今日も酒保は賑やかです!   作:深海魚

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青葉視点です。


青葉の場合

 無償で休まず働きます。青葉

 

 「青葉さん、どうなされたんですか?」

 

 「窃盗及び密売」

 

 

 背中に張り紙を付け、黙々と働く青葉について榛名さんは店長に訪ね、店長はそれに対して淡々と答える。あぁ、これは間違いなくキレてますねぇ。

 

 やっぱり、蒼龍さんに店長のパンツを売ったのがいけなかったんですかねぇ?それとも歯ブラシを響ちゃんに売ったほうかな?いずれにせよしばらく黙って働いてたほうがいいですねー。

 

 「んで、お前さんは何買いにきたんだ?」

 

 店長が榛名さんに用件を訪ねる。

 

 「あ、いえ榛名は暇だったのでなんとなく寄っただけで特にこれといって買うものはないです。」

 

 どうやら冷やかしに来ただけだったようだ。どうせなら仕事増やさずに帰ってくれるとありがたいんですけどねぇー。

 

 「そうか、じゃあこの後の予定は?」

 

 おっと、店長が榛名さんの予定を気にしている?なんかあったけなぁ?ここ最近の動向を見る限り特にこれといって用がある訳でもないですし、この後の予定もすっからかんなはず…

 

 「はい、特には無いですね。」

 

 「ならあがってけ、茶でも出してやるから」

 

 青葉、見ちゃいました…。 店長が自分から用もないのに艦娘を上に招待するとは、これは要チェックですねぇ~。腹いせに後で睦月ちゃんあたりに教えよっかなぁ。

 

 「さて、じゃあ俺は上で榛名と茶しばいてくるから、サボんなよ?後、メモるのはいいがそれを誰かに教えた場合はわかってるよな」

 

 おっと、バレてましたか、じゃあこのネタはしばらく温めて忘れた頃にお出しすることにしましょう!

 

 「はい!青葉、お仕事、了解しました~!」

 

 青葉が返事を返すと店長は満足したように頷いて榛名さんと上に上がっていった。さて、じゃあしばらく一人で頑張りましょう!青葉、取材、いや、仕事しま~すっ!

 

 「いらっしゃいませ~」

 

 「あら、青葉じゃない珍しいわね。」

 

 青葉の最初のお客は山城さんでした。山城さんと姉の扶桑さんは青葉と同じくらい店長と付き合いが長く、青葉も交えてたまに一緒にご飯を食べることもあります。

 

 「そうなんですよぉ~!聞いてくださいよ、実は店長に割りとガチなキレかたをされまして……」

 

 青葉は山城さんに事の顛末を話そうとする。

 

 「どうせ、またあの人の私物を売り付けたのでしょう?この前、響と蒼龍がキラキラしながら歩いてたわよ。」

 

 呆れ顔で当てられてしまった。さすがに付き合い長いとバレますねー。恐縮です!

 

 「それで、本日はどのようなご用件で?」

 

 とりあえず、そろそろ仕事をしないとマズいので、青葉は山城さんに酒保にきた理由について聞きました。

 

 「そうね、揚げチキを7枚、ビールを瓶で4本、ジュースを四人分、あとはお菓子を適当に見繕ってちょうだい。あと、お菓子の中には必ず1つ昆布系をいれといて。」

 

 「昆布好きですもんね、扶桑さん。ジュースも青葉が適当に選んじゃっていいですか?」

 

 「構わないわよ。」

 

 チキンを揚げ始め、その間に商品を取りに行く。量からしておそらく西村艦隊の面子で宴会と予想。ジュースとビールの数が合わないのはたぶん、満潮ちゃんに対する配慮ですかねぇ。他の3人の駆逐娘は飲まないため、どっちにも混ざれるようにと。

 こういうさりげない気遣いが【憲兵さんに聞きました。嫁にしたい艦娘ランキング!!】の上位になる理由なんでしょうか。青葉?青葉はもちろんランク外です!浮気がすぐにバレそうが意見の大半でした。くぅっ!

