リリカルライダー——悪とされた者の物語   作:エイワス

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甘っ!自分で書いててわからなくなってくるよ。


開発

ガイアメモリ

 

これがドライブ————幽雅がプレシアに渡し、自分で使用した物だ。ガイアメモリにはその名の通り地球の記憶が収められている。birdなら鳥の記憶。NASCARなら高速移動と飛行の記憶を。

 

幽雅が瞬間移動のように移動した時に使ったのは《ゾーンメモリ》。市街地での戦闘の時にフェイトに渡しておいたシフトカー、ディメンションキャブで場所をリークしてゾーンメモリの能力でとぶ。完全犯罪ここに極まれり。

 

幽雅は気付いていなかったが、ディメンションキャブが提示した座標は幽雅の世界、第97管理外世界にはない。ならなぜゾーンメモリで飛ぶことが出来たのか。その理由は幽雅さえ知らない《神様からの贈り物》が原因である。

 

《神様からの贈り物》とはその名の通り、幽雅を転生させた神からのおまけである。本人が知らない内にどこか強化された特典の一部のことである。

そのオマケが幽雅の常備しているゾーンメモリに、次元世界すらも座標さえ知っていれば超えられるというものだ。

 

 

「ゲネシスドライバー・・・。やはり自分で作ったものの調整時間が掛かるな」

 

時の庭園から帰ってきた幽雅は自宅の地下室にある研究室にこもっていた。

幽雅の視線の先には数字の羅列が書かれたモニター、そしてレモンが付いているエナジーロックシードを付けてある、赤いドライバー、ゲネシスドライバーが計測機器に繋がれて置かれている。

 

幽雅は特典で得たベルトから、更に自分でベルトを作っている。だがそのベルトは原典のベルトよりも少し性能がいいだけ。今まで作ったベルトの中で幽雅が納得した性能を出せたのは一つだけ。

その一つだけが、神から特典で与えられたベルトよりも、確実に性能が上回っている。

 

目の前のゲネシスドライバーは幽雅を納得させる程の性能が出せなかった。

 

「どこか足りないところ・・・出力は安定している。やはり安全装置が邪魔になっているのか?だが未完成な状態で外すと・・・」

 

置いてあるキーボードを叩きながら愚痴る。

 

「やはりデータが足りない。ゲネシスドライバーで安全装置を外しながら戦わなければ、このロックシードを使うことは出来ない」

 

幽雅は壁に掛けてある、赤い刺々しいロックシードを手に取る。このロックシードはある生命体に作らせた、希少な物だ。

 

「衛宮当麻・・・アレは逸材だ。少々手を出して、夢原と共に強くなってもらおうかぁ。ゲネシスドライバーと戦えるレベルには」

 

——————————————————————————

 

幽雅の放課後の行き場所となっている図書館。

 

ゲネシスドライバーの一応の調整を終えた幽雅は行く宛もなかったので来ていた。

だが一人ではない。

 

幽雅の席の向かいに、久しぶりに会う八神はやてが座っている。

偶然本を探している時に遭遇したのがはやてだ。

 

「ほんま久しぶりやね、幽雅君」

 

「そうだな」

 

嬉しそうに問いかけてくるはやてを素っ気なく流す幽雅。

 

「最近は調子どうなん?」

 

「いつも通りだな。しいていえば少し面倒事が増えただけだ」

 

本当に面倒事がな、と後ろにつけて、目の前のコーヒーが入っている紙コップを煽る。黒い液体が幽雅の喉を潤していく。

 

「そういうお前はどうなの?」

 

飲み終わった紙コップを置いて、机の木目を見ながら問う。

 

「うーん・・・まぁあんまり変わらんかな〜」

 

逆にはやては上を見ながら気軽そうに答える。

 

「幽雅君は家族と仲良いの?」

 

「・・・俺に家族はいない。あるのは両親が残した遺産だけだ」

 

本当は親の顔なんて既に覚えてすらいない幽雅。

既にロイミュードとして存在していたり、初めからオルフェノクとして生を受けた時などのショックで一部の記憶が欠損している。

 

「そっか・・・。私と同じやな」

 

「同じ?」

 

「私も事故で家族なくしたんだ」

 

「・・・悪い」

 

雰囲気が悪くなって目を横に逸らす。はやてはあははと言いながら苦笑する。

 

「・・・俺の面倒事が終わったら今度お前ん家行くから住所教えろ」

 

「え?」

 

幽雅の突然な物言いに疑問の声を上げるはやて。幽雅は少し恥ずかしかったのか、スマホのメモアプリを起動してはやてに渡して、少し顔を赤くしている。

 

スマホを受け取り、自分の住所を打ち込むはやて。

打ち終わるとスマホを幽雅に返して立ち上がる。

 

「ほなまたな」

 

はやてが幽雅にウインクしながら出口へと走っていく。

 

その後、幽雅はもう2杯コーヒーを飲んで図書館を出ていった。


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