは間違っている。   作:さめのひと

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プロット回収し終えるまではメインでこちらを更新していくと思います。


SAO 第一層
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―俺は、なんで生きている?

 

ふいに、そんなことを考えてしまう。

 

そう思案してる最中、獰猛な笑みを浮かべながら、目の前の男は言葉を口にした

 

「へへっ。…―お前ら二人だけか?」

 

そう言われても、今の俺はただただ意気消沈するばかり。

 

「オクト…」

 

隣の少女が、震えた声で俺のプレイヤーネームをつぶやく。

 

俺こと比企谷八幡 は、SAOの中では”Octo”と名乗っていた。

 

だが、そんなことは今の目の前の現状を鑑みれば、どうでもいいことだと言えよう。

 

8人の男に囲まれており、相手は此方を殺そうとしている。

 

…俺は、どこで間違えたのだろうか?

 

そんなことを、不意に考えてしまう。

 

「…もう、殺しちまいましょうよ」

 

不意に、男の一人がそうつぶやく。

 

「攻略組の中でも随一と言われてるオクト、案外大したことなかったな」

 

…やめろ。

 

「まぁ、この女を殺しでもすれば、ちょっと変わるかもしれないかもな」

 

やめろ。

 

「それいいっすねぇ! 絶望に震え上がる表情、見てみたいもんですわぁ」

 

「やめろっ!」

 

俺は自分でもびっくりするほどの大声で、そう叫んだ。

 

「…ゃる」

 

「…あ?」

 

俺のつぶやきに、一人反応する。

 

それがタガになって、俺は再び叫ぶ。

 

「てめぇら全員ぶっ殺してやるっ!俺は…―を守るためならてめぇらだろうがなんだろうが殺し尽くしてやる! それが、俺にできる唯一の贖罪だ!」

 

そういって、俺は生まれて初めて…

本気で殺す気で、人に向かって武器を取った。

 

…ここから先は殺し合いだ。

お互いがお互いを殺すつもりで、武器を手に取っているのだから当たり前ではあるが。

 

叫んだせいか、息が上がり、人を手にかけることを決意した恐怖からか、手が震えている。

 

けど、絶対に負けられない。

 

―を、守るから。

 

俺は…今度こそ、絶対に。

 

 

*******

 

『もっと人の気持ちを考えてよ!』

『あなたのやり方、嫌いだわ』

『俺は、本物が欲しい―』

 

様々な言葉を重ね合った結果、奉仕部と言うなの曖昧でいびつな関係は、綻びを見せ始めていた。

 

やはり、人に期待する、というのは往々にして自らをもかってな期待に対する失望により傷つけるのか。

 

俺、比企谷八幡には未だに結論を出せずにいた。

 

そんな最中に至る前に、俺はVRMMOの最高峰と言われている”SAO”(ソード・アート・オンライン)をプレイするためのハードであるナーヴギアを手にすることに成功していた。

 

まぁ、主にスカラシップでちょろまかした金による恩恵、というのが強いが…

 

さらに、ベータテスターとしての抽選に当選していた俺は、このゲームの優先購入権を得ていたので、これまたスカラシップでちょろまかした金でソフトまで無事購入したのだった。

 

そして今日は、そのSAO正式サービス開始日。

 

仮想現実に逃避、と言われればそれまでかも知れないが、別にゲームなんて堪能できりゃそれでいい。

 

それに、俺は件の奉仕部のこともあり、現実世界というものに少し疲れていたのだ。

 

「…勉強さえちゃんとしてりゃ、まぁなんとかなるだろ」

 

俺はぼっちであるが故にゲームに時間を充当したところで勉強時間を確保することは容易である。

 

そんな言い訳を誰にするわけでもなく、ただ一人でかってに納得して、SAOを堪能することを決意した。

 

LANケーブルや電源ケーブルがきちんと差し込まれてることを確認して、ナーヴギアをセットした俺は

 

「リンク、スタート」

 

そうつぶやき、SAOの世界へと飛び込んだ。

 

その先が、地獄であるとも知らずに。




いつか、本編で冒頭部は回収します。

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