今日も酒保は賑やかです!   作:深海魚

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 川内の一人称を後に出る神通と分けるために私からアタシに変更しております。


漣の場合

 フタマルマルマル……

 

 どうも綾波型駆逐艦の漣です!こう書いてさざなみと読みます!

 

 現在、漣は酒保棟に向けて重くなる足を引きずっております。あ、酒保棟ってのは店長が明石さんを脅迫して増築させた酒保のことでしてね?なんと、全部で4階まであります!しかも、ほとんどの部屋は使われておりません!明石さんガチ泣きでした(笑)

 

 んで、無駄の多い酒保棟に向かっている訳ですが、理由は簡単!漣は朝起きられないので夜勤の子か店長に起こしてもらうためです。朝勤の人は間宮さんと同じ時間に起き、皆が起きる頃には既に出勤していなくてはならず、不肖この漣は初めての朝勤で大寝坊をやらかして以来ずっと前日から酒保棟入りをしているわけです!

 

 「とーうちゃーく!店長いるー?」

 

 「お、渋ってた割には早いじゃねえの、明日の天気はタコヤキか?」

 

 「いや、それ空襲受けてんじゃんwwそれに、早く来ないと夕飯は食いっぱぐれっしょ?」

 

 「それが目当てか……つか、いつも間宮か鳳翔のとこで食ってこいって言ってんのに誰一人守りやしねぇ。二人から愚痴られんの俺なんだぞ!」

 

 「店長のメシがウマイのが悪いと思いまーす!ww!」

 

 全く悪びれずに言う。そう、この店長ものすごく料理が上手いのだ。どのくらいかというと先程話題に出た間宮さんと鳳翔さんが弟子入りしたくらいである。そのため明日は漣一人だけど普段の朝勤はメシ目当ての艦娘たちに地味に人気だったりする。(某空母二人とか)

 

 「しゃーねえな、少し待ってろ。あと、ついでに上で寝てる夜勤バカをそろそろ起こしといてくれね?」

 

 「ほいさっさ~!」

 

 店長はそういうとキッチンに向かっていく、その背中はどこか嬉しそうだった。

 

 さて、漣はこれから夜勤バカもとい夜戦バカもとい川内さんを起こしに行くわけですが、これがなかなか大変だったりするのですよ!簡単に言うと、ヘタな起こしかたをすると死にます。主に漣の精神が……

 

 というわけで、ドアをそっと開けて侵入、照明をつけてターゲットを確認!助走をつけて~……ジャーーンプ!!!

 

 「グフッッ!!」

 

 退かぬ!媚びぬ!省みぬ!これが我が道、漣ロード!!さあ、来るなら来い!私の逃げる準備は出来ている。というわけで逃げます。全速力で

 

 「ほう?なら死ぬ覚悟もしとかなきゃね?」

 

 「モキュッ!!」

 

 痛い!痛い!痛い!でも喋れない!漣は川内さんにほっぺを親指と中指ではさみ、持ち上げられている。

 

 「痛いでしょ?アタシもとても痛かったんだよ!」

 

 さらに力を入れる川内さんはそのまま階段に向かって歩きながら、漣に囁きかける

 

 「さて、これから階段をこのまま降りようと思うんだけどさ……」

 

 「フモッ!!!フモッーーーー!フモッフモ!!」

 

 川内さんは一旦、口を閉じる。そして、暴れる漣に悪魔の取引を持ちかけたのだ。

 

 「二択ね!このまま下に行くか、一緒に夜勤を……そうだね~、今ここに居るってことは明日朝からでしょ?なら、来週かなぁ……うん!そうしよう!来週一緒に夜勤するのどっちがいい?」

 

 悩んだ、このまま下に降りられると、ほっぺに痣がつくのは間違いない、しかもそれを数少ない男性である店長や提督に見られる。これは花も恥じらう乙女あるまじきことだ。しかし、この夜勤バカもとい川内さんと夜勤をするのは正直避けたい、何故かって?この人の夜のテンションについていける艦娘はこの鎮守府には青葉さんと金剛さんくらいしか居ないんだよ!