 そうこうしているうちにチキンが揚がり、商品の用意が終わったので、山城さんのところへ向かう。

 

 「お待たせしましたぁ!」

 

 「ありがとう、それじゃ」

 

 「ありがとうございましたぁ~!!」

 

 その後、何人かお客さんが来ましたが、酔ったポーラさんが床に乙女の秘密をブチまけた以外は特に問題なく時間が過ぎました。

 

 「お疲れ、もう上がっていいぞ」

 

 「お疲れ様ー!。」

 

 業務の終了と同時に店長と川内ちゃんが降りてきた。榛名さんは先程、先に帰ってましたね。

 

 「ありがとうございます!それでは青葉は帰りますので川内ちゃん、あとはよろしくお願いしますね!」

 

 「了解……フフッ」

 

 青葉の言葉に対し、にやつく川内ちゃん。そして彼女は店長の背中を小突いた。

 

 「まあ、待て。青葉ちょっと上に来い。川内、あとは適当に頼む。」

 

 「クスクスクスクス……痛っ!ちょ、蹴ることないじゃんかー!!」

 

 笑いが止まらない川内ちゃんに店長がローを数発当てる。

 

 「るせっ!おら、行くぞ青葉。」

 

 「は、はい!」

 

 な、何をされるんでしょうか?店長に関しては性的なことで心配するのは無駄ですし、かといって青葉、あれ以降特に何もしてないし…、青葉が色々と思案していると、店長が顔をしかめてこちらを向いた。

 

 「青葉」

 

 「は、はひ!」

 

 「ゲロ臭ぇ」

 

 「ポーラさんが来店されまして」

 

 「……シャワー浴びてこい」

 

 「わかりました…」

 

 流石に年若い?娘にゲロ臭ぇは無いなぁと思いながらお風呂を借りる青葉。服は店長が洗濯して、酒保棟に置きっぱの青葉の服を置いといてくれた。

 

 青葉がお風呂から出てくると、店長が箱を前に置いて座っており、青葉にも座るよう顔で促す。あの箱の中に何が入っているのだろうか?

 

 「開けろ。」

 

 青葉は恐る恐る、箱を開けた。箱の中に入っていたのはチーズケーキがワンホール入っていた。しかも青葉が好きなチーズスフレである。

 

 「榛名と一緒に作ってな。余ったからやる」

 

 嘘である。おそらく、青葉の分を作ってくれたのだろう。顔はいつもと変わらないが、短く切り揃えられた髪から見える耳が真っ赤なので、おそらく照れているのでしょう。

 

 「あぁ、うん流石に休み無しで働かせたのは,罰にしてもやり過ぎたと俺も思ってる。すまんかった。」

 

 そう言って、頭を下げる店長。やらかしたのは青葉なので罪悪感がすごいです。

 

 「いえ、元はと言えば悪いのは青葉ですし…気にしてないので頭を上げてください!」

 

 「そうか、なら、いい」

 

 そういって店長はやさしく笑った。パシャ

 

 いや、だって仕方ないじゃないですか!鼻で笑うとか、バカにしたように笑うのはいつも見ますが、こんな風に微笑んでるのって本当にマレなんですよ!スクープですよ、スクープ!!

 青葉が撮った写真を確認して興奮していると、視界の端に店長が写った。その顔に表情はない。

 

 「あ、いやこれは、違うんです!珍しく笑っていたので……そのケーキありがとうございます!それじゃあ、青葉、失礼します!!」

 

 とりあえず、店長が何かを言う前に逃げてきちゃいました。しかし、これは記事にした後が怖いですねぇ…。

まあ、店長は怒るでしょうけど、きっと皆は喜んでくれますよね?

 それに青葉、嬉しかったんです。また、そんな風に笑える店長が見れて…青葉、感激です!!

 

 後日、鎮守府新聞を見た、店長と一部の艦娘による青葉狩りが起こったが、それはまた別のお話。




 青葉はわりと好きなのでこれからもちょこちょこ出したいですね。

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