リリカルライダー——悪とされた者の物語   作:エイワス

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学校が卒業式してるけど学校休んで投稿。

赤点取ったり補修受けないか心配すぎて泣きたい。


闇の書

幽雅の朝は早い。

 

朝5時にはやてを起こさないように洗面所へ行き顔を洗う。その後動きやすい服に着替え一時間ほど全速力で走る。

 

走り終えてストレッチを済ますと朝食の準備。前までははやてが作っていたが、幽雅は現在居候の身。偶に家に帰って掃除するが、基本的に八神家に住んでいる。

 

学校まではガイアメモリを使いチェイサーの姿になり、バイクかネクストライドロンで学校近くの駐車場まで行く。

それからはいつも通りに授業を受けて、来た時と同じ方法で帰る。

 

いつもなら直行で八神家へと向かうのだが、今日だけは色々なところへと寄っていった。今日ははやてが図書館に遅くまで行くと聞いていたので、スーパーへ向かい必要な食材を買う。

ドンキ〇ーテ等でクラッカー等のパーティーグッズを買い急いで帰宅。

 

はやてが帰ってこない内に買ってきた食材でいつもよりも豪華に調理。調理の合間に部屋の飾り付け。

 

五回も転生していれば自然とこういったことには力が入り、一人で大抵の事はできるようになった。

 

全ての用意が終わると、はやてを待つ。 待っている間にシフトカーを磨いたり、ゲネシスドライバーの調整をしたりして待つ。

 

『ただいまー』

 

はやての声がするとすぐに道具を仕舞い、はやてのことを迎える。

 

「おかえり。ご飯の準備は出来ている」

 

「ホンマ!?」

 

「あぁ。だから早く手を洗ってこい」

 

はやてが手を洗いに行ったのを見計らって準備していたものを全て出す。

 

今まで生きてきた中で培った気配察知能力を使い、扉にはやてが近付いてきたのを察知して、所定の位置につく。

 

はやてがドアノブを下げる。ドアノブを下げきると扉を押す。車椅子でリビングにゆっくりと入ってくる。幽雅が仕掛けた『アレ』は扉の脇やソファ、各所に隠しており幽雅の持っているスイッチを押すことで自動的に起動するように仕掛けてある。

 

はやてが部屋に入ってくる。幽雅は反射的にスイッチを押す。

 

パパパパパァン!!!!

 

「誕生日おめでとうだ。はやて」

 

突然の事で呆然としているはやてを置いて幽雅がいつも通りの無表情で言う。

 

「どうした?そんな顔をして?」

 

幽雅が怪訝そうに問う。よく見るとはやての目は少し涙が溜まっている。

 

「す、すまない。何か気に触ることでもしたのだろうか?」

 

はやてを見て幽雅が慌てて弁解しようとする。はやてはやがて涙を流し始める。

 

「ち、違うんや。こんなふうに祝われたのが初めてやから・・・」

 

幽雅は思い出す。はやての両親ははやてがまだ幼い頃になくなっている。そしてはやては生まれつき足が悪く学校にも行けていない。

必然的に歳の近い友人かおらず、誰からも祝われることがない。

 

「そうか」

 

そう言って幽雅ははやての頭を撫でる。それからはやては子供のように泣きじゃくり、結局夕飯を食べ始めたのは20分後だった。

 

——————————————————————————

 

八神家、幽雅の部屋。

時刻はもうすぐ日付けが変わる時間。幽雅は最近作り始めた一つのアイテムの作製に熱を入れている。

 

作製の為のデータは揃っているが、何処をどのように調整すればいいのか分からないため、手当たり次第に弄り、何度を作り直しをしている。

 

そして今回も、

 

「またダメか。どうやってもエネルギーを抑えられない。改めて思うが、我望と江本、歌星親子は天才すぎる」

 

幽雅は耐衝撃ケースに入っている物を取り出し、失敗と書かれた箱に投げる。

 

「もうすぐ0時。下手なことしてはやての事を起こしたくないし、後は調整だけでいいか」

 

幽雅はブレイクガンナーと機材を用意し、細かな調整を始めようとする。

 

(はやて以外の人の気配がする)

 

幽雅は泥棒か何かだと思うが、それはありえないと判断する。はやての部屋は二階にある。玄関や窓から入ってくるにしても必ず階段を踏む音がするはずだ。

だが幽雅は全く聞こえなかった。

 

(考えられるのは魔法による転移。だが何故ここに?俺がここにいるなんて教えるようなヘマはしてないが)

 

幽雅はブレイクガンナーを片手に音をたてずに、静かに扉を開ける。

 

(クリア。まさか既に部屋の中か!?)

 

幽雅は音をたてずにはやての部屋の前まで行く。完全に気配を殺した歩法。

 

『誰だ!?』

 

幽雅が扉に手をかけると内側から扉が蹴破られる。幽雅は声がした瞬間に横へ転がり、迫り来る扉を回避する。

 

(女だと?)

 

幽雅は部屋から出てきた人物——剣を持った女性に向けてブレイクガンナーを撃つ。女性は持っている剣で的確に銃弾を弾く。

その間に女性の後ろにいた、はやてと同じ位の身長の少女がハンマーを持って迫る。

 

(二人目!それも子供!)

 

《Break》

 

幽雅はブレイクガンナーをブレイクモードに切り替え、降りかかるハンマーを殴り、受け止める。

 

「グラーフを受け止めただァっ?」

 

「オラァっ!」

 

驚愕している少女を無視して、力技で弾く。その隙に後ろに後退しようとするが、誰かに足を掴まれた感触に思わず下を見る。

 

(手!?魔法か!?)

 

何も無い空間から緑色の魔力を発して腕が伸びている。その腕は幽雅の足を掴んでいる。

 

「もういっちょォ!」

 

ハンマーを持った少女が再度接近してくる。幽雅は落ち着いて迎撃に映る。

掴まれた足を軸に、足を掴んでいる手を片足で蹴りその場で回転する。迫り来るハンマーに脚力+勢いで蹴り返す。

 

「今度は足ぃ!?」

 

弾かれた少女は後ろへとんで着地する。これまでの所要時間12秒。狭い廊下で行われたこの戦闘は床や壁を大いに破壊した。

 

「ちょっといきなり何してるんや!?」

 

破壊された扉から出てきたのは車椅子に乗ったはやて。幽雅ははやての現在の無防備な状態に、少しだけ警戒を緩めた。

 

「ですが主はやて、この怪しい少年がもし敵だったら」

 

「言い訳はいいわ!それと幽雅!どうしてこんなことになったのか説明してもらうから!」

 

はやての剣幕に押されその場の全員が矛を収める。幽雅もブレイクガンナーを仕舞い、はやての部屋に向かう。

部屋にははやてと先程戦った女性と少女、そして片手を赤らめている、先程幽雅が手を蹴った女性と、犬耳尻尾というある意味マニアックな姿をした、筋肉質な男性。これら4人が跪くかのように座っていた。

 

幽雅は扉があった場所の横の壁に背中を預ける。

 

 

 

 

 

 

今宵の恐怖激が始まる。

 

 


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