 

 散々悩んだ結果、漣は夜勤を選んだ。さすがに艦とはいえ、漣たちは艦娘である。乙女である!この輝けるプリティーさを捨てるわけには行けないと漣は思いました!んで、その事を伝えると川内さんはすぐに離してくれたが、そのまま下に走って降りていき、魚雷を落とした。

 

 「店長!アタシの来週のシフト全部に漣を随伴させといて!」

 

 「ん?ああ、わかった」

 

 「ちょ!?まっ!待って!どゆことすか!?川内さん!」

 

 「ん?アタシちゃんと言ったよ?来週一緒に夜勤ってさ、アタシ来週は夜勤三回あるから漣もそこに随伴ね?」

 

 「見事嵌められたな、ドンマイ」

 

 店長が嗤い、それにつられて川内さんも嗤う。お先真っ暗であった。これはヒドイ、例えるなら鎮守府近海でタ級に単艦で遭遇したくらいにはヒドイ。しかし!これでへこたれる漣さんではありまセーン!

 

 「ハイハイハイ!異議アリ!!来週は漣、出撃入ってるもんね!確か、出撃あるときはバイト無しって契約に入ってるんで無理でーすwwいやー!残念ですなぁwww」

 

 これで勝つる!そう思ってた時期が漣にもありました。店長はおもむろにスマホを取りだして電話をかけ始めた。

 

 「あ、兄弟?そうそう俺、うんわかったそれは今度仕入れとくわ。んで、本題なんだけど来週の月水金の漣の出撃、別の娘に変えられる?え、キツい?じゃあ暁か響に酒保に泊まる権利チラつかせてやらせてみて。成功したらOK?ん、わかった。じゃあ成功したら本人たちにメールするように言っといて」

 

 そう言って電話を切る店長。その10秒後鳴り出したスマホを見て口角をこれでもかってほど吊り上げて、死刑宣告を告げる。

 

 「良かったな、暁が替わってくれるってさ」

 

 「oh……」

 

 神なんていなかったんや!落ち込む漣の横で川内さんが腹抱えて笑っている。イラッときたので夜勤が明けたら神通さんに愚痴ることにした。

 

 「ところで店長!あとどれくらいで夕飯できんの?」

 

 「お前のはもう少し先だ、川内!冷めないうちにさっさと食って準備しな」

 

 そう言って、差し出したのは千切りにしたキャベツと金色に輝く唐揚げである。

 

 「やった!アタシこれ好きなんだよね~!」

 

 そう言って食べ始める川内さんを一瞥し、店長は苦い顔で漣に声をかけた。

 

 「漣、ちょっと手伝ってくれ。俺一人でこの量は少しキツい」

 

 「え~、メンドイ」

 

 「お前メシ抜きな」

 

 「漣の本気、見せたげるぅ!」

 

 そう言って、キッチンへ向かうと店長のとなりにおっきなピンク、肉の塊が鎮座していた。

 

 「大きすぎじゃないすかね?」

 

 「夕勤はだれだ?」

 

 「あっ、察し……」

 

 これは空母全員に共通するのだが空母は酒保でバイトした後、必ず店長の部屋で呑み食いしていくらしい。そして空母といえばたくさん食べることで有名である。どっかの鎮守府ではとある二人の空母の食費で経営が傾き、壊滅に陥ったところもあるとか……。

 

 というわけで、この大きな鶏肉の調理を始めるわけだが近づくと改めてその大きさがわかる。そして、これだけの量を頻繁に仕入れることのできる店長の経営能力の凄さを実感した。

 

 「ちなみに鶏肉は今回も青葉から騙しとった一万円で仕入れております。」

 

 「え、また?今度はなにしたの?」

 

 「ピッキングを教えた。この鎮守府で使ってないタイプの錠だけどな」

 

 このあとは青葉さんに黙祷をし、店長とひたすら唐揚げを作りながら夕勤から戻ってくる二人を待った。




 どうでしたか?
 次の話は二航戦のどっちかにしようと思います。え?川内?そのうちね……

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